JPH0811793B2 - 多孔質バルクメソフューズの製造方法 - Google Patents

多孔質バルクメソフューズの製造方法

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JPH0811793B2
JPH0811793B2 JP60073857A JP7385785A JPH0811793B2 JP H0811793 B2 JPH0811793 B2 JP H0811793B2 JP 60073857 A JP60073857 A JP 60073857A JP 7385785 A JP7385785 A JP 7385785A JP H0811793 B2 JPH0811793 B2 JP H0811793B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規な多孔質炭素系物質に係るものであり、
より詳しくは多孔質化して高比表面積を有することとな
つた新規な形態のバルクメソフエーズ並びにその製造方
法に係るものである。
〔従来の技術〕 一般に、石炭系タールピツチあるいは石油系重質油ピ
ツチ等のピツチ類を約350〜450℃の温度で加熱処理する
と光学的に等方性であるピツチ中から光学的異方性の小
球体、すなわちメソフエーズ小球体が発生し成長する。
このようにピツチ類が加熱によつて炭化する過程で現
われるメソフエーズ小球体は高分子量の縮合多環芳香族
化合物が層状に配列し、これが積層した、いわゆる黒鉛
結晶と類似の構造をもつものであつて黒鉛結晶の前駆体
であるとともに、このメソフエーズ小球体は化学的、物
理的活性に富むものであるから、上記熱処理ピツチから
単離することにより、高密度炭素材、高選択性触媒ある
いはクロマトグラフ充填材、吸着剤等の高付加価値を有
する多方面への応用が期待されている。
このようなメソフエーズ小球体を単離するためには、
従来、分散媒体であるピツチマトリツクスのみをキノリ
ン、ピリジン等の芳香族油を用いて選択的に溶解し、難
溶分であるメソフエーズ小球体を分離回収する方法が知
られているが、コークス生成を避けつつ熱処理を進める
ためには、熱処理ピツチ中のメソフエーズ含有量を低く
せざるを得ず、またメソフエーズ小球体を分離するため
に用いる溶剤も多量必要となるため、生産性の非常に低
いものであつた。そこで成形材料としてのメソフエーズ
が必ずしも小球体ではないことから、メソフエーズ球体
含有ピツチに乱流状態を与えることによりメソフエーズ
球体を合体させ凝集メソフエーズすなわち、バルクメソ
フエーズとして沈降分離させる方法(特公昭59−17044
号公報)が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記の方法で得られたバルクメソフエ
ーズを各種炭素材に用いるためには種々問題があり、特
にクロマトグラフ充填材あるいは吸着剤に用いる場合、
比表面積の点で問題があり未だ実用化されるに到つてい
ない。
〔問題点を解決する手段〕
そこで、本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意検
討の結果、特定処理により、高比表面積を有するバルク
メソフエーズを生成せしめ得ることを見い出しその結
果、多孔質バルクメソフエーズをはじめて実現せしめる
ことに成功して本発明に到達した。
本発明の目的は、高比表面積を有する多孔質バルクメ
ソフエーズを提供することにあり、又本発明の他の目的
はかゝる多孔質バルクメソフエーズの製造方法の一例を
提供することにある。
しかして、かゝる目的を充足する本発明の要旨は比表
面積が10m2/g以上である多孔質バルクメソフエーズにあ
り、またかゝる多孔質バルクメソフエーズはピツチ類を
バルクメソフエーズが生成する迄加熱処理することによ
り、マトリツクスピツチ中にバルクメソフエーズを含有
するピツチ体を形成し、該ピツチ体に芳香族系油を添加
混合し、芳香族系油の混合された該ピツチ体を100〜400
℃で加熱処理した後バルクメソフエーズを分離すること
によつて得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔質バルクメソフエーズを製造するための
原料には特に制限はなく、広く一般に用いられる原料、
例えば石炭系タールやピツチあるいは石油系重質油やピ
ツチなどのピツチ類が用いられる。
これらのピツチ類を好ましくは窒素気流中で350〜500
℃で0.5時間〜10時間加熱処理を行なうが、この加熱処
理はこれらの条件を適宜選択して、少くともバルクメソ
フエーズが生成する迄行なわれる。即ち、加熱の進行に
伴つて、先ずメソフエーズ球体が発生し、次いでメソフ
エーズ球体同士が合体して形成されるメソフエーズ凝集
体、すなわちバルクメソフエーズが生成してくるが、こ
のバルクメソフエーズを通常10重量%以上、より好まし
くは30重量%以上、最も好ましくは50重量%以上含有す
るピツチ体を得る。
次いで、得られたバルクメソフエーズ含有ピツチ体の
1重量部に対して芳香族系油0.1〜10重量部、より好ま
しくは0.3〜5重量部、最も好ましくは1〜2重量部を
添加混合する。
次いで、芳香族系油の添加混合されたピツチ体を更に
加熱処理するが、本発明ではこの再度の加熱処理の際に
マトリツクスピツチとバルクメソフエーズを特に分別し
ないで良く、むしろ分別しない方が好ましい。
しかして、そのマトリツクスピツチの好ましい存在量
は種々の場合で異なり、一概に特定できないがバルクメ
ソフエーズに対して少くとも0.01重量部である。
かくして、マトリツクスピツチとバルクメソフエーズ
と芳香族系油を含んだピツチ体は上記再度の加熱処理、
即ち100〜400℃、好ましくは300〜370℃の温度で0.5〜
4時間、好ましくは1時間〜2時間加熱処理に付され
る。そしてその後は常法、例えば熱時過等により、バ
ルクメソフエーズを分離した後、これをキノリン等の溶
剤で洗浄して本発明の多孔質バルクメソフエーズを得
る。
上記加熱処理に使用される芳香族系油としてはアント
ラセン油、クレオソート油、石油系芳香族油などが用い
られるが、特にアントラセン油を用いるのが好ましい。
なお、本発明において、前記加熱処理を実施する場
合、芳香族系油が常に系内に存在していることが重要で
あり、単なる開放加熱だと芳香族系油が蒸発飛散するの
で、この加熱処理は冷却器等による還流下または加圧下
で行なうのが好ましい。又、本発明の多孔質バルクメソ
フエーズを分離する際のキノリン等による溶剤分別は芳
香族系油を実質的に除去した後行なうのが好ましい。
〔効 果〕
以上の操作によつて得られた本発明の多孔質バルクメ
ソフエーズは既存のバルクメソフエーズと比較して非常
に大きい比表面積を有しているので、各種の期待される
用途に於て幅広い適応性を有するが、例えば吸着剤、ク
ロマトグラフ充填材等の用途に特に適したものである。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、
本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によつて
限定されるものではない。
実施例1 キノリン不溶分を除去したコールタールピツチ14.0kg
を430℃、200分間加熱処理し、バルクメソフエーズ含有
ピツチ体5.3kgを得た。この熱処理ピツチ中のバルクメ
ソフエーズは約98重量%であつた。熱処理ピツチ1重量
部に対し2倍量のアントラセン油を熱処理ピツチに加え
て混合し冷却、還流操作を行いつつ320℃、1時間加熱
処理を行ない、次いで常法により熱処理ピツチ1重量部
に対し4倍量のキノリンで溶剤分別を行ない、更に少量
のアルコールで洗浄処理しキノリンを完全に除去して、
本発明の多孔質バルクメソフエーズを3.8kg得た。
多孔質バルクメソフエーズの比表面積は、BET吸着法
でラングミユアーの式により測定したところその測定結
果は300m2/gであつた。
また得られた多孔質バルクメソフエーズの表面組織を
走査型電子顕微鏡で観察した。その結果を第1図に示
す。
比較例 実施例で得られた熱処理ピツチを2倍量のキノリンで
溶剤分別し、更に少量のアルコールで洗浄しキノリンを
完全に除去してバルクメソフエーズを得た。このバルク
メソフエーズの表面状態を走査型電子顕微鏡で観察し、
その結果を第2図に示す。
第2図から明らかなように得られたバルクメソフエー
ズの表面は平滑であることがわかる。
実施例2 実施例1と同様にして製造したバルクメソフエーズ含
有ピツチ(5.3kg)1重量部に対し2倍量の吸収油を熱
処理ピツチに加え、混合し320℃、1時間加熱処理を行
ない次いで熱処理ピツチ1重量部に対し4倍量のキノリ
ンで溶剤分別を行ない、更に少量のアルコールで洗浄処
理し、キノリンを完全に除去して、本発明の多孔質バル
クメソフエーズを3.8kgを得た。
また、得られた多孔質バルクメソフエーズの走査型電
子顕微鏡で観察した。その結果を第3図に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は実施例で得られた本発明の多孔質バ
ルクメソフエーズの粒子構造を示す電子顕微鏡写真であ
り、第2図は比較例で得られた従来のバルクメソフエー
ズの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピッチ類をバルクメソフェーズが生成する
    迄加熱処理することによりマトリックスピッチ中にバル
    クメソフェーズを含有するピッチ体を形成し、該ピッチ
    体に芳香族系油を添加混合し、該芳香族系油の混合され
    た該ピッチ体を100〜400℃で加熱処理した後、バルクメ
    ソフェーズを分離することを特徴とする比表面積が10m2
    /g以上である多孔質バルクメソフェーズの製造方法。
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