JPH079691B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH079691B2
JPH079691B2 JP1408585A JP1408585A JPH079691B2 JP H079691 B2 JPH079691 B2 JP H079691B2 JP 1408585 A JP1408585 A JP 1408585A JP 1408585 A JP1408585 A JP 1408585A JP H079691 B2 JPH079691 B2 JP H079691B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は磁気テープ、磁気デイスク、磁気カードなど
の磁気記録媒体に関する。
〔従来の技術〕
一般に磁気記録媒体はポリエステルフイルムなどのベー
ス上に磁性粉およびバインダを含む磁性塗料を塗布,乾
燥して磁性層を形成したものである。このような磁気記
録媒体において優れた電磁変換特性を具備させるには、
磁性層の表面平滑性を良好にしてかつ磁性粉密度を高め
る必要があり、このために上記磁性塗料中における磁性
粉の分散性および充填性が大きな問題となる。
従来、磁気記録媒体用のバインダとしては、塩化ビニル
−酢酸ビニル系共重合体、繊維素系樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂、ポリエステル樹脂など種々のものが知ら
れており、とくに上記した磁性粉の分散性および充填性
の観点から塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール
共重合体が汎用されている。しかしながら、近年におけ
る高記録密度化の傾向に伴つてとくに短波長域における
記録特性の向上が要望されており、このためには上記分
散性をさらに改善して磁性層の表面平滑性をよくする必
要があるが、上記塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体をバインダとするものでは対処できなく
なつている。
一方、この発明者らは先に、磁性粉の表面が一般的に極
性の高い水酸基あるいは吸着水を有して親水性を示すこ
とから、バインダに親水性極性基、たとえばカルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸基などを導入して、バイン
ダ分子の疎水性による有機溶媒に対する親和性と上記極
性基による磁性粉に対する親和性を適度に調和させるこ
とにより、前記分散性および充填性と配向性が改善され
ることを明らかにしている〔日本接着協会誌第17巻第15
5頁(1981年)〕。また、磁性層が放射線硬化型のもの
ではあるが、そのバインダとして上記の如き極性基を有
するバインダを用いて前記分散性などを改善させること
が提案されている(特開昭59−79427号公報)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、この発明者らの検討によると、前記のよ
うにバインダに極性基を導入することによつて磁性粉の
分散性や充填性がかなり向上するという一般的傾向は認
められるが、その程度はバインダの種類ならびに極性基
の導入形態によつて大きく異なり、現状で知られる極性
基含有バインダではまだまだ不充分であつて、改良の余
地が多々あることが判明した。
したがつてこの発明は、上記観点から磁性粉の分散性や
充填性をさらに高めうるバインダ成分を見い出し、これ
を使用することによつて磁性層の表面平滑性および磁性
粉密度を向上させ、とくに短波長域における記録特性に
優れた磁気記録媒体を提供することを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明者らは、既述の如きバインダへの極性基導入に
より磁性粉の分散性および充填性を改善するという考え
方に沿つてさらに綿密な研究を推し進めた結果、特定の
リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体をバインダとすることにより、上記分
散性および充填性が著しく改善されて前記目的を達成し
うる高性能の磁気記録媒体が得られることを究明し、こ
の発明をなすに至つた。
すなわちこの発明は、分子鎖中に、 (ただし、Aは水素原子、アルカリ金属原子または炭素
数が1〜3個のアルキル基である) で示される構成単位を有するリン酸エステル変性塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体を含むバ
インダと磁性粉とを含有する磁性層がベース上に形成さ
れてなることを特徴とする磁気記録媒体に係る。
〔発明の構成・作用〕
この発明において磁性層のバインダ成分として使用する
リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体は、非変性の上記3元共重合体におけ
る主鎖の炭素原子とリン酸成分のリン原子とがエーテル
結合(−O−)を介して結合した特定構造を有してお
り、通常上記非変性の3元共重合体におけるビニルアル
コール成分の一部ないし大部分の水酸基位置にリン酸成
分が脱水縮合にて付加したものである。すなわちこのも
のは、分子鎖中に、 (ただし、Aは水素原子、アルカリ金属原子または炭素
数が1〜3個のアルキル基である) で示される構成単位と、他に塩化ビニル成分、酢酸ビニ
ル成分およびビニルアルコール成分の各構成単位を含む
4元共重合体である。
このようなリン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体は、これをバインダとして
磁性塗料中に配合することにより、通常の塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体はもちろんのこ
と前述した既存の極性基含有バインダに比較しても、優
れた磁性粉の分散性および充填性の改善効果を発揮す
る。その結果、上記磁性塗料をベース上に塗布,乾燥し
て形成される磁性層の表面平滑性が極めて良好となると
ともに磁性粉密度を高くでき、また配向性も向上し、得
られる磁気記録媒体は電磁変換特性、中でも短波長域に
おける記録特性に著しく優れたものとなる。
上記のリン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体を合成する手段としては、先に
合成した非変性の3元共重合体すなわち通常の塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体に後からリ
ン酸成分を反応させればよく、また上記非変性の3元共
重合体は、周知の如く塩化ビニル−酢酸ビニル2元共重
合体を所定の加水分解率で加水分解することによつて酢
酸ビニル成分をビニルアルコール成分に変える方法にて
製造すればよい。
なお、上記手段において、リン酸成分を反応させる具体
的方法としては、たとえば無水リン酸、リン酸、三塩化
ホスホリルなどのリン酸成分をメチルイソブチルケトン
液中40〜110℃にて反応させる方法が挙げられる。この
際、発揚に応じて酢酸、ギ酸、ホウ酸などの触媒を用い
てもよい。
この発明では、上述したリン酸エステル変性塩化ビニル
−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体として各構成
単位の含有比率が種々異なるものをいずれも使用可能で
あるが、とくに下記のものが好適である。すなわち、上
記共重合体の各構成単位の比率(モル%)を次の示性式
のk〜nとして表わしたとき、 l+m+n=1〜60%であるもの、とくにその中でもm
+n=0.5〜20%であるものが好ましく、さらに最適に
は上記範囲を満足する中でn=0.1〜5.0%であるものが
よい。その理由については明確ではないが、種々の基が
適当な範囲で存在することにより、磁性粉および有機溶
媒の両者に対するバインダの親和性のバランスが適度と
なり、磁性塗料中における磁性粉の分散性および充填性
が良好になるものと考えられる。
また、このようなリン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸
ビニル−ビニルアルコール共重合体の平均分子量は5,00
0〜150,000程度がよい。さらにリン酸成分のAで示され
る部分は、既述の如く水素原子、K,Naなどのアルキル金
属原子または炭素数が1〜3個のアルキル基であるが、
とくに水素原子であるものが最も良好である。
なお、前記従来の技術として挙げた特開昭59−79427号
公報には、リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体に類するものが示されてい
る。しかしながら、ここで具体的に開示されているの
は、リン酸成分の導入を脱塩酸反応もしくはジイソシア
ネート化合物を介在する反応によって行うことから、主
鎖のビニルアルコール成分の炭素原子とリン酸成分のリ
ン原子とが−O−R−(Rは−CH2−、−C2H4−などの
アルキレン基)構造もしくは2つのウレタン結合と−R
−(Rは同上)を含む構造を介して結合したものであ
り、この発明で使用するものとは異なつている。すなわ
ち、これらを磁性層のバインダとして用いた場合は既述
したように、この発明で達成されるような磁性粉の分散
性および充填性の顕著な改善効果は得られない。その理
由は明確ではないが、リン酸成分の結合部分が上記介在
構造で長鎖化していることなどが原因でリン酸成分の親
水性極性基としての作用が弱められるのではないかと推
測される。
この発明においては、バインダとして前述したリン酸エ
ステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール
共重合体とともに従来より磁性層のバインダ成分として
知られる種々のものを併用可能である。ただし、この併
用系においては、前記リン酸エステル変性塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体がバインダ全量
中の10重量%以上であることが望ましく、これより少な
くなるとその特性が充分に発揮されず磁性粉の分散性お
よび充填性が不充分となる。
併用できるバインダ成分の具体例としては、ポリウレタ
ン系樹脂、繊維素系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共
重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリエステル系
樹脂、架橋成分としてのポリイソシアネート化合物など
が挙げられるが、とくにポリウレタン系樹脂ならびに上
記ポリイソシアネート化合物の中でも三官能性低分子量
イソシアネート化合物は併用効果が大きい。
すなわち、ポリウレタン系樹脂をバインダ成分として併
用することにより、磁性層に適度の柔軟性が付与されて
耐久性が向上する。このようなポリウレタン系樹脂とし
ては平均分子量が10,000〜200,000程度のものが好適で
ある。またその使用量はバインダ全量中の10〜90重量%
程度とするのがよく、多すぎるとリン酸エステル変性塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体の相
対的比率低下にて磁性粉の分散性および充填性の改善効
果が損なわれて短波長域での記録特性が低下し、逆に少
なすぎると上記併用効果が不充分となる。
また、三官能性低分子量イソシアネート化合物は、その
強力な架橋性能と塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体にリン酸成分を導入したことによる架橋
点の増大とによつて、磁性層の強度を著しく高め、耐久
性、耐熱性、耐溶剤性などを大きく改善させる機能を有
する。このようなイソシアネート化合物としては、通常
1モルのトリオールと3モルのジイソシアネートとを反
応させて得られる三官能性のイソシアネート基を有する
化合物で、たとえば日本ポリウレタン工業社製の商品名
コロネートL、バイエル社製の商品名デスモジユール
L、武田薬品工業社製の商品名タケネートD102などがあ
げられる。
上記イソシアネート化合物の使用量は、リン酸エステル
変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体100重量部に対して1〜40重量部程度とするのがよ
く、多すぎると磁性層が硬くなりすぎ、逆に少なすぎる
とその使用効果が不充分となる。
なお、発明において、上述のポリウレタン系樹脂または
これと三官能性低分子量イソシアネート化合物を特定量
併用したときには、この併用によつて磁気記録媒体の短
波長域での磁気特性になんらの悪影響が認められない
か、あるいはむしろ上記特性が向上するという特異的効
果が認められる。これに対し、従来公知の塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体または前記従来
公知のりん酸エステル変性物に対し上記同様のバインダ
成分を併用したときには、短波長記録特性がさらに一層
低下する傾向が認められる。この発明における上記特異
的効果が奏し得られる理由については、今のところ必ず
しも明らかではない。
この発明の磁気記録媒体を製造するには、従来と同様に
して行えばよく、前記バインダ、磁性粉および必要に応
じて各種添加剤を有機溶媒とともに混合して磁性塗料を
調製し、この磁性塗料をポリエステルフイルムなどのベ
ース上に塗布,乾燥したのち、カレンダー加工などの表
面処理を施せばよい。
上記磁性粉としては、γ−Fe2O3、Fe3O4、前2者の中間
的酸化物、Co含有γ−Fe2O3、Co含有Fe3O4、Baフエライ
ト、Pbフエライト、Srフエライト、CrO2などの酸化物磁
性粉、Fe、Co、Ni、これらの合金もしくはこれらと他の
金属ないしは少量の非金属元素を含む合金などからなる
金属磁性粉をいずれも使用可能である。また磁性塗料中
に必要に応じて配合する添加剤としては、潤滑剤、研磨
剤、分散剤、帯電防止剤、充填剤など、従来より磁性塗
料溶添加剤として知られる種々のものを適宜使用でき
る。
〔発明の効果〕
この発明に係る磁気記録媒体は、磁性層のバインダとし
て特定のリン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−
ビニルアルコール共重合体を使用するため、磁性塗料中
における磁性粉の分散性および充填性が著しく改善さ
れ、磁性層の表面平滑性が良好となり、かつ磁性粉の充
填密度および配向性も良好となり、優れた電磁変換特
性、とくに短波長域における高い記録特性を示し、高密
度記録用として好適である。
〔実 施 例〕
次に、この発明の実施例を比較例と対比して説明する。
なお、以下において部とあるのはいずれも重量部を意味
する。
実施例 1 Co含有γ−Fe2O3磁性粉(平均長軸径0.2μm、平均軸比
1/10) 600部 リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体(平均分子量40,000、前記示性式のk
=91%、l=3%、m=5%、n=1%、2個のAが水
素原子) 120部 ミリスチン酸 2部 シクロヘキサノン 400部 トルエン 400部 上記組成物をボールミル中で72時間混合分散して磁性塗
料を調製し、この磁性塗料を厚さ9μmのポリエステル
ベースフイルム上に乾燥後の厚さが4μmとなるように
塗布,乾燥して磁性層を形成し、カレンダー加工を施し
たのち所定幅に作製して磁気テープを作製した。
実施例 2 リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体として平均分子量40,000、前記示性式
におけるk=91%、l=3%、m=5%、n=1%、2
個のAがNaであるもの120部を使用した以外は実施例1
と同様にして磁気テープを作製した。
実施例3 リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体として平均分子量40,000、前記示性式
におけるk=91%、l=3%、m=5%、n=1%、2
個のAがC2H5であるもの120部を使用した以外は実施例
1と同様にして磁気テープを作製した。
比較例 1 リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体に代えて非変性の塩化ビニル−酢酸ビ
ニル−ビニルアルコール共重合体(平均分子量40,000、
前記示性式に対応する各構成単位の比率k=91%、l=
3%、m=6%、n=0%)を120部使用した以外は実
施例1と同様にして磁気テープを作製した。
比較例 2 リン酸エステル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体として、リン酸エステル変性部分の構
成単位が からなり、平均分子量40,000、前記示性式に対応する各
構成単位の比率k=91%、l=3%、m=5%、n′=
1%であるもの120部を使用した以外は、実施例1と同
様にして磁気テープを作製した。
実施例 4 実施例1における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(大日本インキ化学社製商品名パンデツクス
T−5250)60部を加えた以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
実施例 5 実施例1における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(実施例4と同じ)42部と三官能性低分子量
イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製商品名コ
ロネートL)18部を加えた以外は、実施例1と同様にし
て磁気テープを作製した。
実施例 6 実施例1における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(武田薬品社製商品名タケラツクE−551T)
42部と三官能性低分子量イソシアネート化合物(実施例
5と同じ)18部を加えた以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
比較例 3 比較例1における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(実施例4と同じ)60部を加えた以外は比較
例1と同様にして磁気テープを作製した。
比較例 4 比較例1における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(実施例4と同じ)42部と三官能性低分子量
イソシアネート化合物(実施例5と同じ)18部を加えた
以外は、比較例1と同様にして磁気テープを作製した。
比較例 5 比較例2における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(実施例4と同じ)60部を加えた以外は比較
例2と同様にして磁気テープを作製した。
比較例 6 比較例2における磁性塗料用組成物中にポリウレタンエ
ラストマー(実施例4と同じ)42部と三官能性低分子量
イソシアネート化合物(実施例5と同じ)18部を加えた
以外は、比較例2と同様にして磁気テープを作製した。
以上の実施例および比較例で得られた各磁気テープにつ
いて、磁気特性として角型比(Br/Bs)と飽和磁束密度
(G)、磁性層の表面粗度、短波長域の記録特性、耐久
性、耐熱性、耐溶剤性を調べたところ、下表の結果を得
た。なお、磁気特性を除く各項目の試験方法は下記のと
おりである。
<表面粗度> 触針式粗度計により、触針速度0.3mm/秒、カツトオフ0.
08mmの条件で磁性層表面の中心線平均粗さ(Ra値)を測
定した。
<記録特性> 表記各周波数における出力を測定し、比較例1の磁気テ
ープの出力を基準(0dB)として、他の磁気テープの出
力を相対値にて示した。
<耐久性> 磁気テープを120分再生長さとしてビデオテープカセツ
トに組込み、VHS方式のビデオテープレコーダにてテー
プ速度3.33cm/分、ヘツド荷重30gにて繰り返し反復走行
させ、目詰まりが発生するまでの走行回数を調べて、こ
の結果を次の評価で表わした。
◎…100回走行でも目詰まり発生せず ○…60〜80回で目詰まり発生 △…20回以上60回未満で目詰まり発生 ×…20回未満で目詰まり発生 <耐熱性> 磁気テープを1.5mの長さに切断し、1Kgの加重を加えて
直径36mmのガラス管に巻きつけ、60℃,80%RHの条件下
で48時間保存後、磁性層表面の粘着度合を調べ、その結
果を次の評価で表わした。◎…粘着性が全く認められな
い、○…僅かに認められる、△…かなりの粘着性があ
る、×…著しい粘着性を示す。
<耐溶剤性> 磁気テープの表面にテトラヒドロフランを1滴落とし、
1分後にゲーゼでふきとつたときの磁気テープの表面を
調べ、その結果を次の評価で表わした。
◎…まつたく変化がない ○…やや表面が変化する △…一部剥離する ×…完全に溶けて剥離する 上表の結果から、この発明に係る磁気テープ(実施例1
〜6)は、いずれも磁性の表面平滑性が良好であるとと
もに磁気特性に優れ、短波長域における高い記録特性を
示すことが明らかである。またバインダにポリウレタン
系樹脂を併用したこの発明の磁気テープ(実施例4〜
6)では耐久性が向上しかつ上記記録特性も一層高くな
り、さらに三官能性低分子量イソシアネート化合物を用
いた場合(実施例5,6)では耐久性、耐熱性、耐溶剤性
の改善効果が非常に大きいことが判る。
これに対して、バインダとして通常の塩化ビニル−酢酸
ビニル−ビニルアルコール共重合体を用いた磁気テープ
(比較例1,3,4)では、表面平滑性および磁気特性とも
に劣り、上記記録特性が低くなつていることが判る。ま
た、バインダとして既知のリン酸エステル変性塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体を使用した
磁気テープ(比較例2,5,6)では、表面平滑性および磁
気特性ともにある程度の改善効果は認められるがその程
度が少なく、上記記録特性はこの発明のものより劣つて
いることが明らかである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子鎖中に、 (ただし、Aは水素原子、アルカリ金属原子または炭素
    数が1〜3個のアルキル基である) で示される構成単位を有するリン酸エステル変性塩化ビ
    ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体を含むバ
    インダと磁性粉とを含有する磁性層がベース上に形成さ
    れていることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】バインダがポリウレタン系樹脂を含む特許
    請求の範囲第(1)項記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】バインダが三官能性低分子量イソシアネー
    ト化合物を含む特許請求の範囲第(1)項または第
    (2)項記載の磁気記録媒体。
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