JPH0796649B2 - 水に分散しうる微粒状カロチノイド製品の製法 - Google Patents

水に分散しうる微粒状カロチノイド製品の製法

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JPH0796649B2
JPH0796649B2 JP62068151A JP6815187A JPH0796649B2 JP H0796649 B2 JPH0796649 B2 JP H0796649B2 JP 62068151 A JP62068151 A JP 62068151A JP 6815187 A JP6815187 A JP 6815187A JP H0796649 B2 JPH0796649 B2 JP H0796649B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、微粉状の濃色のカロチノイド乳化液及びこれ
ら得られる冷水に分散可能なカロチノイド含有乾燥粉末
の製法に関する。
多くの植物及び動物の色は、カロチノイド群と呼ばれる
物質によつて定まる。この化合物は強い黄色ないし赤色
を有する。自然界に存在するカロチノイドのほか、合成
によつてのみ製造しうるものも知られている。両群のう
ち重要な代表的なものは、β−カロチン、カンタキサン
チン、シトラナキサンチン、β−アポ−8′−カロチナ
ール、ならびにβ−アポ−8′−カロチン酸のエステル
である。それが健康上心配のないこと、ならびに一部は
健康を促進するプロビタミンA作用を有することによつ
て、これらの化合物は色素、食品添加物、医薬、化粧
料、飼料等としての使用が増大している。
油状系又は固体系では純粋な結晶性物質を用いてかなり
よく着色できるが、水性系ではこれを用いて着色するこ
とはできない。純粋なカロチノイドを食品又は飼料に混
合して、人又は動物の器官を通して使用することも成績
が悪い。その理由は、多くのカロチノイドが水に完全に
不溶だからである。有機溶剤例えばアルコール又はアル
カンへのカロチノイドの溶解も、著しく限られている。
米国特許2861891号明細書には、水中に分散可能なカロ
チン製品の製法が記載されている。これによるとカロチ
ン(例えばこの群の重要な代表であるβ−カロチン)を
植物油に高められた温度で溶解し、この油溶液を水性保
護コロイド系中に乳化し、得られた乳化液を水を除去す
ることにより乾燥粉末にする。
この乾燥粉末を温水中に再分散させようとすると、また
濁つた橙黄色の乳化液が生ずる。これは例えば食品の着
色に用いられる。この色素製品の重要な応用技術上の性
質は、溶解性、色調、色濃度、濁度及び使用媒体中での
安定性である。冷水中の良好な溶解性、強い黄色色調、
濁りの少ないこと及び酸性溶液(2<pH<4)中の高い
安定性が、多くの使用者にとつて有利である。
技術水準によれば、この性質は、保護コロイドとして水
性相中でアラビアゴムを使用することにより一部は満足
される。しかし食品添加物へのアラビアゴムの使用は、
最近では問題となつている。なぜならばその品質の変動
が大きいばかりでなく、人手によつて集められる天然産
品の微生物学的状態が、食品の品質上の要求に適合しな
いからである。
Wiss,Veroeffentl.Deutsch.Ges.f.Ernaehrung9巻1963年
396頁によれば、保護コロイドとしてデキストリンも知
られている。しかしそこでは、得られる生成物が、みか
ん類飲物中でクリーム状の皮膜になる傾向によつて満足
すべきものでないことが示されている。
したがつて本発明の課題は、前記欠点を有しないで、カ
ロチン製剤に要求される全性質を付与する保護コロイド
を開発することであつた。
本発明はこの課題を解決するもので、カロチノイドを担
体油に高められた温度で飽和まで溶解し、水性保護コロ
イドを用いて急速に乳化したのち水を除去し、その際保
護コロイドとして長鎖脂肪酸のアスコルビン酸とのエス
テル及び冷水可溶性の殿粉生成物からの混合物を使用す
ることを特徴とする、水に分散しうるカロチノイド製品
の製法である。
本方法によれば、乾燥状態できわめて良好な冷水分散性
を有し、高い特別の色濃度及び濁りの少ない分散状態で
強い黄色色調を示し、乾燥状態でも分散状態でも高い安
定性を有するアラビアゴム不含のカロチノイド製品を製
造することができる。
詳細には次の混合物を使用することが好ましい。
1)保護コロイド溶液として、冷水に可溶な殿粉製品、
アスコルビルパルミテート、場合によりさらにレシチ
ン、糖からの混合物が水中で用いられる。市販で入手し
うる多数の殿粉生成物のうち、特定のものだけが十分な
乳化活性を有する。選択は例1(デキストリンの変化)
により製造された乳化液の乳化滴の個々の大きさについ
て行うことができる。光子相関分光分析により測定され
た粒子大きさは、平均直径が0.5μm以下であるべきで
ある。デキストリンの量は目的生成物に対し、5〜90重
量%好ましくは10〜50重量%特に15〜30重量%である。
冷水可溶の殿粉生成物としては、特にデキストリン又は
変性殿粉例えば殿粉オクテニルサクシネートが用いられ
る。
デキストリンは一部加水不解された殿粉であつて、これ
は単に熱により、あるいは酸の存在下の加熱により、種
々の殿粉(とうもろこし、ばれいしよ、小麦、米等の殿
粉)から得られ、例えば「フード・ケミカル・コデツク
ス」3版1981年ナシヨナル・アカデミー出版社96頁、又
は「スターチ:ケミストリー・アンド・テクノロジー」
アカデミー出版社1984年2版に記載されている。加水分
解度は一般にデキストロース当量(DE)として示され
る。これは乾燥重量でD−グルコースとして計算された
還元糖の量のための尺度である。DE値は重合度の逆数で
ある。加水分解されない殿粉は実際上DE値が0である
が、水不含のD−グルコースは定義による100のDE値を
有する。
適当なデキストリンは、例えば20以下好ましくは1〜8
のDE値を有するものである。
冷水可溶の殿粉生成物と、長鎖脂肪酸のアスコルビン酸
によるエステルとの比率は、一般に100:1ないし1:1好ま
しくは50:1ないし10:1である。
長鎖脂肪酸(普通は例えば18個の炭素原子を有する脂肪
酸)のアスコルビン酸によるエステル、特にアスコルビ
ルパルミテート(AP)は、この保護コロイド溶液中で二
重の機能を有する。第一にこれは乳化剤として作用す
る。すなわち乳化液はまずAPの添加によつて、表面に皮
膜が生ずることがなくなり、得られる小滴の大きさが希
望するように減少される。この作用は予想外であつた。
なぜならば文献ではAPの乳化作用がそのナトリウム塩に
ついてのみ示されているのに対し(西独特許1190314号
参照)、前記の保護コロイド溶液のpHは酸性範囲にあつ
て、APは塩としては存在しないからである。第二にこれ
は既知のように抗酸化剤として作用する。濃度は出来上
りの乾燥粉末に対し、0.5〜4重量%好ましくは2重量
%である。
レシチンの添加は、熱及び光の影響に対するカロチノイ
ドの安定性をさらに向上させる。その濃度は2重量%以
下好ましくは1重量%である。
糖を配合すると、それは軟化剤として役立ち、そして最
終製品の機械的及び熱的安定性を向上させる。好ましく
はグルコースシロツプが用いられ、その量は冷水可溶の
殿粉生成物の量に依存して、85%以下好ましくは約65%
である。
水の量は、粘度が60℃で5〜50mPas好ましくは10mPasで
ある低粘性乳化液が得られるように選ばれる。
2)カロチノイドを植物油中に分散させ、微細に粉砕
し、そして追加の抗酸化剤としてのトコフエロールを添
加する。植物油としては、例えばオレンジ油、大豆油、
綿実油又は落花生油が用いられる。油中のカロチノイド
の濃度は10〜30重量%好ましくは20重量%である。カロ
チノイドの粉砕は、10μm以上の結晶がほとんどない粒
子大きさの分布となるように行われる。これによつて均
一な溶解性が保証される。トコフエロールとしては天然
のものも合成のもの(d,1−α−トコフエロール)も用
いられる。カロチノイド対トコフエロールの混合比は3:
1ないし1:3好ましくは1:1である。得られる分散物を以
下油相という。
この油相を、カロチノイドが担体油中に完全に溶解する
まで短時間加熱する。得られるカロチノイド溶液を保護
コロイド水溶液中に添加して乳化させる。油相の量は、
最終生成物中で希望のカロチノイド濃度が得られるよう
に定められる。この濃度は0.1〜2%で、1%が最適で
ある。
この方法で得られる最小の小滴の大きさは、乳化装置の
様式、組成及び乳化時間に依存する。回転子−固定子の
原理により運転される分散装置を使用し、かつ原料物質
の好ましい量比を選択すると、0.3μm±50%の平均粒
子大きさが得られる。これはO/W乳化液にとつて異例の
低い値であつて、最終生成物に関して大きい利点であ
る。なぜならば色濃度も色調及び濁りも小滴が小さくな
ると前記の好ましい方向に影響を受けるからである。粒
子大きさの測定は、デキストリンの選択の場合と同様
に、光子相関分光分析法を用いて行われる。
3)得られる乳化液は貯蔵安定で、直接に食品の着色に
使用することができ(場合により保存用物質を添加し
て)、あるいは緩和な条件下に例えば噴霧乾燥により水
を除去する既知方法を施して、冒頭に記載の特別な性質
を有する乾燥粉末にすることができる。
この方法により製造されたカロチノイド製品の前記の性
質、すなわち良好な冷水分散性、高い色濃度、少ない濁
り及びβ−カロチンの場合は強い黄色色調は、この組成
で文献公知の他の調製法を使用しても達せられない。例
えば西独特許出願公開2534091号によれば、カロチノイ
ドを揮発性有機溶剤に溶解し、この溶液を水性担体系中
に浮化し、次いで有機溶剤を蒸発除去することにより、
微細なカロチノイド粒子を含有し、したがつて濁りの少
ない分散液を製造することができる。しかし分子状に溶
解したβ−カロチンを含有し、そして前記の特殊な着色
方法に適用しうる油滴は、この方法によつては得られな
い。さらに前記公開方法に必要な乳化剤は、食品法によ
り許可されていないことも問題である。欧州特許65193
号の方法も、溶解カロチンと着色性の異なるカロチノイ
ド粒子を与える。
実施例1 1のガラスビーカーに、水375ml、デキストリン(ナ
シヨナル・スターチ社製ナデツクス4772)75g、グルコ
ースシロツプ(マイゼナ社製グルコデツクス127)253
g、アスコルビルパルミテート6g及びレシチン(ルーカ
スマイヤー社製エマルフルードE)1.65gを装入し、均
一に混合して60℃に加熱する。これと別に250mlの四つ
口丸底フラスコ中で、DL−α−トコフエロール3g及びβ
−カロチン分散液(落花生油中の20%分散液)18gをよ
く混合する。この丸底フラスコを180℃に加熱される油
浴上で、β−カロチンが完全に溶解するまで加熱する。
次いで油溶液を、ホモジナイザー(ウルトラツラスクス
T45、ヤンケ・ウント・クンケル社製)を使用して、100
00回転/分で撹拌しながら水相に加入する。15分の乳化
時間後に、油滴の大きさが0.3μmである濃度の貯蔵安
定な黄橙色乳化液が得られる。噴霧乾燥により水を除去
すると、β−カロチンの含量が1.1%である冷水に分散
可能な自由流動性の粉末が得られる。
比較例1 1のガラスビーカー中で、水375ml、デキストリン
(前記のもの)75g、グルコースシロツプ(前記のも
の)253g及びレシチン(前記のもの)1.65gを装入し、
均一に混合して60℃に加熱する。これと別に250mlの四
つ口丸底フラスコ中で、DL−α−トコフエロール3g及び
β−カロチン分散液(落花生油中の20%分散液)18gを
よく混合する。この丸底フラスコを180℃に加熱される
油浴上で、β−カロチンが完全に溶解するまで加熱す
る。次いで油溶液を、実施例1と同様にホモジナイザー
により撹拌しながら水相に加入する。15分の乳化時間後
に濁つた橙色乳化液が生成し、これは60℃で放置する
と、8時間後に表面に膜が生ずる。小滴の大きさは0.6
〜0.7μmで、粒径分布はきわめて広い。この乳化液か
ら得られた乾燥粉末を再溶解することにより製造された
ヒドロゾルは、同様に濁つて少し赤色を帯び、色濃度は
実施例1により得られたヒドロゾルと比較して、約30%
も近い色濃度を有する。
実施例2 1のガラスビーカーに、水375ml、殿粉オクテニルサ
クシネート(ナシヨナル・スターチ社製キヤプシユー
ル)75g、グルコースシロツプ(前記のもの)253g、ア
スコルビルパルミテート6g及びレシチン(前記のもの)
1.65gを装入し、均一に混合して60℃に加熱する。これ
と別に250mlの四つ口丸底フラスコ中で、DL−α−トコ
フエロール3g及びβ−カロチン分散液(落花生油中の20
%分散液)18gをよく混合する。この丸底フラスコを180
℃に加熱される油浴上で、β−カロチンが完全に溶解す
るまで加熱する。次いで油溶液を、ホモジナイザー(ヤ
ンケ・ウント・クンケル社製ウルトラツラツクスT45)
を使用して、10000回転/分で撹拌しながら水相に加入
する。15分間乳化したのち、大部分が0.25μmの大きさ
の油滴を含有する微細な濃い黄橙色の乳化液が得られ
る。
比較例2 1のガラスビーカー中で、水375ml、殿粉オクテニル
サクシネート(前記のもの)75g、グルコースシロツプ
(前記のもの)253g及びレシチン(前記のもの)1.65g
を均一に混合し、60℃に加熱する。これと別に250mlの
四つ口丸底フラスコ中で、DL−α−トコフエロール3g及
びβ−カロチン分散液(落花生油中の20%分散液)18g
を攪拌混合する。この丸底フラスコを180℃に加熱され
る油浴上で、β−カロチンが完全に溶解するまで加熱す
る。次いで油溶液を、前記と同じホモジナイザーを使用
して、10000回転/分で撹拌しながら水相に加入する。1
5分間乳化したのち、濁つた橙色の乳化液が得られ、こ
れは室温で放置すると、15分後に被膜が生ずる。小滴の
大きさは0.5μmで、大きさの分布はきわめて幅広い。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カロチノイドを担体油に高められた温度で
    飽和まで溶解し、水性保護コロイドを用いて急速に乳化
    したのち水を除去し、その際保護コロイドとして長鎖脂
    肪酸のアスコルビン酸とのエステル及び冷水可溶性の殿
    粉生成物からの混合物を使用することを特徴とする、水
    に分散しうるカロチノイド製品の製法。
  2. 【請求項2】アスコルビルパルミテート、レシチン及び
    トコフエロールからの抗酸化系を使用することを特徴と
    する、特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】冷水可溶の殿粉生成物として、デキストリ
    ン又は化学的に変性された殿粉を使用することを特徴と
    する、特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  4. 【請求項4】化学的に変性された殿粉として、殿粉オク
    テニルサクシネートを使用することを特徴とする、特許
    請求の範囲第3項に記載の方法。
JP62068151A 1986-03-26 1987-03-24 水に分散しうる微粒状カロチノイド製品の製法 Expired - Lifetime JPH0796649B2 (ja)

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