JPH0793242B2 - 金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサ - Google Patents

金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサ

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JPH0793242B2
JPH0793242B2 JP3111944A JP11194491A JPH0793242B2 JP H0793242 B2 JPH0793242 B2 JP H0793242B2 JP 3111944 A JP3111944 A JP 3111944A JP 11194491 A JP11194491 A JP 11194491A JP H0793242 B2 JPH0793242 B2 JP H0793242B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属蒸着ポリエステル
フィルムコンデンサに関する。詳しくは、本発明は、基
材フィルムと蒸着金属との間の接着性の改良されたフィ
ルムを用いた、耐湿熱特性の優れた金属蒸着ポリエステ
ルフィルムコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィ
ルムは、優れた機械的性質、耐熱性、電気的性質を有す
ることから、コンデンサの基材フィルムとして多用され
ている。しかしながら、近年の各種電子機器等の発達に
伴い、ポリエステルフィルムの高特性化が図られてい
る。その高特性化の要求項目のひとつとして、長期耐湿
熱安定性の要求がある。すなわち、金属蒸着ポリエステ
ルフィルムは、基材フィルムと蒸着金属との接着性、特
に、高温高湿環境下での接着性(いわゆる耐湿熱接着
性)が悪いという欠点を有しており、コンデンサを高温
高湿化に置くと、基材フィルムと蒸着金属との界面で透
湿し、コンデンサの静電容量が経時的に変化する等の問
題があり、長期安定性の点で、コンデンサの耐湿熱特性
改良が求められていた。
【0003】特開昭60−115214号公報には、塩
化ビニリデン塗布層を有するフィルムコンデンサが、ま
た、特開昭60−115214号公報には、メラミンお
よび/または尿素樹脂を必須成分として配合した塗布層
を有するフィルムコンデンサが、それぞれ、耐湿熱性に
優れるコンデンサとして開示されている。
【0004】しかしながら、上記の公報に記載された樹
脂組成物を用いても、湿熱環境下では必ずしも十分にコ
ンデンサの性能が保持されない。また、最近の各種電子
機器の発達は顕著であり、これに伴って、コンデンサに
求められる長期信頼性、特にコンデンサ性能の長期耐湿
熱安定性への要求は、さらに増大している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、ある特定の塗布層を有するポリ
エステルフィルムが、金属蒸着薄膜との優れた耐湿熱接
着性を有しており、この金属蒸着ポリエステルフィルム
を用いたコンデンサ素子が、優れた耐湿熱性を有してい
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点(Tg)が
70℃以下のポリエステル系樹脂を主成分とする塗布層
を有し、表面粗さ(Ra)が0.005〜0.5μmで
ある該塗布層面に金属を蒸着した後、積層または巻回し
てなる金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサに存す
る。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おけるポリエステルフィルムのポリエステルとは、その
構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレ−トで
あるポリエチレンテレフタレ−ト、その構成単位の80
モル%以上がエチレンナフタレ−トであるポリエチレン
ナフタレ−ト、あるいは、その構成単位の80モル%が
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ−トであ
るポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ
−トを指す。
【0008】上記の優位構成成分以外の共重合成分とし
ては、例えば、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリ
コ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ポリエチレングリコ
−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルなどのジオ−ル成
分、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体な
どのジカルボン酸成分、オキシ安息香酸およびそのエス
テル形成性誘導体などのオキシモノカルボン酸などを用
いることができる。
【0009】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム表面の突起を形成する添加粒子、析出粒子、その他の
触媒残渣を、後述するコンデンサの特性を悪化させない
範囲内で含有していてもよい。また、上記の突起形成剤
以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定
剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止
剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、コンデ
ンサ特性を悪化させない範囲内で含有していてもよい。
【0010】本発明における塗布層は、ガラス転移点
(Tg)が、70℃以下、好ましくは0〜60℃、さら
に好ましくは5〜50℃であるポリエステル系樹脂を含
有する塗布液を、後述の塗布方法により塗布後、乾燥し
て得られる。ポリエステル系樹脂のTgが70℃を超え
ると、蒸着金属との接着性が悪くなり不適当である。ま
た、ポリエステル系樹脂のTgが低すぎると、フィルム
が相互に固着し作業性を低下させるので好ましくない。
【0011】かかるポリエステル系樹脂を構成する成分
として以下のような多価カルボン酸および多価ヒドロキ
シ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カ
リウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフ
タル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリッ
ト酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル
酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリ
ウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用い
ることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3
−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、
1,4−ブタンジオール、1,6、−ヘキサンジオ−
ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エ
チレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、、ポリエチレングリコ−ル、ポリ
プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ
−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパ
ン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチ
ロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができ
る。
【0012】これらの化合物の中から、それぞれ適宜1
つ以上選択して、上述のガラス転移点の範囲内となるポ
リエステル系樹脂を常法の重縮合反応によって合成す
る。本発明におけるポリエステル系樹脂は、溶剤を媒体
とする塗布剤であってもよいが、安全衛生上、水を媒体
とする塗布剤であることが望ましく、水を媒体とする場
合は、界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤で
あってもよいが、好ましくはポリエ−テル類のような親
水性のノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカ
チオン性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好
ましくは、アニオン性基を有する水溶性または水分散性
ポリエステル系樹脂塗布剤である。
【0013】アニオン性基を有するポリエステルとは、
アニオン性基を有する化合物を共重合やグラフトなどに
よりポリエステルに結合させたものであり、スルホン
酸、カルボン酸、リン酸およびそれらのリチウム塩、ナ
トリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等から、適宜
選択される。
【0014】ポリエステル系樹脂のアニオン性基の量
は、0.05重量%〜8重量%が好ましい。アニオン性
基量が0.05重量%未満では、ポリエステル系樹脂の
水溶性あるいは水分散性が悪く、アニオン性基量が8重
量%を超えると、塗布後の下塗り層の耐水性が劣った
り、吸湿してフィルムが相互に固着したり、耐湿熱接着
性を低下させたりするので好ましくない。
【0015】本発明における塗布液には、塗布層の固着
性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度
の改良のために架橋剤としてメチロ−ル化あるいはアル
キロ−ル化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、ア
クリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、エポキシ
化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネ−
ト、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジ
ルコ−アルミネ−ト系カップリング剤、過酸化物、熱お
よび光り反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを含有
していてもよい。また、固着性や滑り性の改良のために
無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミナ、ア
ルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タルク、炭
酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バ
リウム、カ−ボンブラック、硫化モリブデン、酸化アン
チモンゾルなどを後述する表面粗さの範囲内となるよう
に含有していてもよい。
【0016】さらに、必要に応じて、消泡剤、塗布性改
良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分
子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔
料などを含有していてもよい。また、本発明の塗布液に
は、本発明におけるポリエステル系樹脂以外のポリマ−
として、別種のポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などを塗布液あるい
は塗布層の特性改良のために含有していてもよい。
【0017】上述した塗布液をポリエステルフィルムに
塗布する方法としては、原崎勇次著、槇書店、1979
年発行、「コ−ティング方式」に示されるリバ−スロ−
ルコ−タ−、グラビアコ−タ−、ロッドコ−タ−、エア
ドクターコ−タ−あるいはこれら以外の塗布装置を用い
て、二軸延伸ポリエステルフィルム製造工程外で塗布液
を塗布する方法、さらに好ましくは、フィルム製造工程
内で塗布する方法が挙げられる。フィルム製造工程内で
塗布する方法としては、ポリエステル未延伸フィルムに
塗布液を塗布し、逐次あるいは、同時に二軸延伸する方
法、一軸延伸されたポリエステルフィルムに塗布し、さ
らに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、あ
るいは二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布し、さらに
横および/または縦方向に延伸する方法などがある。
【0018】上述の延伸工程は、好ましくは60〜13
0℃で行われ、延伸倍率は、面積倍率で少なくとも4倍
以上、好ましくは6〜20倍である。延伸されたフィル
ムは150〜250℃で熱処理される。さらに、熱処理
の最高温度ゾ−ンおよび/または熱処理出口のク−リン
グゾ−ンにて縦方向および横方向に0.2〜20%弛緩
することが好ましい。特に、60〜130℃でロ−ル延
伸法により2〜6倍延伸された一軸延伸ポリエステルフ
ィルムに塗布液を塗布し、必要に応じ乾燥を施し、ポリ
エステル一軸延伸フィルムを直ちに先の延伸方向とは直
角方向に80〜130℃で2〜6倍に延伸し、150〜
250℃で1〜600秒間熱処理を行う方法が好まし
い。本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が
可能になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄く
することができ、ポリエステルフィルム基材として好適
なフィルムを比較的安価に製造できる。
【0019】本発明における塗布液は、ポリエステルフ
ィルムの片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布して
もよい。片面にのみ塗布した場合、その反対面には本発
明における塗布液以外の塗布層を必要に応じて形成し、
本発明のポリエステルフィルムに他の特性を付与するこ
ともできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着
性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電
処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリエス
テルフィルムの塗布層の接着性、塗布性などを改良する
ために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施してもよ
い。
【0020】塗布層の厚さは、0.01〜5μmの範囲
が好ましく、さらに好ましくは0.02〜1μmの範囲
である。塗布層の厚さは、コンデンサ小型化の要請から
も薄くするが好ましい。しかしながら、塗布層の厚さが
0.01μm未満の場合には、均一な塗布層が得難いた
めに製品に塗布むらが生じやすく不適当である。上記の
ようにして形成された塗布層の水滴接触角は60°以上
であることが好ましい。水滴接触角が60°未満である
と、金属蒸着膜との耐水接着性が悪化し、本発明のコン
デンサに耐湿熱特性を付与することが困難となる。従っ
て、塗布剤の親水基量、乳化剤量、親水性化合物量には
注意を要する。
【0021】また、上記のように形成された塗布層表面
の中心線平均粗さ(Ra)は0.005〜0.5μmの
範囲である必要があり、好ましくは0.02〜0.3μ
mの範囲であり、さらに好ましくは0.05〜0.1μ
mの範囲である。Raが0.005μm未満ではフィル
ムの滑り性が不十分で作業性が悪化する。一方、Raが
0.5μmを超えると表面が粗れすぎ、耐電圧特性が悪
化するようになる。また、コンデンサの大容量小型化の
要請からも好ましくない。
【0022】本発明において、蒸着する金属としては、
アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、
銅、インジウム、錫、クロム、チタン等が挙げられる
が、最も好ましい金属はアルミニウムである。なお、上
記の金属には金属の酸化物も含まれる。金属蒸着膜の厚
さは10〜5000オングストロームの範囲が好まし
い。蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法によるが、エ
レクトロプレ−ティング法、スパッタリング法等の方法
によってもよい。なお、金属蒸着層はポリエステルフィ
ルムの両面に設けてもよい。また、金属蒸着後に蒸着金
属層の表面処理や他の樹脂による被覆処理を行ってもよ
い。このようにして得られた金属蒸着ポリエステルフィ
ルムを2枚重ね合わせて巻回、または多数枚積層してコ
ンデンサ素子を作り、常法に従って、例えば、熱プレ
ス、テ−ピング、メタリコン、電圧処理、両端面封止、
リ−ド線取り付けなどを行ってコンデンサとすることが
できる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の
実施例によって限定されるものではない。なお、実施例
中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比較
例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。
【0024】(1)ガラス転移点(Tg) セイコ−電子工業(株)製差動熱量計SSC580 D
SC20型を用いて測定した。DSC測定条件は以下の
とおりである。すなわち、あらかじめ凍結乾燥した試料
10mgをDSC装置にセットし、10℃/minの速
度で200℃まで昇温した後、液体窒素にて急冷し、再
び10℃/minの速度にて−50℃〜200℃の範囲
で昇温しガラス転移点を測定した。ガラス転移点は、比
熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベ−スラインが平
行移動する形で感知される。かかる屈曲点以下の温度で
のベ−スラインの接線と屈曲した部分で傾きが最大とな
る点の接線との交点を屈曲の開始点とし、この温度をガ
ラス転移点とした。
【0025】(2)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を
用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面
曲線からその中心線方向に基準長さL(2.55mm) の部分
を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率
の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x) で表した時、次
の式で与えられた値を[μm]で表す。中心線平均粗さ
は、試料フィルム表面10本の断面曲線を求め、これら
の断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの
平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重
は30mmgとし,カットオフ値は0.8mmとした。
【数1】
【0026】(3)水滴接触角 温度23℃、湿度50%RH雰囲気下での試料フィルム
と蒸留水との接触角を接触角計(協和界面化(株)社
製、CA−DT−A型)を用いて測定した。接触角は、
左右2点、試料数3点で計6点測定し、平均値を求め接
触角とした。なお、水滴の直径は2mmとし、滴下後1
分後の数値を読み取った。
【0027】(4)接着性評価 金属蒸着フィルムの蒸着層表面に基材ポリエステルフィ
ルムと同一厚さのポリエステルフィルムを通常のドライ
ラミネ−ト法により積層した後、エ−ジング処理を行っ
た。得られた積層体を幅15mmの短冊状にし、40〜
45℃の温水中に浸漬した(温水処理)。上記温水処理
試料の端部を一部剥離し、剥離試験機により100mm
/分の速度でT型剥離を行った。接着性の評価基準は下
記のとおりである。 ○: 100g<剥離荷重 △: 10g<剥離荷重≦100g ×: 剥離荷重≦ 10g
【0028】(5)耐電圧特性 JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわ
ち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%
RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇さ
せ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
【0029】(6)静電容量の変化 コンデンサを60℃、95%RHの雰囲気下に1000
時間放置し、初期静電容量を基準値とする。静電容量変
化率として求めた。
【0030】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
70部および酢酸カルシウム一水塩0.11部を加熱昇
温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応
を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次いで、
この反応混合物にトリエチルホスファイト0.065部
とトリエチルホスフェ−ト0.30部とを添加し、さら
に、三酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反応を
行い、4時間後に極限粘度0.66のポリエステル
(A)を得た。平均粒径1.6μmの炭酸カルシウムを
添加する以外は、ポリエステル(A)の製造と同様にし
て、平均粒径1.6μmの炭酸カルシウム1.0重量%
を含むポリエステル(B)を得た。一方、ジメチルイソ
フタレート100部、ジメチルセバケ−ト15部、ジメ
チル−5−スルホイソフタレ−トナトリウム塩6部、エ
チレングリコール80部および酢酸マンガン四水塩0.
041部を加熱昇温するとともにメタノールを留去して
エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して
230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了
させた。次いで、この反応混合物にリン酸0.005部
を添加し、さらに、三酸化アンチモン0.04部を加え
て重縮合反応を行い、4時間後に極限粘度0.50の共
重合ポリエステル(C)を得た。得られた共重合ポリエ
ステル(C)のガラス転移点は38℃であった。この共
重合ポリエステル(C)20部をテトラヒドロフラン8
0部に溶解させた液に、高速撹拌下で水180部を加え
て、共重合ポリエステル(C)の水分散体を得た。次
に、ポリエステル(A)90部とポリエステル(B)1
0部とをブレンドした後、290℃で溶融押出し無定形
シートとした後、縦方向に90℃で4.2倍延伸した
後、共重合ポリエステル(C)の水分散体をフィルムの
片面に塗布し、次いで、横方向に110℃で3.9倍延
伸し、230℃で熱処理を行い、塗布層の厚さ0.04
μm 、基材ポリエステルフィルムの厚さ4μm の二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。塗布層の水滴接触角は
63°、中心線平均粗さ(Ra)は0.020μm であ
った。得られたフィルムの塗布面上に、抵抗加熱型金属
蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr以下と
してアルミニウムを450オングストロームの厚みに蒸
着した。得られた蒸着フィルムは、接着性評価において
優れた接着性を有していた。蒸着フィルムを2枚併せて
巻回し、電極を付して0.1μFのフィルムコンデンサ
とした。得られた金属蒸着フィルムコンデンサは、表1
に示すとおり、耐電圧特性に優れ、静電容量の変化の少
ない、耐湿熱特性に優れる金属蒸着ポリエステルフィル
ムコンデンサであった。なお、後述の実施例および比較
例の結果についても下記表1にまとめて示す。
【0031】比較例1 実施例1において塗布液を塗布しない以外は実施例1と
同様にして金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサを
得た。得られたコンデンサは、実施例1と比較して、耐
湿熱特性に劣っていた。
【0032】実施例2 実施例1の共重合ポリエステル(C)の水分散体の代わ
りに、ジメチルテレフタレート100部、ジメチル−5
−スルホイソフタレ−トナトリウム塩20部、エチレン
グリコール80部からなる共重合ポリエステル(D)の
水分散体を塗布する以外は、実施例1と同様にして、金
属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサを得た。
【0033】比較例2 実施例1の共重合ポリエステル(C)の水分散体の代わ
りに、ジメチルテレフタレート100部、ジメチル−5
−スルホイソフタレ−トナトリウム塩20部、シクロヘ
キサンジメチタノ−ル80部からなる共重合ポリエステ
ル(E)の水分散体を塗布する以外は、実施例1と同様
にして、金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサを得
た。
【0034】実施例3 ポリエステル(A)90部とポリエステル(B)10部
とをブレンドした後、290℃で溶融押出し無定形シー
トとした後、縦方向に90℃で4.2倍延伸した後次い
で、横方向に110℃で3.9倍延伸し、230℃で熱
処理を行い、厚さ4μm の二軸延伸ポリエステルフィル
ムを得た。この基材ポリエステルフィルムに日本合成社
製共重合ポリエステルであるTP−236(Tg60
℃)を90部、日本ポリウレタン社製ポリイソシアネ−
トであるコロネ−トLを10部配合したメチルエチルケ
トンとトルエンとの混合溶剤溶液を乾燥塗布厚さ0.1
μmとなるように塗布した。得られたポリエステルフィ
ルムを実施例1と同様にして金属蒸着ポリエステルフィ
ルムコンデンサを得た。
【0035】実施例4 実施例3のTP−236の代わりに、日本合成社製共重
合ポリエステルであるSP−131(Tg−20℃)を
配合した塗布液を塗布する以外は、実施例3と同様にし
て金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサを得た。得
られた金属蒸着ポリエステルフィルムコンデンサは、耐
湿熱性良好であったが、この塗布層を有するポリエステ
ルフィルムは、滑り性が悪いため巻き作業性が悪く、取
扱いが非常に困難であった。
【0036】比較例3 平均粒径0.1μm のシリカを0.1部含有するポリエ
チレンテレフタレ−トを290℃で溶融押出し無定形シ
ートとした後、縦方向に90℃で4.2倍延伸した後、
共重合ポリエステル(C)の水分散体をフィルムの片面
に塗布し、次いで、実施例1と同様にしてポリエステル
フィルムを得た。 このフィルムの中心線平均粗さは
0.002μmであり、滑り性が悪いため巻き作業性が
悪く、実用に供し得なかった。
【0037】実施例5 比較例3において共重合ポリエステル(C)の水分散体
の代わりに、共重合ポリエステル(C)の水分散体95
部、平均粒径0.06μmのシリカゾルの水分散体5部
からなる塗布液を塗布する以外は、比較例3と同様にし
てポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル
フィルムを実施例1と同様にして金属蒸着ポリエステル
フィルムコンデンサを得た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 14/20 8414−4K

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、ガラス転移点(Tg)が70℃以下のポリエステル
    系樹脂を主成分とする塗布層を有し、表面粗さ(Ra)
    が0.005〜0.5μmである該塗布層面に金属を蒸
    着した後、積層または巻回してなる金属蒸着ポリエステ
    ルフィルムコンデンサ。
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