JP6168313B2 - 銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに導電性フィルム及び電極フィルム - Google Patents

銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに導電性フィルム及び電極フィルム Download PDF

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Description

本発明は、各種基材の表面に銅薄膜を形成するために用いるアンダーコート剤、該アンダーコート剤からなる層を有する銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに該銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム及び該導電性フィルムより得られる電極フィルムに関する。
銅薄膜付基材は、各種基材の表面に銅薄膜が形成されてなる物品をいい、電子材料分野においては、銅薄膜付プラスチックフィルムがITO導電性フィルムの代替品として検討されている。
ITO導電性フィルムは、透明性と導電性に優れるため、スマートフォンやタブレットPC等のタッチパネル用の電極フィルムとして利用されているが、インジウムが高価なレアメタルであるためコストの問題があり、またITO層が硬く脆いため曲げや変形に弱いなど加工性の点で課題がある。
加工性が良好な電極フィルムとしては、例えばポリチオフェン、ポリアニリン及びポリピロール等のπ共役性導電性高分子を導電層とするものが知られているが、該導電層が着色しているため、該電極フィルムは色調の点で問題がある。
一方、加工性に優れる導電性フィルムとしては、他にも銅薄膜付プラスチックフィルムが知られている。このものは、ITOよりも抵抗率が低い銅を導電層とするため導電性が良好であり、何より安価でもある。銅蒸着プラスチックフィルムを例えばタッチパネル等の表示機器の電極フィルムとして用いると、大画面化や曲面化が容易になるとされる。
従来の銅蒸着プラスチックフィルムは、一般的には、基材となるプラスチックフィルムにニッケルを蒸着させた後、更に銅を蒸着させることにより得られる。このニッケル蒸着層は、フィルムと銅蒸着層を密着させるためのアンカー層として機能する。そして、銅蒸着プラスチックフィルムにレジストを電極パターン状に塗工し、エッチング液(アルカリ溶液、酸性溶液)で処理した後、該レジストを除去することによって、目的とする電極フィルムが得られる。
しかし、かかる銅蒸着プラスチックフィルムは、ニッケルが耐アルカリ性及び耐酸性に乏しいことから、エッチング処理後に基材フィルムから銅蒸着層が剥離したり、脱落したりする問題があった。また、該銅蒸着プラスチックフィルムは、ITO導電性フィルムと比較すると安価であるが、ニッケルが銅よりも高価であるためそのぶん割高でもあった。そこで、アンカー層としてニッケルではなく有機高分子を主成分とするアンダーコート剤を用いる方法も提案されている(特許文献1を参照)。一方、そうしたアンダーコート剤を用いる場合には、アンダーコート面の耐ブロッキング性が要求されるようになる。
特開平5−28835号公報
本発明の課題は、銅薄膜付基材の製造に用いる有機高分子系のアンダーコート剤であって、プラスチック基材と銅薄膜との初期密着性のみならず、アルカリ処理後の密着性(以下、耐アルカリ密着性ともいう。)及び酸処理後の密着性(以下、耐酸密着性ともいう。)、並びに耐ブロッキング性に優れるアンダーコート層を形成できるものを提供することにある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、主剤として所定のポリエステルポリオールを、硬化剤としてポリイソシアネートを、添加剤として水酸基若しくはイソシアネート基と反応するアルコキシシリル化合物を含むアンダーコート剤により前記課題を解決可能であることを見出した。
1.ジカルボン酸類(a1)及びジオール類(a2)を反応成分とするガラス転移温度が80℃以下のポリエステルポリオール(A)と、イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)と、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(C)とを含有する、銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
2.(A)成分がさらに、水酸基を少なくとも3つ有するポリオール類(a3)を反応成分とする、前記1のアンダーコート剤。
3.(A)成分のガラス転移温度が0〜75℃である、前記1又は2のアンダーコート剤。
4.(A)成分の水酸基価が5〜100mgKOH/gである、前記1〜3のいずれかのアンダーコート剤。
5.(B)成分が、ジイソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる1種の誘導体(b1)である、前記1〜4のいずれかのアンダーコート剤。
6.(A)成分に含まれる水酸基と(B)成分に含まれるイソシアネート基の当量比〔NCO/OH〕が0.5〜5である、前記1〜5のいずれかのアンダーコート剤。
7.(C)成分の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して1〜20重量部である、前記1〜6のいずれかのアンダーコート剤。
8.更にウレタン化触媒(D)を含有する前記1〜7のいずれかの銅蒸着フィルム用アンダーコート剤。
9.(D)成分の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して0.1〜2重量部である、前記8のアンダーコート剤。
10.さらに、分子内に炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(E)を含有する、前記1〜9のいずれかのアンダーコート剤。
11.(E)の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して0〜100重量部である、前記10のアンダーコート剤。
12.基材、前記1〜11のいずれかのアンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層、及び銅薄膜層を有する、銅薄膜付基材。
13.基材がプラスチックである、前記12の銅薄膜付基材。
14.プラスチックがプラスチックフィルムである、前記13の銅薄膜付基材。
15.プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、前記14の銅薄膜付基材。
16.銅薄膜層が銅蒸着膜又は銅スパッタ膜である、前記12〜15のいずれかの銅薄膜付基材。
17.基材の表面に、前記1〜9のいずれかのアンダーコート剤を塗工し、次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層(1)の上に銅薄膜層を形成することを特徴とする、銅薄膜付基材の製造方法。
18.基材の表面に、前記10又は11のアンダーコート剤を塗工し、次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1’)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層に活性エネルギー線を照射することにより硬化アンダーコート層(2’)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層(2’)の上に銅薄膜層を形成することを特徴とする、銅薄膜付基材の製造方法。
19.前記硬化アンダーコート層(1)上に銅薄膜層を形成する方法が真空蒸着法又はスパッタリング法である、前記17の製造方法。
20.前記硬化アンダーコート層(2’)上に銅薄膜層を形成する方法が真空蒸着法又はスパッタリング法である、前記18の製造方法。
21.前記12〜16のいずれかの銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム。
22.前記17又は19の製造方法で得られる銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム。
23.前記18又は20の製造方法で得られる銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム。
24.前記21〜23のいずれかの導電性フィルムより得られる電極フィルム。
本発明のアンダーコート剤は、基材の表面に平滑な塗膜を形成する。また、該塗膜は熱のみよって、或いは熱及び活性エネルギー線によって硬化し、基材と銅薄膜との初期密着性のみならず、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性の双方に優れ、しかも耐ブロッキング性が良好なアンダーコート層を与える。
本発明の銅薄膜付基材は、基材と銅蒸着膜との初期密着性耐アルカリ密着性及び耐酸密着性が良好であるため、該銅薄膜基材をエッチング液や酸性溶液で処理しても基材から銅蒸着膜が脱落し難い。該銅薄膜基材のうち、特に基材がプラスチックフィルムのものは、ITO導電性フィルムを代替する導電性フィルムとして有用である。
本発明の導電性フィルムは、各種電極フィルムとして、例えばタッチパネル、ICカード用基板、ICタグ用基板、電子ペーパー用基板、フレキシブルディスプレイ用基板等の用途に供し得る。特に、スマートフォンやタブレットPC等のタッチパネル用の電極フィルムとして好適である。
本発明の銅蒸着フィルム用アンダーコート剤(以下、単にアンダーコート剤ということがある。)は、所定のポリエステルポリオール(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)(以下、(B)成分ともいう。)と、所定の反応性アルコキシシリル化合物(C)(以下、(C)成分ともいう。)とを含有する組成物である。
(A)成分としては、分岐状ポリエステルポリオールであれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。具体的には、例えば、ジカルボン酸類(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)及びジオール類(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)を必須成分とするポリオールが好適である。
(a1)成分としては、各種公知のジカルボン酸類を特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸及びジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸並びにこれらの酸無水物等の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸及びトリデカン二酸並びにこれらの酸無水物等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸並びにこれらの酸無水物等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、(a1)成分には、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性のバランスの観点より、芳香族ジカルボン酸を含めるのが好ましい。なお、(a1)成分における芳香族ジカルボン酸の使用量は特に限定されないが、通常、20〜60モル%程度である。また、(a1)成分における脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸の使用量は、通常、0〜5モル%程度である。
(a2)成分としては、各種公知のジオール類を特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等の脂環族ジオール;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、キシリレングリコール及びビスヒドロキシエトキシベンゼン、並びにビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等の芳香族ジオール等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、(a2)成分には、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性のバランスの観点より、脂肪族ジオールを含めるのが好ましい。なお、(a2)成分における脂肪族ジオールの使用量は特に限定されないが、通常、20〜60モル%程度である。また、(a2)成分における脂環族ジオール及び/又は芳香族ジオールの使用量は、通常、0〜40モル%程度である。
(A)成分はさらに、水酸基を少なくとも3つ有するポリオール類(a3)(以下、(a3)成分ともいう。)を任意の反応成分とすることができる。(a3)成分は、(A)成分に遊離の水酸基と分岐構造を導入し、本発明のアンダーコート剤からなる層の特に初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性を向上させる。
(a3)成分としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール及び1,2,4−ブタントリオール等の脂肪族トリオールや、シクロヘキサントリオール等の脂環族トリオール、ピロガロール及びフロログルシノール等の芳香族トリオール、ジグリセリンエリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の脂肪族テトラオール等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、(a3)成分の中でも、初期密着性、耐アルカリ密着性、耐酸密着性及び耐ブロッキング性のバランスの観点より、脂肪族トリオール及び/又は脂肪族テトラオールが好ましい。
(a1)成分、(a2)成分及び必要に応じて用いる(a3)成分の使用量は特に限定されないが、通常は、初期密着性、耐アルカリ密着性、耐酸密着性及び耐ブロッキング性のバランスの観点より、通常、以下の範囲であればよい。
<(a3)成分を使用しない場合>
(a1)成分:20〜50モル%程度、好ましくは25〜45モル%程度
(a2)成分:50〜80モル%程度、好ましくは55〜75モル%程度
<(a3)成分を使用する場合>
(a1)成分:20〜50モル%程度、好ましくは25〜45モル%程度
(a2)成分:47〜77モル%程度、好ましくは53〜73モル%程度
(a3)成分:0.1〜3モル%程度、好ましくは0.5〜2モル%程度
なお、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分とともに、各種公知のポリカルボン酸(以下、(a4)成分ともいう。)を用いることができる。具体的には、例えば、(無水)マレイン酸、(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸及び(無水)コハク酸等の酸及び/又は酸無水物等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、(a4)成分の使用量は、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の合計を100モル%とした場合において、通常5モル%未満である。
(A)成分の製造法は特に限定されず、各種公知の方法を利用できる。具体的には、例えば、(a1)成分、(a2)成分並びに必要に応じて(a3)成分及び/若しくは(a4)成分を、ワンポットで脱水縮合反応させる方法や、(a1)成分及び(a2)成分の脱水縮合反応物と(a3)成分及び必要に応じて(a4)成分とを反応させる方法等が挙げられる。いずれの場合も反応温度は特に限定されず、150〜250℃程度である。また、反応時間も特に限定されず、5〜10時間程度である。また、反応は常圧下又は減圧下で行える。
(A)成分の製造の際には、各種公知の触媒を用いることもできる。具体的には、例えば、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn−ブトキシド、三酸化アンチモン、酸化ジブチルスズ、酢酸亜鉛(2水和物)、モノブチルスズオキシド、チタニウムテトラブトキサイド等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、製造は、後述の有機溶剤の存在下で行ってもよい。
(A)成分の物性は、特に限定されないが、初期密着性、耐アルカリ密着性、耐酸密着性及び耐ブロッキング性のバランスの観点より、例えばガラス転移温度(JIS−7121に準じた測定値)が通常80℃以下、好ましくは0〜75℃程度、一層好ましくは30〜70℃程度、更に好ましくは40〜65℃程度であり、水酸基価(JIS−0070に準じた測定値)が通常5〜100mgKOH/g程度、好ましくは7〜90mgKOH/g程度、一層好ましくは8〜75mgKOH/g程度、特に好ましくは10〜60mgKOH/g程度である。
(B)成分としては、分子内にイソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネートであれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(B)成分は、(A)成分とウレタン化反応することにより、本発明のアンダーコート層に架橋構造を与える。
(B)成分の具体例としては、ジイソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる1種の誘導体(b1)(以下、(b1)成分ともいう。)、該(b1)成分とジオール化合物との反応物(b2)(以下、(b2)成分ともいう。)、トリイソシアネート化合物(b3)((b1)成分及び(b2)成分に該当するものを除く。)(以下、(b3)成分ともいう。)、並びにその他のポリイソシアネート化合物(以下、(b4)成分ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性、並びに耐ブロッキング性のバランスの観点より、特に(b1)成分が好ましい。
(b1)成分を構成するジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート及び水添トリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
なお、前記ジイソシアネート化合物のビウレット体は、下記構造式によって表される。
Figure 0006168313
(式中、Rは前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
また、前記ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体は、下記構造式によって表される。
Figure 0006168313
(式中、Rは、前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
また、前記ジイソシアネート化合物のアダクト体は、下記構造式によって表される。
Figure 0006168313
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はOCN−R−HN−C(=O)−O−CH−で示される官能基を表し、Rは前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
(b2)成分を構成するジオール化合物、特に限定されないが、前記脂肪族ジオール類が好ましく、特にエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等からなる群より選ばれる一種が好適である。
(b2)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、前記(b1)成分と前記ジオール化合物とを、前者のイソシアネート基(NCO’)と後者の水酸基(OH’)との当量比〔NCO’/OH’〕が通常5〜20程度、好ましくは10〜20程度となる範囲で、通常40〜80℃の下、1〜5時間程度、ウレタン化反応させることによって、得ることができる。また、得られる(b2)成分は、そのイソシアネート基当量が通常1〜10meq/g程度、好ましくは3〜6meq/g程度である。
(b3)成分としては、例えば、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート、並びに6官能のポリイソシアネート(製品名「デュラネートMHG−80B」、旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
(b4)成分としては、例えば、6官能のポリイソシアネート(製品名「デュラネートMHG−80B」、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
また、(B)成分の(A)成分に対する比率も特に限定されないが、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性のバランスの観点より、(A)成分の水酸基と(B)成分のイソシアネート基との当量比〔NCO/OH〕が通常0.5〜5程度、好ましくは1〜2程度であるのがよい。
(C)成分は、(A)成分及び/又は(B)成分と反応し、本発明のアンダーコート剤からなるアンダーコート層に有機一体的に組み込まれることによって、該層の特に耐アルカリ密着性を向上させると考えられる。
(C)成分としては、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用することができる。
(C)成分を表す前記一般式(1)のXとしては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、チオール基、アミノ基及び酸無水物基からなる群より選ばれる一種を含有する官能基が挙げられる。
における反応性官能基がイソシアネート基のものとしては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランや、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン及び3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
における反応性官能基がエポキシ基のものとしては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
における反応性官能基がチオール基のものとしては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
における反応性官能基がアミノ基のものとしては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
における反応性官能基が酸無水物基のものとしては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられる。
(C)成分としては、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性のバランスの観点より、Xにおける官能基がイソシアネート基の化合物及び/又はエポキシ基の化合物が好ましい。
(C)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して1〜20重量部程度、好ましくは5〜15重量部程度である。
本発明のアンダーコート剤には、必要に応じて、更にウレタン化触媒(D)(以下、(D)成分ともいう。)を含めることができる。該(D)成分は、(A)成分と(B)成分の硬化反応を速やかにし、本発明のアンダーコート剤の初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性を向上させる。
(D)成分としては、具体的には、例えば、モノブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、モノブチル錫オキサイド、ビスマストリオクテート/2―エチルヘキサン酸、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジアセテート及びジオクチル錫バーサテート等の錫系ウレタン化触媒や、ビス(2−エチルヘキサン酸)錫、オクチル酸ビスマス等のビスマス系ウレタン化触媒や、ジアザビシクロオクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミンやトリエチレンジアミン等の有機アミン系ウレタン化触媒等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
(D)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部(固形分換算)に対して通常0.1〜2重量部程度、好ましくは0.5〜1.5重量部である。
本発明のアンダーコート剤には、これをフィルム基材に適用する場合において、分子内に炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(E)(以下、(E)成分ともいう。)を更に含めることができる。該(E)成分を含むアンダーコート剤は、熱と活性エネルギー線の双方によって硬化することによって初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性に優れ、かつ、耐ブロッキング性にも優れるアンダーコート層を与える。
(E)成分の炭素−炭素二重結合含有基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基等が挙げられる。また、(E)成分の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート及びグリセロールトリ(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ有する化合物や、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリアリルエーテル及びクエン酸トリアリル等の、ビニル基を少なくとも3つ有する化合物等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。これらの中でも、特にアンダーコート皮膜の硬度の点より、炭素−炭素二重結合含有基が(メタ)アクリロイル基であり、かつその数が3〜6個であるものが好ましい。
(E)成分の使用量は特に限定されないが、初期密着性、耐アルカリ密着性、耐酸密着性及び耐擦傷性のバランスの観点より、通常、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部程度、好ましくは20〜70重量部程度(いずれも固形分換算)である。
なお、(E)成分とともに、これ以外の各種公知の(メタ)アクリレート類を併用できる。具体的には、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等のオリゴマー、並びに2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシリラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
また、本発明のアンダーコート剤には、更に光重合開始剤(F)(以下、(F)成分ともいう。)を含めることができる。具体的には、例えば、ベンゾフェノン、4’−(メチルチオ)−α−モルホリノ−α−メチルプロピオフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルーベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、フェニルグリオキリックアシッドメチルエステル、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン及び2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン並びに特開2014−1390号公報に記載されている光重合開始剤等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、(F)成分としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア261、及びダロキュア1173等の市販品を使用できる。
(F)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(E)成分100重量部に対して0.1〜3重量部程度、好ましくは0.5〜2重量部程度(いずれも固形分換算)である。
また、(F)成分の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
また、本発明のアンダーコート剤には、これを例えばプラスチックフィルム基材に適用する場合において、無機粒子を更に含めることができる。該無機粒子は、本発明のアンダーコート剤の硬化層に適度な滑りを与えるため、該硬化層を備える基材フィルムは巻取りの際に異音や塗膜欠陥を生じ難くなる。
該無機粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、ジルコニア、ITO(インジウム錫オキサイド)、ATO(アンチモン錫オキサイド)、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等の粒子が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、これらの中でも、前記滑りの観点より、特にシリカ及び/又はアルミナが好ましい。また、当該粒子の表面は各種処理が施されていてもよい。また、該粒子のメディアン径(d50)は特に限定されないが、通常、10nm〜5μm程度である。
該無機粒子の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部に対して0〜20重量部程度、好ましくは5〜10重量部程度(いずれも固形分換算)である。
また、本発明のアンダーコート剤には、必要に応じて、チオール基含有化合物を含めることができる。具体的には、例えば、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。
該チオール基含有化合物の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部に対して0〜20重量部程度、好ましくは5〜10重量部程度(いずれも固形分換算)である。
なお、該チオール基含有化合物を使用する場合には、本発明のアンダーコート剤のポットライフを高める目的で、各種公知のエン−チオール反応抑制剤を併用できる。具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン及び亜リン酸トリフェニル等のリン系化合物、p−メトキシフェノ−ル、ハイドロキノン、ピロガロ−ル、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコ−ル、塩化第一銅、2、6ージ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩及びジフェニルニトロソアミン等のラジカル重合禁止剤、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール及びジアザビシクロウンデセン等の3級アミン類、並びに2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール及び1−シアノエチル−2‐メチルイミダール等のイミダゾール類等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。該抑制剤の使用量は特に限定されず、適宜設定すればよい。
本発明のアンダーコート剤は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分、並びに必要に応じて用いる他の成分を各種公知の手段で混合することにより得られる。
混合の際には、必要に応じて各種公知の有機溶剤(G)(以下、(G)成分ともいう。)を使用できる。具体的には、例えば、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンの低級ケトン類、トルエン等の芳香族炭化水素類、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル類、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。また、その使用量は通常、本発明のアンダーコート剤の固形分濃度が通常1〜60重量%程度となる範囲であればよい。
これらの中でも、基材がプラスチックフィルムの場合には、特に低級ケトン類が好ましい。
また、本発明のアンダーコート剤には、その他、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含めることができる。
本発明の銅薄膜付基材は、各種基材、本発明のアンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層、及び銅薄膜層を有する積層体である。
基材は特に限定されず、表面に銅薄膜を形成できるものであれば、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、プラスチック、金属、セルロース材、ガラス等が挙げられる。該プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。また、該セルロース材としては、例えば、紙、ナノセルロース紙及び木材等が挙げられる。
基材の形状は特に限定されない。例えば球状、円柱状、直方体状、板状、フィルム状であってよい。また、基材は表面の一部又は全部が凹凸若しくは曲面であってもよい。本発明の銅薄膜付基材を導電性フィルムとして用いる場合には、基材としては、耐熱性や光学特性等の点よりプラスチックフィルムが、特にポリエステルフィルムが好ましい。また、該基材フィルムの厚みも特に限定されないが、通常50〜200μm程度である。また、アンダーコート層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜5μm程度である。
前記銅薄膜層としては、例えば、銅蒸着膜、銅スパッタ膜、銅CVD膜が挙げられる。本発明の銅薄膜付フィルムを電極フィルムに供する場合には、該銅薄膜としては、特に銅蒸着膜又は銅スパッタ膜が好ましい。また、該銅蒸着膜又は銅スパッタ膜の厚みは特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度である。
本発明の銅薄膜付基材の製法は特に限定されないが、一般的には以下の製法を例示できる。
<(E)成分を用いない場合>
前記基材の表面に、本発明のアンダーコート剤((E)成分を含まない。)を塗工し、次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層(1)の上に銅薄膜層を形成する方法。
<(E)成分を用いる場合>
前記基材の表面に、本発明のアンダーコート剤((E)成分を含む。)を塗工し、次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1’)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層に活性エネルギー線を照射することにより硬化アンダーコート層(2’)を形成し、次いで該硬化アンダーコート層(2’)の上に銅薄膜層を形成する方法。
塗工条件は特に限定されず、例えば塗工手段としてはスプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ドットコーター等が挙げられ、また塗工量も特に限定されないが通常、乾燥固形分として0.01〜10g/m程度である。
加熱条件も特に限定されず、通常、温度80〜150℃程度で、時間が10秒〜2分程度である。この処理により(A)成分、(B)成分及び(C)成分が有機一体的に反応し、初期密着性、耐アルカリ密着性、耐酸密着性及び耐ブロッキング性に優れるアンダーコート層(1)を与えると考えられる。
活性エネルギー線照条件も特に限定されず、通常、活性エネルギー線としては例えば紫外線や電子線が挙げられる。また、紫外線の供給源としては例えば高圧水銀灯やメタルハライドランプ等が挙げられ、その照射エネルギーは通常100〜2,000mJ/cm程度である。また、電子線の供給方式としては例えばスキャン式電子線照射、カーテン式電子線照射法等が挙げられ、その照射エネルギーは通常10〜200kGy程度である。この処理により、硬化アンダーコート層(1’)中で(E)成分同士がラジカル重合反応して架橋構造を形成する結果、初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性のみならず、耐ブロッキング性にも優れる硬化アンダーコート層(2’)が得られると考えられる。
硬化アンダーコート層(1)又は硬化アンダーコート層(2’)に銅薄膜層を形成する手段は特に限定されないが、所謂ドライコート法が好ましい。具体的には、例えば、真空蒸着法又はスパッタリング法等の物理的方法や、CVD等の化学的方法(化学的気相反応等)が挙げられる。本発明の製造方法で得られる銅薄膜付フィルムを電極フィルムに供する場合には、真空蒸着法又はスパッタリング法が好ましい。
本発明の電極フィルムは、本発明の導電性フィルムより得られる電子部品である。特に、本発明の導電性フィルムのうち銅蒸着プラスチックフィルム又は銅スパッタフィルムより得られる電極フィルムは、ITO導電性フィルムを用いた電極フィルムの代替品として有用である。
本発明の電極フィルムは、本発明の導電性フィルムのレジストを電極パターン状に塗工し、エッチング液(アルカリ溶液、酸性溶液)で処理した後、該レジストを除去することによって得られる。電極パターンの形状は特に限定されず、細線状、ドット状、メッシュ状、面状等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。また、実施例中の「部」は重量基準を表す。また、水酸基価及び酸価はJIS−0070に準拠して測定した値である。また、ガラス転移温度は、市販の測定器具(製品名「DSC8230B」、理学電機(株)製)を用いて測定した値である。
製造例1
((A)成分の製造)
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入管、還流脱水装置を備えたフラスコに、テレフタル酸ジメチル(TPhDM)2843.4部、エチレングリコール(EG)1382.2部、1,6−ヘキサンジオール(HG)449.7部、ネオペンチルグリコール(NPG)1189部及びトリメチロールプロパン(TMP)51.1部、エステル交換触媒として酢酸亜鉛0.79部を仕込んだ。次いで、原料を加熱し、生成メタノールを系外に留去しながら、195℃で2時間、エステル交換反応を行った。次いで、イソフタル酸(IPhA)2043.8部、アゼライン酸(AzA)440.9部を仕込み、生成水を系外に留去しながら、200℃で3時間、脱水縮合反応を行った。反応液の酸価は11.2mgKOH/gであった。次に還流装置を真空減圧装置に替え、テトラブチルチタネート 0.42部仕込み、240℃、0.3kPa以下で2時間減圧を行った。次いで、メチルイソブチルケトン2300.4部、メチルエチルケトン6901部、アセチルアセトンを219.8部添加し、混合した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が約17mgKOH/g、及びガラス転移温度が47℃のポリエステルポリオール(A−1)を得た。
製造例2
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)452.2部、イソフタル酸(IPhA)839.9部、エチレングリコール(EG)94.1部、ネオペンチルグリコール(NPG)368.3部、2,2−ビス(4−ポリオキシエチレン−オキシフェニル)プロパン(BA−P)1745.5部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が約20mgKOH/g、及びガラス転移温度が60℃のポリエステルポリオール(A−2)を得た。
製造例3
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入管、還流脱水装置を備えたフラスコに、テレフタル酸ジメチル(TPhDM)2843.4部、エチレングリコール(EG)1382.2部、ネオペンチルグリコール(NPG)1638.7部及びトリメチロールプロパン(TMP)51.1部、エステル交換触媒として酢酸亜鉛0.79部を仕込んだ。次いで、原料を加熱し、生成メタノールを系外に留去しながら、195℃で2時間、エステル交換反応を行った。次いで、イソフタル酸(IPhA)2484.7部を仕込み、生成水を系外に留去しながら、200℃で3時間、脱水縮合反応を行った。反応液の酸価は11mgKOH/gであった。次に還流装置を真空減圧装置に替え、テトラブチルチタネート 0.42部仕込み、240℃、0.3kPa以下で2時間減圧を行った。次いで、メチルイソブチルケトン2520.2部、メチルエチルケトン6901部添加し、混合した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が55mgKOH/g、及びガラス転移温度が50℃のポリエステルポリオール(A−3)を得た。
製造例4
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)328部、イソフタル酸(IPhA)328部、エチレングリコール(EG)182部、2,2−ビス(4−ポリオキシエチレン−オキシフェニル)プロパン(BA−P)762部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が5mgKOH/g、及びガラス転移温度が70℃のポリエステルポリオール(A−4)を得た。
製造例5
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)479部、イソフタル酸(IPhA)402部、アゼライン酸(AzA)87部、エチレングリコール(EG)256部、1,6−ヘキサンジオール(1,6HD)221部、ネオペンチルグリコール(NPG)148部及びトリメチロールプロパン(TMP)7部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が21mgKOH/g、及びガラス転移温度が31℃のポリエステルポリオール(A−5)を得た。
製造例6
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)479部、イソフタル酸(IPhA)402部、アゼライン酸(AzA)87部、エチレングリコール(EG)256部、1,6−ヘキサンジオール(1,6HD)354部、及びグリセリン(GLY)23部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が45mgKOH/g、及びガラス転移温度が17℃のポリエステルポリオール(A−6)を得た。
製造例7
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)386部、イソフタル酸(IPhA)292部、アゼライン酸(AzA)300部、エチレングリコール(EG)251部、1,6−ヘキサンジオール(1,6HD)348部、及びグリセリン(GLY)23部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が30mgKOH/g、及びガラス転移温度が8℃のポリエステルポリオール(A−7)を得た。
比較製造例1
製造例1と同様のフラスコに、テレフタル酸(TPhA)300部、エチレングリコール(EG)81部、プロピレングリコール(PG)216部、及びトリメチロールプロパン(TMP)3部を仕込んだ。次いで、加熱溶融して留出する水を系外に除きながら250℃まで反応系を徐々に昇温させ、更に3時間保持した。次に、このフラスコに真空減圧装置を接続し、更にテトラブチルチタネート0.18部を加え30分保温した後、1.3hPaで1時間減圧重縮合反応を行った。次に樹脂100部を温度計、窒素導入管、冷却管、及び攪拌装置のついたフラスコに移し、メチルイソブチルケトン75部、メチルエチルケトン75部を加え均一に溶解した。こうして、不揮発分が40%、水酸基価が約5mgKOH/g、及びガラス転移温度が84℃のポリエステルポリオール(α)を得た。
<アンダーコート剤の調製>
実施例1
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業(株)製)7.8部及び(C)成分としてイソシアネート基含有シランカップリング剤(商品名「KBE−9007」、信越シリコーン(株)製)10部、並びに(D)成分として市販のスズ系ウレタン触媒(ジオクチル錫ジラウレート、商品名「ネオスタンU−810」、日東化成(株)製)1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例2
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 7.8部及び(C)成分としてエポキシ基含有シランカップリング剤(商品名「サイラエース510」、JNC(株)製)10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例3
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 7.8部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分として市販のスズ系ウレタン触媒(ジオクチル錫バーサテート、商品名「ネオスタンU−830」、日東化成(株)製)1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例4
製造例1の(A−2)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 7.8部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−830 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例5
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 7.8部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分として市販のビスマス系ウレタン触媒(ビスマストリオクテート、商品名「ネオスタンU−600H」、日東化成(株)製)1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例6
製造例2の(A−2)成分100部、(B)成分としてトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネート2030」、日本ポリウレタン工業(株)製)10部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−600H 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例7
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体(商品名「デュラネート24A−100」、旭化成ケミカルズ(株)製)6部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例8
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体(商品名「デュラネートP301-75E」、旭化成ケミカルズ(株)製)11.3部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例9
製造例1の(A−1)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 7.8部及び(C)成分としてメルカプト基含有シランカップリング剤(商品名「KBM−803」、信越シリコーン(株)製) 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例10
製造例1の(A−3)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 25部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例11
製造例1の(A−4)成分100部、(B)成分としてデュラネート24A−100 2部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例12
製造例1の(A−5)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 8部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例13
製造例1の(A−6)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 20部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部、(E)成分としてペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(商品名「ビスコート300」、大阪有機化学工業(株)製)12部、並びに光重合開始剤(商品名「Irg907」、チバ・ジャパン(株)製)0.3部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例14
製造例7の(A−7)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 13.7部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
実施例15
製造例7の(A−7)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 13.7部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部、(E)成分としてビスコート300 12部、並びにIrg907 0.3部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
比較例1
実施例1において、KBE−9007を0部にした他は同様にして、アンダーコート剤を調整した。
比較例2
比較製造例1の(α)成分100部、(B)成分としてコロネートHX 3部及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分としてネオスタンU−810 1.0部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
比較例3
製造例2の(A−1)成分100部、(B)成分に代えてメラミン系硬化剤(商品名「サイメル303LF」、メチル化メラミン樹脂 オルネクスジャパン(株)製)10部、及び(C)成分としてKBE−9007 10部、並びに(D)成分に代わる触媒としてパラトルエンスルホン酸(PTS) 0.3部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
比較例4
製造例2の(A−1)成分100部、(B)成分に代えてメラミン系硬化剤(商品名「サイメル303LF」、メチル化メラミン樹脂 オルネクスジャパン(株)製)10部、及び(C)成分としてサイラエースS510 10部、並びに(D)成分に代わる触媒としてパラトルエンスルホン酸 0.3部を良く混合し、アンダーコート剤を調製した。
(1)アンダーコート層((E)成分を使用していない態様)を備えた基材の作製
実施例1のアンダーコート剤を市販のポリエステルフィルム(商品名「ルミラーU48」、東レ(株)製、150μm厚)に、乾燥膜厚が1.0μm程度となるようバーコーターで塗工し、130℃で1分間乾燥させることによって、硬化アンダーコート層を備えた基材を作製した。
(2)銅蒸着フィルムの作製
次いで当該基材のアンダーコート面に、市販の蒸着装置(製品名「NS−1875−Z」、西山製作所(株)製)を使用し、銅を蒸着させることにより(約100nm厚)、銅蒸着フィルムを得た。実施例2〜12及び14、並びに比較例1〜4のアンダーコート剤についても同様にして銅蒸着フィルムを得た。
(3)アンダーコート層((E)成分を使用している態様)を備えた基材の作製
実施例13のアンダーコート剤を前記市販のポリエステルフィルムに、乾燥膜厚が1.0μm程度となるようバーコーターで塗工し、130℃で1分間乾燥させた。次いで、得られた塗工フィルムに、300mJ/cmの紫外線を照射することによって、硬化アンダーコート層を備えた基材を作製した。
(4)銅蒸着フィルムの作製
次いで当該基材のアンダーコート面に、前記市販の蒸着装置を使用し、銅を蒸着させることにより(約100nm厚)、銅蒸着フィルムを得た。実施例15のアンダーコート剤についても同様にして銅蒸着フィルムを得た。
(5)初期密着性
実施例1に係る銅蒸着フィルムの銅蒸着面にカッターナイフで100マスの碁盤目を入れ、粘着テープ(製品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製)を貼り付けた後、垂直方向に引き剥がすことにより、銅蒸着層の密着性を評価した。実施例12〜15及び比較例1〜4に係る銅蒸着フィルムについても同様にして初期密着性を評価した。
(6)耐アルカリ密着性
実施例1に係る銅蒸着フィルムを、40℃に加温した4%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬した後、銅蒸着層の密着性を、前記同様、碁盤目試験により評価した。実施例12〜15及び比較例1〜4に係る銅蒸着フィルムについても同様にして耐アルカリ密着性を評価した。
(7)耐酸密着性
実施例1に係る銅蒸着フィルムを、40℃に加温した4%塩酸水溶液に5分間浸漬した後、銅蒸着層の密着性を、前記同様、碁盤目試験により評価した。実施例12〜15及び比較例1〜4に係る銅蒸着フィルムについても同様にして耐酸密着性を評価した。
(8)耐ブロッキング性
実施例1〜12及び14、並びに比較例1〜4のアンダーコート剤について、前記項目(1)の方法に従い、硬化アンダーコート層を備えた基材を作製した。次いで、当該アンダーコート面に前記ポリエステルフィルムを重ね合わせ、8kg/cmの荷重を加えた状態で40℃の環境下に7日間静置させた。その後、塗工フィルムと未塗工フィルムを剥がし、耐ブロッキング性の評価を実施した。具体的には、剥がす際に塗膜の剥がれが見られたものを×、塗膜の剥がれは見られないがやや抵抗感があるものを△、塗膜の剥がれがなく抵抗感も余りないものを○△、塗膜の剥がれがなく抵抗感もないものを○とした。
また、前記実施例13及び15のアンダーコート剤について、前記項目(3)の方法に従い、アンダーコート層を備えた基材を作製した。次いで、前記項目(8)の方法に従い、該アンダーコート層の耐ブロッキング性を評価した。
Figure 0006168313

Claims (21)

  1. ジカルボン酸類(a1)及びジオール類(a2)を反応成分とするガラス転移温度が80℃以下のポリエステルポリオール(A)と、
    イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)と、
    一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(C)と
    分子内に炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(E)とを含有する、銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
  2. (A)成分がさらに、水酸基を少なくとも3つ有するポリオール類(a3)を反応成分とする、請求項1のアンダーコート剤。
  3. (A)成分のガラス転移温度が0〜75℃である、請求項1又は2のアンダーコート剤。
  4. (A)成分の水酸基価が5〜100mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれかのアンダーコート剤。
  5. (B)成分が、ジイソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる1種の誘導体(b1)である、請求項1〜4のいずれかのアンダーコート剤。
  6. (A)成分に含まれる水酸基と(B)成分に含まれるイソシアネート基の当量比〔NCO/OH〕が0.5〜5である、請求項1〜5のいずれかのアンダーコート剤。
  7. (C)成分の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して1〜20重量部である、請求項1〜6のいずれかのアンダーコート剤。
  8. 更にウレタン化触媒(D)を含有する請求項1〜7のいずれかのアンダーコート剤。
  9. (D)成分の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して0.1〜2重量部である、請求項8のアンダーコート剤。
  10. (E)の使用量が、(A)成分100重量部(固形分換算)に対して1〜100重量部である、請求項1〜9のいずれかのアンダーコート剤。
  11. 基材、請求項1〜10のいずれかのアンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層、及び銅薄膜層を有する、銅薄膜付基材。
  12. 基材がプラスチックである、請求項11の銅薄膜付基材。
  13. プラスチックがプラスチックフィルムである、請求項12の銅薄膜付基材。
  14. プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、請求項13の銅薄膜付基材。
  15. 銅薄膜層が銅蒸着膜又は銅スパッタ膜である、請求項1114のいずれかの銅薄膜付基材。
  16. 基材の表面に、
    請求項1〜9のいずれかのアンダーコート剤を塗工し、
    次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1)を形成し、
    次いで該硬化アンダーコート層(1)の上に銅薄膜層を形成することを特徴とする、
    銅薄膜付基材の製造方法。
  17. 基材の表面に、
    請求項1〜10のいずれかのアンダーコート剤を塗工し、
    次いで該基材に熱を加えることにより硬化アンダーコート層(1’)を形成し、
    次いで該硬化アンダーコート層に活性エネルギー線を照射することにより硬化アンダーコート層(2’)を形成し、
    次いで該硬化アンダーコート層(2’)の上に銅薄膜層を形成することを特徴とする、
    銅薄膜付基材の製造方法。
  18. 前記硬化アンダーコート層(1)上に銅薄膜層を形成する方法が真空蒸着法又はスパッタリング法である、請求項16の製造方法。
  19. 前記硬化アンダーコート層(2’)上に銅薄膜層を形成する方法が真空蒸着法又はスパッタリング法である、請求項17の製造方法。
  20. 請求項1115のいずれかの銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム。
  21. 請求項20の導電性フィルムより得られる電極フィルム。
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