JP2808504B2 - フィルム状銅蒸着基材 - Google Patents

フィルム状銅蒸着基材

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JP2808504B2
JP2808504B2 JP3258713A JP25871391A JP2808504B2 JP 2808504 B2 JP2808504 B2 JP 2808504B2 JP 3258713 A JP3258713 A JP 3258713A JP 25871391 A JP25871391 A JP 25871391A JP 2808504 B2 JP2808504 B2 JP 2808504B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子回路、特にフレキ
シブルプリント回路用基板としての使用に適した銅蒸着
基材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フレキシブルプリント回路用基板
としては、一般に厚さが10μm〜100μm程度の銅
箔を接着剤により合成樹脂フィルム基板に貼りつけたも
のが広く用いられている。この基板の銅箔面に、スクリ
ーン印刷またはフォトレジスト法により回路パターンを
形成し、次いで塩化第二鉄などのエッチング液を用いる
湿式エッチング法により非回路部分の銅箔を溶解・除去
することによりフレキシブルプリント回路が得られる。
【0003】しかしながら、銅箔が10〜100μmの
厚さを有しているため、得られるフレキシブル基板の可
撓性が悪くなるのみならず、曲げにより銅箔が樹脂フィ
ルム基板から剥離する問題があるため、大なる可撓性を
要求される用途(例えば電子式卓上計算器の接点回路
等)には、不適となりかねない。更には、厚い銅箔のエ
ッチングのためには、時間ならびエッチング液が多く要
求されるためコスト高になるのみならず、サイドエッチ
ングにより寸法精度が低下するという問題も生ずる。こ
れらの問題を解決するために、銅箔を薄くする努力もな
されているが、使用する銅箔が薄いとピンホールが発生
して電子回路としての用をなさなくなったり、銅の圧延
技術上の問題もあるため、事実上10〜20μm程度が
実用的な銅箔の厚さの下限であり、上述した問題の解決
にはなっていない。
【0004】上述した銅箔を使用するフレキシブルプリ
ント回路用基板の問題点を除くために、銅箔の代りに樹
脂基板上に銅蒸着層を形成してフレキシブルプリント回
路用の銅蒸着基材を形成することも提案されている(特
開昭59−113040号、特公昭61−19707
号、特開昭61−183460号公報等)が、殆ど実用
化されていない。それは、蒸着(通常の真空蒸着に加え
て、より高価なスパッタリングあるいはイオンプレーテ
ィングを含めて)という一般に高価な薄膜形成プロセス
によって形成される銅蒸着層が、銅箔とコスト的に競合
し得るためには、その厚さを高々3μm程度までに抑え
る必要があるところ、このような薄い銅蒸着膜では自然
放置すると空気中の水分や酸素により容易に水酸化物や
酸化物に変化し、電気伝導度が低下して電子回路として
適合しなくなるからである。そのため銅蒸着基材は、上
記のような変質を生じないよう、例えば透湿度ならびに
酸素透過度の小さい高バリヤー性のフィルム袋中に、乾
燥剤(例えばシリカゲル)とともに封入して保管や輸送
を行うなどの条件のもとに、ごく少量が使用に供されて
いるに過ぎない。この銅蒸着層の変質の問題を解決する
ためには、銅蒸着層上に耐食性の良好なNi等の他の金
属蒸着層を設けたり(特開昭62−181488号公
報)、湿式法により更に銅メッキを施して合計厚さを5
μm程度まで増大することも提案されている(特開昭6
2−70029号公報)。しかしながら、これらも付加
的な工程を伴い、経済的でない。
【0005】従って、上述のような多くの問題点を含み
ながらも、従来のフレキシブルプリント回路用基板に
は、圧倒的に銅箔が用いられているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の事実
に鑑み、銅蒸着層の変質の問題を防止して信頼性のある
銅蒸着基材を提供することにより、従来の銅箔を使用す
る基材の問題点を併せて解消することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的で研究を進めたところ、従来からそれ自体は知られて
いる銅の防錆剤中のベンゾアゾール化合物は、銅蒸着層
に適用したときにも電気的特性の劣化を招かずその変質
の防止にかなりの効果を示すこと;また銅蒸着層の変質
はその表層からのみ起るのではなく、合成樹脂フィルム
基体側からも起ること、そしてこの基体側からの銅蒸着
層の変質は基体と銅蒸着層間に適当なプライマー層を設
けることにより、著しく防止可能であること;更に適切
なプライマー層の選択によりかなりの屈曲を伴う使用に
際しても充分耐え得る銅蒸着層−基体間の密着強度が得
られること、を知見した。
【0008】すなわち、本発明のフィルム状銅蒸着基材
は、このような知見に基づくものであり、合成樹脂フィ
ルム基体上に、架橋樹脂プライマー層、銅蒸着層および
ベンゾアゾール化合物を主成分とする防錆剤層を順次形
成してなることを特徴とするものである。
【0009】以下、本発明の銅蒸着基材の各部の構成に
ついて詳述する。
【0010】本発明の銅蒸着基材を構成する合成樹脂フ
ィルム基体としては、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ
フェニレンサルファイドフィルム等の合成樹脂単味のフ
ィルムあるいはシートに加えて、若干剛性を強化したガ
ラスクロス強化エポキシ樹脂フィルムあるいはシート、
アラミドペーパーなどが、その電気的絶縁性、耐熱性、
耐薬品性、機械的特性などから好適に使用される。なか
でもポリエチレンテレフタレートフィルムが上記特性お
よび経済性の観点から好ましい。合成樹脂フィルム基体
の厚さは、基本的には特に制約されないが、機械的強
度、可撓性などの観点から、一般に10〜100μmの
範囲が好ましい。
【0011】銅蒸着面を形成する架橋プライマー樹脂と
しては、一般に熱硬化性あるいは紫外線硬化性樹脂とし
て知られる不飽和ポリエステル樹脂、多官能アクリル樹
脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂等の本質的に架橋
性の樹脂、あるいはこれら架橋性樹脂を飽和ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂等に配合して得られた架橋性樹脂
の硬化物が用いられる。これら架橋プライマー樹脂層
は、それ自体で緻密な蒸着面を形成するとともに、蒸着
工程での収縮が少ないため形成される銅蒸着層との密着
性に優れ、ひいては銅蒸着層の変質防止に寄与している
ものと考えられる。
【0012】本発明者らの研究によれば、なかでも飽和
ポリエステル樹脂に架橋性成分を導入して得たポリエス
テル系架橋性樹脂の硬化物からなるプライマー層が銅蒸
着層との良好な密着性を与える上で最も好ましい。主成
分としての飽和ポリエステル樹脂は、一般にテレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸およびコハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン
酸の一種以上からなるジカルボン酸と、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールなどのグリコールあるいは多
価アルコールの一種以上との飽和重縮合生成物であり、
フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量
比)混合溶媒中、30℃での測定値として0.2−1.
5dl/g、特に0.4−0.7dl/g、の固有粘度
[η]に相当する分子量を有するものが好ましい。また
銅蒸着層との密着性を改善するために、ポリエステル主
鎖または側鎖にスルホン酸金属塩(アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩等)の基(例えば、SO3 Na基)、
あるいは第三級アミン基を導入して、SP(溶解度定
数)値を、8〜12、特に9〜10に調整したものが好
ましい。
【0013】上記した飽和ポリエステル樹脂に、銅蒸着
層との改善された密着性を付与するために、これと併用
される架橋性成分としては、メラミン樹脂;活性水素化
合物との組合せで用いられる多官能イソシアネート化合
物;遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの組合せで
用いられる亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等の二価
以上の金属化合物;あるいは各種(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ル酸、エポキシ(メタ)アクリレート化合物等の分子中
に一個または二個以上の重合性不飽和結合を有する化合
物が挙げられる。これら架橋性成分は、極めて少量でも
銅蒸着層との密着性を顕著に改善する効果があり、飽和
ポリエステル樹脂100重量部当り、0.1〜110重
量部、特に1〜80重量部の範囲が好適に使用される。
但し、重合性不飽和結合を有する化合物は、飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して、20〜500重量部
用いることができ、そのうち10重量%以上が、二個以
上の不飽和結合を有するか、あるいは一個以上の不飽和
結合に加えてエステル形成性のヒドロキシ基、カルボキ
シ基あるいはエポキシ基を有するものとすることが好ま
しい。
【0014】ポリエステル系架橋性樹脂には、更に架橋
性成分に応じて、リン酸やスズ化合物、過酸化物、光増
感剤等の架橋促進剤、あるいは酸化防止剤、界面活性
剤、作業性改善のための滑剤等の常用の添加剤が必要に
応じて添加される。
【0015】上記のポリエステル系架橋性樹脂は、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルム基体との間
で特に優れた密着性を有する架橋樹脂プライマー層を与
え、両者は最も好ましい組合せの一つといえる。
【0016】上述したような架橋性樹脂(組成物)は、
その系に応じて、無希釈で、有機溶剤もしくは水溶液と
して、あるいは水乳化液として、合成樹脂フィルム基体
上に塗布され、必要に応じて乾燥後、加熱あるいは紫外
線照射により硬化されて、架橋樹脂プライマー層を形成
する。例えばメラミン樹脂等の熱架橋性樹脂を架橋成分
とするポリエステル系架橋性樹脂の場合には、140〜
180℃の範囲に加熱して架橋することが好ましい。1
40℃未満では架橋が不充分となり、180℃を超える
温度では、合成樹脂フィルム基体材料にもよるが、その
収縮によるしわが発生し、安定した蒸着が困難となる。
【0017】プライマー層の厚さは、0.5μm〜4μ
mの範囲、更に好ましくは1〜2μmの範囲とすること
が好ましい。0.5μm未満の厚さでは、塗布むらによ
り銅蒸着層との密着が不均一となる。また4μmを超え
る厚さでは、樹脂の十分な架橋が困難となる。
【0018】上記のようにして形成した架橋プライマー
層上に銅蒸着層を形成する。銅蒸着は、スパッタリン
グ、イオンプレーティング等の一般にプラスチック基体
に対する良好な密着性を与えるものとして知られる方法
を用いることもできるが、本発明においては既に架橋プ
ライマー層の形成によりその上に形成される銅蒸着層と
の密着性は確保されているので、より経済的な狭義の真
空蒸着法により行うことが好ましい。使用する銅は、通
常の電気銅(純度99%以上)が用いられるが、特公昭
61−19707号公報に記載されるように、突沸防止
の目的で、銅よりも高融点であり、蒸着温度において銅
よりも蒸気圧が小さく銅よりも酸化され易い金属、例え
ばTiあるいはSiを、銅の1.5重量%まで同じルツ
ボ中に添加することができる。
【0019】銅蒸着層は、0.05〜10μm、特に
0.1〜3μmの範囲の厚さに形成することが好まし
い。0.05μm未満では、電子回路形成に必要な伝導
度が確保されず、またピンホール発生の可能性がある。
他方、10μmを超える厚さの銅蒸着層を形成すること
は不経済である。
【0020】このようにして形成された銅蒸着層は、架
橋樹脂プライマー層に対して良好な密着性を有する。こ
のような良好な密着性は、ポリエステル粘着テープ(日
東電気工業(株)製No.31C)を用いるクロスカッ
ト剥離試験により判定される。クロスカット剥離試験
(JIS D0202塗膜試験の準用)は、蒸着層に基
体あるいはプライマー層面に達する各11本(間隔1m
m)の切り傷を直交させて、1mm×1mmのマス目計
100個を形成し、そのマス目に粘着テープを貼り付け
た後、粘着テープを勢いよく剥し、残った蒸着層マス目
の数の多さにより、蒸着層と基体あるいはプライマー層
との密着度を判定するものである。従来、蒸着層の密着
性の評価のためには、一般に上記した粘着テープとし
て、セロテープ(ニチバン(株)製No.405)を用
いて行われていたが、繰り返し屈曲にさらされるフレキ
シブルプリント回路用基材においては、セロテープ・ク
ロスカット剥離試験において合格のサンプルであって
も、繰り返し屈曲により銅蒸着層の剥離が認められた。
従って、本発明では、フレキシブルプリント回路用基材
に必要な耐繰り返し屈曲性の判定のためにセロテープよ
りも粘着力の強いポリエステル粘着テープ・クロスカッ
ト剥離試験を行い、問題のないことが確認されたのであ
る(マス目残留率が、ほぼ100/100)。
【0021】また銅蒸着層の良好な密着性は、次の熱シ
ール剥離試験によっても確認された。すなわち、銅金属
面に対して良好な熱接着性を有することが確認されてい
るアイオノマー樹脂層を熱シール層として有する積層フ
ィルム(東レ(株)製「タフトップ」、厚さ120μ
m)を、サンプルの銅蒸着層面にシール幅5mm、シー
ル温度140℃、荷重1.5Kg、1秒の条件で熱シー
ルした(FUJI MFG製ショップシーラー(FS−
215型)使用)。この熱シールサンプルについて、
(株)東洋ボールドウィン製引っ張り試験機(UTM−
III−100)を用い、非シール端についてチャック
間距離30mm、引っ張り速度200mm/分、ストロ
ーク100mmの条件でT形剥離試験を行い、その剥離
力を測定した。本発明においては、この熱シール剥離試
験により5g/mm(25g/5mm幅)以上の剥離強
度が確保されている。また、本発明の範囲内で比較的剥
離強度の小さいときの剥離界面が、プライマー層/基体
であり、より剥離強度の大なるときは基体フィルムの破
壊の形態で剥離試験が終了しており、いずれにしても銅
蒸着層/プライマー層間の充分な密着強度が確認されて
いる。
【0022】本発明の銅蒸着基材は、上記した銅蒸着層
上に、ベンゾアゾール化合物を主成分とする防錆剤層を
形成してなる。
【0023】従来より、銅に対して防錆作用を示す化合
物としては、二環のベンゾアゾール化合物に加えて、単
環のイミダゾール、アルキルイミダゾール、トリアゾー
ル、あるいはロジン等が知られている。このうちロジン
は、防錆効果は良好であるが、電極パターン形成のため
のエッチング用レジストインキの塗布適性を損なう。ま
たイミダゾール、トリアゾール等は、防錆効果が乏し
い。他方、アルキルイミダゾールは、ベンゾアゾール化
合物以上の防錆作用を示すが、比較的厚い防錆層を形成
するため、銅蒸着層の電気特性を劣化し、またエッチン
グ用レジストインキの塗布適性も良好でない。
【0024】本発明で使用されるベンゾアゾール化合物
には、ベンゾイミダゾール、メルカプトベンゾイミダゾ
ール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メル
カプトベンゾチアゾールあるいはこれらの誘導体が含ま
れる。これらは、いずれも銅蒸着層に対して良好な防錆
作用を示し、電気特性への悪影響も少ないが、なかでも
良好な作用を示すものとして、ベンゾトリアゾールまた
は/およびその誘導体、特に水溶性アミン塩(例えば、
モノエタノールアミン塩、ジエチルアミン塩)が好まし
く用いられる。なかでも、ベンゾトリアゾールとその水
溶性アミン塩との重量比が1:0.1〜3の範囲の混合
物が好ましい。
【0025】上記ベンゾアゾール化合物は、水ないしア
ルコール可溶性であり、その約0.1〜5重量%程度の
溶液として銅蒸着層上に塗布される。溶液中には、必要
に応じて、非イオン性、両性の界面活性剤あるいは水溶
性可塑剤等が添加される。
【0026】銅蒸着層への適用に際しては、銅蒸着層を
形成した基体を上記溶液中に浸漬し、銅蒸着基材を引き
上げる方法が好適に使用されるが、スプレー、グラビア
コータあるいはハケ塗り等の方法によっても好適な防錆
層が形成される。このようにして形成される防錆層は、
ベンゾアゾール化合物の50〜1000Åと極めて薄い
層であり、銅蒸着層に対する優れた防錆作用を示す一方
で、その電気的特性を損なうことが少ない。
【0027】上記のようにして得られる本発明の銅蒸着
基材は、その後、所定のレジストインキの塗布、塩化第
二鉄水溶液等によるエッチング、半田付処理等を経て、
フレキシブルプリント回路として、電子式卓上計算器、
カメラ、時計、ビデオカメラ、電話機、音響機器、プリ
ンター表示機器、等に組み込まれる。
【0028】
【実施例】以下、実施例、比較例により、本発明を更に
具体的に説明する。実施例中、「部」および「%」は、
いずれも重量基準とする。
【0029】実施例1 飽和ポリエステル樹脂(SP値=9〜10)の30%溶
液(溶剤:シクロヘキサノン/エチルセロソルブ/ジオ
キサン=50/30/20、セイコー化成(株)製「U
Z164」)100部に対し、メチロール化メラミン
(同「M80」、固形分80%)20部および次亜リン
酸(50%溶液を更にMEKで10倍に希釈したもの)
5部を加え、これらをシクロヘキサノン/エチルセロソ
ルブ/ジオキサン(=50/30/20)混合溶媒10
0部に溶解してポリエステル系架橋性樹脂プライマー溶
液を得た。このプライマー溶液を、厚さ約38μmのP
ETフィルム(東レ(株)製「ルミラー」)上に120
メッシュのグラビアコーターで塗布し、加熱機中150
℃で3分間加熱して厚さ約2μmのポリエステル系架橋
プライマー層を形成した。
【0030】次いで上記のように処理したPETフィル
ムを真空蒸着機(日本真空(株)製ベルジャー試験蒸着
機「EBV−6DH」)中に配置し、蒸発源(純度9
9.99%Cuを投入)を約30cmの距離に配置し、
系内を3×10-5Torrまで排気した後、蒸着を行
い、プライマー層上に、厚さ約0.3μmの銅蒸着層を
形成した。
【0031】次いでこの銅蒸着層表面に、ベンゾトリア
ゾール系防錆剤(タツタ電線(株)製「パルC」:ベン
ゾトリアゾールとそのモノエタノールアミン塩との約
2:1混合物の約10%アルコール溶液)の、メタノー
ル50倍希釈液を200メッシュのグラビアコーターに
より塗布し、70℃で乾燥して厚さ約100Åの防錆層
を形成することにより、本発明の銅蒸着基材を得た。
【0032】比較例1 実施例1で用いたPETフィルム上に直接厚さ約0.3
μmの銅蒸着層を形成して、銅蒸着基材を得た。
【0033】 比較例2 防錆層を形成しないことを除いて、実施例1と同様にし
て銅蒸着基材を得た。
【0034】上記実施例1および比較例1、2で得た銅
蒸着基材のそれぞれを、幅15mm、長さ100mmに
スリットした後、不要な銅蒸着膜を塩化第二鉄溶液で除
去して導体幅0.5mmの帯状サンプル各10本を得
た。これら帯状サンプルについて、長さ方向の抵抗値を
測定したところ、5.1〜5.5Ωの初期値(R0 )を
示した。次いでこれら帯状サンプルを、60℃、90%
RHの恒温、恒湿試験槽中に放置し、所定時間経過後の
長さ方向抵抗値(Rt)を測定したところ、下表1の結
果が得られた。
【0035】
【表1】
【0036】上表1の促進劣化試験結果によれば、実施
例1の銅蒸着基材は、フレキシブルプリント回路用基板
として充分な耐久性を示したのに対し、比較例1および
2では著しい抵抗の増大で代表される銅蒸着層の変質が
顕著であり、特にプライマー層を設けなかった比較例1
の銅蒸着基材については劣化が激しいことが注目され
る。
【0037】実施例2 飽和ポリエステル樹脂溶液(「UZ164」)100部
に対し、メチロール化メラミン(「M80」)1部およ
び次亜リン酸(「p」)0.5部を加えたプライマー溶
液を用いて架橋プライマー層を形成した以外は、実施例
1と同様にして、銅蒸着まで行い、銅蒸着基材を得た。
【0038】比較例3 メチロール化メラミンおよび次亜リン酸を除いたプライ
マー溶液を用いてプライマー層を形成した以外は、実施
例1と同様にして銅蒸着まで行い銅蒸着基材を得た。
【0039】上記実施例2および比較例3の銅蒸着基材
ならびに実施例1において、銅蒸着まで行って防錆層形
成前の銅蒸着基材について、それぞれ上記本文記載のポ
リエステル粘着テープクロスカット試験および熱シール
剥離強度測定試験を行った。その結果を、次表−2に示
す。
【0040】
【表2】 *1:6点の平均 *2:6点ともPETフィルム層で破断 *3:4点の平均(残り2点はPETフィルム層で破
断)
【0041】上表−2の結果は、架橋性成分(メチロー
ル化メラミン)の量が飽和ポリエステル樹脂100部に
対し約3部と少い場合(実施例2)でも、53部とより
多い場合(実施例1)と比べてそれほど損色ないプライ
マー/銅蒸着層間密着強度が得られるのに対し、架橋成
分を欠き、架橋していないポリエステルプライマー層を
有する銅蒸着基材(比較例3)においては、ポリエステ
ル粘着テープクロスカット剥離試験ならびに剥離強度試
験においても充分なプライマー/銅蒸着層間密着強度が
得られていないことを示す。
【0042】実施例3 実施例1において用いた架橋性プライマー樹脂溶液の代
りに、架橋性アクリル系樹脂溶液(セイコー化成(株)
製「UB267」)を用い、硬化温度を180℃とし
て、厚さ2μmのアクリル系架橋プライマー層を形成し
た以外は、実施例1と同様にして本発明の銅蒸着基材を
得た。
【0043】実施例4 実施例1において用いた架橋性プライマー樹脂溶液の代
りに、架橋性ポリウレタン系樹脂溶液(ポリエステルポ
リオールをイソホロンジイソシアネートでポリウレタン
変性したポリウレタン樹脂溶液(溶剤:メチルエチルケ
トン、固形分25%、セイコー化成(株)製「UZ60
2」)100部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト(同「U−4000」、固形分75%)20部および
スズ系触媒(同「UY−5」)0.5部を加え、更にメ
チルエチルケトン150部に溶解したもの)を用いて、
厚さ2μmのポリウレタン系架橋プライマー層を形成し
た以外は、実施例1と同様にして本発明の銅蒸着基材を
得た。
【0044】上記実施例3および4で得られた銅蒸着基
材について、実施例1と同様にして行った促進劣化試験
の結果を、同じく防錆層形成前の銅蒸着基材についての
ポリエステル粘着テープクロスカット剥離試験結果とと
もに下表−3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】実施例5 実施例1と同じプライマー溶液を、厚さ約25μmのポ
リイミド(PI)フィルム(鐘淵化学工業(株)製「ア
ピカル」)上に120メッシュのグラビアコーターで塗
布し、加熱機中150℃で3分間加熱して厚さ約2μm
のポリエステル系架橋プライマー層を形成した。
【0047】次いで上記の様に処理したPIフィルム
に、実施例1と同様にして銅蒸着まで行い銅蒸着基材を
得た。
【0048】比較例4 メチロール化メラミンおよび次亜リン酸を除いたプライ
マー溶液を用いてプライマー層を形成した以外は、実施
例5と同様にして銅蒸着まで行い銅蒸着基材を得た。
【0049】実施例6 実施例1と同じプライマー溶液を、厚さ約16μmの芳
香族ポリアミド(PA)フィルム(東レ(株)製「アラ
ミドフィルム」)上に120メッシュのグラビアコータ
ーで塗布し、加熱機中150℃で3分間加熱して厚さ約
2μmのポリエステル系架橋プライマー層を形成した。
【0050】次いで上記のように処理したPAフィルム
に、実施例1と同様にして銅蒸着まで行ない銅蒸着基材
を得た。
【0051】比較例5 メチロール化メラミンおよび次亜リン酸を除いたプライ
マー溶液を用いた以外は、実施例6と同様にしてPAフ
ィルム上にプライマー層を形成した後、銅蒸着まで行な
い銅蒸着基材を得た。
【0052】上記実施例5および6の銅蒸着基材ならび
に比較例4および5の銅蒸着基材について、それぞれ上
記本文記載の熱シール剥離強度測定を行なった。その結
果を次表に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、合成
樹脂フィルム基体上に、架橋樹脂プライマーを形成して
から、銅蒸着層およびベンゾアゾール化合物からなる防
錆剤層を形成することにより、フレキシブルプリント回
路用基板として適した、耐久性に優れる銅蒸着基材が提
供される。これにより併せて銅箔を用いたフレキシブル
プリント回路用基板の不都合も解消される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/38 H05K 3/38 B (56)参考文献 特開 昭63−182895(JP,A) 特開 昭62−70029(JP,A) 特開 昭56−38465(JP,A) 特開 昭52−155679(JP,A) 特開 昭62−199482(JP,A) 特開 昭60−2681(JP,A) 特開 平2−49492(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 5/00 - 5/16 B32B 1/00 - 35/00 C23C 14/00 - 14/58 H05K 3/00 H05K 3/10 - 3/26 H05K 3/38 H05K 3/28 5G307,4F100,4K029, 5E342,5E343,SE314

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂フィルム基体上に、架橋樹脂プ
    ライマー層、厚さが0.1〜3μmの銅蒸着層およびベ
    ンゾアゾール化合物を主成分とする厚さが50〜100
    0Åの防錆剤層を順次形成してなることを特徴とする
    面導電性を有しフレキシブル回路基板としての使用に適
    した可撓性フィルム状銅蒸着基材。
  2. 【請求項2】 合成樹脂フィルム基体の厚さが10〜1
    00μmである請求項1に記載のフィルム状銅蒸着基
    材。
  3. 【請求項3】 架橋樹脂プライマー層が、ポリエステル
    系架橋樹脂からなることを特徴とする請求項1または2
    に記載のフィルム状銅蒸着基材。
  4. 【請求項4】 熱シール剥離試験により測定されるプラ
    イマー層と銅蒸着層との間の剥離強度が5g/mm以上
    である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム状銅蒸
    着基材。
  5. 【請求項5】 ベンゾアゾール化合物が、ベンゾトリア
    ゾールまたは/およびその水溶性アミン塩からなる請求
    項1〜4のいずれかに記載のフィルム状銅蒸着基材。
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