JP2005305379A - コーティング方法および接着構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーティング剤の重ね塗りが可能であり、優れたリコート性を付与するコーティング方法および接着構造体を提供する。
【解決手段】ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)を基材に塗布し、乾燥または硬化させた後、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥、硬化させるコーティング方法、および、そのコーティング方法によって得られた接着構造体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コーティング方法および接着構造体に関し、詳しくは、プラスチック、金属、モルタル、コンクリート、紙、木などの基材にコーティング剤を重ね塗りするコーティング方法およびそれにより得られた接着構造体に関する。本発明の方法は、多層構造体、塗装板、シール材、防水材などの接着製品の製造に有用である。
従来より、各種プラスチックフィルム同士の積層体、プラスチックフィルムとアルミ等の金属箔またはプラスチックベースの金属蒸着フィルムとの多層構造体、金属基材にコーティング層を設けた塗装板や金属缶などの製作においては、各種の接着剤が使用されている。自動車のガラスとボディーを接着するダイレクトグレージング用シーリング材、建築用の塗料、コーティング剤、目地止めシーリング材、モルタルやコンクリート床上に設ける防水材などの用途においても、その機能に従い各種の化合物が使用されている。
なお、本発明においては、プライマー、接着剤、塗料、印刷用インキ、フォーム、エラストマー等であっても、コーティグ操作が含まれる限り、上記の機能には拘らずにコーティング剤として把握し、以下、「コーティング剤」の用語をその様に使用する。
ところで、上記のコーティング剤の一例として、エステル結合を介して分子鎖中にカルボキシル基を有するポリオールとポリイソシアネート硬化剤から成る2液硬化型接着剤、ポリオールと数平均分子量200〜5000の特定のジヒドロキシカルボン酸とポリイソシアネート硬化剤とから成る2液型のドライラミネート用接着剤、ポリオールとピロメリット酸無水物の様な多塩基酸無水物とポリイソシアネート硬化剤とから成る複合ラミネート用接着剤などが知られている。
特開平3−281589号公報 特開平8−183943号公報 特開昭61−47775号公報
しかしながら、上記の接着剤は、次の様な問題を有している。すなわち、接着剤を基材に塗布し、乾燥または硬化させて第1の塗布層を形成した後、その上に接着剤を塗布して第2の塗布層を形成した場合、第1層と第2層との層間接着性が必ずしも十分ではなく、層間で剥離を起こす、すなわち、リコート性が悪い。
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、コーティング剤の重ね塗りが可能であり、優れたリコート性を付与するコーティング方法および接着構造体を提供するものである。
本発明者は、種々検討を重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)を基材に塗布し、乾燥または硬化させた後に、コーティング剤(B)を塗り重ねると、意外にも、層間剥離を起こすことなく、安定して良好な層間接着性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その第1の要旨は、ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)を基材に塗布し、乾燥または硬化させた後、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥、硬化させるコーティング方法に存する。
第2の発明の要旨は、基材に形成されたジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)の乾燥または硬化塗膜に、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥、硬化して得られた接着構造体に存する。
本発明によれば、コーティング剤の塗り重ねをすることが出来る。また、層間剥離を起こすことなく、優れたリコート性を有する接着構造体を形成することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のコーティング方法は、ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)を基材に塗布し、乾燥または硬化させた後に、その上にコーティング剤(B)を塗り重ねることである。
基材に塗布するコーティング剤(A)は、ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤である。なお、上記のコーティング剤とは、活性水素とポリイソシアネートとの反応を利用するウレタン系コーティング剤、ポリイソシアネートを含有しない非ウレタン系コーティング剤を包含する。したがって、コーティング剤中でジメチロールアルカン酸は、反応していてもよい。種々のコーティング剤中ウレタン系コーティング剤が好ましい。また、上記のコーティング剤とは、前述の通り、狭義のコーティング剤に限定されず、コーティング操作が含まれる限り、例えば、プライマー、接着剤、塗料、印刷用インキ、フォーム、エラストマー等を包含する概念である。
ジメチロールアルカン酸を含有するウレタン系コーティング剤としては、以下の1液型、2液型、3液型が挙げられる。
1液型コーティング剤としては、活性水素を有していてもよい合成樹脂および/またはポリオールとブロック型ポリイソシアネート硬化剤とジメチロールアルカン酸とを無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るコーティング剤が挙げられる。当該1液型コーティング剤は、所定の温度、例えば、通常80〜200℃に加熱して使用する。
2液型コーティング剤としては、活性水素を有していてもよい合成樹脂および/またはポリオールとジメチロールアルカン酸とを無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るA液とポリイソシアネート硬化剤を無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るB液とから成るコーティング剤、および、有機ポリイソシアネートとポリオールとの反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーから成るB2液とジメチロールアルカン酸のC液とから成るコーティング剤が挙げられる。当該2液型コーティング剤は、A液とB液、または、B2液とC液とを混合して、常温以上の温度で使用する。
3液型コーティング剤は、活性水素を有していてもよい合成樹脂および/またはポリオールを無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るA1液、ポリイソシアネート硬化剤を無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るB液、ジメチロールアルカン酸を無溶剤でまたは有機溶剤に溶解して成るC液とから成る。当該3液型コーティング剤は、A1液とB液とC液を混合して、常温以上の温度で使用する。
ジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸(分子量134)、ジメチロールブタン酸(分子量148)、ジメチロールヘプタン酸(分子量190)、ジメチロールノナン酸(分子量218)等が挙げられる。これらの中で、樹脂や有機溶剤に対する溶解性、ポリイソシアネート硬化剤との反応性、工業製品の入手の容易性の点から、ジメチロールブタン酸が好ましい。なお、上記のジメチロールアルカン酸の製造方法は、特に限定されず、例えば、アルデヒド類をアルドール縮合と酸化反応することによって製造される。
活性水素を有していてもよい合成樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの分子内に活性水素原子を有する合成樹脂と、塩化ビニル樹脂などの分子内に活性水素原子を有していない合成樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であってもよい。これらの合成樹脂の中ではポリウレタン樹脂が好ましい。なお、活性水素を有していてもよい合成樹脂には、イソシアネート化合物は必ずしも必要ではない。例えば、エポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂を硬化し得る1級、2級及び3級アミン化合物、酸無水物、カルボン酸化合物、アミド化合物などで硬化したもの、アルキッド樹脂を含むポリエステル樹脂の場合、メラミン樹脂などで硬化したもの、アクリル樹脂の場合、酸無水物やエポキシ化合物で硬化したものでもよい。
合成樹脂の数平均分子量は、通常100〜2,000,000、好ましくは500〜1,000,000である。数平均分子量が100未満の場合は、造膜性が悪く、硬化塗膜の強度などの物性が不十分である。また、数平均分子量が2,000,000を越える場合は、合成樹脂の有機溶剤への溶解性低下に伴い、ジメチロールアルカン酸やポリイソシアネート硬化剤との相溶性が悪くなり、良好な接着性を得るのが困難である。
合成樹脂は、固体、無溶剤の液体、溶液、分散液、ゾル、粉体などの如何なる形態でも使用できる。溶液、分散液、ゾルの場合、樹脂の媒体は有機溶剤でも水でもよい。そして、好ましい形態は、塗膜形成の反応の際は、液状であることが必要であるため、溶液、分散液、ゾル、無溶剤液体樹脂などの液状である。合成樹脂の固形分含量は、通常10〜100重量%、好ましくは20〜90重量%である。
合成樹脂としては、バルク反応または重合した樹脂、有機溶剤中または水中で反応または重合した樹脂が挙げられる。後者の例としては、溶液重合して得られた樹脂、または、水中で乳化重合、懸濁重合して得られた固体樹脂などが挙げられる。合成樹脂は、無溶剤系で、水系または有機溶剤系に溶解して使用する。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、セロソルブ類、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチレンジクロライド等が挙げられる。これらの溶剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。また、フタル酸エステル系エステル、トリメリット酸系エステル、アジピン酸系エステル等の脂肪族二塩基酸エステル、クエン酸系エステル、マレイン酸系ポリエステル、リン酸系エステル、エポキシ系エステル、パラフィン系エステル等の可塑剤も使用できる。
ポリウレタン樹脂は、フォーム、注型用エラストマー、シール材、防水材、溶液型樹脂などの何れの形態のものであってもよい。中でも、有機溶剤に溶解した溶剤型ポリウレタン樹脂が好ましい。
溶剤型ポリウレタン樹脂は、有機ポリイソシアネート、ポリオール、必要に応じ鎖延長剤および粘度調節剤から製造される。
有機ポリイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4´-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、TDIの水素添加物などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用してもよい。
ポリオールとしては、1分子中に水酸基を2個または2個以上有し、かつ、数平均分子量200〜10,000の化合物で、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。具体的に、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、低分子量ジオールまたは低分子量トリオール等と二塩基酸との重縮合より得られる化合物、および、低分子量ジオールまたは多価アルコールを開始剤として、ポリε−カプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等の開環反応により得られる化合物が挙げられる。上記の低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、上記の低分子量トリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、上記の二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール、炭素数4〜6の混合ジオール系ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。ポリブタジエンポリオールとしては、1,4−ポリブタジエンと1,2−ポリブタジエンからなるポリオールが挙げられる。水添ポリブタジエンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールを水素添加しパラフィン骨格を持った化合物が挙げられる。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の短鎖ジオール、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン等のジアミン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、水などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用してもよい。また、上記の分子量または粘度調節剤としては、モノアルコール、モノアミン、アルカノールアミンが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の製造は、有機ポリイソシアネートのNCO基とポリオールのOH基の比率を当量比で通常1.1:1〜15:1とし、NCO基とポリオールおよび鎖延長剤の合計したOH基の比率を当量比で通常1:1〜1:1.5として、有機溶剤中でジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物またはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物などの触媒存在下または非存在下、20〜120℃の温度で行う。この様にして得られた溶剤型ポリウレタン樹脂の平均分子量は、通常5,000〜500,000であり、かつ、得られるポリウレタン樹脂溶液の固形分は、通常15〜60重量%である。
イソシアネート基末端プレポリマーの製造は、有機ポリイソシアネートのNCO基とポリオールのOH基の比率を当量比で通常1.1:1〜15:1とし、有機溶剤存在下または非存在下、上記触媒存在下または非存在下、20〜120℃の温度で行う。この様にして得られたイソシアネート基末端プレポリマーの平均分子量は、通常200〜100,000であり、かつ、固形分は、通常15〜100重量%である。
本発明で使用する活性水素を有していてもよい合成樹脂と同様に使用することの出来るポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の原料として使用されるポリオールと同じ化合物が使用できる。
前記のブロックされていてもよいポリイソシアネート硬化剤としては、前記の有機ジイソシアネートと短鎖ジオールまたはトリオールとの末端イソシアネート基アダクト体、有機ジイソシアネートの二量体または三量体、有機ジイソシアネートのビュレット体、または、それらの末端イソシアネート基をオキシム化合物またはフェノール化合物でブロックした化合物などの無溶剤型、有機溶剤溶液、可塑剤溶液または水分散液としたものが挙げられる。
1液型、2液型、3液型コーティング剤におけるジメチロールアルカン酸の配合割合は、合成樹脂および/またはポリオールの固形分に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。ジメチロールアルカン酸の量が0.1重量%未満の場合は、接着性の付与効果が不十分であり、20重量%を越える場合は、有機溶剤に対する溶解性、合成樹脂および/またはポリオールとの相溶性が悪くなる。また、必要に応じジメチロールアルカン酸のカルボキシル基を前記3級アミン等で中和することも出来る。ポリイソシアネート硬化剤の配合割合は、合成樹脂および/またはポリオールが含有する活性水素基を水酸基として、合成樹脂および/またはポリオール及びジメチロールアルカン酸が有する全水酸基量に対し、固形分当たりの当量比として、通常NCO/OH=0.5/1〜20/1、好ましくは1/1〜10/1である。
塗り重ねに使用するコーティング剤(B)としては、ジメチロールアルカン酸を含有していない公知のコーティング剤および上述のジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤が挙げられる。層間接着性の点から、コーティング剤(B)としては、ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤が好ましく、特に、コーティング剤(A)と同一のコーティング剤がより好ましい。
基材に塗布するジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)および塗り重ねに使用するコーティング剤(B)は、必要により、各種顔料、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、硬化促進触媒などの添加剤を含有してもよい。
基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びその表面処理物、ポリエステル及びその表面処理物、ポリスチレン、塩化ビニル、ナイロン、ABS、ポリカーボネート、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などのプラスチック及び金属蒸着プラスチックが挙げられる。また、鋼およびその表面処理物、銅、アルミニウム等の金属、プレコートメタル、電着塗装板、ガラス、セラミックス、モルタル、コンクリート、紙、木などが挙げられる。
そして、塗布方法としては、従来公知の各種の方法を適宜採用することが出来る。例えば、刷毛塗り、ロール塗り、ブレード類、バーコーター、流し塗り、スプレー塗装、浸漬法などが挙げられる。また、コーティング剤が塗布された基材の乾燥の条件は、樹脂固形分や溶剤の種類によって異なるが、通常は20〜150℃の温度で5秒〜48時間乾燥処理する。塗布量は、樹脂固形分として通常0.5〜200g/m2である。
本発明の接着構造体は、基材にジメチロールアルカン酸を含有するウレタン系コーティング剤(A)を塗布し、乾燥または硬化させて得られた乾燥塗膜の上に、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥・硬化して得られる。ここで、乾燥塗膜とは、塗膜の表面に指を触れてもべとつきがない、所謂、タックフリー(指触乾燥)または半硬化の状態の塗膜から完全に硬化した塗膜を意味する。
例えば、コーティング剤(B)としてウレタン防水剤を使用する場合、接着構造体は、室温でコーティング剤(A)としてジメチロールアルカン酸を含有するプライマーをコンクリート等の基材に塗布し、その上に2液型のウレタン系防水剤を塗布して得られる。この場合、防水剤の塗布は、プライマーを塗布し、樹脂メーカーが推奨するオープンタイムを経過させてプライマー層中の有機溶剤をある程度揮発させた後に行われるが、得られた接着構造体は良好な層間接着性を示す。ここでのオープンタイムは、プライマーの種類、有機溶剤の種類、固形分、塗布量、塗布環境(温度、湿度)等によって異なり、一概に定まらないが、通常5分〜5時間の範囲である。
ジメチロールアルカン酸を含有しないプライマーを基材に塗布した場合は、塗布後、作業の事情などで防水剤の塗布前に時間をとり過ぎてプライマー塗膜がタックフリーになると、防水剤を塗布するためにコーティング剤を塗布しても接着不良を起す。しかしながら、本発明においては、基材に塗布するコーティング剤として、ジメチロールアルカン酸を含有するウレタン系コーティング剤(A)使用すると、コーティング剤(A)塗膜が乾燥または硬化によりタックフリー又は硬化塗膜となっても、コーティング剤(B)を重ね塗りすることが出来、得られた接着構造体は、層間接着性の優れた積層構造体である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」とは「重量部」、「%」とは「重量%」を示す。
実施例1
1液湿気硬化型ウレタンプライマーとして、旭硝子ポリウレタン建材社製サラセーヌP(商品名)」(固形分40%)100部にジメチロールブタン酸(以後DMBAと略す)0.8部(上記プライマー固形分に対し2%に相当)を添加し、50℃に加熱溶解してプライマー(1)を得た。
幅70mm、長さ70mm、厚さ20mmのモルタル基材にコーティング剤(A)としてプライマー(1)を刷毛で200μmの厚さとなる様に塗布し、20℃、50%RHで24時間放置(メーカ推奨のオープンタイムは4時間以内)して塗膜がタックフリーの状態になった後、同環境下でコーティング剤(B)としてプライマー(1)を刷毛で200μmの厚さとなる様に塗り重ね、更に、30分放置(塗膜は未乾燥でべとつきのある状態)後、2液ウレタン防水材である旭硝子ポリウレタン建材社製「サラセーヌK(商品名)」の主剤と硬化剤を1:2の重量比で混合して、得られた混合液をプライマー塗膜上に4mmの厚さとなる様に塗布して試験片を得た。
得られた試験片を23℃、60%RHで3日硬化させた後、カッターで25mmの幅に切れこみを入れ、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンRTM-500)を使用して基材と防水材層の接着性を剥離試験(50mm/分)で評価した。プライマー同士の接着性は良好で、剥離強度は5Kg/25mmであった。
実施例2
実施例1において、DMBAが配合されていないプライマー(サラセーヌP単独)をコーティング剤(B)として使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を得た。次いで、実施例1と同様に剥離試験を行った結果、プライマー同士の接着性は良好で剥離強度は4Kg/25mmであった。
比較例1
モルタル基材に1液湿気硬化型ウレタンプライマー(コーティング剤(A))として、DMBAが配合されていないプライマー(サラセーヌP単独)を使用し、刷毛で200μmの厚さとなる様に塗布し、20℃、50%RHで24時間放置(メーカ推奨のオープンタイムは4時間以内)し、塗膜がタックフリーの状態になった後、同環境下でサラセーヌPを刷毛で200μmの厚さとなる様に塗り重ね、30分放置(塗膜は未乾燥でべとつきあり)した以外は、実施例1と同様の方法により試験片を得た。実施例1と同様に剥離試験を行った結果、プライマーの第一層と第二層との間で剥離し、剥離強度は0.5Kg/25mmと不良であった。
実施例3
幅70mm、長さ150mm、厚さ0.1mmの無処理のアルミニウム基材に、デスモフェン1700(住化バイエルウレタン社製、ポリエステルポリオール、平均分子量2538、当量1269g/OH)69.1g、DMBA1.8g(全樹脂固形分中2%)、メチルエチルケトン29.6gを均一に溶解した液と、マイテック(商品名)GP105A(三菱化学社製、TDI/トリメチロ−ルプロパンアダクト体ポリイソシアネート硬化剤、固形分75%、酢酸エチル溶液、当量321g/NCO)25.3gを混合した、コーティング剤(A)としての2液型コーティング剤(1)(NCO/OH=1/1当量比)を200μmの厚さとなる様に塗布し、80℃で24時間乾燥、硬化した。
更に、その上にコーティング剤(B)として上述の2液型コーティング剤(1)を塗布し、80℃で30分、溶剤を揮発させべとつきのある状態で、実施例1と同様のアルミニウム基材を貼り合わせ、80℃で24時間硬化させ試験片とした。
20℃、50%RHの環境下で1日放置した後、実施例1と同様に剥離試験を行った結果、コーティング剤同士の接着性は良好で、剥離強度は2.5Kg/25mmであった。
実施例4
実施例3において、2液コーティング剤(1)の組成においてDMBAが配合されていない2液型コーティング剤をコーティング剤(B)として使用した以外は、実施例3と同様にして試験片を得た。次いで、実施例1と同様に剥離試験を行った結果、プライマー同士の接着性は問題なく剥離強度は2Kg/25mmであった。
比較例2
実施例3において、2液コーティング剤(1)の組成においてDMBAが配合されていない2液型コーティング剤をコーティング剤(A)として使用した以外は、実施例3と同様にして試験片を得た。次いで、実施例3と同様の方法により剥離試験を行った結果、コーティング剤の第一層と第二層との間で剥離し、剥離強度は0.7Kg/25mmと不良であった。
した。
実施例5
実施例1で使用したモルタル基材に、コーティング剤(A)として実施例1のプライマー(1)を刷毛で200μmの厚さとなる様に塗布し、20℃、50%RHで24時間放置して塗膜がタックフリーの状態になった後、後述のアクリル樹脂Aを刷毛で100μmの厚さとなる様に塗布し80℃で1時間乾燥して試験片を得た。
<アクリル樹脂溶液の合成>
冷却菅付き2リットルフラスコにメチルエチルケトン350g、トルエン350g、メチルメタクリレート210g、n-ブチルアクリレート90gを仕込み、均一混合し、70℃に加熱して窒素を導入した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3gを1時間間隔で3回加え、70℃2時間重合して固形分30%のアクリル樹脂Aの均一透明溶液を得た。
<接着性評価>
得られた試験片を20℃、50%RHの環境に24時間放置した後、同じ環境下で塗膜に1mm間隔で100個の切れ込みを入れ、碁盤目試験(セロテープ剥離)により、JISK5400に準拠して接着性を評価した。その結果、セロテープ剥離で剥がれなかった碁盤目数は100個/100個で接着性は良好であった。
比較例3
実施例5において、コーティング剤(A)として比較例1で使用したプライマーを比較例1と同様に塗布した以外は、実施例5と同様にして試験片を得た。次いで、実施例5と同様の方法により接着性を評価した。その結果、セロテープ剥離で剥がれなかった碁盤目数は5個/100個と接着不良であり、大部分は上下のコーティング層間で剥離していた。
実施例6
実施例1で用いたモルタル基材に、コーティング剤(A)として実施例1のプライマー(1)を刷毛で200μmの厚さとなる様に塗布し、20℃、50%RHで24時間放置して塗膜がタックフリーの状態になった後、その上にエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂、エポキシ当量190)100g、サンマイド(三和化学工業社製ポリアミド硬化剤、活性アミン水素当量125)100g、メチルエチルケトン50gを均一に混合した混合液を100μmの厚さとなる様に塗布し、80℃で1時間、乾燥して試験片を得た。
実施例5と同様にして接着性を評価した結果、剥がれなかった碁盤目数は100個/100個で接着性良好であった。
比較例4
実施例6において、コーティング剤(A)として比較例1で使用したプライマーを比較例1と同様に塗布した以外は、実施例6と同様にして試験片を得た。次いで、実施例5と同様の方法により接着性を評価した。その結果、セロテープ剥離で剥がれなかった碁盤目数は20個/100個と接着不良であり、大部分は上下のコーティング層間で剥離していた。

Claims (6)

  1. ジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)を基材に塗布し、乾燥または硬化させた後、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥、硬化させることを特徴とするコーティング方法。
  2. ジメチロールアルカン酸がジメチロールブタン酸である請求項1に記載のコーティング方法。
  3. コーティング剤がウレタン系コーティング剤である請求項1又は2記載のコーティング方法。
  4. 基材に形成されたジメチロールアルカン酸を含有するコーティング剤(A)の乾燥または硬化塗膜に、ジメチロールアルカン酸を含有してもよいコーティング剤(B)を塗布し、乾燥、硬化して得られることを特徴とする接着構造体。
  5. ジメチロールアルカン酸がジメチロールブタン酸である請求項4に記載の接着構造体。
  6. コーティング剤がウレタン系コーティング剤である請求項4又は5記載の接着構造体。
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JP2006002037A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Nippon Kasei Chem Co Ltd 下塗剤、コーティング方法および接着構造体
JP2013068963A (ja) * 2012-11-29 2013-04-18 Japan Atomic Energy Agency 着色した光透過性プラスチック部材および光透過性プラスチック部材の着色方法
JP2015199946A (ja) * 2014-03-31 2015-11-12 荒川化学工業株式会社 銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに導電性フィルム及び電極フィルム

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