JP2018080273A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び、その製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び、その製造方法 Download PDF

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嘉則 江藤
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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニル等の樹脂製基材に対し、良好な密着性を確保するとともに、耐薬品性や柔軟性などの他の塗膜特性を両立させることができる、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその製造方法を提供する。【解決手段】末端水酸基ポリブタジエンと、ポリイソシアネート化合物と、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートとの反応物である(メタ)アクリレートオリゴマーと、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートと、リン酸基を有する(メタ)アクリレートと、光重合開始剤、とを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により解決される。【選択図】無し

Description

本発明は、高い塗膜柔軟性と耐薬品性を有する活性エネルギー線硬化型組成物に関するものである。
従来より、建築物や車輌などの床仕上げ材としてポリ塩化ビニル(以下、PVC)などの樹脂製床材が広く使用されている。こうした樹脂製の床材は靴を履いて歩行する際の靴底との摩擦による汚れ(ヒールマーク)が付きやすいなど、一般的に耐薬品性に劣るため、通常は施工後にワックス処理などの防汚処理が施される。しかし、防汚性を維持する為に定期的に古いワックスを除去してから再度ワックス処理を行うといったメンテナンスを行わなければならない。それらメンテナンス作業はコストと時間がかかる上、廃液が大量に出るなどの環境面でのデメリットも多い。
ワックスなどの防汚処理が不要な床材として、紫外線や電子線などの活性エネルギー線により硬化する樹脂組成物を被覆した樹脂製床材が提案されている(特許文献1、2)。
特開平6−136668 特許平6−256444
しかしながら、これら活性エネルギー線により硬化する樹脂組成物により形成される塗膜は、耐薬品性には優れていても柔軟性が十分でなかったり、逆に、柔軟性には優れていても耐薬品性が十分でなかったりするなど、こうした性質を両立させることが出来ていない。
さらに、本発明者らによれば、前記先行技術文献開示の活性エネルギー線樹脂組成物では、PVC製の基材に対する密着性が十分ではないことがわかっている。
以上のように、PVC基材に従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を適用するとき、基材に対する密着性、柔軟性、耐薬品性など、塗膜に求められる各種特性をバランス良く充足することが困難であった。
本発明は、PVCなどの樹脂製基材に対し良好な密着性を有するとともに、柔軟な基材にも追従できるほどの柔軟性を有し、さらに良好な耐薬品性を持つという、これらの性質を全て兼ね備えた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、末端水酸基ポリブタジエンと、ポリイソシアネート化合物と、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートとの反応物である(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、(メタ)アクリレートオリゴマーともいう)を用いるとともに、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートと、リン酸基を有する(メタ)アクリレートと、光重合開始剤を用いることで、PVC基材等の柔軟な樹脂製基材表面への良好な密着性、柔軟性及び耐薬品性が全て両立しうるという知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいて以下の手段を提供する。
(1)(A)(a―1)末端水酸基ポリブタジエンと、(a―2)ポリイソシアネート化合物と、(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート、との反応物である(メタ)アクリレートオリゴマーと
(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートと、
(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートと、
(D)光重合開始剤と、を含む
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(2)前記(a―1)末端水酸基ポリブタジエンは、少なくとも1個以上の二重結合を有するものである、(1)記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(3)前記(a―2)ポリイソシアネート化合物は、非対称性の構造を有するものである、(1)又は(2)記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(4)前記(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートは、ビスフェノール骨格を有するものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(5)(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対し、(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートを50〜1000質量部含み、かつ
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーと(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して、
(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートを0.1〜2.5質量部、(D)光重合開始剤を5〜15質量部含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(6)前記(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートは、ジシクロペンテニル基を含むものである、(1)〜(5)いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(7)前記(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−ホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートからなる群より選ばれた一種以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(8)前記(D)光重合開始剤は、ベンゾフェノン骨格を有するものである、(1)〜(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び樹脂組成物の硬化膜を備える物品に関する。本明細書で開示される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、本樹脂組成物ともいう。)によれば、PVCなどの基材に対し良好な密着性を有するとともに、柔軟な基材にも追従できるほどの柔軟性を有し、さらに良好な耐薬品性を持つという、塗膜に求められる各種特性をバランス良く充足することができる。
本発明の開示を限定するものではないが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は以下のようなメカニズムにより、各種性能が発揮されていることが推測される。
すなわち、(メタ)アクリレートオリゴマー成分中のポリブタジエン骨格により、塗膜に柔軟性が発現すると考えられる。また、(メタ)アクリレートオリゴマー成分中のポリブタジエン骨格と、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート成分中の脂環式骨格が低極性であること、加えて前記(メタ)アクリレートオリゴマー成分が化学的に安定な芳香環を有することにより、前記のように柔軟性を有しながらも耐薬品性を発現できると推測される。リン酸基を有する(メタ)アクリレートは、塗膜のPVCへの浸透性を高め、基材との密着性を向上させていると推測される。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとを包含している。また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを包含している。
(A:(メタ)アクリレートオリゴマー)
本樹脂組成物は、(A)(a―1)末端水酸基ポリブタジエンと、(a―2)ポリイソシアネート化合物と、(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート、との反応物である(メタ)アクリレートオリゴマーを含有している。この(メタ)アクリレートオリゴマーを構成する各成分について説明する。
(a―1:末端水酸基ポリブタジエン)
本発明において、末端水酸基ポリブタジエンとは、末端がヒドロキシ基で修飾されたポリブタジエンである。ポリブタジエンを構成する構造単位としては、「1,4−ブタジエン単位」と「1,2−ブタジエン単位」とがある。
ここで、ポリブタジエンにおける、「1,4−ブタジエン単位」とは、下記化学式(1)又は(2)で表されるような構造単位であり、「1,2−ブタジエン単位」とは、下記化学式(3)で表されるような構造単位である。すなわち、1,4−ブタジエン単位を有する末端水酸基ポリブタジエンとは、下記化学式(1)又は(2)で表されるような「1,4−ブタジエン単位」を含有する末端水酸基ポリブタジエンであり、1,2−ブタジエン単位を有する末端水酸基ポリブタジエンとは、下記化学式(3)で表されるように側鎖に1,2−ビニル基を有する「1,2−ブタジエン単位」を含有する末端水酸基ポリブタジエンである。
[式中、nは2〜500の整数を示す。]
1,4−ブタジエン単位を有する末端水酸基ポリブタジエンとしては特に限定されないが、1,4−ブタジエン単位は、上記化学式(1)で表されるトランス−1,4−ブタジエン単位、上記化学式(2)で表されるシス−1,4−ブタジエン単位のいずれであってもよく、両者が混在していてもよい。
1,2−ブタジエン単位を主に有する末端水酸基ポリブタジエンの市販品としては、日本曹達株式会社のGシリーズ(両末端水酸基ポリブタジエン):G−1000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:85質量%以上)、G−2000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:85質量%以上)、G−3000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:90質量%以上)、GIシリーズ(両末端水酸基水素化ポリブタジエン):GI−1000、GI−2000、GI−3000(以上、日本曹達社製、商品名)が挙げられる。
1,4−ブタジエン単位を主に有する末端水酸基ポリブタジエンの市販品としては、例えば、Poly bd R−45HT、Poly bd R−15HT(1,2−ブタジエン単位の含有割合:20質量%、1,4−ブタジエン単位の含有割合:80質量%、出光興産社製、商品名)が挙げられる。
これらの末端水酸基ポリブタジエンは、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。1,2−ブタジエン単位を主に有する末端水酸基ポリブタジエン又は1,4−ブタジエン単位を主に有する末端水酸基ポリブタジエンを単独で用いても良いし、これらを組み合わせて用いても良い。塗膜の柔軟性という観点からは、水素添加をしていない末端水酸基ポリブタジエンが好ましく、その中でも1,4−ブタジエン単位を主に有する末端水酸基ポリブタジエンを用いることが特に好ましい。
末端水酸基ポリブタジエンの数平均分子量としては、500〜10,000が好ましく、1,000〜5,000が好ましい。さらに好ましくは1,500〜3,000の範囲である。かかる数平均分子量が小さすぎると、十分な柔軟性が得られない傾向があり、大きすぎると樹脂組成物としたときの粘度が高いものとなり作業性が低下する可能性がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定される値である。
測定装置:東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム :東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件:カラム温度40℃、溶媒テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
標準物質:ポリスチレン
試料:樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
(a―2:ポリイソシアネート化合物)
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
ポリイソシアネート化合物には、従来からポリウレタンの製造等に使用されているものが使用でき、例えば、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート化合物、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート化合物、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート化合物およびその粗製物、これらのポリイソシアネート化合物の変性物及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
上記脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’, α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
上記芳香族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ビフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート化合物の変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物;およびこれらの2種以上の混合物[例えば、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの効率的な合成という側面から、上記のポリイソシアネート化合物のうち、非対称性の構造を有するものが好ましい。すなわち、化合物中に複数存在するイソシアネート基の反応性が異なっているものが好ましい。こうした化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)が好ましい。これらの中でも、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が特に好ましい。
(a―3:少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート)
(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートは、1つ以上のエポキシ基と芳香環を併有するエポキシ化合物にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させて得られる(メタ)アクリレート化合物である。エポキシ基と、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルのカルボン酸が反応することにより、水酸基が発生する。本発明では、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートであれば特に制限なく公知のものを用いることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートの原料となるエポキシ化合物の具体例としては、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル等のフェニルジグリシジルエーテル;ビスフェノール−A型エポキシ化合物、ビスフェノール−F型エポキシ化合物、ビスフェノール−S型エポキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物等のハロゲノ化ビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物等を挙げることができる。
前記エポキシ化合物の市販品としては、三菱化学社製の「jER1001」、「jER1002」、「jER1003」、「jER1004」、「jER1007」、「jER1009」、「jER1010」、「jER828」、「jER807」、「jER152」、「jER154」、「jER157S70」、日本化薬製の「NC−3000」、「NC−3000−L」、「NC−3000−H」、「NC−3000−FH」、「NC−3000−FH−75M」、「CER−3000−L」、「NC−2000−L」、「XD−1000」、「NC−7000L」、「NC−7300L」、「EPPN−501H」、「EPPN−501HY」、「EPPN−502H」、「EOCN−1020」、「EOCN−102S」、「EOCN−103S」、「EOCN−104S」、「CER−1020」、「EPPN−201」、「BREN−S」、「BREN−105」、「EPPN−202」、「BROC」、「BROC−C」、「BR−250H」、「GAN」、「GOT」、「RE−303S−L」、「RE−301S」、「EOCN−102」、「EOCN−1025」、「EOCN−1027」、ダウケミカル社製の「DEN−438」、DIC株式会社製の「840」、「840−S」、「850」、「850−S」、「EXA−850CRP」、「850−LC」、「860」、「1050」、「1055」、「2050」、「3050」、「4050」、「7050」、「HM−091」、「HM−101」、「830」、「830−S」、「835」、「EXA−803CRP」、「EXA−830LVP」、「EXA−835LV」、「855」、「857」、「D−591」、「D−595」、「860−90X」、「1050−70X」、「1050−75X」、「1055−75X」、「1051−75M」、「HM−091−40AX」、「152」、「153」、「153−60T」、「153−60M」、「1121N−80M」、「1123P−75M」、「N−660」、「N−665」、「N−670」、「N−673」、「N−680」、「N−690」、「N−695」、「N−665−EXP」、「N−672−EXP」、「N−655−EXP−S」、「N−662−EXP−S」、「N−665−EXP−S」、「N−670−EXP−S」、「N−685−EXP−S」、「N−673−80M」、「N−680−75M」、「N−690−75M」、「N−730A」、「N−740」、「N−770」、「N−775」、「N−740−80M」、「N−770−70M」、「N−865」、「N−865−80M」、「HP−4032D」、「HP−4700」、「HP−4770」、「HP−5000」、「HP−6000」、「HP−4710」、「EXA−4850−150」、「EXA−4850−1000」、「EXA−4816」、「EXA−7200」、「HP−820」、ダイソー株式会社製の「LX−01」などが挙げられる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体、或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた単量体、(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。これらの内、エポキシ基に対する良好な反応性という観点からは、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
前記のエポキシ(メタ)アクリレートは、前記のようにエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を用いて自ら合成しても良いし、市販のものをそのまま用いても良い。自ら合成する場合には、その合成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により合成すれば良い。1つ以上のエポキシ基と芳香環を併有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を混合し、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。
例えば、1つ以上のエポキシ基と芳香環を併有するエポキシ化合物そのもの、あるいは化合物を含む溶液にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液が得られる。この反応性溶液を好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させることで、付加反応生成物であるエポキシ(メタ)アクリレートが得られる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合禁止剤としてはハイドロキノンもしくはハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。触媒としては、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミントリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビンなどが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートを前述のように自ら合成することなく市販品をそのまま用いる場合、具体的には以下のようなものが挙げられる。
ユニディックV−5500、V−5502(DIC株式会社製)エポキシエステル3000A、エポキシエステル3000MK、エポキシエステル3002M(N)、エポキシエステル3002A(N)、エポキシエステルEX−0205(共栄社化学株式会社製)、リポキシSP−1506、SP−1509、VR−60、VR−77、VR−90、R802(昭和高分子株式会社製)、ネオポール8026、8101、8125、8197、8250LMH、8260、8355、8360BR、8400、8411LH、8327、8351、8475、8476(日本ユピカ株式会社製)、BAEA−100、BAEM−100、BAEM−50、BEEM−50、BFEA−50、CNEA−100、PNEM−50、RNEA−100(ケーエスエム株式会社製)、デナコールアクリレートDA−250(ナガセケムテックス株式会社製)、GENOMER2263(Rahn AG 社製)、ビスコート#540(大阪有機社製)。
これらのエポキシ(メタ)アクリレートは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、耐薬品性に優れる塗膜が得られること観点から、2個以上の水酸基を持つジ(メタ)アクアリレートが好ましく、より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールE型エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、200〜3,000が好ましく、特には300〜1,000の範囲であることが好ましい。かかる数平均分子量が小さすぎると塗膜にする際に十分な架橋反応が起こらない可能性があり、一方で分子量が大きすぎると特に2個以上の水酸基を持つジ(メタ)アクアリレートの場合はポリイソシアネート化合物との反応点である水酸基が多くなりすぎるため、(メタ)アクリレートオリゴマーの合成が難しくなる可能性がある。
(A:(メタ)アクリレートオリゴマーの合成)
本発明では、前記の(a―1)末端水酸基ポリブタジエンと、(a―2)ポリイソシアネート化合物と、(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートを反応させることによって、(メタ)アクリレートオリゴマーと(A)を得る。反応に際しては、ウレタン化反応となるものであり、公知の反応手段を用いることができる。
ウレタン化反応の方法は特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法が考えられる。
(1):(a―1)末端水酸基ポリブタジエン、(a―2)ポリイソシアネート化合物、及び(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートを全て一括で仕込みで反応させる方法
(2):(a―1)末端水酸基ポリブタジエンと(a―2)ポリイソシアネート化合物とを反応させて末端イソシアネート基含有化合物を得るという第一段階を経て、次にその得られた末端イソシアネート基含有化合物と(a―3)子内に少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートを反応させる方法
(3):(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートと(a―2)ポリイソシアネート化合物とを反応させて末端イソシアネート基含有化合物を得るという第一段階を経て、次にその得られた末端イソシアネート基含有化合物と(a―1)末端水酸基ポリブタジエンを反応させる方法
前記(1)の方法による場合には、(a―1)、(a―2)及び(a―3)の化合物を全て一括で混合するが、各種化合物の混合比としては、ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基が無くなるような当量関係で混合する。すなわち、当量比(水酸基/イソシアネート基)は1.0〜3.0となるような割合であることが好ましい。さらに好ましくは、1.1〜2.0の範囲である。特に好ましくは、1.25〜1.75の範囲である。
前記(2)及び(3)の方法による場合には、第一段階の反応は、反応後にイソシアネート基が残存するような当量関係で仕込む。仕込み比を高くすると未反応のポリイソシアネート化合物が多く存在し、塗膜の柔軟性に影響を及ぼす場合がある。また仕込み比を小さくすると、分子量が高くなり、樹脂組成物の硬化性に影響を及ぼす場合がある。具体的に好ましくは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対し、(a―1)化合物又は(a―3)化合物の水酸基は0.1〜0.9モルが好ましく、0.3〜0.7モルがより好ましい。特に好ましくは、0.4〜0.6モルの範囲である。
第一段階の反応後、続いて残存するイソシアネート基に対し、(a―1)又は(a―3)の化合物を反応(第二の反応)させて得ることができる。
第二段階の反応は、第一の反応後に得られた中間体の末端イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基が無くなるような当量関係で仕込む。具体的に好ましくは、第一段階の反応後に得られた末端イソシアネート基含有化合物の残存イソシアネート基1.0モルに対し(a―1)又は(a―3)の化合物の水酸基を1.0〜3.0モル、さらに好ましくは1.5〜2.5モルである。特に好ましくは、1.75〜2.25の範囲である。
前記(1)、(2)及び(3)の全ての方法における各ウレタン化反応は、無溶剤で行うことができるが、作業性向上のため、アルコール性水酸基を有さない溶剤中で行っても良い。溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の単独又は混合有機溶媒中で行うことができる。
前記(1)、(2)及び(3)の全ての方法における各ウレタン化反応の反応温度は通常30〜150℃、好ましくは50〜100℃の範囲、反応時間は通常1〜15時間、好ましくは2〜10時間であるが、使用するポリイソシアネート化合物の反応性に応じて、適宜設定すれば良い。反応の終点はイシアネート量の減少で確認する。また、これらの反応時間の短縮を目的として触媒を添加してもよい。この触媒としては、塩基性触媒及び酸性触媒のいずれかが用いられる。塩基性触媒の例としては、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アンモニアなどのアミン類、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類を挙げることができる。また酸性触媒の例としては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリブトキシアルミニウム、チタニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、塩化アルミニウム、オクチル酸スズ、オクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズジアセテート等のルイス酸触媒を挙げることができる。これら触媒の添加量は、反応物100質量部に対して、通常0.005〜0.015質量部である。
各反応時には重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、3−ヒドロキシチオフェノール、p−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−p−ベンゾキノン、フェノチアジン等が挙げられる。その使用量は反応原料混合物に対し0.01〜1重量%である。
本発明においては、前記の3つのウレタン化反応の方法のうち、どの方法を用いるかについては特に限定されるものではないが、前記(2)の方法で行うことが特に好ましい。この反応方法を用いることで、ポリブタジエン骨格を中心で(メタ)アクリロイル基が末端に存在する(メタ)アクリレートオリゴマーを生成することができる。このようなオリゴマーであれば、後述の(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートや(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートとの架橋反応が容易となる。これにより十分な架橋密度を持ちつつも、良好な柔軟性を持つ塗膜を得ることが出来る。
(B:脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート)
本発明における脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限なく公知のものを使用することができる。脂環式骨格の炭素数は5〜10が好ましい。具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート,イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の環状構造を持つ多官能性(メタ)アクリレート類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち塗膜の耐薬品性という観点から、硬化物のTgが高いモノマーであるジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレートの中でも、(メタ)アクリロリルオキシ基とジシクロペンテニル骨格の間に、塗膜の柔軟性に貢献すると推測される炭素鎖を有するジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本樹脂組成物に含まれる脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの量は、塗膜として得たい性能を発揮できる柔軟性や耐薬品性等を付与することができる程度の量があれば良く、特に限定するものではない。例えば、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して50質量部以上1000質量部以下含有することができる。また、例えば、150質量部以上800質量部以下とすることができ、さらに300質量部以上500質量部以下とすることができる。脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの含有量がこうした範囲であると、樹脂組成物を塗装する際の粘度が低くなるため、粘度調整のための溶剤の量を低減又は無くすことが可能としつつ、柔軟性及び耐薬品性の良好な塗膜を得ることができる。
(C:リン酸基を有する(メタ)アクリレート)
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、分子中に、少なくとも1つのリン酸基を含有するとともに、1個又は2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば、特に限定することなく用いることができる。
こうしたリン酸含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、リン酸(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−(2−メタクリロイルオキシエチル)−ホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシプブチルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートが挙げられる。また、ブチロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、バレロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、プロピオラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレートが挙げられる。
好ましい具体例としては、2−(メタ)アクリルロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−ホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートが挙げられる。
本樹脂組成物に含まれるリン酸含有(メタ)アクリレートの量は、被塗物に対する密着性や耐薬品性等を付与することができるものあれば良く、特に限定するものではない。例えば、リン酸基を有する(メタ)アクリレートは、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー及び(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して0.1質量部以上2.5質量部以下含有することができる。また、例えば、0.5質量部以上1.5質量部以下とすることができる。リン酸基を有する(メタ)アクリレートの含有量がこうした範囲であると、十分に密着性を発揮させることができる。
(その他の(メタ)アクリレート)
本樹脂組成物は、(メタ)アクリレートオリゴマー、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びリン酸基を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを含むことができる。かかる(メタ)アクリレートは、被塗物の種類、求められる塗膜の特性等に基づいて適宜選択できる。
その他の(メタ)アクリレートとしては、特に限定するものではなく、公知の(メタ)アクリレートから適宜選択される。例えば、被塗面との密着性の観点からは、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、硬化膜の特性のコントロールの観点からは、例えば、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加トリアクリレート等を挙げることができる。また、その他のビニル化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物におけるその他の(メタ)アクリレートの含有量は特に限定するものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、その他の(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して0.5質量以上10質量以下含有することができる。また、例えば、1質量以上8質量以下とすることがで、さらに、例えば、1質量以上5質量以下とすることができる。
(D:光重合開始剤)
本発明に使用できる光重合開始剤(B)としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチル―0−ベンゾイルベンゾエート、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等の水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。
これらのなかでも、得られる塗膜の耐薬品性向上という観点からは、ベンゾフェノンを骨格に有するベンゾフェノン系の光重合開始剤が好ましい。特に好ましくはベンゾフェノンである。
本発明の樹脂組成物に含まれる光重合開始剤の量は、組成物を塗膜として適切に硬化できる程度の量があれば良く、特に限定するものではない。例えば、光重合開始剤は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー及び(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して1質量部以上30質量部以下含有することができる。また、例えば、5質量部以上15質量部以下とすることが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記のような範囲であると、硬化後の塗膜からの光重合開始剤がブリードアウトしたり、塗膜が黄変するなどの不具合が生じることのない良好な塗膜を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、前記光重合開始剤に併せて種々の光増感剤を含有しても良い。光増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、かつ紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。また、光硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。
本発明の樹脂組成物は、更に必要に応じて、接着性、密着性を改善するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の助剤、或いは濡れ性や表面平滑性を改善する助剤を公知任意の量加えることができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、前記成分以外の添加剤等をさらに添加してもよい。添加剤としては、顔料、染料、金属酸化物微粒子、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤、シリコーン系・フッ素系の消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤等を配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、無溶剤であっても塗工に適した低粘度を示すものであるが、必要に応じて有機溶剤を添加してもよい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、トルエン、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。
本樹脂組成物は、以上説明した各成分を混合し、撹拌することにより製造することができる。撹拌には、塗料製造等に用いられる一般的な撹拌装置を適宜選択して使用すれば良い。
本発明の樹脂組成物の粘度は特に限定されるものではなく、塗装方法に応じ、組成物配合を調整するなどして適宜調整すれば良いが、100mPa・s〜25000mPa・sの範囲であることが好ましく、500mPa・s〜10000mPa・sの範囲であることが特に好ましい。粘度がこの範囲であれば、高速塗工条件下であっても該樹脂組成物を均一な厚みで塗布することができる。
本樹脂組成物に、適切にエネルギー線を照射することにより、本樹脂組成物中の、少なくとも(メタ)アクリレートオリゴマー、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート、とリン酸基を有する(メタ)アクリレートとを含む組成物を重合させて硬化膜を得ることができる。この硬化膜によれば、基材への密着性を十分に有するとともに、耐薬品性、柔軟性にも優れる塗膜を提供することができる。
本発明の樹脂組成物を塗布する基材の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;セルロースアセテート(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ノルボルネン系樹脂(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂(例えば、(JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)などが挙げられる。これらの材質の中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂は、優れた密着性を示すので特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記基材の各種表面に、塗料等に一般的に用いられる、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等の手法を用いて供給することができる。また、オフセット印刷、活版印刷等の印刷方式でも良い。これらの中でも、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートは、より厚みが一定な塗膜が得られるため好ましい。
本発明では、樹脂組成物を基材に供給後、活性エネルギー線照射によって供給した樹脂組成物を硬化させる。活性エネルギー線は、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線、アルファー線、ベータ線、電子線、放射線、マイクロ波等からなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ、UV−LEDを有する照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整すれば良い。活性エネルギー線照射時には窒素雰囲気で実施することによって硬化障害を抑制したり、空気下で実施することで硬化制御を行ってもよい。雰囲気の酸素濃度の好ましい範囲は100ppm〜50体積%、更に好ましくは0.1〜21体積%である。
活性エネルギー線照射による硬化に先立ち、基材を加熱してもよい。樹脂組成物中に溶剤が含まれる場合には、基材を加熱することにより、その溶剤の揮散を助け又は留去させて、硬化後に密着性に優れた強靭な膜を得ることに寄与する場合がある。加熱温度は、特に限定するものではないが、例えば、60℃以上90℃以下とすることができ、また例えば、70℃以上90℃以下等とすることができる。加熱時間は、30秒以上10分以内であることが好ましい。
本樹脂組成物の活性エネルギー線による硬化の際の雰囲気温度及び活性エネルギー線量は特に限定されるものではないが、被塗物である基材の耐熱温度以下の雰囲気温度下で、活性エネルギー線を照射するのが好ましい。雰囲気温度として好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜80℃、更に好ましくは20〜60℃で、例えば、100〜3,000mJ/cm、また例えば、200〜2,000mJ/cm、また例えば、400〜1,500mJ/cm、また例えば、500〜1,000mJ/cmのエネルギー線を照射することにより実施することができる。雰囲気温度とエネルギー線量は独立に設定できるが、上記の好ましい条件を組み合わせたものがより好ましい。具体的には20℃、800mJ/cmで実施することが特に好ましい。
硬化膜の厚みは、特に制限はなく、使用用途により適宜選択すればよいが、1〜100μmであることが好ましく、十分な耐薬品性を発揮するために、5〜50μmが好ましい。膜厚は、塗工方法上の工夫によって適宜調整することができる。
以下、本樹脂組成物及びその製造方法を具現化した実施例を挙げて説明するが、本樹脂組成物及びその製造方法はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、部及び%は、それぞれ質量部及び質量%を表すものとする。
(a−3:少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートの合成)
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートを備えたフラスコにビスフェノールF型ジグリシジルエーテル(三菱化学株式会社製JER806、エポキシ当量160〜170)100部を仕込み80℃まで昇温させた。
次いでアクリル酸44部、重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.05部、トリフェニルホスフィン0.7部の混合物を滴下ロートより2時間かけて前記のフラスコに滴下した。
滴下終了後、105℃まで昇温して5時間撹拌させた。酸価(JIS K0070に準じた測定法により得られるもの)が2mgKOH/g以下に達したところで反応を終了し、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート(以下、X−1とする)を得た。
(合成例2)
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートを備えたフラスコにビフェニル型ジグリシジルエーテル(三菱化学株式会社製YX4000、エポキシ当量180〜192)100部を仕込み80℃まで昇温させた。
次いでアクリル酸38部、重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.05部、トリフェニルホスフィン0.7部の混合物を滴下ロートより2時間かけて前記のフラスコに滴下した。
滴下終了後、105℃まで昇温して5時間撹拌させた。酸価(JIS K0070に準じた測定法により得られるもの)が2mgKOH/g以下に達したところで反応を終了し、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート(以下、X−2とする)を得た。
(その他のエポキシ(メタ)アクリレートの合成)
(合成例3)
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートを備えたフラスコにポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製エポライト200E、エポキシ当量180〜192)100部を仕込み80℃まで昇温させた。
次いでアクリル酸38部、重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.05部、トリフェニルホスフィン0.7部の混合物を滴下ロートより2時間かけて前記のフラスコに滴下した。
滴下終了後、105℃まで昇温して5時間撹拌させた。酸価(JIS K0070に準じた測定法により得られるもの)が2mgKOH/g以下に達したところで反応を終了し、少なくとも1個の水酸基を有する(芳香環は有さない)エポキシ(メタ)アクリレート(以下、X−3とする)を得た。
(A:(メタ)アクリレートオリゴマーの製造)
(製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えたフラスコに、1,4−ポリブタジエンジオール(出光興産株式会社製、Polybd R−45HT)を100部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を18部仕込んだ後、重合禁止剤としてp-メトキシフェノールを0.05部、ウレタン化触媒としてジブチルスズラウレートを0.01部添加して、撹拌しながら55℃で2時間反応を行った。
2時間経過したのち、前記フラスコにビスフェノールA型エポキシアクリレート(DIC株式会社製「UNIDIC V−5500」、質量平均分子量1,300)を42部、ジブチルスズラウレートを0.02部添加した。反応温度を80℃まで上昇させ、そのまま8時間撹拌しながらさらに反応を行った。赤外分光光度計でイソシアネートのピークが消失したことを確認し、冷却して反応を終了させ、(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、A−1とする)を得た。
((メタ)アクリレートオリゴマーA−2〜A−11の製造)
表1に記載した配合にて、製造例1と同様の方法で各種の(メタ)アクリレートオリゴマーの製造を行った。
(表1中の用語の説明)
・Polybd R−45HT:出光興産株式会社製、1,4−ポリブタジエンジオール(末端水酸基液状ポリブタジエン)、Mn=2,800、水酸基価:46.6KOHmg/g
・Polybd R−15HT:出光興産株式会社製、1,4−ポリブタジエンジオール(末端水酸基液状ポリブタジエン)、Mn=1,200、水酸基価:102.7KOHmg/g
・G−2000:日本曹達株式会社製、1,2−ポリブタジエンジオール(両末端水酸基ポリブタジエン)、Mn=2,000、水酸基価:35〜55KOHmg/g
・GI−2000:日本曹達株式会社製、水素化1,2−ポリブタジエンジオール(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、Mn=2,100、水酸基価:35〜55KOHmg/g
・PEG−1000:三洋化成工業株式会社製、ポリエチレングリコール、Mn=1,000
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
・TDI:トルエンジイソシアネート(2,4−トルエンジイソシアネート(80%)と2,6−トルエンジイソシアネート(20%)の混合物)
・V−5500:DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ユニディックV−5500、Mw=1,300
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
(活性エネルギー線硬化性組成物の作製)
(実施例1)
製造例1で製造した(メタ)アクリレートオリゴマーA−1を100部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成株式会社製、ファンクリルFA−512AS)を400部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)を3部、光重合開始剤としてベンゾフェノンを50部配合し、1時間攪拌して活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例2〜22)
表2及び表3に記載した配合比に従って、実施例1と同様に、活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
(比較例1〜9)
表4に記載した配合比に従って、実施例1と同様に、活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
(試験板の作製)
作製した活性エネルギー線硬化性組成物をビニル床シート(田島ルーフィング株式会社製、パーマリューム、厚み2mm)に硬化塗膜厚が20μmとなるようロールコーターで塗装し、高圧水銀ランプ(アイグラフィック株式会社製)を使用して積算光量800mJ/cmで紫外線外線を照射し、塗布した組成物を硬化させて試験板を得た。
なお、実施例9は作製した組成物にメチルイソブチルケトン(MIBK)を150部、実施例10は作製した組成物にMIBK100部、比較例1は作製した組成物にMIBK200部をそれぞれ添加し、撹拌混合して均一な溶液にしたのちに、前記のようにロールコーターで塗装した。塗装後は常温で静置してMIBKを蒸発させた。その後、他の実施例と同様に紫外線照射を行って硬化させ、試験板を得た。
(評価)
<硬化性評価>
各試験板作製後の塗膜の硬化性を、指触及び爪で強く引っ掻くことにより、以下の評価基準で評価した。
◎:表面にタックがなく爪で傷つくこともない。
○:表面にタックはないが、爪で傷がつく。
△:表面にタックがあり、爪で傷もつく。
×:未硬化。
<耐薬品性試験>
(イソジン・ピオクタニンブルー)
各試験板上にイソジン(登録商標)うがい薬(明治製菓株式会社製、1mL中ポビドンヨード70mg含有)または0.1%ピオクタニンブルー水溶液に浸したガーゼを置いて24時間そのまま静置した。その後、ガーゼを取り除いて各試験板を水洗し、塗膜の変色度合いを観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・外観異常はほとんど見受けられない。
○・・・汚染による外観異常が若干見受けられる。
△・・・汚染物を除去出来るが外観異常が見受けられる。
×・・・汚染物が除去出来ずに著しい外観異常がある。
(酸化染毛剤)
各試験板上に酸化染毛剤(ホーユー株式会社製、商品名「メンズビゲンスピーディーII」)を塗り、30分間静置した。その後、酸化染毛剤を拭き取り、塗膜の変色度合いを観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・外観異常はほとんど見受けられない。
○・・・汚染による外観異常が若干見受けられる。
△・・・汚染物を除去出来るが外観異常が見受けられる。
×・・・汚染物が除去出来ずに著しい外観異常がある。
<柔軟性試験>
各試験板を幅5cm、長さ15cmの大きさに切り取ったものを、5℃の雰囲気下で30分間冷却した。その後、そのまま5℃の雰囲気下で、冷却した試験板の中央(非塗装面)に直径3mmの鉄心を押し付け、その鉄心を軸にして試験板を180°折り曲げて、塗膜に割れを生じるかを観察した。
○・・・外観異常なし
×・・・塗膜にクラックが生じる、または、基材ごと破断。
<密着性試験>
試験板に、カッターナイフの切り刃を30度に保持して、素地に達するよう2mm間隔の平行線を11本引き、それらの平行線に直交する2mm間隔の平行線を11本引いて、塗膜に100個の碁盤目を形成した。この碁盤目の上に接着テープ(ニチバン社製の工業用セロハンテープ)を気泡が残らないように指先で均一に圧着させた後、接着テープの端を持ち、塗膜面に対して60度の角度で引っ張って塗膜面からテープを剥がした。テープを剥がしたあと、100個の碁盤目の剥がれの数を確認し、以下のように評価を行った。形成した100個の碁盤目の剥がれた数が少ないほど、密着性が良好であることを意味する。
◎・・・塗膜の剥離が全く認められない
〇・・・100個の碁盤目のうち剥離したものが1個以上10個未満
△・・・100個の碁盤目のうち剥離したものが10個以上20個未満である
×・・・100個の碁盤目のうち全てが剥離したものが20個以上である。
(表2、表3及び表4中の用語の説明)
・FA−512S:日立化成株式会社製、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ファンクリルFA−512S
・FA−BZA:日立化成株式会社製、ベンジルアクリレート、ファンクリルFA−BZA
・P−1M:共栄社化学製、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、ライトエステルP−1M
・P−2M:共栄社化学製、ジ−(2−メタクリロイルオキシエチル)−ホスフェート、ライトエステルP−2M
・ホスマーPP:ユニケミカル社製、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート
・ホスマーPE:ユニケミカル社製、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート
・アロニックスM−5400:東亞合成株式会社製、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート
・イルガキュア184:BASF社製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・イルガキュア754:BASF社製、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物
・イルガキュアTPO:BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
(実施例1〜22)
表2及び表3に示すように、本発明の通りの実施例1〜22の樹脂組成物は、硬化性、耐薬品性、柔軟性、密着性の全ての評価項目で良好な結果が得られている。
(比較例1〜3)
脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートを含まない比較例1の樹脂組成物では、耐薬品性に乏しいことに加えて、密着性も十分ではない。一方で、(メタ)アクリレートオリゴマーを含まない比較例2の樹脂組成物では、硬化性が悪く、評価可能な塗膜を得られていない。さらに、リン酸基を有する(メタ)アクリレートを含まない比較例3の樹脂組成物では、硬化性及び耐薬品性については良好であるものの、密着性は極めて悪い。これらの結果より、本発明の通りに、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の全てを含むことによって十分な性能が発揮されることがわかる。
(比較例4〜7)
(A)成分において、少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートではなく、ポリエチレングリコールを主鎖とするエポキシ(メタ)アクリレートを使用した比較例4の樹脂組成物では、耐薬品性に乏しい結果となっている。(A)成分において、末端水酸基ポリブタジエンではなく、ポリエチレングリコールを使用した比較例5の樹脂組成物では耐薬品性が悪い。また、エポキシ(メタ)アクリレートではなく、ヒドロキシエチルアクリレートを使用した比較例6でも、耐薬品性が悪い。さらに、オリゴマーではなく、エポキシ(メタ)アククリレートをそのまま用いた比較例7では、硬化性及び耐薬品性は良好であるものの、柔軟性に乏しく、密着性も悪いことがわかる。
これらの結果より、(A)成分においては、(a―1)水酸基末端ポリブタジエン、(a―2)ポリイソシアネート化合物、及び(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートの反応物であるオリゴマーを使用したときに、十分な性能を発揮することがわかる。
(比較例8、9)
(B)成分において、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートではなく、ベンジルアクリレートを使用した比較例8では、耐薬品性に乏しい。(C)成分において、リン酸基を有する(メタ)アクリレートではなく、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを使用した比較例9では、基材に密着しないことがわかる。
これらの結果より、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートは耐薬品性に寄与し、リン酸基を有する(メタ)アクリレートは基材への密着性に寄与していることがわかる。

Claims (8)

  1. (A)(a―1)末端水酸基ポリブタジエンと、(a―2)ポリイソシアネート化合物と、(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレート、との反応物である(メタ)アクリレートオリゴマーと
    (B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートと、
    (C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートと、
    (D)光重合開始剤と、を含む
    活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(a―1)末端水酸基ポリブタジエンは、少なくとも1個以上の二重結合を有するものである、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(a―2)ポリイソシアネート化合物は、非対称性の構造を有するものである、請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(a―3)少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の芳香環を有するエポキシ(メタ)アクリレートは、ビスフェノール骨格を有するものである、請求項1〜3記載のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対し、前記(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートを50〜1000質量部含み、かつ
    前記(A)(メタ)アクリレートオリゴマーと前記(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して、
    前記(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートを0.1〜2.5質量部、前記(D)光重合開始剤を5〜15質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(B)脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートは、ジシクロペンテニル基を含むものである、請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(C)リン酸基を有する(メタ)アクリレートは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−ホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートからなる群より選ばれた一種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(D)光重合開始剤は、ベンゾフェノン骨格を有するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
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