JP2020070368A - 不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物 - Google Patents

不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種耐久性に優れた不連続金属薄膜含有複層塗膜を提供することができる、トップコート用塗料組成物およびアンダーコート用塗料組成物を提供すること。【解決手段】 水酸基含有樹脂(A−1)、ポリイソシアネート化合物(B−1)、およびシランカップリング剤(C−1)を含む、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物であって、ポリイソシアネート化合物(B−1)は、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含む、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。および、水酸基含有樹脂(A−2)、ポリイソシアネート化合物(B−2)、およびシランカップリング剤(C−2)を含む、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物であって、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80℃未満である、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に関する。
不連続金属薄膜は、光輝性を有しており金属光沢外観を呈する一方で、電磁波透過性能も有している。このような不連続金属薄膜は、例えば、電磁波の受発信により相互認証を行うシステムまたは電子制御を行うシステムの部材に対して、光輝性または金属光沢外観をもたらすことができるため、意匠性を高めることができ、意匠選択可能性を広げることができる利点がある。このような不連続金属薄膜は、例えば、自動車のフロント部、自動車のドアハンドル、車搭載通信機器、携帯電話、携帯情報端末機器、電磁波の受発信システムを有する各種家電製品および住宅設備などにおいて用いられているか、あるいは使用の検討が行われつつある。
例えば特開2011−178887号公報(特許文献1)には、基材上に形成されたスズ薄膜またはインジウム薄膜と、該スズ薄膜またはインジウム薄膜に隣接して形成された下塗り層および上塗り層とを備えた複合塗膜において、前記下塗り層および/または上塗り層が、塗膜形成成分と金属石ケンとを含むスズ薄膜またはインジウム薄膜用塗料組成物より形成されたことを特徴とする複合塗膜について記載される(請求項1、2)。この複合塗膜は、金属独特の風合いを有し、意匠性に優れると記載される。
特開2012−225041号公報(特許文献2)には、車両のドアに設けられたドア開閉用のドアハンドルと、このドアハンドルに配置された電極と、人体部分の前記ドアハンドルへの接近または接触によって前記電極の付近に生じる静電容量の変化を検出してロックまたはアンロックの操作信号を出力する検出回路と、前記操作信号によって前記ドアのロックまたはアンロックを実行する装置と、前記車両に対応する携帯機との間で送受信を行うための送受信アンテナとを備え、前記ドアハンドルが絶縁体からなる基体を有し、前記基体の少なくとも車両外側面には、SiO及びAlの少なくともいずれかで構成され、前記基体の表面に被着された無機薄膜層と、互いに分離された島状の金属粒子の集合からなり、前記無機薄膜層の表面に被着された金属薄膜層とが設けられているドア開閉装置について記載される(請求項1)。このドア開閉装置は、優れた金属光沢を有しており、かつ、誤作動または不作動が生じ難い利点があると記載される。
特開2011−178887号公報 特開2012−225041号公報
例えば上記特許文献2に記載されるような車両のドアハンドル部品は、車両の外側に設けられる部品であるため、耐候性(耐紫外線耐久性、耐水性など)に優れることが必要とされる。車両のドアハンドル部品はさらに、車両の搭乗者が頻繁に触れる部品であることから、搭乗者の手に付着する汗、水分および油脂に対する耐久性、さらには耐擦傷性もまた必要とされる。車両のドアハンドル部品はさらに、車両の搭乗者が乗車する際に視界に入る部品であることから、高意匠性を長期間維持する性能もまた求められる。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、各種耐久性に優れた不連続金属薄膜含有複層塗膜を提供することができる、トップコート用塗料組成物およびアンダーコート用塗料組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
水酸基含有樹脂(A−1)、
ポリイソシアネート化合物(B−1)、および
シランカップリング剤(C−1)、
を含む、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物であって、
上記ポリイソシアネート化合物(B−1)は、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含む、
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
[2]
上記水酸基含有樹脂(A−1)の水酸基および上記ポリイソシアネート化合物(B−1)のイソシアネート基の当量比E1(NCO基/OH基)は、1.0〜3.0の範囲内である、
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
[3]
上記水酸基含有樹脂(A−1)は、1級水酸基および2級水酸基の両方を有し、上記水酸基の比率は、1級水酸基/2級水酸基=10/90〜80/20の範囲内である、
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
[4]
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80〜130℃の範囲内である、
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
[5]
上記シランカップリング剤(C−1)は、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるカップリング剤である、
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
[6]
水酸基含有樹脂(A−2)、
ポリイソシアネート化合物(B−2)、および
シランカップリング剤(C−2)、
を含む、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物であって、
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80℃未満である、
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
[7]
上記水酸基含有樹脂(A−2)の水酸基および上記ポリイソシアネート化合物(B−2)のイソシアネート基の当量比E2(NCO基/OH基)は、0.3〜0.95の範囲内である、
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
[8]
上記シランカップリング剤(C−2)は、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるカップリング剤である、
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
[9]
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物、および、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を含む、不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セット。
[10]
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物における上記当量比E1(NCO基/OH基)および上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物における上記当量比E2(NCO基/OH基)が、下記式
E1/E2=1.3〜4
を満たす、不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セット。
[11]
被塗物に、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装してアンダーコート層を設ける、アンダーコート層形成工程、
上記アンダーコート層の上に不連続金属薄膜を設ける、不連続金属薄膜形成工程、
上記不連続金属薄膜の上に、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を塗装して、トップコート層を設ける、トップコート層形成工程、および
上記アンダーコート層およびトップコート層を硬化させる、硬化工程、
を包含する、不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法であって、
上記不連続金属薄膜は、インジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金を含む、
不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法。
[12]
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物における当量比E1(NCO基/OH基)および上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物における当量比E2(NCO基/OH基)が、下記式
E1/E2=1.3〜4
を満たす、上記形成方法。
上記アンダーコート用塗料組成物および不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を用いて形成される複層塗膜は、耐候性(耐紫外線耐久性、耐水性など)、耐久性、耐擦傷性に優れるという利点がある。この複層塗膜を部材に形成することによって、不連続金属薄膜による金属調加飾を施すことができる。この複層塗膜は、電磁波の受発信システムを有する各種部材において好適に用いることができる。
本明細書は、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物、そしてこれらの塗料組成物を含む不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セットについて開示する。そして上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を、下記工程:
被塗物に、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装してアンダーコート層を設ける、アンダーコート層形成工程、
アンダーコート層の上に不連続金属薄膜を設ける、不連続金属薄膜形成工程、
不連続金属薄膜の上に、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を塗装して、トップコート層を設ける、トップコート層形成工程、および
得られたアンダーコート層およびトップコート層を硬化させる、硬化工程、
において用いることによって、不連続金属薄膜含有複層塗膜を形成することができる。
以下、各塗料組成物について記載する。
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物は、
水酸基含有樹脂(A−1)、
ポリイソシアネート化合物(B−1)、および
シランカップリング剤(C−1)、
を含む。
水酸基含有樹脂(A−1)
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂(A−1)は、ポリイソシアネート化合物と反応して塗膜を形成する塗膜形成樹脂として機能する樹脂である。
水酸基含有樹脂(A−1)は、水酸基を有しておりポリイソシアネート化合物と反応して塗膜を形成する塗膜形成樹脂であれば特に限定されないが、水酸基含有アクリル樹脂および/または水酸基含有ポリエステル樹脂であることが、製造および入手が容易なことから好ましい。塗膜物性の調整の観点から、上記水酸基含有樹脂(A−1)として、水酸基含有アクリル樹脂を用いるのがより好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体および他のα,β−エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を、公知の方法で重合させることによって調製することができる。
水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、1級水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチル(メタ)アクリレート、プラクセルFM1(εーカプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート、ダイセル化学社製)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。2級水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートなどが挙げられる。
なお本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
上記他の不飽和単量体として、例えば、酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体が挙げられる。酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体の例として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などを挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸である。
水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体、酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体以外のα,β−エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、イソボルニル、シクロヘキシルなどの、(メタ)アクリル酸エステル単量体;
ビニルアルコールと、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸とのエステル化物である、ビニルアルコールエステル単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレンなどの重合性不飽和炭化水素単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性ニトリル単量体;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド単量体;
などが挙げられる。
水酸基含有アクリル樹脂は、溶液重合により調製するのが好ましい。溶液重合は、加熱条件下において、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和単量体を混合したものを重合開始剤と共に溶媒中へ滴下しながら撹拌する方法が一般的である。溶液重合する際の条件は、例えば、重合温度が60〜160℃、滴下時間が0.5〜10時間である。上記原料として使用するα,β−エチレン性不飽和単量体は、2段階に分けて重合することも可能である。この場合、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和単量体全体として、上記水酸基についての要件を満たしていればよい。
上記重合開始剤は、通常の重合に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、アゾ系化合物または過酸化物が挙げられる。一般に、単量体混合物100質量部に対する重合開始剤の量は0.1〜18質量部であり、好ましくは0.3〜12質量部である。
また、ここで用い得る溶媒は反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、アルコール、ケトン、エーテルおよび炭化水素系溶媒などが挙げられる。さらに、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタン、および、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。
上記水酸基含有樹脂(A−1)中の水酸基は、1級および2級の水酸基を含み、その含有比率(1級水酸基/2級水酸基)が水酸基価を基準として10/90〜80/20であるのが好ましく、30/70〜50/50であるのがより好ましい。1級水酸基はポリイソシアネート化合物との反応性が高いため、トップコート層内でポリイソシアネート化合物と良好に硬化反応が進行する。しかしながら、トップコート層内での反応が良好に進行する場合は、層間を超えた、トップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との硬化反応を阻害する可能性もある。
一方で、2級水酸基はポリイソシアネート化合物(B−1)との反応性が低い。そのため、層間を超えた、トップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との硬化反応を促進する特性がある。
従って、水酸基含有樹脂(A−1)中の水酸基における含有比率(1級水酸基/2級水酸基)が水酸基価を基準として10/90〜80/20であることによって、層間を超えた、トップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との硬化反応を確保することができ、不連続金属薄膜を間に含む複層塗膜の耐薬品性、耐溶剤性、耐候性を向上させることができ、さらに、トップコート層内における水酸基含有樹脂(A−1)およびポリイソシアネート化合物(B−1)の硬化反応性も確保することができる利点がある。
上記水酸基含有樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は、5000以上20000以下であるのが好ましく、5500以上15000以下であるのがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐薬品性、耐候性などがより向上するなどの利点がある。本明細書において、水酸基含有樹脂の数平均分子量は、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定することができる。
上記水酸基含有樹脂(A−1)の水酸基価は80〜220mgKOH/gであるのが好ましく、120〜190mgKOH/gであるのがより好ましい。水酸基価が80mgKOH/g未満である場合は、トップコート層の架橋密度が不十分となり、複層膜の耐薬品性、耐溶剤性、耐候性が低下するおそれがある。水酸基価が220mgKOH/gを超える場合は、多量のポリイソシアネート化合物が必要となるおそれがある。
また、水酸基含有樹脂(A−1)の酸価が0〜30mgKOH/gであることが好ましく、0.5〜7mgKOH/gであるのがより好ましい。水酸基含有樹脂(A−1)の酸価が上記範囲内であることによって、トップコート用塗料組成物の硬化性および硬化速度を適切な範囲に設計することができる利点がある。
上記水酸基含有樹脂(A−1)のガラス転移温度(Tg)は0〜100℃であることが好ましい。上記水酸基含有樹脂(A−1)のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると、良好な種々の薬品に対する耐久性や耐擦傷性が得られないおそれがある。上記水酸基含有樹脂(A−1)のガラス転移温度(Tg)が100℃を超えると、外観などが低下するおそれがある。水酸基含有樹脂のガラス転移点は、調製に用いた単量体の種類および量から計算によって求めることができる。また、水酸基含有樹脂のガラス転移点を、示差走査型熱量計(DSC)によって測定してもよい。
水酸基含有樹脂(A−1)として、上記以外の他の樹脂を併用してもよい。他の樹脂として、例えば、水酸基含有ポリカーボネート樹脂、水酸基含有ウレタン樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−1)
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれるポリイソシアネート化合物(B−1)は、水酸基含有樹脂と反応して塗膜を形成する成分である。そして上記ポリイソシアネート化合物(B−1)は、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含む。
不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれるポリイソシアネート化合物(B−1)が、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含むことによって、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂(A−1)との良好な硬化反応性を確保することができる。さらに、ポリイソシアネート化合物(B−1)が、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含むことによって、イソシアネート基の凝集力が高くなり、良好な種々の薬品に対する耐久性や耐擦傷性などを確保することができる利点がある。
本明細書における「炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネート」は、炭素数4〜5の脂肪族基を有するジイソシアネートを意味する。炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートの具体例として、例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネートなどが挙げられる。
炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体は、上記炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートを、必要に応じた触媒(例えば(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムパラ第三級ブチルベンゾエートなど)の存在下で環化反応させることによって調製することができる。
炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体として市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、三井化学社製、スタビオ(登録商標)D370N、D376N、XD3725Nなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−1)は、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体以外のイソシアネート化合物を含んでもよい。このようなポリイソシアネート化合物として、例えば、脂肪族または脂環族系のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
脂肪族または脂環族系のポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネートなどが挙げられ、また、これらから誘導されるイソシアヌレート化合物、ウレトジオン化合物、ウレタン化合物、アロファナート化合物、ビュレット化合物、トリメチロールプロパンとの付加物などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−1)中に含まれる、上記炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体の含有量は、40〜100質量%の範囲内であるのが好ましく、80〜100質量%の範囲内であるのがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B−1)の一分子あたりの平均イソシアネート基数は、3.0〜3.5であるのが好ましく、3.1〜3.3であるのがより好ましい。平均イソシアネート基数が上記範囲内であることによって、得られる複層塗膜の耐溶剤性、耐候性、耐水性などの性能が向上するなどの利点がある。
上記ポリイソシアネート化合物(B−1)中のイソシアネート基と上記水酸基含有樹脂(A−1)中の水酸基との当量比E1(NCO基/OH基)は、1.0〜3.0の範囲内であるのが好ましく、1.1〜1.8の範囲内であるのがより好ましい。当量比E1が1.0以上であることによって、層間を超えた、トップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との硬化反応を確保することができ、得られる複層塗膜の耐久性を向上させることができる利点がある。また、上記当量比E1が3以下であることによって、トップコート層の架橋密度を確保することができ、得られる複層塗膜の耐溶剤性、耐候性などを向上させることができる利点がある。
シランカップリング剤(C−1)
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物は、シランカップリング剤(C−1)を含む。シランカップリング剤(C−1)が含まれることによって、得られるトップコート層の、不連続金属薄膜に対する密着性が向上する利点がある。
シランカップリング剤(C−1)として、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するシランカップリング剤である。アミノ基含有シランカップリング剤の具体例として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などを挙げることができる。市販されているアミノ基含有シランカップリング剤である「KBM−602」、「KBM−603」、「KBE−603」、「KBM−903」、「KBE−903」、「KBE−9103」、「KBM−573」、「KBP−90」(いずれも商品名、信越化学工業社製)、および「XS1003」(商品名、チッソ社製)などを使用することもできる。アミノ基含有シランカップリング剤として、アミノシランの加水分解縮合物を用いることもできる。
エポキシ基含有シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有するシランカップリング剤である。エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例として、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。市販されているエポキシ基含有シランカップリング剤である「KBM−403」、「KBE−403」、「KBM−4803」(いずれも商品名、信越化学工業社製)などを使用することもできる。
イソシアネート基含有シランカップリング剤は、1分子中に少なくとも1つのイソシアネート基を有するシランカップリング剤である。イソシアネート基含有シランカップリング剤の具体例として、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤(C−1)として、上記以外のシランカップリング剤を用いることもできる。例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有シランカップリング剤;
p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル基含有シランカップリング剤;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;
3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド基含有シランカップリング剤;
などが挙げられる。
上記シランカップリング剤(C−1)は、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるカップリング剤であるのが好ましい。
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−1)の量は、上記水酸基含有樹脂(A−1)およびポリイソシアネート化合物(B−1)の合計固形分量100質量部に対して0.5〜25質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であることによって、得られるトップコート層の塗膜物性を確保しつつ、不連続金属薄膜に対する密着性を向上させることができる利点がある。
他の成分および不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の調製
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物は、上記成分以外に、必要に応じて、他の樹脂成分、顔料、有機または無機の微粒子、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、顔料分散剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物は、上記各成分(A−1)〜(C−1)および必要に応じた各成分を、通常用いられる手段によって混合することによって、調製することができる。
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物は、必要に応じて有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒を用いる場合は、上記成分(例えばイソシアネート基など)に対して不活性である有機溶媒を用いるのが好ましい。好ましい有機溶媒として、例えば、
プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒:
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒:
酢酸エチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、
酢酸イソプロピル、酢酸オクチル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、
酢酸プロピル、酢酸ヘプチルなどのエステル系溶媒:
などが挙げられる。
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の樹脂固形分濃度は、塗装条件によって異なるが、一般的には15〜60質量%に設定することが好ましく、40〜50質量%に設定することがより好ましい。
上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80〜130℃の範囲内であるのが好ましい。硬化塗膜のTgが上記範囲内であることによって、トップコート層としての良好な物性を確保することができ、得られる複層塗膜の耐候性および耐擦傷性などが向上するなどの利点がある。
本明細書において、硬化塗膜のTgは、塗料組成物を乾燥膜厚30μmとなるように塗装し、次いで80℃で30分間加熱硬化させて得られた硬化塗膜を用いて測定したTgをいう。
また本明細書において硬化塗膜のTgは、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。具体的には、動的粘弾性測定装置DVE−V4FTスペクトラー(レオロジ−社製)を用いて、上記で調整したフィルムを20nm×5mmにカットし、温度依存モードにて11Hzの基本正弦波歪で30℃から150℃まで毎分3℃上昇させ、測定して得られる損失正接tanδの最大となる温度をTgとして測定することができる。
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物は、
水酸基含有樹脂(A−2)、
ポリイソシアネート化合物(B−2)、および
シランカップリング剤(C−2)、
を含む塗料組成物である。そして、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80℃未満であることを条件とする。
水酸基含有樹脂(A−2)
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂(A−2)は、ポリイソシアネート化合物と反応して塗膜を形成する塗膜形成樹脂として機能する樹脂である。水酸基含有樹脂(A−2)として、水酸基を有しておりポリイソシアネート化合物と反応して塗膜を形成する塗膜形成樹脂であれば特に限定されないが、水酸基含有アクリル樹脂および/または水酸基含有ポリエステル樹脂であることが、製造および入手が容易なことから好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、上記水酸基含有アクリル樹脂の調製と同様の手順により調製することができる。
水酸基含有樹脂(A−2)中の水酸基は1級水酸基であるのが特に好ましい。1級水酸基はポリイソシアネートとの反応性が高いため、水酸基含有樹脂(A−2)中の水酸基として1級水酸基が多く含まれることによって、ポリイソシアネート化合物(B−2)、そして、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物中に含まれるポリイソシアネート化合物(B−1)と、良好に硬化反応が進行し、得られる複層塗膜の耐候性などが向上する利点がある。
上記水酸基含有樹脂(A−2)の重量平均分子量(Mw)は、1000以上20000以下であるのが好ましく、1500以上15000以下であるのがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、アンダーコート層の塗膜平滑性を向上させることができ、そして得られる複層塗膜の塗膜外観を良好なものとすることができる利点がある。
上記水酸基含有樹脂(A−2)の水酸基価は20〜170mgKOH/gであるのが好ましく、40〜150mgKOH/gであるのがより好ましい。水酸基価が上記範囲内であることによって、得られる複層塗膜の物性を良好な範囲に設計することができる利点がある。
また、水酸基含有樹脂(A−2)の酸価は、0〜20mgKOH/gであることが好ましく、0.5〜5mgKOH/gであるのがより好ましい。水酸基含有樹脂(A−2)の酸価が上記範囲内であることによって、アンダーコート用塗料組成物の硬化性および硬化速度を適切な範囲に設計することができる利点がある。
上記水酸基含有樹脂(A−2)のガラス転移温度(Tg)は0℃〜60℃であることが好ましい。上記水酸基含有樹脂(A−2)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることによって、複層塗膜の塗膜外観を向上させることができる利点がある。水酸基含有樹脂のガラス転移点は、上記(前記(A−1樹脂))と同様にして求めることができる。
水酸基含有樹脂(A−2)として、上記以外の他の樹脂を併用してもよい。他の樹脂として、例えば、水酸基含有ポリカーボネート樹脂、水酸基含有ウレタン樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−2)
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に含まれるポリイソシアネート化合物(B−2)は、水酸基含有樹脂と反応して塗膜を形成する成分である。なお、ポリイソシアネート化合物(B−2)は、上記炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含んでもよく、含まなくてもよい。
ポリイソシアネート化合物(B−2)として、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、および、これらから誘導されるイソシアヌレート化合物、ウレトジオン化合物、ウレタン化合物、アロファナート化合物、ビュレット化合物、トリメチロールプロパンとの付加物などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−2)の具体例として、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート−(1,11)、リジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロジシクロメタン、ω,ω’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−トリメチル−2,4−ビス(ω−イソシアナトエチル)−ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル‐2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび1,4−ジイソシアナトイソプロピルベンゼン、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物(B−2)として市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、旭化成社製デュラネートTPA100、TKA100、24A−100、P301−75E、コベストロ社製ディスモジュールN3300、N3900、N3200、N3400、ecoN7380、xP2860、東ソー社製コロネートHXなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B−2)の一分子あたりの平均イソシアネート基数は、2.5〜3.4であるのが好ましく、2.6〜3.2であるのがより好ましい。平均イソシアネート基数が上記範囲内であることによって、得られる複層塗膜の物理的性能が向上するなどの利点がある。
上記ポリイソシアネート化合物(B−2)中のイソシアネート基と上記水酸基含有樹脂(A−2)中の水酸基との当量比E2(NCO基/OH基)は、0.3〜0.95の範囲内であるのが好ましく、0.5〜0.8の範囲内であるのがより好ましい。当量比E2が0.95以下であることによって、後に形成されるトップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との、層間を超えた硬化反応を確保することができ、得られる複層塗膜の耐久性を向上させることができる利点がある。
シランカップリング剤(C−2)
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物は、シランカップリング剤(C−2)を含む。シランカップリング剤(C−2)が含まれることによって、得られるアンダーコート層の、不連続金属薄膜に対する密着性が向上する利点がある。
シランカップリング剤(C−2)として、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。このようなシランカップリング剤として、上記シランカップリング剤(C−1)と同様のシランカップリング剤を用いることができる。
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−2)は、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−1)と同種類のものであるのが好ましい。例えば、シランカップリング剤(C−1)がアミノ基含有シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤(C−2)がアミノ基含有シランカップリング剤を含むのが好ましい。
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−2)の量は、上記水酸基含有樹脂(A−2)およびポリイソシアネート化合物(B−2)の合計固形分量100質量部に対して0.5〜25質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であることによって、得られるアンダーコート層の塗膜物性を確保しつつ、不連続金属薄膜に対する密着性を向上させることができる利点がある。
他の成分および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の調製
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物は、上記成分以外に、必要に応じて、他の樹脂成分、顔料、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、顔料分散剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物は、上記各成分(A−2)〜(C−2)および必要に応じた各成分を、通常用いられる手段によって混合することによって、調製することができる。上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物は、必要に応じて有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒として、上述の有機溶媒を用いることができる。
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の樹脂固形分濃度は、塗装条件によって異なるが、一般的には15〜60質量%に設定することが好ましく、35〜50質量%に設定することがより好ましい。
上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80℃未満であることを条件とする。不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgが80℃以上である場合は、アンダーコート層の平滑性が劣ることとなり、その後に形成される不連続金属薄膜の外観が低下し、得られる複層塗膜の塗膜外観が低下するおそれがある。上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは30℃以上80℃未満であるのが好ましく、50℃以上80℃未満であるのがより好ましい。
不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セット
本明細書は、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物および上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を含む、不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セットを開示する。
上記不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セットにおいて、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物における上記当量比E1(NCO基/OH基)および不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物における上記当量比E2(NCO基/OH基)が、下記式
E1/E2=1.3〜4
を満たすのが好ましい。
E1/E2の値が上記範囲を満たす場合は、アンダーコート層内にOH基が多量に存在し、一方でトップコート層内にはNCO基が多量に存在する状態となる。これにより、トップコート層内のポリイソシアネート化合物(B−1)とアンダーコート層内の水酸基含有樹脂(A−2)との、層間を超えた硬化反応を確保することができ、これにより、得られる複層塗膜において不連続金属薄膜を良好に固定することができる利点がある。
また、不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セットにおいて、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−2)は、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物に含まれるシランカップリング剤(C−1)と同種類のものであるのが好ましい。シランカップリング剤(C−2)およびシランカップリング剤(C−1)が同種類であることによって、不連続金属薄膜をより良好に固定することができ、得られる複層塗膜の耐候性および耐薬品性を向上させることができる利点がある。
不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法
本明細書はさらに、
被塗物に、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装してアンダーコート層を設ける、アンダーコート層形成工程、
アンダーコート層の上に不連続金属薄膜を設ける、不連続金属薄膜形成工程、
不連続金属薄膜の上に、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を塗装して、トップコート層を設ける、トップコート層形成工程、および
得られたアンダーコート層およびトップコート層を硬化させる、硬化工程、
を包含する、不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法であって、
上記不連続金属薄膜は、インジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金を含む、
不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法、を開示する。
被塗物として、不連続金属薄膜による金属調加飾を施す対象である各種基材が挙げられる。基材として、例えば、ポリエチレン樹脂、EVA樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)、塩化ビニル樹脂、スチロール樹脂、ポリエステル樹脂(PET樹脂、PBT樹脂などを含む)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)などの樹脂;および、上記の樹脂のコンポジット材、上記の樹脂のハイブリッド材、さらに有機−無機ハイブリッド材などが挙げられる。これらは成形された状態であってもよい。
上記樹脂は、必要に応じて、有機溶媒を用いた蒸気洗浄が行われていてもよく、または中性洗剤を用いた洗浄が行われていてもよい。さらに、必要に応じたプライマー塗装が施されていてもよい。
被塗物に、上記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装してアンダーコート層を設ける(アンダーコート層形成工程)。不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の塗装は、通常用いられる塗装方法によって塗装することができる。塗装方法として、例えば、スプレー塗装、刷毛塗り、ロール塗り、流し塗りなどが挙げられる。塗装方法としてスプレー塗装が好ましく用いられ、特に、エアースプレー塗装による多ステージ塗装方法(好ましくは2ステージ塗装)、または、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化式の塗装機とを組み合わせた塗装方法などを用いることもできる。
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の塗膜の膜厚は、所望の用途などに応じて適宜選択することができる。膜厚は、例えば15〜35μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがさらに好ましい。
不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装した後、不連続金属薄膜を設ける前に、乾燥処理を行い、硬化塗膜を作製するのが好ましい。乾燥条件は特に限定されないが、例えば、60℃〜90℃の温度条件下で20〜60分間乾燥する方法などが挙げられる。不連続金属薄膜を設ける前に乾燥処理を行うことによって、塗膜の平滑性を確保し、これにより良好な鏡面性を有する不連続金属薄膜を設けることができる利点がある。
次いで、アンダーコート層の上に不連続金属薄膜層を設ける(不連続金属薄膜形成工程)。不連続金属薄膜は、金属粒子の薄膜を、島状の不連続状態(分散状態)でアンダーコート層の上に設けることによって、形成することができる。不連続金属薄膜を形成する金属として、例えば、インジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金が挙げられる。
不連続金属薄膜を形成する金属として、インジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金が好適に用いられる。例えばインジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金を、蒸着法またはスパッタリング法などによって、膜厚70nm以下の金属薄膜を形成することによって、不連続金属薄膜を形成することができる。上記膜厚は、60nm以下であるのが好ましく、50nm以下であるのがより好ましい。金属薄膜の膜厚を調節することによって、金属粒子の不連続状態を調整することができる。上記蒸着法およびスパッタリング法は、当業者に知られた方法によって行うことができる。例えば蒸着法においては、たとえば10−3〜10−2Pa程に減圧した真空容器内で金属を蒸発(気化)させる真空蒸発法で行うのが好ましい。
次いで、得られた不連続金属薄膜の上に、上記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を塗装して、トップコート層を設ける(トップコート層形成工程)。不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の塗装は、上記アンダーコート用塗料組成物の塗装と同様にして行うことができる。不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の塗膜の膜厚は、所望の用途などに応じて適宜選択することができる。膜厚は、例えば15〜35μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがさらに好ましい。
次いで、上記より形成されたアンダーコート層およびトップコート層を硬化させる(硬化工程)。上記硬化は、加熱硬化によって好適に行うことができる。加熱硬化温度および加熱時間は、被塗物である基材の種類、不連続金属薄膜を構成する金属の種類そして塗料組成物の種類に応じて、適宜選択することができる。加熱硬化温度は、例えば50〜120℃の範囲内であるのが好ましく、60〜120℃の範囲内であるのがより好ましい。加熱時間は一般に10〜120分間であり、20〜60分間であるのが好ましい。加熱装置は、当業者に通常用いられる装置を用いることができ、例えば、熱風、電気、ガス、赤外線等の加熱源を利用した乾燥炉などを用いることができる。
上記工程により、不連続金属薄膜を有する複層塗膜を形成することができる。そして上記アンダーコート用塗料組成物および不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を用いて形成される複層塗膜は、耐候性(耐紫外線耐久性、耐水性など)、耐久性、耐擦傷性に優れるという利点がある。この複層塗膜は、自動車のフロント部、自動車のドアハンドル、車搭載通信機器、携帯電話、携帯情報端末機器(タブレットパソコン、モバイル機器および電子手帳など)、電磁波の受発信システムを有する各種家電製品および住宅設備などにおいて好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物用の水酸基含有樹脂(A−1)(1)の製造
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入口および冷却管を備えた反応装置に、有機溶媒として酢酸ブチル140部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ、攪拌下125℃まで昇温した。
次に、単量体混合物として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.5部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート97.2部、スチレン45部、t−ブチルメタクリレート112.9部、n−ブチルアクリレート133.2部、メタクリル酸3.5部の混合物、および、重合開始剤(1)として、カヤエステルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート、化薬アクゾ社製)45部を酢酸ブチル90部に溶解した溶液を反応装置中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後1時間熟成させ、さらに、重合開始剤(2)としてカヤエステルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート)0.9部を酢酸ブチル10部に溶解して、1時間かけて反応装置中に滴下した。その後125℃を保ったまま2時間熟成させて冷却し、反応を終了して、水酸基含有アクリル樹脂を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量を、GPCを用いて測定したところ、7000であった。また不揮発分は65%であった。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の各種特数値を、下記表に示す。
製造例2〜4 水酸基含有樹脂(A−1)(2)〜(4)の製造
用いた単量体混合物が、下記表に示される単量体を含む単量体混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様の手順により、水酸基含有アクリル樹脂を調製した。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の各種特数値を、下記表に示す。
製造例5〜7 不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物用の水酸基含有樹脂(A−2)(1)〜(3)の製造
用いた単量体混合物が、下記表に示される単量体を含む単量体混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様の手順により、水酸基含有アクリル樹脂を調製した。
得られた水酸基含有アクリル樹脂の各種特数値を、下記表に示す。
Figure 2020070368
Figure 2020070368
トップコート用塗料組成物(1−1)の調製
容器に、調製した水酸基含有樹脂(A−1)を59.3部仕込み、攪拌しながら、BYK−310(ビッグケミー・ジャパン社製)0.3部、ビケトールスペシャル(ビッグケミー・ジャパン社製)0.3部、1%ジブチルスズジラウレート(DBTDL)の酢酸ブチル溶液0.4部、チヌビン292(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4部、チヌビン384−2(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.8部、酢酸ブチル18部、メチルエチルケトン(MEK)13部を順次容器に仕込み均一に攪拌し、トップコート用塗料組成物(1−1)の主剤とした。
また別の容器に、信越化学工業社製KBM−403を3.9部、三井化学社製スタビオ(登録商標)D370N(炭素数5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体)を19部、酢酸カービトール4部、メチルエチルケトン(MEK)2.4部を順次仕込み均一に攪拌し、トップコート用塗料組成物(1−1)の硬化剤とした。
主剤と硬化剤は上記を混合して塗料組成物とした。塗料組成物の不揮発分は51.2%であった。
トップコート用塗料組成物(1−2)〜(1−8)の調製
下記表に示す成分を表中に記載される量で用いて混合することによって、トップコート用塗料組成物の主剤、硬化剤を調製した。次いで得られた主剤および硬化剤を混合することによって、トップコート用塗料組成物(1−2)〜(1−8)を調製した。
Figure 2020070368
アンダーコート用塗料組成物(2−1)の調製
下記表に示す成分を表中に記載される量で用いて混合すること以外は、上記トップコート用塗料組成物(1−1)と同様の手順によって、アンダーコート用塗料組成物の主剤(、硬化剤を調製した。次いで得られた主剤および硬化剤を混合することによって、アンダーコート用塗料組成物(2−1)を調製した。
アンダーコート用塗料組成物(2−2)〜(2−5)の調製
下記表に示す成分を表中に記載される量で用いて混合することによって、アンダーコート用塗料組成物の主剤、硬化剤を調製した。次いで得られた主剤および硬化剤を混合することによって、アンダーコート用塗料組成物(2−2)〜(2−5)を調製した。
Figure 2020070368
上記表中、
N3300:コベストロ社製、ディスモジュールN3300、ヘキサメチレンジイソシアナートのヌレート体である。
実施例1
イソプロピルアルコール(IPA)で洗浄したポリカPBT基材(ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂の複合基材、三菱エンジニアリングプラスチック社製)に、乾燥膜厚25μmとなるように、アンダーコート用塗料組成物(2−1)を希釈シンナーT−501CM(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)で30%に希釈してスプレー塗装した。その後、室温にて2分間放置後、80℃で40分間乾燥した。
室温まで放置冷却した後、真空蒸着装置を用いて、1.0×10−2Pa下、4Vの電圧条件下で、厚さ50nmのインジウム層(不連続金属薄膜)を蒸着により形成した。
得られた不連続金属薄膜の上に、トップコート用塗料組成物(1−1)を、希釈シンナーT−505HL(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)で30%に希釈して、乾燥膜厚25μmとなるようにスプレー塗装し、室温で5分放置した。
次いで、形成したアンダーコート層およびトップコート層を、80℃で40分間加熱硬化して、不連続金属薄膜含有複層塗膜を得た。
実施例2〜10および比較例1〜6
下記表に記載されるアンダーコート用塗料組成物およびトップコート用塗料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複層塗膜を形成した。
上記実施例および比較例で用いた塗料組成物および得られた複層塗膜を用いて、下記評価を行った。評価結果を下記表に示す。
硬化塗膜のTg
硬化塗膜のTgは、以下の手順により測定した。
ポリプロピレンシートに、各塗料組成物を乾燥膜厚30μmとなるように塗装し、次いで80℃で40分間加熱硬化させて、硬化塗膜を得た。
上記で調製した硬化塗膜(フィルム)を20nm×5mmにカットし、動的粘弾性測定装置DVE−V4FTスペクトラー(レオロジ−社製)を用いて、温度依存モードにて11Hzの基本正弦波歪で30℃から150℃まで毎分3℃上昇させ、測定して得られた損失正接tanδの最大となる温度をTgとした。
耐水性評価
複層塗膜を40℃の温水に240時間浸漬した後、一日室温乾燥してブリスター(水浸透による塗膜の膨れ)をASTM D714に基づき目視評価するとともに、JIS K5600の碁盤目テープ剥離試験を行った。
試験前と比較して外観にブリスターが発生した場合×、膨潤によるチヂミが発生した場合△、異常が無かった場合○とした。また、剥離が発生した場合×、かけ程度の剥離が発生した場合△、剥離が無かった場合○とした。
耐薬品性評価
(1)耐ハンドクリーム性
アトリックス社製ハンドクリームを、塗膜100cm当たり2gの量で均一に塗布し、ガーゼで覆い80℃にしたオーブンで1週間保持した。その後、取り出して水洗いし、下記評価を行った。

外観評価
試験後の塗膜を目視評価した。ブリスターや塗膜浮きがある場合を×、膨潤による跡がある場合を△、異常がない場合を○とした。

密着性評価
試験後の塗膜にクロスカットを施し、セロハンテープ(商標)を貼り付けてはがすことにより、密着性を評価した。
5mm以上の剥離で×、僅かな欠け程度の剥離で△、剥離無しで○とした。

(2)耐皮脂性
オレイン酸を、塗膜100cm当たり0.05gの量で均一に塗布し、ガーゼで覆い、80℃にしたオーブンで24時間保持した。その後、取り出して水洗いし、下記評価を行った。

外観評価
試験後の塗膜を目視評価した。ブリスターや塗膜浮きがある場合を×、膨潤による跡がある場合を△、異常がない場合を○とした。

密着性評価
試験後の塗膜にクロスカットを施し、セロハンテープ(商標)を貼り付けてはがすことにより、密着性を評価した。
5mm以上の剥離で×、僅かな欠け程度の剥離で△、剥離無しで○とした。
耐擦傷性評価
複層塗膜の表面を、4cm当たり21.6Nの荷重にて、平均300μmのガラスビーズを両面テープで摩擦子に貼りつけ50往復させ、耐擦傷試験を行った。その後20℃の光沢保持率を測定し、95%以上を◎、80%以上を○、60%以上を△、60%未満を×とした。
複層塗膜の塗膜外観評価
得られた複層塗膜について、目視で、表面の凹凸を観察し、平滑性を評価した。
平滑なものを○、鳥肌状のひどいものを×、その中間を△とした。
耐候性評価
複層塗膜について、促進耐候性試験としてキセノンウェザーメーター(キセノン、スガ試験機製)を用いた。初期光沢との比較において光沢維持率が85%以上で、色差(ΔE)が3以下である場合を○、汚染により上記条件を満たさない場合を×とした。
Figure 2020070368
Figure 2020070368
実施例で得られた複層塗膜はいずれも、塗膜外観、耐水性、耐薬品性、耐擦傷性、耐候性が優れることが確認された。
比較例1は、トップコート用塗料組成物に含まれるポリイソシアネート化合物が、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体ではない例である。この例では、耐薬品性(密着性)が劣ることが確認された。
比較例2は、トップコート用塗料組成物がシランカップリング剤を含まない例である。この例では、耐薬品性(密着性)が劣ることが確認された。
比較例3は、アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgが80℃以上である例である。この例では、複層塗膜の塗膜外観が劣ることが確認された。
比較例4は、アンダーコート用塗料組成物がシランカップリング剤を含まない例である。この例では、耐薬品性(密着性)が劣ることが確認された。
比較例5は、トップコート用塗料組成物およびアンダーコート用塗料組成物がいずれも、シランカップリング剤を含まない例である。この例では、塗膜外観、耐水性、耐薬品性が劣ることが確認された。
比較例6は、トップコート用塗料組成物をアンダーコート用塗料組成物として用い、そしてアンダーコート用塗料組成物をトップコート用塗料組成物として用いた例である。この例では、耐薬品性および耐候性が劣ることが確認された。
上記アンダーコート用塗料組成物および不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を用いて形成される複層塗膜は、耐薬品性(耐ハンドクリーム性、耐汁性等)、耐候性(汚染耐久性、耐水性など)、耐久性、耐擦傷性に優れるという利点がある。この複層塗膜は、自動車のフロント部、自動車のドアハンドル、車搭載通信機器、携帯電話、携帯情報端末機器(タブレットパソコン、モバイル機器および電子手帳など)、電磁波の受発信システムを有する各種家電製品および住宅設備などにおいて好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 水酸基含有樹脂(A−1)、
    ポリイソシアネート化合物(B−1)、および
    シランカップリング剤(C−1)、
    を含む、不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物であって、
    前記ポリイソシアネート化合物(B−1)は、炭素数4〜5の脂肪族ジイソシアネートのヌレート体を含む、
    不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
  2. 前記水酸基含有樹脂(A−1)の水酸基および前記ポリイソシアネート化合物(B−1)のイソシアネート基の当量比E1(NCO基/OH基)は、1.0〜3.0の範囲内である、
    請求項1記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
  3. 前記水酸基含有樹脂(A−1)は、1級水酸基および2級水酸基の両方を有し、前記水酸基の比率は、1級水酸基/2級水酸基=10/90〜80/20の範囲内である、
    請求項1または2記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
  4. 前記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80〜130℃の範囲内である、
    請求項1〜3いずれかに記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
  5. 前記シランカップリング剤(C−1)は、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるカップリング剤である、
    請求項1〜4いずれかに記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物。
  6. 水酸基含有樹脂(A−2)、
    ポリイソシアネート化合物(B−2)、および
    シランカップリング剤(C−2)、
    を含む、不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物であって、
    前記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物の硬化塗膜のTgは、80℃未満である、
    不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
  7. 前記水酸基含有樹脂(A−2)の水酸基および前記ポリイソシアネート化合物(B−2)のイソシアネート基の当量比E2(NCO基/OH基)は、0.3〜0.95の範囲内である、
    請求項6記載の不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
  8. 前記シランカップリング剤(C−2)は、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびイソシアネート基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるカップリング剤である、
    請求項6または7記載の不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物。
  9. 請求項1〜5いずれかに記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物、および、請求項6〜8いずれかに記載の不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を含む、不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セット。
  10. 前記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物における前記当量比E1(NCO基/OH基)および前記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物における前記当量比E2(NCO基/OH基)が、下記式
    E1/E2=1.3〜4
    を満たす、請求項9記載の不連続金属薄膜含有複層塗膜形成用塗料セット。
  11. 被塗物に、請求項6〜8いずれかに記載の不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物を塗装してアンダーコート層を設ける、アンダーコート層形成工程、
    前記アンダーコート層の上に不連続金属薄膜を設ける、不連続金属薄膜形成工程、
    前記不連続金属薄膜の上に、請求項1〜5いずれかに記載の不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物を塗装して、トップコート層を設ける、トップコート層形成工程、および
    前記アンダーコート層およびトップコート層を硬化させる、硬化工程、
    を包含する、不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法であって、
    前記不連続金属薄膜は、インジウム、スズ、クロムまたはこれらの合金を含む、
    不連続金属薄膜含有複層塗膜の形成方法。
  12. 前記不連続金属薄膜トップコート用塗料組成物における当量比E1(NCO基/OH基)および前記不連続金属薄膜アンダーコート用塗料組成物における当量比E2(NCO基/OH基)が、下記式
    E1/E2=1.3〜4
    を満たす、請求項11記載の形成方法。
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