JPH0790612A - 金属材料の自己析出型表面処理剤及び表面処理方法 - Google Patents

金属材料の自己析出型表面処理剤及び表面処理方法

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JPH0790612A
JPH0790612A JP25945793A JP25945793A JPH0790612A JP H0790612 A JPH0790612 A JP H0790612A JP 25945793 A JP25945793 A JP 25945793A JP 25945793 A JP25945793 A JP 25945793A JP H0790612 A JPH0790612 A JP H0790612A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リンを含有する酸基を有する有機高分子化合
物(A)と、Cr化合物(B1)と、フッ化物及び錯フ
ッ化物から選ばれる少なくとも1種のフッ素化合物
(C)とを含有する金属材料の自己析出型水系表面処理
剤、リンを含有する酸基を有する有機高分子化合物
(A)と、Zn、Mn、Zr、Ti、Ni、Co、F
e、Ca、Mg、Al、Sn、W、及びMoから選ばれ
る少なくとも1種の金属化合物(B2)と、フッ化物及
び錯フッ化物から選ばれる少なくとも1種のフッ素化合
物(C)とを含有する金属材料の自己析出型水系表面処
理剤及びそれらを用いる表面処理方法。 【効果】 形成された皮膜は、優れた耐食性、耐沸水
性、表面の滑り性、臭気発生の抑制効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム系金属、鉄
系金属、亜鉛系金属等の金属を素材とする自動車ボディ
ー、自動車部品、熱交換器、建材、家庭用部品、飲料缶
等の全ての成型加工品、鋳造品、及びシートコイルの自
己析出型表面処理剤、及び表面処理方法に関する。
【0002】
【従来技術】金属材料に耐食性等の機能を付与する表面
処理法としては、処理液との化学反応によって表面に皮
膜を析出させる化成処理法、処理液を表面に塗布した後
乾燥して皮膜形成させる塗布処理法がある。
【0003】アルミニウムの化成処理法に関しては、ク
ロム酸クロメート、リン酸クロメート等のクロメート系
化成処理方法、また、米国特許第4148670号「ジ
ルコニウム、又はチタンもしくはこれらの混合物とリン
酸塩とフッ化物を含む組成物」、米国特許第41915
96号「ポリアクリル酸、もしくはポリアクリル酸エス
テル、フッ化ジルコニウム酸、フッ化チタン酸、もしく
はフルオロ硅酸を含む組成物」、特開昭52−1319
37号「ジルコニウム又はチタン或いはこれらの混合
物、ホスフェート及びフッ化物を含むpH1〜4の水性
処理液で処理する方法」等により開示されているノンク
ロメート処理方法が知られており、主として素材表面に
耐食性、塗料との密着性を与えることを目的に用いられ
ている。
【0004】これらの化成処理法は、反応型であるため
複雑な形状を有する成形物に均一な皮膜を形成させるこ
とができる利点があり、エアコン用熱交換機、DI缶、
鋳造部品に適しており、優れた耐食性及び塗料密着性を
付与するものである。
【0005】しかしこれらの処理液は有害性の高い6価
クロムを含有しているため、廃水処理を行う際には処理
液及び余剰の処理液を洗い落とした水洗液を還元処理す
る手間が必要であり、クロム酸クロメート処理において
は形成された皮膜中にも6価クロムを含有しているため
安全性の点であまり歓迎されない。そのため、6価クロ
ムを含有しない処理剤が望まれ、検討されている。前記
した米国特許及び特許公開公報に記載された処理法は処
理液の6価クロムを含まない利点があるものの、クロメ
ート処理法に比べて耐食性及び塗料密着性が劣るため用
途は限定されるという欠点を有している。
【0006】鉄系、或いは亜鉛系金属材料を用いた自動
車ボディー、建材等においては、通常リン酸塩系化成処
理を行った後電着塗装され、次いで中塗り塗装、及び上
塗り塗装される。さらに、耐食性向上のため化成処理を
行った後電着塗装する前にクロムリンス処理が施される
場合もある。これらの工程により非常に優れた耐食性が
金属材料に付与される。しかしながら、これらの従来技
術において塗装コストの低減、処理、及び塗装工程の簡
略化が望まれている。
【0007】塗布処理法においては、被塗物は成型品で
あるよりシートコイルである方が望ましく、ルームエア
コン等の熱交換器用フィン材、飲料缶などの缶用蓋材等
に適用されている。塗布型処理剤には、クロム化合物等
の無機系塗布型処理剤、有機高分子樹脂を主体とした有
機系塗布型処理剤、また無機有機混合処理剤があるが、
コイルコートされたアルミニウムシートは、過酷な成型
加工を受けるため無機系処理剤を用いた場合、皮膜が硬
質であるため加工の際形成した皮膜が割れたり、金型等
の加工治具を摩耗させる等の問題があり、有機系処理剤
が望まれている。
【0008】また、塗布処理法は、成型加工した複雑な
形状のものには均一な処理ができず適用されにくいとい
う欠点を有している。例えば、スリット、ルーバー等複
雑な成型がなされるアルミニウム及びその合金製のエア
コン用熱交換器の室内器に耐食性または親水性を付与す
る目的で塗布処理法を適用した場合、熱交換器表面に均
一に塗布することは難しく、外観不良を引き起こすだけ
でなくフィン間等に溜まった処理液がそのまま乾燥され
て膜を形成し通風抵抗の増大、エアコン運転時の皮膜飛
び等の問題が発生する。エアコン用熱交換器の耐食性付
与にクロメート等の無機化合物系化成処理を適用した場
合、熱交換器細部まで場所間の付着量のばらつきなく処
理されるが、無機皮膜特有の臭気(無機臭)による異臭
発生の問題があった。
【0009】飲料缶のボディー及び蓋材の塗装下地処理
としては、形成された皮膜中に6価クロムを含有しない
ことからリン酸クロメート化成処理法、ジルコニウム系
化成処理法が適用されているが、これらの皮膜について
は、皮膜表面の摩擦係数が高いことにより製缶工程にお
いて缶のコンベアー輸送の際、缶表面の滑り性が低下し
缶が横転して移送障害が起こったり、加工性が乏しく、
蓋材との接合近傍に施されるネッキング加工の際、加工
不良が発生する問題もあり、現在開示されている従来技
術ではこれらの問題点を解決するものはなかった。
【0010】以上のような問題を解決するために、自己
析出型の有機皮膜処理剤が望まれる。鉄系、或いは亜鉛
系金属材料の自己析出型の有機皮膜については、特公昭
47−17630号「ラテックス樹脂分散水溶液とフッ
化物イオンと過酸化水素からなるpH1.6又は3.8
の分散水溶液組成物、及びコーティング方法」、特公昭
52−35692号「塗膜形成用重合体エマルジョンと
酸の系、もしくはこの系に酸化剤を加えた系に第2鉄イ
オンを供給し得る鉄化合物を加えたコーティング浴を用
いるコーティング方法」等が開示されているが、これら
は比較的厚膜で使用されるもので5μ以下の薄膜では十
分な性能を発揮しない欠点を有している。
【0011】アルミニウム素材を対象とするものについ
ては、特公昭53−44949号「塗膜形成用重合エマ
ルジョン、酸、酸化剤、第2鉄イオンを除く金属イオン
から成ることを特徴としたメタルコーティング用組成
物」、特開昭54−142252号「被覆形成性樹脂と
有機過酸化物を含有するpH1.5〜3.0の水溶液に
被塗金属を浸漬して被膜を形成させる方法」、特開昭5
4−142253号「被覆形成性樹脂とビニル単量体と
過硫酸イオン及び/又は過酸化水素からなる被覆形成方
法」が開示されている。これらの自己析出型有機皮膜は
比較的厚膜で十分な性能を示すものであるため、アルミ
ニウムのもつ高い熱伝導性を利用する熱交換器などにあ
たっては適用されにくい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の自己析出型処
理剤、及び処理方法は、従来の自己析出型処理方法に比
べ低膜厚で優れた性能を金属材料表面に付与するもの
で、特にアルミニウム系金属材料においては、有機系皮
膜を素材表面に自己析出させることにより従来の処理剤
では達成できなかった優れた耐食性、加工性、滑り性、
異臭発生抑制性を素材表面に付与する処理剤、及び処理
方法を提供するもので、従来の塗布型処理剤にみられた
不均一処理に係わる問題を解決するものである。また本
発明は、処理剤中に6価クロムを含まないため面倒な廃
水処理が不用な自己析出型水系表面処理剤及び処理方法
をも提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の問題
点を検討するため鋭意検討した結果、リンを含有する酸
基を有する有機高分子化合物、Cr化合物及びフッ素化
合物との組み合わせ又は前記有機高分子化合物、Zn、
Mn、Zr、Ti、Ni、Co、Fe、Ca、Mg、A
l、Sn、W及びMoから選ばれる1種又は2種以上の
化合物及び、フッ素化合物との組合せの処理剤で金属材
料を処理することにより、従来の問題点を解決できるこ
とがわかり本発明を完成させた。
【0014】すなわち本発明はリンを含有する酸基を有
する有機高分子化合物(A)と、Cr化合物(B1
と、フッ化物及び錯フッ化物から選ばれる少なくとも1
種のフッ素化合物(C)とを含有することを特徴とする
金属材料の自己析出型水系表面処理剤を提供する。
【0015】また、本発明は金属材料の表面を、リンを
含有する酸基を有する有機高分子化合物(A)と、Cr
化合物(B1)と、フッ化物及び錯フッ化物から選ばれ
る少なくとも1種のフッ素化合物(C)とを含有する水
系表面処理剤と接触させ、該表面に有機高分子を主成分
とする有機化成皮膜を自己析出形成させることを特徴と
する金属材料の表面処理方法を提供する。
【0016】本発明はリンを含有する酸基を有する有機
高分子化合物(A)と、Zn、Mn、Zr、Ti、N
i、Co、Fe、Ca、Mg、Al、Sn、W、及びM
oから選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B2
と、フッ化物及び錯フッ化物から選ばれる少なくとも1
種のフッ素化合物(C)とを含有することを特徴とする
金属材料の自己析出型水系表面処理剤を提供する。
【0017】本発明は金属材料の表面を、リンを含有す
る酸基を有する有機高分子化合物(A)と、Zn、M
n、Zr、Ti、Ni、Co、Fe、Ca、Mg、A
l、Sn、W、及びMoから選ばれる少なくとも1種の
金属化合物(B2)と、フッ化物及び錯フッ化物から選
ばれる少なくとも1種のフッ素化合物(C)とを含有す
る水系表面処理剤と接触させ、該表面に有機高分子を主
成分とする有機化成皮膜を自己析出形成させることを特
徴とする金属材料の表面処理方法を提供する。
【0018】以下、本発明の構成を詳述する。本発明に
おいて対象とする金属材料は、アルミニウム系金属、鉄
系金属、亜鉛系金属、マグネシウム系金属等の金属材料
で、鉄系金属表面にスズメッキ等が施されたブリキ等に
も適用できるが、本発明の処理剤、及び処理方法は、特
にアルミニウム系金属に適している。ここで述べるアル
ミニウム系金属材料とは、アルミニウム板、アルミニウ
ム合金板、アルミニウムダイキャスト材等のアルミニウ
ム及びアルミニウム合金を主成分とする金属材料であ
る。
【0019】本発明のリンを含有する酸基を有する有機
高分子化合物(A)は、リンを含有する酸基、例えば、
リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基
等を主鎖、又は側鎖に有する有機高分子化合物である。
それ以外の有機高分子化合物の構造、種類については限
定するものではなく、例えば不飽和結合を有するモノマ
ーの付加重合によって得られるビニル系及びアクリル系
ポリマー、縮合重合によって得られるポリエステル、ポ
リアミド、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂等、セルロース系等の天然高分子化合物も
使用できる。
【0020】さらに詳しく述べるならば、付加重合体に
あっては、例えば以下に示した一般式で示されるもので
ある。
【0021】
【化1】 (上記式において、n及びm1〜mqは、n>0、m1
q≧0であり、重量平均分子量が100万以下である
ような任意の数である。Y1〜Yqは付加重合性モノマー
であり、qは付加重合性モノマー種の数で、q=1〜3
0、より好ましくは1〜10である。R1、R2、R3
は同種、または異種であって、水素、又は炭素数1〜5
の直鎖、また分岐鎖アルキル基、又はヒドロキシアルキ
ル基、又はアリール基、又はハロゲンであり、Xは、
Z、又は
【0022】
【化2】 ただし、Zは、−R4P、−COOR4P、−CONHR
4P、−OR4Pであり、ここで、R4は炭素数1〜8の
直鎖、又は分岐鎖のアルキレンで、これらアルキレン中
に1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、又はこれらの塩、水酸基、ハロゲ
ン、アリール基等を有するもの、またアルキレン鎖中に
フェニレン等の芳香族環を有するものも使用可能であ
る。Pはリンを含有する酸基であり、以下に示した構造
から選ばれる。
【0023】
【化3】 ただし、R5、R6は水酸基、水素、炭素数1〜4の直
鎖、又は分岐鎖アルコキシ基、ハロゲンであり、R5
6のすくなくとも何れかは水酸基、又は炭素数1〜4
の直鎖、又は分岐鎖アルコキシ基である。
【0024】W1〜W5は同種、又は異種であって、1〜
3級アミノ基、4級アンモニウム基、カルボキシル基、
スルホン酸基、もしくはこれらの塩、水酸基、グリシジ
ル基、重合度2〜20のポリアルキレンオキシド、水
素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコ
キシ基であるか又は、1〜3級アミノ基、4級アンモニ
ウム基、カルボキシル基、スルホン酸基、又はこれらの
塩、水酸基、ハロゲン、1〜3級アミド基、エステル基
から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む炭素数1〜
8の直鎖、又は分岐鎖アルキル基、又は炭素数1〜8の
直鎖、又は分岐鎖アルコキシ基、又はP、又はZでW1
〜W5の少なくとも1つはP、又はZである。)
【0025】縮合重合体にあっては、カルボキシル基、
アミノ基、イソシアネート基、水酸基、グリシジル基、
アルデヒド基等の縮合性官能基を有するモノマー間の縮
合反応によって得られるエステル結合、アミド結合、ウ
レタン結合、エーテル結合を有する脂肪族、又は芳香族
有機高分子であり、これら高分子の主鎖、又は側鎖に少
なくとも1個以上、より好ましくは分子量1000単位
に1個以上のPもしくはZ(前記一般式の説明中に記し
た)を有するものである。
【0026】これら有機高分子へのリン含有酸基の導入
方法については、例えば、不飽和二重結合を有するアク
リルエステル、スチレン、マレイン酸等とアシッドホス
ホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシ
プロピルメタクリレート等のリン酸基を含有する不飽和
モノマーとを共重合させて得る方法、ポリビニルアルコ
ール、2−ヒドキシエチルメタクリレートの重合体、ポ
リヒドロキシスチレン、フェノール樹脂、あるいはポリ
スチレン、ポリヒドロキシスチレン、フェノール樹脂等
の求核性の高い部位をホルマリン等でヒドキシアルキル
化したポリマー等のアルコール性、もしくはフェノール
性水酸基を有するポリマーを五酸化燐等でリン酸エステ
ル化する方法、フリーデルクラクト反応を利用して求核
性の高い部位に三塩化燐、オキシ塩化燐等を用いてリン
化した後加水分解する方法、また、グリニャール反応を
利用する方法などによりリン含有酸基を導入することが
できる。エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等においても前記
したような方法でリン酸化したビスフェノール系化合
物、ポリオール等のモノマーを用いるか、樹脂化した後
樹脂中に残存する水酸基、アリール基(芳香環)等をリ
ン酸化してリン含有酸基を導入することができる。
【0027】有機高分子化合物へのリン含有酸基の導入
方法については様々な方法があり、上記した方法はその
一例に過ぎず、本発明においてリン含有酸基の導入の方
法を限定するものではない。本発明に用いる有機高分子
化合物(A)は、熱により軟化する熱可塑性、熱や紫外
線などによって硬化する自己架橋性等目的によって選ぶ
ことができるが、高耐食性、高耐溶剤性等を付与させる
場合はグリシジル基、メチロール基、イソシアネート基
等の反応性の高い官能基とこれらと反応し得る水酸基、
カルボキシル基、アミノ基等を有する自己架橋性の高分
子を用いることがより好ましい。
【0028】有機高分子化合物(A)の分子量について
は、処理液と素材との接触を妨げることなく皮膜形成で
きる程度の処理液粘性を与える分子量のものであればよ
く、また素材表面に析出した有機高分子が素材表面を十
分に被覆することを可能とする程度であればよく特定は
しないが、1000以上100万以下であることがより
好ましい。
【0029】次に本発明で用いられるCr化合物
(B1)としては、硝酸クロム、硫酸クロム、フッ化ク
ロム、重リン酸クロム、酢酸クロム、蟻酸クロム等の3
価クロム化合物、及び無水クロム酸、重クロム酸、もし
くはこれらの塩等の6価クロム化合物、又はこれらクロ
ム化合物のCr混合物である。
【0030】また本発明におけるZn、Mn、Zr、T
i、Ni、Co、Fe、Ca、Mg、Al、Sn、W及
びMoから選ばれる1種又は2種以上の金属化合物(B
2)としては、これら金属の酸化物、水酸化物、錯化合
物、及び無機酸、有機酸の塩などである。該金属化合物
は、処理時において有機高分子化合物(A)中のリン含
有酸基と反応し、不溶性もしくは難溶性皮膜を形成しや
すい化合物であることが好ましい。
【0031】本発明のフッ化物、及び錯フッ化物から選
ばれる少なくとも1種のフッ素化合物(C)としては、
素材金属のエッチング剤で、水溶液中で遊離したフッ素
イオンを与える化合物、例えばフッ化水素酸、ホウフッ
化水素酸、ケイフッ化水素酸、ジルコニウムフッ化水素
酸、チタンフッ化水素酸及びこれらの水溶性塩等のフッ
化物又は錯フッ化物を用いることができる。
【0032】構成成分の量に関しては処理条件、目的等
によって異なるため特定しないが、Cr化合物(B1
を用いる場合は、より好ましくは有機高分子化合物
(A)100重量部に対してCr化合物(B1)を0.1
〜200重量部、特に好ましくは1〜100重量部で用
いられる。フッ素化合物(C)については、ある処理条
件で皮膜を析出させるのに十分な素材のエッチングを成
し得るのに必要な遊離フッ素イオンを水溶液中に供給で
きる量で、処理条件等によってその必要量は異なるため
限定できないが、フッ素化合物から供給される遊離フッ
素イオン濃度が10〜10000ppmにすることがよ
り好ましく、100〜5000ppmが特に好ましい。
【0033】また、Zn、Mn、Zr、Ti、Ni、C
o、Fe、Ca、Mg、Al、Sn、W及びMoから選
ばれる1種又は2種以上の金属化合物(B2)の場合は
より好ましくは有機高分子化合物(A)100重量部に
対して金属化合物(B2)を0.1〜200重量部、特
に好ましくは1〜100重量部で用いられる。フッ素化
合物(C)については、ある処理条件で皮膜を析出させ
るのに十分な素材のエッチングを成し得る必要な遊離フ
ッ素イオンを水溶液中供給できる量で、処理条件等によ
ってその必要量は異なるため限定できないが、フッ素化
合物から供給される遊離フッ素イオン濃度が10〜10
000ppmにすることがより好ましく、100〜50
00ppmが特に好ましい。
【0034】溶媒は水を主体とするが、乾燥速度の調整
や塗膜状態の改善のためにアルコール、アセトン、セロ
ソルブ等の水溶性有機溶剤の併用を妨げるものではな
い。この他に、防錆剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、
消泡剤、レベリング剤、防菌防ばい剤等が本願の趣旨や
皮膜性能を損なわない範囲で添加し得る。また、耐食性
等の向上を目的に本発明の処理剤中にクロム化合物を含
有させる場合クロム以外の金属化合物、例えば、Zn、
Mn、Zr、Ti、Ni、Co、Fe、Ca、Mg、A
l、Sn、W、Mo等の化合物を添加することが可能で
ある。
【0035】処理方法については、処理剤とアルミニウ
ム又はその合金が接触し、表面に皮皮膜析出させること
ができれば構わず特定はしない。通常は処理剤中に素材
を浸漬する方法、素材に処理剤をスプレーする方法が用
いられる。処理液の温度、処理時間についても、構成成
分の濃度、目的とする皮膜量によってコントロールする
必要があるので特に限定するものではない。しかしなが
ら、本発明の処理液の溶媒は水が主体であり、温度につ
いては水の凝固点から沸点の間にする必要があり、10
〜80℃が好ましく、より好ましくは20℃〜60℃で
ある。処理時間は素材と処理剤が接触し素材をエッチン
グし皮膜析出し始めるまでの時間は最低限必要で、好ま
しくは1秒以上である。
【0036】処理工程についても処理条件と同様特定し
ないが、前洗浄、水洗、本発明の処理、水洗、乾燥の工
程が基本になる。通常は本処理を行う前に素材に付着し
た油分、汚れを取り除くためアルカリ脱脂剤、又は酸性
脱脂剤等で洗浄するか、湯洗、溶剤洗浄等行う。その後
必要に応じては酸などによるデスマット、表面調整を行
う。浸漬、スプレー等により本処理を行った後、水洗は
必ずしも行わなくてもよいが、高分子化合物合成時、又
は水への分散時に要した界面活性剤が残留することで耐
食性低下の危険性があること、及び、複雑に成型された
被塗物等の場合は、液溜りなどによる不具合発生が危惧
されるため水洗を行って余剰の処理液を取り除く方がよ
り好ましい。水洗に用いる水は蒸留水、脱イオン水、市
水、工水等が用いられ、浸漬水洗、スプレー水洗、もし
くはこれらの組合せで行われる。
【0037】また、後処理、後塗装等を行う際は加熱乾
燥などにより付着水分を除去した後行っても良い。その
後処理が水系シーリング、水系塗装である場合には、付
着水分を除去せずに連続して行うこともできる。乾燥工
程については、有機高分子の硬化を促進する必要がなく
付着水分の除去だけ行う場合は、必ずしも熱を必要とせ
ず風乾、もしくはエアブロー等の物理的除去を行うだけ
でよいが、有機高分子の硬化促進する、もしくは有機物
高分子を軟化させて被覆効果を高める場合には、加熱乾
燥する必要がある。その場合の温度は50〜400℃に
することがより好ましく、100〜300℃にすること
が特に好ましい。乾燥時間は、用いられる乾燥器の容
量、熱量、風量によって異なるため特定はできないが、
処理された素材の温度が前記した温度に到達するまでの
時間が最低限必要である。
【0038】形成される皮膜の適性膜厚は、用途や目的
によって異なるが、アルミニウムの熱伝導性などの特性
を必要とする場合は、10μ以下、より好ましくは5μ
以下にするのが望ましい。本発明の処理剤、及び処理方
法は5μ以下の薄膜でも十分な性能を付与することがで
きる特徴を持つものである。着色などの意匠性を必要と
する場合等目的によってはより厚膜にすることはむろん
のこと可能である。
【0039】
【作用】本発明の処理剤は、素材である金属材料表面と
反応することによって有機化成皮膜が自己析出し、形成
された皮膜は優れた耐食性、加工性、異臭発生防止性、
滑り性をアルミニウム素材に付与するものである。皮膜
形成の機構について述べる。まず、本処理剤の構成成分
であるフッ素化合物(C)から処理液中に供給されるフ
ッ素イオンが、素材である金属の溶解を促す。金属溶解
に伴う酸化還元反応によって水素ガスを発生し、このた
め金属界面のpHが上昇する。このpHにおいて、本処
理剤の構成成分であるリンを含有する酸基を有する有機
高分子(A)のリンを含有する酸基は、Cr化合物(B
1)を用いた場合は、Cr化合物(B1)と結合し、また
金属化合物(B2)を用いた場合は金属化合物(B2)と
結合し不溶性、もしくは難溶性塩となり金属表面に析出
皮膜を形成する。
【0040】XPSによる皮膜解析の結果、金属と皮膜
の界面には金属のフッ化物、酸化物の他、用いた金属化
合物と有機高分子化合物が有するリンを含有する酸基に
よる層が形成され、その層上に有機高分子が覆う形で配
向する2層構造を持っていることが確認された。このよ
うな構造を有するため素材との密着性が優れ高耐食性を
付与すると考えられる。析出した皮膜は水洗され、もし
くは水洗されずに乾燥される。特に自己架橋性を有する
有機高分子においては、加熱乾燥の際の熱エネルギーに
より硬化し、耐食性をさらに向上させるものと考えられ
る。
【0041】また、皮膜の最表面は有機高分子化合物を
主体とする層であるため、クロメート等の無機皮膜に比
べ表面の摩擦係数が小さくなるので、表面の滑り性が優
れ、また無機皮膜に比べ軟質であるため加工性が優れる
と考えられる。さらに、有機高分子化合物層が表面を均
一に覆うため、素材の酸化物、もしくはクロメート等の
無機皮膜が劣化してできた微粒子などが飛散することは
なく異臭発生防止性も優れると考えられる。
【0042】
【実施例】次に実施例及び比較例によって本発明を説明
するが、本実施例は単なる一例に過ぎず本発明を限定す
るものではない。実施例、比較例において作製した処理
板試料についての評価方法は次の通りである。 (有機高分子付着量(mg/m2))LECO社製表面
炭素分析装置RC−212型を用いて表面の炭素付着量
(mg/m2)を求め、有機高分子量に換算した。
【0043】(耐食性)塩水噴霧試験法JIS−Z−2
371に基づき、アルミニウム系素材については、塩水
噴霧300時間後、鉄系及び亜鉛系素材については塩水
噴霧100時間後の錆発生面積で評価した。 評価基準:○白錆発生面積10%以下 △白錆発生面積10〜50% ×白錆発生面積50%以上
【0044】(耐沸水性)沸騰脱イオン水中に20分間
浸漬した後の外観評価を次の基準で行った。 評価基準:○外観の変化無し △僅かに黒変 ×黒変
【0045】(表面の滑り性)バウデン試験機により摩
擦係数を求めた。
【0046】(臭気)処理板を沸騰させた脱イオン水蒸
気に約0.5秒間曝し、素早く臭気を次の基準で評価し
た。 評価基準:○臭気なし ×粉っぽい臭気あり
【0047】また用いた有機高分子の種類のA1〜A8
を表1に、C1〜C3を表2に示した。
【0048】実施例1 純アルミ(A−1100材、70mm×150mm、厚
さ0.11mm)を日本パーカライジング(株)製アル
カリ脱脂剤ファインクリーナー315(30g/l、6
0℃、40秒浸漬)を用いて脱脂した後、水洗し、有機
高分子A−1の水系エマルジョンを固形分換算で10g
/l、硝酸クロム1g/l、ジルコニウムフッ化水素酸
0.4g/l、フッ化水素酸0.04g/lからなる5
0℃に加温した水系処理液中に5分間浸漬した。浸漬
後、水道水でスプレー洗浄し、熱循環式オーブン内で2
50℃で5分間加熱乾燥した。
【0049】実施例2 A1−Mg(A−5052、70mm×150mm、厚
さ2mm)を日本パーカライジング(株)製アルカリ脱
脂剤ファインクリーナー315(30g/l、60℃、
40秒間浸漬)を用いて脱脂した後、水洗して、有機高
分子A−2の水系エマルジョンを固形分換算で20g/
l、無水クロム酸5g/l、重リン酸クロム3g/l、
硅フッ化水素酸0.2g/1、硝酸マンガン0.3g/
lからなる水系処理液に40℃で3分間浸漬した。浸漬
処理後水道水でスプレー洗浄した後、熱循環式オーブン
内で200℃で3分間加熱乾燥した。
【0050】実施例3 A1−Mn系合金(A3004、70mm×150m
m、厚さ0.15mm)を酸性脱脂剤日本パーカライジ
ング(株)製パルクリーン400(20g/l、50
℃、20秒間スプレー)を用いて脱脂した後、水洗し
て、有機高分子A−3を固形分で5g/l、酢酸クロム
1g/l、チタンフッ化水素酸0.5g/l、フッ化水
素酸0.1g/lからなる水系処理液を用いて40℃で
30秒スプレー処理した。処理後スプレー水洗し150
℃で1分間加熱乾燥を行った。
【0051】実施例4 実施例3で用いた水系処理剤の代わりに有機高分子A−
4を固形分で2g/l、硫酸クロム0.5g/l、フッ
化水素酸0.1g/lからなる水系処理液を用いたこと
以外は実施例3と同様に行った。
【0052】実施例5 実施例1で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A−
5を固形分換算で50g/l、重クロム酸マグネシウム
1g/l、フッ化クロム5g/l、ホウフッ化水素酸
0.1g/lからなる水系処理液を用いたこと以外は実
施例1と同様に行った。
【0053】実施例6 実施例3で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A−
6を固形分換算で50g/l、重リン酸クロム10g/
l、フッ化水素酸0.5g/lからなる水系処理液を用
いたこと以外は実施例2と同様に行った。
【0054】実施例7 実施例2で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A−
7を固形分換算で40g/l、無水クロム酸の30%還
元物20g/l、ジルコニウムフッ化水素酸0.2g/
l、フッ化アンモニウム0.02g/lからなる水系処
理液を用いたこと以外は実施例3と同様に行った。
【0055】実施例8 実施例1で用いた水系処理剤の代わりに有機高分子A−
8の水系エマルジョンを固形分換算で30g/l、無水
クロム酸の50%還元物5g/l、重リン酸クロム10
g/l、チタンフッ化水素酸0.5g/l、フッ化水素
酸0.05g/lからなる水系処理液を用いたこと以外
は実施例1と同様に行った。
【0056】比較例1 実施例1で用いた水系処理液の有機高分子成分A−1の
代わりにC−1を用いたこと以外は実施例1と同様に行
った。
【0057】比較例2 実施例3で用いた水系処理液の有機高分子成分A−3の
代わりにC−2を用いたこと以外は実施例3と同様に行
った。
【0058】比較例3 実施例8で用いた水系処理液の有機高分子成分A−8の
代わりにC−3を用いたこと以外は実施例8と同様に行
った。
【0059】比較例4 実施例1で用いた水系処理液の代わりに、有機高分子A
−1の水系エマルジョンを固形分換算で10g/l、硝
酸クロム1g/lからなる水系処理液を用いたこと以外
は実施例1と同様に行った。
【0060】比較例5 純アルミ(A−1100、70mm×150mm、厚さ
0.11mm)を日本パーカライジング(株)製アルカ
リ脱脂剤ファインクリーナー315(30g/l、60
℃、40秒浸漬)を用いて脱脂した後、水洗し、日本パ
ーカライジング(株)製クロム酸クロメート系処理剤ア
ルクロム713を72g/lに希釈した水溶液に50
℃、90秒浸漬して処理を行った。処理後水道水で水洗
した後、80℃、2分間加熱乾燥した。
【0061】比較例6 Al−Mn系合金(A3004、70mm×150m
m、厚さ0.15mm)を酸性脱脂剤日本パーカライジ
ング(株)製パルクリーン400(20g/l、50
℃、20秒スプレー)を用いて脱脂した後、水洗して、
日本パーカライジング(株)製リン酸クロメート系処理
剤アルクロム702SLを47g/l、フッ化水素酸
0.1g/lの水溶液を用いて40℃で20秒間スプレ
ー処理を行った。処理後水道水で水洗した後、80℃、
2分間加熱乾燥した。
【0062】比較例7 Al−Mn系合金(A3004、70mm×150m
m、厚さ0.15mm)を酸性脱脂剤日本パーカライジ
ング(株)製パルクリーン400(20g/l、50
℃、20秒スプレー)を用いて脱脂した後、水洗して、
日本パーカライジング(株)製リン酸ジルコニウム系処
理剤アロジン4040を20g/lに希釈した水溶液を
用いて50℃で20秒間スプレー処理を行った。処理後
水道水で水洗した後、80℃、2分間加熱乾燥を行っ
た。以上の実施例、比較例で作製した処理板試料につい
て、評価を行い、その結果を表3に示した。
【0063】実施例9 純アルミ(A−1100、70mm×150mm、厚さ
0.11mm)を日本パーカライジング(株)製アルカ
リ脱脂剤ファインクリーナー315(30g/l、60
℃、40秒浸漬)を用いて脱脂した後、水洗し、有機高
分子A−1の水系エマルジョンを固形分換算で10g/
lジルコニウムフッ化水素酸0.4g/l、フッ化水素
酸0.04g/lからなる50℃に加温した水系処理液
中に5分間浸漬した。浸漬後、水道水でスプレー洗浄し
熱循環式オーブン内で250℃で5分間加熱乾燥した。
【0064】実施例10 A1−Mg合金(A−5052、70mm×150m
m、厚さ2mm)を日本パーカライジング(株)製アル
カリ脱脂剤ファインクリーナー315(30g/l、6
0℃、40秒間浸漬)を用いて脱脂した後、水洗して、
有機高分子A−2の水系エマルジョンを固形分換算で2
0g/l、酸化亜鉛1.6g/l、硝酸マンガン0.3
g/l、硅フッ化水素酸0.2g/lからなる水系処理
液に40℃で3分間浸漬した。浸漬処理後水道水でスプ
レー洗浄した後、熱循環式オーブン内で200℃で3分
間加熱乾燥した。
【0065】実施例11 A1−Mn系合金(A3004、70mm×150m
m、厚さ0.15mm)を酸性脱脂剤日本パーカライジ
ング(株)製パルクリーン400(20g/l、50
℃、20秒間スプレー)を用いて脱脂した後、水洗し
て、有機高分子A−3を固形分で5g/l、チタンフッ
化水素酸0.5g/l、フッ化水素酸0.1g/lから
なる水系処理液を用いて40℃で30秒スプレー処理し
た。処理後スプレー水洗し150℃で1分間加熱乾燥を
行った。
【0066】実施例12 実施例11で用いた水系処理剤の代わりに有機高分子A
−4を固形分で2g/l、タングステン酸ナトリウム
0.1g/l、フッ化水素酸0.1g/lからなる水系
処理液を用いたこと以外は実施例11と同様に行った。
【0067】実施例13 実施例9で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A−
5を固形分で50g/l、硝酸ニッケル1.6g/l、
ホウフッ化水素酸0.1g/lからなる水系処理液を用
いたこと以外は実施例9と同様に行った。
【0068】実施例14 実施例11で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A
−6を固形分換算で40g/l、ジルコニウムフッ化水
素酸0.2g/l、硫酸アルミニウム0.1g/l、フ
ッ化アンモニウム0.02g/lからなる水系処理液を
用いたこと以外は実施例11と同様に行った。
【0069】実施例15 実施例10用いた水系処理液の代わりに有機高分子A−
7の水系エマルジョンを固形分換算で50g/l、酸化
亜鉛2.4g/l、フッ化水素酸0.5g/lからなる
水系処理液を用いたこと以外は実施例10と同様に行っ
た。
【0070】実施例16 実施例9で用いた水系処理剤の代わりに有機高分子A−
8の水系エマルジョンを固形分換算で30g/l、硝酸
第二鉄0.5g/l、ジルコニウムフッ化水素酸0.5
g/l、フッ化水素酸0.05/lからなる水系処理液
を用いたこと以外は実施例9と同様に行った。
【0071】比較例8 実施例9で用いた水系処理液の有機高分子成分A−1の
代わりにC−1を用いたこと以外は実施例9と同様に行
った。
【0072】比較例9 実施例11で用いた水系処理液の有機高分子成分A−3
の代わりにC−2を用いたこと以外は実施例11と同様
に行った。
【0073】比較例10 実施例16で用いた水系処理液の有機高分子成分A−8
の代わりにC−3を用いたこと以外は実施例16と同様
に行った。
【0074】比較例11 実施例9で用いた水系処理液の代わりに、有機高分子A
−1の水系エマルジョンを固形分換算で10g/lから
なる水系処理液を用いたこと以外は実施例9と同様に行
った。以上の実施例、比較例で作製した処理板試料につ
いて、評価、その結果を表4に示した。
【0075】実施例17 電気亜鉛メッキ鋼板(Zn目付20g/m2、70mm
×150mm、厚さ0.5mm)を日本パーカライジン
グ(株)製アルカリ脱脂剤ファインクリーナーL446
0(20g/l、40℃、120秒スプレー)を用いて
脱脂した後、水洗し、有機高分子A−1の水系エマルジ
ョンを固形分換算で20g/l、硝酸ニッケル5g/
l、ジルコニウムフッ化水素酸0.4g/l、フッ化水
素酸0.04g/l、亜硝酸ナトリウム0.2g/lか
らなる50℃に加温した水系処理液中に5分間浸漬し
た。浸漬後、水道水でスプレー洗浄(スプレー圧;1〜
1.5kg/cm2、スプレー流量;31/分、時間3
0秒、ノズル先端から処理材までの距離;50mm、処
理面とのノズル角度;30°)し、熱循環式オーブン内
で200℃で5分間加熱乾燥した。
【0076】実施例18 実施例17で用いた水系処理液の代わりに有機高分子A
−4を固形分で50g/l、重リン酸クロムを10g/
l、硝酸ニッケル1g/l、ケイフッ化水素酸を0.6
g/l、炭酸ナトリウム1g/l、過酸化水素0.05
g/lからなる水系処理剤を用いたこと以外は実施例1
7と同様に行った。
【0077】実施例19 冷延鋼板(70mm×150mm、厚さ1mm)を日本
パーカライジング(株)製脱脂剤ファインクリーナーL
4460(20g/l、42℃、120秒浸漬)を用い
て脱脂した後、水洗し、有機高分子A−8の水系エマル
ジョンを固形分換算で20g/l、酸化亜鉛1.6g/
l、硝酸マンガン0.3g/l、フッ化水素酸0.4g
/l、亜硝酸ナトリウム0.2g/lからなる50℃に
加温した水系処理液中に5分間浸漬した。浸漬後、水道
水でスプレー洗浄(スプレー圧;1〜1.5kg/cm
2、スプレー流量;31/分、時間30秒、ノズル先端
から処理材までの距離;50mm、処理面とのノズル角
度;30°)し、熱循環式オーブン内で200℃で5分
間加熱乾燥した。
【0078】実施例20 実施例19で用いた水系処理液の代わりに、有機高分子
A−7を20g/l、有機高分子A−5を10g/l、
無水クロム酸10g/l、ケイフッ化水素酸1g/l、
硝酸0.2/l、硝酸第2鉄0.05g/lからなる水
系処理剤を用いたこと以外は実施例19と同様に行っ
た。
【0079】比較例12 実施例17で用いた水系処理液の有機高分子A−1の代
わりにC−1を用いたこと以外は実施例17と同様に行
った。
【0080】比較例13 実施例19で用いた水系処理液の有機高分子A−8の代
わりにC−3を用いたこと以外は実施例19と同様に行
った。以上の実施例、比較例で作製した処理板試料につ
いて、評価を行い、その結果を表5に示した。実施例、
比較例、表3、表4及び表5から次のことが言える。 Cr化合物(B1)を用いたケースの本発明の処理で
ある実施例1〜8及び金属化合物(B2)を用いたケー
スの本発明の処理である実施例9〜16は表3及び表4
に示すように、何れも有機高分子化合物の析出が観察さ
れ、耐食性、耐沸水性、表面の滑り性(摩擦係数)、臭
気何れも優れている。 これに対して、リン含有酸基を有さない有機高分子化
合物を用いた比較例1、2、3、7、8及び9、また、
フッ素化合物を用いない比較例4、フッ素化合物と金属
化合物を用いない比較例11は、有機高分子化合物の析
出が全くなく、耐食性、耐沸水性が劣り、表面の摩擦係
数も高く、かつ臭気も強かった。 比較例5及び6は、従来からの方法であるクロメート
処理であり、耐食性、耐沸水性は優れるが摩擦係数が高
く、臭気が劣った。 リン酸ジルコニウム系の比較例7は、耐食性が劣り、
摩擦係数が高く、臭気が劣った。鉄系、または亜鉛系金
属材料を素材とした場合において、本発明の処理である
実施例17〜20は有機高分子化合物の析出が観察さ
れ、有機物高分子化合物の析出の認められないリン含有
酸基を有さない有機高分子を用いた比較例12及び13
に比べて耐食性が優れている。
【0081】
【発明の効果】本発明の処理剤、及び処理方法によって
形成された皮膜は、優れた耐食性、耐沸水性、表面の滑
り性、臭気発生の抑制効果を有しており極めて有用であ
る。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/08 PQH

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リンを含有する酸基を有する有機高分子
    化合物(A)と、Cr化合物(B1)と、フッ化物及び
    錯フッ化物から選ばれる少なくとも1種のフッ素化合物
    (C)とを含有することを特徴とする金属材料の自己析
    出型水系表面処理剤。
  2. 【請求項2】 金属材料の表面を、リンを含有する酸基
    を有する有機高分子化合物(A)と、Cr化合物
    (B1)と、フッ化物及び錯フッ化物から選ばれる少な
    くとも1種のフッ素化合物(C)とを含有する水系表面
    処理剤と接触させ、該表面に有機高分子を主成分とする
    有機化成皮膜を自己析出形成させることを特徴とする金
    属材料の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 リンを含有する酸基を有する有機高分子
    化合物(A)と、Zn、Mn、Zr、Ti、Ni、C
    o、Fe、Ca、Mg、Al、Sn、W、及びMoから
    選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B2)と、フッ
    化物及び錯フッ化物から選ばれる少なくとも1種のフッ
    素化合物(C)とを含有することを特徴とする金属材料
    の自己析出型水系表面処理剤。
  4. 【請求項4】 金属材料の表面を、リンを含有する酸基
    を有する有機高分子化合物(A)と、Zn、Mn、Z
    r、Ti、Ni、Co、Fe、Ca、Mg、Al、S
    n、W、及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属化
    合物(B2)と、フッ化物及び錯フッ化物から選ばれる
    少なくとも1種のフッ素化合物(C)とを含有する水系
    表面処理剤と接触させ、該表面に有機高分子を主成分と
    する有機化成皮膜を自己析出形成させることを特徴とす
    る金属材料の表面処理方法。
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