JP2008115451A - 皮膜形成剤と皮膜形成方法及び塗装物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
皮膜形成剤の総質量に対して、ジルコニウム化合物と、必要に応じて、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(a)の金属化合物(A)を合計金属量(質量換算)で30〜5,000ppmと、樹脂成分(B)1〜40質量%及び界面活性剤(C)0.1〜10質量%及び水を含むことを特徴とする皮膜形成剤。
【選択図】 なし
Description
特許文献1には、樹脂、水、可塑剤及び第二鉄含有化合物及びフッ化水素酸を含有する組成物が提案されている。また、特許文献2には、樹脂、乳化剤、酸と酸化剤と錯化剤から選ばれる少なくとも1種の溶解性促進剤を含有する組成物が提案されている。
特許文献3には、実質的にリン酸イオンを含有せず、ジルコニウムイオン及び/又はチタニウムイオン並びにフッ素イオンを含有してなる鉄及び/又は亜鉛系基材用化成処理剤が提案されている。
しかし、特許文献3に記載の鉄及び/又は亜鉛系基材用化成処理剤を用いた処理の後には、塗装工程によって塗膜を施さなくては、十分な防食性や仕上り性が確保できないという問題がある。
しかし、特許文献5や特許文献6に記載された潤滑鋼板用表面処理組成物を施した鋼板は、さらに塗装工程によって塗膜を施こさなくては、十分な防食性や仕上り性が確保できない。このため、工程の短縮化や省スペース化を図ることができない。
これら特許文献1〜7の組成物や方法によっては、工程の短縮化や省スペース化を図り、かつ十分な防食性が得られるまでには至っていない。
[被塗物]
本発明の皮膜形成剤を適用することができる被塗物としては、例えば、鉄、亜鉛;これらの金属がめっき(合金化)されたシート;該金属が積層されたシート等が挙げられる。
本発明に使用する皮膜形成剤は、皮膜形成剤の総質量に対して、ジルコニウム化合物と、必要に応じて、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(a)の化合物からなる金属化合物成分(A)を合計金属量(質量換算)で30〜5,000ppmと、樹脂成分(B)1〜40質量%及び界面活性剤(C)0.1〜10質量%とを含んでなるものである。
皮膜形成剤におけるジルコニウム化合物において、ジルコニウムのオキシ金属イオンを生じる化合物としては、例えば、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニルなど;ジルコニウムのフルオロ金属イオンを生じる化合物としては、例えば、ジルコニウムフッ化水素酸、ジルコニウムフッ化水素酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等)などが挙げられる。
一方、金属(a)の化合物からなる金属化合物(A)において、チタンの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、塩化チタン、硫酸チタン;チタンのフルオロ金属イオンを生じる化合物としては、例えば、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化水素酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等)などが挙げられ;コバルトのイオンを生じる化合物としては、例えば、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルトアンモニウムなどが挙げられ;バナジウムの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、オルソバナジン酸リチウム、オルソバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸リチウム、メタバナジン酸カリウム、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸アンモニウム、ピロバナジン酸ナトリウム、塩化バナジル、硫酸バナジルなどが挙げられ;タングステンの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、タングステン酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウム、ペンタタングステン酸アンモニウム、ヘプタタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、ホウタングステン酸バリウムなどが挙げられ;モリブデンの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸ストロンチウム、モリブデン酸バリウム、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸亜鉛などが挙げられ;亜鉛の金属イオンを生じる化合物としては、例えば、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛などが挙げられ;アルミニウムの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、リン酸アルミニウム、アルミン酸三カルシウム、アルミン酸ナトリウムなどが挙げられ;ビスマスの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、ギ酸ビスマス、2,2−ジメチロールプロピオン酸ビスマスなどが挙げられ;イットリウムの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、硝酸イットリウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、スルファミン酸イットリウム、乳酸イットリウム、ギ酸イットリウムなどが挙げられ;ネオジムの金属イオンを生じる化合物としては、例えば、硝酸ネオジム、酸化ネオジウムなどが挙げられる。
本発明の皮膜処理剤に用いられる樹脂成分(B)は、従来から公知の水溶解型樹脂、水分散型樹脂、もしくは水及び乳化剤の存在下で重合性不飽和単量体を用い乳化重合して製造される、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂もしくはノニオン性樹脂等が使用できる。具体的には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また必要に応じて、適宜に、アミノ化合物(メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂)、フェノール樹脂等を配合することができる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(B1)には、エポキシ樹脂にアミン化合物を反応させてなるものが包含され、出発材料として用いられるエポキシ樹脂は、皮膜の防食性などの観点から、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン、例えば、エピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。
(ここで、n=0〜8)示されるものが好適である。
ことができる。
ンタエリスリトールなどのヘキソール類;シュークロースなどのオクトール類などが挙げられる。
これらのうち特にフェノール、クレゾール類が好適である。
[式中、Xは水素原子、−OH、−OR、−NH2、−NR、C6H6−(CH2)−NR1R2、−SH及び−SRよりなる群から選ばれる置換基を有してもよい炭素数1〜15の炭化水素基を表し、ここでR、R1及びR2はそれぞれ独立してアルキル基を表す]
上記式(2)において、Xで表される炭素数1〜15の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状であることができ、中でも、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ノニル基などの炭素数1〜15、特に1〜12のアルキル基が好適である。これらの基は場合により水酸基(−OH)、アルコキシ基(−OR)、メルカプト基(−SH)及びアルキルチオ基(−SR)よりなる群から選ばれる基により置換されていてもよい。
スリトールなどのヘキソール類;シュークロースなどのオクトール類などが挙げられる。
で示されるエポキシ基含有官能基を1分子中に少なくとも2個有するエポキシ樹脂と、アミノ基含有化合物及び/又はフェノール化合物とを反応させてなるアミノ基含有及び/又はフェノール化合物含有エポキシ樹脂(B14)も使用することができる。
アルコール共重合体、アルキド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂などが挙げられる。また、これらの活性水素含有有機化合物は、活性水素と共にその骨格中に不飽和二重結合がエポキシ化された構造を有するものであってもよい。
具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、下記式(4)
で示されるα−エポキシオレフィン;スチレンオキサイド等の末端不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
で示される化合物、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等;ビニルシクロヘキセンの部分エポキシ化により一部副生する下記式(6)
で示されるような脂環式不飽和基を有する化合物なども他のエポキシ基含有化合物として使用することができる。
で示される置換基及び/又は生成してくる前記式(3)で示される置換基がエポキシ化剤などと副反応を起こした結果、変性された置換基が生じ、樹脂中に混在することがある。そのような樹脂の市販品として、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合体中のビニル基をエポキシ化した、EHPE−3150(ダイセル化学工業社製、商品名)を使用することもできる。
で示される化合物を用いることができる。
に示すように、約1モルのN−ヒドロキシアルキルアルキレンジアミンに、約1モルの炭素数5〜37、好ましくは8〜23のモノカルボン酸を反応させることによって製造することができる。
ロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミンが好適である。
ニル)エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール化合物が挙げられる。
上記式におけるR6の前駆体である活性水素含有化合物としては、例えば、第2級アミンのようなアミン類;ノニルフェノールのようなフェノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキルアルコール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトールのようなアルコール類;無機酸などの化合物が挙げられる。このうち、特に好ましいものとしては、第1級水酸基を有する第2級アミンであるジアルカノールアミンや、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フェノールのようなモノフェノールである。特に、第1級水酸基含有アミンを用いると硬化性が向上し、また、モノフェノールを用いると安定性がよくなる。
テル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエステル;脂環式オキシラン含有化合物などをビスフェノールAに反応させたものを使用することもできる。さらに、かかる化合物に、δ−4−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものも使用することができる。
及び/又はフェノール化合物含有エポキシ樹脂(B14)中のエポキシ基含有官能基1モルあたり、0.75〜1.5モル、特に0.8〜1.2モルの範囲内であることが好ましい。
また、樹脂成分(B)としては、アミノ基含有アクリル樹脂(B2)も使用することができる。出発材料として用いられるアクリル樹脂は、そのアクリル樹脂を構成するモノマー成分として、水酸基含有アクリルモノマー、アミノ基含有アクリルモノマー及びその他のモノマーなどをラジカル共重合することによって得られるものであることができる。
樹脂成分(B)は、架橋剤としてブロック化ポリイソシアネート化合物(B3)を含有することができる。ブロック化ポリイソシアネート化合物(B3)としては、芳香族、脂環族又は脂肪族のポリイソシアネート化合物などをブロック剤でブロックしたものが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、ジメチロール吉草酸、グリセリン酸などの水酸基含有化合物を挙げることができる。ブロックポリイソシアネート化合物として、中でも特に、メチルエチルケトオキシムでブロックされたイソホロンジイソシアネートが好ましい。
本発明の皮膜形成剤の安定性及び析出性の向上を目的として界面活性剤(C)を含有する。界面活性剤(C)は、アニオン系界面活性剤、又はアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の併用したものが好ましい。
ノニオン系界面活性剤を使用する場合には、HLBが8以上、好ましくは約10〜約20の範囲内がよい。なお、上記HLBは、分子中の親水基と親油基との釣り合いを示す、Hydrophile−Lipophile Balanceの略である。
皮膜形成剤は、皮膜の析出性の向上を目的として用いるものであり、本発明では有機溶剤(D)を皮膜形成剤として用いる。有機溶剤(D)としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−ジ−2−エチルヘキサノエート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、フェニルグリコールエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル及びトリブトキシエチルホスフェートから選ばれる少なくとも1種の有機溶剤が挙げられる。
本発明の皮膜形成剤は、皮膜の析出促進および皮膜形成剤の安定性の向上を目的として酸化剤(E)を含有することができる。
酸化剤(E)としては、フッ化水素酸およびその塩、珪フッ化水素酸およびその塩、チタンフッ化水素酸およびその塩、第二鉄イオン、酢酸、燐酸、硫酸、硝酸、過酸化水素、ペルオキシ酸、クエン酸およびその塩、および酒石酸およびその塩からなる群より選択される。より好ましくは、析出促進の面から過酸化水素がよい。
さらに、金属被塗物近傍の鉄イオン濃度が上昇すると、イオン化することによって安定化を保っている樹脂成分(B)の水分散体が不安定な状態となり、樹脂成分(B)が凝集し、かつ難溶性の酸化ジルコニウムが被塗物に析出されず、樹脂成分(B)や顔料を主成分とする皮膜(F2)が形成されて、本発明の皮膜構造を得ることができる。
PP−400(三洋化成社製、商品名、ポリプロピレングリコール 分子量400)400部に、ε−カプロラクトン300部を加えて、130℃まで昇温した。その後、テトラブトキシチタン0.01部を加え、170℃に昇温した。この温度を保ちながら経時でサンプリングし、未反応のε−カプロラクトンが実質的になくなったことを確認した時点で冷却し、変性剤1を得た。
別のフラスコに、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂 エポキシ当量190 分子量350)1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が750になるまで反応させた。次に、変性剤1を200部、ジエタノールアミンを140部及びジエチレントリアミンのケチミン化物65部を加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで固形分を調整し、樹脂固形分80%のポリオール変性のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.1を得た。該アミノ基含有エポキシ樹脂No.1は、樹脂アミン価が56mgKOH/g、数平均分子量が2,000であった。
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させた。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050センチポイズ(25℃)のフェノール変性のキシレンホルムアルデヒド樹脂 480部を得た。
別のフラスコに、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、分子量350)1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が750になるまで反応させた。
次に、キシレンホルムアルデヒド樹脂を300部、ジエタノールアミンを137部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物を95部加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル403部を加え、樹脂固形分80%のキシレンホルムアルデヒド樹脂変性のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.2を得た。該アミノ基含有エポキシ樹脂No.2は、樹脂アミン価が57mgKOH/g、数平均分子量が2,000であった。
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取付けたフラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル397部、EHPE−3150(エポキシ当量180 ダイセル化学工業(株)製)900部、アミノ基含有化合物(注3)370部、ジエタノールアミン315部及びフェノール化合物(注4)1651部を加え、混合撹拌しながら、150℃まで昇温し、エポキシ基残量が0になるまで反応させた。さらに、エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル3610部、ビスフェノールA1596部、ジエタノールアミン525部及びエチレングリコールモノブチルエーテル1433部を添加し、150℃でエポキシ基残量が0になるまで反応させて、樹脂固形分80%、アミン付加エポキシ樹脂溶液No.3を得た。該アミン付加エポキシ樹脂No.3は、樹脂アミン価が65mgKOH/g、数平均分子量が2,000であった。
(注3) アミノ基含有化合物:
温度計、撹はん機、還流冷却器及び水分離器を取り付けた反応容器に、12−ヒドロキシステアリン酸300部とヒドロキシエチルアミノエチルアミン104部及びトルエン80部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し必要に応じてトルエンを除去し温度を上げながら反応水18部を分離除去した後残存するトルエンを減圧除去し、アミン価148mgKOH/g、凝固点69℃のアミノ基含有化合物を得た。
(注4) フェノール化合物:
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取付けたフラスコに、ジエタノールアミン105部、エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル760部、ビスフェノールA456部及びエチレングリコールモノブチルエーテル330部を加し、150℃でエポキシ基残量が0になるまで反応し、固形分80%のフェノール化合物を得た。
イソホロンジイソシアネート222部にメチルイソブチルケトン44部を加え、70℃に昇温した。その後、メチルエチルケトキシム174部を2時間かけて滴下して、この温度を保ちながら経時でサンプリングして赤外吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネートの吸収が実質的になくなったことを確認し、樹脂固形分90%のブロックポリイソシアネート化合物である硬化剤を得た。
上記製造例1で得た樹脂固形分80%のアミン付加エポキシ樹脂No.1
を87.5部(固形分70部)に、硬化剤No.1を33.3部(固形分30部)、酢酸1.6部及び脱イオン水190.1部を加えて水分散化し、固形分32%のエマルションNo.1を得た。
製造例5と同様の操作にて、表1の配合内容のエマルションNo.2〜No.6を得た。
撹拌機、温度計及び還流冷却管の備えた通常のアクリル樹脂反応槽にエチレングリコールモノブチルエーテル37部を仕込み、加熱撹拌して110℃に保持した。
その中に下記の「混合物」を3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で30分間熟成し、次にエチレングリコールモノブチルエーテル20部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。次いで110℃で1時間熟成したのち冷却し、樹脂固形分55%の顔料分散用アクリル樹脂溶液を得た。
「混合物」
スチレン 10部
メチルメタクリレート 35部
2−エチルヘキシルメタクリレート 20部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
NFバイソマーS20W(注6) 40部
アゾビスイソブチロニトリル 1部
イソブチルアルコール 5部。
製造例9で得た樹脂固形分55%の顔料分散用のアクリル樹脂溶液6.3部(固形分5部)、JR−600E(注8)14部、カーボンMA−7(注9)0.3部、ハイドライトPXN(注10)9.7部、ジオクチル錫オキサイド1部、及び脱イオン水21.8部をボールミルにて20時間分散して、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
下記表2に示す化合物を用いる以外は製造例12と同様の操作にて、顔料分散ペーストNo.2を得た。
エマルションNo.1を312.5部(固形分100部)、製造例12で得た55%顔料分散ペーストNo.1を54.5部(固形分30部)、脱イオン水633.0部を加えて浴とし、次いでジルコニウムフッ化水素アンモニウム1.3部、硝酸マグネシウム2.1部を加えて皮膜形成剤No.1を得た。
下記表3及び表4に示す配合とする以外は、製造例14と同様にして皮膜形成剤No.2〜No.19を得た。
皮膜形成剤No.1の浴を28℃に調整し、被塗物の冷延鋼板(70mm×150mm×0.8mm)を180秒間浸漬して皮膜を得た。得られた皮膜を電気乾燥機によって170℃で20分間焼付け乾燥して、試験板No.1とした。
表5の浸漬条件と皮膜形成剤する以外は、実施例1と同様にして皮膜No.2〜No.9を得た。
表6の浸漬条件と皮膜形成剤する以外は、実施例1と同様にして皮膜No.10〜No.13を得た。
表7の皮膜形成剤する以外は、実施例1と同様にして、試験板No.14〜No.19を得た。
○は、皮膜(F1)と皮膜(F2)境界がはっきりしないが、層分離が多少認められる。
×は、層分離は認められない。
皮膜(F2)を105℃3時間乾燥した後の質量・・・b1
800℃のるつぼに入れて5時間焼付けた後の残分質量・・・b2
樹脂成分(B)の含有量(%)=[(b1−b2)/b1]・・・式(2)。
◎は、錆、フクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)であり、
○は、錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以上で且つ3mm未満(片
側)であり、
△は、錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上で且つ4mm未満(片
側)であり、
×は、錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である、
ことを示す。
試験板に、スプレー塗装方法で、WP−300(関西ペイント株式会社製、水性中塗り塗料)を硬化膜厚が25μmとなるように塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分焼き付けを行なった。さらに、その中塗塗膜上にスプレー塗装方法で、ネオアミラック6000(関西ペイント株式会社製、上塗り塗料)を硬化膜厚が35μmとなるように塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃×30分焼き付けを行ない、ばくろ試験板を作製した。
得られたばくろ試験板上の塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカットキズを入れ、これを千葉県千倉町で、水平にて1年間暴露した後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は、錆またはフクレの最大幅がカット部より2mm未満(片側)
○は、錆またはフクレの最大幅がカット部より2mm以上で且つ3mm未満(片側)
△は、錆またはフクレの最大幅がカット部より3mm以上で且つ4mm未満(片側)
×は、錆またはフクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)である、
ことを示す。
試験板の塗面をサーフテスト301(株式会社ミツトヨ社製、商品名、表面粗度計)を用いて、表面粗度値(Ra)をカットオフ0.8mmにて測定した。
◎は、表面粗度値(Ra)が0.2μm未満
○は、表面粗度値(Ra)が0.25μm以上でかつ0.3μm未満、
△は、表面粗度値(Ra)が0.25μm以上でかつ0.3μm未満、
×は、表面粗度値(Ra)が0.3μm以上、を示す。
乾燥膜厚20μmの各試験板を、JIS K−5400 9.8.1に規定するサンシャインカーボンアーク灯式による促進耐候性試験を行い、JIS K−5400 7.6(1990)に準じて塗面の60度鏡面反射率(%)が80%を割る時間を測定した。
◎は、60度鏡面反射率(%)が80%を割る時間が200時間以上、
○は、60度鏡面反射率(%)が80%を割る時間が150時間以上、かつ200時間未満
△は、60度鏡面反射率(%)が80%を割る時間が50時間以上、かつ150時間未満
×は、60度鏡面反射率(%)が80%を割る時間が50時間未満。
各々の皮膜形成剤を30℃にて30日間容器を密閉して攪拌した。その後、皮膜形成剤を400メッシュ濾過網を用いて全量濾過し、残さ量(mg/L)を測定した。
◎は、5mg/L未満、
○は、5mg/L以上で、かつ10mg/L未満
△は、10mg/L以上で、かつ15mg/L未満
×は、15mg/L以上、を示す。
Claims (6)
- 皮膜形成剤の総質量に対して、ジルコニウム化合物と、必要に応じて、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(a)の金属化合物(A)を合計金属量(質量換算)で30〜5,000ppmと、
樹脂成分(B)1〜40質量%及び界面活性剤(C)0.1〜10質量%及び水を含むことを特徴とする皮膜形成剤。 - 皮膜形成剤の総質量に対して、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−ジ−2−エチルヘキサノエート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、フェニルグリコールエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル及びトリブトキシエチルホスフェートから選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(D)を0.1〜10質量%含有する請求項1に記載の皮膜形成剤。
- 皮膜形成剤の総質量に対して、酸化剤(E)を0.1〜5質量%含有する請求項1又は2に記載の皮膜形成剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膜形成剤を浴として、金属被塗物を1〜600秒間浸漬することによって皮膜を形成することを特徴とする皮膜形成方法。
- 皮膜の質量固形分合計を基準にして、ジルコニウム化合物と金属(a)の金属化合物(A)を合計金属量(質量換算)で、25〜70質量%含有する皮膜(F1)と、該皮膜(F1)上の、皮膜の質量固形分合計を基準にして、
ジルコニウム化合物と金属(a)の金属化合物(A)を合計金属量(質量換算)で25質量%未満含有し、且つ樹脂成分(B)を50〜95質量%含有する皮膜(F2)を含んでなる皮膜構造。 - 請求項5に記載の皮膜構造を有する塗装物品。
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