JP5814520B2 - 皮膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、電着塗装性及び安定性に優れた水性皮膜形成剤を用いて、金属基材に多段通電方式により皮膜を形成する方法、ならびに該皮膜形成方法により形成される耐水密着性が良好な塗装物品に関する。
従来、工業用の金属基材には、防食性や耐水密着性の向上を目的として、下地処理としてリン酸亜鉛処理が行われている。しかしながら、リン酸亜鉛処理剤による化成処理は、処理剤中にリンや窒素を多量に含んでおり、且つ形成される化成被膜の性能を向上させるためにニッケル、マンガン等の重金属を多量に含有しているため、リン酸亜鉛処理剤による化成処理は、環境への影響や、処理後にリン酸亜鉛、リン酸鉄等のスラッジが多量に発生し、産業廃棄物処理等に問題点が生じる。また、工業用の金属基材の耐水密着性向上を目的として、塗装ラインにおいては、「脱脂−表面調整−化成処理−電着塗装」等の処理工程に多くのスペースや時間を要している。
これらを解決するために、例えば、特許文献1には、ジルコニウム化合物(A)、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(B)を含有する皮膜形成剤を用い、多段階通電方法によって塗膜を形成する方法が開示されている。
しかし、上記の塗膜であっても厳しい条件下となると、表面処理を施していない無処理鋼板上に形成された塗膜の耐水密着性に問題がありさらなる改良が求められていた。
特開2009−280884号公報
本発明の目的は、鉛化合物やクロム化合物のような有害物質を用いることなく、無処理鋼板上の耐水密着性に優れるカチオン電着塗料組成物を見出すことである。
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、フェノール樹脂(C)含有し、かつジルコニウム化合物(D)を金属質量換算で30〜20,000ppm含んでなる水性皮膜形成剤(I)を用い、特定の塗装電圧で金属基材に2段階以上の多段階通電方法によって皮膜を形成する方法が上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.樹脂成分として、
エポキシ樹脂(a)とアミノ基含有化合物(a4)とを反応させることにより得られるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、
フェノール樹脂(C)及び
ジルコニウム化合物(D)を含有する水性皮膜形成剤(I)を含有する電着浴を用い、
金属基材を陰極として塗装電圧(V)1〜50Vで10〜360秒間通電することにより1段目の電着塗装を行う工程、ならびに
次いで、金属基材を陰極として塗装電圧(V)50〜400Vで60〜600秒間通電することにより2段目以降の電着塗装を行う工程を含む、金属基材に2段階以上の多段階通電方法によって皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
当該エポキシ樹脂(a)が、下記式(1)
[式中、nは1〜50の整数を示す。]
で示されるジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を反応させてなるものであり、
水性皮膜形成剤(I)が、ジルコニウム化合物(D)を金属質量換算で30〜20,000ppm含み、かつ
塗装電圧(V)と塗装電圧(V)の差が10V以上である、方法。
2.前記水性皮膜形成剤(I)が、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)及びフェノール樹脂(C)の固形分合計100質量部に対して、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)を50〜75質量部、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を10〜40質量部、フェノール樹脂(C)を1〜35質量部の割合で含有する1項に記載の皮膜形成方法。
3.ジエポキシド化合物(a1)の量が、ジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)の合計固形分を基準にして、20〜70質量%であり、かつアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)固形分を基準にして15〜50質量%である1項又は2項に記載の皮膜形成方法。ならびに
4.1項〜3項のいずれか1項に記載の皮膜形成方法により得られた塗装物品、に関する。
本発明の皮膜形成方法において使用される水性皮膜形成剤(I)は電着塗装性や安定性に優れる。また本発明の皮膜形成方法によれば、リン酸亜鉛処理工程を省略した金属基材であっても耐水密着性に優れる皮膜を形成できる。
リン酸亜鉛処理工程の省略によってスラッジ処理問題等を解消することができる。また、化成処理工程を省略できることから塗装ラインにおいて省スペース化や時間短縮が可能となる。
本発明の皮膜形成方法による皮膜が耐水密着性に優れる理由は、被塗物側に析出した皮膜(F1)が塗膜下腐食の抑制に寄与し、且つ表面側に析出した皮膜(F2)が腐食促進物質(例えば、HO、O、Cl、Na)を遮断するという2つの機能を、皮膜中において分担できているためと考えられる。
さらに、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)に使用されるジエポキシ化合物(a1)によって、水性皮膜形成剤(I)がジルコニウム化合物(D)を含有しても浴(液)安定性に優れ、かつ長期間にわたって耐水密着性に優れる塗装物品を提供できる。フェノール樹脂(C)の添加によって、被塗物との付着性を向上させ、耐水密着性をいっそう向上できたものである。
本発明の皮膜形成方法は、特定の水性皮膜形成剤(I)を用いて、2段階以上の多段通電方法によって表面処理皮膜を形成するものである。以下、本発明の皮膜形成方法について、さらに詳細に説明する。
水性皮膜形成剤(I):
水性皮膜形成剤は、特定のアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、フェノール樹脂(C)及びジルコニウム化合物(D)を含有し、かつジルコニウム化合物(D)を金属質量換算で30〜20,000ppm、好ましくは50〜10,000ppm、さらに好ましくは100〜5,000ppm含むことを特徴とする。
水性皮膜処理剤(I)において使用される基体樹脂は、耐水密着性向上等の面からカチオン性樹脂組成物が好適である。カチオン性樹脂組成物は、例えば、分子中にアミノ基、アンモニウム塩基、スルホニウム塩基、ホスホニウム塩基等の水性媒体中でカチオン化可能な基を有する樹脂が挙げられ、基体樹脂の樹脂種としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリブタジエン樹脂系、アルキド樹脂系、ポリエステル樹脂系等が挙げられる。中でも、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が耐食性の点から好ましい。
[アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)]
基体樹脂として使用されるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)は、特定のジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を反応させてなるエポキシ樹脂(A1)と、アミノ基含有化合物(a4)とを反応させることにより得られる樹脂である。
エポキシド化合物(a1):
ジエポキシド化合物(a1)は、下記式(1)
[式中、nは1〜50、好ましくは5〜24、さらに好ましくは8〜14の整数を示す]
で示される化合物(以下、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルと称することもある)であり、水性皮膜形成剤(I)の安定性や得られた皮膜の耐水密着性等の面から、通常230〜2,000、特に340〜1,200の範囲内の分子量を有することが好ましい。
かかるジエポキシド化合物(a1)の市販品としては、例えば、デナコールEX−810、デナコールEX−821、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−851、デナコールEX−861(以上、いずれもナガセケムテックス株式会社製、商品名)等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2):
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の製造に使用されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)には、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られる樹脂が包含され、一般に340〜2,000、特に340〜1,000の範囲内の数平均分子量、及び一般に170〜1,500、特に170〜800の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。
なお、本明細書において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で測定することができる。
該ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)の製造に用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、クレゾールノボラック等を挙げることができる。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式(2)
[式中、nは0〜8、好ましくは1〜5、さらに好ましくは2〜4の整数を示す]で示されるエポキシ樹脂が好適である。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、jER828EL、jER1002、jER1004(以上、いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
ビスフェノール化合物(a3):
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の製造に使用されるビスフェノール化合物(a3)には、下記一般式(3)
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
で示される化合物が包含され、具体的には、例えば、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン[ビスフェノールF]等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A1):
エポキシ樹脂(A1)は、以上に述べたジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を付加反応させることにより製造することができる。この付加反応はそれ自体既知の方法で行うことができる。
具体的には、例えば、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシチタン等のチタン化合物;オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ラウレート等の有機錫化合物;塩化第1錫等の金属化合物のような触媒の存在下に、ジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を混合し、約100〜約250℃の温度で約1〜約15時間加熱することによってエポキシ樹脂(A1)を得ることができる。
ジエポキシド化合物(a1)は、電着塗装性や安定性等の面からジエポキシド化合物(a1)とビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)とビスフェノール化合物(a3)の合計固形分を基準にして、20〜70質量%、特に25〜68質量%、さらに特に30〜65質量%の範囲内で、且つアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の固形分を基準にして、15〜50質量%、特に18〜45質量%、さらに特に20〜42質量%の範囲内で使用することが好ましい。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)は、電着塗装性や安定性等の面からジエポキシド化合物(a1)とビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)とビスフェノール化合物(a3)の合計固形分を基準にして、一般に11〜53質量%、特に13〜48質量%、さらに特に16〜42質量%の範囲内で使用することができる。
上記触媒は、ジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)の合計量を基準にして、一般に0.5〜1,000ppmの量で使用することができる。上記付加反応は通常溶媒中で行われ、使用し得る溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール等のアルコール系溶媒;あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
アミノ基含有化合物(a4):
エポキシ樹脂(A1)と反応させるアミノ基含有化合物(a4)は、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有し且つエポキシ樹脂(a)にアミノ基を導入してカチオン化することができるものであればその種類には特に制限はなく、従来からエポキシ樹脂のカチオン化に用いられるものを同様に使用することができ、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のケチミン化物;ジエタノールアミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール等が挙げられる。
以上に述べたエポキシ樹脂(A1)とアミノ基含有化合物(a4)を、それ自体既知の方法により付加反応させることによりアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)を得ることができる。上記付加反応は、適当な溶媒中で、約80〜約170℃、好ましくは約90〜約150℃の温度で1〜6時間、好ましくは1〜5時間行うことができる。
このようにして得られるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)は、一般に600〜3,000、特に1,000〜2,500の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
[ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)]
本発明の方法に使用する水性皮膜形成剤(I)は、前述のアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を組合せて使用する。
上記のブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)は、ポリイソシアネート化合物を適当なブロック剤でブロックしてなる化合物である。該ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂環族又は脂肪族のポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、1,3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、クルードMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−もしくはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられ、脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、p−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、ブロック剤の付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温においては安定であるが、例えば一般的な焼付け硬化型塗膜の焼き付け温度である約100〜約200℃に加熱するとブロック剤が解離してイソシアネート基が再生する。
このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール系化合物;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール系化合物;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール化合物等が挙げられる。
[フェノール樹脂(C)]
フェノール樹脂(C)は、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒドとを酸性触媒や塩基性触媒の存在下で縮合反応させた樹脂で、この中でも酸性触媒で縮合したものをノボラック型フェノール樹脂、塩基性触媒で縮合させたものをレゾール型フェノール樹脂と称する。
本発明の方法に使用する水性皮膜形成剤(I)は、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂のいずれも用いることができる。また、メチロール基が導入された樹脂も含まれ、さらに導入されたメチロール基の一部、あるいはすべてを炭素数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したフェノール樹脂も用いることができる。
本発明に用いるフェノール樹脂(C)は、水酸基価が90〜623mgKOH/gが、得られた塗膜の付着性を向上させることができ、耐水密着性に優れる塗膜が得られる。
上記フェノール樹脂(C)の市販品としては、SUMILITERESIN PR−HF−3、SUMILITERESIN PR−HF−6、SUMILITERESIN PR−53194、SUMILITERESIN PR−53195、SUMILITERESIN PR−54869、SUMILITERESIN PR−16382、SUMILITERESIN PR−51939、SUMILITERESIN PR−53153、SUMILITERESIN PR−53364、SUMILITERESIN PR−53365、SUMILITERESIN PR−50702(以上、「住友ベークライト社」製);PHENOLITE TD−2131、PHENOLITE TD−2106、PHENOLITE TD−2093、PHENOLITE TD−2091、PHENOLITE TD−2090、PHENOLITE VH−4150、PHENOLITE VH−4170、PHENOLITE VH−4240、PHENOLITE KH−1160、PHENOLITE KH−1163、PHENOLITE KH−1165、PHENOLITE TD-2093−60M、PHENOLITE TD-2090−60M、PHENOLITE LF−4711、PHENOLITE LF−6161、PHENOLITE LF−4871、PHENOLITE LA−7052、PHENOLITE LA−7054、PHENOLITE LA−7751、PHENOLITE LA−1356、PHENOLITE LA-3018−50P(以上、DIC社製);ショウノールBRG−555、ショウノールBRG−556、ショウノールBRG−558、ショウノールCKM−923、ショウノールCKM−983、ショウノールBKM−2620、ショウノールBRL−2854、ショウノールBRG−5590M、ショウノールCKS−3898、ショウノールCKS−3877A、ショウノールCKM−937(以上、「昭和高分子社」製)等が挙げられる。
なお水性皮膜形成剤(I)において、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、アミノ基含有変性エポキシ樹脂、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)及びフェノール樹脂(C)の配合割合は、これらの固形分合計100質量部に対して、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)50〜75質量部、好ましくは55〜70質量部、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)10〜40質量部、好ましくは10〜35質量部、フェノール樹脂(C)1〜35質量部、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜25の範囲内であることが、無処理鋼板上の耐水密着性向上に好ましい。
さらに、ジエポキシド化合物(a1)の割合は、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)及びフェノール樹脂(C)の固形分合計を基準にして10〜35質量%、好ましくは15〜30質量%であることが、皮膜形成剤安定性の点で好ましい。
[ジルコニウム化合物(D)]
本発明に従う1段目の塗装は、ジルコニウム化合物(D)から生じるオキシジルコニウムイオン、フルオロジルコニウムイオン等のジルコニウム含有イオンを金属素材の表面に析出させることにより皮膜(F1)を形成する工程である。
しかして、ジルコニウム化合物(D)には、オキシジルコニウムイオンを生じる化合物として、例えば、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル等;フルオロジルコニウムイオンを生じる化合物として、例えば、ジルコニウムフッ化水素酸、ジルコニウムフッ化水素酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等)等が挙げられる。これらのうち、特に、ジルコニウムフッ化水素酸が好適である。
さらに、水性皮膜形成剤(I)は、ジルコニウム化合物(D)の他に、適宜、ビスマス含有イオンを生じる化合物を含んでなることができる。ビスマス含有イオンを生じる化合物としては、例えば、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、ギ酸ビスマス、2,2−ジメチロールプロピオン酸ビスマス等の有機系ビスマス含有化合物が挙げられる。
また、水性皮膜形成剤(I)には、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、顔料、触媒、有機溶剤、顔料分散剤、表面調整剤、界面活性剤等を塗料分野で通常使用されている配合量で含有することができる。
なお、上記の顔料や触媒としては、例えば、チタン白、カーボンブラック等の着色顔料;クレー、タルク、バリタ等の体質顔料;トリポリリン酸二水素アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム等の防錆顔料;酸化ビスマス、水酸化ビスマス、乳酸ビスマス等のビスマス化合物;ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等の有機錫化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジベンゾエート、ジブチル錫ジベンゾエート等のジアルキル錫の脂肪族もしくは芳香族カルボン酸塩等の錫化合物が挙げられる。
なお水性皮膜形成剤(I)の調整は、具体的には以下に述べる方法(1)〜方法(3)により行うことができる。
方法(1):アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、フェノール樹脂(C)及び場合によりその他の添加剤を一緒にし、十分に混ぜ合わせて溶解ワニスを作製し、それに水性媒体中で、例えば、蟻酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸及びこれらの2種もしくはそれ以上の混合物等から選ばれる中和剤を添加して水分散化してなるエマルション中に、ジルコニウム化合物(D)を配合したエマルションと、顔料分散ペーストを配合する方法。
方法(2):ジルコニウム化合物(D)、顔料成分や触媒、その他の添加剤、水を加え分散して顔料分散ペーストを調製し、その顔料分散ペーストと、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)とフェノール樹脂(C)とを含むエマルションに配合する方法。
方法(3):あらかじめ作製した水性皮膜形成剤(I)の浴(アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、及びフェノール樹脂(C)を含む)に、ジルコニウム化合物(D)を配合して、水で希釈して配合する方法が挙げられる。
上記の方法(1)〜方法(3)から選ばれる少なくとも1種の方法によって水性皮膜形成剤(I)を製造することができる。
被塗物:
本発明において被塗物として使用される金属基材としては、例えば、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板等の金属鋼板やこれら金属鋼板から成形された自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられる。
多段階通電方式:
本発明に従えば、水性皮膜形成剤(I)を含有する電着浴を用いて、以下に述べる少なくとも2段階の多段階通電方式によって、金属基材上に本発明が目的とする皮膜を形成せしめることができる。
水性皮膜形成剤(I)含有電着浴を用いての金属基材の塗装は、具体的には、以上に述べた皮膜形成剤(I)含有電着浴を用い、金属基材を陰極として塗装電圧(V)1〜50V、好ましくは2〜40V、さらに好ましくは2.5〜30Vで10〜360秒間、好ましくは30〜300秒間、さらに好ましくは60〜240秒間通電することにより1段目の電着塗装を行い、次いで、金属基材を陰極として塗装電圧(V)50〜400V、好ましくは100〜350V、さらに好ましくは125〜300Vで且つ塗装電圧(V)と塗装電圧(V)の差を10V以上、好ましくは15〜50Vの範囲内に保持しつつ60〜600秒間、好ましくは90〜240秒間、さらに好ましくは120〜220秒間通電することにより2段目以降の電着塗装を行うことによって実施することができる。
上記の多段階通電方式による皮膜の析出機構としては、次のような機構が考えられる。まず、1段目の通電によって、陰極近傍のpHが上昇し、それにより水性皮膜形成剤(I)中のジルコニウム化合物の加水分解反応が起こり、ジルコニウムイオン種、例えば、ジルコニウムとフッ素との錯体イオンが難溶性の皮膜(F1)、主に、酸化ジルコニウムとして金属基材上に析出する。
なお、1段目の通電条件では、陰極上が低電流密度であるため、樹脂成分は電着浴中で拡散(分散)し又は電極上に析出して再溶解し、陰極上に実質的な皮膜を形成するに至らない。
次いで、2段目の通電によって、樹脂成分や顔料を主成分とする皮膜(F2)が金属基体上に形成される。形成される皮膜の焼き付け温度は、被塗物表面で約100〜約200℃、好ましくは約120〜約180℃の範囲内の温度が適しており、焼き付け時間は通常5〜90分、好ましくは10〜50分程度とすることができる。かくして、本発明の方法によれば、電着塗装性と安定性に優れた水性皮膜形成剤を用いることにより、耐水密着性が良好な皮膜をもつ塗装物品を提供することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
製造例1 アミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.1
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、jER828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂)638.9部、デナコールEX821(注1)300.0部、ビスフェノールA 404.2部及びジメチルベンジルアミン0.2部を仕込み、130℃でエポキシ当量900になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン156.9部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル375.0部を加え、樹脂固形分80質量%のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.1溶液を得た。
アミノ基含有エポキシ樹脂No.1は、アミン価が56mgKOH/g、数平均分子量が2,000、ジエポキシド化合物(a)の割合(%)が20質量%であった。
製造例2〜5 アミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.2〜No.5
下記表1の組成及び配合内容とする以外は、製造例1と同様にしてアミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.2〜No.4を得た。
(注1)デナコールEX821: ナガセケムテックス(株)製、商品名、エポキシ当量185(式(1)において、n=4である化合物に相当)
(注2)デナコールEX841: ナガセケムテックス(株)製、商品名、エポキシ当量372(式(1)において、n=13である化合物に相当)
製造例5 アミノ基含有エポキシ樹脂溶液No.5
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、jER828EL(注3)1010部、ビスフェノールA 390部及びジメチルベンジルアミン0.2部を仕込み、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160部及びジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル355部を加え、樹脂固形分80質量%のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液アミノ基含有エポキシ樹脂No.5は、アミン価が70mgKOH/g、数平均分子量が1,700であった。
(注3)jER828EL:ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂
製造例6 硬化剤の製造例
イソホロンジイソシアネート222部にメチルイソブチルケトン44部を加え、70℃に昇温した。その後、メチルエチルケトキシム174部を2時間かけて滴下して、この温度を保ちながら経時でサンプリングし、赤外吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネートの吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分90%のブロックポリイソシアネート化合物である硬化剤を得た。
エマルションの製造
製造例7 エマルションNo.1の製造例
製造例1で得られた基体樹脂No.1を75部(固形分60部)、製造例6で得られた硬化剤を27.5部(固形分22部)、ショーノールCKM−923(注4)18部(固形分18部)を混合し、さらに10%ギ酸10.7部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水 部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分32%のエマルションNo.1を得た。
製造例8〜13 エマルションNo.2〜No.7の製造例
製造例8と同様の操作により、下記表2の組成及び配合内容のエマルション
No.2〜No.7を得た。
(注4)PHENOLITE VH−4150:DIC株式会社製、商品名、フェノール樹脂、水酸基価475mgKOH/g
製造例14 顔料分散用樹脂の製造例
jER828EL(注4参照)1,010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%の4級塩アンモニウム塩型の顔料分散用樹脂を得た。上記顔料分散用樹脂のアンモニウム塩濃度は、0.78mmol/gであった。
製造例15 顔料分散ペーストの製造例
製造例14で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.0部、カーボンブラック0.3部、精製クレー9.7部、ジオクチル錫オキサイド1.0部及び脱イオン水21.2部を混合分散し、固形分55%の顔料分散ペーストを得た。
製造例16 皮膜形成剤No.1の製造
製造例7で得た32%のエマルションNo.1を219.0部(固形分70部)に、製造例15で得た55%顔料分散ペーストを54.5部(固形分30.0部)、脱イオン水726.5部を加えて固形分10%の浴1,000部とした。次いで、ジルコニウムフッ化水素酸5.3(固形分5.3部)を加えて皮膜形成剤No.1を得た。
製造例17〜20
下記表3に示す配合とする以外は、製造例16と同様にして皮膜形成剤No.2〜No.5を得た。
比較製造例1〜3
下記表4に示す配合とする以外は、製造例15と同様にして皮膜形成剤No.6〜No.8を得た。
被塗物について
化成処理を施していない冷延鋼板(70mm×150mm×0.8mm)、又は化成処理を施していない合金化溶融亜鉛めっき鋼板(70mm×150mm×0.8mm)を、トルエンを入れた超音波洗浄器に浸漬して超音波脱脂を30分間施して「被塗物」とした。
皮膜形成剤の試験板の作成と評価
実施例1
皮膜形成剤No.1の浴を28℃に調整し、上記の被塗物を陰極(極間距離15cm)として浸漬し、第1段目を塗装電圧5V、通電時間60秒間の条件下で、そして第2段目を塗装電圧150V、通電時間180秒にて乾燥膜厚が15μmとなるように通電を行った。得られた皮膜を電気乾燥機によって170℃で20分間焼付け乾燥し、試験板No.1を得た。
実施例2〜8、比較例1〜7
下記表5及び表6に示す皮膜形成剤及び塗装条件を用いる以外は、実施例1と同様にして試験板No.2〜No.15を得た。
(注5)電着塗装性:
化成処理を施していない冷延鋼板に、各カチオン電着塗料を15μmの乾燥
塗膜が得られる条件にて電着塗装を行った後、水洗し、170℃で20分間焼
付け乾燥した後、目視でワキ、ヘコミ、ピンホール、及び平滑性を評価した:
○は、問題なく良好である;
△は、ワキ、ヘコミ、ピンホール、及び平滑性のいずれかの低下がみられる;
×は、ワキ、ヘコミ、及び平滑性のいずれかの低下が著しくみられる。
(注6)皮膜形成剤安定性:
各皮膜形成剤を密閉容器内で30℃にて30日間攪拌した後、皮膜形成剤を400メッシュ濾過網を用いて全量濾過し、濾過網上の残さ量(mg/L)を測定した。
◎は、5mg/L未満、
○は、5mg/L以上で、且つ10mg/L未満、
△は、10mg/L以上で、且つ15mg/L未満、
×は、15mg/L以上、を示す。
(注7)耐水密着性:
化成処理を施していない合金化溶融亜鉛めっき鋼板に、各カチオン電着塗料を15μmの乾燥塗膜が得られる条件にて電着塗装を行った後、水洗し、170℃で20分間焼付け乾燥した後、WP−305(関西ペイント社製、商品名、水性中塗り塗料)を30μm塗装し140℃で30分間焼き付けて中塗り塗膜を得た。さらにその塗膜の上に、ネオアミラック6000白(関西ペイント社製、商品名、白色アルキド系上塗り塗料)を膜厚35μm塗装し、140℃で30分加熱して複層塗膜を得た。複層塗膜を形成した試験板を、40℃の温水に10日間浸漬した後、2mm角の碁盤目100個を切り粘着テープにて剥離した塗面を、以下の基準で評価した:
◎は、碁盤目が100個残存している;
○は、碁盤目が99個残存し、そのうち1個は一部がわずかにフチカケのみで問題ないレベル;
△は、碁盤目が90〜98個残存している;
×は、碁盤目が90個未満残存している。
(注8)総合評価
本発明が属する金属鋼板に対する皮膜形成の分野においては、電着塗装性、皮膜形成剤安定性及び耐水密着性のいずれもが優れていることが求められる。従って、下記の評価基準にて、各皮膜形成方法の総合評価を行った:
◎:電着塗装性が○であり、かつ皮膜形成剤安定性及び耐水密着性の両方が◎である;
○:電着塗装性が○であり、皮膜形成剤安定性及び耐水密着性がいずれも◎又は○であり、皮膜形成剤安定性及び耐水密着性の少なくとも一方が○である;
△:上記3項目がいずれも◎、○又は△であり、かつこれらの少なくとも1個が△である;
×:上記3項目の少なくとも1個が×である。
無処理鋼板でも耐水密着性に優れる塗装物品を提供できる。

Claims (4)

  1. 樹脂成分として、
    エポキシ樹脂(a)とアミノ基含有化合物(a4)とを反応させることにより得られるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、
    ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、
    フェノール樹脂(C)及び
    ジルコニウム化合物(D)
    を含有する水性皮膜形成剤(I)を含有する電着浴を用い、
    金属基材を陰極として塗装電圧(V1)1〜50Vで10〜360秒間通電することにより1段目の電着塗装を行う工程、ならびに
    次いで、金属基材を陰極として塗装電圧(V2)50〜400Vで60〜600秒間通電することにより2段目以降の電着塗装を行う工程を含む皮膜形成方法であって、
    当該エポキシ樹脂(a)が、下記式(1)
    [式中、nは1〜50の整数を示す。]
    で示されるジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を反応させてなるものであり、
    水性皮膜形成剤(I)が、ジルコニウム化合物(D)を金属質量換算で30〜20,000ppm含み、
    塗装電圧(V2)と塗装電圧(V1)の差が10V以上であり、かつ
    当該フェノール樹脂(C)が、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、及びこれらのフェノール樹脂にメチロール基が導入され、当該導入されたメチロール基の一部又はすべてを炭素数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、方法[ただし、水性皮膜形成剤(I)として、(A)レゾール型フェノール樹脂の初期反応生成物とモノエポキシ化合物とを塩基性触媒の存在下に反応させて得られた式:
    [式中、R1はレゾール型フェノール樹脂の初期反応生成物からフェノール性水酸基を除いた残基、
    2、R3、R4、R5はモノエポキシ化合物からエポキシ基を除いた残基を示す。]
    を有するβ−ヒドロキシフェノールエーテル化合物、
    および
    (B)カチオン型水性樹脂
    を含有するカチオン型水性塗料組成物を用いる方法を除く]。
  2. 前記水性皮膜形成剤(I)が、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)及びフェノール樹脂(C)の固形分合計100質量部に対して、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)を50〜75質量部、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を10〜40質量部、フェノール樹脂(C)を1〜35質量部の割合で含有する請求項1に記載の皮膜形成方法。
  3. ジエポキシド化合物(a1)の量が、ジエポキシド化合物(a1)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)の合計固形分を基準にして、20〜70質量%であり、かつアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)固形分を基準にして15〜50質量%である請求項1又は2に記載の皮膜形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により皮膜を形成する工程を含む、塗装物品の製造方法
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