JPH0784532B2 - 金属ラミネート用フィルム - Google Patents
金属ラミネート用フィルムInfo
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Description
ルムに関し、さらに詳しくは金属とラミネート時および
ラミネート後に絞り成形加工、しごき成形加工する際に
おいて良好な接着剤、成形性、滑り性、耐衝撃性を発揮
し、さらに飲料缶、食缶として用いた時に充填物の味を
変質させず、また外観の良好な金属ラミネート用フィル
ムに関するものである。
腐蝕防止には熱硬化性塗料を塗布することが多い。一
方、熱可塑性樹脂フィルムを金属板に加熱ラミネート
し、これを絞り成形加工やしごき成形加工することによ
って缶状に成形することが提案されている。熱可塑性樹
脂フィルムとしてはポリオレフィンフィルム、共重合ポ
リエステルフィルム、接着剤付ポリエステルフィルムな
どが提案されている。たとえば、特公平2−58094
号公報にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルムを熱ラミネート後急冷することにより金属ラミネー
ト側は無配向に、反対側には二軸配向を残すというフィ
ルム被覆金属板の製造方法が開示されている。
ンフィルムでは耐熱性、耐食性、保香性に劣り、共重合
ポリエステルフィルムでは絞り成形やしごき成形時にプ
ラグにフィルムが粘着して均一な成形が出来ず、その結
果フィルムに亀裂が入りやすくなったりプラグが抜けに
くくなり成形速度が上がらず、また接着剤によるラミネ
ートではコストが上昇し、接着剤層の絞り成形性・しご
き成形性が悪く、亀裂が入り耐食性などに問題があっ
た。またPETフィルムを熱ラミネートする方法ではラ
ミネート温度を高く設定する必要があるために金属板の
ダメージ、特にブリキ板等のメッキ層の損傷が大きく、
またPET単体ではそれ自体の成形性も不良のため一般
の飲料用缶のような深絞りに対応する上で大きな問題が
あった。
り成形、しごき成形において、金属ラミネート用フィル
ムと金属板との加熱ラミネート時の適性、特に滑り性を
改良し、また成形時の接着性、成形性、耐衝撃性を良好
にし、さらに成形缶として用いた時に充填物の味を変質
させず、また良好な外観を有する金属ラミネート用フィ
ルムを提供することを目的とする。
金属ラミネート用フィルムとは、極限粘度[η]が0.
75以上のポリエステルフィルムを用いる金属ラミネー
ト用フィルムである。
ボン酸とジオールとの重縮合で得られるポリマーであっ
て、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸等が挙げられ、ジオールとしては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキ
サンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等が挙げられる。これらのジカルボ
ン酸とジオールとを、それぞれ一種又はそれ以上共重合
した重合体であって、本発明の場合、特にポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレートを主成分とするポ
リエステルが好ましい。本発明の場合、ブレンドのよう
な不均一な成分では、耐衝撃性が不良になるために均一
系ポリマーであることが必要である。
なるポリエステル層の積層フィルムであるのが好まし
く、融点として231℃以上のポリエステル層(I)
と、230℃以下の金属と接着するポリエステル層(I
I)とからなる積層フィルムが好ましい。ポリエステル
層(II)の融点が230℃を越えると金属との接着力
が弱くなり、成形むらや、クラック発生の原因となるば
かりか、金属特にスズメッキ鉄板の場合には金属板が劣
化するため好ましくない。またポリエステル層(II)
の融点は140℃未満では成缶後のレトルト処理や焼付
工程での高温処理で金属との接着が弱くなるばかりか、
ポリエステル層が金属から収縮、剥離するため好ましく
ない。一方、ポリエステル層(I)の融点は231℃未
満ではフィルムの高温での取り扱い作業性が大巾に劣る
ためである。
[η]は0.75以上、好ましくは0.9以上、さらに
好ましくは1.0以上であることが必要である。これ
は、金属とラミネート後の成形性、耐レトルト性、耐ピ
ンホール性、耐衝撃性、さらには内容物の味の変質防止
のために必要である。さらに、本発明フィルムは、高融
点のポリエステル層(I)と、低融点のポリエステル層
(II)との2層からなる場合、ポリエステル層(I
I)の極限粘度[η]2 が0.75以上、好ましくは
0.9以上、さらに好ましくは1.0以上である。これ
は主として、耐衝撃性、耐ピンホール性、耐レトルト
性、成形性などを付与するためである。
[η]1 は0.75以上、好ましくは1.0以上、さら
に好ましくは1.1以上であり、さらに[η]2 より大
きくないと、成缶後の内容充填物の味が経日で変質する
ためであり、これは主として味の成分を選択吸着した
り、逆にフィルムからガスが発生するためではないかと
思われ、その1つの指標としてd−リモネンの吸着量が
20μg/g以下および揮発成分が5μg/g以下であ
るのがよい。さらに好ましくは、内容物と接するフィル
ム表面のぬれ張力は40dyn/cm以上、好ましくは
45dyn/cm以上、さらに好ましくは50dyn/
cm以上であるのがよく、公知のコロナ放電処理(空
気、窒素、炭酸ガスなどのガス中)やブラズマ処理(炭
酸ガス、アルゴンなどのガス中)、火炎処理、薬液処
理、さらには極性ポリマーのコーティングなどの手法で
達成することができる。さらに該フィルム表面の結晶性
は高い方が吸着はしにくくなり好ましい。このために
は、金属板と本発明フィルムとを180〜230℃で加
熱軟化させて、加圧密着させた後、急冷しすぎることな
く徐冷しながら冷却し、この過程で主としてポリエステ
ル層(I)に1μm程度以下の微細な球晶を生成させ結
晶化させるのがよい。結晶を微細化させるために結晶核
剤としてSiO2 などを0.01〜0.5%程度添加す
るのがよく、結晶化度としては3〜50%、好ましくは
5〜20%とするのがよい。このように微細高結晶化と
表面ぬれ張力を高くすることによって味の成分を選択吸
着することがなく、さらには、成形工程、特にDI成形
(Draw Ironing)のように材料をしごき成
形するときにはスティックスリップなどを起こさず均一
な成形ができるので好ましい。これは主としてしごき棒
と本発明フィルムとのすべり性の良化と、本発明フィル
ムの強靭性と剛性率の向上によるものと推定している。
m、好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは2
0〜50μmの範囲である。5μm未満と薄いと耐食
性、成形性等が不良になり、250μmを越えると成形
性に劣るようになるためである。また、ポリエステル層
(I)の厚さは、好ましくは0.05〜7μm、さらに
好ましくは0.5〜3μmの範囲にあるのがよい。さら
に、全体のポリエステルフィルムの厚みに対して25%
以下、好ましくは1〜10%の範囲のものがよい。これ
は、高温での取り扱い性、成形性、耐衝撃性、耐ピンホ
ール性、などの特性を満足さすためである。ポリエステ
ル層(II)の厚さは10〜200μm、好ましくは、
10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm範
囲のものがよく、これは、金属との接着性、耐衝撃性、
耐レトルト性、成形性などを満足させるためである。
フィルムの表面最大粗さRtは、1μm以下であること
が、金属との間に空気がかみ込むことを防止できるため
好ましい。
述べるがこれに限定されるものではない。ポリエステル
層(I)としてポリエチレンテレフタレート([η]1
=1.13、融点265℃、添加剤として平均粒径0.
25μmのSiO2 を0.1重量%添加)を用い、ポリ
エステル層(II)として、ポリエチレンテレフタレー
ト/イソフタレート(85/15モル%)共重合体
([η]2 =1.04、融点216℃)を用い、公知の
方法によって脱水乾燥させた後、あるいは未乾燥のまま
2軸ベント式の別々の押出機に供給して溶融し、しかる
後のフィードブロックにて2層に積層して通常の口金か
ら吐出後、冷却ドラムにて冷却固化してキャストフィル
ムを得る。かくして得られた2層積層フィルムを、必要
に応じて、加熱エージングや表面活性化処理をして巻き
取る。この加熱処理および表面活性化処理は、フィルム
中に溶存するガス、例えば、テトラヒドロフラン、ブタ
ジエンなどのガスを飛散させたり、内容物の選択吸着す
るのを防止するのに有効な工程であり、80℃、30分
処理での揮発成分が5μg/g以下さらに、d−リモネ
ンの吸着量が20μg/g以下になるようにすることに
よって充填物の味の変質を防ぐのである。
厚さは0.5〜3μmと薄くし、一方ポリエステル層
(II)の厚さは10〜50μmと厚くし、トータル2
0〜50μmのフィルムを得る。
り成形やしごき成形によって製造される金属缶の内面お
よび外面被覆用に好適に用いることができる。またツー
ピース缶の蓋部分あるいはスリーピース缶の胴、蓋、底
の被覆用としても良好な金属接着性、成形性を有するた
め好ましく使用することができる。特に外面被覆用には
着色した本発明フィルムを用いることができる。このた
めにポリエステル層(I)および/またはポリエステル
層(II)のポリマーに着色剤を配合することができ
る。着色剤としては白色系が多く、これには酸化チタン
TiO2 、特にルチル型酸化チタン、亜鉛華ZnO、リ
トホンZnSBaSO4 などから選ばれた着色剤を10
〜50重量%、好ましくは20〜40重量%添加するこ
とが多い。添加量が10重量%未満だと白色性、隠蔽性
に劣るために好ましくない。必要によっては、ピンキン
グ剤やブルーイング剤などを併用してもよい。
とSnメッキしたブリキ金属板とを180〜230℃の
温度に加熱・加圧ラミネートし、プレス成形機(センバ
鉄工(株)製、VAS−33P型)で100kg/cm
2 の圧力で冷間成形を行い、径Dが100mm、深さh
が130mmの絞り比(h/D)1.3のカップを得
た。このカップ内に1%の食塩水を入れ全体を80℃に
加熱して24時間放置後、缶内に発生するサビの状況か
ら成形性を判断した。
製)に、サンプル10mgをセットし、窒素気流下に
て、昇温速度20℃/分で昇温し、ガラス状態からゴム
状態への転移に基づくベースラインの変奇から比熱の変
化温度をTgとし、さらに昇温してゆき、結晶の融解に
基づく吸熱ピーク温度をTmとした。
・レトルト処理後缶側面および缶底缶外面からポンチで
5ヶ所づつ衝撃を与えたのち、(1)と同様の加熱食塩
水に24時間放置後、ポンチで衝撃を与えた部分のサビ
の発生を観察、測定し、該部分にサビが発生していない
ときを○、サビが1mm以下で3個以内のときを△、そ
れ以上のサビが発生しているときを×とした。
℃、30分間窒素気流中で加熱し追い出される成分をガ
スクロマトグラフィにより定量する。このガス量(μg
/g)をフィルム重さ(g)で割った値で示した。
リモネンの水溶液(20ppm)に常温で5日間浸漬
し、このフィルムを80℃、30分間窒素気流中で加熱
し追い出される成分をガスクロマトグラフィにより定量
した。単位はガス量(μg)をフィルム重量(g)で割
ったものである。
するために、上記(4)加熱発生成分量と、上記(5)
d−リモネン吸着量とで判断した。
吸着量20未満 △:加熱発生成分量5以上、d−リモネン吸着量20未
満 △:加熱発生成分量5未満、d−リモネン吸着量20以
上 ×:加熱発生成分量5以上、d−リモネン吸着量20以
上
65%RH雰囲気下にて測定した。
ムロールの間に、本発明フィルムの共重合ポリエステル
フィルム面とSnメッキブリキ板とを合わせ、圧力20
kg/cmで加圧接着し、接着後空気中で冷却した。該
ラミネート板のラミネート接着力を角度180°での剥
離テストにより求め、ラミネート接着力が250g/c
m以上のときを○、それ未満のときを×とした。
をエージング結晶化させたのち、ミクロトームで断面を
切り出して位相差顕微鏡にて測定する。
フェノール中25℃で測定したものでdl/g単位で表
わす。
体的に説明する。
ト/イソフタレート共重合体(融点245℃、極限粘度
[η]1 =1.10、添加剤として0.5μm径の酸化
ケイ素を0.2重量%含有)を用い、ポリエステル層
(II)としてポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート共重合体(融点215℃、極限粘度[η]2 =
1.04、0.90、0.75、0.60)を用いた。
それぞれのポリマーを二軸ベント式押出機に供給し溶融
後、複合アダプターで2種のポリマー融液を合流後、口
金から2層積層シートを吐出させ、60℃に保たれてい
る冷却ドラムに密着、冷却固化させてキャストシートを
得た。得られたフィルム厚さは、ポリエステル層(I)
が3μmポリエステル層(II)が27μm、トータル
30μmになるようにした。
ステル層(II)面(結晶化度5%、表面最大粗さRt
=0.1μm)と、Snがメッキされているブリキ板
(板厚300μm、表面最大粗さRt=1μm)とを合
わせて、210℃で加熱・圧着ラミネート後、急冷さ
せ、これを絞り比1.5に成るように冷間成形を行い成
缶した。かくして得られた缶の成形性、耐衝撃性、接着
性、味の変質などについて評価を行い、表1の結果を得
た。
粘度[η]2 は0.75以上、好ましくは0.9以上、
さらに好ましくは1.0以上でないと、成形性、耐衝撃
性などの缶としての特性にすぐれたものにならないこと
がわかる。
(I)との厚み比率を変える以外は実施例1と全く同じ
にして厚さ30μmのポリエステルフィルムを得、実施
例1と同様に金属とラミネート、成缶した。かくして得
られた缶の成形性、耐衝撃性、接着性、味の変質などに
ついて評価を行い、表2の結果を得た。
7μm、好ましくは0.5〜3μmの範囲、またフィル
ム全厚さに占める厚さの比率が25%以下、好ましくは
1〜10%の範囲が成缶用貼合せフィルムとして好まし
いことがわかる。
(I)との厚み比率を変える以外は実施例1と全く同じ
にして厚さ30μmのポリエステルフィルムを得、実施
例1と同様に金属とラミネート、成缶した。かくして得
られた缶の成形性、耐衝撃性、接着性、味の変質などに
ついて評価を行い、表3の結果を得た。
リエチレンテレフタレート(融点265℃、極限粘度
[η]1 =1.13)、およびポリ(エチレン/ジエチ
レングリコール)テレフタレート(融点250℃、極限
粘度[η]1 =1.12)にかえる他は実施例1と全く
同様にして厚さ30μmのポリエステルフィルムを得た
のち金属とラミネートし成缶した。かくして得られた缶
の成形性、耐衝撃性、接着性、味の変質などについて評
価を行い、表3の結果を得た。
[η]1 を0.6と0.75に変更する以外は実施例3
と全く同様にして厚さ30μmのポリエステルフィルム
を得、これを金属とラミネート後成缶した。かくして得
られた缶の成形性、耐衝撃性、接着性、味の変質などに
ついて評価を行い、表4の結果を得た。
ては、高粘度で高融点のポリエステル層(I)を薄く、
高粘度で低融点のポリエステル層(II)を厚く積層し
たフィルムを用いたので、金属板との接着性、成形性、
レトルト処理後の耐衝撃性などに優れているばかりか、
コーヒー、ジュースなどの内容充填物の味を高温(60
℃)で保持しても変質しないことが可能となった。した
がって本発明フィルムは、飲料缶、食缶などの容器用の
内ばりおよび外ばりフィルムとして用いることができ
る。また成形方式についても、DIしごき成形法やDT
R絞り成形缶にも用いることができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 極限粘度[η]が0.75以上のポリエ
ステルフィルムを用いることを特徴とする金属ラミネー
ト用フィルム。 - 【請求項2】 極限粘度[η]が0.9以上であること
を特徴とする請求項1記載の金属ラミネート用フィル
ム。 - 【請求項3】 極限粘度[η]が1.0以上であること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の金属ラミネ
ート用フィルム。 - 【請求項4】 極限粘度[η]が0.75以上のポリエ
ステルフィルムが、融点231℃以上のポリエステル層
(I)と、融点230℃以下のポリエステル層(II)
を積層してなることを特徴とする請求項1に記載の金属
ラミネート用フィルム。 - 【請求項5】 ポリエステル層(II)の極限粘度
[η]2 が0.75以上であることを特徴とする請求項
4に記載の金属ラミネート用フィルム。 - 【請求項6】 ポリエステル層(II)の極限粘度
[η]2 が1.0以上であることを特徴とする請求項4
または請求項5に記載の金属ラミネート用フィルム。 - 【請求項7】 ポリエステル層(I)の極限粘度[η]
1 は、ポリエステル層(II)の極限粘度[η]2 より
も大きいことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれ
かに記載の金属ラミネート用フィルム。 - 【請求項8】 ポリエステル層(I)の厚さが0.05
〜7μm、ポリエステル層(II)の厚さが10〜50
μmであることを特徴とする請求項4〜請求項7のいず
れかに記載の金属ラミネート用フィルム。 - 【請求項9】 ポリエステル層(I)の厚さが全体のポ
リエステルフィルムの厚さに対して25%以下であるこ
とを特徴とする請求項4〜請求項8のいずれかに記載の
金属ラミネート用フィルム。 - 【請求項10】 ポリエステル層(I)および/または
ポリエステル層(II)に着色剤を配合したことを特徴
とする請求項4〜請求項9のいずれかに記載の金属ラミ
ネート用フィルム。
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