JPH0784506B2 - 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の製造方法 - Google Patents

耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の製造方法

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JPH0784506B2
JPH0784506B2 JP63014500A JP1450088A JPH0784506B2 JP H0784506 B2 JPH0784506 B2 JP H0784506B2 JP 63014500 A JP63014500 A JP 63014500A JP 1450088 A JP1450088 A JP 1450088A JP H0784506 B2 JPH0784506 B2 JP H0784506B2
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靖郎 服部
裕一 北川
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の製造方法に関す
る。
〔従来技術〕
硬質で脆いポリスチレン系樹脂の耐衝撃性を改良するた
めに各種未加硫ゴムを強靭化剤として用いることは従来
より良く知られている。特に未加硫ゴムの存在下にスチ
レン系単量体等を塊状重合または塊状懸濁重合して得ら
れる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は安価で加工性及び各
種物性に優れており、各種用途に広く使用されてきた。
この目的に使用される未加硫ゴムとしてはポリブタジエ
ンゴムとスチレン−ブタジエン共重合ゴムが一般的であ
り、特に低温における耐衝撃性を必要とする場合には、
各種のポリブタジエンゴム、特に有機リチウム単独又は
これを主成分とするアニオン重合によって得られるいわ
ゆるローシスポリブタジエンゴムが好ましく使用されて
きた。又、場合によりコバルト、ニッケル、チタン等の
遷移金属化合物を主成分とする配位アニオン触媒によっ
て得られるハイ−シスポリブタジエンゴムも用途、目的
に合わせて強靭化剤として用いられてきた。
しかし、これらのポリブタジエンゴムは、いずれも室温
で放置しておくと流れ、形状が変化する、いわゆるコー
ルドフローが大であるという欠点を有している。そこで
この欠点を改良するための方法の一つとして、これらの
ポリブタジエンゴムにトランス結合75〜90%、ビニル結
合3〜10%のトランスポリブタジエンを3〜20重量部を
ブレンドする方法が提案されている(特開昭60−197749
号公報参照)。この方法では溶液状態でブレンドするこ
と、及びその用途として各種プラスチックとブレンド又
はグラフトすることにより、耐衝撃性改良剤としての用
途があるとされているが、そのコールドフロー性の改良
自体が不十分であるばかりか、実際に耐衝撃性ポリスチ
レンの耐衝撃性改良剤として使用すると、低温における
耐衝撃性が不十分であること、あるいは耐衝撃性ポリス
チレン中のポリブタジエン粒子の粒子径コントロール性
が劣るといった問題点があった。
又、トランス結合が60〜90%のトランスポリブタジエン
を耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の衝撃改良剤(強靭化
剤)として使用し、耐衝撃性と剛性のバランス、更に光
沢のバランスをも改良する提案もなされている(特開昭
60−104111号公報)。しかし、このものも提案通りの特
性が認められる反面、低温、例えば−30℃の衝撃強度が
低く、その改良が必要であり、且つ工業化に当っては、
トランスポリブタジエンそのものの生産性が不十分で、
高いコストを要するという問題点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上述の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の衝撃改良
剤(強靭化剤)であるトランスポリブタジエン、あるい
はトランスポリブタジエンと一般のジエン系ゴムのブレ
ンド物(組成物)が持っている優れた点、すなわちこれ
を配合することによりコールドフローが小さく、常温に
おける耐衝撃性と剛性および光沢のバランスがとれた耐
衝撃性ポリスチレン系樹脂となるという優れた点を保持
したまま、その欠点である低温衝撃性を改良しようとす
るものである。
〔課題を解決するための手段〕 本発明はこの課題を解決する手段としてトランス結合が
60%以上のブタジエン系重合体ブロックとトランス結合
が60%未満のブタジエン系重合体ブロックよりなるブロ
ックポリマーを含むブタジエン系重合体を2〜20重量
%、とスチレン系単量体またはスチレン系単量体と共重
合可能な不飽和化合物との混合物98〜80重量%を塊状重
合、塊状懸濁併用重合又は溶液重合によりラジカル重合
させることを特徴とする耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の
製造方法、特に、ガラス転移温度が−80℃以上で結晶融
点が、30〜130℃であり、且つトランス結合80%以上で
分子量1〜20万の樹脂状ブタジエン系重合体ブロックと
ガラス転移温度が−70℃以下で結晶融点を有せず、且つ
トランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム状ブ
タジエン系重合体ブロックからなるブロックポリマー及
びガラス転移温度が−70℃以下で結晶融点を有せず、且
つトランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム状
ブタジエン系重合体を主成分とするブタジエン系重合体
を2〜20重量%、とスチレン系単量体またはスチレン系
単量体と共重合可能な不飽和化合物との混合物98〜80重
量%を塊状重合、塊状懸濁併用重合又は溶液重合により
ラジカル重合させることを特徴とする耐衝撃性ポリスチ
レン系樹脂の製造方法を提供するものである。
本発明で用いるブタジエン系重合体は (a) ブタジエンと不活性溶剤からなるモノマー混合
液を調整する工程、 (b) 希土類化合物と有機マグネシウム化合物よりな
る触媒を用い、0〜150℃の温度下にブタジエンを60%
以上、好ましくは80%以上のトランス結合に重合する工
程、 (c) 引き続き、上記触媒に更に有機リチウム化合物
を加え、50〜200℃の温度下にブタジエンを60%以下の
トランス結合に重合する工程、 (d) 得られた複合重合体より不活性溶剤を除去する
工程よりなるブタジエン系重合体の製造方法によって製
造することができる。
このブタジエン系重合体はコールドフローが小さく、ゴ
ムとしての加工が容易であり、且つ耐衝撃性ポリスチレ
ン系樹脂の改良剤としてスチレンへの溶解性も大きく、
その製造を容易にするものである。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、本発明で規定
されるブタジエン系重合体を2ないし20重量%とスチレ
ン系単量体またはスチレン系単量体と共重合可能な不飽
和化合物との混合物98〜80重量%を塊状重合、塊状懸濁
併用重合又は溶液重合によりラジカル重合させることに
よって得られ、得られた樹脂は極めて高度な性能、すな
わち耐衝撃性と剛性ないしはこれらと外観との高度なバ
ランスを有するもので、しかも低温具体的には−30℃に
おける衝撃性が改良されているものである。
本発明で強靭化剤として使用されるブタジエン系重合体
はトランス結合が60%以上のブタジエン系重合体ブロッ
クとトランス結合が60%未満のブタジエン系重合体ブロ
ックよりなるブロックポリマーを含むブタジエン系重合
体であり、特に好ましくは、ガラス転移温度が−80℃以
下で結合融点が30〜130℃であり、且つトランス結合80
%以上で分子量1〜20万の樹脂状ポリブタジエンブロッ
クとガラス転移温度が−70℃以下で結晶融点を有せず、
且つトランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム
状ポリブタジエンブロックからなるブロックポリマー及
びガラス転移温度が−70℃以下で、結晶融点を有せず、
且つトランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム
状ポリブタジエンを主成分とするブタジエン系複合重合
体である。この場合に高トランスの樹脂状ブロックを構
成する重合体のガラス転移温度は好ましくは−80℃以
下、更に好ましくは、−85℃以下である。ガラス転移温
度がこれを越える場合は耐衝撃性の発現が不十分であ
る。
また結晶融点が好ましくは30〜130℃、更に好ましくは4
0〜120℃、特に好ましくは50〜110℃のものである。結
晶融点がこの範囲にないと、ブタジエン系複合重合体は
十分なコールドフロー性を示さず、また剛性も劣ったも
のとなる。この範囲の結晶融点を得るためにはこの樹脂
のトランス結合は好ましくは80%以上、更に好ましくは
82%ないし84%以上、最も好ましくは85%以上で95%以
下の範囲である。トランス以外の他のブタジエン系重合
体の構造因子であるシス(1,4)結合、ビニル(1,2)結
合については各々3〜20%、2〜10%、好ましくは各々
5〜18%、3〜8%である。この高トランスあるいは樹
脂状ポリブタジエンブロック部分を構成するモノマー単
位として上述したガラス転移温度及び結晶融点を制限さ
れた範囲に維持することを阻害しない範囲でブタジエン
以外の共重合可能なモノマー単位、例えばイソプレン、
ピペリレン、2,2ジメチルブタジエン等の共役ジエンモ
ノマー単位又は、スチレン等のビニル芳香族炭化水素モ
ノマー単位を含んでいてもよい。そしてこの高トランス
部(樹脂状を示す部分)の分子量は好ましくは1〜20
万、更に好ましくは2〜15万である。この範囲外におい
ては本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の優れた性能
が十分に発現しない。すなわち1万未満では得られる耐
衝撃性ポリスチレン系樹脂の衝撃性と剛性のバランスが
不十分であり、逆に20万を越えるものであっては低温性
能が不十分であるばかりが、ブタジエン系複合重合体が
硬いものとなって取扱が困難になる。
本発明のブタジエン系複合重合体の主成分の一つである
ブロック共重合体のもう一つのブロック成分であるゴム
状ブタジエン系重合体の低トランスブロックはガラス転
移温度が好ましくは−70℃以下、更に好ましくは−80℃
以下、最も好ましくは−90℃以下のものである。これを
越えるガラス転移温度を示すものは得られる耐衝撃性ポ
リスチレン系樹脂の衝撃性を低下させ、好ましくない。
またこの部分は結晶融点を有さないものであることが必
要で、そのためトランス結合は60%以下に制限される。
上記特定された構造以外のものを用いると、ブタジエン
系複合重合体全体がもろいものとなり、またこれから得
られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂も、耐衝撃性が劣る
ものとなる。トランス以外の他の構造因子はシス(1,
4)結合が10〜40%、好ましくは12〜38%、ビニル結合
が10〜30%、好ましくは12〜25%である。このゴム状ブ
タジエン系重合体ブロックを構成するモノマー単位は高
トランス部ないしは樹脂状部分と同様にガラス転移温度
を制限された範囲に維持することを阻害しない範囲でブ
タジエン以外の共重合可能なモノマー単位、例えばイソ
プレン、ピペリレン、2,2ジメチルブタジエン、スチレ
ン等を含むものであってもよい。
またこのブロックの部分の分子量は好ましくは2〜40
万、更に好ましくは5〜30万である。該分子量が2万未
満では得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の衝撃性と
剛性のバランスが不十分であり、逆に40万を越えるもの
はスチレンへの溶解性等、ゴムとしての取扱いが困難と
なる。
本発明のブタジエン系複合重合体は上記のブロックポリ
マーとそのゴム状ブロックのポリマー構造をそのまま有
するゴム状ブタジエン系重合体、すなわちガラス転移温
度が−70℃以下で結晶融点を有せず、且つトランス結合
が60%以下で分子量が2〜40万のゴム状ブタジエン系重
合体を主成分としている。上記のポリマーの構造の限定
はゴム状ブタジエン系重合体ブロックを限定する理由と
同様の理由による。
本発明において高トランスないしは樹脂状ブタジエン系
重合体成分とゴム状を示す低トランス成分、すなわち低
トランスないしはゴム状ブタジエン系重合体ブロックと
低トランスないしはゴム状ブタジエン系重合体の和との
比は3/97〜70/30、好ましくは5/95〜60/40、更に好まし
くは8/92〜4/60に特定される。この範囲内に於て、本発
明の目的とするゴムとしてのコールドフローの防止、取
扱いの容易さ、及び耐衝撃性ポリスチレン系樹脂として
の衝撃性、剛性、光沢のバランス、低温における衝撃性
等において優れたものが得られる。
本発明のブタジエン系複合重合体は、この高トランスな
いしは樹脂状ブタジエン系重合体ブロックと低トランス
ないしはゴム状ポリブタジエンブロックとからなるブロ
ック共重合体とゴム状ポリブタジエンとを主成分とする
ものであり、これら二つの主要成分の複合重合体中にお
ける比率は50%以上、好ましくは70%、更に好ましくは
90%以上である。
本発明の優れた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の特徴の一
つは原料ゴムとしてのブタジエン系複合重合体の使用に
あり、この比率が高いほど、その性能が発現しやすい。
本発明のブタジエン系ブロック重合体ないしはブタジエ
ン系複合重合体のML粘度(100℃測定、Lローター使
用)は10〜150、好ましくは15〜120、更に好ましくは20
〜100である。
又その25℃における5%スチレン溶液の粘度は10〜400
センチポイズ、好ましくは15〜300センチポイズ、更に
好ましくは20〜200センチポイズである。上記範囲外の
複合重合体は本発明のゴムとして用いた場合、取扱いが
極めて困難なものとなり好ましいものではない。
本発明のブタジエン系ブロック重合体ないしはブタジエ
ン系複合重合体は以下の製造法によって製造される。す
なわち (a) ブタジエンと不活性溶剤からなるモノマー混合
液を調合する工程、 (b) 希土類化合物と有機マグネシウム化合物よりな
る触媒にて0〜150℃の温度下にブタジエンを60%以
上、好ましくは80%以上のトランス結合に重合する工
程、 (c) 引き続き、上記触媒に更に有機リチウム化合物
を加え、30〜200℃の温度下にフタジエンを60%以下の
トランス結合に重合する工程、 (d) 得られた複合重合体より不活性溶剤を除去する
工程よりなる複合重合体の製造方法である。
なお、この製造法の詳細は特願昭62−297475号明細書に
示されている。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は上述した複合重
合体を2〜20重量%、好ましくは3〜12重量%含有する
ポリスチレン系樹脂である。この範囲以下のゴムの使用
量では本発明が目的とする耐衝撃性の改良効果が不十分
であり、一方、この範囲以外の使用では耐衝撃性は向上
するものの本来のポリスチレン系樹脂の持つ特性、例え
ば強度、剛性を失わせるものとなり好ましくない。又、
本発明においては、本発明のブタジエン系重合体ないし
は複合重合体以外に強靭化剤として用いることが公知の
他の未加硫ゴムを強靭化剤として少量、例えば1〜10重
量%含むものであっても良い。この場合、本発明の効果
の発現のためには、使用する強靭化剤の少なくとも30重
量%は本発明の複合重合体であることを必要とする。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂はポリスチレン系
樹脂に単に本発明のブタジエン系重合体ないしは複合重
合体を機械的混合することによっても得られるが、本発
明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を得る好適な方法は本
発明のブタジエン系重合体ないしは複合重合体を2〜20
重量%とスチレン系単量体又はスチレン系単量体と共重
合可能な不飽和化合物との混合物98〜80重量%を塊状重
合、塊状懸濁併用重合または溶液重合によりラジカル重
合させることによる方法である。
本発明で用いられるスチレン系単量体としてはスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチ
ルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が例
として挙げられ、1種又は2種以上の混合物として用い
られる。又、スチレン系単量体と共重合可能な不飽和化
合物としてアクリロニトリル、メタクリル酸メチルなど
が挙げられる。本発明で特に好ましいスチレン系単量体
はスチレンであり、この単独使用ないしはこれと他の単
量体の混合物であって混合物中のスチレンの比率が50重
量%以上の場合である。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を得る好ましい方
法の一つである塊状重合は一般に次のように実施され
る。まず本発明で特定されたブタジエン系重合体ないし
は複合重合体をスチレンに溶解し、ラジカル開始剤を用
いない無触媒の場合は50〜250℃の重合温度において加
熱重合する。またラジカル開始剤を触媒として用いる場
合には、ラジカル開始剤の分解温度に合せて20〜200℃
において重合し、スチレンの反応率が所望のものとなる
まで重合操作が継続される。この塊状重合に際しては、
しばしば公知の内部潤滑剤、たとえば流動パラフィンが
重合体100重量部に対して0.1ないし5重量部が添加され
る。重合終了後、生成ポリマー中に少量、通常は30重量
%以下の未反応スチレンを含有する場合は、かかるスチ
レンを公知の方法、例えば加熱下での減圧除去あるいは
揮発分除去の目的に設計された押出装置で除去するなど
の方法によって除去することが望まいし。かかる塊状重
合中の攪拌は、必要に応じて行われるが、スチレンの重
合体への転化率、すなわちスチレンの重合率が30%以上
にまで進んだあとは、攪拌は停止するか緩和するのが望
ましい。過度の攪拌は得られる重合体の強度を低下させ
ることがある。また必要なら少量のトルエン、エチルベ
ンゼン等の希釈溶剤の存在下で重合し、重合終了後に未
反応スチレンとともにこれら希釈溶剤を加熱除去しても
良い。
また、塊状懸濁併用重合も本発明の耐衝撃性ポリスチレ
ン系樹脂の製造に有用である。この方法はまず前半の反
応を塊状で行ない後半の反応を懸濁状態で行うものであ
る。すなわち本発明の特定のブタジエン系重合体ないし
は複合重合体のスチレン溶液を、先の塊状重合の場合と
同様に無触媒下で加熱重合又は触媒添加重合し、あるい
は照射重合して、スチレンの通常50%以下、特に好まし
くは10ないし40%までを部分的に重合させる。これが前
半の塊状重合である。ついでこの部分的に重合した混合
物を懸濁安定剤またはこれと界面活性剤の両者の存在下
に水性媒体中に攪拌下に分散させ、反応の後半を懸濁重
合で完結させ、先の塊状重合の場合と同様に、洗浄、乾
燥し、必要によりペレットまたは粉末化し、実用に供す
るものである。
以上の他、これらの方法の改変、改良を行なった従来公
知の方法により有用な耐衝撃性ポリスチレン系樹脂が得
られる。
本発明の、こうして得られた耐衝撃性ポリスチレン系樹
脂はスチレン系重合体の硬い相と軟質成分、すなわちス
チレン等とグラフト共重合したブタジエン系重合体ない
しは複合重合体及びこれに封じ込められたスチレン系重
合体の分散粒子からなっている。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂はこの軟質成分粒
子の粒径(電子顕微鏡写真により測定される)がその平
均値で表示して0.1〜10ミクロンであることが望まし
い。特に好ましい範囲は、0.3〜5ミクロンであり、こ
の粒径は前記の製法における攪拌条件によって主にコン
トロールされ得る。又この軟質成分の樹脂中の重量と相
関し、トルエン不溶分として測定されるゲル分は、使用
したポリブタジエン系ゴムの重量の2〜6倍であること
が好ましい。特に好ましい範囲は3〜5倍である。更に
軟質成分中に封じ込められているスチレン系重合体の比
率と相関するゲルの膨潤指数(その詳細は特公昭55−30
525号に記載される)は5〜20であることが好ましい。
特に好ましい範囲は8〜15である。これらゲル分、ゲル
の膨潤指数は前記の製法における重合温度、特に後半の
工程における重合温度ないしは架橋を促進する助剤、例
えば各種過酸化物の添加によってコントロールされえ
る。耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の性能は上記の軟質成
分の粒径、ゲル分及びゲルの膨潤指数によっても変化さ
せることができる。しかし一般ににこれらの因子による
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の性能の変化は、例えば耐
衝撃性を向上させると剛性が低下する、外観性を向上さ
せると耐衝撃性が低下する等の逆相関の関係にあり、こ
の関係をも改善することは従来この用途に使用されてい
たゴムを強靭化剤として使用する限りにおいては種々の
提案があるものの十分なものではなかった。本発明はこ
の逆相関の関係を改善するものである。本発明の耐衝撃
性ポリスチレン系樹脂は、コールドフロー性が極めて優
れるブタジエン系重合体ないしは複合重合体を用いて従
来のスチレン又はスチレンを主成分とする耐衝撃性ポリ
スチレン系樹脂に比し、低温具体的には−30℃における
実用的耐衝撃性に極めて優れ、これと剛性引張強度、伸
び等のバランスにおいて従来の樹脂に比較してはるかに
優れる。また比較的粒径を小さくした場合は外観も優秀
である。しかも生産性も十分であり本発明の工業的意義
は極めて大きい。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、射出成形、押
出成形等の加工法で多種多様に実用上有用な製品として
使用できる。更に加工に際し、必要に応じて、難燃化
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離形剤、充填剤
等、更に他の熱可塑性樹脂例えば一般用ポリスチレン
(GPPS)、メタクリル樹脂等と混合して用いても良い。
本発明の効果は難燃化剤を添加しての難燃性付与時にも
大きく発揮される。
〔実施例〕
以下、若干の実施例により、本発明の具体的実施態様を
示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明するた
めのものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1〜7、比較例1〜3 表1に示すブタジエン重合体A〜Jを強靭化剤として用
い、以下に述べる塊状重合によって耐衝撃性ポリスチレ
ン樹脂を得た。ここで重合体A〜Gは本発明のブタジエ
ン系複合重合体で特願昭62−297475号明細書に示される
方法によって得たものであり、ポリブタジエンゴムJは
ブチルリチウムを触媒として得た通常のローシスポリブ
タジエンゴムまたはH,Iは特開昭60−10411号明細書に示
される高トランスポリブタジエンゴムである。
塊状重合は以下の処方で実施した。上述の重合体A〜J
(ゴム)8重量部とスチレン92重量部とエチルベンゼン
8重量部に溶解し、更にスチレンに対して0.05重量部の
ベンゾイルパーオキサイドと0.10重量部のα−メチルス
チレン2量体を添加し、80℃で4時間、110℃で4時
間、150℃で4時間、攪拌下に重合を行なった。更に230
℃前後で30分間加熱処理を行ない、その後、未反応スチ
レン及びエチルベンゼンの真空除去を行ない、粒径がほ
ぼ1.5ミクロン、ゲル分が約30%、膨潤指数が約8であ
るポリスチレン樹脂を得た。これを粉砕後、押出機にて
ペレット状とし射出成形して物性を測定した。結果を第
2表に示す。
表2に示される結果より、本発明のブタジエン系複合重
合体を強靭化剤として得られた耐衝撃性ポリスチレン樹
脂は極めて優れた性能を有するものであることが分か
る。すなわち、本発明の特定されたブタジエン系重合
体、複合重合体A〜Gよりなる実施例のポリスチレン樹
脂は優れた耐衝撃性を有し特に低温において優れた耐衝
撃性を有し、且つ曲げ弾性率も高い。更に光沢性で示さ
れる外観性においても優れ、3者のバランスで比較例の
ポリスチレン樹脂よりも優れたものであった。
実施例8、比較例4 ブタジエン系重合体とスチレンの重量のみを各々15重量
部、85重量部に変えて、他の実施例1、比較例3と同様
に実施した。得られた結果は表2に示されるもので、ゴ
ム含量の多い耐衝撃性ポリスチレン系樹脂においても本
発明の優れた特性が発現することが分かる。
実施例10、比較例3 塊状懸濁併用重合によって耐衝撃性ポリスチレン樹脂を
得た。強靭化剤として重合体AとIを6重量部をスチレ
ン94重量部に溶解し、攪拌下にスチレン重合率が約30%
になるまで約5時間重合を行ない、これを第3リン酸カ
ルシウム3重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.02重量部を含む水150重量部に懸濁させ、この懸
濁液にベンゾイルパーオキサイド0.3重量部、ジターシ
ャリーブチルパーオキサイド0.05重量部を添加し、80℃
で2時間、110℃で2時間、更に130℃で2時間重合させ
重合を完結した。得られた懸濁粒子は別、乾燥し押出
機にてペレットとして射出成形して物性を測定した。結
果は表2に示されるもので、高トランス重合体をブロッ
ク重合体ないしは複合重合体内にブロック状で組み込む
ことによりその欠点である低温における耐衝撃性の低下
は著しく改良されるとする本発明の効果はスチレン樹脂
の製造法が塊状懸濁併用重合であっても発現することが
分かる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トランス結合が60%以上のブタジエン系重
    合体ブロックとトランス結合が60%未満のブタジエン系
    重合体ブロックよりなるブロックポリマーを含むブタジ
    エン系重合体を2〜20重量%とスチレン系単量体または
    スチレン系単量体と共重合可能な不飽和化合物との混合
    物98〜80重量%を塊状重合、塊状懸濁併用重合又は溶液
    重合によりラジカル重合させることを特徴とする耐衝撃
    性ポリスチレン系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】ガラス転移温度が−80℃以下で結晶融点が
    30〜130℃であり、且つトランス結合が80%以上で分子
    量が1〜20万の樹脂状ブタジエン系重合体ブロックとガ
    ラス転移温度が−70℃以下で結晶融点を有せず、且つト
    ランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム状ブタ
    ジエン系重合体ブロックからなるブロックポリマー及び
    ガラス転移温度が−70℃以下で結晶融点を有せず、且つ
    トランス結合が60%以下で分子量が2〜40万のゴム状ブ
    タジエン系重合体を主成分とするブタジエン系複合重合
    体を2〜20重量%とスチレン系単量体またはスチレン系
    単量体と共重合可能な不飽和化合物との混合物98〜80重
    量%を塊状重合、塊状懸濁併用重合又は溶液重合により
    ラジカル重合させることを特徴とする耐衝撃性ポリスチ
    レン系樹脂の製造方法。
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