JPH0784491A - 像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置、並びに像保持体処理装置 - Google Patents

像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置、並びに像保持体処理装置

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JPH0784491A
JPH0784491A JP27782093A JP27782093A JPH0784491A JP H0784491 A JPH0784491 A JP H0784491A JP 27782093 A JP27782093 A JP 27782093A JP 27782093 A JP27782093 A JP 27782093A JP H0784491 A JPH0784491 A JP H0784491A
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liquid
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toner
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JP27782093A
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English (en)
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Kiyoshi Tanigawa
清 谷川
Yoichi Asaba
陽一 浅場
Yoshiaki Miyashita
義明 宮下
Satoshi Shinguryo
慧 新宮領
Shinichi Kuramoto
信一 倉本
Sadao Takahashi
貞夫 高橋
Yoshiyuki Kimura
祥之 木村
Kazuhiro Ando
和弘 安藤
Tadashi Saito
忠司 斉藤
Hisanori Ataka
久憲 安宅
Hiroshi Hirose
浩 広瀬
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面にトナーが安定に付着している転写紙か
ら、トナーを取り除くトナー除去装置において、転写紙
とトナーとの界面部に処理液を効率的かつ確実に浸透さ
せることにより、トナーのみを転写紙から確実に取り除
く。 【構成】 トナー像が形成された転写紙10を塗布・圧
縮ローラ対228で圧縮し、転写紙10の微細な空隙内
の空気泡等の気体を除去する。その後転写紙10の圧縮
力が解除される部分に、フィルタ229を通した液溜り
部214内の処理液20を接触させ、処理液20を転写
紙10両面から、毛細管効果等によって転写紙10内に
速やかに浸透させ、最終的には、トナー像と転写紙10
との界面部まで確実に浸透させる。上記圧縮する前に、
転写紙10を予備浸漬液23に浸漬し、腰を弱くしても
よい。また、未使用の転写紙10に上記液浸透処理を施
し、コピーに使用してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、ファクシミ
リ、プリンター、印刷機等の画像形成装置によって画像
を構成するトナーなどの像形成物質が安定に付着した像
保持体の表面から、該像形成物質を取り除く像保持体か
らの像形成物質除去方法及びその装置、並びに複写機、
ファクシミリ、プリンター、印刷機等の画像形成装置に
よって像形成物質を付着させることができる像保持体を
処理する像保持体処理装置に関するものである。詳しく
は、表面に像形成物質が安定に付着している像保持体
に、該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
定状態にする不安定化液を付与する像保持体からの像形
成物質除去方法及びその装置、並びに像形成物質付着前
の像保持体に該不安定化液を付与する像保持体処理装置
における液付与効率の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、記録済み像保持体としての用紙か
らトナーなどの像形成物質を除去する例えば像形成物質
除去方法及びその装置としては種々のものが知られてい
る。例えば溶剤を使用するものとして、特開平1−10
1576号公報には、トナーが付着された用紙をトナー
樹脂の可溶性溶剤中に浸漬させて超音波振動を印加し、
溶剤に溶解したトナーを紙面より遊離させる像形成物質
除去方法が開示されている。また、特開平4−3003
95号公報には、廃紙の印字部分に溶剤を浸漬、噴霧あ
るいは塗布等による方法で付着させてトナーを溶解し、
溶解したトナーを洗浄、エアー吸引、吸着剤接触、機械
剥離あるいは静電気吸着等による方法で除去する像形成
物質除去方法が開示されている。
【0003】一方、溶剤を使用しないものとして、例え
ば特開平2−255195号公報には、支持体上に離型
剤を塗布した印刷体に電子写真方式あるいは熱転写方式
で載せた熱溶融性インキあるいはトナーを、該印刷体に
インキ剥離体を重ね加熱ローラと圧力ローラの間を通
し、冷えてからインキ剥離体を剥がすことにより、該イ
ンキ剥離体の方に付着させて除去する像形成物質除去方
法が開示されている。また特開平4−64472号公報
には、少なくとも、表面に熱溶融性樹脂を有するエンド
レスシートと、これを支えて回転させる熱ローラ及び冷
却ローラと、表面に離型処理をした紙(イレーザブルペ
ーパ)を軟化あるいは溶融した熱溶融性樹脂に押しつけ
る押圧ローラと、これらを連動して動かせる駆動部から
なるイレーザが開示されている。また特開平4−829
83号公報には、互いに圧接して回転し圧接箇所に紙を
通過させる2本の並行に設けられたローラと、該2本の
ローラの少なくとも一方を加熱するヒーターと、該圧接
箇所を通過した紙を前記ローラから分離する掻取具と、
前記ローラに付着した像形成物質を前記ローラから除去
する剥離装置とを備えた像形成物質除去装置が開示され
ている。
【0004】ところで、上記溶剤を使用しない方法や装
置は、表面に紙繊維が露出している通常の紙に画像を記
録した記録済み像保持体から像形成物質を除去するのに
使用すると、例えば電子写真方式の定着工程で熱溶融性
樹脂を主成分とする像形成物質を像保持体に融着させる
などして、像形成物質が像保持体表面の繊維に強固に固
着されているので、像形成物質除去の際に像形成物質と
共に表面の紙繊維を剥ぎ取って紙質を損傷してしまう。
特に像形成物質の除去性を高めるために、上記インキ剥
離体、エンドレスシートあるいはローラに熱や圧力を加
える場合、種々の条件によっては、逆に像形成物質と像
保持体との間の定着性を高めてしまって除去を困難にす
ることもあった。
【0005】そこで、先に本出願人は、記録済み像保持
体に、不安定化液としての水、界面活性剤を含む水溶
液、水溶性ポリマーを含む水溶液、及び界面活性剤と水
溶性ポリマーとを含む水溶液よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の水あるいは水溶液を保持させるととも
に、剥離部材を介在させ、像形成物質を該剥離部材に加
熱接着もしくは加圧接着して像保持体から剥離する像形
成物質除去方法を提案した(例えば、特願平4−255
916号参照)。これによれば、像保持体の紙質を比較
的損傷することなく、像形成物質のみを除去することが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記提案の構成におい
ては、像保持体表面と像形成物質との界面部を水等の不
安定化液で十分湿潤させることが望まれる。図1(a)
及び(b)に示すように、複写機等の画像形成装置に従
来から用いる像保持体としての転写紙10等は、一般の
紙と同様、紙繊維(セルロース繊維)10aが絡み合っ
た繊維質の構造をしており、多数の微細な空隙が存在し
ている。このような微細な空隙を含んでいる転写紙10
等に、上記水等の不安定化液としての処理液20を浸透
させる場合には、一般に毛細管効果を利用する。しかし
ながら、上記空隙内の気体(例えば、空気)が処理液2
0の転写紙10内への浸透を妨げるため、結果として、
転写紙10は処理液20であまりぬれないおそれがあっ
た。したがって、上記像保持体からの像形成物質除去装
置の場合において、処理液20を確実に転写紙と像形成
物質であるトナーTとの界面部まで充分に浸透させるこ
とができず、そのため、図2に示すように剥離部材30
2aで転写10上のトナーTを剥離する場合、トナーT
の転写紙10からの剥離が不十分になるおそれがあっ
た。
【0007】特に、処理液20として水を用いる場合に
は、単に像保持体を水中に通す程度の短時間では困難で
あり、例えば純粋な水を使用する場合、数時間以上記録
済み像保持体を水中に入れておく必要がある。また、電
子写真複写機用の像保持体である転写紙10には、吸湿
しにくくして転写性や定着性を安定させるために防湿加
工が施してあるものが多く、また、像形成物質としての
トナーは樹脂が主成分であることから水を通さず、上記
界面部への水の進入が困難である。ここで、上記界面活
性剤を含む水溶液の場合には例えば数十秒程度で紙繊維
を傷めることなく像形成物質のみを除去できるようにな
り、これは上記界面部への水の進入が界面活性剤によっ
て格段に促進されることが原因であると考えられるが、
上記界面部への水の進入をより一層向上させることが望
まれる。
【0008】また、上記溶剤を使用する方法や装置で
は、表面に紙繊維が露出している通常の紙に画像を記録
した記録済み像保持体から像形成物質を除去するのに使
用しても、溶剤を使用しない方法や装置に比して紙繊維
を損傷することなく像形成物質のみを除去できる。しか
し、使用する溶剤によっては紙質を化学的に変質させて
しまう恐れがあり、これにおいても短時間で像保持体表
面の紙繊維と像形成物質の界面部に溶剤を進入させるこ
とが望まれる。
【0009】また、本出願人は、未使用の像保持体であ
って、界面活性剤を含む水溶液、水溶性ポリマーを含む
水溶液及び界面活性剤と水溶性ポリマーとを含む水溶液
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水あるいは水
溶液を保持させた後、乾燥する処理を施したものを提案
した(例えば、特願平4−255915号参照)。この
処理を施した像保持体は、通常の画像形成に用いられた
後、上記像形成物質除去方法で像形成物質が取り除かれ
て再利用されるが、上記処理の際に上記水溶液が像保持
体に充分に浸透しないために、上記処理を行った像保持
体に画像を形成した後、上記像形成物質除去方法で像保
持体上に付着した像形成物質を確実に取り除くことがで
きないおそれがあった。
【0010】本発明は以上の問題点に鑑みなされたもの
であり、その第1の目的は、像保持体と像形成物質との
界面部に不安定化液を従来に比して効率的かつ確実に浸
透させることにより、像保持体表面に安定に付着してい
る像形成物質のみを像保持体から確実に取り除くことが
できる像保持体からの像形成物質除去方法及びその装置
を提供することであり、また、その第2の目的は、像形
成物質を付着させることができる像保持体に、不安定化
液を効率的かつ確実に浸透させることができる像保持体
処理装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、請求項1の発明は、紙等の、少なくとも表面
が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質が安定に
付着している像保持体から、該像形成物質を取り除く像
保持体からの像形成物質除去方法において、該像保持体
にその厚み方向の圧力を加えて、該像担持体を該厚み方
向に圧縮する圧縮工程と、該圧力を解除する解除工程
と、該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
定状態にする不安定化液を、少なくとも、該解除工程中
にある該像保持体の部分に付与する液付与工程とを有す
ることを特徴とするものである。
【0012】また、請求項2の発明は、紙等の、少なく
とも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質
が安定に付着している像保持体から、該像形成物質を取
り除く像保持体からの像形成物質除去装置において、該
像保持体にその厚み方向の圧力を加えて、該像担持体を
該厚み方向に圧縮し、その後該圧力を解除したときに、
該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安定状
態にする不安定化液を、該像保持体に浸透させ、少なく
とも該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
定化状態にすることを特徴とするものである。
【0013】また、請求項3の発明は、紙等の、少なく
とも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質
が安定に付着している像保持体から、該像形成物質を取
り除く像保持体からの像形成物質除去装置において、該
像保持体にその厚み方向の圧力を加えた後に該圧力を解
除する圧縮手段と、少なくとも、該圧縮手段により該圧
力が解除されつつある該像保持体部分に、該表面と該像
形成物質との安定した付着状態を不安定状態にする不安
定化液を付与する液付与手段とを設けたことを特徴とす
るものである。
【0014】また、請求項4の発明は、紙等の、少なく
とも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質
が安定に付着している像保持体から、該像形成物質を取
り除く像保持体からの像形成物質除去装置において、装
置内で該像保持体を搬送する搬送手段と、該搬送手段に
よる搬送経路上の所定箇所で、該搬送経路を挟むように
互いに圧接した状態で回動可能な一対の回動部材で構成
され、該像保持体にその厚み方向の圧力を加えた後に該
圧力を解除する圧縮手段と、少なくとも該一対の回動部
材の圧接部近傍が、該表面と該像形成物質との安定した
付着状態を不安定状態にする不安定化液で満たされるよ
うに、該不安定化液を収容あるいは貯溜して保持する液
保持部材で構成された液付与手段とを設けたことを特徴
とするものである。
【0015】また、請求項5の発明は、請求項2,3又
は4の像保持体からの像形成物質除去装置において、上
記不安定化液として水、水溶性ポリマーを含む水溶液、
界面活性剤を含む水溶液、及び水溶性ポリマーと界面活
性剤とを含む水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも
1種の水あるいは水溶液を用いたことを特徴とするもの
である。
【0016】また、請求項6の発明は、請求項2,3又
は4の像保持体からの像形成物質除去装置において、上
記液保持部材に保持されている液体を加熱する加熱手段
を設けたことを特徴とするものである。
【0017】上記第2の目的を達成するために、請求項
7の発明は、紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
を有し、像形成物質を付着することができる像保持体
に、その厚み方向の圧力を加えた後に該圧力を解除する
圧縮手段と、少なくとも、該圧縮手段により該圧力が解
除されつつある該像保持体部分に、該表面と該像形成物
質との安定した付着状態を不安定状態にする不安定化
液、又は該不安定化液の該像保持体への浸透を促進させ
る浸透度促進液を付与する液付与手段とを設けたことを
特徴とするものである。
【0018】更に、請求項8の発明は、請求項3又は4
の像保持体からの像形成物質除去装置、又は請求項7の
像保持体処理装置において、上記像保持体の搬送方向に
おける上記圧縮手段の上流側に、該像保持体に所定の液
を付与する液付与手段を設けたことを特徴とするもので
ある。ここで、該所定の液は、該像保持体のいわゆる腰
を弱し、上記圧縮を容易にするものである。
【0019】また、請求項9の発明は、請求項3又は4
の像保持体からの像形成物質除去装置、又は請求項7の
像保持体処理装置において、上記像保持体に付与する上
記不安定化液を浄化する液浄化手段を設けたことを特徴
とするものである。
【0020】
【作用】請求項1の発明においては、紙等の、少なくと
も表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質が
安定に付着している像保持体を、上記圧縮工程でその厚
み方向の圧力を加えて厚み方向に圧縮し、これにより、
該像保持体内の微細な空隙内の空気泡等の気体が排出さ
れる。その後、上記解除工程で該圧力が解除されること
により、該像保持体はその厚み方向に復元する。このと
き、上記液付与工程で、該厚み方向へ復元中の像保持体
部分に、該像保持体の表面と該像形成物質との安定した
付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与する。こ
れにより、付与された不安定化液を、像保持体繊維の弾
力性などによる厚み方向への復元に伴って発生する繊維
内部への吸い込み力を利用した毛細管効果等によって、
像保持面の像形成物質が付着していない部分や像保持面
とは逆側の表面や像形成物質の表面から迅速に、像保持
体の内部の空隙、及び像保持体の構成材料内例えば像保
持体の繊維内に速やかに浸透させ、最終的には、像保持
体と像形成物質との界面部まで確実に浸透させることが
できる。従って、該界面部の像保持体、像形成物質、又
はその両者の特性を変化させ、像保持体と像形成物質と
の間の付着状態を確実に不安定状態にすることができる
ようになる。
【0021】請求項2の発明においては、紙等の、少な
くとも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物
質が安定に付着している像保持体をその厚み方向の圧力
を加えて厚み方向に圧縮し、これにより、該像保持体内
の微細な空隙内の空気泡等の気体が排出される。その
後、該圧力が解除されることにより、該像保持体はその
厚み方向に復元する。このとき、該厚み方向へ復元中の
像保持体部分に、該像保持体の表面と該像形成物質との
安定した付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与
する。これにより、付与された不安定化液を、像保持体
繊維の弾力性などによる厚み方向への復元に伴って発生
する繊維内部への吸い込み力を利用した毛細管効果等に
よって、像保持面の像形成物質が付着していない部分や
像保持面とは逆側の表面や像形成物質の表面から迅速
に、像保持体の内部の空隙、及び像保持体の構成材料内
例えば像保持体の繊維内に速やかに浸透させ、最終的に
は、像保持体と像形成物質との界面部まで確実に浸透さ
せることができる。従って、該界面部の像保持体、像形
成物質、又はその両者の特性を変化させ、像保持体と像
形成物質との間の付着状態を確実に不安定状態にするこ
とができるようになる。
【0022】請求項3の発明においては、紙等の、少な
くとも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物
質が安定に付着している像保持体を、上記圧縮手段でそ
の厚み方向の圧力を加えて厚み方向に圧縮し、これによ
り、該像保持体内の微細な空隙内の空気泡等の気体が排
出される。その後、該圧力が解除されることにより、該
像保持体はその厚み方向に復元する。このとき、上記液
付与手段で該圧力が解除されつつある該像保持体部分
に、該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
定状態にする不安定化液を付与する。これにより、付与
された不安定化液を、像保持体繊維の弾力性などによる
厚み方向への復元に伴って発生する繊維内部への吸い込
み力を利用した毛細管効果等によって、像保持面の像形
成物質が付着していない部分や像保持面とは逆側の表面
や像形成物質の表面から迅速に、像保持体の内部の空
隙、及び像保持体の構成材料内例えば像保持体の繊維内
に速やかに浸透させ、最終的には、像保持体と像形成物
質との界面部まで確実に浸透させることができる。従っ
て、該界面部の像保持体、像形成物質、又はその両者の
特性を変化させ、像保持体と像形成物質との間の付着状
態を確実に不安定状態にすることができるようになる。
【0023】請求項4の発明においては、上記搬送手段
で搬送される紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
を有し、該表面に像形成物質が安定に付着している像保
持体は、上記圧縮手段を構成する一対の回動部材の圧接
部に搬送され、該圧接部でその厚み方向の圧力が加えら
れて厚み方向に圧縮し、これにより、該像保持体内の微
細な空隙内の空気泡等の気体が排出される。その後、像
保持体は上記搬送手段で搬送されて該圧接部を通過して
該圧力が解除されることにより、該像保持体はその厚み
方向に復元する。このとき、一対の回動部材の圧接部近
傍には上記液付与手段を構成する液保持部材により、該
表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安定状態
にする不安定化液が収容あるいは貯溜されているので、
該圧力が解除されつつある該像保持体部分に該不安定化
液が付与される。これにより、付与された不安定化液
を、像保持体繊維の弾力性などによる厚み方向への復元
に伴って発生する繊維内部への吸い込み力を利用した毛
細管効果等によって、像保持面の像形成物質が付着して
いない部分や像保持面とは逆側の表面や像形成物質の表
面から迅速に、像保持体の内部の空隙、及び像保持体の
構成材料内例えば像保持体の繊維内に速やかに浸透さ
せ、最終的には、像保持体と像形成物質との界面部まで
確実に浸透させることができる。従って、該界面部の像
保持体、像形成物質、又はその両者の特性を変化させ、
像保持体と像形成物質との間の付着状態を確実に不安定
状態にすることができるようになる。(以下、余白)
【0024】請求項5の発明においては、不安定化液と
して用いられる水は、上記表面と上記像形成物質との安
定した付着状態を不安定状態にすることができる。ま
た、水溶性ポリマーを含む水溶液は、水が該表面と該像
形成物質との安定した付着状態を不安定状態にし、該水
溶性ポリマーが例えば像保持体の繊維内に入り込んだ像
形成物質と、該像形成物質を像保持体から剥離する剥離
部材との間でバインダーとして作用する。また、界面活
性剤を含む水溶液は、水が該表面と該像形成物質との安
定した付着状態を不安定状態にし、該界面活性剤が該表
面と該像形成物質との界面部への水の進入を促進するこ
とができる。また、水溶性ポリマーと界面活性剤とを含
む水溶液は、該水溶性ポリマーを含む水溶液及び該界面
活性剤を含む水溶液の作用を併せ持つことができる。こ
こで、上記水溶性ポリマーや界面活性剤は製紙工業では
紙のサイズ剤などに使用されているので、これらを使用
したとしても像保持体の表面を傷めることなく、むしろ
像保持体の表面を改良する作用がある。
【0025】請求項6の発明においては、上記像保持体
に供給される不安定化液を加熱する加熱手段を設けたの
で、特に請求項4の構成においては、圧縮手段を構成す
る一対の回動部材の圧接部に進入していく像保持体が、
該液体を介して昇温される。
【0026】請求項7の発明においては、紙等の、少な
くとも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物
質が安定に付着している像保持体を、上記圧縮手段でそ
の厚み方向の圧力を加えて厚み方向に圧縮し、これによ
り、該像保持体内の微細な空隙内の空気泡等の気体が排
出される。その後、該圧力が解除されることにより、該
像保持体はその厚み方向に復元する。このとき、上記液
付与手段で該圧力が解除されつつある該像保持体部分
に、該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
定状態にする不安定化液、又は該不安定化液の該像保持
体への浸透を促進させる浸透度促進液を付与する。これ
により、付与された不安定化液又は浸透度促進液を、像
保持体繊維の弾力性などによる厚み方向への復元に伴っ
て発生する繊維内部への吸い込み力を利用した毛細管効
果等によって、像保持面の像形成物質が付着していない
部分や像保持面とは逆側の表面や像形成物質の表面から
迅速に、像保持体の内部の空隙、及び像保持体の構成材
料内例えば像保持体の繊維内に速やかに浸透させること
ができようになる。
【0027】請求項8の発明においては、上記像保持体
の搬送方向における上記圧縮手段の上流側に設けた液付
与手段で、該像保持体に上記所定の液を付与することに
より、該像保持体の、いわゆる腰を弱くすることができ
るようになる。
【0028】請求項9の発明においては、液浄化手段で
上記像保持体に付与する上記不安定化液を浄化すること
により、常にゴミ、不純物などを含まない不安定化液を
像保持体に付与できるようになる。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕まず、本発明を転写型の電子写真複写機に
よって画像が形成された像保持体としての転写紙から、
像形成物質としての熱溶融性トナー(以下、トナーとい
う)を取り除く像保持体からの像形成物質除去装置(以
下、トナー除去装置という)に適用した実施例について
説明する。図3に、本発明が適用できるトナー除去装置
の一例の概略構成図を示す。まず、全体の概略を説明す
ると、このトナー除去装置は、積載状態で収容している
トナー像が形成された転写紙10を一枚づつ分離給送す
る給紙ユニット1と、給紙ユニット1から送られてきた
転写紙10に液を供給する液付与ユニット2と、液が供
給された転写紙10からトナーを除去するトナー剥離ユ
ニット3と、トナーが除去された転写紙10を乾燥させ
る乾燥ユニット4と、乾燥ユニット4から排出される転
写紙10を受ける紙受けユニット5とを備えている。そ
して、給紙ユニット1から搬送された転写紙10は、液
付与ユニット2で転写紙10とトナーとの付着状態を不
安定化状態にする液体の不安定化剤(以下、処理液とい
う)20が付与され、処理液20を少なくとも転写紙1
0とトナーとの界面部に浸透させる。そして、トナー剥
離ユニット3の剥離ローラ302によって、処理液20
を浸透させた該界面部においてトナーを転写紙10から
剥離した後、転写紙10は乾燥ユニット4の乾燥ローラ
対402,402で乾燥され、紙受けユニット5に排出
される。
【0030】ここで、上記処理液20としては、水、水
溶性ポリマーを含む水溶液、界面活性剤を含む水溶液、
及び水溶性ポリマーと界面活性剤とを含む水溶液よりな
る群から選ばれた少なくとも1種の水あるいは水溶液を
用いることができる。また、該水又は水溶液には、所定
の有機溶剤を含有させることもできる。また、上記処理
液20として、有機溶剤のみを用いることができる。
【0031】上記水溶性ポリマーとしては、例えば、デ
ンプン質(かんしょデンプン、ばれいしょデンプン、タ
ピオカデンプン、小麦デンプン、コーンスターチ等)、
マンナン(こんにゃく等)、海藻類(ふのり、寒天、ア
ルギン酸ナトリウム等)、植物粘質物(トロロアオイ、
トラガントゴム、アラビアゴム等)、微生物による粘質
物(デキストラン、レバン等)、タンパク質(にかわ、
ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等)の天然ポリマー
や、セルロース系(ビスコース、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース等)、デンプン系(可溶性デンプ
ン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプ
ン)の半合成ポリマーや、合成ポリマー等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0032】また、上記界面活性剤としては、例えば、
陰イオン系(カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステ
ル塩、リン酸エステル塩、ホスホン酸塩等)、陽イオン
系(アミン塩、第四級アンモニウム塩、ブンザルコニウ
ム塩、塩化ベルゼトニウム塩、ピニジニウム塩、イミダ
ゾリニウム塩、スルホニウム塩、ポリエチレンポリアミ
ン等)、両性系(アミノ酸、カルボキシベタイン、スル
ホベタイン、アミノ硫酸エステル、アミノカルボン酸
塩、イミダゾリン誘導体等)、非イオン系(エーテル
型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型、多価
アルコール、アミノアルコール、ポリエチレングリコー
ル等)の通常の界面活性剤やフッ素系界面活性剤等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】また、上記水又は水溶液に含有させる有機
溶剤としては、ターペンチン、ジペンテン、ブチルアセ
テート、四塩化炭素、セロソルブアセテート、キシレ
ン、トルエン、エチルアセテート、ジアセトンアルコー
ル、メチルセロソルブアセテート、ベンゼン、メチルエ
チルケトン、メチルアセテート、メチレンクロリド、エ
チレンジクロリド、シクロヘキサン、セロソルブ、ジオ
キサン、アセトン、メチルセロソルブ、シクロヘキサノ
ール、ブタノール等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0034】また、上記単独で用いる有機溶剤として
は、炭素水素系溶剤であるヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、スピィリット、ナフサN01〜6(シェル
石油社の商品名)、アイソパーE,L,K,V(エクソ
ン社の商品名)、アイピーソルベント(出光石油社の商
品名)、シェルーゾル70,71、ソルベッソ100,
150(シェルオイル社の商品名)、アスコムOMS,
460(スピリッツ社の商品名)、ベガゾール103
0,2130,3040(モービル石油社の商品名)等
が挙げられる。更に、フッ素系溶剤であるフロリナート
FC40,43,70,77(住友3M社の商品名)、
アフルードE10,16,18等や、シリコーン系溶剤
である信越シリコーンKF96(商品名)、東レシリコ
ーンSH200,344(商品名)、東芝シリコーンT
SF431(商品名)等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0035】次に、図示の例の各ユニット1,2,3,
4,5について説明する。上記給紙ユニット1は、底板
101上に積載された転写紙10を最上部のものから給
紙ローラ102で給紙し、分離ローラ対103で重送紙
を分離して一枚の転写紙10のみを、タイミング調整及
びスキュー補正のためのレジストローラ対104で送り
出すものである。その具体的な構成及び動作は電子写真
複写機における給紙機構と同様であるので、詳細な説明
は省略する。なお、上記底板101は駆動モータ105
によって上下動可能に構成されており、底板101上の
最上部の転写紙10が常に給紙ローラ102に接触する
ように上下動される。
【0036】上記液付与ユニット2は、処理液20を所
定量収容した液容器201、転写紙10の両面に接触し
ながら処理液20を塗布する塗布ローラ対228、液容
器201から処理液20を塗布ローラ228に供給する
液供給装置208などを備えている。なお、この液付与
ユニット2の具体例については、後で詳述する。
【0037】上記トナー剥離ユニット3は、それぞれト
ナーTの軟化手段としての加熱ランプ301を内蔵し、
互いに圧接状態で配置された一対の剥離ローラ302、
転写紙排出側の圧接部近傍の剥離ローラ302の表面に
接触するように配設された分離爪303、剥離ローラ3
02の表面をクリーニングするクリーニング装置30
4、駆動部(不図示)等を備えている。
【0038】この剥離ローラ302の表面は、少なくと
も軟化しているトナーに対して、転写紙10と該トナー
との付着力より大きい付着力を有するものを用いて構成
する。具体的には、上記トナーと同一又は類似のトナー
成分樹脂や、接着剤の成分樹脂等を用いることができ、
またアルミ系、銅系、ニッケル系等の金属材料を用いる
こともできるが、これらに限定されるものではない。ま
た、上記樹脂は、水溶性のものであっても、あるいは非
水溶性のものであってもよい。
【0039】上記トナー成分樹脂としては、ポリスチレ
ン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン−ブ
チルアクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0040】また、上記接着剤の成分樹脂としては、に
かわ、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質
系接着剤、デンプン系、セルロース系、複合多糖類系
(アラビアゴム、トラガントゴム等)等の炭水化物系接
着剤、酢酸ビニルの重合体及び共重合体、アクリル系、
エチレン共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウ
レタン等の熱可溶性接着剤、ポリクロロプレン系、ニト
リルゴム系、再生ゴム系、SBR系、天然ゴム系等のゴ
ム系接着剤、ゴム系、アクリル系等の感圧接着剤、酸化
チタンを分散させたポリエチレンテレフタレート(PE
T)、等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0041】また、上記樹脂を用いる場合には、テンシ
ョンや熱による伸び防止、耐久性等の観点から、支持体
と表層の少なくとも2層以上の多層構造にすることが望
ましい。即ち、図示の例のようにローラ形状の剥離部材
とする場合には、支持体としての基体ローラ上に上記樹
脂などからなる表層を形成して剥離部材を構成すること
が望ましい。上記樹脂などを支持する支持体としては、
例えば、ゴムローラ、シート、セロハンテープ、クラフ
ト紙粘着テープ、ポリ塩化ビニルテープ、アセトンテー
プ、フィラメント補強テープ等のテープ、等も用いるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】また上記剥離ローラ302の加熱ランプ3
01は、転写紙10表裏のに密着して転写紙10に固着
しているトナーを加熱して軟化させ、これにより、トナ
ーを転写紙10の繊維から剥がれ易くするものである。
この加熱は圧接部において転写紙10上のトナーが溶融
しない程度に行うことが望ましい。トナーが溶融してし
まうと転写紙10上のトナーを、紙側と剥離ローラ30
2側とに分断することなく、剥離ローラ302側へ転写
させるのが、困難になるためである。また加熱し過ぎる
と剥離ローラ302対の圧接部を通過中に転写紙10が
乾燥し過ぎて、トナーの転写紙10に対する固着力が転
写紙10が濡れている場合に比して強まり、転写紙10
がトナーを介して該ローラ302に貼り付いて上記分離
爪303で分離できなくなる恐れがある。従って、加熱
部通過後の転写紙10に多少の湿り気が残って上記トナ
ーの再付着を防止できる程度に加熱することが望まし
い。
【0043】上記クリーニング装置304は、剥離ロー
ラ302の表面上のトナーTを除去するクリーニングロ
ーラ305、クリーニングローラ305上のトナーTを
掻き落すスクレーパブレード306、スクレーパブレー
ドで306で掻き落したトナーTを収容するトナー受け
(トナー容器)307を備えている。
【0044】このクリーニングローラ305の少なくと
も表面は、剥離ローラ302上に付着しているトナーT
に対する離型性が、剥離ローラ302表面の該トナーに
対する離型性より劣っている材料で構成されている。こ
の具体的な材料としては、アルミ系、銅系、ニッケル系
等の金属材料、又は酸化チタンを分散させたポリエチレ
ンテレフタレート(PET)等の高分子系材料が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0045】なお、上記剥離ローラ302に代え、これ
と同様の表面特性を備えたベルトを用いたり、上記クリ
ーニング装置304のクリーニングローラ305に代え
剥離ローラ302表面に直接当接させたクリーニングブ
レードやスクレーパなどを用いたりしても良い。
【0046】上記乾燥ユニット4は、転写紙10を乾燥
させるものであり、それぞれ加熱ランプ401を内蔵
し、互いに圧接状態で配置された例えばアルミからなる
一対の乾燥ローラ402から構成されている。ここで、
例えば、いずれか一方あるいは両方の乾燥ローラ402
を給液性部材からなる表層を備えたローラで構成し、該
ローラにブレードを当接させて該表層の液を絞り落とす
ように構成してもよい。また、このような乾燥ローラ対
402,402に代え、又は加え、ベルト状の部材を用
いたり、熱風ファンや赤外線ランプなどを用いたりして
も良い。
【0047】そして、上記紙受けユニット5は、この乾
燥ユニット4から排出された転写紙を受けるための排紙
トレー501、乾燥ユニット4から排出された転写紙を
排紙トレー501に排出する排出ローラ502を備えて
いる。排紙トレー501は駆動モータ504によって上
下動可能に構成されており、排紙トレー501上の転写
紙10の量に応じて上下動される。
【0048】また、このトナー除去装置には、図示を省
略したが、給紙ユニット1の底板101上に転写紙10
があるか否かを検出する検出手段、給紙ユニット1によ
る転写紙10の重送検出手段、液容器201中の液残量
検出手段、液容器201への液自動補給手段、転写紙1
0の装置内ジャム検出手段、各加熱ランプの点灯制御手
段と、トナー受け容器307内満杯手段などが設けられ
ている。
【0049】以上の構成において、給紙ユニット1から
送られた転写紙10は、液付与ユニット2でそのトナー
像面に液が均一に供給され、トナー剥離ユニット3に送
られる。このトナー剥離ユニット3で、紙に固着してい
るトナーが剥離ローラ302からの加熱で軟化し、剥離
ローラ302表面に付着する。トナーが除去された紙は
乾燥ユニット4で乾燥され、紙受けユニット5に排出さ
れる。
【0050】以上、このトナー除去装置によれば、トナ
ーが付着した紙に液を供給して紙のトナーとの界面部に
液を浸透させた状態でトナーを剥離させるので、紙繊維
を傷めることなく、トナーを除去できる。
【0051】また、紙表面が液で濡れた状態で剥離ロー
ラ302と接触させ、かつ剥離ローラ302から分離す
る時点でも紙が湿った状態を維持できる程度に加熱する
ので、剥離ローラ302表面をトナー接着性有する材質
で構成した場合にも、紙表面自体が剥離ローラ302表
面に接着して分離不良が生じるのを防止でき、また分離
した紙部分が剥離ローラ302と再接触することによる
トナーの再転移を防止できる。
【0052】また、このトナー除去装置では、二つの剥
離ローラ302で転写紙10を挾持し、転写紙10両面
からトナーを除去するように構成したので、給紙ユニッ
ト1の底板101上にトナーを除去すべき転写紙10を
セットする場合に、表裏を考慮する必要がない。また両
面使用した転写紙の両面のトナーを除去したい場合に
も、装置内を一度通すだけで済む。
【0053】次に、本発明の特徴部である液付与ユニッ
ト2について詳しく説明する。図4に、実施例に係る液
付与ユニット2の圧縮手段及び液付与手段の概略構成を
示す。本実施例では、上記圧縮手段として、転写紙10
を挾持し、所定の圧縮力で圧縮する塗布・圧縮ローラ対
228を用いている。この塗布・圧縮ローラ対228
は、給紙ユニット1(図3参照)からの転写紙10が下
から上に進行するように配置され、矢印方向に図示しな
い駆動部によって駆動される。
【0054】また、上記液付与手段は、塗布・圧縮ロー
ラ対228による圧縮から解除されつつある転写紙10
の両面に処理液20が接触するように設けられた液溜り
部214、及び液溜り部214に必要に応じて処理液2
0を供給する2組の液供給装置208により構成されて
いる。この液溜り部214の液保持板214aの下端部
は、塗布・圧縮ローラ対228の表面に摺擦するように
構成されている。なお、該下端部は、塗布・圧縮ローラ
対228に損傷を与えないような材料で構成するのが望
ましい。また、本実施例では転写紙10の両面でそれぞ
れ独立の液溜りを形成するように構成しているが、転写
紙10の両面の各液溜りが連通するように構成してもよ
い。
【0055】上記2組の液供給装置208は、それぞれ
液容器201、給液パイプ212、ポンプ213、液浄
化手段としてのフィルタ229等により構成されてい
る。各液容器201の塗布・圧縮ローラ対228側の上
端部には、塗布・圧縮ローラ対228の表面に付着して
いる残存処理液を除去する液除去ブレード230が設け
られている。転写紙10の両面の各液溜りが連通するよ
うに構成されている場合には、1組の液供給装置208
を設けるだけでもよい。
【0056】また、転写紙10の搬送路には、転写紙1
0をガイドするガイド板(不図示)、及びガイドローラ
対が適宜設けられている。例えば、図4の構成において
は、塗布・圧縮ローラ対228の上流側及び下流側に搬
送ローラ対209が設けられている。
【0057】以上、本実施例によれば、表面にトナー像
が形成されている転写紙10が、搬送ローラ対209等
にガイドされて、塗布・圧縮ローラ対228の入口まで
搬送される。塗布・圧縮ローラ対228は、転写紙10
を挾持して圧縮しながら上方に搬送する。この圧縮によ
り、転写紙10の微細な空隙内の空気泡等の気体が除去
される。転写紙10は、塗布・圧縮ローラ対228によ
る圧縮位置を通過した後、その圧縮力が解除されるが、
この圧縮力が解除される部分に液溜り部214内の処理
液20が接触しているので、圧縮力の解除時に液溜り部
214内の処理液20が、転写紙10両面の主にトナー
像が形成されていない部分から、毛細管効果等によっ
て、転写紙10の内部の該空隙、及び転写紙10の構成
材料である紙繊維(例えば、セルロース繊維)内に速や
かに浸透し、最終的には、トナー像と紙繊維との界面部
まで確実に浸透するようになる。ここで、転写紙10上
のトナーは一般に撥水性を有するため、トナー像表面に
は処理液20が付着しにくい。しかしながら、トナー像
には顕微鏡で観察すると空隙が無数存在しているので、
処理液20は毛細管現象等によってトナー像の表面から
も浸透する。以上のように、処理液20がトナー像と転
写紙10表面の紙繊維との界面部まで確実に浸透するこ
とにより、トナー、紙繊維、又はその両者の特性が変化
し、トナー像と転写紙10の紙繊維との間の付着状態が
不安定状態になるので、トナー像が転写紙10表面から
剥離しやすくなる。(以下、余白)
【0058】次に、処理液20が浸透した転写紙10
は、搬送ローラ対209を通り、次のトナー剥離ユニッ
ト3の剥離ローラ302(図3参照)間に搬送される。
このトナー剥離ユニット3では、図2に示すように、剥
離部材302aが転写紙10上のトナーT及び処理液2
0と接触し、剥離部材302aとトナーTとの接着力が
トナーTと転写紙10表面との付着力より大きくなるよ
うに構成されているので、トナーTが転写紙10表面か
ら剥離される。ここで、剥離部材302aとトナーの付
着していない転写紙10表面との間には処理液20が介
在していることにより、転写紙10表面の紙繊維が剥離
部材302aによって剥離されることはないので、転写
紙10表面に損傷を与えることなく、トナーTのみを剥
離することができる。このように、損傷を与えることな
くトナーTのみが剥離された転写紙10は、複写機等に
再利用できる。
【0059】一方、塗布・圧縮ローラ対228の表面に
付着している残存処理液は、液除去ブレード230で掻
き取られ、液容器201に溜められた後、ポンプ213
で、フィルタ229を通して、液溜り部214に供給さ
れる。フィルタ229を通過させることにより、常に清
浄な処理液を液溜り部214に供給することができるよ
うになり、結果として、ゴミ、不純物等の含まれない処
理液20を転写紙10に付与し、トナーTと転写紙10
表面の紙繊維との界面部まで更に効率的かつ確実に浸透
させることができるようになる。
【0060】なお、本実施例における上記塗布・圧縮ロ
ーラ対228の圧縮力は、圧縮ローラ間の接触位置から
処理液20が漏れないように設定したほうが好ましい。
具体的には、該圧縮力を少なくとも塗布・圧縮ローラ対
228上の処理液20の重量以上に設定すれば、圧縮ロ
ーラ間の接触位置から処理液20が漏れないようにな
る。ここで、塗布・圧縮ローラ対228上の処理液20
の重量の概略値Wは、次のように見積もることができ
る。図5に示すように、液溜りの高さをH(cm)、塗布
・圧縮ローラ対228の半径をR(cm)とする。また、
A4サイズの複写紙を通過させる場合には、塗布・圧縮
ローラ対228の長さは少なくとも23cm以上あればよ
い。さらに、計算を簡略化するために、塗布・圧縮ロー
ラ対228上に2R×H×23(cm3)の直方体状に処
理液20が存在し、処理液20の密度を1g/cm3とする
と、塗布・圧縮ローラ対228上の処理液20の重量の
概略値Wは次式より求められる。
【数1】W=46×R×H(g) ここで、例えば、R=5cm、H=5cmとすると、塗布・
圧縮ローラ対228の圧縮力を、おおよそ1.15kgf以
上に設定する必要があることがわかる。
【0061】〔実施例2〕図6は、トナー除去装置の他
の実施例に係る液付与ユニット2の圧縮手段及び液付与
手段の概略構成図である。本実施例の構成は、基本的に
は上記実施例1と同様であるが、転写紙10を塗布・圧
縮ローラ対228によって圧縮する前に、所定の液であ
る予備浸漬液23を浸漬によって転写紙10に付与する
液付与手段としての浸漬装置を設けている点が実施例1
と異なっている。この浸漬装置は、予備浸漬液23を溜
めておく予備浸漬液タンク231、転写紙10が予備浸
漬液タンク231内の予備浸漬液23内を通過するよう
に配置された搬送ガイド板(不図示)、搬送ローラ対2
09等によって構成されている。ここで、予備浸漬液2
3としては、通常の水等を用いることができるが、上記
処理液20を用いてもよい。
【0062】以上、本実施例によれば、トナー像が形成
されている転写紙10が、搬送ローラ対209等にガイ
ドされて、予備浸漬液タンク231内の予備浸漬液23
内を通過することにより、転写紙10が予備浸漬液23
でぬらされ、転写紙10は、上記実施例1と同様に塗布
・圧縮ローラ対228の入口まで搬送される。ここで、
転写紙10が予備浸漬液23でぬらされていることによ
り、転写紙10のいわゆる腰を弱くし、転写紙10を圧
縮しやすくすることができるので、塗布・圧縮ローラ対
228による転写紙10の微細な空隙内の空気泡等の気
体の除去を更に効率的かつ確実に行うことができる。な
お、転写紙10を予備浸漬液23でぬらす場合、予備浸
漬液23を転写紙10内に必ずしも充分に浸透させる必
要はない。
【0063】〔実施例3〕図7は、更に他の実施例に係
る圧縮手段及び液付与手段の概略構成図である。本実施
例の構成は、基本的には上記実施例1と同様であるが、
実施例1では転写紙10を塗布・圧縮ローラ対228の
下方から上方へ搬送しているのに対して、転写紙10を
横方向に、図7中では塗布・圧縮ローラ対228の右方
から左方に搬送する構成になっている点が実施例1と異
なっている。本実施例の場合の液溜り部214は、塗布
・圧縮ローラ対228による圧縮から解除されつつある
転写紙10の両面に処理液20が接触するように、塗布
・圧縮ローラ対228の複写紙搬出部側に設けられてい
る。この液溜り部214の液保持板214aの右下端部
は、下側に位置する塗布・圧縮ローラ228の表面に摺
擦するように構成され、処理液20の漏れを防止してい
る。なお、該右下端部は、該下側に位置する塗布・圧縮
ローラ228に損傷を与えないような材料で構成するの
が望ましい。
【0064】本実施例によれば、トナー像が形成されて
いる転写紙10が、搬送ローラ対209等にガイドされ
て、塗布・圧縮ローラ対228の入口まで搬送される。
塗布・圧縮ローラ対228は、転写紙10を挾持して圧
縮しながら左方に搬送する。この圧縮により、転写紙1
0の微細な空隙内の空気泡等気体が除去される。転写紙
10は、塗布・圧縮ローラ対228による圧縮位置を通
過した後、その圧縮力が解除されるが、この圧縮力が解
除される部分に液溜り部214内の処理液20が接触し
ているので、圧縮力の解除時に液溜り部214内の処理
液20が、転写紙10両面の主にトナー像が形成されて
いない部分から、毛細管効果等によって転写紙10の内
部の該空隙、及び転写紙10の構成材料である紙繊維
(例えば、セルロース繊維)内に速やかに浸透し、最終
的には、トナー像と紙繊維との界面部まで確実に浸透す
るようになる。このように、処理液20がトナー像と転
写紙10表面の紙繊維との界面部まで確実に浸透するこ
とにより、トナー、紙繊維、又はその両者の特性が変化
し、トナー像と転写紙10の紙繊維との間の付着状態が
不安定状態になるので、次のトナー剥離ユニット3で、
トナー像が転写紙10表面から剥離しやすくなる。
【0065】〔実施例4〕次に、図8を用いて本実施例
に係るトナー除去装置について説明する。本実施例に係
るトナー除去装置は、乾式現像装置及び加熱・加圧定着
装置を備えた電子写真複写機(以下、複写機という)で
トナー像が形成された転写紙を再利用できるように、該
転写紙からトナー像をほとんど全て除去するものであ
る。図8は本実施例に係るトナー除去装置の概略構成図
である。
【0066】図8において、トナー像を担持している転
写紙10は給紙台811に除去すべきトナー像面を下向
きにして積載される。この給紙台811の転写紙10は
最上部のものから自動給紙ローラ812により一枚づつ
給紙される。この給紙台811及び自動給紙ローラ81
2の具体的な構成及び動作は複写機における給紙機構と
同様であるので、詳細な説明は省略する。自動給紙ロー
ラ812で給紙された転写紙10は搬送ローラ対813
に挾持された状態で搬送され、処理液槽814内に収容
されている処理液20内に入り、互いの圧接部が処理液
20中に位置するように配設された湿潤加圧ローラ対8
16の圧接部へと進む。ここで、この処理液20として
は界面活性剤を含んだ水溶液が用いられている。なお、
本実施例においても上記実施例1〜3と同様に、処理液
20として水、水溶性ポリマーを含む水溶液、界面活性
剤を含む水溶液、及び水溶性ポリマーと界面活性剤とを
含む水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水
溶液等を用いることができる。また、この処理液20は
処理液槽814内に設けられた温度センサー817の出
力を用いて駆動制御される処理液加熱ヒーター818に
よって所定温度に保たれている。
【0067】この圧接部への進行中に転写紙10には処
理液20が滲み込んでいき、湿潤加圧ローラ対816の
圧接部を通過する際に厚み方向に圧縮され繊維内の空気
が絞り出される。湿潤加圧ローラ対816の圧接部を通
過した転写紙10部分は繊維自体の弾性で厚みが復元す
る際に、周囲の処理液20を吸い込んで内部への浸透を
増加させる。これにより、吸い込まれた処理液20はト
ナー像を構成するトナーと転写紙10の界面部へも進入
する。ここで、処理液20の温度が高いほど転写紙10
内に含まれる空気が膨張し、湿潤加圧ローラ対816の
圧接部通過時の空気絞り出し効果が増大し、結果的に、
該圧接部通過後の転写紙10厚み復元時の処理液20吸
い込み、浸透性が向上する。
【0068】湿潤加圧ローラ対816の圧接部を通過し
た転写紙10部分は、処理液20中から脱し、トナー像
面側に配置されたトナー転写ローラ819と、これに転
写紙10搬送経路を挟んで反対側から圧接する加圧ロー
ラ820との圧接部に進入する。この圧接部で、図示の
例では加圧ローラ820を介して伝えられる加熱ヒータ
ー821からの熱によって、トナー像を構成するトナー
樹脂の軟化点近辺の温度まで加熱されたトナー転写ロー
ラ819表面に、転写紙10上のトナー像を構成するト
ナーが全て転写され、転写紙10は白紙の状態となり、
再生される。このトナー転写ローラ819の少なくとも
表面はトナーが付着しやすい材質にしておく。また加熱
ヒーター821による加熱は、トナー転写ローラ819
と加圧ローラ820の圧接部で転写紙10上のトナーが
溶融しない程度に行うことが望ましい。トナーが溶融し
てしまうと転写紙10上のトナーを全てトナー転写ロー
ラ819へ転写させるのが、困難になるためである。ま
たこのトナー転写ローラ819表面材質や圧接部の圧条
件などによっては圧力のみでトナー転写ローラ819に
トナーを転写することも可能である。
【0069】ここで、トナー転写ローラ819に転写さ
れたトナーはトナー剥離刀822によってトナー転写ロ
ーラ819上から剥ぎ落され、受け皿823内に収容さ
れる。また再生された転写紙10はトナーと共にトナー
転写ローラ819に付着するので、これを剥離分離ロー
ラ824でトナー転写ローラ819から剥ぐ。
【0070】再生され、かつ剥離分離ローラ824でト
ナー転写ローラ819から分離された転写紙10は、カ
レンダーローラ対825で水分除去及び平滑化の処理が
され、搬送ベルト装置826で再生紙受け台827上に
堆積される。
【0071】なお、図示の例においては、加熱ヒーター
821の背面側に反射板830が設けられ、これによ
り、加圧ローラ820ばかりでなく、処理液加圧ローラ
対816、処理液20、カレンダーローラ対825など
も加熱できるようになっている。そして、装置の例えば
上部には、装置を駆動するための電源や制御部からなる
電装ユニット828が設けられ、また例えば装置上面部
には表示・スイッチ部829が設けられている。この表
示・スイッチ部829には、各種スイッチ類及び装置の
状態を表示するメーターや表示ランプなどが設けられて
いる。また、図示を省略したが、給紙台811に転写紙
10があるか否かを検出する検出手段、自動給紙ローラ
812による転写紙10の重送検出手段、処理液20の
量検出手段、処理液20の自動補給手段、転写紙10の
装置内ジャム検出手段、トナー転写ローラ819の温度
コントロール手段、受け皿823のトナー検出手段、剥
離分離ローラ824による分離ミス検出手段などが設け
られている。
【0072】〔実施例5〕次に、本発明を、転写型の電
子写真複写機で画像を形成する前の転写紙10に上記不
安定化液を付与する像保持体処理装置である転写紙処理
装置に適用した実施例について説明する。この転写紙処
理装置は、上記実施例1〜4と同様な構成を用いること
ができ、例えば上記図3のトナー除去装置のトナー剥離
ユニット3を取り除き、液付与ユニット2から直接乾燥
ユニット4に転写紙10を搬送させるように構成するこ
とができる。また、上記トナー除去装置のトナー剥離ユ
ニット3を迂回するような搬送路(不図示)と、ユーザ
がトナー付着済み転写紙のトナー除去モードと未使用転
写紙処理モードを切り替えることができるモード切換装
置とを設け、未使用転写紙処理モードを選択した場合に
は、転写紙10がトナー剥離ユニット3を迂回する搬送
路を通過するように構成することもできる。ここで、転
写紙10に付与する不安定化液としては、上記実施例1
〜3に用いた処理液20で純粋な水を除いたもの、即
ち、水溶性ポリマーを含む水溶液、界面活性剤を含む水
溶液、及び水溶性ポリマーと界面活性剤とを含む水溶液
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水溶液等を用
いることができる。
【0073】以上、本実施例によれば、トナーが付着し
ていない未使用の転写紙10に上記処理液20(例え
ば、界面活性剤を含む水溶液)を効率的かつ確実に浸透
させることができるので、該転写紙10上に画像(トナ
ー像)を形成した後、転写紙10上のトナー像を剥離す
る場合に、転写紙10の表面とトナーとの付着状態が不
安定状態となり、該表面からのトナー像の剥離を従来よ
り確実に行うことができるようになる。
【0074】なお、上記実施例では、本発明を転写型の
電子写真複写機によって画像が形成された転写紙10、
転写紙10、又は画像が形成される前の未使用の転写紙
10に適用しているが、ファクシミリ、プリンター、印
刷機等紙等の他の画像形成装置で用いる記録紙等の像保
持体にも適用できる。また、本発明は、繊維質の構造を
した像保持体に限定されることなく、吸液性及び弾性を
有する像保持体にも適用できる。また、本発明が適用で
きる像保持体は、全体が吸液性及び弾性を有する必要は
なく、少なくとも表面が吸液性及び弾性を有していれば
よい。例えば、プラスチック層等のベースシートの表面
層が紙等の吸液性及び弾性を有する材料層である積層物
等にも、本発明は適用できるものである。
【0075】
【発明の効果】請求項1乃至4の発明によれば、紙等
の、少なくとも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に
像形成物質が安定に付着している像保持体にその厚み方
向の圧力を加えて該厚み方向に圧縮し、その後の該圧力
の解除により該厚み方向へ復元中の像保持体部分に、像
保持体の表面と像形成物質との安定した付着状態を不安
定状態にする不安定化液を付与することにより、該圧力
の解除時に、該不安定化液を像保持面の像形成物質が付
着していない部分や像保持面とは逆側の表面や像形成物
質の表面から、像保持体繊維の弾力性などによる厚み方
向への復元に伴って発生する繊維内部への吸い込み力を
利用した毛細管効果等によって、像保持体の内部の空
隙、及び像保持体の構成材料内に速やかに浸透させ、最
終的には、像保持体と像形成物質との界面部まで効率的
かつ確実に浸透させ、該界面部における像保持体、像形
成物質、又はその両者の特性を変化させ、像保持体と像
形成物質との間の付着状態を確実に不安定状態にするこ
とができるようになるので、像形成物質を像保持体表面
から剥離しやすくなり、像形成物質のみを像保持体から
確実に取り除くことができるようになるという効果があ
る。
【0076】また、請求項5の発明によれば、上記不安
定化液として水、水溶性ポリマーを含む水溶液、界面活
性剤を含む水溶液、及び水溶性ポリマーと界面活性剤と
を含む水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
水あるいは水溶液を用いたことにより、上記表面と上記
像形成物質との安定した付着状態を不安定状態にするこ
とができる。特に、不安定化液として水を用いることに
より、該不安定化液として溶媒を用いる場合に比して、
像保持体を化学的に変質させたり環境を汚染したりする
恐れが少ない。
【0077】また、請求項6の発明によれば、上記像保
持体に供給される不安定化液を加熱する加熱手段を設け
たことにより、特に請求項4の構成においては、圧縮手
段を構成する一対の回動部材の圧接部に進入していく像
保持体が、該液体を介して昇温される。従って、この昇
温で記録紙の内部に存在する空気が膨張し、上記圧接部
における記録紙圧縮による記録紙内からの空気排出を良
好に行わせることができる。
【0078】請求項7の発明によれば、紙等の、少なく
とも表面が吸液性及び弾性を有し、該表面に像形成物質
が安定に付着している像保持体にその厚み方向の圧力を
加えて厚み方向に圧縮し、その後の該圧力の解除により
該厚み方向へ復元中の像保持体部分に、該像保持体の表
面と該像形成物質との安定した付着状態を不安定状態に
する不安定化液を付与することにより、該圧力の解除時
に、該不安定化液を像保持面の像形成物質が付着してい
ない部分や像保持面とは逆側の表面や像形成物質の表面
から、像保持体繊維の弾力性などによる厚み方向への復
元に伴って発生する繊維内部への吸い込み力を利用した
毛細管効果等によって、像保持体の内部の空隙、及び像
保持体の構成材料内に速やかに浸透させることができる
ようになる。したがって、該像保持体上に像形成物質に
よる画像を形成した後、像保持体上の像形成物質を取り
除く場合に、像保持体と像形成物質との付着状態が不安
定状態になって像形成物質を像保持体から剥離しやすく
なり、像形成物質のみを像保持体から確実に取り除くこ
とができるようになるという効果がある。
【0079】特に、請求項8の発明によれば、上記像保
持体の搬送方向における上記圧縮手段の上流側に設けた
上記液付与手段で像保持体に上記所定の液を付与するこ
とにより、像保持体のいわゆる腰を弱くして、圧縮しや
すくすることができるので、上記圧縮手段による像保持
体内の微細な空隙内の空気泡等の気体の除去を更に効率
的かつ確実に行うことができるという効果がある。
【0080】また、請求項9の発明によれば、液浄化手
段で上記像保持体に付与する上記不安定化液を浄化する
ことにより、常にゴミ、不純物等を含まないきれいな不
安定化液を像保持体に付与できるので、ゴミ、不純物等
を含む場合のように不安定化液の浸透が不十分になるこ
ともなく、不安定化液を毛細管効果等によって、像保持
体と像形成物質との界面部まで更に効率的かつ確実に浸
透させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はトナーが付着した転写紙表面部の説明
図。(b)は同転写紙と同トナーとの界面部の拡大図。
【図2】転写紙、トナー、処理液、及び剥離部材の接触
状態の説明図。
【図3】実施例1に係るトナー除去装置の概略構成図。
【図4】同トナー除去装置の液付与ユニットの概略構成
図。
【図5】同液付与ユニットの液溜り部の処理液の体積の
説明図。
【図6】実施例2に係る液付与ユニットの概略構成図。
【図7】実施例3に係る液付与ユニットの概略構成図。
【図8】実施例4に係るトナー除去装置の概略構成図。
【符号の説明】
2 液付与ユニット 10 転写紙 20 処理液 23 予備浸漬液 214 液溜り部 228 塗布・圧縮ローラ対 229 フィルタ 230 予備浸漬液タンク 811 給紙台 812 自動給紙ローラ 813 搬送ローラ対 814 処理液槽 816 湿潤加圧ローラ対 817 温度センサー 818 処理液加熱ヒーター 819 トナー転写ローラ 820 加圧ローラ 821 加熱ヒーター 822 トナー剥離刀 823 受け皿 824 剥分離ローラ 825 カレンダーローラ対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新宮領 慧 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 倉本 信一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 高橋 貞夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 木村 祥之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 安藤 和弘 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 斉藤 忠司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 安宅 久憲 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 広瀬 浩 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
    を有し、該表面に像形成物質が安定に付着している像保
    持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像形
    成物質除去方法において、 該像保持体にその厚み方向の圧力を加えて、該像担持体
    を該厚み方向に圧縮する圧縮工程と、 該圧力を解除する解除工程と、 該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安定状
    態にする不安定化液を、少なくとも、該解除工程中にあ
    る該像保持体の部分に付与する液付与工程とを有するこ
    とを特徴とする像保持体からの像形成物質除去方法。
  2. 【請求項2】紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
    を有し、該表面に像形成物質が安定に付着している像保
    持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像形
    成物質除去装置において、 該像保持体にその厚み方向の圧力を加えて、該像担持体
    を該厚み方向に圧縮し、その後該圧力を解除したとき
    に、該表面と該像形成物質との安定した付着状態を不安
    定状態にする不安定化液を、該像保持体に浸透させ、少
    なくとも該表面と該像形成物質との安定した付着状態を
    不安定化状態にすることを特徴とする像保持体からの像
    形成物質除去装置。
  3. 【請求項3】紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
    を有し、該表面に像形成物質が安定に付着している像保
    持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像形
    成物質除去装置において、 該像保持体にその厚み方向の圧力を加えた後に該圧力を
    解除する圧縮手段と、 少なくとも、該圧縮手段により該圧力が解除されつつあ
    る該像保持体部分に、該表面と該像形成物質との安定し
    た付着状態を不安定状態にする不安定化液を付与する液
    付与手段とを設けたことを特徴とする像保持体からの像
    形成物質除去装置。
  4. 【請求項4】紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
    を有し、該表面に像形成物質が安定に付着している像保
    持体から、該像形成物質を取り除く像保持体からの像形
    成物質除去装置において、 装置内で該像保持体を搬送する搬送手段と、 該搬送手段による搬送経路上の所定箇所で、該搬送経路
    を挟むように互いに圧接した状態で回動可能な一対の回
    動部材で構成され、該像保持体にその厚み方向の圧力を
    加えた後に該圧力を解除する圧縮手段と、 少なくとも該一対の回動部材の圧接部近傍が、該表面と
    該像形成物質との安定した付着状態を不安定状態にする
    不安定化液で満たされるように、該不安定化液を収容あ
    るいは貯溜して保持する液保持部材で構成された液付与
    手段とを設けたことを特徴とする像保持体からの像形成
    物質除去装置。
  5. 【請求項5】上記不安定化液として水、水溶性ポリマー
    を含む水溶液、界面活性剤を含む水溶液、及び水溶性ポ
    リマーと界面活性剤とを含む水溶液よりなる群から選ば
    れた少なくとも1種の水あるいは水溶液を用いたことを
    特徴とする請求項2,3又は4の像保持体からの像形成
    物質除去装置。
  6. 【請求項6】上記像保持体に供給される不安定化液を加
    熱する加熱手段を設けたことを特徴とする請求項2,3
    又は4の像保持体からの像形成物質除去装置。
  7. 【請求項7】紙等の、少なくとも表面が吸液性及び弾性
    を有し、像形成物質を付着することができる像保持体
    に、その厚み方向の圧力を加えた後に該圧力を解除する
    圧縮手段と、 少なくとも、該圧縮手段により該圧力が解除されつつあ
    る該像保持体部分に、該表面と該像形成物質との安定し
    た付着状態を不安定状態にする不安定化液、又は該不安
    定化液の該像保持体への浸透を促進させる浸透度促進液
    を付与する液付与手段とを設けたことを特徴とする像保
    持体処理装置。
  8. 【請求項8】上記像保持体の搬送方向における上記圧縮
    手段の上流側に、該像保持体に所定の液を付与する液付
    与手段を設けたことを特徴とする請求項3又は4の像保
    持体からの像形成物質除去装置、又は請求項7の像保持
    体処理装置。
  9. 【請求項9】上記像保持体に付与する上記不安定化液を
    浄化する液浄化手段を設けたことを特徴とする請求項3
    又は4の像保持体からの像形成物質除去装置、又は請求
    項7の像保持体処理装置。
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