JPH0782381A - ポリエステル水系分散体 - Google Patents

ポリエステル水系分散体

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JPH0782381A
JPH0782381A JP22455793A JP22455793A JPH0782381A JP H0782381 A JPH0782381 A JP H0782381A JP 22455793 A JP22455793 A JP 22455793A JP 22455793 A JP22455793 A JP 22455793A JP H0782381 A JPH0782381 A JP H0782381A
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JP
Japan
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acid
water
polyester
polyester resin
weight
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Application number
JP22455793A
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English (en)
Inventor
Yasunari Hotsuta
泰業 堀田
Satoshi Maeda
郷司 前田
Shigeru Yoneda
茂 米田
Masanori Kobayashi
正典 小林
Yozo Yamada
陽三 山田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐ブロキング性、紫外線遮蔽性に優れる塗膜
を提供するポリエステル水分散体の提供。 【構成】 芳香族の多環式縮合環炭化水素を骨格とする
単量体、たとえば、9,10−アントラセンジプロピオ
ン酸、ナフタレンジカルボン酸等とイオン性基を必須成
分とするポリエステル樹脂を水溶性溶剤に溶解し、次い
で水を加え、必要により脱溶剤をすることによりポリエ
ステル水分散体を得る。該水分散体を配合した塗料を透
明フィルムに塗布し得られたコ−トフィルムは耐ブロッ
キング性、紫外線遮蔽効果に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水性塗料用添加剤、水
性バインダ−、紙用塗工剤、フィルム用コ−ティング
材、インラインコ−ト材、化粧品等として盛んに利用さ
れてきている高分子の水分散体に関するものであり、特
に紫外線遮蔽効果に優れる塗膜を提供しうる特殊なポリ
エステル樹脂の水系分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題対策があらゆる分野で求
められており、塗料、接着剤、インク、ペイント、フィ
ルム用コ−ティング材等で脱溶剤・水性化が進められて
いる。水性樹脂としてはカルボキシル基を有するアクリ
ル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カ
ルボキシル基化ロジン、カルボキシル基およびまたはス
ルホン酸塩の基を有するポリエステル樹脂、ポリアミド
樹脂、セラック、酢酸ビニル系樹脂、カゼイン、アルブ
ミン、レシチン、セルロ−ス誘導体、天然ゴム径樹脂、
ポリビニルアルコ−ル系樹脂等、多数のものが知られて
いるが、その中でも水系ポリエステル樹脂は汎用性の高
いポリエステルフィルム、ポリエステル繊維との接着性
に優れている。これらポリエステル系の素材において、
特に芳香族系ポリエステル、より具体的にはテレフタル
酸、イソフタル酸等を酸成分として主に用いた場合には
その芳香環の作用により紫外部に吸収を持つことが知ら
れている。フィルム、繊維ではもちろんのこと水性樹脂
の範疇においても紫外部に吸収を有する素材は比較的少
なく芳香族系ポリエステルの大きな特長となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の芳
香族系ポリエステルの場合には一般にUV−Bと呼ばれ
る波長290 〜320 nmの範囲の吸収は大きいが、UV−
Aと呼ばれる320 〜400nmの範囲の吸収は小さく、紫
外線遮蔽素材としての特性としては不十分であった。紫
外線遮蔽効果はベンゾトリアゾ−ル、ベンゾフェノン、
ベンゾサリシレ−ト等の紫外線吸収剤を添加することに
より付与することが可能であるが、これら紫外線吸収剤
は水系媒体との相性が悪く、また塗膜からのブリ−ド、
加工中での昇華による飛散、製造ラインの汚染等の問題
があり使用が制限されてしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる状況
に鑑み、紫外線遮蔽効果に優れる塗膜を形成しうる水系
樹脂を実現するべく鋭意研究を重ねた結果、次なる発明
に到達した。すなわち本発明は、 ・(A)20〜5000eq. /ton の範囲にてイオン性
基を含有し、かつ、全構成成分中10mol%以上が芳香族
の多環式縮合環炭化水素を骨格とする単量体からなるポ
リエステル樹脂、0.5〜70wt%、 ・(B)水溶性有機化合物、0〜50wt%、 ・(C)水、 を構成成分とし、分散体の粒子径が1μm以下であるこ
とを特長とするポリエステル水分散体である。
【0005】本発明におけるポリエステル樹脂とは主と
して多価カルボン酸類と多価アルコ−ル類からなる。ポ
リエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類として
は、例えば、 ・テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,
5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アントラセ
ンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5
−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スル
ホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフ
ェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、および
またはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジ
カルボン酸、 ・p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安
息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、 ・コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、 ・フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シ
トラコン酸、等の脂肪族不飽和多価カルボン酸、 ・フェニレンジアクリル酸等の芳香族不飽和多価カルボ
ン酸 ・ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の
脂環族ジカルボン酸、 ・トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の
三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
【0006】本発明においては、多価カルボン酸類に一
部、モノカルボン酸類を併用しても良い。モノカルボン
酸類としては芳香族モノカルボン酸類が好ましい。芳香
族モノカルボン酸としては例えば、安息香酸、クロロ安
息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、ナ
フタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、4−メ
チル安息香酸、3メチル安息香酸、サリチル酸、チオサ
リチル酸、フェニル酢酸、およびこれらの低級アルキル
エステル、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ
安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカル
ボニル安息香酸、n-ドデシルアミノカルボニル安息香
酸、タ−シャルブチル安息香酸、タ−シャルブチルナフ
タレンカルボン酸等を用いることができ、また特にタ−
シャルブチル安息香酸を使用することがより好ましい。
該芳香族モノカルボン酸の使用量は酸成分に対して2〜
25mol%、さらに5〜20mol%、またさらに8〜16mo
l%の使用がより好ましい。本発明ではかかる多価カルボ
ン酸成分の5mol%以上の不飽和脂肪族多価カルボン酸を
用いることができる。本発明における不飽和多価カルボ
ン酸としてはフマル酸、マレイン酸の使用が好ましくさ
らにフマル酸の使用が好ましい。不飽和多価カルボン酸
の使用は酸成分に対し5mol%以上が必須であり、20〜
50mol%が好ましく、30〜50mol%がさらに好まし
い。
【0007】ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコ
−ル類としては脂肪族多価アルコ−ル類、脂環族多価ア
ルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例示できる。 ・脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−
ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエル
スリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例
示できる。 ・脂環族多価アルコ−ル類としては1,4−シクロヘキ
サンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、
スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビ
スフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロ
ピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオ−ル、
トリシクロデカンジメタノ−ル等を例示できる。
【0008】・芳香族多価アルコ−ル類としてはパラキ
シレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキ
シレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、
1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付
加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレン
オキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等
を例示できる。 ・さらにポリエステルポリオ−ルとして、ε−カプロラ
クトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクト
ン系ポリエステルポリオ−ル類等を例示することができ
る。 ・またカルボン酸類と同様、脂肪族アルコ−ル、芳香族
アルコ−ル、脂環族アルコ−ル等のモノアルコ−ルを用
いることができる。
【0009】本発明のポリエステル樹脂の必須要件は芳
香族の多環式縮合環炭化水素を骨格とする単量体を必須
成分とすることである。芳香族の多環式縮合環炭化水素
としては、インデン、ナフタレン、フルオレン、フェナ
ントレン、アントラセン、ピレン、クリセン、ナフタセ
ン、ベンゾフェナントロン、ジベンゾフェナントレン、
2H−インデン、3H−フルオレン、1,4−ジヒドロ
ナフタレン、等を例示でき、本発明ではこれらの骨格か
ら誘導されるモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカル
ボン酸、テトラカルボン酸、およびまたはそれ以上の多
価カルボン酸、モノアルコ−ル、グリコ−ル、トリオ−
ル、テトラオ−ル、およびまたはそれ以上の多価アルコ
−ル等を使用することができる。またかかる多環式縮合
環炭化水素カルボン酸、アルコ−ル以外に、ポリエステ
ル重合に支障ない範囲にて他の置換基を有してもよい。
【0010】本発明において用いられる芳香族の多環式
縮合環炭化水素を骨格とする単量体としてはナフタレ
ン、アントラセンを骨格とするものが好ましく、さらに
好ましい具体的な化合物としては2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ナフタ
レンメタノ−ル、ナフタレンジメタノ−ル、アントラセ
ンジカルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アント
ラセンカルボン酸、アントラセンメタノ−ル、アントラ
センジメタノ−ル等を例示することができる。かかる芳
香族の多環式縮合環炭化水素を骨格とする単量体の添加
量は、ポリエステルを構成するカルボン酸類、またはア
ルコ−ル類のいずれか一方の成分に対して1mol%以上が
必須であり。好ましくは10mol%以上、さらに好ましく
は30mol%以上、またさらに好ましくは50mol%以上、
なおさらには51mol%以上、なおまたさらには70mol%
以上の使用が好ましい。またアントラセン骨格の単量体
については10mol%を越える範囲での添加が好ましい。添
加量がこの範囲に満たないと十分な紫外線吸収効果を得
ることができない場合がある。
【0011】本発明ではこれらの他、単環式炭化水素、
複素単環式化合物、およびまたは、縮合複素環式化合物
を骨格とする単量体を用いることができる。単量体の骨
格トナリウル単環式炭化水素としてはシクロヘキセン、
シクロヘキサジエン、シクロペンテン、シクロペンタジ
エン、シクロペンチリデン、等を例示できる。単量体の
骨格となりうる複素単環式化合物としてはフラン、チオ
フェン、ピロ−ル、2H−ピロ−ル、2−ピロリン、ピ
ロリジン、オキサゾ−ル、イソオキサゾ−ル、チアゾ−
ル、イソチアゾ−ル、イミダゾ−ル、2H−イミダゾ−
ル、2−イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾ−ル、
3−ピラゾリン、ピラゾリジン、1H−1,2,3−ト
リアゾ−ル、2H−1,2,3−トリアゾ−ル、2H−
1,2,4−トリアゾ−ル、フラザン、1H−テトラゾ
−ル、2H−ピラン、4H−ピラン、4H−チイン、ピ
リジン、ピペリジン、4H−1,4−オキサジン、モル
ホリン、4H−1,4−チアジン、ピリダジン、ピリミ
ジン、ピラジン、ピペラジン、1,3,5−トリアジ
ン、等を例示できる。
【0012】単量体の骨格となりうる縮合複素環式化合
物としては、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾ
チオフェン、インド−ル3H−インド−ル、インドリ
ン、イソインド−ル、ベンゾオキサゾ−ル、ベンゾチア
ゾ−ル、1H−インダゾ−ル、ベンゾイミダゾ−ル、2
H−クロメン、4H−クロメンクマロン、イソクマロ
ン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジ
ン、キナゾリン、キノキサリン、ジベンゾフラン、カル
バゾ−ル、キサンテン、アクリジン、フェナントリジ
ン、1,10−フェナントロリン、フェナジン、フェノ
キサジン、チアントレン、インドリジン、4H−キノリ
ジン、キヌクリジン、1,8−ナフチリジン、プリン、
プテリジン、等を例示できる。
【0013】本発明におけるポリエステル樹脂のガラス
転移点は40℃以上が好ましく、45℃以上、好ましく
は50℃以上、さらに好ましくは60℃以上、またさら
に好ましくは70℃以上である。ガラス転移点がこれよ
り低い場合には、取扱い中あるいは保存中にブロッキン
グする傾向がみられ、得られる粉体をハンドリングする
ことが困難となる場合がある。本発明のポリエステル樹
脂の数平均分子量は1000〜20000の範囲が好ま
しい。また、2000以上5000以下の範囲が好まし
く、3000以上4000以下の範囲がさらに好まし
い。本発明ではポリエステル樹脂に、ビニル系モノマー
を含ませて後に重合させることにより得られる架橋樹脂
からなる粒子を用いてもよい。この際には前述した不飽
和脂肪族多価カルボン酸を用いたポリエステル樹脂の使
用が好ましい。
【0014】本発明の水分散体は分散粒子径が1μm以
下の範囲であることが必須であり、0.3μm以下が好
ましく、さらに0.1μm以下が、またさらに0.03
μm以下が、なおさらに0.01μm以下の範囲が好ま
しい。分散粒子径がこの範囲を越えると分散体の安定性
が損なわれる場合がある。また下限としては0.001
μm以上が好ましく、さらには0.003μm以上が好
ましい。下限より小さい場合には分散体の粘度が高くな
りすぎる場合がある。本発明の架橋ポリエステル樹脂の
微粒子水分散体はその分散粒子径が0.03μm以下程
度に小さい場合には可視光線域において透明性を示す場
合がある子の場合、その固形分濃度を10wt%に調整し
た状態にて光路長1cmでの可視光透過率が50%以上
であることが好ましく、さらに70%以上、またさらに
80%以上、なおさらに90%以上であることが好まし
い。
【0015】本発明においてはイオン性基を20〜50
00eq./tonの範囲でポリエステル樹脂に含有す
ることが必須である。イオン性基としては、スルホン酸
基、カルボキシル基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸
基、ホスフィン酸基もしくはそれらのアンモニウム塩、
金属塩等のアニオン性基、または第1級ないし第3級ア
ミン基等のカチオン性基であり、好ましくは、スルホン
酸アルカリ金属塩の基、カルボン酸アンモニウム塩基を
用いることができる。これらイオン性基はポリエステル
に共重合された形態、あるいは高分子末端に導入された
形態にて含有されることが好ましい。ポリエステルに共
重合可能なスルホン酸金属塩基含有多価カルボン酸とし
ては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジ
カルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル
酸、およびまたはそれらの塩を例示することができる。
またスルホ安息香酸の金属塩を併用することによって高
分子末端にスルホン酸金属塩基を導入することができ
る。塩としてはアンモニウム系イオン、Li、Na、
K、Mg、Ca、Cu、Fe等の塩があげられ、特に好
ましいものはK塩またはNa塩である。
【0016】カルボキシル基はポリエステルの重合末期
にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入する
ことにより高分子末端に付加することができる。さらに
これをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和するこ
とによりカルボン酸塩の基に交換することができる。こ
れらイオン性基の含有量は、該ポリエステル樹脂に対
し、20〜5000eq./tonの範囲が必須であ
り、好ましくは50〜2000eq./ton、なお好
ましくは100〜1000eq./tonである。また
イオン性基はスルホン酸塩の基とカルボン酸塩の基を併
用しても良く、スルホン酸塩の基に対し、カルボン酸塩
の基が0.8〜10.0倍程度の比率になるように組み
合わせることが好ましい。
【0017】イオン性基含有ポリエステル樹脂の水分散
体は、イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性有機化
合物とをあらかじめ混合後に水を加える方法、イオン性
基含有ポリエステル樹脂と水溶性有機化合物と水とを一
括して混合加熱する方法等により得ることができる。ま
たその際に界面活性剤等を併用することもできる。水溶
性有機化合物としてはエタノ−ル、イソプロパノ−ル、
ブタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ、タ−シャルブチルセロソルブ、アセトン、メチ
ルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を
用いることができる。水溶性有機化合物はイオン性基含
有ポリエステル樹脂を水分散化した後に共沸等により除
去することができるものが好ましい。
【0018】本発明の水分散体には、必要に応じて顔
料、染料等を配合することができる。顔料としてはフタ
ロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、
レ−キ顔料、ベンジジン系顔料、アントラキノン系顔
料、カ−ボンブラック、等の有機、無機の公知の染顔料
類、タルク、酸化チタン、アルミナ、シリカ等の金属酸
化物類、フェライト、酸化クロム、酸化コバルト、他の
アクリル系、スチレン系等の有機系ポリマ−分散体、水
分散性ワックス類等である。また染料としては公知の分
散染料、ヴァット染料、塩基性染料、酸性染料、反応性
染料、反応性分散染料等である。
【0019】さて本発明ではポリエステル水分散体にビ
ニル系モノマ−を添加し、ポリエステル樹脂1〜95重
量%、ビニル系モノマ−5〜99重量%、好ましくはポ
リエステル樹脂40〜90重量%、ビニル系モノマ−1
0〜60重量%となるように配合せしめ、さらに重合架
橋させることにより架橋ポリエステルの水分散体を得る
ことができる。この場合には不飽和単量体を含有するポ
リエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0020】本発明において用いられるビニル系モノマ
−としては単官能、およびまたは多官能モノマ−を使用
することができ、例えばアルキル基の炭素数が1〜10
である(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル
酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸
シクロヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、等
の(メタ)アクリル酸エステル類、メチルビニルケト
ン、フェニルビニルケトン、メチルイソプロペニルケト
ン等の不飽和ケトン類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニルブタン酸ビニル等のビニルエステル類、
メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、プロピ
ルビニルエ−テル、等のビニルエ−テル類、ハロゲン化
ビニルおよびハロゲン化ビニリデン類、アクリルアミド
およびそのアルキル置換体、スチレン、ジビニルベンゼ
ン、スチレンのアルキル置換体、スチレンのハロゲン置
換体、アリルアルコ−ルおよびそのエステルまたはエ−
テル類、アクロレイン、メタアクロレイン等のビニルア
ルデヒド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
シアン化ビニリデン等のビニルモノマ−、ならびにアク
リル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの塩類、ビニル
スルホン酸、アクリルスルホン酸、パラスチレンスルホ
ン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸およびそれらの塩
類、二重結合を有するリン酸エステル類、およびその塩
類、ピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾ−
ル、ビニルカルバゾ−ル、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタアクリ
レ−ト等を用いることができる。またこれらに加えてシ
ロキサン類、ラクトン類、ラクタム類、エポキシ化合物
等の開環重合系モノマ−を併用してもよい。
【0021】反応開始剤としては特に制限される物では
なく公知の開始剤を使用すればよい。例えばベンゾイル
パ−オキサイド、パラクロロベンゾイルパ−オキサイ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルパ−オキサイド、カプ
リリルパ−オキサイド、ラウルイルパ−オキサイド、ア
セチルパ−オキサイド、メチルエチルケトンパ−オキサ
イド、シクロヘキサノンパ−オキサイド、ビス(1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルパ−オキサイド)、ヒドロキシ
ヘプチルパ−オキサイド、t−ブチルハイドロパ−オキ
サイド、p−メンタンパ−オキサイド、クメンハイド
ロ、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジヒドロパ−
オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、ジクミル
パ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パ−
オキシベンゾエ−ト)、t−ブチルパ−ベンゾエ−ト、
t−ブチルパ−アセテ−ト、t−ブチルパ−オクテ−
ト、t−ブチルパ−オキシイソブチレ−ト、ジ−t−ブ
チルジ−パ−フタレ−ト、過酸化琥珀酸等の有機過酸化
物系開始剤、アゾイソブチルニトリル、ジスオキシベン
ゾイル、フェニルアセトアルデヒド、フェニルピロ葡萄
糖、ピナコン酸誘導体等の開始剤を用いることができ
る。反応促進剤としてはコバルト系、バナジウム系、マ
ンガン系、第3級アミン系、第4級アンモニウム塩系、
メルカプタン系等の反応促進剤を用いることができる。
【0022】本発明における水分散体を構成するポリエ
ステル樹脂は芳香族の多環式縮合環炭化水素を骨格とす
る単量体を必須成分とするが、そのため特に紫外線の遮
蔽効果が優れており、UV−A、UV−B、両方の領域
にわたり紫外線を遮蔽することができる。かつ紫外線吸
収効果を有する成分が共重合された状態にて含有される
ためにブリ−ド等の問題がなく。また高分子であるため
に安全性も高い。これらは紫外線吸収剤では得られ難い
作用である。またかかる芳香族の多環式縮合環炭化水素
を骨格とする単量体を含有するためにガラス転移温度が
上がり、得られる塗膜の耐ブロッキング性が向上する。
【0023】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらになんら限定される物で
はない。
【実施例】
[ポリエステル樹脂の重合]温度計、撹拌機を備えたオ
−トクレ−ブ中に、 1,5−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル 134重量部、 イソフタル酸ジメチルエステル 39重量部、 5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル 6重量部 エチレングリコ−ル 68重量部、 ネオペンチルグリコ−ル 114重量部、および テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部 を仕込み120〜220℃で120分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで、反応系の温度を180℃
に下げ、 フマル酸 32重量部 タ−シャルブチルカテコ−ル 0.1重量部 を加え、200℃にて60分間反応を続け、その後、反
応系の温度を220〜240℃に上げ、系の圧力1〜1
0mmHgとして60分間反応を続けた結果、共重合ポ
リエステル樹脂(A1)を得た。得られた共重合ポリエ
ステル樹脂(A1)の組成、ガラス転移温度、酸価、分
子量、スルホン酸ナトリウム基当量を表1.に示す。ポ
リエステルの組成はNMR分析、ガラス転移温度はDS
C、酸価は滴定、分子量はGPC、スルホン酸ナトリウ
ム基当量はSの定量により求めた。以下、原料を変えて
同様に重合を行い、表1.に示すポリエステル樹脂(A
2)、(A3)、(A6)を得た。
【0024】
【表1】
【0025】温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中
に、 9−アントラセンカルボン酸メチルエステル 35重量部 テレフタル酸ジメチルエステル 78重量部 イソフタル酸ジメチルエステル 78重量部 5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル 3重量部 エチレングリコ−ル 60重量部、 ビスフェノ−ルAプロピレンオキサイド付加物(平均分子量400) 240重量部、および テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部 を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで反応系の温度を220〜2
40℃に昇温した後、系の圧力を徐々に減じて30分後
に10mmHgとし、60分間反応を続けた。その後オ
−トクレ−ブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温
度を200℃に保ち無水トリメリット酸を8重量部を加
え、60分間反応を行い、表1.に示す共重合ポリエス
テル樹脂(A4)を得た。以下原料を変えて同様に重合
を行いポリエステル樹脂(A5)を得た。
【0026】なお、表1.中 AMC は 9−アントラセンカルボン酸 ADC は 9,10−アントラセンジプロピオン酸 NDC は 1,5−ナフタレンジカルボン酸 TPA は テレフタル酸 IPA は イソフタル酸 SIP は 5−ナトリウムスルホイソフタル酸 FA は フマル酸 MA は マレイン酸 TMA は トリメリット酸 AM は 9−アントラセンメタノ−ル EG は エチレングリコール NPG は ネオペンチルグリコ−ル BPP は ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付
加物( 平均分子量400) Tg は ガラス転移温度 を示す。
【0027】[ポリエステル水微分散体の作製]ポリエ
ステル樹脂(A1)200重量部、ジオキサン150重
量部を80℃にて溶解した後80℃の水500部を添加
し、粒子径約0.1μmの共重合ポリエステル樹脂の水
系ミクロ分散体を得た。さらに得られた水系ミクロ分散
体を蒸留用フラスコに入れ、留分温度が100℃に達す
るまで蒸留し、冷却後に水を加え固形分濃度を30%の
ポリエステル水微分散体(B1)を得た。以下同様にポ
リエステル樹脂(A2)、(A3)を用いてポリエステ
ル水微分散体(B2)、(B3)を得た。ポリエステル
樹脂(A4)200部に、ブタノ−ル100部を加え9
0℃で溶解した後、80℃まで冷却した。さらにポリエ
ステル樹脂の酸価に等量となるように1Nのアンモニア
水溶液を加え、80℃を保持し30分間撹拌した後80
℃の水500部を添加しポリエステルの水系分散体を得
た。さらに得られた水分散体1000部を蒸留用フラス
コに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷
却し、最終的に脱溶剤された固形分濃度30%のポリエ
ステルの水微分散体(B4)を得た。同様にポリエステ
ル樹脂(A5)から水微分散体(B5)を得た。
【0028】[架橋ポリエステル水微分散体の作製]固
形分濃度を5%に調整した 水微分散体(B1)100
0重量部をセパラブルフラスコに仕込み、静かに撹拌し
ながら、過酸化ベンゾイル1重量%を溶解した蒸留スチ
レン45重量部、ジビニルベンゼン5重量部を滴下し3
0分間撹拌を続けたのち、系の温度を80℃に上げ30
0分間反応を続けた。さらに蒸留用フラスコに移し、留
分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、架橋ポ
リエステル樹脂水分散体(C1)を得た。以下同様に、
水微分散体(B2)(B5)から架橋ポリエステル樹脂
水分散体(C2)(C5)を得た。得られた微分散体の
特性を表2.に示す。
【0029】
【表2】
【0030】(水系バインダ−の調製)ポリエステル樹
脂(A6)200重量部、ブタノ−ル150重量部を8
0℃にて溶解した後80℃の水500部を添加し、透明
な共重合ポリエステル樹脂の水/アルコ−ル系溶液を得
た。さらに得られた溶液を蒸留用フラスコに入れ、留分
温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却後に水を加え
固形分濃度を30%のポリエステル水系バインダ−(B
6)を得た。
【0031】(インラインコ−トフィルムの作製)水系
バインダ−(B6)に架橋ポリエステル水微分散体(C
1)をバインダ−中の樹脂100重量部に対し、架橋ポ
リエステル樹脂が30重量部となるように添加し、コ−
ト液とした。得られたコ−ト液を95℃にて長手方向に
3.5倍延伸された一軸延伸ポリエステルフィルムに塗
布し、その後95℃に加熱された予熱ゾ−ンに導き、水
分を乾燥させた後、連続的に100℃の加熱ゾ−ンでク
リップに把持して幅方向に3.5倍延伸し、続いて22
5℃の加熱ゾ−ンで幅方向に5%の弛緩処理をしつつ1
0秒間熱処理を施し、インラインコ−トフィルム(D
1)を得た。以下同様に架橋ポリエステル微分散体(C
2)、(C5)からインラインコ−トフィルム(D
2)、(D5)を得た。またバインダ−(B6)のみを
用いて(D6)を得た。
【0032】(オフラインコ−トフィルムの作製)ポリ
エステル樹脂水微分散体(B3)1000重量部にブチ
ルセロソルブ80重量部添加し、コ−ト液とした。得ら
れたコ−ト液をフィルムコ−タにて厚み50μmのポリ
エステルフィルム状に25μm厚にコ−ティングし、ド
ライオ−ブンにて乾燥してオフラインコ−トフィルム
(D3)を得た。同様に(B4)から(D4)を得た。 (紫外線遮蔽率)上記資料につき日立スペクトロフォト
メ−タU−3210型を用いて紫外線遮蔽率を求めた。
測定波長はA領域として320 〜400 nm、B領域として
290 〜320 nmとし、各領域の平均値を求めた。結果を
表3.に示す。
【0033】
【表3】 本発明の水分散体を含むコ−ト液を用いた場合は紫外線
遮蔽率が高く、A領域、B領域、共にほとんど完全に遮
蔽することがわかる。比較して縮合環を持たないポリエ
ステル樹脂(A6)より得られるバインダ−のみを用い
た場合、並びに未コ−トフィルムではB領域の遮蔽率は
高いがA領域では不完全である。なお得られたコ−トフ
ィルムの塗膜はいずれもセロテ−プ剥離試験において10
0 /100の接着性を示し、またロ−ル上に巻取った状態
にて3カ月間保存しても何等ブロッキングを生じなかっ
た。
【0034】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明のポリエ
ステル粒子は優れた紫外線遮蔽効果を有するものであ
り、さらにポリエステル系バインダ−、ポリエステルフ
ィルムへの適合性が高い優れた特性を有するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 正典 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】・(A)20〜5000eq. /ton の範囲
    にてイオン性基を含有し、かつ、全構成成分中10mol%
    以上が芳香族の多環式縮合環炭化水素を骨格とする単量
    体からなるポリエステル樹脂、0.5〜70wt%、 ・(B)水溶性有機化合物、0〜50wt%、 ・(C)水、 を構成成分とし、(A)が(B)と(C)とに分散して
    なる分散体の粒子径が1μm以下であることを特長とす
    るポリエステル水系分散体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000026709A (ja) * 1998-07-13 2000-01-25 Unitika Ltd ポリエステル樹脂水分散体及びその製造方法
WO2001051450A3 (en) * 2000-01-14 2003-07-10 Bp Corp North America Inc Synthesis and use of dimethyl-1,5-naphthalenedicarboxylates and intermediates therefrom
JP2010018774A (ja) * 2008-06-09 2010-01-28 Fujifilm Corp 水性インク組成物、インクセット、及び画像形成方法

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WO2001051450A3 (en) * 2000-01-14 2003-07-10 Bp Corp North America Inc Synthesis and use of dimethyl-1,5-naphthalenedicarboxylates and intermediates therefrom
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