JP2013214029A - 静電荷像現像用トナーの製法および静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製法および静電荷像現像用トナー Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂被覆顔料を着色剤とする静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤である顔料粒子はトナー粒子中に効率よく安定に含有させることが難しく、着色剤顔料を確実にトナー粒子に付与できる製法の開発が望まれていた。
【解決手段】トナー粒子のコアとなる樹脂組成と着色剤の被覆樹脂組成を選択組み合わせることにより、着色剤顔料をトナー粒子に効率よく安定確実に含有するトナーおよびその製法を見出して本発明に到達した。コアは芳香族ポリエステルまたはそれをシードとしてアクリルエステルモノマーの乳化重合物、着色剤顔料の被覆樹脂はアクリルエステル系モノマーを主体とするポリマーであることが特徴である。
【選択図】なし

Description

本発明は静電荷像現像用トナーの製法および該製法により製造された静電荷像現像用トナー粉体に関するものである。
静電荷像現像用トナーは時代の進行につれ、より精細で高速の複写が可能であることと、省資源省エネルギーで効率的な製造が可能なトナーとその製造方法が求められるようになってきた。その要求を満たす可能性の高い製造方法のひとつに以下の方法がある。すなわち、乳化重合法により生成する平均粒径が小さくて粒度分布の狭い一次粒子を、乳化重合媒体中で凝集させて適度な粒径となるトナーのコアとなし、その表面にシェルとなる微細な樹脂粒子を少量付着させたのち熱処理すると、球形に近いコアシェル構造のトナー粒子が媒体中に分散状態で生成する。これを分離乾燥すると静電荷像現像用トナー製造の基本条件を満たすトナーの骨格成分である粉体粒子(トナー用粒子)がえられる。これに静電荷像現像用トナーとして必要な性能を具備するために所望の着色剤、電荷制御剤、流動化剤等々の添加剤成分は上記製法の適当な段階で付与されるのである。製造の便宜上着色剤は骨格成分粒子生成の段階で付与されることが多いので、本明細書では得られたトナー用着色粒子をトナー母粒子と呼ぶ。トナー母粒子に電荷制御剤や流動化剤等を必要に応じて混合した静電荷像現像に好適に使用可能とした粒子ないしは粉体を静電荷像現像用トナーと呼ぶ。混乱が生じない限りトナーと略称する。
特願2011−135743号 特開2004−191927号 特開2008−209489号 特開2005−250443号 特開平07−026000号 特開平11−043519号 特開2005−099567号 特開2011−150205号 特開2007−171692号 特開2011−237783号 特開2005−345861号 特開2005−054043号 特開2006−096882号
本発明の背景にある従来技術では、着色剤である顔料粒子は顔料種により程度の差があるが、分散安定性に不安がありトナー粒子中に効率よく安定に含有させることが難しい。ひいては、製造過程における乾燥時、製品トナーの保管や輸送時、あるいは複写印刷の使用時に着色剤成分の一部がトナー粒子から脱落して製造装置、保管や輸送用の容器、あるいは複写機や印刷紙面等の器材を汚染することになるのである。すなわち、着色剤をトナー粒子中に効率よく安定に含有させることはトナー製造上の問題のみならず単色あるいは多色印刷における色調制御の問題でもあり、着色剤顔料が効率良くかつ安定確実にトナー粒子に付与できる製法の開発が望まれる。
着色剤として樹脂被覆顔料を用いることと、トナー粒子のコアとなる樹脂組成と着色剤の被覆樹脂組成を選択組み合わせることにより、課題を解決できることを見出して本発明に到達した。
着色剤顔料をトナー粒子に効率よく安定に含有させること、またトナー使用時、保管時、あるいは輸送時にトナー粒子からの着色剤顔料の分離脱落を防止することができるようになった。
本発明の課題解決法を種々検討して、乳化重合法利用のトナー製造においては着色剤として特定の重合体樹脂であらかじめ被覆した顔料類を用いることで目標を達成し、先般特許出願を行った。特許文献1(先行出願:特願2011−135743/平成23年5月31日/従来技術を詳記済み)。そこではアクリル系樹脂で被覆した顔料とトナー本体樹脂としてのアクリル系樹脂との特定の組み合わせが特徴であったし、多種多様な樹脂群から本体樹脂として有用なものは前記以外に見出せないでいた。その後の検討で、トナー本体樹脂として特定の芳香族系ポリエステルの有用性が見つかり本願発明に到達した。その内容を以下に詳述する。
本発明は、(A−1)芳香族系ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を界面活性剤の存在下に水中に乳化分散した後、有機溶剤を除去して芳香族系ポリエステル樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、あるいは(A−2)カルボキシル基を有するビニルモノマーおよび架橋性ビニルモノマーの各少量を含有し、かつアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを必須成分とするビニルモノマー類を、芳香族系ポリエステル樹脂をシードとして乳化重合することにより芳香族系ポリエステルと前記(メタ)アクリル酸エステルを主体とする複合樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、(B)この重合体一次粒子分散液に必要に応じてワックス分散液を加え、凝集剤液を添加混合して重合体一次粒子の凝集した二次粒子の分散液とする凝集工程、(C)前記重合体一次粒子とは異なる相対的に高い軟化点を有するポリエステル樹脂および/または(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の微細粒子の分散液を添加混合して、二次粒子に該微細樹脂粒子が付着した付着粒子の分散液を調製する付着工程、(D)得られた付着凝集粒子分散液を加熱して付着凝集粒子が部分融着したより強固な凝集状態となるようにする凝集および付着完結のための熟成工程、および(E)熟成した粒子を濾別・洗浄・乾燥して粉体トナーを取り出す取出工程の一連の工程からなるトナーの製造方法において、アクリレート系樹脂で被覆された着色剤顔料粒子の分散液を、前記(A)、(B)、(C)のいずれかの段階で添加混合してトナー粒子に着色剤顔料を導入することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製法および該製法により製造された静電荷像現像用トナーである。
本発明において、トナー粒子のコア成分として用いる上記(A−1)や(A−2)の工程に記した芳香族系ポリエステルとはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸やジオキシベンゼンやビスフェノールのエチレンオキサイド付加物のごとき芳香族環含有ジオール類等の少なくとも1種を原料とするポリエステルで、脂肪族ジカルボン酸や脂肪族ジオールを適宜原料として追加使用したすでに公知のポリエステルである。対象となる芳香族ポリエステルは、例えば本願明細書の実施例に示したテレフタル酸・ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物およびネオペンチルグリコールからの芳香族基含有ポリエステルを一例とし、その他特許文献2(特開2004−191927号)や特許文献3(特開2008−209489号)に見られるすでに公知の各種芳香族ポリエステルや特許文献4(特開2005−250443号)に見られるような3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分を含む芳香族ポリエステル、特許文献5(特開平07−026000)や特許文献6(特開平11−043519号)に見られるα,β−不飽和ジカルボン酸成分を含む芳香族ポリエステル、特許文献7(特開2005−099567号)のごとくウレタン結合基を含有する芳香族ポリエステル等が候補の例に挙げられる。トナーとして適当な軟化点、流動性、トナーとしてコピー用紙への密着性を有するポリエステルを複写機の作動特性との兼ね合いで選んで用いることができる。この選択は当該分野の技術者にとって実験的に容易になしうることである。概して言えば、非結晶性高く、軟化点が45℃以上85℃以下の範囲内で、分子量が適度で熱時流動性の適度なポリエステルが好適である。ポリエステルは脂肪族成分が過度では軟化点が低くべとつき等トナー粉体の取扱い上困難が多くあるし、芳香族系ポリエステルで軟化点自体は適当でも結晶性が顕著では本発明のトナー調整工程への適合性やトナーとしての複写性能が劣るので、いずれも不適当で実用性がない。このような観点から選択を適宜おこなえばよいのである。
本発明において前述の芳香族系ポリエステルをトナーのコア成分に用いるのは、被覆顔料粒子との親和性が予想外に高くて本発明の目的を十分に達成するレベルにあることと、トナーとしてコピー用紙との密着性にとくに優れていることを認めたからである。被覆顔料との親和性の高いのもコピー基材との密着性に優れるのも、ポリエステルがエステル結合に富むからであろうと推測している。本発明でコアを形成する重合体一次粒子のうち、芳香族ポリエステルの占める重量分率は100%または100%未満10%以上である。この分率が上記範囲を逸脱して過少の場合は先行出願の場合と同等で密着性改善効果が認め難くなる。
なお、前項および本項に引用したトナーにポリエステルを使用する公知特許文献では着色剤として被覆顔料の使用については一切触れられていない。軟化点については別途後述する。
本発明において、上記(A−2)の工程に記した重合体一次粒子用のビニルモノマー類とは、先行出願と同じく、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルとそれらに共重合可能なビニルモノマーである。アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを用いるのは、後述するアクリレート系樹脂で被覆された着色剤顔料がトナー粒子に迅速かつ効率的に安定確実に含有させることができるからである。重合体一次粒子を形成するのに使用可能なビニルモノマー類のうち、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルがビニルモノマー中に占める割合は約10wt%以上である。勿論、50wt%以上とビニルモノマー類の大半を占めても本発明の目的を達成することが可能である。小割合、例えば15wt%の場合でも十分に目的を達成可能であるのは、前項の芳香族ポリエステルの場合共々重合体一次粒子と被覆着色剤顔料の両表面の親和性すなわち牽引相互作用の強さの現れだと理解している。
上記アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの、エステルを構成するアルコール成分は炭素数1以上18以下の1価アルコールの単独あるいは混合アルコールが好適に使用できる。炭素数3以上の場合のアルコールでは炭化水素部分が直鎖状または分岐状であるかを問わない。トナーの性能から考えてメチルアルコールとn−ブチルアルコールの組合せは好適例のひとつである。すなわち、メチル(メタ)アクリレートと比較的少量のn−ブチル(メタ)アクリレートの組合せは好ましい。炭素数3以上のアルコールの(メタ)アクリレートの場合、アルコール成分の炭化水素部分が水酸基で置換されていてもよい。置換されているエステルと置換されていないエステルの混合物でもよい。
カルボキシル基を有するビニルモノマーの代表例はアクリル酸やメタクリル酸である。マレイン酸等その他の物質も実施可能であるが、安価で入手しやすく重合体一次粒子の乳化重合(例えばシード重合)に十分寄与するので強いて他物質を選択する必要性は少ない。カルボキシル基を有するビニルモノマーは重合体一次粒子を形成するためのビニルモノマー類総量のうち0.1以上10wt%以下の範囲内、好適には1以上5wt%以下の範囲内で使用される。
架橋性ビニルモノマーとして、エチレングリコール等ジオールのジメタクリレートやジアクリレートやジビニルベンゼン等、分子内部に共重合可能なビニル基を2個以上有するビニルモノマーであればよく、これはトナー粒子内部に架橋構造を与えて、印刷前後のいずれにおいてもトナーにしかるべき耐熱強度を確保するのに寄与するので併用する。架橋性ビニルモノマーも重合体一次粒子を形成するビニルモノマー類のうち0.01以上5wt%以下の範囲内、好適には0.05以上1wt%以下の範囲内で使用される。
重合体一次粒子用のビニルモノマー類として上記以外のモノマーとして、トナーの耐熱性や耐水性等々からスチレンを好適な代表例として挙げることができる。その他実施可能なモノマーとして、ビニルトルエン、アルコキシスチレン、α−オレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル、ビニルエーテル等が挙げられる。
本発明において、ワックスとはカルナウバワックス、ベヘン酸ベヘニル、水添ヒマシ油等で例示される種々の天然ワックスやその変性加工品、低分子量オレフィン重合体、同オレフィン共重合体、多価アルコールと高級脂肪酸のエステル、低分子量脂肪族ポリエステル等々の単独あるいは混合物として、当該技術分野の先行技術で使用可能と周知の物質から、本発明における重合体一次粒子やその凝集体である二次粒子の生成と最終製品である静電荷像現像用トナーの要求性能に適した物質ならびに使用量を実験的に選んで使用すればよい。ワックスは一次重合体粒子中の1以上50wt%以下とくに5以上40wt%以下の範囲内で使用するのが好ましい。
本発明において、前記(B)の工程に記した凝集剤液とは、水溶性金属塩等のいわゆる塩析剤の水溶液である。塩析剤として、アルカリ金属やアルカリ土類あるいはアルミニウム等の無機酸や有機酸の塩が好適である。塩析剤は0.5wt%以上5wt%以下の濃度の水溶液で、塩析剤は凝集した粒子の大きさや一次粒子からの界面活性剤の除去の観点から系中に存在する界面活性剤の0.2重量倍以上4重量倍以下の範囲で添加されるのが好ましい。
本発明における(C)工程の前記重合体一次粒子とは異なる相対的に高い軟化点を有する樹脂の微細粒子は、ポリエステル樹脂でも可能であるが、より容易に製造できる(A−2)に記載の重合体一次粒子のビニルモノマーと基本的には同種のモノマーからなるが共重合組成割合が異なるかワックス含有組成が異なるため軟化点に差異を有する樹脂組成物の微細粒子が好適に用いられる。「重合体一次粒子とは異なる相対的に高い軟化点を有するポリエステル樹脂の微細粒子」とは、先述の芳香族ポリエステル樹脂と同様の範疇に属し、例えば特許文献2(特開2004−191927号)、特許文献3(特開2008−209498号)や特許文献8(特開2011−150205号)に開示されているようにジカルボン酸やジオール成分が同じあるいは異なっても良いが芳香族基の含有率が高いか、または特許文献4(特開2005−250443号)に見られるような3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール成分を含む芳香族ポリエステル、特許文献5(特開平07−026000)や特許文献7(特開2005−099567号)のごとくウレタン結合基を含有する芳香族ポリエステル等分子構造上の修飾でより高い軟化点を有するポリエステル樹脂からなる微細粒子である。微細粒子とは(B)工程終了時の凝集粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径を有することを示している。なお、(A)および(C)に関連して引用したポリエステルを使用するトナーの公知特許文献では、着色剤として被覆顔料の使用については一切触れられていない。
本発明での軟化点とは試料を一定昇温速度で加熱し、試料面に垂直に立てた針状棒が重力によって沈下し始める温度である。測定法は後出の実施例で述べる。重合体一次粒子の主成分である樹脂の軟化点は45℃以上85℃以下の範囲内であることがトナーの性能から好適である。軟化点が50℃以上75℃以下の範囲内の場合がとくに好適である。このことから(C)工程で用いられる相対的に高い軟化点を有する樹脂微細粒子の軟化点は55℃以上100℃以下の範囲内であることがトナーの性能から好適である。
これは、特許文献2(特開2004−191927号)の結晶性ポリエステル樹脂及び無定形高分子のTg=35〜100℃、特許文献3(特開2008−209489号)の結晶性ポリエステル樹脂の融点=50〜100℃、非結晶性ポリエステル樹脂のTg=45〜70℃、特許文献9(特開2007−171692号)の結晶性ポリエステル樹脂の融点=60〜90℃、特許文献8(特開2011−150205号)の結晶性ポリエステル樹脂の融点=60〜90℃、特許文献10(特開2011−237783号)のポリエステル樹脂のTg=50〜80℃、特許文献11(特開2005−345861号)のポリエステル樹脂のTgは50℃以上、ポリエステル樹脂の軟化点は80〜120℃、特許文献4(特開2005−250443号)のポリエステル樹脂のTg=50〜75℃、ポリエステル樹脂の軟化温度=120〜200℃等が参照されるが、上述の範囲で適当だと思われる。
さらには、軟化点が55℃以上95℃以下の範囲内の場合がとくに好適である。換言すれば樹脂微細粒子の主成分ポリマーと重合体一次粒子の主成分ポリマーの軟化の差は3℃以上40℃以下の範囲内、とくに5℃以上35℃以下の範囲内である場合が好適である。これら軟化点の値は凝集工程、付着工程、および熟成工程等を通して、好ましい大きさや形状のトナー用粒子を形成させるために必要な要請である。トナーにはワックスはじめ種々の添加物が併用されるので、トナー粒子の軟化点は重合体一次粒子や樹脂微細粒子の主体ポリマーの軟化点とは異なる値になる。
本発明において着色剤とは色材業界で有機顔料および非水溶性の有機染料と呼ばれる物質であって、具体的には、各種製法によるカーボンブラック、アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、油溶性有機染料やレーキ化した染料等である。より詳細な具体例はすでに顔料便覧や染料便覧に収録されて周知の物質である。本発明ではこれ等を総称して顔料と呼ぶことにする。本発明で好適に使用される顔料の例として、例えば、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)、ナフトール系赤色顔料(C.I.ピグメントレッド150)、ジメチルキナクリドン系顔料(C.I.ピグメントレッド122)、フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)、アゾ系黄色顔料(C.I.ピグメントエロー74)等が挙げられる。
一般的に多方面に用いられている着色剤である水溶性有機染料はトナー粒子への着色効率が悪く不適当であるし、無機顔料は金属元素の含有率が高くて高比重のため本発明の方法では利用不可能であった。
本発明において着色剤は、あらかじめアクリレート系樹脂で被覆された状態でトナー製造に供される。本発明ではこれを被覆顔料と略称する。アクリレート系樹脂とはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルの1種または1種以上の重合体、あるいは上記アクリレートエステルモノマー類が50wt%以上で、それ以外の他種モノマーが50wt%未満である、アクリレート系樹脂成分を主体とする共重合体である。被覆可能な樹脂や被覆方法は特許文献12(特開2005−054043号)および特許文献13(特開2006−096882号)に開示されているインクジェット用インクでの顔料被覆技術が、そのまま本発明に適用可能である。すなわち、顔料を界面活性剤を用いて水中に分散させた顔料分散液に、同一または異なる界面活性剤を用いてアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを水中に乳化させたモノマー乳化液を、重合触媒である水溶性過硫酸塩存在下に混合攪拌すると、過硫酸塩存在の効果で顔料がモノマー相に移行して顔料粒子を含有する微細なモノマーの乳化液となる。この乳化液を加熱してモノマーを重合させてアクリレート系樹脂で被覆された顔料の分散液が得られる。得られた分散液はそのまま、あるいは被覆顔料を分離、水洗、乾燥して本発明のトナー製造に供される。
被覆用アクリレート系樹脂で共重合成分として使用可能なモノマーも上記特許文献12(特開2005−054043号)および特許文献13(特開2006−096882号)に開示されている通りである。共重合モノマーの種類によってはそれに適した触媒種の併用が必要となるが、その具体例も特許文献12(特開2005−054043号)や特許文献13(特開2006−096882号)に開示されている。なお、被覆ポリマーの組成は上記の規定に従い、先述の微細樹脂粒子と似通った組成を有し、かつ軟化点も極端に乖離しないことが好ましい。トナーを構成する物質性状に応じて、顔料被覆ポリマーの組成およびその軟化点を具体的に選ぶことは当該分野の技術者には比較的容易に実施可能である。ただし、上記2件の特許文献に触れられている架橋剤モノマーの使用は微量であることが望ましい。
なお、被覆顔料を調製する過程あるいはそれを用いて本発明のトナーを製造する過程において、使用または存在する界面活性剤の組合せで粒子の分散やモノマーの乳化状態が破壊されることのないように配慮することが必要である。この配慮は当該技術領域の技術者には、容易に実施可能である。
前項に述べた被覆顔料を調製する工程には、トナー粒子の好ましい大きさとの兼ね合いから最大径1μm以下の微細な顔料粒子を用いる。粗大粒子はトナーとして不適当である。市場で入手される顔料は顔料一次粒子の会合体であるから、使用に当たって最大径が1μm以下で、平均粒径で0.5μm以下となるよう湿式粉砕しておく必要がある。得られる被覆顔料の大きさは被覆用モノマー乳化液の大きさにほぼ等しくなるので、被覆用モノマー乳化液中の乳化液滴の大きさは0.005μm以上1.0μm以下の範囲内となるよう制御することが望ましい。この制御は当該技術領域の技術者には乳化技術の基本として周知であり容易に実施可能である。
被覆顔料における被覆樹脂の量は、樹脂が顔料粒子の表面を十分に被覆してトナー粒子に効率よく安定確実に付与できることから、顔料の重量を基準に10wt%以上150wt%以下の範囲が好ましい。被覆顔料は単独で、あるいは2種以上で同系統色または異色の混合体として本発明で使用される。トナーへの被覆顔料の配合量は、着色剤としてトナー中0.01wt%以上、単独あるいは混合使用の総量として25wt%以下の範囲内が好ましい。なお被覆顔料剤を調製する具体例は(参考例)として本明細書の実施例とともに記した。被覆顔料は固体粒子または水分散液の形で本発明のトナー製造工程に供することが可能である。
被覆顔料をトナー粒子に導入する方法について記述する。本発明の(A−1)芳香族系ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を界面活性剤の存在下に水中に乳化分散したのち、有機溶剤を除去して芳香族系ポリエステル樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、あるいは(A−2)カルボキシル基を有するビニルモノマーおよび架橋性ビニルモノマーの各少量を含有し、かつアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを必須成分とするビニルモノマー類を、芳香族系ポリエステル樹脂をシードとして乳化重合することにより芳香族系ポリエステルと前記(メタ)アクリル酸エステルを主体とする複合樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、(B)この重合体一次粒子分散液に必要に応じてワックス分散液を加え、凝集剤液を添加混合して重合体一次粒子の凝集した二次粒子の分散液とする凝集工程、(C)前記重合体一次粒子とは異なる相対的に高い軟化点を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の微細粒子の分散液を添加混合して、二次粒子に該微細樹脂粒子が付着した付着粒子の分散液を調製する付着工程、(D)得られた付着凝集粒子分散液を加熱して付着凝集粒子が部分融着して、より強固な凝集状態となるようにする凝集および付着完結のための熟成工程、および(E)熟成した粒子を濾別・洗浄・乾燥して粉体トナー粒子を取り出す取出工程の一連の工程からなるトナーの製造方法において、前記(A)(B)(C)のいずれかの工程のいずれかの段階でアクリレート系樹脂で被覆された着色剤顔料粒子の分散液を系に添加して、完成途中のトナー粒子の母体に導入される。被覆顔料は固体粒子または水分散液の形で添加することが可能であるが、固体粒子での添加は操作上煩雑であるから水分散液として添加するのが便利で好適である。とくに被覆顔料製造後夾雑物を除いた被覆顔料の水系分散液での添加は好都合である。添加時期はとくに選ばない。上記のいずれの工程のいずれの段階においても実施可能である。強いて言えば二次粒子形成時の凝集剤添加前か樹脂微細粒子分散液添加と同時期に添加するのが便利で好ましい例として挙げられる。
以上のようにしてトナー製造系に持ち込まれた被覆顔料粒子は、媒体相から速やかに移動し重合体の乳化粒子(トナーとなる粒子)に付着する。顕微鏡観察によれば媒体相に残る被覆顔料粒子は認められない。こうして被覆顔料粒子は全量トナー粒子に完全に取り込まれて効率よくトナーの着色に利用されうるのである。トナー粒子の主体ポリマーと被覆顔料の親和性が高いので、これ以降のトナー製造工程にあっても被覆顔料が媒体相には認められず、トナー粒子が最終製品である現像用トナーになるまでのトナー母粒子に無駄なく組込まれることが判明した。
工程(A−1)(A−2)(B)(C)の操作条件はすでに公知の技術範囲内の条件で実施可能である。顔料が特定ポリマー被覆されていることは何の障害も及ぼさないし、被覆されていない顔料使用の場合に対比して何の条件変更も必要としないのである。このことは後続の工程(D)の熟成工程や工程(E)の取出工程においても同様である。
トナー製造時あるいは最終製品である現像用トナーに帯電制御剤、離型剤、流動化剤等の添加剤を含有させる必要がある場合、これらはトナー製造の工程(A−1)(A−2)(B)(C)のいずれかの工程内の任意の段階、あるいは工程(D)の熟成工程完了以前の段階における適当な段階と状態を選んで系に添加して製造を完結するか、工程(E)の取出工程完了後のトナー粉体にそれら添加剤の粉体を混合して含有させることができる。以上はすでに公知の技術範囲に属するので当該分野の技術者は容易に適当な方法を選んで実施可能である。ここにおいても上述のように使用着色剤が被覆顔料であることは何の障害にもならない。
帯電制御剤としてはすでに公知の4級アンモニウム塩、サリチル酸塩類、4,4’−メチレンビス[2−{N−(4−クロロフェニル)アミド}−3−ヒドロキシナフタレン]等すでに公知の物質を所望に応じてトナー固体成分の0.1以上10wt%以下の範囲内で、水分散液の形で工程(A−1)(A−2)(B)(C)のいずれかの工程内の段階で添加して用いるのがよい。ここにおいても上述のように使用着色剤が被覆顔料であることは何の障害にもならない。
離型剤としては既述のワックスを初めとするすでに公知の物質を所望に応じてトナー固体成分の0.1以上10wt%以下の範囲内でトナー粒子表面に用いることができる。離型剤は微粒子の水分散液として、工程(C)のいずれかの段階または工程(D)のいずれかの段階で添加混合してトナー粒子に付与することができる。
流動化剤としては、シリカやチタニア等すでに公知の物質をトナー固体成分の0.1以上10wt%以下の範囲内で用いることができる。流動化剤は微粒子粉体あるいは微粒子粉体の水分散液として、工程(E)の完了後に添加混合してトナー粒子に付与するのが好適である。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。
軟化点は内径が7mmで長さが150mmのガラス製薄肉試験管の底部に乾燥サンプルを充填し、サンプルを一旦加熱溶融したのち冷却固化させ、それに外径3mmで先端を角度60度に尖らせたステンレス棒を立て、試験管をオイルバス中に垂直に固定。オイルを攪拌加熱して緩やかに昇温させる。サンプルが軟化するとステンレス棒が重力でサンプル中に進入低下するので、ステンレス棒上部の刻線をカセトメーターで、サンプル直近の油浴温度を温度計で継続的に観察すると、進入開始温度が測定できる。この温度をサンプルの軟化点と見なした。
平均粒径は日機装社製マイクロトラックUPA(ultraparticle analyzer)、または島津製作所製レーザー回折式粒度測定装置SALD−1100により測定した。トナーの評価方法は実施例の末尾に記載した。
後述の実施例に供する各種材料の調製例を参考例として記す。
(参考例1:被覆黒色顔料分散液の調製)
前述の各種各色の顔料でも実施可能であるが、ここではその代表例としてカーボンブラックの場合を記す。
黒色顔料であるカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)20.0部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系界面活性剤(花王(株)製:エマルゲン120)を少量の中和剤であるジメチルエタノールアミンとともに溶解した6.5%水溶液72.9部、およびイオン交換水72.4部の割合で混合し、0.3mm径のジルコニアビースを用いるビーズミルで2時間かけて分散し、顔料分散液を準備した。
一方、メチルメタクリレート15.1部、n−ブチルメタクリレート2.0部、スチレン5.4部、アクリル酸0.3部、1,6−ヘキサンジアクリレート0.1部、ブロムトリクロロメタン0.1部、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム系界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンS−20F)1.6部、イオン交換水100.0部を混合しホモジナイザーで攪拌乳化し、ついで油溶性過酸化物系重合開始剤パーブチルOを0.2部添加溶解してビニルモノマーの乳化液を準備した。
顔料分散液400部に前記界面活性剤ネオゲンS−20F水溶液の3.2部を添加攪拌した後、過硫酸アンモニウムを3.5部添加し、該顔料分散液にモノマー乳化液を攪拌下に滴下混合した。滴下終了後20分目の観察で、顔料はモノマー相に移行していて顔料を含有するモノマーの微小液滴が水中に分散している乳化状態に変化していた。混合前のモノマー液中に存在していた比較的大きな液滴は認められなくなった。ついで攪拌を再開し、窒素気流下に系を70℃に昇温し、そのまま6時間重合したところ液のモノマー臭は消失した。室温まで冷却し、極少量ながら存在する粗大粒子を遠心分離と濾過で除去し、被覆黒色顔料の分散液が得られた。UPAで測定した平均粒子径は84nmであった。なお再現性確認のため別途実施した本参考例と同一の実験では、同様の推移を経て被覆顔料の分散液が得られた。該分散液から粒子を取り出し、水洗、乾燥した粒子は軟化点71℃であった。電子顕微鏡で観察すると粒子表面が樹脂層で被覆されていること、また重量解析から顔料とモノマーの被覆顔料への変換は定量的であることが判った。
(参考例2:樹脂微細粒子−1の分散液の調製)
攪拌羽根、マントルヒーター、冷却管および各原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積1リットル)に20%ネオゲンS−20F水溶液2.0部、イオン交換水186.7部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。その後、下記のモノマー類と乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持して重合反応を行った。重合終了後冷却し、乳白色の重合体分散液(樹脂微細粒子−1の分散液)を得た。樹脂微粒子1の平均粒子径は53nmであった。なお、別途本参考例2の方法を実施し、重合体粒子を分離精製して、その軟化点を測定すると70℃であった。
[モノマー類]
メチルメタクリレート 47.0部
n−ブチルメタクリレート 13.0部
スチレン 40.0部
アクリル酸 1.5部
ブロムトリクロロメタン 0.5部
1、6−ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンS−20F水溶液 1.5部
イオン交換水 98.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 18.9部
8%アスコルビン酸水溶液 18.9部
(参考例3:ワックス分散液の調製)
中京油脂(株)製パラフィンワックス分散液SELOSOL P−319を用いた。
不揮発分30%、LA−950で測定したパラフィンワックスの平均粒径280nm
(参考例4:帯電制御剤微粒子分散液)
帯電制御剤であるジブチルサリチル酸アルミニウムキレート(オリエント化学工業製:ボントロモンE−108)15部、20%ネオゲンS−20F水溶液5部、およびイオン交換水80部をサンドグラインダーミルにて分散し、帯電制御剤微粒子分散液を得た。UPAで測定した分散粒子の平均粒径は270nmであった。
(芳香族ポリエステルの合成とその一次粒子分散液−Iの調製)
攪拌機、蒸留塔、温度計および窒素ガス導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコにテレフタル酸280部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物730部、ネオペンチルグリコール50部およびジブチル錫オキサイド2部を入れ、常圧下240℃で8時間反応させた。ついで15mmHgの減圧下に6時間反応させて、数平均分子量4600、軟化点58℃、酸価11のポリエステルをえた。この芳香族ポリエステル樹脂50部を酢酸エチル70部とメチルエチルケトン30部からなる溶媒に溶かし溶液とした。ビーカー内にイオン交換水200部および20%ネオゲンS−20F水溶液6.0部を入れ均一な水系媒体を調製した。これをTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌しながら、前記ポリエステルの酢酸エチル/メチルエチルケトン溶液を投入して均一な乳化液とした。ついでこの液をロータリーエバポレーターに移し、減圧下30℃で酢酸エチル/メチルエチルケトン溶剤を完全除去して芳香族ポリエステル一次粒子分散液−Iを得た。この当該重合体一次粒子の平均粒子径はUPAで測定して120nmであった。
(芳香族ポリエステルの被覆黒色顔料含有凝集粒子『黒色トナー母粒子−I』の調製)
下記原料成分を秤取し母粒子調製に供した。
実施例1で得た芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iを固形分で89.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
参考例1で得た被覆黒色顔料分散液を固形分で12.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
参考例2で得た樹脂微細粒子−1の分散液を固形分で5.0部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6部
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加え攪拌しながら被覆黒色顔料分散液を加えてよく撹拌した後、硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後40℃に昇温して40℃に1時間保持し、一次粒子の凝集工程を実施した。次いで樹脂微細粒子−1の分散液を添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持した後、10分かけて60℃に昇温して30分保持し付着工程とした。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し1.5時間保持して粒子の凝集・付着工程の完成を兼ねた熟成工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てコア部に被覆黒顔料の入った黒色トナー母粒子−Iを得た。この粒子の平均粒径は7.8μであった。
なお他色被覆顔料を用いて本例を実施すると、本例同様に他色トナー母粒子が得られることを確認している。
(芳香族ポリエステルの被覆黒色顔料含有凝集粒子『黒色トナー母粒子−II』の調製)
下記原料成分を秤取し母粒子調製に供した。
実施例1で得た芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iを固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
参考例1で得た被覆黒色顔料分散液を固形分で12.9部
参考例2で得た樹脂微細粒子−1の分散液を固形分で1.4部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分6部
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加え攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えよく撹拌後40℃に昇温して40℃に1時間保持し、一次粒子の凝集工程を実施した。次いで被覆黒色顔料分散液と樹脂微細粒子−1の分散液の混合液、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.1部)をこの順に添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持した後、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し2.0時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に被覆黒顔料の入った黒色トナー母粒子−IIを得た。この粒子の平均粒径は7.3μであった。
(芳香族ポリエステル含有アクリル重合体一次粒子分散液の調製)
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積0.5リットル)に実施例1の芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−I:256部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液2.0部、8%アスコルビン酸水溶液2.0部を添加した。ついで下記モノマー等と界面活性剤水溶液の混合液を重合開始から5時間かけて、また併行して開始剤水溶液を6時間かけて滴下方式で添加した。添加終了後も加熱攪拌を30分継続して重合反応を終了し、冷却して乳白色の芳香族ポリエステル含有アクリル系重合体一次粒子分散液−IIをえた。当該重合体一次粒子の平均粒径はUPAで測定して165nmであった。
〔モノマー等〕
n−ブチルアクリレート 11.0部
スチレン 39.0部
アクリル酸 0.75部
1,6−ヘキサンジアクリレート 0.20部
ブロムトリクロロメタン 0.25部
〔界面活性剤水溶液]
20%ネオゲンS−20F水溶液 0.50部
イオン交換水 52.0部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 6.9部
8%アスコルビン酸水溶液 6.9部
(芳香族ポリエステル含有アクリル重合体の被覆黒色顔料含有凝集粒子『黒色トナー母粒子−III』の調製)
下記原料成分を秤取し母粒子調製に供した。
実施例4の芳香族ポリエステル含有アクリル重合体一次粒子分散液−IIを固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.5部
参考例1で得た被覆黒色顔料分散液を固形分で12.9部
参考例4の帯電制御剤微粒子分散液を固形分で2.0部
参考例2で得た樹脂微細粒子−1の分散液を固形分で1.4部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6部
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に20%ネオゲンS−20F水溶液(純分で0.5部)を仕込み、芳香族ポリエステル含有アクリル系樹脂の一次粒子分散液とワックス分散液を添加し、攪拌しながら均一に混合した。引き続き攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.5部)を添加した。添加後の分散体の平均粒径は0.9μmであった。さらに攪拌下に50分かけて40℃に昇温し1時間保持したのち、帯電制御剤微粒子分散液そして被覆黒色顔料分散液と樹脂微細粒子−1の分散液の混合液をこの順に滴下し、次いで硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.1部)を添加後、40分かけて51℃に昇温して1時間保持したのち、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分で6.0部)を添加し、35分かけて96℃に昇温し1.5時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に被覆黒顔料の入った黒色トナー母粒子−IIIを得た。この粒子の平均粒径は6.8μであった。
(芳香族ポリエステルの合成とその一次粒子分散液−IIIの調製)
攪拌機、蒸留塔、温度計および窒素ガス導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコにテレフタル酸280部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物730部、ネオペンチルグリコール50部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下240℃で8時間反応させた。ついで15mmHgの減圧下に6時間反応させて、数平均分子量4600、軟化点58℃、酸価11のポリエステルをえた。この芳香族ポリエステル樹脂100部を酢酸エチル70部とメチルエチルケトン30部からなる溶媒に溶かした。ビーカー内にイオン交換水600部、リン酸三カルシウム60部および20%ネオゲンS−20F水溶液を入れ、均一に溶解分散した。ビーカー内液温を20℃に保ちTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)で12000rpmに攪拌しながら、前記ポリエステルの酢酸エチル/メチルエチルケトン溶液を投入し、3分間の攪拌で乳化した。ついでこの乳化液をロータリーエバポレーターに移し、減圧下30℃で酢酸エチル/メチルエチルケトン溶剤を完全除去した。このポリエステル分散液を室温まで冷却し、35%濃塩酸120部を加えてリン酸三カルシウムを溶解し、室温で1時間攪拌した後に濾別してえられたケーキを蒸留水に再分散して濾過する操作を3回繰り返し洗浄した。ポリエステル樹脂固形分に硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.2部)を加え60分間攪拌した。得られたケーキに20%ネオゲンS−20F水溶液2.5部を加え、蒸留水で固形分濃度20重量%となるよう再分散して芳香族ポリエステルの一次粒子懸濁液−IIIを得た。この一次粒子の平均粒径は5.6μmであった。
(芳香族ポリエステルの被覆黒色顔料含有凝集粒子『黒色トナー母粒子−IV』の調製)
下記原料成分を秤取し母粒子調製に供した。
実施例6で得た芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−IIIを固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
参考例1で得た被覆黒色顔料分散液を固形分で12.9部
参考例2で得た樹脂微細粒子−1の分散液を固形分で1.4部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6部
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−III、及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)とワックス分散液を加えた後、硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後、攪拌しながら40℃に昇温して40℃に1時間保持した。被覆黒色顔料分散液と樹脂微細粒子−1の分散液の混合液を滴下混合後、硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.1部)を添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持した後、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)添加後50分かけて96℃に昇温し1.0時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に被覆黒顔料の入った黒色トナー母粒子−IVを得た。この粒子の平均粒径は7.6μであった。
(結晶性ポリエステルの合成とそのシェル被覆用微細粒子−IVの調製)
攪拌機、蒸留塔、温度計および窒素ガス導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコにセバシン酸ジメチル100質量部、エチレングリコール100質量部及びジブチル錫オキサイド0.1質量部を入れ、窒素雰囲気下で、180℃で6時間反応させた。反応中、生成されたメタノールは系外へ除去した。その後、徐々に減圧しながら、230℃まで温度を上げて、5時間反応させ過剰のエチレングリコールを除去した後、冷却し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は18900、軟化点は72.8℃であった。
この結晶性ポリエステル樹脂50部を酢酸エチル70部とメチルエチルケトン30部からなる溶媒に溶かし溶液とした。ビーカー内にイオン交換水200部および20%ネオゲンS−20F水溶液6.0部を入れ均一な水系媒体を調製した。これをTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)で攪拌しながら、前記ポリエステルの酢酸エチル/メチルエチルケトン溶液を投入して均一な乳化液とした。ついでこの液をロータリーエバポレーターに移し、減圧下30℃で酢酸エチル/メチルエチルケトン溶剤を完全除去して結晶性ポリエステルのシェル被覆用微細粒子−IVを得た。この乳化ポリエステルの平均粒子径はUPAで測定して168nmであった。
(芳香族ポリエステルの被覆黒色顔料含有凝集粒子『黒色トナー母粒子−V』の調製)
下記原料成分を秤取し母粒子調製に供した。
実施例1で得た芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iを固形分で89.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
参考例1で得た被覆黒色顔料分散液を固形分で12.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
実施例8で得た結晶性ポリエステルのシェル被覆用微細粒子−IVを固形分で5.0部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分6部
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加え攪拌しながら被覆黒色顔料分散液を加えてよく撹拌し硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後、40℃に昇温して40℃に1時間保持した。結晶性ポリエステルのシェル被覆用微細粒子−IV、硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.1部)をこの順に添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持したのち、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し3.5時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に結晶性ポリエステルを導入した黒色トナー母粒子−Vを得た。この粒子の平均粒径は7.2μであった。
(比較例1:非被覆黒色顔料使用例)
<黒色顔料ペーストの作成>
カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)20.0g、界面活性剤エマルゲン120の5.0g、イオン交換水75gをペイントシェーカーにて分散して黒色ペーストをえた。ペースト中の顔料の平均粒径は86nmであった。
<黒色の比較用トナー母粒子−X1の作成>
下記成分を用いて下記実施例の方法に従って『黒色の比較用トナー母粒子−X1』を作成した。
[使用成分]
実施例1と同様にして得た芳香族ポリエステル樹脂の一次粒子分散液−1を固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
上記黒色顔料ペーストを固形分で7.0部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
参考例4の帯電制御剤微粒子分散液を固形分で2.0部
参考例2と同様にして得た樹脂微細粒子−1の分散液を固形分で1.4部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6.0使用
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加え攪拌しながら上記黒色顔料ペーストの非被覆黒色顔料分散液を加えてよく撹拌し硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後、40℃に昇温して40℃に1時間保持した。帯電制御剤微粒子分散液、樹脂微細粒子−1の分散液を添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持した後、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し1.5時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てコア部に非被覆黒顔料を含有する黒色の比較用トナー母粒子−X1を得た。この粒子の平均粒径は7.1μであった。
(比較例2:非被覆黒色顔料使用例)
<黒色の比較用トナー母粒子−X2の作成>
下記成分を用いて下記実施例の方法に従って、『黒色の比較用トナー母粒子−X2』を得た。
[使用成分]
実施例1と同様にしてえたポリエステル含有アクリル樹脂の重合体一次粒子分散液−1を固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
比較例1調製した黒色顔料ペーストを固形分で3.5部
参考例2と同様にして得た樹脂微細粒子1の分散液を固形分で5.0部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6.0使用
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステルの一次粒子分散液−Iとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加えよく撹拌し硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後、40℃に昇温して40℃に1時間保持した。上記黒色顔料ペーストの非被覆黒色顔料分散液と樹脂微細粒子−1の分散液の混合液及び硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.1部)をこの順に添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持したのち、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し2.5時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に非被覆黒顔料を含有する黒色の比較用トナー母粒子−X2を得た。この粒子の平均粒径は6.9μであった。
(比較例3:非被覆黒色顔料使用例)
<黒色の比較用トナー母粒子−X3の作成>
下記成分を用いて下記実施例の方法に従って、『黒色の比較用トナー母粒子−X3』を得た。
[使用成分]
実施例4と同様にして得た芳香族ポリエステル含有アクリル樹脂の重合体一次粒子分散液−IIを固形分で94.1部
参考例3のワックス分散液を固形分で4.9部
硫酸アルミニウム水溶液を固形分で0.3部
比較例1調製した黒色顔料ペーストを固形分で3.5部
参考例2と同様にして得た樹脂微細粒子1の分散液を固形分で5.0部
20%ネオゲンS−20F水溶液を純分で6.0使用
攪拌装置、マントルヒーター、冷却管および原料仕込み口を備えた三口フラスコ(容積2リットル)に芳香族ポリエステル含有アクリル樹脂の重合体の一次粒子分散液−IIとワックス分散液及び20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として0.5部)を加えよく撹拌し硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.3部)を加えてよく撹拌後、40℃に昇温して40℃に1時間保持した。上記黒色顔料ペーストの非被覆黒色顔料分散液、樹脂微細粒子−1の分散液及び硫酸アルミニウム水溶液(固形分で0.1部)をこの順に添加し、40分かけて51℃に昇温して1時間保持したのち、10分かけて60℃に昇温して30分保持した。20%ネオゲンS−20F水溶液(純分として6部)を50分かけて96℃に昇温し2.0時間保持して粒子の熟成を兼ねた凝集工程を終えた。その後冷却し、濾過、水洗、乾燥の工程を経てシェル部に非被覆黒顔料を含有する黒色の比較用トナー母粒子−X3を得た。この粒子の平均粒径は7.2μであった。
(現像用トナーの作成)
前述の実施例でえられたトナー母粒子粉体−I、II、III、IV、Vの各100部に、疎水性の表面処理をしたシリカ(日本アエロジル(株)製:R812)をそれぞれ0.2部加えヘンシェルミキサーにて混合攪拌し、対応する現像用トナー粉体−I、II、III、IV、Vを得た。
なお比較のため、比較用トナー母粒子粉体−X1、X2、X3にも同様の処理をして、対応する比較用の現像トナー粉体−X1、X2、X3を得た。
(現像用トナーの評価用サンプルの作成)
連続画出し試験用のトナーの作製はこの上記現像用トナーの5.0gを250ccの蓋付きPP容器に入れ、ここに1〜2mmφのガラスビーズを100cc入れて密封し、冷却しながら卓上ポリビン回転架台で30分回転15分非回転のサイクルで合計30時間回転させて強制的に粉砕促進した粉砕促進トナーを、粉砕促進していない正常各色現像用トナーに10%添加して紙面の汚れ検定用連続画出し試験用のトナーとした。
画像濃度の評価は、市販のフルカラープリンターNEC製MultiWriter2900Cを用い、通常の複写機用普通紙(75g/m)(標準紙(FCドリーム;紀州製紙社製))の転写材を用いてベタ画像を出力し、えられた定着画像の画像濃度(ID値)はX−rite504で測定した。ベタ画像における任意の4箇所の画像濃度を測定しその平均値を算出し表−1に示した。なお紙面上のトナー量は黒、赤、黄および青トナーで0.6g/cmであった。また紙面の汚れは上記実写評価で、50枚印字後の画像の汚れを目視観察し、下記の基準で判定した。
◎:全く汚れなし
○:微少に汚れあるが使用可能なレベル
△:部分的にうっすらと汚れていて使用できない
×:部分的あるいは全体的にはっきり汚れが確認できる
Figure 2013214029
上記表1の結果から明らかなように、本発明の被覆顔料を使用して作成した現像用トナーは強制粉砕促進した状態での実写紙面汚れが皆無である。先述の個別実施例中に触れたトナー母粒子調製時の被覆顔料の挙動とも併せて、本発明の方法でトナーに着色剤が効率良く安定に導入できることが明らかになった。
(現像用トナーの評価2)
実施例11と同様にして文字を複写した紙に付き、文字の歯ブラシによる擦過テストとセロハンテープによる剥離テストを実施した。トナーI、II、III、IV、Vのいずれも十分満足すべき結果を与えた。必要以上に過激なテストを行った時にポリエステル含有トナーの密着性が優れていることが認められた。比較例の場合は脱落、剥離が認められ実用化に難点があることが判明した。
以上着色剤としてカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)を用いる実例を例示したが、その他の顔料種、すなわちジメチルキナクリドン系赤色顔料(C.I.ピグメントレッド122)、ナフト−ル系赤色顔料(C.I.ピグメントレッド150)、フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)、アゾ系黄色顔料(C.I.ピグメントイエロー74)を用いても、前述の参考例や実施例にしたがって同様の効果を実現できた。
本発明は静電荷現像用トナーおよびその製法に利用可能である。

Claims (6)

  1. (A−1)芳香族系ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を界面活性剤の存在下に水中に乳化分散したのち、有機溶剤を除去して芳香族系ポリエステル樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、あるいは(A−2)カルボキシル基を有するビニルモノマーおよび架橋性ビニルモノマーの各少量を含有し、かつアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを必須成分とするビニルモノマー類を、芳香族系ポリエステル樹脂をシードとして乳化重合することにより芳香族系ポリエステルと前記(メタ)アクリル酸エステルを主体とする複合樹脂の一次粒子分散液とする重合体一次粒子分散工程、(B)この重合体一次粒子分散液に必要に応じてワックス分散液を加え、凝集剤液を添加混合して重合体一次粒子の凝集した二次粒子の分散液とする凝集工程、(C)前記重合体一次粒子とは異なる相対的に高い軟化点を有するポリエステル樹脂および/または(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の微細粒子の分散液を添加混合して、二次粒子に該微細樹脂粒子が付着した付着粒子の分散液を調製する付着工程、(D)得られた付着凝集粒子分散液を加熱して付着凝集粒子が部分融着したより強固な凝集状態となるようにする凝集および付着完結のための熟成工程、および(E)熟成した粒子を濾別・洗浄・乾燥して粉体トナーを取り出す取出工程の一連の工程からなるトナーの製造方法において、アクリレート系樹脂で被覆された着色剤顔料粒子の分散液を、前記(A)、(B)、(C)のいずれかの段階で添加混合してトナー粒子に着色剤顔料を導入することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製法。
  2. 請求項1に記載の顔料被覆用アクリレート系樹脂が、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを必須成分とするビニルモノマーの重合体であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製法。
  3. 請求項1に記載の相対的に高い軟化点を有する樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製法。
  4. 請求項1に記載の相対的に高い軟化点を有する樹脂が、カルボキシル基を有するビニルモノマーおよび架橋性ビニルモノマーの各少量を含有するビニルモノマー類の重合体であり、その主モノマー成分は基本的には請求項1(A−2)の(メタ)アクリル酸エステルと共通だが共重合組成割合が異なるかワックス含有組成が異なるため重合体一次粒子成分とは軟化点に差異を有して高いことを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製法。
  5. 帯電制御剤粒子、流動化剤を所望に応じて、粉体、水溶液、あるいは水分散液の形で、請求項1に記載の諸工程のいずれかの工程とその段階を選んで添加混合しトナー粒子に付与することを特徴とする請求項1、2または3に記載の静電荷像現像用トナーの製法。
  6. 請求項1、2、3または4に記載の製法により製造された静電荷像現像用トナー粉体。
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