JPH0777700A - ダイナミックレンジ拡大機能を有する情報記録再生方法及び装置 - Google Patents

ダイナミックレンジ拡大機能を有する情報記録再生方法及び装置

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JPH0777700A
JPH0777700A JP16218193A JP16218193A JPH0777700A JP H0777700 A JPH0777700 A JP H0777700A JP 16218193 A JP16218193 A JP 16218193A JP 16218193 A JP16218193 A JP 16218193A JP H0777700 A JPH0777700 A JP H0777700A
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JP16218193A
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Masahito Okabe
岡部将人
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録できるダイナミックレンジを広くする。 【構成】 電極上に光導電層を形成した光センサと、樹
脂中に液晶を分散固定した高分子分散液晶層を電極上に
形成した情報記録媒体とを空隙を介して対向配置し、露
光光学系を介して像露光すると同時に電圧を印加するこ
とにより画像記録を行う方法において、記録領域を複数
に分割し、各領域ごとに記録条件を異ならせて同時に異
なる調子の複数の画像を記録し、読み取り後異なる調子
の複数画像を合成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂中に液晶を分散、
固定した高分子分散液晶記録媒体を用いたダイナミック
レンジ拡大機能を有する情報記録再生方法及び装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図1は高分子分散液晶媒体を用いた画像
記録装置の構成を示すものである。図中、10は光セン
サ、20は液晶記録媒体をそれぞれ示している。光セン
サ10は透明支持体11上に透明電極12、光導電層1
3が順次積層され、液晶記録媒体20は支持体21上に
電極22、高分子分散型液晶層23が順次積層されてい
る。光導電層としては無機導電層としてアモルファスセ
レン、アモルファスシリコン等、有機光導電層としてポ
リビニルカルバゾールにトリニトロフルオレノンを添加
した単層のものや、電荷発生層としてアゾ系の顔料をポ
リビニルブチラール等の樹脂に分散したものと電荷移動
層としてヒドラゾン誘導体をポリカーボネート等の樹脂
と混合したものを積層したもの等が使用可能である。液
晶記録媒体の電極22はITO等の透明電極やA1電極
等の不透明なものが使用できる。
【0003】このような光センサ10と液晶記録媒体2
0を対向配置し、図示するように、電源30により両電
極12、22間に電圧を印加し、書き込み光として可視
光を照射すると、露光強度に応じて光導電層13の導電
性が変化して、液晶層23にかかる電圧が変化し、液晶
層の配向状態が変化し、印加電圧をOFFして電界を取
り除いた後もその状態が維持され、画像情報の記録が行
われる。
【0004】このようにして記録された記録情報は、図
2に示すような読み取り装置で電気信号に変換すること
ができる。即ち、光源40からの光はフィルター50を
介して適当な波長の光のみが液晶記録媒体20に照射さ
れ、液晶記録媒体では記録情報に応じて透過率が異なる
ためここで変調され、この変調光をCDDラインセンサ
等の光電変換装置60で受光し、電気信号に変換され
る。この電気信号は必要に応じて、CRTやプリンター
で出力することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような方法で画像
記録を行った場合、例えば自然光の中で人物等を撮影し
た場合、ダイナミックレンジが狭いために、暗部を記録
しようとするとハイライト部がとんでしまい、逆にハイ
ライト部を表現しようとすると暗部がつぶれてしまうと
いう問題がある。
【0006】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、記録できるダイナミックレンジを広くして記録する
ことができるダイナミックレンジ拡大機能を有する情報
記録再生方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる点に鑑み
てなされたもので、暗部からハイライトまでの広い露光
レンジを表現するための画像記録再生方法及び装置に関
するものである。本発明のダイナックレンジ拡大方法に
ついて、以下に図面を参照しながら詳述する。図3は本
発明において液晶記録媒体にかかる電圧の時間変化を示
したものであり、図1のように光センサと液晶記録媒体
とを対向配置して両電極間に電圧を印加し、露光部(明
部)と未露光部(暗部)における液晶記録媒体にかかる
電圧変化をプロットしたものである。光センサ、液晶記
録媒体とも、等価回路では抵抗と容量の並列回路で表さ
れるため、それぞれの時定数で指数関数的に増加する。
なお、VTHは液晶記録媒体が変調を開始する電圧であ
る。
【0008】本発明の記録システムでは、液晶記録媒体
への画像記録に際しては、通常、暗部の液晶記録媒体に
かかる電圧がVTH以上になった時に電圧をOFFする
が、電圧をOFFするまでの時間、例えば、図3におけ
る時間t1とt2では記録される特性が異なる。図4
(a)は電圧印加時間がt1とt2の時の本発明の記録
媒体でグレースケールを投影露光、記録した時の露光量
と読み取り信号(変調度)の関係を示したものであり、
特性Aは電圧印加時間がt1、特性Bは電圧印加時間が
t2である。変調度は液晶記録媒体に対して読み取り光
を照射し、そのときの透過光をCCDセンサで読み取っ
て信号をA/D変換し、最低透過率を零、最大透過率を
255に、0〜255の値に示したものである。特性A
から分かるように、時間t1で電圧をOFFした時には
暗部では液晶媒体にかかる電圧がVTHになった直後であ
るため、暗部の液晶記録媒体はほとんど変調しておら
ず、透過率はほぼ零である。一方、特性Bから分かるよ
うに、時間t2で電圧をOFFした時には暗部の電圧が
THになってから少し時間がたっているため、暗部の液
晶記録媒体がかなり変調している(透過率T0)。これ
ら2つの記録方法を比較すると、時間t1で電圧をOF
Fした場合には、時間t2で電圧をOFFした場合に比
べて大きな露光量でも飽和せずに記録できるが、低露光
量域では変調度の変化率が低く、ノイズも比較的大き
い。そのため、時間t1で電圧をOFFした場合、時間
t2で電圧をOFFした場合に比べて記録できる最低露
光量が大きくなる。このことから、時間t1で電圧をO
FFした場合、時間t2で電圧をOFFした場合のいず
れで記録しても記録できる露光レンジ(図4のΔE1
ΔE2 の大きさ)はあまり変わらない。しかし両者では
記録できる露光範囲が異なるため、入力光を2つに分
け、それぞれの方法で同時に記録した後、2つの画像を
合成することによりダイナックレンジをΔE3 に広げる
ことができる。このように液晶記録媒体の暗部の変調度
を変えて異なる露光レンジの画像を記録する方法として
次のような方法が可能である。
【0009】図5に示すように、液晶記録媒体と組み合
わせる光センサとして、暗部の導電性が異なる2種類の
光センサ1、光センサ2を用い、像露光する光を同じ光
量になるように2つに分け、2種類の光センサにそれぞ
れ照射すると同時に共通の電源を用いて等しい電圧を等
しい時間印加する。このとき液晶媒体にかかる電圧をシ
ミュレーションにした結果を図7に示す。暗電流の大き
な光センサと組み合わせて液晶記録媒体を媒体A、小さ
な方と組み合わせた液晶記録媒体を媒体Bとすると、媒
体Aの電圧(図7の特性M1)は媒体B(図7の特性M
2)に比べて高くなり、早くしきい値に到達する。媒体
Bの電圧がこの液晶記録媒体のしきい値になった時に印
加電圧をOFFすると媒体Aはかなり変調しているた
め、図4に示したように異なる露光レンジの画像を記録
することができる。
【0010】また、同一の光センサに対して図6のよう
に抵抗値の異なる2種類の液晶媒体1、液晶媒体2を用
いるか、しきい値の異なる液晶記録媒体を組み合わせ、
図5の場合と同様の方法で画像露光し、電圧印加するこ
とにより2種類の露光レンジの画像を記録することがで
きる。抵抗値の異なる液晶記録媒体を用いた場合、同じ
電圧を印加すると抵抗の大きな媒体を用いた方が早く液
晶記録媒体のしきい値になり、早く変調する。抵抗値が
大きい方は図7の特性M1、抵抗値が小さい方は図7の
特性M2のようになる。また、図9に示すように液晶記
録媒体の特性は同じでも電圧印加時間を変えることによ
り異なる露光レンジの画像を記録することができ、ま
た、図10に示すようにしきい値の異なる液晶記録媒体
(しきい値1、しきい値2)を用いた場合、抵抗等の他
の物性値が同じであればしきい値の低い方が早く変調す
ることになり、これらの方法を組み合わせることにより
異なる露光レンジの画像を記録することができる。
【0011】抵抗の異なる液晶記録媒体を作製する方法
としては、液晶記録媒体作製過程のうち、紫外線を照射
する量を変えたり、イオン物質等の添加物を加えること
により抵抗値を低下させる方法が考えられる。また、液
晶媒体のしきい値を変化させる方法としては液晶物質を
変化させる方法や、主成分のスメクチック液晶の他に少
量を用いているネマチック液晶の割合を変化させる方法
等がある。
【0012】また、用いる液晶記録媒体および光センサ
は同一のものを用い、図11のように電極をパターニン
グすることにより2つの部分電極1、電極2に分け、上
記に示した方法によりそれぞれ像露光すると同時に2つ
の電源1、電源2により異なる電圧または電圧印加時間
を印加し、2種類の露光レンジの像を作製することがで
きる。印加電圧を変化させるときの液晶媒体にかかる電
圧を計算した結果を図8に示す。印加電圧を高く設定し
た方が早く液晶記録媒体のしきい値になり、早く変調す
る。
【0013】以上の方法は、いずれも液晶記録媒体の暗
部の変調度を変えるとにより記録できる画像の露光範囲
が変化できることを利用てしている。液晶記録媒体の暗
部の変調度を変化させる方法は、前述した方法が全てで
はなく、これらを組み合わせた方法や光センサ層、液晶
記録層の膜厚を変化させる方法等が考えられる。
【0014】また、同じ光強度に対して発生する光電流
量の異なる2種類の光センサを用いることにより異なる
露光レンジの2つの画像を作製し、これら2種類の画像
を合成することにより露光レンジを拡大する方法でもよ
い。光電流の異なる光センサの作製方法としては、電荷
発生層に用いる顔料や電荷輸送層の電荷輸送剤を変化さ
せたり、電荷輸送剤とバインダー樹脂の混合比を変化さ
せる方法等が考えられる。また、これらの方法により光
センサの特性を変化させると、暗部の導電率も同時に変
化する可能性が高いため、前述した方法と組み合わせた
方法を用いても良い。
【0015】また、液晶記録媒体や光センサ、電圧印加
条件を変化させないで、露光強度の異なる2つの光に分
け、像露光することにより異なる露光レンジの画像を記
録することもできる。このことを図12により説明す
る。図12は画像記録装置(カメラ)入射時の露光レン
ジと光センサ上の露光レンジとの関係を対数表示したも
のである。ある電圧印加条件で、液晶記録媒体と光セン
サを用いたときに表現できる露光レンジが図に示すよう
に、ΔE1(縦軸)あるとする。対数表示すると入射す
る光量と光センサ上の光量は、例えばL1のような直線
関係になり、絞りやレンズ系を変化させてもこの直線の
傾きは変化しないため、表現できる露光レンジはやはり
ΔE1である。このように入射光をL1とL2のように
異なるレンジの2つの光に分け、光センサの別々の部分
に照射すると、それぞれ表現できる露光レンジはΔE1
であるが、入射光に対してはE0〜E1およびE2〜E
3のように異なる露光域の画像を記録することができ
る。こられ2つの画像を合成することによりΔE2に露
光レンジを拡大することができる。図から分かるように
ダイナミックレンジの拡大量は露光量の分配の比で決ま
り、L1とL2の比が10:1であるとき露光レンジは
10倍(光学濃度1)広がる。また、この拡大量につい
て媒体の露光レンジの不足分を補う量を光学系で設定す
れば良く、特に限定されるものではない。
【0016】次に画像情報の合成について図を用いて説
明する。上述した方法を用い、媒体の異なる部分に、図
13のようにS1,S2の特性曲線になるように画像記
録した時、データ処理により、図14に示すように特性
S1,S2をS1’、S2’のように変換し、これらを
合成することにより露光レンジの拡大した画像を得るこ
とができる。画像の合成は直線的な変換だけでなく、画
像特性に合わせた任意の形で変換することができる。
【0017】なお、上記説明では画像を2つの領域に分
けて記録条件を変える例に説明したが、3つ以上の領域
に分けて記録条件を変えるようにしてもよいことは言う
までもない。
【0018】
【作用】本発明は、記録領域を複数に分割し、各領域ご
とに記録条件を異ならせて同時に異なる調子の複数の画
像を記録し、読み取り後異なる調子の複数画像を合成す
ることにより、ダイナミックレンジを拡大して再生する
ことが可能となる。
【0019】
〔光センサの作製〕
(実施例1)電荷発生物質として下記構造
【0020】
【化1】
【0021】を有するフルオレノンアゾ顔料3部とポリ
エステル樹脂1部とをジオキシサン:シクロヘキサン=
1:1の混合溶媒196部と混合し、混合機により充分
混練を行い、塗布液を作製した。この溶液をITO透明
電極(膜厚約500Å、抵抗;80Ω/□)を有するガ
ラス基板の上のITO側に塗布し100℃1時間乾燥し
て膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。次に電荷輸
送層として下記構造
【0022】
【化2】
【0023】を有するパラジメチルスチルベン3部とポ
リスチレン樹脂1部とをジクロロメタン:1、1、2−
トリクロロエタン=68:102に混合溶媒170部と
混合溶解し、塗布液を作製した。この溶液を上記電荷発
生層上に塗布し、80℃、2時間乾燥して膜厚10μm
の電荷輸送層を形成した。この光センサをセンサAとす
る。
【0024】〔液晶記録媒体の作製〕 (実施例2)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト4部、スメクチック液晶S6(商品名;メルク社製)
6部、ふっ素系活性剤フロラードFC−430(商品
名;3M社製)0.2部、光重合開始剤『ダロキュア1
173』(商品名;メルク社製)0.2部の混合物をキ
シレンで固形分30%に調整した。この溶液をITO透
明電極(膜厚約500Å、抵抗;80Ω/□)を有する
ガラス基板上のITO側の面に50μmのギャップ厚さ
ブレードコーターで塗布し、これを50℃に保持し、
0.3mJ/cm2 のUV光を照射して膜厚約6μmの
情報記録層を有する情報記録媒体を作製した。この情報
記録媒体断面を熱メタノールを用いて、液晶を抽出し、
乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)
製、S−800、10000倍)で内部構造を観察した
ところ、層の表面は0.6μm厚の紫外線硬化型樹脂で
覆われ、層内部は粒径0.1μmの樹脂粒子が充填して
いる構造を有していることがわかった。この情報記録媒
体を媒体Aとする。
【0025】〔光センサの特性の測定〕 (実施例3)光センサの特性の測定方法を図15に示
す。図のように光センサ10の光導電層13上に金電極
14を形成し、該金電極と光センサの透明電極12との
間に一定電圧を印加し、一定時間後に一定時間、光源4
1より光を照射して透過光を光電変換素子61で検出し
てタイミング信号とし、このとき金電極と光センサの透
明電極12との間を流れる電流をオシロスコープ70で
モニタする。測定結果例を図16に示す。光照射開始直
前の電流をこの光センサの暗電流とし、光照射後、33
msec(1/30msec)後の電流値と暗電流の差
を光電流とする。実施例1の光センサについて暗電流を
測定したところ、300Vの印加時の暗電流値は1.0
×10-5A/cm2 であった。
【0026】(実施例4) 〔液晶記録媒体の抵抗値の測定〕実施例2で作製した液
晶記録媒体の液晶記録層上にスパッタリング法によりI
TO電極を形成し、図17(a)のように液晶記録媒体
20と適当な容量のコンデンサCを直列に接続し、透明
電極と液晶層間に電圧を印加し、電流値を測定する。図
17(b)に示すように、液晶記録媒体を抵抗と容量の
並列回路と仮定すると、電流値の対数を時間に対してプ
ロットすると直線が得られ、その傾きから液晶記録媒体
の抵抗値を求められる。こうして求めた体積抵抗率は
2.5×1011Ωcmであった。
【0027】(実施例5) 〔導電率の異なる光センサの作製〕実施例1と同様の方
法で電荷発生層を形成し、次に電荷輸送物質としてパラ
ジメチルスチルベン5部と、ポリスチレン樹脂1部と
を、ジクロロメタン:1、1、2−トリクロロエタン=
68:102の混合溶媒200部と混合、溶解し、塗布
液を作製した。この溶液を上記電荷発生層上に塗布し、
80℃、2時間乾燥して膜厚10μmの電荷輸送層を形
成した。この光センサについて実施例3に示した方法で
暗電流値を測定してところ、300Vの電圧印加時で
1.2×10-5A/cm2 であった。この光センサをセ
ンサBとする。
【0028】(実施例6) 〔情報の記録〕実施例1の光センサと実施例2の液晶記
録媒体を図1のように9μmの空気ギャップを介して対
向配置し、光センサ側からグレースケール33msec
投影露光すると同時に、両電極間に光センサ側が正にな
るように700V、90msec印加した後、液晶記録
媒体を観察したところ、露光量に応じて透過率が変化し
ているのが観察された。
【0029】(実施例7) 〔画像の読み取り〕実施例6の方法で情報記録後、光セ
ンサと液晶記録媒体を引き離し、液晶記録媒体に図2の
ような構成で紫外線を照射し、透過光をCCDセンサに
より電気信号に変換した。光源の光量を調節し、液晶記
録媒体が完全に配向した部分の信号が255になるよう
に、8ビットのデジタル信号に変換した。露光量と読み
取り値との関係を図18に示す。実施例5の光センサと
実施例2の液晶記録媒体についても、実施例6と同様に
グレースケールを露光し、700V、90msec電圧
印加し、画像記録を行った。与えられた画像を上記と同
様の方法で読み取りを行った。露光量と読み取り値の関
係をセンサAとセンサBを使用した場合について比較し
てみると、センサBを使用した場合、暗部の導電率が高
いため、センサAを使用した場合に比べて、早く液晶記
録媒体のしきい値になるため、両者を用いて同じ条件
(印加電圧、時間)で画像記録を行った場合、センサB
を使用した方が暗部の透過率が高くなる。また、画像記
録される露光量の範囲を比較すると、センサBを使用し
た方がより低露光領域が記録できるが、飽和になる露光
量が小さくなるため、表現できる露光レンジはセンサ
A、Bで変わらない。しかし、センサA、Bでは記録さ
れる露光域が異なるため、センサA、Bを用いて同時に
記録し、それぞれ記録した画像を合成することにより露
光レンジの広い画像を得ることができた。
【0030】(実施例8) 〔抵抗値の異なる液晶記録媒体を用いた場合〕実施例2
で調整した溶液を、同様にITO透明電極を有する基板
上に塗布し、0.2mJ/cm2 UV光を照射し、膜厚
60μmの情報記録層を有する情報記録媒体を作製し
た。この媒体の体積抵抗値を実施例4の方法で測定した
ところ、1.0×1011Ωcmであった。この媒体を媒
体Bとする。
【0031】光センサAと媒体Aおよび媒体Bを組み合
わせて実施例6と同様に画像記録を行い、実施例7と同
様に記録した画像を読み取った結果、媒体Aを使用した
場合では、媒体Bを使用した場合に比べ、早く液晶記録
媒体のしきい値になるため、図16と同様に媒体Aを用
いた方が暗部透過率が高くなり、それぞれの露光レンジ
は変わらないものの記録される露光域が異なるため、両
者を合成することにより露光レンジを拡大することがで
きた。
【0032】(実施例9) 〔記録条件による場合〕光センサおよび液晶記録媒体を
共に同じものを用いた場合でも、印加電圧や印加時間を
変えることにより、図16に示すように記録できる露光
域を変えることができる。センサAと媒体Aを用いて実
施例6と同様に投影露光し、印加電圧720V、90m
sec電圧印加し、画像記録を行った結果、720V印
加したときは700V印加に比べ、早く液晶記録媒体の
しきい値になり、図16と同様の結果が得られた。ま
た、電圧印加時間を変化させたときにも同様の結果が得
られた。
【0033】(実施例10) 〔感度の異なる光センサを用いた場合〕 〔センサCの作製方法〕充分洗浄した厚さ1.1mmの
ガラス基板上に膜厚100nmのITO膜をスパッタリ
ングにより成膜し、電極層を得た。その電極上に電荷発
生剤として下記構造
【0034】
【化3】
【0035】を有するピロロピロール系顔料40重量部
を、ポリビニルブチラール樹脂(BMS:積水化学工業
(株))1重量部、1,2−ジクロロエタン120重量
部を混合し、ペイントシェーカーで3時間分散して塗布
液とし、スピナーで3000rpm、0.4秒で塗布し
た後、100℃、1時間乾燥して、膜厚300nmの電
荷発生層を積層した。この電荷発生層上に電荷輸送剤と
して下記構造
【0036】
【化4】
【0037】のエミナン誘導体3重量部、ポリスチレン
樹脂(電気化学工業(株)製、HRM−3)2重量部、
1,1,2−トリクロロエタン22重量部、ジクロロメ
タン14重量部を混合した塗布液を、スピンナーで40
0rpm、0.4秒で塗布した後、80℃、2間乾燥し
て電荷輸送層を積層し、電荷発生層と電荷輸送層とから
なる膜厚20μmの光導電層を有する光センサを得た。
この光センサをセンサCとする。
【0038】〔センサDの作製方法〕充分洗浄した厚さ
1.1mmのガラス基板上に膜厚100nmのITO膜
をスパッタリングにより成膜し、電極層を得た。その電
極上に電荷発生剤として下記構造
【0039】
【化5】
【0040】を有するビスアゾ顔料3重量部、ポリビニ
ルブチラール1重量部、1,4−ジオキサン98重量
部、シクロヘキサノン98重量部を混合し、ペイントシ
ェーカーで6時間分散して塗布液とし、スピンナーで1
400rpm、0.4秒で塗布した後、100℃、1時
間乾燥して、膜厚300nmの電荷発生層を積層した。
【0041】この電荷発生層上に電荷輸送剤として下記
構造
【0042】
【化6】
【0043】の化合物を3重量部、ポリスチレン2重量
部、1,1,2−トリクロロエタン22重量部、ジクロ
ロメタン14重量部を混合した塗布液を、スピンナーで
400rpm、0.4秒で塗布した後、80℃、2時間
乾燥して電荷輸送層を積層し、電荷発生層と電荷輸送層
とからなる膜厚20μmの光導電層を有する光センサを
得た。この光センサをセンサDとする。
【0044】センサCおよびセンサDについて、実施例
3の方法で光電流値を測定した結果を図19に示す。図
は露光開始後、33msec後の光電流の値と露光強度
の関係を示している。これらの光センサの暗電流値はほ
とんど同じなので、これらの光センサを用いて画像記録
を行った場合記録できる露光レンジは変わらないが、露
光領域が異なるためそれぞれの光センサを用いて同時に
画像記録を行い、両者を合成することにより、露光レン
ジの広い画像を得ることができた。
【0045】(実施例11) 〔光学系による場合〕図20に示したように、光学系で
強度が10:1になるように光を分けて、光センサの異
なる部分に露光し、実施例6と同様の方法で画像記録を
行い、露光域の異なる2つの画像を得て、図21に示す
ような結果が得られた。これらの2つの画像を読み取
り、これらを合成し、露光レンジの広い画像が得られ
た。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、記録領域
を複数に分割し、各領域ごとに記録条件を異ならせて同
時に異なる調子の複数の画像を記録し、読み取り後異な
る調子の複数画像を合成することによりダイナミックレ
ンジを拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高分子分散液晶媒体を用いた画像記録を説明
する図である。
【図2】 読み取り装置を示す図である。
【図3】 液晶記録媒体にかかる電圧の時間変化を示す
図である。
【図4】 電圧印加時間を変えて記録した時の露光量と
変調度の関係を示した図である。
【図5】 導電性が異なる2種類の光センサを用いて同
時に像露光する例を示す図である。
【図6】 特性の異なる液晶記録媒体を用いて同時に像
露光する例を示す図である。
【図7】 導電性が異なる2種類の光センサを用いて同
時に像露光したときの液晶記録媒体にかかる電圧変化を
示す図である。
【図8】 印加電圧を変化させたときの液晶媒体にかか
る電圧の計算結果を示す図である。
【図9】 液晶記録媒体にかかる電圧印加時間を変える
場合の説明図である。
【図10】 液晶記録媒体のしきい値を変える場合の説
明図である。
【図11】 電極をパターニングして分けた2つの部分
電極に異なる電圧または電圧印加時間を印加した場合の
説明図である。
【図12】 画像記録装置入射時の露光レンジと光セン
サ上の露光レンジとの関係を対数表示した図である。
【図13】 記録された異なる特性の画像記録データを
示す図である。
【図14】 画像の合成を説明する図である。
【図15】 光センサの特性測定方法を説明する図であ
る。
【図16】 光センサの特性測定の測定結果を示す図で
ある。
【図17】 液晶記録媒体の体積抵抗率の算出を説明す
る図である。
【図18】 露光量と読み取り値との関係を示す図であ
る。
【図19】 異なる特性のセンサを用いたときの光電流
測定結果を示す図である。
【図20】 露光強度を分けて像露光する場合の例を示
す図である。
【図21】 露光強度を変えたときの測定結果を示す図
である。
【符号の説明】
10…光センサ、20…液晶記録媒体、30…電源、4
0…光源、60…光電変換器。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極上に光導電層を形成した光センサ
    と、樹脂中に液晶を分散固定した高分子分散液晶層を電
    極上に形成した情報記録媒体とを空隙を介して対向配置
    し、露光光学系を介して像露光すると同時に電圧を印加
    することにより画像記録を行う方法において、記録領域
    を複数に分割し、各領域ごとに記録条件を異ならせて同
    時に異なる調子の複数の画像を記録し、読み取り後異な
    る調子の複数画像を合成することを特徴とするダイナミ
    ックレンジ拡大機能を有する情報記録再生方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、各領域ご
    とに電圧−電流特性の異なる光センサを用いて記録条件
    を異ならせることを特徴とするダイナミックレンジ拡大
    機能を有する情報記録再生方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法において、各領域ご
    とに特性の異なる液晶記録媒体を用いて記録条件を異な
    らせることを特徴とするダイナミックレンジ拡大機能を
    有する情報記録再生方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法において、各領域ご
    とに異なる電圧印加時間、印加電圧を用いて記録条件を
    異ならせることを特徴とするダイナミックレンジ拡大機
    能を有する情報記録再生方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法において、各領域ご
    とに光電流特性の異なる光センサを用いて記録条件を異
    ならせることを特徴とするダイナミックレンジ拡大機能
    を有する情報記録再生方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の方法において、各領域ご
    とに異なる光量で像露光して記録条件を異ならせること
    を特徴とするダイナミックレンジ拡大機能を有する情報
    記録再生方法。
  7. 【請求項7】 電極上に光導電層を形成した電圧−電流
    特性の異なる複数種類の光センサと、樹脂中に液晶を分
    散固定した高分子分散液晶層を電極上に形成した情報記
    録媒体とを空隙を介して対向配置し、像露光すると同時
    に電圧を印加することにより画像記録を行う装置であっ
    て、前記複数種類の光センサに同時に像露光して記録し
    た異なる調子の画像を読み取る手段と、読み取り後複数
    画像を合成する合成処理手段とを備えたダイナミックレ
    ンジ拡大機能を有する情報記録再生装置。
  8. 【請求項8】 電極上に光導電層を形成した光センサ
    と、樹脂中に液晶を分散固定した特性の異なる複数種類
    の高分子分散液晶層を電極上に形成した情報記録媒体と
    を空隙を介して対向配置し、像露光すると同時に電圧を
    印加することにより画像記録を行う装置であって、像露
    光を光センサを通して前記複数種類の液晶層に同時に行
    って記録した異なる調子の画像を読み取る手段と、読み
    取り後複数画像を合成する合成処理手段とを備えたダイ
    ナミックレンジ拡大機能を有する情報記録再生装置。
  9. 【請求項9】 電極上に光導電層を形成した光センサ
    と、樹脂中に液晶を分散固定した高分子分散液晶層を電
    極上に形成した情報記録媒体とを空隙を介して対向配置
    し、像露光すると同時に電圧を印加することにより画像
    記録を行う装置において、像露光を複数に分けて光セン
    サの異なる部分に露光するための光学系と、各部分へ異
    なる電圧印加時間、印加電圧を与える電圧印加手段と、
    電圧印加手段による異なる条件で記録された異なる調子
    の画像を読み取る手段と、読み取り後複数画像を合成す
    る合成処理手段とを備えたダイナミックレンジ拡大機能
    を有する情報記録再生装置。
  10. 【請求項10】 電極上に光導電層を形成した光電流の
    特性の異なる複数種類の光センサと、樹脂中に液晶を分
    散固定した高分子分散液晶層を電極上に形成した情報記
    録媒体とを空隙を介して対向配置し、像露光すると同時
    に電圧を印加することにより画像記録を行う装置であっ
    て、前記複数種類の光センサに同時に像露光して記録し
    た異なる調子の画像を読み取る手段と、読み取り後複数
    画像を合成する合成処理手段とを備えたダイナミックレ
    ンジ拡大機能を有する情報記録再生装置。
  11. 【請求項11】 電極上に光導電層を形成した光センサ
    と、樹脂中に液晶を分散固定した高分子分散液晶層を電
    極上に形成した情報記録媒体とを空隙を介して対向配置
    し、像露光すると同時に電圧を印加することにより画像
    記録を行う装置において、像露光を複数に分けて光セン
    サの異なる部分に異なる光量の像を露光するための光学
    系と、前記光学系による異なる光量で記録された異なる
    調子の画像を読み取る手段と、読み取り後複数画像を合
    成する合成処理手段とを備えたダイナミックレンジ拡大
    機能を有する情報記録再生装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8610789B1 (en) 2000-02-23 2013-12-17 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Method and apparatus for obtaining high dynamic range images
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