JPH114011A - 光センサー - Google Patents

光センサー

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JPH114011A
JPH114011A JP9155284A JP15528497A JPH114011A JP H114011 A JPH114011 A JP H114011A JP 9155284 A JP9155284 A JP 9155284A JP 15528497 A JP15528497 A JP 15528497A JP H114011 A JPH114011 A JP H114011A
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純一 半那
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 情報記録媒体へ光情報を高品質、高感度に記
録することができる光センサーを得る。 【解決手段】 本発明の光センサーは、電極層上に光誘
起電流増幅層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して
なる光センサーであって、電極層上に電界または電荷に
より情報記録可能な情報記録媒体とが光軸上に対向して
配置され、両電極層間に情報露光した状態で電圧を印加
するか、あるいは電圧を印加した状態で情報露光するこ
とにより情報記録媒体への情報記録を可能とする光セン
サーにおいて、該光センサーにおける光誘起電流増幅層
が、露光により電荷受容性が減少する電荷受容性物質、
および電荷輸送物質を含有するか、又は、更に電荷発生
層における電荷発生物質よりイオン化ポテンシャルの高
い電荷発生物質を含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録媒体へ光
情報を可視情報または静電情報の形で記録することがで
きる光センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】前面に電極が設けられた光導電層からな
る光センサーと、該光センサーに対向し、後面に電極が
設けられた電荷保持層からなる情報記録媒体とを光軸上
に配置し、両電極層間に電圧を印加しつつ露光し、入射
光学像に応じて、電荷保持層に静電電荷を記録させ、そ
の静電電荷をトナー現像するかまたは電位読み取りによ
り再生する方法は、例えば特開平1−290366号公
報、特開平1−289975号公報に記載されている。
【0003】また、前記方法における電荷保持層を熱可
塑性樹脂層とし、静電電荷を熱可塑樹脂層表面に記録し
た後加熱し、熱可塑性樹脂層表面にフロスト像を形成す
ることにより記録された静電電荷を可視化する方法は、
例えば特開平3−192288号公報に記載されてい
る。
【0004】更に、本出願人等は、前記情報記録媒体に
おける情報記録層を高分子分散型液晶層として、前記同
様に電圧印加時露光し、光センサーにより形成される電
界により液晶層を配向させて情報記録を行い、情報記録
の再生にあたっては透過光あるいは反射光により可視情
報として再生する情報記録再生方法を、先に特願平4−
3394号、特願平4−24722号、特願平5−26
6646号として出願した。この情報記録再生方法は偏
光板を使用しなくとも記録された情報を可視化できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、情報記録媒
体への情報形成に使用される光センサーであって、高解
像度と高感度であり、情報記録性能に優れる光センサー
の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の光センサ
ーは、電極層上に光誘起電流または光誘起電荷増幅層
(以下、光誘起電流増幅層という)、電荷発生層、電荷
輸送層を順次積層してなる光センサーであって、電極層
上に電界または電荷により情報記録可能な情報記録媒体
とが光軸上に対向して配置され、両電極層間に情報露光
した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した
状態で情報露光することにより情報記録媒体への情報記
録を可能とする光センサーにおいて、該光センサーにお
ける光誘起電流増幅層が、露光により電荷受容性が減少
する電荷受容性物質、および電荷輸送物質を含有するこ
とを特徴とする。
【0007】本発明の第2の光センサーは、電極層上に
光誘起電流増幅層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層
してなる光センサーであって、電極層上に電界または電
荷により情報記録可能な情報記録媒体とが光軸上に対向
して配置され、両電極層間に情報露光した状態で電圧を
印加するか、あるいは電圧を印加した状態で情報露光す
ることにより情報記録媒体への情報記録を可能とする光
センサーにおいて、該光センサーにおける光誘起電流増
幅層が、電荷発生層における電荷発生物質よりイオン化
ポテンシャルの高い電荷発生物質、露光により電荷受容
性が減少する電荷受容性物質、および電荷輸送物質を含
有することを特徴とする。
【0008】上記の露光により電荷受容性が減少する電
荷受容性物質がイオン性色素塩であり、電荷輸送物質が
ポリビニルカルバゾールであることを特徴とする。
【0009】上記の光センサーが情報記録媒体に情報露
光に起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をす
ることができ、また、情報露光を終了した後も電圧を印
加し続けると緩和減衰型導電性を示し、引き続き情報記
録媒体に情報記録を継続する作用を有するものであるこ
とを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の光センサーを説明するための断面図
である。図中13は電極、16は光誘起電流増幅層、1
4′は電荷発生層、14″は電荷輸送層、15は基板で
ある。
【0011】図に示すように、本発明の光センサーは、
電極13上に光誘起電流増幅層16、電荷発生層1
4′、電荷輸送層14″を順次積層して形成されるもの
であり、無機材料系光センサーと有機材料系光センサー
とがある。無機材料系光センサーは、その電荷発生層
が、Se−Te、硫黄や酸素等をドープした珪素等を電
極上に蒸着、スパッタリング、CVD等により0.05
μm〜1μmの膜厚に積層されて形成されるもので、電
荷輸送層は、Se、As2 Se3 、メタン等をドープし
た珪素等を同様にして1μm〜50μm、好ましくは3
〜20μmの膜厚に積層して形成される。
【0012】有機材料系光センサーにおける電荷発生層
は、電荷発生物質とバインダーから構成される。電荷発
生物質としては、下記に示すピリリウム系染料、チアピ
リリウム系染料、アズレニウム系染料、シアニン系染
料、アズレニウム系染料等のカオチン系染料、スクアリ
リウム塩系染料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔
料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、インジ
ゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ピロール系顔料、アゾ
系顔料等の染料、顔料を単独もしくは複数のものを組み
合せて使用することができる。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】また、使用可能なアゾ系顔料には多くのも
のを挙げることができるが、とくに好ましいアゾ系顔料
の化学構造を、中心骨格Aとカプラー部分Cpによって
【0017】
【化4】
【0018】として表わせば、Aの具体例としては以下
のものを挙げることができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】また、Cpの具体例としては、
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】等が挙げられる。これらの中心骨格Aおよ
びカプラーCpは適宜組み合わせることにより、電荷発
生物質として好適なアゾ染料を得ることができる。
【0028】バインダーとしては、例えばシリコーン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビ
ニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂、スチレン
樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹
脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げら
れ、それぞれ単独または複数のものを組み合せて使用す
ることができる。これらの電荷発生物質とバインダーの
混合比は、電荷発生物質1重量部に対してバインダーを
0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜
1重量部の割合で使用することが望ましい。電荷発生層
は乾燥後膜厚として0.01〜2μmであり、好ましく
は0.1〜0.5μmとするとよく、このような膜厚と
することによって良好な感度と画質を示す。なお、先に
示した電荷発生物質のうち蒸着法で成膜可能なものは、
単独で成膜してもよい。
【0029】電荷輸送層は電荷輸送物質とバインダーと
からなる。電荷輸送物質は、電荷発生層で発生した電荷
の輸送特性に優れる物質であり、例えば、オキサジアゾ
ール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール
系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン
系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、
ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン
系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、
多環芳香族化合物系、スチルベン二重体等が挙げられ
る。バインダーとしては、前記した電荷発生層における
バインダーと同様のもの、他にポリアリレート樹脂、フ
ェノキシ樹脂が使用できるが、好ましくはスチレン樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂である。バインダーは、電荷輸送物質1重量部
に対して0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.1
重量部〜1重量部の割合で使用することが望ましい。電
荷輸送層は乾燥後膜厚として1〜50μmであり、好ま
しくは3〜20μmとするとよく、このような膜厚とす
ることによって良好な感度と画質が得られる。なお、先
に示した電荷輸送物質で蒸着法で成膜可能なものは、単
独で成膜してもよい。
【0030】電極は、後述する情報記録媒体が不透明で
あれば透明性を有することが必要であるが、情報記録媒
体が透明性を有する場合には透明、不透明いずれでもよ
く、106 Ω・cm以下の比抵抗を安定して与える材
料、例えば金、白金、亜鉛、チタン、銅、鉄、錫等の金
属薄膜導電膜、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化タングステン、酸化バナジウム等の金属
酸化物導電膜、四級アンモニウム塩等の有機導電膜等
を、単独あるいは二種以上の複合材料として用いること
ができる。なかでも酸化物導電体が好ましく、特にイン
ジウム錫複合酸化物(ITO)が好ましい。電極は、蒸
着、スパッタリング、CVD、コーティング、メッキ、
ディッピング、電界重合等の方法により形成される。ま
たその膜厚は電極を構成する材料の電気特性、および情
報記録の際の印加電圧により変化させる必要があるが、
例えばITO膜では10〜300nm程度であり、情報
記録層との間の全面、或いは任意のパターンに合わせて
形成される。また、二種類以上の材料を積層して用いる
こともできる。
【0031】基板は、後述する情報記録媒体が不透明で
あれば透明性を有することが必要であるが、情報記録媒
体は透明性を有する場合には透明、不透明いずれでもよ
く、カード、フィルム、テープ、ディスク等の形状を有
し、光センサーを強度的に支持するものである。光セン
サー自体が支持性を有する場合には設ける必要がない
が、光センサーを支持することができるある程度の強度
を有していれば、多くの材料を使用することができる。
例えば、可撓性のあるプラスチックフィルム、或いはガ
ラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチル
アクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等のプ
ラスチックシート、カード等を使用することができる。
【0032】なお、基板における電極が設けられる面の
他方の面には、電極が透明であれば必要に応じて反射防
止効果を有する層を積層するか、また反射防止効果を発
現しうる膜厚に透明基板を調整するか、更に両者を組み
合わせることにより反射防止性を付与するとよい。
【0033】光導電層には、電荷受容性物質、例えば電
子受容性物質、また、電子供与性物質、増感色素、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加してもよい。
これらの物質は、電荷発生層、電荷輸送層中にそれぞれ
同様の割合で添加することができるが、好ましくは電荷
発生層中に添加するとよい。
【0034】電荷受容性物質や増感色素にはベース電流
の調整、ベース電流の安定化、増感等の作用があり、例
えばニトロ置換ベンゼン類、アミノ置換ベンゼン類、ハ
ロゲン置換ベンゼン類、置換ナフタレン類、ベンゾキノ
ン類、ニトロ置換フルオレノン類、クロラニル類あるい
は電荷輸送物質に列挙した化合物等が、増感色素として
はトリフェニルメタン色素、ピリリウム塩色素、キサン
テン色素、ロイコ色素等が挙げられる。
【0035】酸化防止剤としては、フェノール系酸化防
止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を、紫外線
吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフ
ェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤を、光安定剤
としては、紫外線安定剤、ヒンダートアミン系光安定剤
等を挙げることができる。
【0036】電荷受容性物質、増感色素は、それぞれ光
導電性物質1重量部に対して0.001重量部〜10重
量部、好ましくは0.01重量部〜1重量部の割合で添
加される。0.001重量部よりも少ないと作用を示さ
ず、10重量部よりも多い場合には、画質に悪影響を与
える。
【0037】酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤は、
単独あるいは複数を組み合わせて、光導電性物質1重量
部に対して0.001重量部〜10重量部、好ましくは
0.01重量部〜1重量部の割合で添加される。0.0
01重量部よりも少ないとこれらの物質の添加の効果が
得られず、10重量部よりも多い場合には、画質に悪影
響を与える。
【0038】次に、本発明の光センサーにおける光誘起
電流増幅層について説明する。光誘起電流増幅層16
は、電極13と電荷発生層14′間に設けられるもの
で、電荷輸送物質および少なくとも露光により電荷受容
性が減少する電荷受容性物質とからなる。電荷輸送物質
としては、高分子光導電性物質、あるいは低分子光導電
性物質のバインダーの中への分散物、あるいは高分子導
電性物質、あるいは低分子導電性物質のバインダーの中
への分散物を使用することができる。高分子光導電性物
質としてはポリビニルカルバゾールが好ましく、また、
そのビニル基の代わりに、アリル基、アクリロキシアル
キル基等のエチレン性不飽和基が含まれたN−置換カル
バゾールの重合体であるポリ−N−エチレン性不飽和基
置換カルバゾール類が好ましい。また、ポリ−N−アク
リルフェノチアジン等のポリ−N−エチレン性不飽和基
置換フェノチアジン類、ポリビニルピレン等を用いても
よい。
【0039】高分子光導電性物質は単独で使用し、バイ
ンダーを兼用してもよいが、バインダーとして、例えば
シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマ
ール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹
脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポ
リエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、
可溶性ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポ
チウレア、カゼイン、ポリペプチド、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸エステル
重合体、第四級アンモニウム塩含有重合体、セルロース
化合物等を単独または混合して使用してもよい。特に、
ビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニル
ブチラール樹脂が好ましい。
【0040】また、低分子量光導電性物質としては、ア
ルキルアミノフェニル基等で置換されたオキシゾアゾー
ル類、ヒドラゾン類、ピラゾリン類、トリフェニルメタ
ン誘導体などが挙げられる。これらの低分子量光導電性
物質は、その1重量部に対して上述したバインダーを1
重量部〜10重量部の割合で混合し、皮膜形成性の電荷
輸送物質とされる。
【0041】さらに、電荷輸送物質として、ZnO、T
iO2 、CdS等の無機光導電材料も用いることができ
る。これらの無機光導電性材料は、その1重量部に対し
て0.1重量部〜1重量部のバインダー中への分散によ
って成膜される。
【0042】電荷輸送物質は、後述する「光照射により
電荷受容性が減少する電荷受容性物質」の光照射による
構造変化によって、光誘起電流増幅層に導電性を発現さ
せるものである。したがって、物性の点に着目した場
合、上記作用を有する限りにおいて、電荷輸送物質とし
ては比抵抗が10-3〜1018Ω・cmの範囲の有機化合
物および(または)無機化合物が好ましく用いられる。
例えば、比抵抗1017Ω・cm以上の物質としては、ポ
リビニルカルバゾールや低分子光導電性物質などがあ
り、また、1017〜1011Ω・cmのフタロシアニン化
合物、1011〜104 Ω・cmのペリレン化合物、10
〜10-3Ω・cmのTTF−TCNQ錯体等が挙げられ
る。
【0043】また、高分子導電性物質、あるいは低分子
導電性物質としては、10-5〜1014Ω・cmの範囲の
π共役系高分子、電荷移動高分子錯体、電荷移動錯体、
金属錯体高分子が挙げられる。π共役系高分子として
は、ポリアセチレン、ポリジアセチレリン、ポリ(P−
フェニレン)、ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポ
リ(P−フェニレンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタ
ジイン)、ポリ(P−フェニレンビニレン)、ポリ
(2,5−チェニレン)、ポリ(2,5−ピロール)、
ポリ(m−フェニレンスルフィド)、ポリ(4,4’−
ビフェニレン)等が挙げられる。
【0044】電荷移動高分子錯体としては、(ポリスチ
レン)・AgC1O4 、(ポリビニルナフタレン)・T
CNE、(ポリビニルナフタレン)・P−CA、(ポリ
ビニルナフタレン)・DDQ、(ポリビニルメシチレ
ン)・TCNE、(ポリアセナフチレン)・TCNE、
(ポリビニルアンスラセン)・Br2 、(ポリビニルア
ンスラセン)・I2 、(ポリビニルアンスラセン)・T
NB、(ポリジメチルアミノスチレン)・CA、(ポリ
ビニルイミダゾール)・CQ、(2−ビニルピリジン)
・CQ、(ポリ−P−フェニレン)・I2 、(ポリ−1
−ビニルピリジン)・I2 、(ポリ−4−ビニルピリジ
ン)・I2 、(ポリ−P−1−フェニレン)・I2
(ポリビニルピリジウム)TCNQ等が挙げられる。ま
た、低分子電荷移動錯体としては、TCNQ−TTF等
が、金属錯体高分子としてはポリ銅フタロシアニン等が
挙げられる。
【0045】次に、「光照射により電荷受容性が減少す
る電荷受容性物質」について説明す。電極上に電荷輸送
物質と電荷受容性物質を含有する層を設けた試料を用意
し、この試料表面をコロナ帯電(初期受容電位Vo)し
た後、露光し、露光後に再度コロナ帯電(再帯電電位V
m)すると、電荷受容性物質によっては初期受容電位V
oよりΔV低い、Vmの受容電位が得られる。すなわ
ち、光照射により電荷受容性(帯電能)が減少し、メモ
リー性を発現する電荷受容性物質を「光照射により電荷
受容性が減少する電荷受容性物質」という。このような
光メモリー効果を評価する尺度としては、ΔVをVmで
規格化した値(Fm) がある。Fm値は、試料の単位受容電位当たり誘起され
るコントラスト電位の大きさに対応し、一定露光条件下
では1種の感度として扱うことができる。例えば、カル
バゾール色素塩は、光照射により電荷受容性が減少する
物質であるが、このFm値は0.56であり、また、例
えばトリニトロフルオレノンは光照射により電荷受容性
が減少しない物質であるが、このFm値は0である。本
発明の光誘起電流増幅層に添加される電荷受容性物質
は、Fm値が0.1以上、好ましくは0.2以上のもの
であるのが好ましい。
【0046】光照射により電荷受容性が減少する電荷受
容性物質としては、(1)光によってラジカル状態への
構造変化を生じる物質、(2)光によって可逆的もしく
は不可逆的に非イオン性−イオン性間の構造変化を起こ
す物質が挙げられる。
【0047】光によってラジカル状態への構造変化を生
じる物質としては、例えば、イオン性染料塩が挙げられ
る。 (1)イオン性染料塩としては、ジアリールメタン系、
トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、キサ
ンテン系、オキサジン系、チアジン系、アジン系、アク
リジン系、アゾ系、または金属錯塩系の塩類が挙げら
れ、具体的には、カルバゾール色素、チアビリリウム色
素、オーラミン、オーラミンO、クリスタルバイオレッ
ト、ロイコクリスタルバイオレット、マラカイトグリー
ン、ロイコマラカイトグリーン、ビクトリアブルー、メ
チルバイオレット、ダイアモンドグリーン、ブリリアン
トグリーン、3,3−ジ(N−エチルカルバゾイル)フ
ェニルメタン、チオフラビン、アントラ・フロキシン、
ローダミンB、ローダミン6GCP、ローデュリンブル
ー、メチレンブルー、サフトラニンT、アクリジンオレ
ンジ、アクリジンレッド、ビスマークブラウン等の塩
類、また、金属錯塩系としてはIrgalan Brown Violet D
L 、Perlonecht violet RTS 等の塩類が挙げられる。こ
れらのイオン性染料塩における対イオンとしては、BF
4 - 、ClO4 - 、Cl- 、ClO3 - 、OSO3 +
等が挙げられる。
【0048】また、光によってラジカル状態への構造変
化を生じる物質として、p−ニトロフェニル酢酸、2,
6−ジヒドロキシ安息香酸、4−n−ブトキシ安息香
酸、p−ヒドロキシブトキシ安息香酸、無水シスシクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、亜リン酸トリフェニ
ル、2,5−ジフェニルオキサゾール、ポリプロピレン
グリコール、ペラルゴン酸、アリザリン等が挙げられ
る。
【0049】これらの物質は、光エネルギーが付与され
ると、ホール−電子に分離した一方の光キャリアを捕捉
してラジカル状態への構造変化を生じ、残された他の光
キャリアにより、電極と電荷発生層との界面のエネルギ
ー障壁の低下作用、すなわち、光誘起電流を増幅させる
機能を発現させるものと考えられる。
【0050】(2)光によって可逆的もしくは不可逆的
に非イオン性−イオン性間の構造変化を起こし、その構
造変化により電荷受容性が減少する物質としては、例え
ば下記一般式で示されるスピロピラン化合物もしくはそ
れらの誘導体が挙げられる。
【0051】
【化12】
【0052】
【化13】
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】上記構造式において、式中の数字は置換基
の位置を表わし、その水素置換基として、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ
基、ヒドロキシ基、カルボキシル基あるいはハロゲン等
を有する化合物が挙げられる。上記のスピロピラン化合
物には、開環状状態(イオン性状態)で安定なものもあ
れば、閉環状態(非イオン性)で安定なものもある。
【0057】また、光照射によりイオン性から非イオン
性に不可逆的な構造変化を生じ、電荷受容性が減少する
電荷受容性物質としては、下記(1)の如きジアゾ化合
物、および、下記(2)の如きロイコ色素とハロゲン化
合物とを混合物が挙げられる。
【0058】(1)ジアゾ化合物としては、p−フェニ
レンジアミン類、アミノハイドロキノンエーテル類、ア
ミノジフェニル類、複素環アミン類、o−フェニレンジ
アミン類、o−アミノフェノール類が挙げられる。
【0059】p−フェニレンジアミン類としては、p−
ジアゾメチルアニリン、p−ジアゾ−N,N−ジメチル
アニリン、p−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、p
−ジアゾ−N−β−ヒドロキシジエチルアニリン、4−
ジアゾ−2−ヨード−N−メチル−N−フェニルエチル
アニリン、4−ジアゾ−5−クロロ−2−メトキシ−N
−エチル−N−ベンジルアニリン、4−ジアゾ−N−エ
チル−N−β−フェニルエチルアニリン等が挙げられ
る。
【0060】アミノハイドロキノンエーテル類として
は、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N’−ジエ
チルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,
N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキ
シ−N−ベンジルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジエ
トキシ−N,N−ジ−n−プロピルアニリン、4−ジア
ゾ−2,5−ジエトキシ−N−ベンジルアニリン、4−
ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N−エチル−N−ベンゾ
イルアニリン等が挙げられる。
【0061】アミノジフェニル類としては、p−ジアゾ
ジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェ
ニルアミン、4−ジアゾ−3’,6’,4’−トリブロ
モジフェニルアミン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ
フェニルエチルサルファイド等が挙げられる。
【0062】複素環アミン類としては、4−ジアゾ−N
−フェニルモルホリン、4−ジアゾ−N−フェニル−チ
オモルホリン、4−ジアゾ−N−フェニルピペリジン、
4−ジアゾ−N−フェニルピロリジン等が挙げられる。
【0063】o−フェニレンジアミン類としては、2−
ジアゾ−5−ベンゾイルアミノ−N,N−ジメチルアニ
リン、3−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノジフェ
ニル、2−ジアゾ−4−ブロモ−N,N−ジメチルアニ
リン、2−ジアゾ−4−メチルメルカプト−N,N−ジ
メチルアニリン等が挙げられる。
【0064】o−アミノフェノール類としては、1−ジ
メチルアミノメチルジフェニルオキサイド、3−ピペリ
ジルメチル−5−メチル−1,2−ベンゾキノンジアジ
ド等が挙げられる。
【0065】(2)ロイコ色素として、トリ(N−ジエ
チルアミノフェニル)メタン、トリ(N−ジエチルアミ
ノフェニル)メタン、p,p’,p”−トリアミノトリ
フェニルメタン、p,p’−テトラメチル−ジアミノジ
フェニルメタン、p,p’,p”−トリアミノ−o−メ
チルトリフェニルメタン、p,p’,p”−トリアミノ
トリフェニルカルビノールが挙げられ、また、ハロゲン
化合物としてはN−ブロモサクシミド、四臭化炭素、2
−クロールアントラキノン、テトラブロモ−o−クレゾ
ール、N−クロルサクシミド、1,2,3,4−テトラ
ブロモブタン、1,2,3,5−テトラクロルベンゼ
ン、四塩化炭素、2,4−ジクロルフェノール、テトラ
クロルテトラヒドロナフタレン、ヘキサクロルベンゼ
ン、p−ブロムアセトアリニド、ヘキサクロルエタン、
p−ジクロルベンゼンとが挙げられ、これらのロイコ色
素とハロゲン化合物との混合物が挙げられる。
【0066】これらの物質にあっては、一方の光キャリ
アを捕捉して非イオン性−イオン性間の不可逆的または
可逆的な構造変化を起こし、残された他の光キャリアに
より、電極と電荷発生層との界面のエネルギー障壁の低
下作用、すなわち、光誘起電流を増幅させる機能を発現
させるに至るものと考えられる。
【0067】本発明の光誘起電流増幅層においては、電
荷輸送物質1モル(重合体の場合にはそのモノマーユニ
ット1モル)に対し、光照射により電荷受容性が減少す
る電荷受容性物質を0.001〜1モル、好ましくは
0.01〜1モルの割合とするとよい。
【0068】また、光誘起電流増幅層には、増幅効果を
より高めることを目的として、電荷発生物質や無機塩
類、有機塩類等が添加されてもよい。
【0069】電荷発生物質としては、例えば、ピリリウ
ム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染
料、シアニン系染料、アズレニウム系染料等のカオチン
系染料、スクアリリウム塩系染料、フタロシアニン系顔
料、ペリレン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノ
ン系顔料、インジゴ系顔料、キナトリドン系顔料、ピロ
ール系顔料、アゾ系顔料等の染料、顔料を単独もしくは
複数のものを組み合せて使用するとよい。
【0070】光誘起電流増幅層に添加される電荷発生物
質は、そのイオン化ポテンシャルが、電荷発生層中に含
有される電荷発生物質のイオン化ポテンシャルより高い
ものとするとよく、これにより、電極と電荷発生層との
エネルギー障壁を低下させることができ、光誘起電流増
幅作用をより高めることができる。
【0071】また、無機塩類、有機塩類としてはリチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシュウ
ム、アルミニウム等の金属イオン、第四級アンモニウム
イオン、有機イオン等をカチオン種とする過塩素酸塩、
ホウフッ化塩及びチオシアン酸塩、硝酸塩、カルボン酸
塩、スルホン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。
【0072】これらの電荷発生物質、無機塩類、有機塩
類は、バインダー樹脂1重量部に対して、0.001〜
10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で、
単独、または混合して添加することができる。
【0073】光誘起電流増幅層は、上記の構成物質を、
溶剤としてシクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、テ
トラヒドロフラン、メチルエチルケトン、クロロホル
ム、アルコール等に溶解または分散させた後、ディップ
コーティング、ロールコーティング、スピンコーティン
グ等の方法により、乾燥後膜厚、0.005μm〜5μ
m、好ましくは0.05μm〜0.5μmで塗布すると
よい。
【0074】以下、本発明における光誘起電流増幅作用
について説明する。電荷発生層、電荷輸送層からなる光
導電層は、一般には光が照射されると照射部分で光誘起
電荷キャリア(電子、正孔)が発生し、それらのキャリ
アが層幅を移動することができる機能を有するものであ
る。
【0075】本発明の光センサーは、光誘起電流増幅層
を電極と電荷発生層との間に設けることにより、光セン
サーへの光照射時において情報記録媒体に付与される電
界または電荷量が光照射につれて増幅され、また光照射
を終了した後でも電圧を印加し続けると、その増加した
導電性を緩和的に持続し、引き続き電界または電荷量を
情報記録媒体に付与し続ける作用を有するものである。
【0076】この点を説明するために、図2に示すよう
に、透明ガラス上にITO電極を設け、該電極上に光導
電層を積層し、更に、その光導電層上に0.16cm2
の金電極を積層して、増幅作用測定用光センサーとす
る。両電極間にITO電極を正極として直流の一定電圧
を印加すると共に、電圧印加開始後0.5秒後に基板側
から0.033秒間光照射し、測定時間中の光センサー
における電流値の挙動を、光照射開始時(t=0)から
測定する。照射光は、キセノンランプ(浜松ホトニクス
社製L2274)を光源に、グリーンフィルター(日本
真空光学社製)により得られる緑色光を、20ルックス
の強度で照射する。照射光強度は照度計(ミノルタ社
製)で測定する。使用するフィルターの特性を図3に示
す。この光強度で光照射した時、透明基板、ITO膜の
光透過率、フィルターの分光特性を考慮すると、光導電
層には4.2×1011個/cm2 秒のフォトンが入射す
る。入射したフォトンが全て光キャリアに変換される
と、理論的には光電流としては単位面積当たり1.35
×10-6A/cm2 の電流が発生する。
【0077】ここで、前記測定装置により測定する場合
に、 量子効率=光センサーで実際に発生する光誘起電流/理
論的光電流 すなわち、理論的光電流に対して、光センサーで実際に
発生した光誘起電流の割合をその光センサーにおける量
子効率と定義する。
【0078】また、光誘起電流とは、光照射部の電流値
から光を照射しない部分で流れる電流であるベース電流
値を差し引いたものであり、光照射中あるいは光照射後
もベース電流以上の光照射に起因する電流が流れるもの
をいい、このような光誘起電流を増幅する作用を光誘起
電流増幅作用と定義する。
【0079】光誘起電流増幅作用を有する光センサー
と、光誘起電流増幅作用のない光センサー(以下、比較
センサーという)との電気特性の比較を、前記測定装置
での測定結果を使用して説明する。比較センサーについ
ての測定結果を図4に示す。図において、横軸は電圧印
加時間(秒)、縦軸は電流密度(10-6A/cm2 )で
ある。(m)線は、前記理論値(1.35×10-6A/
cm2 )を示す参考線で、光照射を0.033秒間行
い、光照射後も電圧印加を継続した状態を示す。(n)
線は比較センサーの実測線で光照射中の光電流の増加は
小さく、その値も理論値(1.35×10-6A/c
2 )を超えず、量子効率は最高で約0.5までにしか
ならない。光照射中の量子効率の変化を図5に示す。
【0080】これに対して、光誘起電流増幅作用を有す
る光センサーにおける電気特性の一例を図6に示す。図
において、(A)線は露光した場合の電流測定値、
(B)線は露光しないで電圧のみを印加した場合であ
る。また、上記と同様に、前記理論値(1.35×10
-6A/cm2 )を示す参考線(m)を示す。
【0081】(A)線で示されるように、電流値は、2
つの変曲点(a)、(b)が観測される。変曲点(a)
から下の電流量は、比較センサーとの比較から、露光量
に応じた電流(光誘起電流)量であると考えられる。ま
た、変曲点(b)は露光終了に伴う電流量の変化点であ
り、露光を終了しても未露光時でも電圧印加に応じた電
流が持続して流れ、徐々に減衰していくことがわかる。
【0082】また、光照射中の量子効率の変化を図7に
示す。約0.003秒で量子効率は1を超え、その後も
量子効率は増加を続けることがわかる。即ち、光誘起電
流増幅作用は通常起こりうる光誘起電流状態よりもはる
かに大きな増幅率を得ることができるものである。
【0083】比較センサーでは光照射終了と同時に光電
流が急激に減衰するため、光照射後継続して電圧印加し
ても光情報として有効な電流は得られない。これに対し
て、光誘起電流増幅作用を有する光センサーにおいて
は、光照射後も電圧印加を継続することにより光誘起電
流が継続して流れ、引き続いて光誘起電流を取り出すこ
とができ、光情報をつづけて得ることができる。
【0084】光誘起電流増幅作用の詳細な理由は不明で
あるが、情報光の照射に伴い発生する光誘起電荷キャリ
アの一部が光誘起電流増幅層中のトラップサイトにトラ
ップされたような状態となり、電圧印加した状態では露
光により発生する光電流に加えて、このトラップされた
電荷により誘起される電極からの注入電流が流れ、見か
けの光誘起電流量を増幅させるものと考えられる。光誘
起電流増幅層に電荷トラップサイトが多数存在すること
は、後述するように、光誘起電流増幅層についての熱刺
激電流の測定により明らかである。
【0085】そして、電圧を印加した状態を維持しつつ
露光を終了する場合には、露光により生じる光キャリア
はただちに減衰して消滅するが、トラップされた電荷の
減衰は緩やかであるため、トラップされた電荷により誘
起される電極からの注入電流は減衰しながらも充分な量
が流れるものと推察される。この光誘起電流は本発明の
光センサーにおける光をトリガーとした電流増幅による
効果であり、通常の感光体で予想される入射した光に起
因する光電流以上の電流が流れるために、情報記録媒体
に対して効果的な光情報供与を可能とするものと考えら
れる。
【0086】この光誘起電流増幅作用は、光誘起電流増
幅層における電荷発生物質、電荷受容性物質、および電
荷輸送物質等の添加物質、及びその添加量、また、膜厚
を変えることにより調整することができる。
【0087】次に、本発明の光センサーにより情報記録
される情報記録媒体について説明する。本発明における
情報記録媒体としては、図8において情報記録媒体2と
して示すものであり、支持体15、電極13′、情報記
録層11を順次積層してなる。
【0088】情報記録媒体としては、情報記録層が高分
子分散型液晶とする場合が挙げられる。高分子分散型液
晶は液晶相中に樹脂粒子が分散した構造を有している
が、液晶材料は、スメクチック液晶、ネマチック液晶、
コレステリック液晶あるいはこれらの混合物を使用する
ことができる。液晶としては、その配向性を保持し、情
報を永続的に保持させる、いわゆるメモリー性の観点か
ら、スメクチック液晶を使用するのが好ましい。スメク
チック液晶としては、液晶性を呈する物質の末端基の炭
素基が長いシアノビフェニル系、シアノタ−フェニル
系、フェニルエステル系、更にフッ素系等のスメクチッ
クA相を呈する液晶物質、強誘電性液晶として用いられ
るスメクチックC相を呈する液晶物質、或いはスメクチ
ックH、G、E、F等を呈する液晶物質等が挙げられ
る。
【0089】樹脂粒子を形成する材料としては、例え
ば、紫外線硬化型樹脂であって、モノマー、オリゴマー
の状態で液晶材料と相溶性を有するもの、或いはモノマ
ー、オリゴマーの状態で液晶材料と共通の溶媒に相溶性
を有するものを好ましく使用できる。このような紫外線
硬化型樹脂としては、例えばアクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル等が挙げられる。その他、液晶材料と
共通の溶媒に相溶性を有する溶媒可溶性の熱硬化性樹
脂、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂、およびこれらを主体とした
共重合体等、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用し
てもよい。
【0090】液晶材料と樹脂の使用割合は、液晶の含有
率が10重量%〜90重量%、好ましくは40重量%〜
80重量%となるように使用するとよく、10重量%未
満であると情報記録により液晶相が配向しても光透過性
が低く、また、90重量%を超えると液晶のしみ出し等
の現象が生じ、画像むらが生じ好ましくない。情報記録
層の膜厚は解像性に影響を与えるので、乾燥後膜厚0.
1μm〜10μm、好ましくは3μm〜8μmとすると
よく、高解像性を維持しつつ、動作電圧も低くすること
ができる。膜厚が薄すぎると情報記録部のコントラスト
が低く、また、厚すぎると動作電圧が高くなるので好ま
しくない。
【0091】図8は、光センサーと情報記録媒体とを分
離した情報記録装置を示し、光センサー1と情報記録媒
体2を、ポリイミドのような絶縁性樹脂フィルムからな
るスペーサー19を挟んで光軸上に対向配置し、両電極
13、13′間を電圧源Vを介して結線したものであ
る。電極13、13′は、いずれか一方、または両方が
透明であればよい。
【0092】また、図9に示すように、光センサー1と
情報記録媒体2を一体型とした情報記録装置としてもよ
い。図中20は誘電体層であり、また、図8と同一符号
は同一内容を示す。この情報記録装置は、光センサーと
情報記録媒体との一体化を可能とするものである。誘電
体層は、光導電層、情報記録層を塗布により形成するこ
とを可能とするものである。光導電層上に情報記録層を
直接塗布形成すると、情報記録層における液晶が溶出し
たり、又、情報記録層形成用の溶媒により光導電材料が
溶出して画像むらが生じる。そのため、誘電体層は、光
導電層形成材料、情報記録層形成材料のいずれに対して
も溶解性を有しないことが必要である。また、導電性を
有しないことも必要である。導電性を有する場合には、
空間電荷の拡散が生じ、解像度の劣化を生じることから
絶縁性が要求される。
【0093】なお、誘電体層は液晶層に印加される分配
電圧を低下させたり、或いは解像性を悪化させるので、
膜厚は薄い方が好ましいが、薄くしすぎると、経時的な
相互作用による画像ノイズの発生ばかりでなく、積層塗
布する際にピンホール等の欠陥による浸透の問題が生じ
る。ピンホール等の欠陥による浸透性は積層塗布する材
料の固形分比率、溶媒の種類、粘度により異なるので、
積層塗布されるものの膜厚は適宜設定されるが、少なく
とも10μm以下の膜厚とすると良く、好ましくは0.
1〜3μmとするとよい。
【0094】誘電体層を形成する材料としては、各層に
印加される電圧分配を考慮した場合、誘電率の高い材料
が好ましく、無機材料ではSiO2 、TiO2 、CeO
2 、Al2 3 、GeO2 、Si3 4 、AlN、Ti
N、MgF2 、ZnS、SiO2 +TiO2 、MgF2
+ZnS、Al2 3 +GeO2 等を使用し、蒸着法、
スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法等により積層
して形成するとよい。また、有機溶剤に対して相溶性の
少ない水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール、水系
ポリウレタン、水ガラス等の水溶液や、フッ素樹脂をフ
ッ素系溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ブレー
ドコート法、ロールコート法等により塗布して積層して
もよい。フッ素樹脂としては、例えば特開平4−247
22号公報等に開示されたフッ素樹脂が挙げられる。ま
た、真空系で膜形成されるポリパラキシリレン等の有機
材料も好ましく使用することができる。
【0095】次に、情報記録方法について説明する。図
10は、分離型の情報記録装置における情報記録方法を
説明するための図である。一体型の情報記録装置におい
ても同様である。図中11は情報記録層、13は光セン
サーの電極、13′は情報記録媒体の電極、16は光誘
起電流増幅層、14は光導電層、21は光源、22は駆
動機構を有するシャッター、23は電源となるパルスジ
ェネレーター、24は暗箱を示す。電極13、13′の
間に、パルスジェネレーター23により適当な電圧を印
加しつつ、光源21から情報光を入射させると、光が入
射した部分の光導電層14で発生した光キャリアは、両
電極により形成される電界により情報記録層11側の界
面まで移動し、電圧の再配分が行われ、情報記録層11
における液晶層が配向し、情報光のパターンに応じた記
録が行われる。この情報記録方法においては面状アナロ
グ記録が可能であり、液晶レベルでの記録が得られるの
で、高解像度の記録となり、また露光パターンは液晶相
の配向により可視像化されて保持される。
【0096】情報記録システムの形態としては、カメラ
による方法、またレーザーによる記録方法がある。カメ
ラによる方法としては、通常のカメラに使用されている
写真フィルムの代わりに情報記録媒体を使用して記録部
材とするもので、光学的なシャッタも使用し得るし、ま
た電気的なシャッタも使用し得る。また、プリズム及び
カラーフィルターにより光情報を、R、G、B光成分に
分離し、平行光として取り出しR、G、Bの各色用の3
個の情報記録媒体で1コマを形成するか、または1個の
情報記録媒体の異なる部分にR、G、Bの各画像を記録
して1コマとすることにより、カラー撮影することもで
きる。
【0097】また、レーザーによる記録方法としては、
光源としてはアルゴンレーザー(514.488n
m)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、半導
体レーザー(780nm、810nm等)が使用でき、
画像信号、文字信号、コード信号、線画信号に対応した
レーザー露光をスキャニングにより行うものである。画
像のようなアナログ的な記録は、レーザーの光強度を変
調して行い、文字、コード、線画のようなデジタル的な
記録は、レーザー光のON−OFF制御により行う。ま
た画像において網点形成されるものには、レーザー光に
ドットジェネレーターON−OFF制御を行って形成す
るものである。なお、光センサーにおける光導電層の分
光特性は、パンクロマティックである必要はなく、レー
ザー光源の波長に感度を有していればよい。
【0098】情報記録媒体に記録された露光情報は、図
11に示すように分離型の情報記録装置の場合には情報
記録媒体を分離して、また一体型の情報記録装置の場合
にはそのまま透過光により情報を再生すると、情報記録
部では液晶が電界方向に配向するために光Aは透過する
のに対して、情報を記録していない部位においては光B
は散乱し、情報記録部とのコントラストが得られる。ま
た、光反射層を介して反射光により読み取ってもよい。
【0099】次いで、情報記録媒体における記録情報
を、図12に示す情報出力装置により、情報記録媒体を
CCDラインセンサーを有するイメージスキャナーによ
って記録情報を読み取り、その情報を昇華転写プリンタ
ー(例えば、日本ビクター社製SP−5500)を使用
して情報出力することによりグレースケールに応じた良
好な印刷物を得ることができる。
【0100】液晶の配向により記録された情報は、目視
による読み取りが可能な可視情報であるが、投影機によ
り拡大して読み取ることもでき、レーザースキャニン
グ、或いはCCDを用いて高精度で情報を読み取ること
ができる。なお必要に応じてシュリーレン光学系を用い
ることにより散乱光を防ぐことができる。
【0101】以上、情報記録媒体として、情報露光によ
る記録を液晶の配向により可視化した状態とするもので
あるが、液晶と樹脂との組み合せを選ぶことにより、一
度配向し、可視化した情報は消去せず、メモリ性を付与
することができる。また、等方相転移付近の高温に加熱
すると、メモリー性を消去することができるので、再度
の情報記録に使用することができる。
【0102】情報記録システムにおける情報記録媒体と
しては、例えば特開平3−7942号、特開平5−10
7775号、特開平5−107776号、特開平5−1
07777号公報、特開平4−70842号公報等に記
載されている電荷保持層を情報記録層とすると静電情報
記録媒体を使用してもよく、この場合には情報は情報記
録媒体において静電荷の形で蓄積されるので、その静電
電荷をトナー現像するか、またはその静電電荷を例えば
特開平1−290366号公報等に記載されるように電
位読み取りにより再生することができる。また、特開平
4−46347号公報等に記載される、熱可塑性樹脂層
を情報記録層とする情報記録媒体を使用してもよく、こ
の場合には、前記同様に情報を静電荷の形で表面に蓄積
した後、熱可塑性樹脂層が加熱されることにより、情報
をフロスト層として蓄積し、可視情報として情報再生す
ることが可能である。
【0103】本発明の光センサーは、電極上に光誘起電
流増幅層、電荷発生層、電荷輸送層が順次積層されてお
り、光誘起電流増幅層が露光により電荷受容性が減少す
る電荷受容性物質および電荷輸送物質とからなるもので
ある。情報記録媒体との間で情報露光した状態で電圧を
印加するか、あるいは電圧を印加した状態で情報露光す
ると、露光により、光誘起電流増幅層における電荷受容
性が減少し、導電性化して電極と電荷発生層間のエネル
ギー障壁を低下させるために、情報記録媒体に付与され
る電界または電荷量が増幅され、また、情報露光を終了
した後も電圧を印加し続けると導電性を持続し、引き続
き電界または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける作用
を示すものと考えられる。
【0104】
【実施例】光誘起電流増幅層における光メモリー効果
を、参考例、参考比較例により説明する。
【0105】(参考例1)充分洗浄した厚さ1.1mm
のガラス基板上にEB蒸着により面積抵抗80Ω/cm
2 、膜厚500nmのITO膜を成膜し、スクラバー洗
浄機で洗浄した後、クリーンオーブン中、150℃で1
時間乾燥させた。
【0106】次いで、電極上に、構造
【0107】
【化17】
【0108】を有するカルバゾール色素を3重量部とポ
リビニルカルバゾール(高砂香料(株)製ツビコール2
10)10重量部(ポリビニルカルバゾールのモノマー
ユニット1モルに対してカルバゾール色素0.1モル)
とをクロロホルム117重量部に溶解させ、スピンコー
ターで塗布した後、クリーンオーブン中、80℃で30
分間乾燥させ、4μmの膜厚の光誘起電流増幅層を積層
した。
【0109】(参考例2)参考例1において、カルバゾ
ール色素を2,6−ジヒドロキシ安息香酸に代えた以外
は、参考例1と同様にして光誘起電流増幅層を積層し
た。
【0110】(参考例3)下記の構造
【0111】
【化18】
【0112】を有するビスアゾ顔料(イオン化ポテンシ
ャル5.77eV)3重量部、ポリビニルホルマール樹
脂1重量部とを1,4−ジオキサン98重量部、シクロ
ヘキサノン98重量部と混合し、混合機により充分に混
練し、顔料分散液とした。この分散液1重量部に、上記
の参考例1で作製した光誘起電流増幅層作製用塗液1重
量部を混合して塗液とした以外は、参考例1同様にして
光誘起電流増幅層を積層した。
【0113】(参考比較例1)参考例1において、カル
バゾール色素を添加しない以外は参考例1と同様にして
層形成した。
【0114】(参考比較例2)参考例1において、光誘
起電流増幅層用塗液を、ポリビニルカルバゾールのモノ
マーユニット1モルに対して2,4,7−トリニトロフ
ルオレノンを1:1のモル比となるようにテトラヒドロ
フランに溶解させたものとした以外は参考例1と同様に
して層形成した。
【0115】(参考比較例3)参考例1において、ポリ
ビニルカルバゾールに代えてポリエステル樹脂(東洋紡
社製、Vylon200)を使用した以外は参考例1と
同様にして層形成した。
【0116】(参考比較例4)参考例2において、ポリ
ビニルカルバゾールに代えてポリエステル樹脂(東洋紡
社製、Vylon200)を使用した以外は参考例2と
同様にして層形成した。
【0117】(メモリー性の測定)得られた各試料を、
暗所で、回転式電位計(川口電機社製EPA8100)
を用い、コロトロン(2wire electrode
s)でコロナ電圧を(−)6kV加えてコロナ帯電さ
せ、30秒後の帯電電位を初期帯電電位V0 とする。こ
の試料にキセノンランプで白色光1000ルックスを1
0秒間照射した後に、再び30秒間同様にコロナ帯電を
行ない帯電電位V1 を測定し、これを10回繰り返した
時の値V10を測定する。この10回繰り返した試料を暗
所に10分間放置した後に、再び30秒間帯電を行な
い、帯電電位Vmを測定する。サンプルの測定面積は、
3.14cm2 (2cmφ円形)である。
【0118】結果を下記表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】このように、参考例1〜3で得られた試料
は、帯電能が低下し、メモリー性を有するものであるこ
とがわかる。
【0121】(熱刺激電流)参考例1と参考比較例2の
それぞれの光誘起電流増幅層上に膜厚30nm、表面抵
抗1kΩ/□、0.16cm2 の金電極を蒸着した測定
用試料を作製した。図13に示す短絡熱刺激電流測定装
置((株)東洋精機製作所製)により、金電極を負とし
て、両電極間に1.5V/μmの直流電圧を印加すると
同時に10度/分の昇温速度で測定用光センサーを加熱
した際に流れる電流を微小電流計によって熱刺激電流を
測定した。
【0122】測定結果を図14に示す。横軸は加熱温度
(℃)、縦軸は電流密度値(10-11 A/cm2 )であ
り、図中(A)は参考例1で得た試料、(B)は参考比
較例2で得た試料である。図から明らかなように、参考
例1における光誘起電流増幅層は、明瞭なピーク状の波
形が観測され、トラップ電荷が存在していることがわか
る。
【0123】以下、本発明の実施例を説明する。
【0124】(実施例1)参考例1において、光誘起電
流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同様にし
て光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流増幅層
上に、電荷発生物質として、下記構造
【0125】
【化19】
【0126】ピロロピロール系顔料(チバスパシャルテ
ィケミカルズ(株)製、イオン化ポテンシャル5.42
eV)を5×10-6torrの真空下で5nm/秒の速
度で蒸着させ、200nmの膜厚に積層した後、アセト
ン蒸気中で3時間放置して電荷発生層を積層した。
【0127】次に、この電荷発生層上に、電荷輸送物質
として下記の構造
【0128】
【化20】
【0129】を有するトリフェニルアミン誘導体3重量
部とポリカーボネート樹脂1重量部とをキシレン16重
量部、トルエン10重量部の混合溶媒に均一に溶解させ
た後、スピンナー塗布した。塗膜の表面に被膜が形成さ
れて塗膜の表面に付着性がなくなるまで無風下でレベリ
ング乾燥を行った後、クリーンオーブン中、80℃で2
時間乾燥させ、膜厚12μmの電荷輸送層を積層し、本
発明の光センサーを得た。
【0130】(実施例2)参考例2において、光誘起電
流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同様にし
て光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流増幅層
上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸送層を
積層し、本発明の光センサーを得た。
【0131】(実施例3)参考例3において、光誘起電
流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同様にし
て光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流増幅層
上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸送層を
積層し、本発明の光センサーを得た。
【0132】(比較例1)参考例比較例1において、光
誘起電流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同
様にして光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流
増幅層上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸
送層を積層し、光センサーを得た。
【0133】(比較例2)参考例比較例2において、光
誘起電流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同
様にして光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流
増幅層上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸
送層を積層し、光センサーを得た。
【0134】(比較例3)参考例比較例3において、光
誘起電流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同
様にして光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流
増幅層上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸
送層を積層し、光センサーを得た。
【0135】(比較例4)参考例比較例4において、光
誘起電流増幅層を0.1μmの膜厚に成膜した以外は同
様にして光誘起電流増幅層を積層した。この光誘起電流
増幅層上に、実施例1と同様にして電荷発生層、電荷輸
送層を積層し、光センサーを得た。
【0136】(比較例5)実施例1において、光誘起電
流増幅層を設けない以外は、実施例1と同様にして光セ
ンサーを得た。
【0137】(光センサーの電気特性)得られた光セン
サーの電気特性を測定するために、光センサーにおける
電荷輸送層上に、0.16cm2 、厚さ10nm、表面
抵抗1kΩ/□の金層を蒸着して電極とし、測定用媒体
とし、図2に示す電流測定装置を構成した。図中、15
は光センサー支持体、13は光センサー電極、16は光
誘起電流増幅層、14は電荷発生層、電荷輸送層からな
る光導電層、30は金電極、31は光源、32はシャッ
ター(コパル社製 No.0 電磁シャッター)、33
はシャッター駆動機構、34はパルスジェネレーター
(横河ヒューレットパッカード社製)、35はオシロス
コープである。この電流測定装置において、上記で作製
したそれぞれの光センサーにおける電極を+、金電極を
−として、両電極間に150V(15V/μm)の直流
電圧を印加するとともに、電圧印加開始後0.5秒後
に、ガラス基板側から0.033秒間光照射し、光照射
開始時間をt=0として、光センサーに流れる電流を測
定した。照射光はキセノンランプ(浜松ホトニクス社製
L2274)を光源に、グリーンフィルター(日本真空
光学社製)により得られる緑色光を、20ルックスの強
度で照射した。照射光強度を照度計(ミノルタ社製)で
測定した。図3は使用したフィルターの特性である。
【0138】光照射の終了後も電圧印加を継続し、光照
射開始時間から0.15秒間電圧印加を継続した。その
間の電流の時間変化をオシロスコープにより測定した。
測定は室温で行った。
【0139】その結果を図15に示す。横軸は電圧印加
時間(秒)、縦軸は電流密度(10-6A/cm2 )であ
る。図から、本発明の実施例1〜3の光センサーは、露
光の間は光誘起電流が増加し続け、露光後も光誘起電流
が持続し、一定の時間を経て減衰していくことがわか
る。
【0140】これに対して、比較例1〜5の光センサー
は、光照射に応じた光電流の増加はほとんど観測され
ず、情報記録に寄与する電流量は少なかいものであるこ
とがわかる。
【0141】また、実施例1〜3で作製した光センサー
における見かけの量子効率の算出を行い、その結果を図
16に示す。本発明の光センサーでは量子効率1を超え
ることがわかる。
【0142】(情報記録媒体の作製)厚さ1.1mmの
ガラス基板上に膜厚100nmのITO膜をスパッタリ
ングにより成膜し、電極を得たのち、表面洗浄を行っ
た。この電極上に、多官能性モノマー(ジペンタエリス
トールヘキサアクリレート、東亞合成化学工業製、M−
400)40重量部、光硬化開始剤(2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チバガ
イギー社製、ダロキュア1173)2重量部、液晶(ス
メクチック液晶(メルク社製、S−6)を90%、ネマ
チック液晶(メルク社製、E31LV)を10%含有)
50重量部、界面活性剤(住友スリーエム社製、フロラ
ードFC−430)3重量部をキシレン96重量部中に
均一に溶解して得た塗布液を、50μmの間隔に設定し
たブレードコーターを用いて塗布した後、47℃で3分
間乾燥し、次いで47℃で2分間減圧乾燥を行い、直ち
に0.3J/cm2 の紫外線照射によって塗布膜を硬化
させ、膜厚6μmの情報記録層を有する情報記録媒体を
得た。情報記録層面を熱メタノールを用いて液晶を抽出
し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(日立製作所製
S−800)で1000倍で内部構造を観察したとこ
ろ、層の表面は0.6μmの紫外線硬化型樹脂で覆わ
れ、層内部には連続層を成す液晶相中に、粒径0.1μ
mの樹脂粒子相が充填した構造を有していた。
【0143】(情報記録方法および記録特性)実施例3
で得られた光センサーと、上記で得た情報記録媒体と
を、図8に示すようにして、厚さ10μmのポリイミド
フィルムのスペーサを介して空気ギャップを設けて対向
させて積層した。この積層体を図10に示すように、撮
像用カメラ(マミヤ社製RB67)に写真フィルムに代
えて装着し、光センサーと情報記録媒体の両電極間に7
00Vの直流電圧を0.04秒印加すると同時に、グレ
ースケール露光量が0.2〜200ルックスで1/30
秒間、光センサー側から投影露光した。露光後、情報記
録媒体を取り出した。透過光により情報記録媒体を観察
したところ、情報記録層にはグレースケールに応じた光
透過部からなる記録部が観察され、良好な記録画像が得
られた。
【0144】次いで、情報記録媒体における記録情報
を、図12に示す情報出力装置により再生した。図中、
41は情報記録媒体用スキャナー、42はパソコン、4
3はプリンターである。情報記録媒体を、CCDライン
センサーを用いたスキャナーによって記録情報を読み取
り、その情報を昇華転写プリンター(日本ビクター社
製、SP−5500)を使用して情報出力した結果、グ
レースケールに応じた階調性を有し、画像むらや画像ノ
イズのない良好な印刷物が得られた。
【0145】また、比較例5で作製した光センサーと前
記情報記録媒体を使用して同様の情報記録装置を作製
し、両電極間に700Vの直流電圧を0.04秒間印加
すると同時に、光センサー側から投影露光した。露光
後、情報記録媒体を取り出し、前記同様の情報出力装置
により、読み取りおよび出力を行ったが、情報を記録す
ることができなかった。
【0146】(実施例4)実施例1で作製した光センサ
ーの光導電層上に、ポリビニルアルコール5重量部(日
本合成化学(株)製、AH−26、ケン化度97〜99
%)をイオン交換水95重量部中に溶解した塗布液を用
いて、これをスピンナーにて塗布を行い、膜厚1μmの
誘電体層を積層した。次いで、この誘電体層上に、実施
例1で示した情報記録層の作製方法と同様に情報記録層
を作製し、さらにその情報記録層上にスパッタリングで
ITO膜を20nm成膜することにより電極層を積層
し、情報記録媒体を作製した。この情報記録装置の両電
極間に680Vの直流電圧を印加すると同時に、実施例
1同様にグレースケールを露光量0.2〜200ルック
スで1/30秒間、光センサー側から投影露光した。電
圧印加時間は0.02秒間とした。露光後、情報記録媒
体を取り出し、実施例1同様の情報出力装置により、読
み取りおよび出力を行ったところ、良好な印刷物が得ら
れた。
【0147】
【発明の効果】本発明の光センサーは、光照射により電
荷受容性が減少する電荷受容性物質と電荷輸送物質とか
らなる光誘起電流増幅層を、電荷発生層と電極との間に
設けることにより、光誘起電流の増幅性に優れたものと
できるので、情報記録媒体への情報記録に際して、高感
度の情報記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光センサーを説明するための図
である。
【図2】光センサーの電流測定装置を説明する図であ
る。
【図3】グリーンフィルターの分光特性を示す図であ
る。
【図4】比較用センサーの光電流増幅作用の測定結果を
示す図である。
【図5】比較用センサーの光照射中における量子効率の
変化を示す図である。
【図6】本発明の光センサーの電気特性を説明する図で
ある。
【図7】本発明の光センサーの光照射中における量子効
率の変化を示す図である。
【図8】光センサーと情報記録媒体とが分離型の情報記
録装置を説明する図である。
【図9】光センサーと情報記録媒体とが一体型の情報記
録装置を説明する図である。
【図10】光センサーと情報記録媒体とが分離型の情報
記録装置における情報記録方法を説明するための図であ
る。
【図11】光センサーと情報記録媒体とが分離型の情報
記録装置の記録情報の再生方法を説明する図である。
【図12】情報出力装置の一例を説明する図である。
【図13】光誘起電流増幅層の熱刺激電流の測定に用い
た電流測定装置を説明する図である。
【図14】熱刺激電流の測定結果を説明する図である。
【図15】本発明および比較例の光センサーの電気特性
を説明する図である。
【図16】本発明および比較例の光センサーの量子効率
を説明する図である。
【符号の説明】
1…光センサー、2…情報記録媒体、11…情報記録
層、13…光センサーの電極、13′…情報記録媒体の
電極、14…光導電層、14′…電荷発生層、14″…
電荷輸送層、15…基板、16…光誘起電流増幅層、1
9…スペーサー、20…誘電体層、21…光源、22…
駆動機構を有するシャッター、23…パルスジェネレー
ター(電源)、24…暗箱、30…金電極、31…光
源、32…シャッター、33…シャッター駆動機構、3
4…パルスジェネレーター、、35…オシロスコープ、
41…フィルムスキャナー、42…パソコン、43…プ
リンター

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極層上に光誘起電流または光誘起電荷
    増幅層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる光
    センサーであって、電極層上に電界または電荷により情
    報記録可能な情報記録媒体とが光軸上に対向して配置さ
    れ、両電極層間に情報露光した状態で電圧を印加する
    か、あるいは電圧を印加した状態で情報露光することに
    より情報記録媒体への情報記録を可能とする光センサー
    において、該光センサーにおける光誘起電流または光誘
    起電荷増幅層が、露光により電荷受容性が減少する電荷
    受容性物質、および電荷輸送物質を含有することを特徴
    とする光センサー。
  2. 【請求項2】 電極層上に光誘起電流または光誘起電荷
    増幅層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる光
    センサーであって、電極層上に電界または電荷により情
    報記録可能な情報記録媒体とが光軸上に対向して配置さ
    れ、両電極層間に情報露光した状態で電圧を印加する
    か、あるいは電圧を印加した状態で情報露光することに
    より情報記録媒体への情報記録を可能とする光センサー
    において、該光センサーにおける光誘起電流または光誘
    起電荷増幅層が、電荷発生層における電荷発生物質より
    イオン化ポテンシャルの高い電荷発生物質、露光により
    電荷受容性が減少する電荷受容性物質、および電荷輸送
    物質を含有することを特徴とする光センサー。
  3. 【請求項3】 露光により電荷受容性が減少する電荷受
    容性物質がイオン性色素塩であり、電荷輸送物質がポリ
    ビニルカルバゾールであることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載の光センサー。
  4. 【請求項4】 光センサーが情報記録媒体に情報露光に
    起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をするこ
    とができ、また、情報露光を終了した後も電圧を印加し
    続けると緩和減衰型導電性を示し、引き続き情報記録媒
    体に情報記録を継続する作用を有するものであることを
    特徴とする請求項1〜請求項3いずれか1項記載の光セ
    ンサー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001089740A (ja) * 1999-09-27 2001-04-03 Agency Of Ind Science & Technol 液晶性導電性および光導電性材料ならびにその素子
JP2004335060A (ja) * 2003-05-12 2004-11-25 Sony Corp 光記録媒体および光記録再生装置
ITRM20100690A1 (it) * 2010-12-23 2012-06-24 Simone Brunetti Pannello fotoinduttivo
JP2018092981A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 シャープ株式会社 光電変換素子及びその製造方法
CN113097237A (zh) * 2020-01-09 2021-07-09 张志峰 一种基于钙钛矿的图像传感器芯片及其制备方法

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