JP3289863B2 - 情報記録方法 - Google Patents

情報記録方法

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JP3289863B2
JP3289863B2 JP08820094A JP8820094A JP3289863B2 JP 3289863 B2 JP3289863 B2 JP 3289863B2 JP 08820094 A JP08820094 A JP 08820094A JP 8820094 A JP8820094 A JP 8820094A JP 3289863 B2 JP3289863 B2 JP 3289863B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電極層上に光導電層が形
成された光センサと、液晶を樹脂中に分散固定した液晶
層を電極層上に形成した液晶記録媒体とを対向配置し、
電圧印加露光により液晶を露光強度に応じて配向させ、
画像記録するための液晶記録媒体用光センサに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶を樹脂中に分散固定した液晶
層を電極上に形成した高分子分散型液晶記録媒体と、電
極層上に光導電層が形成された光センサと対向配置し、
電圧印加露光により画像記録するものが知られている。
図14はこのような高分子分散型液晶記録媒体を用いた
画像記録装置の構成を示すものである。10は光セン
サ、20は液晶記録媒体をそれぞれ示している。光セン
サ10は透明支持体11上に透明電極12、光導電層1
3が順次積層され、液晶記録媒体20は透明支持体21
上に透明電極22、高分子分散型液晶層23が順次積層
されている。光導電層13は、無機光導電層としてアモ
ルファスセレン、アモルファスシリコン等、有機光導電
層としてポリビニルカルバゾールにトリニトロフルオレ
ノンを添加した単層構造のものや、電荷発生層としてア
ゾ系の顔料をポリビニルブチラール等の樹脂中に分散し
たものと電荷移動層としてヒドラゾン誘導体をポリカー
ボネート等の樹脂と混合したものを積層したもの等が使
用可能である。
【0003】このような光センサ10と液晶記録媒体2
0を対向配置し、図15に示すように、電源30により
両電極12、22間に電圧を印加し、書き込み光として
可視光を照射すると、露光強度に応じて光導電層13の
導電性が変化し、液晶層23にかかる電界が変化して液
晶層の配向状態が変化し、印加電圧をOFFして電界を
取り除いた後もその状態が維持され、画像情報の記録が
行われる。
【0004】記録された画像情報の読み取りは、例え
ば、図16に示すように、光源40によって液晶記録媒
体20に読み取り光を照射し、その透過光を光電変換装
置60で読み取って電気信号に変換することにより行わ
れる。光源40としては、キセノンランプ、ハロゲンラ
ンプ等の白色光源やレーザー光が用いられ、液晶記録媒
体に照射される読み出し光としては、フィルタ50によ
り適当な波長光を選択して照射することが望ましい。入
射した光は液晶記録媒体の液晶層の配向により変調さ
れ、透過光はフォトダイオード等からなる光電変換装置
60で電気信号に変換され、変換された電気信号は必要
に応じてプリンタやCRTに出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うに光センサと液晶記録媒体を対向配置して画像記録を
行う場合、光センサによって画像記録に必要な露光量
(露光強度×露光時間)が大きくなり過ぎる場合や、あ
るいは全く画像記録が行われない場合がある。すなわ
ち、図17に示すように液晶の変調範囲は液晶層にかか
る電圧が、例えば200〜250Vの場合に露光量に応
じた記録が行われ、200V以下ではほとんど液晶が配
向せず、また250V以上では配向が飽和してしまい、
いずれの場合も画像記録ができない。
【0006】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、少ない露光量で液晶のダイナミックレンジの範囲で
安定的に情報記録を行うことができる液晶記録媒体用光
センサの特性の規定方法を提供することを目的とし、液
晶記録媒体の抵抗、膜厚等の特性変化に対し、最適な光
センサの特性の規定方法と、その光センサを用いた情報
記録方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】まず、本発明で使用する
光センサに露光した時の光電流の測定方法を図1により
説明する。光センサは図14、図15で説明した構成と
同様のもので、透明基板11上に透明電極12が形成さ
れ、透明電極上に光導電層13が形成され、光導電層1
3上に金電極14が0.16cm2 の面積で形成されて
いる。光源51と光センサの間には光学シャッタ52が
設置されていて、一定時間、例えば1/30sec(3
3msec)の間、光センサに一定強度の光をパルス状
に照射して露光できるようになっている。そして、透明
電極12と金電極14の間に電源30で電圧を印加して
数100msec後にシャッタを開いて露光し、金電極
14と透明電極12との間に流れる電流を測定する。
【0008】図2は印加電圧300V、露光強度20L
xで33msec間光照射した時の光電流の測定結果で
ある。図2の横軸は光照射開始後の時間を表し、t=0
の時の電流値を光センサの暗電流とし、測定した電流値
と暗電流の差を光電流と定義する。暗電流は図の破線で
示すように透明電極12と金電極14間に電圧を印加し
ている間一定値であり、光電流は光照射をOFFした後
も持続して流れ、このことから光照射OFF後も電圧印
加を継続することにより液晶記録媒体に電圧がかかって
画像記録が行われ、光電流が有効に利用できることが分
かる。
【0009】図3は同じ光センサについて印加電圧を変
化させた時の暗電流Id と33msec後の光電流との
関係を示す図である。図から分かるように光電流は暗電
流Id の1/2乗に比例する。また、図4は印加電圧と
暗電流Id との関係を示し、暗電流は電圧の自乗に比例
することが分かる。光電流は暗電流の1/2乗に比例す
るので、印加電圧に比例することになる。また、光セン
サの種類によっては、暗電流が印加電圧に比例する場合
もある。この場合も光電流は、暗電流の1/2乗に比例
し、印加電圧の1/2乗に比例する。
【0010】次に光センサと液晶記録媒体を用いた記録
システムにおいて、光センサの光電流および暗電流の近
似方法について以下に説明する。図1の透明電極と金電
極間に一定電圧Vを印加した状態において、光センサに
流れる電流は、光照射に関係なく流れるベース電流部分
と、光照射にともなう増加部分とに分けることができ
る。ベース電流は、光を照射しないときの暗電流として
測定され、一定電圧印加時には(1−1)式で表される
電流が流れる。 Id =αV2 ……(1−1) ただし、Id :ベース電流(暗電流)、α:定数 一定光強度の光を一定時間照射したときの光センサの電
流値は、図2に示したように時間とともに変化する。光
照射開始時における電流値がベース電流であり、(1−
1)式で与えられる。光電流部分は光照射時と光照射終
了後に分けられる。光電流の変化を正確に単純な式で表
現することはできないが、低露光強度(50Lux以
下)、短時間(100msec以下)の領域では、(1
−2)式のように直線近似できる。 ΔI(t)=kt (0<t≦t1 )……(1−2) 光照射終了後は、光電流は200〜500msecの時
定数で減衰し、(1−3)式のように近似できる。 ΔI(t)=kt1 exp{(t1 ─t)/τ}(t1 <t)……(1−3) V:光センサの電圧 ΔI(t):光電流 k:定数(光強度に比例) t1 :光照射をOFFした時間 τ:時定数(200〜500msec) (1−1)〜(1−3)の近似式で計算した値と測定結
果を比較した結果を図5に示す。図5の特性Aは計算に
よる値、特性Bは測定結果を示している。暗電流値が印
加電圧に比例するような光センサの場合には、ベース電
流に相当する暗電流値Id は、 Id =αV ……(1−4) で表される。
【0011】ところで、本発明の記録システムでは、光
センサと液晶記録媒体とを対向配置し、光センサと液晶
記録媒体の両電極間に電圧を印加している間は、光セン
サにかかる電圧は刻々変化するため、それに応じて光セ
ンサを流れるベース電流も変化する。また、光が照射さ
れる明部については、光電流の値も電圧依存性があるた
め、明部における光センサの電流値(ベース電流と光電
流の合計)は、光電流にかかる電圧と露光開始してから
の時間の両方の関数で表される。光電流の電圧依存性を
調べた結果、露光開始からの時間が等しい条件で比較す
ると、電界強度がある範囲(5〜49V/μm)では、
光電流は光センサの電圧に比例する。また、上記したよ
うに光電流は、露光開始(終了)からの時間依存性があ
るため、光照射中および光照射後の光電流は、そのとき
の電圧と時間の両方で表され、それぞれ次式で表され
る。 Ip (Vp,t)≒αVp 2 +βVp t (0<t≦t1 )……(1−5) Ip (Vp,t)≒αVp 2 +βVp 1 exp{(t1 ─t)/τ} (t1 <t)……(1−6) Vp :光センサの電圧 t1 :光照射をOFFする時間 β:定数 暗電流値が電圧に比例するような光センサの場合には、
ベース電流部分は電圧に比例し、光電流部分は電圧の1
/2乗に比例するため、(1−7)、(1−8)式で表
される。 Ip (Vp,t)=α′Vp (Ip , t)+β′Vp 1/2 t (0<t≦t1 )……(1−7) Ip (Vp,t) =α′Vp (Ip , t)+β′Vp 1/2 1 exp{(t1 ─t)/τ} (t1 <t)……(1−8) (1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)式の
1項目は図4で説明したベース電流部分であり、2項目
は図2、図5で説明した光電流分である。
【0012】ところで、図14で示したような記録シス
テムでは、空気層の部分には空気放電破壊電圧がかかっ
ていると考えられ、この電圧をVaとすると、図6に示
すように、光センサ10、液晶記録媒体20はそれぞれ
抵抗と容量との並列回路で表され、それぞれの容量をC
S 、CL 、また光センサを流れる電流をIS 、液晶記録
媒体を流れる電流をIL とすると、電圧印加開始直後に
は光センサと液晶記録媒体の容量の比で電圧が分配され
ると考えられるので、この時の電圧はそれぞれ次式のよ
うに表される。 VS (0)={CL /(CS +CL )}×(E−Va) ……(2−1) VL (0)={CS /(CS +CL )}×(E−Va) ……(2−2) また、次の微分方程式が成り立つ。 CS (dVS /dt)+IS =CL (dVL /dt)+IL ……(2−3) VS +VL =(E─Va) ……(2−4) (2−4)式を時間微分すると、両辺は0であり、(2
−3)式より dVL /dt=(IS −IL )/(CS +CL ) ……(2─5) となる。また、 VL (t+Δt)=VL (t)+(dVL /dt)・Δt ……(2─6) のように近似し、液晶媒体にかかる電圧を計算した。電
圧印加直後には、液晶記録媒体にかかる電圧は、(2−
2)式のように、光センサと液晶記録媒体の容量に応じ
た電圧が分配される。式(2−5)において、液晶記録
媒体の電流は、電圧に比例し、液晶記録媒体の抵抗をR
L とすると、(2−7)式で表される。 IL =VL /RL ……(2─7) また、光センサの電流は、暗部と明部は異なり、また、
明部においても露光時と終了後では異なり、それぞれ、
上記したように電圧および電圧と時間の関数で表され
る。光センサの電圧と液晶記録媒体の電圧は(2−4)
式の関係が成り立つため、光センサの電流は(1−
1)、(1−5)、(1−6)式に、液晶記録媒体の電
圧から計算した光センサの電圧を用いて計算することが
できる。光センサのベース電流が電圧に比例する場合に
は(1−4)、(1−7)、(1−8)式を用いて計算
することができる。以上説明してきたように、光センサ
の電流値を近似することにより、液晶記録媒体にかかる
電圧の時間変化を計算することができる。
【0013】計算した結果の1例を図7(a)、図7
(b)に示す。図7(a)に示すように、明部、暗部と
もに液晶媒体にかかる電圧は時間と共に増加し、両者の
差をΔVとすると、ΔVは図7(b)に示すようにな
る。ΔVはコントラスト電位に相当するものであり、こ
の値は60〜80msecを過ぎると、低下することが
分かる。従って、コントラスト電位が最大ΔVMAX にな
るような露光時間にする必要がある。液晶記録媒体は、
しきい値電圧以下ではほとんど変化せず、しきい値以上
の電圧になると液晶が配向して透過率が増加する。本発
明の記録システムでは、光を照射しない部分の液晶記録
層の電圧がしきい値電圧になり、配向を開始したときに
電圧印加を停止すると、光照射部分の液晶層は透過率が
増加しているため、光照射量に応じた画像を記録するこ
とができる。有効に記録を行うには、未露光部分の液晶
記録層の電圧がしきい値電圧になったときに、露光部分
との電位差が最も大きくなるように印加電圧を設定する
とよい。上記シミュレーションにおいて、印加電圧の設
定値を変化させると液晶記録層の電圧の時間変化の様子
は印加電圧により異なる。このため、印加電圧を変化さ
せて未露光部分の液晶記録層の電圧がしきい値電圧のと
きに、露光部分との電位差が最大になるような印加電圧
を設定したときの電位差の最大値をその光センサのコン
トラスト電位の最大値と定義する。コントラスト電位は
露光量に依存するが、光センサを比較する場合に、露光
量を同じにして比較することができる。
【0014】暗電流値の異なる光センサのコントラスト
電位を計算した。露光強度20Lx、露光時間33ms
ecの光を照射し、300Vの電圧を印加したときの3
3msec後の光電流の値を図8に示す。光電流を暗電
流の1/2乗に対してプロットしたところ、図示のよう
な比例関係が得れられた。これらの光センサについて、
液晶記録媒体と組み合わせたときの液晶記録媒体にかか
る電圧をシミュレーションするのに必要な値α、β、γ
をこれらの測定結果から求め、液晶記録媒体にかかる電
圧を計算した。液晶記録媒体の物性値は、以下の数値を
使用した。光センサの膜厚はいずれも20μmであっ
た。 液晶記録媒体容量 :950pF/cm2 (膜厚6
μm) 液晶記録媒体抵抗値 :1.6×108 Ω/cm2 しきい値電圧 :180V 上記したように、未露光部分の液晶記録層の電圧がしき
い値電圧のときに、電位差が最大になるような印加電圧
をそれぞれの光センサに対して設定して、コントラスト
電位の最大値を求めた。光センサの暗電流値とコントラ
スト電位の最大値の間に図9のような関係が得られた。
計算に用いた光センサの暗電流の範囲では、暗電流が小
さいほどコントラスト電位が大きくなる傾向が得られ
た。
【0015】次に、暗電流値の異なる光センサのコント
ラスト電位の最大値のシミュレーション方法について説
明する。光センサの暗電流は(1−1)式で表される。
光照射部分の電流は、ベース電流部分と光電流部分で表
される。光電流は光照射時と光照射終了後でそれぞれ
(1−5)、(1−6)式で表される。図8に示したよ
うに、電圧が等しい状態で暗電流の異なる光センサ(α
が異なる)について暗電流値と光電流を比較したとこ
ろ、光電流は暗電流の1/2乗に比例する関係が得られ
るため、これらの光センサに対して以下の式が成り立
つ。 βVm m =(KαVm 2 1/2 =(Kα)1/2 m ……(3─1) ∴ β=(Kα)1/2 /tm ……(3─2) K:定数 tm :光照射時間 Vm :光センサの測定
電圧 式(1−5)、(1−6)の定数βは、式(3─2)に
示したように、定数αに依存する。定数K及びtm は露
光条件であるので、同じ値を使用することにより、光セ
ンサを比較することができる。式(3−2)より、(1
−5)、(1−6)式はそれぞれ、 Ip (Vp,t)≒αVp 2 +γα1/2 p t(0<t≦t1 )……(3−3) Ip (Vp,t)≒αVp 2 +γα1/2 p 1 exp{(t1 ─t)/τ} (t1 <t)……(3−4) のように表される。γは定数であり、適当な値を設定す
ればよいが、光電流の値を暗電流値の10〜20%程度
になるように設定するとよい(γの値は特に限定される
ものではないが、1×10-2程度の値を用いるとよ
い)。τは光電流減衰の時定数であり、200〜500
msecの範囲であれば、計算結果はそれほど大きく変
わらない。また、光照射時間t1 は10〜50msec
の範囲の値を用いる。これまで示してきたように、光電
流部分も暗電流依存性があるため、係数αを変化させて
式(1−1)、(3−3)、(3−4)及び(2−
5)、(2−6)式を用いて液晶記録媒体にかかる電圧
を計算し、暗電流とコントラスト電位の最大値の関係を
求めることができる。計算結果の一例を図10〜図13
に示す。計算条件は次の通りである。光センサの膜厚は
20μmを想定し、液晶記録媒体:膜厚6μm、容量9
50pF/cm2 、抵抗値:1.6×108 Ω/c
2 、しきい値:180Vで計算した。グラフの横軸の
暗電流値は、膜厚20μmの光センサに300Vの電圧
を印加したときの電流値で示した。
【0016】図10は光センサの暗電流と電圧印加時間
の最適値(最大コントラストが得られる時間)の関係を
示したものである。暗電流が増加するにつれて、最適電
圧印加時間が短くなる傾向がある。また、1×10-4
/cm2 以上では、最適時間は33msecとなり、光
露光時間と等しくなる。このことは暗電流がこの値以下
の場合には露光終了後の光電流を有効に利用しているこ
とを示している。また1×10-4A/cm2 以上では、
持続光電流を有効に使用していないため、十分な画像コ
ントラストが得られなると考えられる。図11は、図9
に比してより広い暗電流の範囲において最大コントラス
ト電位と暗電流の関係を示したもので、1×10-7A/
cm2 付近でコントラスト電位が最大となり、暗電流が
増加するに連れてコントラスト電位は減少する。
【0017】図12は各光センサについてコントラスト
電位が最大になる印加電圧と暗電流値の関係を示すもの
である。電圧は空気層の破壊電圧を除いた値を示してい
るため、実際に印加する電圧は破壊電圧を加えた分とな
る。なお、電圧印加直後には光センサと液晶記録媒体の
各容量に応じた電圧に配分され、液晶記録層に配分され
る初期電位は図13に示すようになる。図12より暗電
流値が減少するにつれて、コントラスト電位が最大にな
る印加電圧の最適値が高くなり、それに応じて電圧印加
初期に液晶記録層に配分される電圧も増加する(図1
3)。この電圧が液晶記録媒体のしきい値以上では、初
期分配の時に液晶記録媒体が全て反応してしまい、その
状態が維持されるため画像が記録されない。初期分配が
しきい値よりも高くなる場合には、印加電圧をそれより
も低い値(1000V以下)に設定することもできる
が、その時にはコントラスト電位が計算値よりも小さく
なり、また長時間電圧を印加しても液晶記録層にかかる
電圧がしきい値より高くならない等の問題がある。
【0018】光電流を有効に利用し、良好な画像記録を
行うためには、未露光部分の液晶記録層がしきい値電圧
のときに大きなコントラスト電位を有する必要がある。
図11に示したように、計算に用いた液晶記録媒体に関
していえば、1×10-7A/cm2 の光センサを用いた
場合に最も大きなコントラスト電位が得られる。良好な
画像記録を行うためには、この値の1/2以上のコント
ラスト電位を有する光センサを用いることが望ましく、
暗電流が1×10-5A/cm2 以下の光センサが望まし
い。
【0019】液晶記録媒体に電圧印加後に分配される電
圧が、しきい値以上であると、露光量に関係なく液晶が
配向してしまい画像記録ができない。液晶記録媒体の初
期電位がしきい値以下であることから、図13より暗電
流値は1×10-7A/cm2以上である必要がある。さ
らに、初期電位はしきい値電圧の1/2以下であること
が望ましく、このことから暗電流値は5×10-7A/c
2 以上であることが望ましい。また、暗電流と電圧印
加時間の関係は図10に示すように、暗電流値が増加す
るにつれて最適な電圧印加時間が短くなる傾向がある。
電圧印加時間が長すぎると、情報記録時間が長くなる問
題があり、200msec以下が望ましく、できれば1
00msec以下が望ましい。電圧印加時間100ms
ec以下にするためには、暗電流が1×10-6A/cm
2 以上の光センサが使用できる。以上示してきたよう
に、本発明の記録システムに使用できる光センサの暗電
流値の範囲としては、1×10-7A/cm2 〜1×10
-4A/cm2 であり、さらに良好な画像を記録するため
には1×10-6A/cm2 〜1×10-5A/cm2であ
る。これまで示してきた光センサの特性は、計算に用い
た液晶記録媒体に対して良好な画像を得るための条件で
あり、液晶記録媒体の特性が変化すれば、図10〜図1
3に示した計算結果もそれに応じて変化し、適切な光セ
ンサの条件は異なる。また、光センサの膜厚が変化した
場合も、同様に適切な光センサの特性は異なる。しか
し、これらの条件は、使用する液晶記録媒体の特性およ
び光センサの膜厚を特定すれば、上述したシミュレーシ
ョンにより求めることができる。本発明に使用する光セ
ンサは、使用する液晶記録媒体の物性値に対して暗電流
値を変化させて式(2−5)、(2−6)によりコント
ラスト電位を計算したときに、その値が最大になるよう
な光センサであり、最大値の1/2以上のコントラスト
電位の得られる暗電流の光センサである。さらに、液晶
記録媒体に初期に分配される電圧がしきい値電圧以下で
あるような光センサであり、できればしきい値電圧の1
/2以下になるような光センサである。あるいは、初期
電圧がしきい値電圧の1/2になるように印加電圧を設
定したときに、未露光部分の電圧がしきい値電圧のとき
に、露光部との電位差がコントラスト電位の最大値の1
/2以上であるような光センサも使用できる。また、最
適な電圧印加時間が200msec以下になるような光
センサであり、できれば100msec以下になるよう
な光センサである。
【0020】
【作用】本発明は、液晶記録媒体と光センサを用いた記
録方法で、液晶記録媒体の特性に適した光センサの特定
方法であり、このような方法で特定した特性の光センサ
を用いることにより、少ない露光量で液晶のダイナミッ
クレンジの範囲において十分なコントラストの画像を記
録することが可能になる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)電荷発生物質として下記構造を有するフル
オレノンアゾ顔料3部とポリエステル樹脂1部とをジオ
キサン:シクロヘキサノン=1:1の混合溶媒196部
と混合し、混合機により十分混練を行い、塗布液を作製
した。
【0022】
【化1】
【0023】この溶液をITO透明電極(膜厚500
Å、抵抗80Ω/□)を有するガラス基板上のITO側
の面に塗布し、100℃、1時間乾燥して膜厚0.3μ
mの電荷発生層を形成した。次に電荷輸送物質として下
記構造を有するパラジメチルスチルベン3部とポリスチ
レン樹脂1部とをジクロロメタン:1,1,2─トリク
ロロエタン=68:102の混合溶媒120部と混合溶
解し、塗布液を作製した。
【0024】
【化2】
【0025】この溶液を上記電荷発生層上に塗布し、8
0℃、2時間乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成
した。
【0026】(実施例2)電荷発生物質として上記(化
1)式の構造を有するアゾ系顔料3部とポリビニルホル
マール樹脂1部とをジオキサン:シクロヘキサノン=
1:1の混合溶媒180部と混合し、混合機により十分
混練を行い、塗布液を作製した。この溶液をITO透明
電極(膜厚500Å、抵抗80Ω/□)を有するガラス
基板上のITO側の面に塗布し、100℃、1時間乾燥
して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。次に、電
荷輸送物質として上記(化2)式の構造を有するパラジ
メチルスチルベン3部とポリスチレン樹脂1部とをジク
ロロメタン:1,1,2─トリクロロエタン=68:1
02の混合溶媒120部と混合溶解し、塗布液を作製し
た。この溶液を上記電荷発生層上に塗布し、80℃、2
時間乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0027】(実施例3)電荷発生物質として上記(化
1)式の構造を有するアゾ系顔料3部とポリビニルホル
マール樹脂1部とをジオキサン:シクロヘキサノン=
1:1の混合溶媒202部と混合し、混合機により十分
混練を行い、塗布液を作製した。この溶液をITO透明
電極(膜厚500Å、抵抗80Ω/□)を有するガラス
基板上のITO側の面に塗布し、100℃、1時間乾燥
して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。次に、電
荷輸送物質として4-メチルトリフェニルアミン3部とポ
リカーボネート樹脂1部とをジクロロメタン:1,1,
2─トリクロロエタン=68:102の混合溶媒120
部と混合溶解し、塗布液を作製した。この溶液を上記電
荷発生層上に塗布し、80℃、2時間乾燥し膜厚20μ
mの電荷輸送層を形成した。
【0028】(実施例4)実施例1〜3の方法で作製し
た光センサの電荷輸送層上に4mm×4mmの面積にな
るように金電極を蒸着法により形成し、暗所において透
明電極と金電極間に透明電極側が正になるように300
Vの直流電圧を印加し、電圧印加後500msec後の
電流値を測定したところ、1cm2 当たりに直すと、そ
れぞれ1.2×10-6,8.0×10-8 2.0×10
-4A/cm2 であった。
【0029】(実施例5)ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート4部、スメクチック液晶S6(商品名;
メルク社製)6部、ふっ素系活性剤フロラードFC−4
30(商品名;3M社製)0.2部、光重合開始剤『ダ
ロキュア1173』(商品名;メルク社製)0.2部の
混合物をキシレンにて固形分30%に調整した。この溶
液をITO透明電極(膜厚500Å、抵抗80Ω/□)
を有するガラス基板上のITO側の面に50μmのギャ
ップ厚さブレードコーターで塗布し、これを50℃に保
持し、0.3J/cm2 のUV光を照射して膜厚約6μ
mの情報記録層を有する情報記録媒体を作製した。この
情報記録媒体断面を熱メタノールを用いて液晶を抽出
し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(日立製作所
(株)製、S─800、10000倍)で内部構造を観
察したところ、層の表面は0.6μm厚の紫外線硬化型
樹脂で覆われ、層内部は粒径0.1μmの樹脂粒子が充
填している構造を有していることがわかった。
【0030】(実施例6)実施例1の光センサと実施例
5で作製した情報記録媒体を約9μmの空隙を介して対
向配置し、両電極間に、光センサ側が正になるように9
00V、100msec電圧印加して光センサの支持体
側から33msec画像露光した。電圧印加終了後、光
センサと情報記録媒体を引き離し、情報記録媒体を観察
したところ、コントラストの高い画像が記録されている
のが確認された。
【0031】(実施例7)実施例2の光センサと実施例
5で作製した情報記録媒体を約9μmの空隙を介して対
向配置し、光センサ側が正になるように900V、10
0msec電圧印加し、光センサの支持体側から33m
sec画像露光した。電圧印加終了後、光センサと情報
記録媒体を引き離し、情報記録媒体を観察したところ、
情報記録媒体には何の変化も見られなかった。
【0032】(実施例8)実施例2の光センサと実施例
5で作製した情報記録媒体を約9μmの空隙を介して対
向配置し、両電極間に、光センサ側が正になるように1
600V、170msec電圧印加し、光センサの支持
層側から33msec画像露光した。電圧印加終了後、
光センサと情報記録媒体を引き離し、情報記録媒体を観
察したところ、露光像に関係なく、情報記録層全体が変
調しているのが観察された。
【0033】(実施例9)実施例3の光センサと実施例
5で作製した情報記録媒体を約9μmの空隙を介して対
向配置し、両電極間に、光センサ側が正になるように6
00V、33msec電圧印加し、光センサの支持層側
から33msec画像露光した。電圧印加終了後、光セ
ンサと情報記録媒体を引き離し、情報記録媒体を観察し
たところ、コントラストの極めて低い画像が記録されて
いるのが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、15V/
μmの電圧を印加したときに10-7〜10-4A/cm2
の電流が流れるように光センサを用いて高分子分散型液
晶記録媒体に記録することにより、少ない露光量で液晶
のダイナミックレンジの範囲で安定的に情報記録を行う
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光センサ特性測定方法を説明する図である。
【図2】 光センサの光電流測定結果を示す図である。
【図3】 光センサと暗電流の関係を示す図である。
【図4】 暗電流と印加電圧の関係を示す図である。
【図5】 光電流の測定結果とシュミレーシェン結果の
比較例を示す図である。
【図6】 等価回路を示す図である。
【図7】 記録媒体にかかる電圧の時間変化、暗部と明
部のコントラスト電位の時間変化の計算結果を示す図で
ある。
【図8】 暗電流と光電流の関係を示す図である。
【図9】 暗電流とコントラスト電位の最大値の関係を
示す図である。
【図10】 暗電流と電圧印加時間の最適値の関係を示
す図である。
【図11】 暗電流と最大コントラスト電位の関係を示
す図である。
【図12】 暗電流と印加電圧の最適値の関係を示す図
である。
【図13】 暗電流と液晶記録媒体に電圧印加初期にか
かる電圧との関係を示す図である。
【図14】 光センサおよび液晶記録媒体を示す図であ
る。
【図15】 記録方法を説明する図である。
【図16】 再生方法を示する図である。
【図17】 液晶の電圧に対する変調特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…光センサ、11…透明支持体、12…透明電極、1
3…光導電層、14…金電極、20…液晶記録媒体、2
1…支持体、22…電極、23…高分子分散型液晶層、
30…電源、40…光源、50…フィルタ、51…光
源、52…光学シャッター、60…光電変換素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−27914(JP,A) 特開 平4−22921(JP,A) 特開 平4−345130(JP,A) 特開 平4−274027(JP,A) 特開 平3−286436(JP,A) 特開 平4−284425(JP,A) 特開 平4−288524(JP,A) 特開 平4−261520(JP,A) 特開 平4−299314(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/135 G02F 1/13 G02F 1/133

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明電極上に光導電層を形成した光セン
    サと、樹脂中に液晶を分散固定した高分子分散型液晶層
    を電極上に形成した液晶記録媒体とを空気ギャップを介
    して対向配置し、光センサの透明電極側から画像露光す
    ると同時に、両電極間に電圧を印加することにより、液
    晶記録層に情報を記録する方法において、 両電極間への印加電圧をE、空気ギャップ間の電圧をV
    a、光センサと液晶記録媒体の各容量をCS 、CL とし
    たとき、光センサと液晶にかかる各電圧VS 、VL 、光
    センサを流れる電流IS 、液晶記録媒体を流れる電流I
    L をそれぞれ測定し、 VS (0)={CL /(CS +CL )}×(E−Va) VL (0)={CS /(CS +CL )}×(E−Va) CS (dVS /dt)+IS =CL (dVL /dt)+IL S +VL =(E─Va) dVL /dt=(IS −IL )/(CS +CL ) VL (t+Δt)=VL (t)+(dVL /dt)・Δt (ただし、VS (0)、VL (0)は電圧印加直後の電
    圧) の関係式より、印加電圧を変化させて暗電流を変えたと
    きの露光部と未露光部の液晶記録媒体の電圧の時間変化
    を求め、未露光部の液晶記録媒体の電圧がしきい値電圧
    に達したときの露光部の液晶記録媒体の電圧との差が最
    大(最大コントラスト)になる印加電圧に対応する暗電
    流値を求め、最大コントラストの1/2以上のコントラ
    ストが得られる暗電流の光センサを使用して情報記録を
    行うことを特徴とする情報記録方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、露光部と
    未露光部の液晶記録媒体の電圧の差が最大になる印加電
    圧を印加したとき、印加電圧直後に液晶記録媒体にかか
    る電圧が、該液晶記録媒体のしきい値電圧以下となる光
    センサを用いて情報記録を行うことを特徴とする情報記
    録方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法において、露光部と
    未露光部の液晶記録媒体の電圧の差が最大になる印加電
    圧を印加したとき、印加電圧直後に液晶記録媒体にかか
    る電圧が、該液晶記録媒体のしきい値電圧の1/2以下
    となる光センサを用いて情報記録を行うことを特徴とす
    る情報記録方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の方法において、
    露光部と未露光部の液晶記録媒体の電圧の差が最大にな
    る印加電圧を印加したとき、未露光部の液晶記録媒体に
    かかる電圧が、しきい値電圧になるまで要する時間が2
    00msec以下であるような光センサを用いて情報記
    録を行うことを特徴とする情報記録方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の方法において、
    露光部と未露光部の液晶記録媒体の電圧の差が最大にな
    る印加電圧を印加したとき、未露光部の液晶記録媒体に
    かかる電圧が、しきい値電圧になるまで要する時間が1
    00msec以下であるような光センサを用いて情報記
    録を行うことを特徴とする情報記録方法。
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