JPH0777542B2 - 苺果実の長期貯蔵方法 - Google Patents

苺果実の長期貯蔵方法

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JPH0777542B2
JPH0777542B2 JP20934290A JP20934290A JPH0777542B2 JP H0777542 B2 JPH0777542 B2 JP H0777542B2 JP 20934290 A JP20934290 A JP 20934290A JP 20934290 A JP20934290 A JP 20934290A JP H0777542 B2 JPH0777542 B2 JP H0777542B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ケーキ類につける苺果実の長期貯蔵方法に関
し、更に詳しくは、苺果実の夏期及び年末の一時期に価
格が高騰し、且つ供給量が天候作柄に大きく左右される
のを緩和させる為の長期貯蔵方法に関するものである。
〔従来の技術〕
通常、苺果実の需要は、その年々において、また時期と
しては特に年末などに集中し、そのために価格が著しく
変動して、需要先の製菓業界はその手当てに苦慮してい
るところである。例えば、昭和62年12月の苺果実の相場
(サイズにより異なるがおよその数字)は、第1表に示
すとおりである。
なお、昭和63年、平成元年はこれ程ではなかった。
このような事態に対処するため、具体的には次のような
対策をたてている。
(a) 或る製菓会社(山崎製パン)の場合 年末の苺果実の高騰からのがれる為使用する日(クリス
マス)の10日間位前に購入して、苺果実を数個づつ細長
い箱に詰め替え、0℃の冷蔵庫に保管している。冷蔵保
管中、内部のガスの移動は第15図に示すとおりである。
(b) 或る貯蔵会社(福島工業(株))の場合 ストッカー、冷蔵庫のメーカーであるが苺果実用の氷温
冷蔵庫を開発した。特徴は二酸化炭素ガスショック処理
で冬眠状態にして高湿度(90%以上)で氷温保管する方
法である。これは、保管限度が20日間で、実用(出庫後
常温で3日間鮮度保持することが可能)で、10日間と推
定される。
また、先行技術である特開昭56-140820号公報には、苺
果実の長期間貯蔵方法として次のようないくつかを例示
している。
1.湿度80〜90%で、凍結しない温度でできるだけ低温で
貯蔵する。
2.酸素2〜10%、炭酸ガス10%程度、温度0℃、湿度80
〜90%で貯蔵する。
3.ガス置換のないように合成樹脂フィルムで密閉し、呼
吸によって炭酸ガス置換を行い、貯蔵する。
4.包装材料で密封し、内部に脱酸素剤を入れ、酸素をな
くして貯蔵する。
〔発明が解決しようとする課題〕
苺は果実類のなかでも特に呼吸量が多く、すみやかに呼
吸を行って直ちに自己変敗してしまう。そこで、苺の長
期貯蔵のために、貯蔵庫内の雰囲気中にすみやかに炭酸
ガスを送入し、更に徐々に炭酸ガス濃度を高め、苺の呼
吸量を抑制する方法も提案されているが、この方法は炭
酸ガスを別に用意したり、炭酸ガス濃度の制御装置等が
必要で、かなり高価なものとなってしまう大きな欠点を
もっている。
前記先行発明は、苺を厚さ0.04〜0.08mm低密度ポリエチ
レンフィルムで密封し、−0.5〜5.0℃で暗室に静置する
ことにより、4週間以上の長期間にわたって変敗するこ
となく貯蔵できるようにしたものである。
しかしながら、価格の高騰防止と安定供給のために更に
長期間の保管貯蔵が要望されている。
本発明は、前記の問題点を解消し、鮮度が高く、長期間
にわたって苺果実を貯蔵する方法を提供することを目的
としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね
た結果、苺果実を冷蔵貯蔵する際の雰囲気、条件、包装
材の選択によって従来の貯蔵期間を著しく延長しうるこ
とを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 1.二酸化炭素及び酸素のガス透過度の比が(CO2/O2
2〜7、酸素ガス透過度が500cc/m2/24h以下の範囲であ
るフィルムの製袋内に、苺と共に二酸化炭素もしくは二
酸化炭素発生剤、及び吸水剤を封入し、二酸化炭素濃度
を2〜20%とし貯蔵温度を−1〜5℃以内の設定温度で
±0.5℃以内に保つことを特徴とする苺果実の長期貯蔵
方法。
2.フィルムが、ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリプ
ロピレン又は二軸延伸ポリスチレンである前記1記載の
苺果実の長期貯蔵方法。
3.エチレン吸収剤を同封する前記1又は2記載の苺果実
の長期貯蔵方法。
を要旨としている。
〔作用〕
本発明の構成と作用を説明する。
本発明では、下記条件の包装形態で、苺果実を+5℃か
ら−1℃で冷蔵保管する。本発明における吸水剤は、カ
ビの発生を防止するものであり、エチレン吸収剤は、苺
果実の熟成の防止に有効である。二酸化炭素又は二酸化
炭素発生剤は、果実の鮮度保持のため必要であり、雰囲
気中のCO2濃度が2%〜20%の範囲で鮮度保持効果が大
であるが、20%以上では炭酸ガス障害が発生する。苺果
実をポリエチレン袋で封入するのは、水分の蒸発防止の
ためで、前記のCO2濃度、O2濃度を所定範囲に維持する
ため、そのガス透過性は重要である。
また、第1図に示すように苺はへたを下にして2段積以
上にしない。これは傷の防止のため必要な処置である。
脱酸素剤は高温で保管する時必要である。使用量が0〜
1.0%では、エタノール、アセトアルデヒドが発生し、
低酸素ガス障害が起こる。1.1〜10.0%の範囲では低濃
度程鮮度保持効果が大である。なお、10.1%以上ではか
えって苺果実は軟化しやすい状態となる。
〔実施例〕
本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限
定されるものではない。
実施例 苺の貯蔵テスト方法として選択した条件は以下のとおり
である。
苺 ……女峰 フィルムの比較……低密度PE40μ、60μ・高密度PE
40μ、60μ エチレン吸収剤……HF−C(S−1) 炭酸ガス発生剤……バイタロンXC300 貯蔵温度 ……0℃ テスト期間 ……平成2年3月13日テスト開始〜
平成2年5月14日テスト終了 上記テストに使用したフィルムの特性は、第2表に示す
ものであった。
鮮度を保持する包装形態は第2図(イ)(ロ)および
(ハ)に示す形態を採用し、これらのものについて、苺
の品質、袋内のガス濃度の関係を測定し、その結果を第
3表の1、同2、第4表の1、同2にまとめて示すと共
にそれらの関係を図面に示したのが第3〜14図である。
以上のテスト結果を総括すると次のとおりとなる。
フィルムの種類について 鮮度保持方法について (イ)苺の良品率の関係について 第7図より……フィルム+吸水シート+炭酸ガス+エチ
レン≧フィルム+吸水シート+エチレン>>フィルム+
吸水シートの順に良品率は低下する。
(ロ)苺の硬度の関係について 第8図より……フィルム+吸水シート+炭酸ガス+エチ
レン≧フィルム+吸水シート+エチレン>>フィルム+
吸水シートの順に硬度は低下する。
(ハ)苺の糖度の関係について 第9図より……フィルム+吸水シート+炭酸ガス+エチ
レン≧フィルム+吸水シート+エチレン>>フィルム+
吸水シートの順に糖度は低下する。
以上の点から今回のテスト結果より苺の鮮度保持につい
て フィルムは……高密度ポリエチレンが優れていた。
フィルムの厚さは……PE60μの方が良かった。
鮮度保持方法としては 〔発明の効果〕 本発明は、以上説明したように構成されているから、苺
果実の冷蔵保管期間で50日間以上可能となり、販売店の
ロスが少なくなり、価格が安定し、外国からの輸入が可
能となるなどの効果が奏され、産業上きわめて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法による苺果実の包装状態を示す斜視
図、第2図(イ)(ロ)(ハ)は本発明の効果を試験す
る形態の説明図、第3〜14図はテストの結果を示したグ
ラフであり、第15図は包装内のガスの存在状態の説明図
である。 1……苺果実,2……ダンボール箱,3……吸水剤,4……ポ
リエチレン袋,5……フィルム,6……吸水シート,7……紙
製トレー,8……エチレン吸収剤,9……炭酸ガス発生剤

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二酸化炭素及び酸素のガス透過度の比が
    (CO2/O2)2〜7、酸素ガス透過度が500cc/m2/24h以
    下の範囲であるフィルムの製袋内に、苺と共に二酸化炭
    素もしくは二酸化炭素発生剤、及び吸水剤を封入し、二
    酸化炭素濃度を2〜20%とし貯蔵温度を−1〜5℃以内
    の設定温度で±0.5℃以内に保つことを特徴とする苺果
    実の長期貯蔵方法。
  2. 【請求項2】フィルムが、ポリエチレンフィルム、二軸
    延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリスチレンである請
    求項1記載の苺果実の長期貯蔵方法。
  3. 【請求項3】エチレン吸収剤を同封する請求項1又は2
    記載の苺果実の長期貯蔵方法。
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JP2851286B2 (ja) * 1988-12-08 1999-01-27 大日本印刷株式会社 農産物の鮮度保持方法

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