JP2626403B2 - 青果物生鮮保存容器の密封方法と青果物生鮮保存包装体 - Google Patents

青果物生鮮保存容器の密封方法と青果物生鮮保存包装体

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JP2626403B2
JP2626403B2 JP8510192A JP8510192A JP2626403B2 JP 2626403 B2 JP2626403 B2 JP 2626403B2 JP 8510192 A JP8510192 A JP 8510192A JP 8510192 A JP8510192 A JP 8510192A JP 2626403 B2 JP2626403 B2 JP 2626403B2
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container
sealing
fresh
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corner
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和雄 平
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特殊な段ボール紙で構成
した包装材を用い特殊なシール方法を用いて青果物の鮮
度を保持する青果物生鮮保存容器の密封方法及びこうし
て包装された青果物生鮮保存包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】青果物の鮮度を保持するために従来種々
の試みがされている。例えば、非透湿性の包装材で包装
して水分の発散を防止したり、保存温度を低くしたり、
脱酸素剤を使用して呼吸を抑さえたり、エチレンガスを
吸着して追熟を防ぐ等種々の方法が提案されている。例
えば、特公昭38−2757号公報には高圧法ポリエチ
レンフイルムを用いて青果物を包装し冷蔵して水分の蒸
散と追熟を防止して保存することが述ベられている。ま
た、特開昭61−216640号公報には炭酸ガスと酸
素の透過度比(Qco/Qo)が3〜4の合成樹脂
フイルムを用いて青果物を包装して呼吸を制御して保存
することが述べられている。しかしながらこのようなフ
イルムを使用しても十分な青果物の鮮度保持効果が得ら
れなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では青果物
の鮮度がなぜ失われるのかその基本的な問題の解明が不
十分であったため、鮮度保持の課題が満足できる程度ま
で解決できなかったのである。本発明者らの研究による
と、青果物は、保存中も生活反応を示し、呼吸もすれ
ば、植物ホルモンや酵素も作用する。そのため、例えば
保存雰囲気中にエチレンガスが存在すれば老化ホルモン
が活発に分泌され老化が促進される。また、保存雰囲気
は青果物の呼吸により組成が変化し、酸素が余り少なく
なり、炭酸ガスが多くなると無気呼吸をおこないアルコ
ール醗酵が進みアルデヒドやエタノールを発生させ鮮度
は落ちて行く。しかし、一方酸素が多いと呼吸が激しく
行われ成熟が進行してしまう。このように青果物の鮮度
を維持するには保存雰囲気の組成が重要な作用を奏し、
炭酸ガスだけでなく酸素の量も適正な値に制御しなけれ
ばならない。また、青果物は殆んどの作物で80〜95
%と高含水率であり、これらが低湿度下に放置された場
合、果皮や葉などの組織より激しく水分が蒸散し、この
水分損失は直ちに萎凋を引き起こして鮮度は低下する。
通常5%以上の水分が失われると何等かの外観的変化を
生じる。
【0004】本発明者等はこの様な植物の生理に着目
し、保存雰囲気のガスの組成を調整することを研究し
た。その結果、青果物の鮮度を保持するためには、水
分の蒸散を抑制すること、保存雰囲気の酸素の存在量
を調整し、1〜16%好ましくは2〜12%の範囲にす
ること、保存雰囲気の炭酸ガスの存在量をできるだけ
少なくし、0〜20%好ましくは2〜15%の範囲にす
ることが必要である事を解明した。
【0005】そして、本発明者は、「27℃における炭
酸ガス透過係数Pcoが、15×10−10cm
(STP)cm/(cm・s・cmHg)以上でか
つ、炭酸ガス透過係数Pcoと酸素透過係数Po
比が4.2以上であり、水蒸気透過係数PH0が80
×10−9cm(STP)cm/(cm・s・cm
Hg)以下である合成樹脂フイルムからなる、青果物鮮
度保持包装材」発明を特許出願した。これが特願平2−
103131号発明である。
【0006】本発明者は更に研究を進め、広く使用され
ている段ボールで構成された容器を青果物生鮮保存作用
を奏するように改善することに成功した。更に研究を行
ない、段ボールで構成された容器は段ボールの構造によ
り通常のシール方法では密封することができないことを
解明し本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】保存雰囲気は青果物の呼
吸により組成が変化し、組成は平衡状態を保つ方向に移
動し平衡状態が保たれる。この平衡状態が無気呼吸をお
こなわない、老化ホルモンの分泌が少なく老化促進のな
いしかも呼吸はしているが呼吸量の少ない状態であれば
青果物の鮮度は長く保持される。つまり、保存雰囲気の
呼吸により生成した炭酸ガスを外部にできるだけ多く放
出し、外部から適度の酸素を保存雰囲気中に導入して保
存雰囲気を上記の範囲にバランスさせることにより青果
物を休眠状態に成して鮮度を保持するのである。
【0008】本発明者等はこの様な状態を作り出すため
に種々研究の結果、包装材料の改良を行わないかぎり青
果物を休眠状態にすることができないという新しい知見
を得て段ボール包装材料の改良を行った。ところが段ボ
ールで構成された容器は気密が保ち難かった。種々研究
の結果その原因が段ボールの外ライナー、内ライナー、
中芯からなる構造にあることを解明したがこの構造によ
りもたらされる通気性を遮断しても気密の破れることが
多く、その原因を研究した結果コーナー部のシールが不
十分であることを知り本発明を完成した。
【0009】本発明は、「(1) (A) 27℃にお
ける炭酸ガス透過係数が5×10−10cm(ST
P)cm/(cm・s・cmHg)以上である外側ラ
イナーと、 (B)内側ライナーとからなる段ボール紙で構成した容
器外面に露出する段ボール紙の端部が封止テープにより
実質的に封鎖された、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透
過係数の比Pco/Poが1.5以上である青果物
生鮮保存容器において、 (C)a.容器の底部と蓋部の段ボールの突き合せ部及
び重ね合せ部に、密封シートを貼着して、内部を密封す
るとともに、b. 容器の側面部の段ボールの貼り合せ部の外面に露出
する段ボール紙の端部を必要に応じて通気調整域を残し
て密封テープを貼着しc. 各コーナー部に各辺の長さより長い密封シートを
ーナー部で直交する容器の両側面と蓋もしくは底のいず
れか2面に貼着し、シート状物のこれらの面に貼着しな
かった端部を折り曲げて残りの面に貼着し、シート状物
のこれらの面に貼着しなかった端部を互いに貼合す
とによりコーナー部の角を頂点とする三角形の貼合片
形成してコーナー部を包囲して密封し、貼合片を形成せ
ず貼合片の外側にはみだした密封シート端部を容器に貼
着して貼合片を容器に固定して、密封することを特徴と
する、青果物生鮮保存容器の密封方法。 (2) コーナー部の密封が容器の1面に貼着した密封
シートの端部を折り曲げてその1部を他の2面に貼着し
残りの部分を互いに貼合して三角形状の貼合片を形成し
てコーナー部を包囲した密封である、1項に記載された
青果物生鮮保存容器の密封方法。 (3) 貼合片形成せずはみ出した密封シート端部を
利用して、貼合片を容器に貼着した密封シートの背面に
貼着して固定した、1項または2項に記載された青果物
生鮮保存容器の密封方法。 (4) 内側ライナーが27℃における透湿度が100
g/(m・day)以下の樹脂層を最内層に配設した
ライナー材で構成した段ボール容器を使用した、1項な
いし3項のいずれか1項に記載された青果物生鮮保存容
器の密封方法。 (5) 外側ライナーが27℃における炭酸ガス透過係
数が5×10−10cm(STP)cm/(cm
s・cmHg)以上の樹脂被覆を最外層に配設したライ
ナー材で構成された段ボール容器を使用した、1項ない
し4項のいずれか1項に記載された青果物保存容器の密
封方法。 (6) (A) 27℃における炭酸ガス透過係数が5
×10−10cm(STP)cm/(cm・s・c
mHg)以上である外側ライナーと、 (B)内側ライナーとからなる段ボール紙で構成した容
器外面に露出する段ボール紙の端部が封止テープにより
実質的に封鎖された、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透
過係数の比Pco/Poが1.5以上である青果物
生鮮保存容器に青果物を収納し、(C) 容器の底部と蓋部の段ボールの突き合せ部及び重
ね合せ部に、密封シートを貼着して、内部を密封する青
果物生鮮保存包装体において(D)a. 容器の側面部の段ボールの貼り合せ部の外面
に露出する段ボール紙の端部を必要に応じて通気調整域
を残して密封テープを貼着して密封し、 .各コーナー部に各辺の長さより長い密封シートを
ーナー部で直交する容器の両側面と蓋もしくは底のいず
れか2面に貼着し、シート状物のこれらの面に貼着しな
かった端部を折り曲げで残りの面に貼着し、シート状物
のこれらの面に貼着しなかった端部を互いに貼合す
とによりコーナー部の角を頂点とする三角形の貼合片
形成してコーナー部を包囲して密封し、貼合片を形成せ
ず貼合片の外側にはみだした密封シート端部を容器に貼
着して貼合片を容器に固定したことを特徴とする青果物
生鮮保存包装体。」に関する。
【0010】
【作用】本発明の作用をまず使用する容器の性能につい
て説明し、ついで密封方法について説明する。段ボール
は、外側ライナーと中芯および内側ライナーによって構
成され、中芯は衝撃を吸収する作用を奏するため、波板
状に形成されている。この段ボールの構造が、青果物の
生鮮保存に重要な保存雰囲気の形成と維持に重大な影響
を与える。段ボールを構成する紙は透湿性、通気性を有
するので、容器の壁を通して保存雰囲気の変化が生じ
る。
【0011】 そのため本発明者は、外部に露出する端
部を封じた上で容器の壁に種々の加工処理をほどこした
が効果がみられなかった。何故密封できないのか更に研
究した結果段ボールの構造に起因することが明らかにな
った。段ボールで容器を組み立てると、段ボールの容器
内に開口する端面の中芯の波板の溝が、外側ライナーの
壁と連通するため、容器内と外部が外側ライナーと中芯
の溝を通して連通してしまい、保存雰囲気は変化するの
である。このことは本発明者により初めて解明された事
実である。この結果段ボール容器の内側面をいかに処理
しても、容器内のガスは、中芯の溝を通って露出した端
部と外側ライナーの壁から脱出し、外気は逆のコースを
通って容器内に入って来るのである。
【0012】この新知見に基づき、本発明者は、段ボー
ル容器を青果物の生鮮保存に適用するためには少なくと
も外部に露出する端部を密封する必要があること、およ
び段ボールの外側ライナーを、 27℃における炭酸ガ
ス透過係数Pcoが、5×10−10cm(ST
P)cm/(cm・s・cmHg)以上である外側ラ
イナーとすること、こうして、密封した容器の炭酸ガス
透過係数と酸素透過係数の比Pco/Poを1.5
以上とすることが絶対に必要であることを解明してこの
課題を解決した。
【0013】また内側ライナーは青果物の生活反応によ
り水分が放出され、これを吸収すると容器の強度が低下
するだけでなく、容器内湿度を低下し、青果物の脱水を
助長するので27℃で100g/(m・day)以下
の透湿度のライナー材で構成することが望ましい。例え
ば、内側ライナーを27℃における透湿度が100g/
(m・day)以下の樹脂層を最内層に配設したライ
ナー材で構成すると要求される性能を満たす内側ライナ
ーとなる。勿論ライナー材を樹脂を含浸させる等の加工
をして透湿度を調整してもよい。
【0014】また外側ライナーは、27℃における炭酸
ガス透過係数が5×10−10cm(STP)cm/
(cm・s・cmHg)以上の樹脂被覆を最外層に配
設したライナー材で構成すると密封したとき要求される
性能を満たす外側ライナーとなる。
【0015】ここで重要なことは上記の被覆を最外層に
配設することである。内層に被覆を配設してもガスは外
側ライナーを通過して放出され、また逆コースで流入す
る。したがって外側ライナーの最外層のガス透過を制御
しなければならない。つまり、最外層が上記の炭酸ガス
透過係数であれば容器の壁を通してのガスの出入りは制
御され、外部に露出する段ボール端部を密封シートで密
封すれば中芯の溝を通してのガスの放出流入を遮断する
こともできるのである。また内側ライナーの最内層の透
湿度を制御することにより段ボールの吸湿や青果物の脱
水も防止出来る。
【0016】更に段ボール容器は、組立てたとき上下の
底と蓋の部分は通常粘着シートで密封されるが、側面部
は見逃され易い。ところが側面部は段ボール紙が貼り合
されて容器を形成しているが外側になる段ボール紙の端
面は外部に露出しておりこの面から中芯の溝を通って同
様にガスの出入りが行われる。本発明はこの側面の貼合
部の段ボール端面を利用し、容器に収納する青果物に応
じて該端面の密封を調節して容器内の青果物の呼吸によ
るガス組成の変化を調整することが出来る特徴を有して
いる。勿論完全に密封してもよい。
【0017】つぎに本発明の最も重大な特徴であるコー
ナー部の密封について説明する。前記の要求を全て満足
した容器であってもなお、密封が不充分となることが多
くみられた。この点について本発明者が研究した結果、
段ボール容器には密封の破れ易い部分があることがわか
った。段ボール容器の各コーナー部分がその箇所であ
る。段ボール容器のコーナー部はその三面が直交する構
造上段ボールの端部断面が多く存在し、また材質が紙で
あるので精密な突合わせ等により密封することが出来ず
どうしても隙間が発生することが多い。そして密封シー
トを貼着してもコーナー部は直角に交わる三面により構
成されるので、密封シートがコーナー先端の角部には貼
着しない。また1枚のシートをこのような容器の三面に
貼着するのでシワが発生し易く、そのためコーナーの角
部は外部と通じ易い。
【0018】 そこで本発明は、各コーナー部に各辺の
長さより長い密封シートをコーナー部で直交する容器の
両側面と蓋もしくは底のいずれか2面に貼着し、シート
状物のこれらの面に貼着しなかった端部を折り曲げて残
りの面に貼着し、シート状物のこれらの面に貼着しなか
った端部を互いに貼合すことによりコーナー部の角を
頂点とする三角形の貼合片を形成してコーナー部を包囲
して密封し、貼合片を形成せず貼合片の外側にはみだし
た密封シート端部を容器に貼着して貼合片容器に固定
する。このようにしてコーナー部の角を頂点とする三
形状の貼合片が形成されコーナー角部は密封シートによ
り完全に包まれて密封され、密封シートにシワの発生が
ない。また請求項2に示すように密封シートを容器の一
面に貼着し端部を折り曲げて1部を他の2面に貼着し、
残りの端部を互いに貼合しても同様なコーナーを頂点と
する三角形状の貼合片が形成される。
【0019】ところがこのような貼り合わせを行なう
と、貼り合ったシートの貼合片は、コーナー近傍で外方
に立ち上がり、取扱いにくいばかりでなく、また互いに
貼合しなかった接着部分が残存するのでこの部分が他の
物に接着しひきちぎられたりする危険がある。そこで、
互いに貼合した密封シートの貼合片を残存する接着層を
利用して容器または容器に貼着した密封シートに貼合固
定するのである。
【0020】そして、本発明の容器を用いて青果物を保
存するには、本発明で用いる段ボール容器に青果物を収
納し、外部に露出する段ボール端面を密封シートで封す
るとともに最も密封の破れ易いコーナー部分を上記のよ
うに密封シートを貼合して密封し、ついで側面部の段ボ
ールの開口端部を青果物の種類により適切な通気調整域
を残して密封して、容器の炭酸ガス透過係数と炭素透過
係数の比 Pco/Poを1.5以上に調節するこ
とにより、青果物を休眠状態となし、長期間青果物を生
鮮保存することができる。
【0021】後に比較試験で説明するが、本発明の外側
ライナーの炭酸ガス透過係数や容器の炭酸ガス透過係数
と酸素透過係数の比が、夫々本発明の特定範囲内にない
と青果物の生鮮保存が出来ない。またコーナーのシール
方法を本発明のシール法以外に変更すると青果物の生鮮
保存は不可能となる。
【0022】
【実施例】図1は本発明の段ボール容器の壁体の一部断
面図である。1は外側ライナーでその最外層に樹脂被覆
4が配設されているので外ライナーの壁面を通してのガ
スの出入りは樹脂被覆層により制御される。2は中芯で
波形であり連通溝6が形成されている。3は内側ライナ
ーであって、最内層に防湿性樹脂被覆5が配設されてい
るので湿気の樹脂層を通しての移動が制御される。
【0023】図2は本発明の組立てられた段ボール容器
7の斜視図である。蓋および底の段ボール端部露出部は
密封シート8により密封されている。コーナー部9も密
封されていることが理解される。
【0024】図3は本発明の段ボール容器の側面の段ボ
ール貼着部の外部に露出する段ボール端部10を密封シ
ートで密封したところを示す。図3では段ボール端部1
0を全て密封しているが一部を通気調整域として残して
もよい。
【0025】 図4はコーナーの密封部を示す。面1
3、14、15に密封シートが貼着されている面15
に貼着されなかったシートの端部を面141側に折り曲
げて面14に貼着すると面14のシート端部が存在する
ため両端部は互いに接触する。こうして面15に貼着し
なかった端部と面14に貼着しなかったシートの端部と
が貼合するとコーナー角部を頂点とする三角形状の貼合
片11が形成され角部は密封シートにより完全に包囲さ
れる。貼合片は貼合しなかった密封シートのはみ出し部
12により容器に貼着され固定される。 この例で、密封
シートを面13と面14に貼着し両面に貼着しなかった
密封シートの端部を夫々面15側に折り曲げて面15に
貼着し、残りのシート端部を互いに貼着すると貼合片は
面15側に形成される。また面15と14に密封シート
を貼着して同様に貼着しない端部を面13側に折り曲げ
て面13に貼着すれば貼合片は面13側に形成される。
いずれの面に形成されてもコーナー部の包囲は同じであ
り、効果に変りはない。
【0026】次に以下の実施例に使用する各種フイルム
及びおよび段ボール容器の27℃における、ガス、水蒸
気の透過特性についての評価を説明する。
【0027】(1) フイルムのガス透過性 測定には、市販のガスクロマトグラフィーを検出器とす
る混合ガス透過度測定装置(LYSSY GPM−20
0)を用いた。フイルムの流入側ヘは炭酸ガスと空気を
体積比1:4の混合比で常圧にて流し、排出側にはヘリ
ウムガスをキャリヤーガスとして用い、排出側のガス組
成を時々刻々測定し、各々のガスのカウント数を予め作
成した検量線で補正し、各時刻における透過量を求め、
それらの点より最小自乗法により勾配を求め、使用した
フイルムの厚みおよび透過セルの有効面積を考慮して透
過係数Pco(cm(STP)cm/(cm・s
・cmHg)を算出した。測定は、透過セルおよびチャ
ンバーを27℃に一定に保ち行なった。
【0028】(2) 水蒸気透過性 測定には市販の水蒸気透過度テスター(LYSSY L
80−4000型)を使用し、標準サンプルとして25
μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムを
予めカップ法にて透湿度を測定して用いた。この方法に
よると水蒸気の透過度としてg/(m・day)の単
位で求められ、これを被覆ライナーの水蒸気透過性の指
標とした。
【0029】(3) 段ボール容器のガス透過性 段ボール容器を空の状態で密封した上で27℃での透過
特性の測定を行なった。炭酸ガスの場合には、容器内部
を窒素80:炭酸ガス20(体積比)の混合ガスで置換
した後、このガス組成の時間変化をガスクロマトグラフ
ィーにより測定し得られる曲線より、圧力差0.2at
mでの透過度を求めた。また酸素の場合には、内部を完
全に窒素置換した後、同様の方法にて酸素濃度の時間変
化曲線を測定し、圧力差0.2atmでの透過度を求め
た。このようにして得られる透過度の単位はcc(ST
P)/hr(標準状態換算)であるが、被覆樹脂の厚み
および端部乃至コーナー部のシールに用いられる部分を
除いた有効表面積を考慮して透過係数Pco、Po
(cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)を
算出した。そして、この両者の値より透過係数比Pco
/Poを求めた。上記いずれの測定においても3回
の測定の算術平均値をもって測定値とした。次に比較試
験の結果を示し本発明の効果を明らかにする。
【0030】〔比較試験1〕 実施例1 坪量220g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、
LDPE(ρ=0.918)と超低密度LLDPE(ρ
=0.905)の60:40のブレンドものを使用し、
膜厚20μmにて押出しラミネーションを行なった。こ
れを樹脂被覆面を外面側として外側ライナーとして用
い、坪量160g/mの中芯、内面側にLDPE(ρ
=0.915)を30μmの膜厚で被覆した坪量220
g/mの内側ライナーとともに水性ボンドにて貼合
し、段ボール板紙を得た。更に型抜き、製函を行ない、
A−1形段ボール(長さL=400、幅W=140、高
さH=100mm)を作成した。樹脂被覆外側ライナー
のPcoは16.0×10−10(cm(STP)
cm/(cm・s・cmHg)であり、樹脂被覆内側
ライナーの透湿度は37.5g/(m・day)であ
った。上記の段ボールについて、収穫後5℃の真空予冷
庫で2時間予冷したにらを500g詰めた後に、幅40
mmの二軸延伸ポリプロピレンを基材とする粘着テープ
用いて図3のように完全密封した。コーナー部の密封は
図4のようにした。
【0031】比較例1 底部と蓋部の段ボールの突き合わせ部のみに粘着テープ
を貼ってI字型にシールした以外は実施例1と同様にし
た。
【0032】比較例2 コーナー部9を密封しない以外は実施例1と同様にし
た。
【0033】比較例3 樹脂被覆のない従来の段ボールを図3の通り密封した。
【0034】試験方法 各々の種類で5ケースずつ作成し、20℃、60%RH
の雰囲気に保存した。6日間貯蔵の後開封し、にらの
黄変およびトロケ、萎れ、そして重量減少率の評価
を行なった。、については、総個体中で変化が認め
られたものの割合(%)、については総初期重量を基
準とした減少率(%)で表した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1や比較例2の封緘方法では、段ボ
ールのフラップ重ね合わせ部やコーナー部を通してガス
の出入り、特に酸素の供給が自由に行われるため、容器
のガス透過係数比が小さく、黄変およびトロケが多く生
じた。また、蒸散による重量減少は、比較例3の樹脂被
覆を行なわないものと比較すれば抑えられているもの
の、2割程度の萎れが見られた。一方、実施例1の封緘
方法では、容器外部とのガス交換が外ライナー表面によ
り制御されるため、高いガス透過係数比に伴う多くの炭
酸ガスの排出と適度な酸素供給が行われ、収穫後6日に
おいても黄変がかなり抑制され、しかも異臭の発生もな
く、重量減も極めて少ないバランスのとれた保存性が確
保された。
【0037】〔比較試験2〕 実施例2 坪量280g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、
LDPE(ρ=0.918)と超低密度LLDPE(ρ
=0.905)の80:20のブレンドものを使用し、
膜厚30μmにて押出しラミネーションを行なった。こ
の樹脂被覆ライナー材について、気体の透過特性を評価
する一方、この樹脂被覆面を外面側として外側ライナー
として用い、坪量180g/mの中芯、内面側にLD
PE(ρ=0.918)を30μmの膜厚で被覆した坪
量280g/mの内側ライナーとともに水性ボンドに
て貼合し、段ボール板紙を得た。更に型抜き、製函を行
ない、A−1形段ボール(長さL=288、幅W=19
0、高さH=115mm)を作成した。樹脂被覆外側ラ
イナーのPcoは7.5×10−10(cm(ST
P)cm/(cm・s・cmHg)であり、樹脂被覆
内側ライナーの透湿度は37.5g/(m・day)
であった。上記の段ボールについて、9月中旬に収穫し
て予借した後、LDPE袋で密封包装して低温貯蔵庫で
2ヶ月間貯蔵した健全なカボス(品種:大分1号)を、
各々2kg詰め、幅40mmの二軸延伸ポリプロピレン
を基材とする粘着テープを用いて図2のように側面の段
ボール貼り合わせ部の露出端部を通気調整域として50
mmだけ残して密封した。コーナー部の密封は図4のよ
うにした。
【0038】実施例3 側面の段ボール貼り合わせ部の露出端部を封じて図3の
ように完全密封した以外は実施例2と同様にした。
【0039】実施例4 側面の段ボール貼り合わせ部の露出端部を封じないで図
2のように完全密封した以外は実施例2と同様にした。
【0040】試験方法 各々の種類で10ケースずつ作成し、この箱を使用した
流通を想定し、20℃、65%RHに2週間置いた後に
開封し、カボスの品質について、緑色が十分保たれて
果皮に張りのある良品率(%)、そして不良品につい
ては、それぞれA:黄化、B:ピッティング、C:褐
変、D:カビその他の発生率(%)、更に総初期重量
を基準とした重量減少率(%)を評価した。
【0041】表2にそれぞれの段ボール容器のガス透過
性、段ボール内のガス組成、およびそれらによるカボス
の貯蔵試験の結果をまとめて示した。
【0042】
【表2】 * A:黄化、B:ピッティング、C:褐変、D:カビ
その他(%)
【0043】実施例2、3、4とも、外側ライナーの炭
酸ガス透過係数、内側ライナーの透湿度、および容器の
炭酸ガス透過係数と酸素透過係数との比はそれぞれ本発
明の特定範囲内にあるものの、側面の段ボール貼り合わ
せ部の露出端部の封緘方法の違いにより、段ボール内の
ガス組成が異なっていることが理解される。即ち、実施
例3のような露出端部を完全に封じた段ボールでは、貯
蔵カボスのような呼吸量が大きな作物を入れると、段ボ
ール内の酸素濃度が低くなって無気呼吸によるピッティ
ングや褐変が発生した。また、実施例4のような露出端
部を封じない段ボールでは、逆に段ボール内の酸素濃度
が高くなって黄化果が生じた。これらに対し、実施例2
の封緘方法では、通気調整域として開けておいた50m
m幅の露出端部を通しての外気とのガス交換と、段ボー
ル内でのカボスの呼吸とがうまくバランスされ、段ボー
ル内のガス組成がカボスの保存に適したものになり、ガ
ス障害果、黄化果とも殆どなかった。このように、作物
の呼吸量に応じて、側面の段ボール開口端部を通気調整
域を残して封止することは有用である。
【0044】
【発明の効果】本発明は段ボール容器内の保存雰囲気の
ガス組成を調整することにより包装した青果物の鮮度を
保持して長期間保存することが出来る優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】段ボール紙の断面図である。
【図2】容器を密封シールで密封したところを示す説明
図である。
【図3】容器を密封シールで密封した他の例の説明図で
ある。
【図4】コーナーの密封部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 外側ライナー 2 中芯 3 内側ライナー 4 樹脂被覆 5 防湿樹脂被覆 6 連通孔 7 段ボール容器 8 密封シート 9 コーナー部 10 段ボール端部 11 貼合片 12 貼合片残部 13 容器面 14 容器面 15 容器面

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 27℃における炭酸ガス透過係
    数が5×10−10cm(STP)cm/(cm
    s・cmHg)以上である外側ライナーと、(B)内側
    ライナーとからなる段ボール紙で構成した容器外面に露
    出する段ボール紙の端部が封止テープにより実質的に封
    鎖された、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比
    Pco/Poが1.5以上である青果物生鮮保存容
    器において、(C)a.容器の底部と蓋部の段ボールの
    突き合せ部及び重ね合せ部に、密封シートを貼着して、
    内部を密封するとともに、b, 容器の側面部の段ボールの貼り合せ部の外面に露出
    する段ボール紙の端部を必要に応じて通気調整域を残し
    て密封テープを貼着しc. 各コーナー部に各辺の長さより長い密封シートを
    ーナー部で直交する容器の両側面と蓋もしくは底のいず
    れか2面に貼着し、シート状物のこれらの面に貼着しな
    かった端部を折り曲げて残りの面に貼着し、シート状物
    のこれらの面に貼着しなかった端部を互いに貼合す
    とによりコーナー部の角を頂点とする三角形の貼合片
    形成してコーナー部を包囲して密封し、貼合片を形成せ
    ず貼合片の外側にはみだした密封シート端部を容器に貼
    着して貼合片を容器に固定して、密封することを特徴と
    する、青果物生鮮保存容器の密封方法。
  2. 【請求項2】 コーナー部の密封が容器の1面に貼着し
    た密封シートの端部を折り曲げてその1部を他の2面
    貼着し残りの部分を互いに貼合して三角形状の貼合片
    形成してコーナー部を包囲した密封である、請求項1に
    記載された青果物生鮮保存容器の密封方法。
  3. 【請求項3】 貼合片形成せずはみ出した密封シート
    端部を利用して、貼合片を容器に貼着した密封シートの
    背面に貼着して固定した、請求項1または2に記載され
    た青果物生鮮保存容器の密封方法。
  4. 【請求項4】 内側ライナーが27℃における透湿度が
    100g/(m・day)以下の樹脂層を最内層に配設
    したライナー材で構成した段ボール容器を使用した、請
    求項1ないし3のいずれか1項に記載された青果物生鮮
    保存容器の密封方法。
  5. 【請求項5】 外側ライナーが27℃における炭酸ガス
    透過係数が5×10−10cm(STP)cm/(c
    ・s・cmHg)以上の樹脂被覆を最外層に配設し
    たライナー材で構成された段ボール容器を使用した、請
    求項1ないし4のいずれか1項に記載された青果物保存
    容器の密封方法。
  6. 【請求項6】 (A) 27℃における炭酸ガス透過
    係数が5×10−10cm(STP)cm/(cm
    ・s・cmHg)以上である外側ライナーと、(B)内
    側ライナーとからなる段ボール紙で構成した容器外面に
    露出する段ボール紙の端部が封止テープにより実質的に
    封鎖された、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の
    比Pco/Poが1.5以上である青果物生鮮保存
    容器に青果物を収納し、(C) 容器の底部と蓋部の段ボールの突き合せ部及び重
    ね合せ部に、密封シートを貼着して、内部を密封する青
    果物生鮮保存包装体において(D)a. 容器の側面部の段ボールの貼り合せ部の外面
    に露出する段ボール紙の端部を必要に応じて通気調整域
    を残して密封テープを貼着して密封し、b. 各コーナー部に各辺の長さより長い密封シートを
    ーナー部で直交する容器の両側面と蓋もしくは底のいず
    れか2面に貼着し、シート状物のこれらの面に貼着しな
    かった端部を折り曲げて残りの面に貼着し、シート状物
    のこれらの面に貼着しなかった端部を互いに貼合す
    とによりコーナー部の角を頂点とする三角形の貼合片
    形成してコーナー部を包囲して密封し、貼合片を形成せ
    ず貼合片の外側にはみだした密封シート端部を容器に貼
    着して貼合片を容器に固定したことを特徴とする青果物
    生鮮保存包装体。
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JPH082241B2 (ja) * 1990-04-20 1996-01-17 東洋製罐株式会社 青果物鮮度保持包装材と包装方法および包装体

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