JP2576334B2 - 青果物生鮮保存容器と生鮮保存方法及び青果物生鮮保存包装体 - Google Patents

青果物生鮮保存容器と生鮮保存方法及び青果物生鮮保存包装体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特殊な段ボール紙で構成
した包装材を用いて青果物の鮮度を保持する包装容器と
保存方法及び青果物生鮮保存包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】青果物の鮮度を保持するために従来種々
の試みがされている。例えば、非透湿性の包装材で包装
して水分の発散を防止したり、保存温度を低くしたり、
脱酸素剤を使用して呼吸を抑さえたり、エチレンガスを
吸着して追熟を防ぐ等種々の方法が提案されている。例
えば、特公昭38−2757号公報には高圧法ポリエチ
レンフイルムを用いて青果物を包装し冷蔵して水分の蒸
散と追熟を防止して保存することが述べられている。ま
た、特開昭61−216640号公報には炭酸ガスと酸
素の透過度比(Qco/Qo)が3〜4の合成樹脂
フイルムを用いて青果物を包装して呼吸を制御して保存
することが述べられている。しかしながら、このような
フイルムを使用しても十分な青果物の鮮度保持効果が得
られなかった。また、特開平1−317354号公報に
は、段ボール箱内を貯蔵ガス組成にして冷却して保存す
る方法が述べられているが、段ボールは構造上外と連通
するので効果なかった。特開平2−233381号公報
には、段ボールの酸素と炭酸ガスの透過性を調節した箱
が示されているが、単に両ガスの透過性を限定しただけ
では雰囲気のガスの組成は必要な組成にならないので、
やはり効果がなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では青果物
の鮮度がなぜ失われるのかその基本的な問題の解明が不
十分であったため、鮮度保存の課題が満足できる程度ま
で解決できなかったのである。
【0004】本発明者らの研究によると、青果物は、保
存中も生活反応を示し、呼吸もすれば、植物ホルモンや
酵素も作用する。そのため、例えば保存雰囲気中にエチ
レンガスが存在すれば老化ホルモンが活発に分泌され老
化が促進される。また、保存雰囲気は青果物の呼吸によ
り組成が変化し、酸素が余り少なくなり、炭酸ガスが多
くなると無気呼吸をおこないアルコール醗酵が進みアル
デヒドやエタノールを発生させ鮮度は落ちて行く。しか
し、一方酸素が多いと呼吸が激しく行われ成熟が進行し
てしまう。このように青果物の鮮度を維持するには保存
雰囲気の組成が重要な作用を奏し、炭酸ガスだけでなく
酸素の量も適正な値に制御しなければならない。
【0005】また、青果物は殆んどの作物で80〜95
%と高含水率であり、これらが低湿度下に放置された場
合、果皮や葉などの組織より激しく水分が蒸散し、この
水分損失は直ちに萎凋をひき起こして鮮度は低下する。
通常5%以上の水分が失われると何等かの外観的変化を
生じる。
【0006】本発明者等はこの様な植物の生理に着目
し、保存雰囲気のガスの組成を調整することを研究し
た。その結果、青果物の鮮度を保持するためには、水
分の蒸散を抑制すること、保存雰囲気の酸素の存在量
を調整し、1〜16%好ましくは2〜12%の範囲にす
ること、保存雰囲気の炭酸ガスの存在量をできるだけ
少なくし、0〜20%好ましくは2〜15%の範囲にす
ることが必要である事を解明した。
【0007】そして、本発明者は、上記保存雰囲気を形
成する包装材として、27℃における炭酸ガス透過係数
Pcoが、15×10−10cm(STP)cm/
(cm・s・cmHg)以上でかつ、炭酸ガス透過係
数Pcoと酸素透過係数Poの比が4.2以上であ
り、水蒸気透過係数PHOが80×10−9cm
(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下であ
る合成樹脂フイルムからなる、青果物鮮度保持包装材の
発明を完成した。これが特願平2−103131号発明
である。本発明者は更に研究を進め、広く使用されてい
る段ボールで構成された容器を青果物生鮮保存作用を奏
するように改善することに成功した。
【0008】
【課題を解決するための手段】保存雰囲気は青果物の呼
吸により組成が変化し、組成は平衡状態を保つ方向に移
動し平衡状態が保たれる。この平衡状態が無気呼吸をお
こなわない、老化ホルモンの分泌が少なく老化促進のな
いしかも呼吸はしているが呼吸量の少ない状態であれば
青果物の鮮度は長く保持される。つまり、保存雰囲気の
呼吸により生成した炭酸ガスを外部にできるだけ多く放
出し、外部から適度の酸素を保存雰囲気中に導入して保
存雰囲気を上記の範囲にバランスさせることにより青果
物を休眠状態に成して鮮度を保持するのである。本発明
者等はこの様な状態を作り出すために種々研究の結果、
包装材料の改良を行わないかぎり青果物を休眠状態にす
ることができないという新しい知見を得て包装材料の改
良を行い本発明を完成した。
【0009】本発明は、 まず、外ライナーの炭酸ガス透過係数Pco2が5
×10−10cm(STP)cm/(cm・s・c
mHg)以上でないと他の条件をいかに変えても保存雰
囲気は満足できる状態にならないこと、 次に容器の炭酸ガス透過係数Pcoと酸素透過係
数Poの比が1.5以上である事が必要である。1.
5以下では炭酸ガスと酸素の濃度の制御が十分に行え
ず、青果物を休眠状態に保つことができないこと、 また、内ライナーの透湿度が100g/m・da
y以下でないと包装材外部への水分の放出が多くなるた
め、包装内の青果物の水分蒸散が激しくなり萎凋を生じ
るため青果物の鮮度が保持できないこと、及び蒸散水分
がライナーや中芯に移行して箱強度が低下すること、を
解明した。したがって本発明は上記の条件の全てが互い
に組み合わされて青果物の生鮮保存の相乗効果を奏する
ものである。
【0010】 本発明は、 「(1) (A)外面側に樹脂層を配置した、27℃に
おける炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10−10
(STP)cm/(cm・s・cmHg)以上で
ある外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
で100g/m・day以下の内側ライナーとからな
る段ボール紙で構成し、容器外面に露出する段ボール紙
の端部が封止テープにより実質的に封鎖された、容器の
炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pco/Po
が1.5以上である青果物生鮮保存容器。 (2) 内側ライナーが27℃で100g/m・da
y以下の透湿度のライナー材で構成された、1項に記載
された青果物生鮮保存容器。 () 封止テープによる封緘が、底部と蓋部及びコー
ナー部の段ボール紙の端部露出面は完全に封止し、側面
の貼り合わせ部の露出端部を通気調整部分を残して封止
した封緘である、1項または2項に記載された青果物生
鮮保存容器。 () (A)外面側に樹脂層を配置した、27℃にお
ける炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10−10cm
(STP)cm/(cm・s・cmHg)以上であ
る外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
で100g/m・day以下の内側ライナーとからな
る段ボール紙で構成した容器に青果物を収納し、容器の
底部と蓋部の外面に露出する段ボール紙の端部に封止テ
ープを貼着して密封するとともにコーナー部も封止テー
プにより密封し、側面の段ボール貼り合わせ部の露出端
部は必要に応じて通気調整域を残して封止テープを貼着
して、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pc
/Poを1.5以上としたことを特徴とする、青
果物生鮮保存方法。 () (A)外面側に樹脂層を配置した、27℃にお
ける炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10−10cm
(STP)cm/(cm・s・cmHg)以上であ
る外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
で100g/m・day以下の内側ライナーとからな
る段ボール紙で構成した容器に青果物を収納し、容器の
底部と蓋部の外面に露出する段ボール紙の端部に封止テ
ープを貼着して密封するとともにコーナー部も封止テー
プにより密封し、側面の段ボール貼り合わせ部の露出端
部は必要に応じて通気調整域を残して封止テープを貼着
して、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pc
/Poを1.5以上としたことを特徴とする、青
果物包装体。」に関する。
【0011】
【作用】段ボールは、外側ライナーと中芯および内側ラ
イナーによって構成され、中芯は衝撃を吸収する作用を
奏するため、波板状に形成されている。この段ボールの
構造が、青果物の生鮮保存に重要な保存雰囲気の形成と
維持に重大な影響を与える。段ボールを構成する紙は透
湿性、通気性を有するので、容器の壁を通して保存雰囲
気の変化が生じる。
【0012】そのため、本発明者は、外部に露出する端
部を密封した上で容器の内壁に種々の加工処理をほどこ
したが効果がみられなかった。更に研究した結果段ボー
ルで容器を組み立てると、段ボールの容器内に開口する
端面の中芯の波板の溝が、外側ライナーの壁と連通する
ため、容器内と外部が樹脂被覆のない外側ライナーと中
芯の溝を通して、連通してしまい保存雰囲気は変化する
ことがわかった。このことは本発明者により初めて解明
された新規事実である。この結果段ボール容器の内側面
をいかに処理しても、容器内のガスは、中芯の溝を通っ
て外側ライナーの壁から脱出し、外気は逆のコースを通
って容器内に入って来るのである。
【0013】 この新知見に基づき、本発明者は、段ボ
ール容器を青果物の生鮮保存に適用するためには少なく
とも外部に露出する端部を密封する必要があること、お
よび外面側に樹脂層を配置した段ボールの外側ライナー
を、27℃における炭酸ガス透過係数Pcoが、5×
10−10cm(STP)cm/(cm・s・cm
Hg)以上である外側ライナーとすること、こうして、
密封した容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比P
co/Poを1.5以上とすることが絶対に必要で
あることを解明して全ての課題を解決した。
【0014】 また内側ライナーは青果物の生活反応に
より水分が放出され、これを吸収すると容器の強度が低
下するだけでなく、容器内湿度を低下し、青果物の脱水
を助長するので27℃で100g/m・day以下の
透湿度のライナー材で構成することが望ましい。容器内
面側に樹脂層を配置した内側ライナーを27℃における
透湿度が100g/m・day以下の樹脂層を最内層
に配設したライナー材で構成すると要求される性能を満
たす内側ライナーとなる。またライナー材を樹脂加工し
て上記の透湿度としてもよい。樹脂層としては均一な被
膜の他発泡樹脂被覆層も用いられる。
【0015】また外側ライナーは、27℃における炭酸
ガス透過係数が5×10−10cm(STP)cm/
(cm・s・cmHg)以上の樹脂被覆を最外層に配
設したライナー材で構成すると要求される性能を満たす
外側ライナーとなる。つまり、最外層が上記の炭酸ガス
透過係数であれば容器の壁を通してのガスの出入りは制
御され、外部に露出する段ボール端部を封止テープで封
止すれば中芯の溝を通してのガスの放出流入を遮断する
こともできるのである。また段ボールの吸湿も防止出来
る。
【0016】段ボール容器は、組立てたとき上下の底と
蓋の部分は通常粘着テープで封止されるが、側面部は見
逃され易い。ところが側面部は段ボール紙が貼り合され
ているが外側になる段ボール紙の端面は外部に露出して
おりこの面から同様にガスの出入りが行われる。本発明
はこの側面の貼合部の段ボール端面を利用し、容器に収
納する青果物に応じて該端面の封止を調節して容器内の
青果物の呼吸によるガス組成の変化を調整することが出
来る特徴を有している。
【0017】そして、本発明の容器を用いて青果物を保
存するには、容器に青果物を収納し、外部に露出する段
ボール端面を封止テープで密封するとともに最も密封の
破れ易いコーナー部分にも封止テープを貼着して密封
し、ついで側面部の段ボールの開口端部を必要に応じて
通気調整域を残して封止して、容器の炭酸ガス透過係数
と酸素透過係数の比 Pco/Poを1.5以上に
調節することにより、青果物を休眠状態となし、長期間
青果物を生鮮保存することができる。後に比較試験で説
明するが、本発明の外側ライナーの炭酸ガス透過係数や
内側ライナーの透湿度や容器の炭酸ガス透過係数と酸素
透過係数の比が、夫々本発明の特定範囲内にないと青果
物の生鮮保存が出来ない。
【0018】次に本発明に使用される樹脂層について説
明する。
【0019】外側ライナーの特性として、炭酸ガス透過
係数が、5×10−10cm(STP)cm/(cm
・s・cmHg)以上であり、かつ容器の炭酸ガス透
過係数と酸素透過係数の比Pco/Poが1.5以
上である必要性から、外側ライナーが多孔性でない密な
樹脂層より形成されねばならない。これらの要件を満足
する樹脂層としては、低密度ポリエチレンあるいはエチ
レン、α−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタ
アクリル酸などを構成成分とする樹脂、すなわちエチレ
ン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共
重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メ
タアクリル酸共重合体、更にはポリスチレン、スチレン
・ブタジエン共重合体などがあげられる。また、これら
の樹脂の透過性や紙基材との密着性を改良する目的で、
上記ベース樹脂に対してシリコーンや、無水マレイン酸
等によりグラフト変性して用いる場合もある。
【0020】本発明の透過特性の要件を満足する樹脂層
は単独の合成樹脂で形成することもできるが、上記の性
格を異にする要件をそれぞれ独立に満足する必要から複
数の合成樹脂で構成するのが望ましい。その様な合成樹
脂の代表例としてはエチレンと炭素数3ないし12のα
−オレフィン共重合体、例えばエチレン−ブテン−1共
重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−
4−メチルペンテン−1共重合体及びエチレン−オクテ
ン−1共重合体等をあげることができ、これらの樹脂か
ら選ばれた少なくとも2種以上のブレンドとして用いる
のが好ましい。またこれらのエチレンと炭素数3ないし
12のα−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレンの
ブレンド物も使用することができる。特に高い炭酸ガス
透過係数を得るには、α−オレフィンの共重合比が比較
的高い低密度エチレン−α−オレフィン共重合体あるい
は、α−オレフィンの共重合比が高いいわゆる超低密度
エチレン−α−オレフィン共重合体を主成分として用い
るのが好ましく、また、高い選択透過比を得るには、上
記の樹脂群のうち異なるモノマーより構成される少なく
とも2種類以上の樹脂、例えば低密度ポリエチレンとエ
チレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−ブテン−1
共重合体とエチレン−ヘキセン−1共重合体等の組合わ
せを選択して用いるのが好ましい。
【0021】また、本発明の透過特性の要件を満足する
樹脂層を得るための別の方法として、上記樹脂単独ある
いは複数の樹脂のブレンドをベースポリマーとしてこれ
に対して、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、
エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタ
アクリレート共重合体等のエチレン共重合体、エチレン
又はα−オレフィン−プロピレン−非共役ジエンターポ
リマー、あるいはスチレン/ブタジエン ブロック共重
合体、スチレン/イソプレン ブロック共重合体の水素
添加物等の樹脂をブレンドして用いることもできる。こ
れらの樹脂を単独樹脂として用いると、本発明の透過性
の要件の全てを満たすのが困難であること、紙とのラミ
ネート強度が低下したりラミネート後の折り曲げ加工に
よりクラック、割れが生じ易くなる傾向があるため、上
記のベースポリマーに対して90:10ないし50:5
0のブレンド比にして用いる必要がある。
【0022】このように繰返単位の異なる樹脂をブレン
ドすることで炭酸ガスと酸素の選択透過比が大きくなる
という詳細な理由は不明であるが、本発明者は分子運動
性の異なる分子鎖が異なった濃度で存在する領域があ
り、その領域での両者のガスの透過性が分子鎖濃度に依
存して変化するためであると考えている。
【0023】内側ライナーの特性としては、27℃での
透湿度が100g/m・day以下であれば、どのよ
うな樹脂を用いても良く、先の外側ライナーに使用する
樹脂のうち、エチレンを主成分とする比較的高密度の樹
脂が好ましく、それ以外に、高密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、プロピレンを主成分とする共重合体樹脂、
更には発泡体などが用いられる。この場合、吸湿による
函圧縮強度の低下をより効果的に防止するため、内側ラ
イナーの透湿度が外側ライナーの透湿度に比べて小さく
なるような素材、厚み構成を選択するのが望ましい。こ
れらの樹脂層を有するライナー材は、段ボール函として
加工を施した場合に樹脂層が割れたり、クラックを生じ
たり、あるいは使用時において、この種の欠陥やデラミ
ネーションを生じないことが所期の容器性能を確保する
上で重要となる。特に、外側ライナーの樹脂層に割れ、
デラミなどが生じると容器の透過係数比Pco/Po
を1.5以上に確保するのが困難となる。
【0024】これらの樹脂層には、それ自体公知の処方
に従ってフェノール系、有機硫黄系、有機窒素系、有機
リン系等の酸化防止剤乃至は熱安定性剤や、金属石ケン
や他の脂肪酸エステルなど脂肪酸誘導体等の滑剤、防曇
剤や、帯電防止剤、炭酸カルシウム、ホワイトカーボ
ン、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネ
シウム、カーボンブラック、各種クレイ、天然乃至合成
ゼオライト等の無機物系充填剤或いは他の着色料等の配
合剤をそれ自体公知の配合比で配合することができる。
【0025】被覆樹脂層の厚みは、使用する樹脂の種類
やその物理的強度により、また用いる紙の性質の関係、
場合により、包装対象となる青果物の種類、保存温度等
を考慮して適切に設定する必要があるが、一般的には5
〜60μm程度好ましくは10〜40μmが適当であ
る。
【0026】本発明において使用する樹脂のメルトイン
デックス(MI)には、特に制限はないが、例えばMI
値が0.1〜30g/10分、好ましくは0.1〜10
g/10分(JISK6760に準拠)程度のものを使
用するのが好ましい。
【0027】本発明の樹脂層は、一般に押出しラミネー
ションあるいは樹脂フイルム、シート等のラミネートに
より形成することが出来る。また、紙との密着性や樹脂
被覆層の表面特性を改善する目的で多層ダイを用いたラ
ミネーション、あるいはあらかじめ多層ダイにて製膜し
た多層フイルムを用いることができる。また、各ライナ
ー材の最外層に所定の樹脂被覆層を設置することが好ま
しいが、容器の透過係数比Pco/Poを1.5以
上に保てる範囲内で、最外層に多孔性のプラスチックフ
イルム乃至比較的坪量の小さな紙あるいは合成紙から成
る層をサンドラミ、ドライラミ等の方法により設置して
もよい。更に、上記以外の方法として、あらかじめ成膜
したフイルムを接着剤を用いてドライ乃至ウエットラミ
ネーションしたり、溶液あるいはディスパージョンの塗
料をライナー原紙に塗工したり、含浸させたりした後、
乾燥させることにより樹脂層を形成することが出来る。
【0028】本発明の段ボールに使用する紙としては、
セルローズパルプで抄造した紙、例えばクラフト紙、ア
ート紙、一般の印刷用紙やロール紙、薄葉紙あるいはま
た、段ボール原紙、マニラボール、白ボールなどの白板
紙などのいわゆる板紙などが使用出来る、更にパルプに
対して、ポリエチレン等の合成樹脂繊維を混抄した紙も
使用出来る。
【0029】段ボール紙に設けた樹脂層表面に印刷を施
すことは、包装容器の美粧性を確保する点から好まし
く、また紙に樹脂層を形成するに先立ち紙に印刷するこ
ともできる。印刷法としては、通常のグラビア、フレキ
ソ、シルクスクリーン等の公知の印刷法が可能であり、
印刷層の厚みが薄く、連続皮膜でないため透過性への影
響は極めて軽微である。樹脂層表面に印刷を施す場合は
インキの密着性を高め、耐傷付性を防止する観点から、
樹脂被覆後にあるいはフイルムの場合には被覆前に通常
公知の方法にてコロナ放電処理等の処理を施すのが効果
的である。
【0030】本発明の段ボールの使用に際してそれ自体
公知の青果物の鮮度保持に有効な手段を併用することが
できる。例えば、青果物のエチレン、アルデヒド等の発
生ガスに対してはガス吸着剤、水分制御に保湿剤や吸湿
剤、あるいは脱酸素剤、炭酸ガス除去剤なども鮮度保持
により一層の効果を示す場合がある。これらの補助剤
は、通常は本発明の段ボールで包装した内部に別の袋物
の形態で使用するが、場合により、本発明のライナーに
コートしたり、ライナー抄紙の際にパルプなどと含侵あ
るいは混抄したり、あるいは、また被覆樹脂中に混合す
るなどの方法でも有効である。
【0031】内容品を充填した後の段ボール函の封緘に
は、それ自体公知のIシール、Hシール等の封緘が用い
られ、自動機械、ハンドシーラ等の手動機械が用いられ
る。Hシールの場合には、段ボール函コーナーの空隙を
塞ぐ工夫が必要となる。コーナー部の密封が不完全な場
合、容器の透過係数比Pco/Poを1.5以上に
保つことが困難となる。また、側面貼り合わせ部の露出
端部封緘巾を変化させることにより、容器内の酸素、炭
酸ガス濃度を適正な範囲に調整することが出来る。この
方法は、呼吸量の比較的大きな内容品に対して有効であ
る。封緘に使用するテープの材質としては、ガス透過性
が外側ライナーの値よりも小さなものが適しており、こ
れに限定されないが二軸延伸ポリプロピレン、塩ビ、二
軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ナイロ
ン、高密度ポリエチレンなどの材質が適しており、20
〜80μm好ましくは30〜50μmの厚さ、20〜8
0mmの巾のものが好ましい。青果物を収納するため、
粘着剤としては耐水性のあるものが好ましく、低温貯蔵
あるいは流通に適した耐寒性のあるものが好ましい。
【0032】 次に実施例をあげて具体的に説明する
が、本発明の容器により好適に生鮮保存出来る物には実
施例にあげた物の他、CA(controlled a
tmosphere)が効くユズ、スダチ等の柑橘類や
リンゴ、スイートコーン、にら、トマトなど、また蒸散
抑制が有効なアスパラガス、ブロッコリー等の葉菜類、
生椎茸、桜桃などがある。更に低温貯蔵が必要な作物に
対しては、蓄冷剤、ドライアイス、氷と併用することが
出来る。本発明の作用効果としては、上記以外に、段ボ
ールを使用することにより、内容物の呼吸量に応じて、
容器の表面積と内容量との比を自由に設定して、容器内
のガス組成を最適に出来ること、特に呼吸量の大きい作
物に対して、最密充填でない自由空間を設けられるこ
と、内容物による包材、特に外ライナーのピンホールが
防止出来ることなどがあげられる。
【0033】
【実施例】図1は本発明の段ボール容器の壁体の一部断
面図である。1は外側ライナーでその最外層に樹脂被覆
層4が配設されているので外側ライナーの壁面を通して
のガスの出入りは樹脂被覆層により制御される。2は中
芯で波形であり連通溝6が形成されている。3は内側ラ
イナーであって、最内層に防湿性樹脂被覆層5が配設さ
れているので湿気の樹脂層を通しての移動が抑制され
る。
【0034】図2は本発明の組み立てられた段ボール容
器7の斜視図である。蓋および底の段ボール端部露出部
は封止テープ8により密封されている。コーナー部9も
密封されていることが理解される。
【0035】図3は本発明の段ボール容器の側面の段ボ
ール貼着部の外部に露出する段ボール端部10を封止し
たところを示す。図3では段ボール端部を全て密封して
いるが一部を通気調整域として残してもよい。
【0036】図4は外側ライナー1の内側に樹脂被覆層
4を設け、内側ライナー3の中芯側に樹脂被覆層5を設
けた比較例の段ボール容器である。
【0037】次に以下の実施例に使用する各種フイルム
および段ボール容器の27℃における、ガス、水蒸気の
透過特性と段ボール容器の圧縮強度についての評価を説
明する。
【0038】(1) フイルムのガス透過性 測定には、市販のガスクロマトグラフィーを検出器とす
る混合ガス透過度測定装置(LYSSY GPM−20
0)を用いた。フイルムの流入側へは炭酸ガスと空気を
体積比1:4の混合比で常圧にて流し、排出側にはヘリ
ウムガスをキャリヤーガスとして用い、排出側のガス組
成を時々刻々測定し、各々のガスのカウント数を予め作
成した検量線で補正し、各時刻における透過量を求め、
それらの点より最小自乗法により勾配を求め、使用した
フイルムの厚みおよび透過セルの有効面積を考慮して透
過係数Pco(cm(STP)cm cm−2・s
−1・cmHg−1)を算出した。測定は、透過セルお
よびチャンバーを27℃に一定に保ち行なった。
【0039】(2) 水蒸気透過性 測定には市販の水蒸気透過度テスター(LYSSY L
80−4000型)を使用し、標準サンプルとして25
μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムを
予めカップ法にて透湿度を測定して用いた。この方法に
よると水蒸気の透過度としてg/m・dayの単位で
求められ、これを被覆ライナーの水蒸気透過性の指標と
した。
【0040】(3) 段ボール容器のガス透過性 段ボール容器を空の状態で密封した上で27℃での透過
特性の測定を行なった。炭酸ガスの場合には、容器内部
を窒素80:炭酸ガス20(体積比)の混合ガスで置換
した後、このガス組成の時間変化をガスクロマトグラフ
ィーにより測定し得られる曲線より、圧力差0.2at
mでの透過度を求めた。また酸素の場合には、内部を完
全に窒素置換した後、同様の方法にて酸素濃度の時間変
化曲線を測定し、圧力差0.2atmでの透過度を求め
た。このようにして得られる透過度の単位はcc(ST
P)/hr(標準状態換算)であるが、被覆樹脂の厚み
および端部乃至コーナー部のシールに用いられる部分を
除いた有効表面積を考慮して透過係数Pco、Po
(cm(STP)cm cm−2・s−1・cmHg
−1)を算出した。またこの両者の値より透過係数比P
co/Poを求めた。
【0041】(4) 段ボール容器の圧縮強度 測定には市販の圧縮試験機(CTM−1−5000型)
を使用し、JIS 0212に準じて行なった。圧縮方
向は対面方向とし、圧縮速度10mm/minで試験を
行ない、最大圧縮荷重(kgf)をもって段ボール容器
の圧縮強度とした。上記いずれの測定においても3回の
測定の算術平均値をもって測定値とした。
【0042】〔比較試験1〕 実施例1 図1に記載された段ボールを用いた容器である。坪量2
20g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、高圧法
にて重合された低密度ポリエチレンLDPEおよびエチ
レンとブテン−1より共重合されたいわゆる超低密度L
LDPEの重量比60:40のブレンド物を樹脂膜厚2
0μmにて押し出しラミネーションした。条件として、
ダイ直下樹脂温度320〜325℃、ラミネーション速
度100m/min、ライナー表面コロナ処理5Kwを
用いた。この樹脂被覆ライナーを外面としコルゲーター
により水性ボンドを使用して、まず段加工を行なった坪
量180g/mの中芯を、次いで内面側にLDPEを
30μmの膜厚で被覆した坪量220g/mのライナ
ーをそれぞれ貼合し段ボール板紙を得た。この板紙につ
いて、通常の型抜きを行ない、継ぎしろをホットメルト
接着剤を用いて接合し、JIS Z 1507に定めら
れたA−1形段ボール(長さL=288、幅W=19
0、高さH=115mm)を作成した。樹脂被覆外側ラ
イナーのPcoは15.0×10−10(cm(S
TP)cm cm−2・s−1・cmHg−1)であ
り、樹脂被覆内側ライナー透湿度は32.5(g/m
・day)であった。
【0043】比較例1 外側ライナーの構成は実施例1と同じで、内側ライナー
は樹脂被覆のないものをそのまま使用した。
【0044】比較例2 外側ライナーは樹脂被覆のないものをそのまま使用し、
内側ライナーの構成は実施例1同じである。
【0045】比較例3 従来の段ボール容器をそのまま使用した。樹脂被覆層は
ない。
【0046】 比較例4 図4に記載された段ボールを用いた容器である。外側ラ
イナーおよび内側ライナーの被覆樹脂層は実施例1と同
じであるが、樹脂層の配置が逆になっている
【0047】試験方法 上記の5種の段ボールについて、9月中句に収穫したカ
ボス(品種:大分1号)を予措した後、各々2kgを詰
め、幅40mmの二軸延伸ポリプロピレンを基材とする
粘着テープを用いて図3のように完全密封した。各々の
種類で5ケースずつ作成し、20℃,65%RHの雰囲
気に保存した。約1ヶ月間貯蔵の後、段ボール内の酸
素、炭酸ガス濃度を測定するとともに、前述の方法で圧
縮強度を測定した。その後開封しカボスの品質につい
て、緑色が十分保たれて果皮に張りのある良品率
(%)、不良品については、それぞれA:黄化、B:
蔕落ち、C:萎れ、D:カビその他の不良の発生率
(%)、総初期重量を基準とした重量減少率(%)を
評価した。表1にそれぞれの段ボール内のガス組成、容
器の圧縮強度(貯蔵前の従来の段ボール容器の最大圧縮
荷重を100としたときの割合(%))およびそれらに
よるカボスの貯蔵試験の結果をまとめて示した。
【0048】
【表1】 表の不良品率の欄のA・B・C・Dは、A:黄化、B:
蔕落ち、C:萎れ、D:カビその他(%)を示す。
【0049】比較例1の外側ライナーにのみ樹脂被覆し
た段ボールでは、容器外部とのガス交換が外ライナー表
面を通して制御されるため、容器内のガス組成がカボス
のCA貯蔵条件に合致したものとなり果皮の緑色は維持
されたが、果実の蒸散水分がライナーおよび中芯に移行
したため、容器の圧縮強度は極めて小さいものになっ
た。また、それに伴い果実の重量も減少し、萎れが目立
った。比較例2の内側ライナーにのみ樹脂被覆した段ボ
ールでは、蒸散水分の移行がないため、容器の圧縮強度
が保たれ、果実の重量減も抑えられたが、前述したよう
に容器内に開口する端面の中芯および樹脂被覆のない外
側ライナーを通して外部とのガス交換が自由に行なわれ
るため、容器内のガス組成が大気とほぼ同じになり、黄
化や蔕落ちが極めて多かった。比較例3の樹脂被覆のな
い従来の段ボールでは、重量減少が極めて大きく大半が
萎れた。また、呼吸抑制ができないため黄化果も多くで
た。比較例4の段ボールでは、外側ライナーのフラップ
突き合わせ部から該ライナーを通ってガスが自由に出入
りするため呼吸抑制ができず、黄化果が多かった。ま
た、内側ライナーは樹脂層5が外側にあるので容器内に
露出し、果実から蒸散する水分を吸収して強度が低下
し、果実の水分蒸散も促進した。これらに対し、実施例
1の両側ライナーに樹脂被覆した段ボールでは、簡易C
A効果による呼吸抑制のため果皮の緑色が維持され、重
量減もほとんどなく満足し得る保存性が得られた。ま
た、容器の強度も初期に比べあまり低下せず、実用性の
ある結果となった。
【0050】〔比較試験2〕 実施例2 坪量280g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、
LDPE(密度ρ=0.918)と超低密度LLDPE
(ρ=0.905)の40:60のブレンドものを使用
し、膜厚25μmにて押出しラミネーションを行なっ
た。これを樹脂被覆面を外面側として外側ライナーとし
て用い、坪量180g/mの中芯、内面側にLDPE
(ρ=0.918)を25μmの膜厚で被覆した坪量2
80g/mの内側ライナーとともに水性ボンドにて貼
合し、段ボール板紙を得た。更に型抜き、製函を行な
い、A−1形段ボール(長さL=288、幅W=19
0、高さH=115mm)を作成した。樹脂被覆外側ラ
イナーのPcoは13.5×10−10(cm(S
TP)cm cm−2・s−1・cmHg−1)であ
り、樹脂被覆内側ライナーの透湿度は39.0(g/m
・day)であった。
【0051】上記の段ボールについて、収穫後10℃の
予冷庫で8時間予冷した青梅(品種:南高梅)を2kg
詰めた後に、幅40mmの二軸延伸ポリプロピレンを基
材とする粘着テープを用いて図2のように側面の段ボー
ル貼り合わせ部の露出端部を通気調整域として残して密
封した。
【0052】比較例5 底部と蓋部の段ボールの突合わせ部のみに粘着テープを
貼ってI字型にシールした以外は実施例2と同様にし
た。
【0053】比較例6 コーナー部9を密封しない以外は実施例2と同様にし
た。
【0054】比較例7 樹脂被覆のない従来の段ボールを図2の通り密封した。
【0055】試験方法 各々の種類で10ケースずつ作成し、20℃、65%R
Hの雰囲気に保存した。収穫後5日で開封し、青梅の
黄変、萎れ、そして重量減少率の評価を行なった。
、については、総個体中で変化が認められたものの
割合(%)、については総初期重量を基準とした減少
率(%)で表した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】比較例5や比較例6の封緘方法では、段ボ
ールのフラップ重ね合わせ部やコーナー部を通してガス
の出入り、特に酸素の供給が自由に行なわれるため、容
器のガス透過係数比が小さく半数近くの黄化果が生じ
た。また、蒸散による重量減少は、比較例7の樹脂被覆
を行なわないものと比較すれば抑えられているものの、
2割程度の萎れが見られた。一方、実施例2の封緘方法
では、容器外部とのガス交換が外ライナー表面および通
気調整域として開けておいた側面の段ボール貼り合わせ
部の露出端部により制御されるため、高いガス透過係数
比に伴う多くの炭酸ガスの排出と適度な酸素供給が行な
われ、収穫後5日においても黄変がかなり抑制され、し
かも褐変の発生もなく、重量減も極めて少なく、バラン
スのとれた保存性が確保された。
【0058】〔比較試験3〕 実施例3 坪量220g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、
LDPE(ρ=0.918)と超低密度LLDPE(ρ
=0.905)の60:40のブレンドものを使用し、
膜厚20μmにて押出しラミネーションを行なった。こ
れを樹脂被覆面を外面側として外側ライナーとして用
い、坪量160g/mの中芯、内面側にLDPE(ρ
=0.915)を30μmの膜厚で被覆した坪量220
g/mの内側ライナーとともに水性ボンドにて貼合
し、段ボール板紙を得た。更に型抜き、製函を行ない、
A−1形段ボール(長さL=400、幅W=140、高
さH=100mm)を作成した。樹脂被覆外側ライナー
のPcoは16.0×10−10(cm(STP)
cm cm−2・s−1・cmHg−1)であり、樹脂
被覆内側ライナーの透湿度は37.5(g/m・da
y)であった。
【0059】比較例8 実施例3の段ボールにおいて、内側ライナーの被覆樹脂
LDPE(ρ=0.915)の膜厚を10μmとした。
樹脂被覆内側ライナーの透湿度は112.5(g/m
・day)であった。
【0060】比較例9 従来の段ボール容器をそのまま使用した。樹脂被覆層は
ない。ライナーの坪量、容器のサイズは実施例3と同じ
である。
【0061】試験方法 上記3種の段ボールについて、収穫後5℃の真空予冷庫
で2時間予冷したほうれんそうを500g詰めた後に、
幅40mmの二軸延伸ポリプロピレンを基材とする粘着
テープを用いて図3のように完全密封した。各々の種類
で5ケースずつ作成し、20℃、60%RHの雰囲気に
保存した。6日間貯蔵の後開封し、ほうれんそうの品質
について、総初期重量を基準とした減少率(%)を測定
した。
【0062】結果 比較例9の樹脂被覆のない従来の段ボールでは、収穫6
日後の重量減少率は31.5%と極めて大きく、完全に
萎れていた。また、比較例8の樹脂被覆層の薄い内側ラ
イナーを用いた段ボールでは、透湿度が大きいため重量
の減量抑制が不十分で、6日後の重量減少率が14.4
%となり商品性は失われていた。また、容器の最大圧縮
荷重は35%に低下する傾向にあった。これらに対し、
実施例3の段ボールでは、内側ライナーの透湿度が小さ
いため6日後の重量減少率も2.3%と小さく、萎れは
殆ど見られなかった。また、外側ライナーのPco
適度に大きいため、葉の黄変、トロケ、異臭の発生もな
く、十分な鮮度保持効果が得られた。更に容器強度の低
下も少なく良好であった。
【0063】〔比較試験4〕 実施例4 坪量280g/mの段ボール用ライナー原紙表面に、
LDPE(ρ=0.918)と超低密度LLDPE(ρ
=0.905)の80:20のブレンドものを使用し、
膜厚25μmにて押出しラミネーションを行なった。こ
の樹脂被覆ライナー材について、気体の透過特性を評価
する一方、この樹脂被覆面を外面側として外側ライナー
として用い、坪量180g/mの中芯、内面側にLD
PE(ρ=0.918)を30μmの膜厚で被覆した坪
量280g/mの内側ライナーとともに水性ボンドに
て貼合し、段ボール板紙を得た。更に型抜き、製函を行
ない、A−1形段ボール(長さL=288、幅W=19
0、高さH=115mm)を作成した。樹脂被覆内側ラ
イナーの透湿度は32.5(g/m・day)であっ
た。
【0064】比較例10 LDPEとLLDPEのブレンドをポリ4−メチルペン
テン1:TPXに変えた以外は実施例4と同様にして段
ボールとした。
【0065】比較例11 LDPEとLLDPEのブレンドをポリエチレンテレフ
タレートに変えた以外は実施例4と同様にして段ボール
とした。
【0066】試験方法 上記3種の段ボールについて、9月中旬に収穫したカボ
ス(品種:大分1号)を予措した後、各々2kgを詰
め、幅40mmの二軸延伸ポリプロピレンを基材とする
粘着テープを用いて図3のように完全密封した。各々の
種類で5ケースずつ作成し、5℃、60%にて貯蔵し
た。約2ヶ月間貯蔵の後、開封しカボスの品質につい
て、緑色が十分保たれて果皮に張りのある良品率
(%)、そして不良品については、それぞれA:黄
化、B:ピッティング、C:褐変、D:カビその他の発
生率(%)、更に総初期重量を基準とした重量減少率
(%)を評価した(貯蔵区I)。次いで、良好な貯蔵の
ものについては、この箱を使用した流通を想定し、図2
のように側面の段ボール貼り合わせ部の露出端部を通気
調整域として残して再度密封した。20℃、65%RH
に2週間置いた後に再度開封し、品質評価を行なった
(貯蔵区II)。表3にそれぞれの樹脂被覆紙および段
ボール容器の透過特性およびそれらの段ボールによるカ
ボスの貯蔵試験の結果をまとめて示した。
【0067】
【表3】 * Pco×1010cm(STP)cm/(c
・s・cmHg) ** A:黄化、B:ピッティング、C:褐変、D:カ
ビその他(%)
【0068】比較例10の炭酸ガス透過係数の大きなポ
リ4−メチルペンテン1を被覆に用いた場合、樹脂自身
の透過係数比は比較的大きいが、容器に加工した場合ク
ラックが生じ、図3のように密封しても(貯蔵区1)、
容器の透過係数比が小さくなるために酸素の透過係数も
相当大きくなる。この透過特性を反映して、段ボールで
の保存試験では呼吸の抑制が殆どなされないため、低温
貯蔵2ヶ月で約7割の黄化果が生じた。さらに流通用に
図2のように側面の段ボール貼り合わせ部の露出端部を
通気調整域として開けると、容器の透過係数比はさらに
小さくなり、常温貯蔵2週間で大半が黄化してしまっ
た。ポリエチレンテレフタレートの被覆では、比較例1
1から明らかなように炭酸ガス透過係数が著しく小さい
ため、段ボール内での炭酸ガス濃度が極めて高くなり、
無気呼吸が起こり、ガス障害果が多発した。一方、実施
例4のLDPEと超低密度LLDPEのブレンドものよ
り成る被覆では、高い炭酸ガス透過係数と、容器の高い
透過係数比に伴い適度な酸素供給が行なわれたため、低
温貯蔵2ヶ月後でも黄変がかなり抑制され、しかも褐変
の発生もなく、重量減も極めて少なく、十分な保存性が
確保された。実際の流通を想定した常温貯蔵では、呼吸
量の増加にともなう褐変の発生が心配されたが、図2の
ように側面の段ボール貼り合わせ部の露出端部を通気調
整域として開けたことで、容器内のガス組成がカボスの
保存に適したものになり、ガス障害果とも殆どなかっ
た。
【0069】
【発明の効果】本発明の段ボールにより構成された保存
容器は青果物の生鮮保存効果が著しく優れており、長期
間生鮮度の低下を防止して保存することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の段ボール容器の壁の一部断面図であ
る。
【図2】本発明の組み立てられた段ボール容器の斜視図
である。
【図3】本発明の密封された段ボール容器の例を示す斜
視図である。
【図4】比較例の段ボール容器の壁の一部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 外側ライナー 2 中芯 3 内側ライナー 4 樹脂被覆層 5 防湿性樹脂被覆層 6 連通溝 8 封止テープ 9 コーナー部 10 段ボール端部

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)外面側に樹脂層を配置した、
    7℃における炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10
    −10cm(STP)cm/(cm・s・cmH
    g)以上である外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
    で100g/m ・day以下の内側ライナーとから
    なる段ボール紙で構成し、容器外面に露出する段ボール
    紙の端部が封止テープにより実質的に封鎖された、容器
    の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pco/Po
    が1.5以上である青果物生鮮保存容器。
  2. 【請求項2】 内側ライナーが27℃で100g/m
    ・day以下の透湿度のライナー材で構成された、請求
    項1に記載された青果物生鮮保存容器。
  3. 【請求項3】 封止テープによる封緘が、底部と蓋部及
    びコーナー部の段ボール紙の端部露出面は完全に封止
    し、側面の貼り合わせ部の露出端部を通気調整部分を残
    して封止した封緘である、請求項1または2に記載され
    た青果物生鮮保存容器。
  4. 【請求項4】 (A)外面側に樹脂層を配置した、
    7℃における炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10
    −10cm(STP)cm/(cm・s・cmH
    g)以上である外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
    で100g/m・day以下の内側ライナーとからな
    る段ボール紙で構成した容器に青果物を収納し、容器の
    底部と蓋部の外面に露出する段ボール紙の端部に封止テ
    ープを貼着して密封するとともにコーナー部も封止テー
    プにより密封し、側面の段ボール貼り合わせ部の露出端
    部は必要に応じて通気調整域を残して封止テープを貼着
    して、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pc
    /Poを1.5以上としたことを特徴とする、青
    果物生鮮保存方法。
  5. 【請求項5】 (A)外面側に樹脂層を配置した、
    7℃における炭酸ガス透過係数Pcoが、5×10
    −10cm(STP)cm/(cm・s・cmH
    g)以上である外側ライナーと、 (B)中芯と (C)容器内面側に樹脂層を配置した、透湿度が27℃
    で100g/m・day以下の内側ライナーとからな
    る段ボール紙で構成した容器に青果物を収納し、容器の
    底部と蓋部の外面に露出する段ボール紙の端部に封止テ
    ープを貼着して密封するとともにコーナー部も封止テー
    プにより密封し、側面の段ボール貼り合わせ部の露出端
    部は必要に応じて通気調整域を残して封止テープを貼着
    して、容器の炭酸ガス透過係数と酸素透過係数の比Pc
    o2/Po2を1.5以上としたことを特徴とする、青
    果物包装体。
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