JP3075623B2 - ぶどうの長期保存方法 - Google Patents
ぶどうの長期保存方法Info
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- JP3075623B2 JP3075623B2 JP2301492A JP2301492A JP3075623B2 JP 3075623 B2 JP3075623 B2 JP 3075623B2 JP 2301492 A JP2301492 A JP 2301492A JP 2301492 A JP2301492 A JP 2301492A JP 3075623 B2 JP3075623 B2 JP 3075623B2
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- Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ぶどうの長期保存方法
に関する。
に関する。
【0002】
【従来の技術】ぶどうの収穫時期は、8〜10月に集中
しているため、これ以外の時期に出荷できれば、高価格
で取引することができ、また価格の平滑化を図ることが
できる。このような出荷時期の調節はぶどうの場合、お
もにハウス栽培により出荷時期を早めることにより行わ
れている。ハウス栽培によるぶどうは、4〜5月から出
荷可能で、市場でも高価格で売買されている。ぶどう以
外の果物では、収穫物を一定期間貯蔵しておくことによ
り、出荷時期を調節することが行われているが、ぶどう
ではこのようなことは行われていない。これは、ぶどう
が他の果物に比べ保存性が悪く、短期間で脱粒、カビの
発生、軸の褐変等が生じ、商品価値が著しく低下してし
まうからである。このため、12月以降の端境期には、
非常に高価格で取引されるにもかかわらず、出荷できな
いのが現状である。
しているため、これ以外の時期に出荷できれば、高価格
で取引することができ、また価格の平滑化を図ることが
できる。このような出荷時期の調節はぶどうの場合、お
もにハウス栽培により出荷時期を早めることにより行わ
れている。ハウス栽培によるぶどうは、4〜5月から出
荷可能で、市場でも高価格で売買されている。ぶどう以
外の果物では、収穫物を一定期間貯蔵しておくことによ
り、出荷時期を調節することが行われているが、ぶどう
ではこのようなことは行われていない。これは、ぶどう
が他の果物に比べ保存性が悪く、短期間で脱粒、カビの
発生、軸の褐変等が生じ、商品価値が著しく低下してし
まうからである。このため、12月以降の端境期には、
非常に高価格で取引されるにもかかわらず、出荷できな
いのが現状である。
【0003】果物を貯蔵しておく方法としては、0℃以
下で貯蔵するいわゆる氷温貯蔵方法があるが、ぶどうで
はこのような方法を単独で用いても、脱粒については抑
制されるものの、カビの発生、軸の褐変を防ぐことが出
来ないため十分な品質の維持をはかることができない。
例えば最も貯蔵性の低い品種である巨峰の場合、氷温貯
蔵を用いても1ヵ月程度しか保存することができない。
下で貯蔵するいわゆる氷温貯蔵方法があるが、ぶどうで
はこのような方法を単独で用いても、脱粒については抑
制されるものの、カビの発生、軸の褐変を防ぐことが出
来ないため十分な品質の維持をはかることができない。
例えば最も貯蔵性の低い品種である巨峰の場合、氷温貯
蔵を用いても1ヵ月程度しか保存することができない。
【0004】また、このような低温を利用した貯蔵法の
他に、従来より果物等をフィルム等で密封包装して保存
する方法が知られている。これは密封包装することによ
り包装袋内を低酸素、高炭酸ガスの状態に維持し、それ
により果実の呼吸が抑制され、保存状態が向上するとい
ういわゆるMA効果を利用したものである。しかし、ぶ
どうの場合、このような方法で包装しても、カビの発生
等は抑制されるが、1ヵ月程すると、特有の発酵臭が発
生し、商品価値が著しく劣化してしまう。
他に、従来より果物等をフィルム等で密封包装して保存
する方法が知られている。これは密封包装することによ
り包装袋内を低酸素、高炭酸ガスの状態に維持し、それ
により果実の呼吸が抑制され、保存状態が向上するとい
ういわゆるMA効果を利用したものである。しかし、ぶ
どうの場合、このような方法で包装しても、カビの発生
等は抑制されるが、1ヵ月程すると、特有の発酵臭が発
生し、商品価値が著しく劣化してしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したようなぶどう貯蔵時に生じる品質の劣化を防ぎ、長
期間その品質を維持する保存方法を提供することにあ
る。
したようなぶどう貯蔵時に生じる品質の劣化を防ぎ、長
期間その品質を維持する保存方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ぶどうを
密封包装して保存する方法について鋭意研究した結果、
酸素透過度が23℃において、1000〜10000cc/m2・24hr・
atm であるフィルムを用いて、密封包装を行うと、カビ
の発生、軸の褐変を防ぐだけではなく、従来の密封包装
法にみられた醗酵臭の発生を抑制し良好な状態で保存で
きることを見出した。さらに、このような包装方法と従
来より行われていた氷温貯蔵方法を組み合わせると保存
特性が相乗的に高まることを見出し本発明を完成した。
密封包装して保存する方法について鋭意研究した結果、
酸素透過度が23℃において、1000〜10000cc/m2・24hr・
atm であるフィルムを用いて、密封包装を行うと、カビ
の発生、軸の褐変を防ぐだけではなく、従来の密封包装
法にみられた醗酵臭の発生を抑制し良好な状態で保存で
きることを見出した。さらに、このような包装方法と従
来より行われていた氷温貯蔵方法を組み合わせると保存
特性が相乗的に高まることを見出し本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は23℃における酸素透過
度が1000〜10000cc/m2・24hr・atmであるフィルムを用
いてぶどうを密封包装し、これを低温で保存することを
特徴とするぶどうの長期保存方法である。また、本発明
は低温での保存温度が−3〜0 ℃の範囲であることを特
徴とする上記のぶどうの長期保存方法である。
度が1000〜10000cc/m2・24hr・atmであるフィルムを用
いてぶどうを密封包装し、これを低温で保存することを
特徴とするぶどうの長期保存方法である。また、本発明
は低温での保存温度が−3〜0 ℃の範囲であることを特
徴とする上記のぶどうの長期保存方法である。
【0008】さらに、本発明は密封包装時に脱酸素剤を
同封することを特徴とする上記のぶどうの長期保存方法
である。以下に本発明の構成と作用を詳細に説明する。
本発明は、ぶどうを適度な酸素透過度を有するフィルム
で密封包装する過程と低温で貯蔵する過程からなる。ぶ
どう果実を適度な酸素透過度を有するフィルムで密封包
装すると上述のMA効果により鮮度が維持される。ぶど
うの場合、十分なMA効果が発揮されるためには酸素濃
度が10%以下であることが必要であり、これ以上の酸素
濃度では、カビが発生し易くなるなど保存性が低下す
る。また密封袋内の酸素濃度が1%以下の低酸素状態で
は、果実が呼吸障害により、醗酵臭を発し商品価値が著
しく下落する。上述したようなぶどうの保存に適した酸
素濃度を与える密封包装用のフィルムとしては、酸素透
過度が1000〜10000cc/m2・24hr・atm であることが好ま
しく、さらに好ましくは3000〜5000cc/m2 ・24hr・atm
であることが望ましい。なお、フィルムの材質について
は、上述の酸素透過度を与えるものであれば、どのよう
なものでもよく、例えばポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を
挙げることができる。
同封することを特徴とする上記のぶどうの長期保存方法
である。以下に本発明の構成と作用を詳細に説明する。
本発明は、ぶどうを適度な酸素透過度を有するフィルム
で密封包装する過程と低温で貯蔵する過程からなる。ぶ
どう果実を適度な酸素透過度を有するフィルムで密封包
装すると上述のMA効果により鮮度が維持される。ぶど
うの場合、十分なMA効果が発揮されるためには酸素濃
度が10%以下であることが必要であり、これ以上の酸素
濃度では、カビが発生し易くなるなど保存性が低下す
る。また密封袋内の酸素濃度が1%以下の低酸素状態で
は、果実が呼吸障害により、醗酵臭を発し商品価値が著
しく下落する。上述したようなぶどうの保存に適した酸
素濃度を与える密封包装用のフィルムとしては、酸素透
過度が1000〜10000cc/m2・24hr・atm であることが好ま
しく、さらに好ましくは3000〜5000cc/m2 ・24hr・atm
であることが望ましい。なお、フィルムの材質について
は、上述の酸素透過度を与えるものであれば、どのよう
なものでもよく、例えばポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を
挙げることができる。
【0009】本発明において密封包装袋内の低酸素を速
やかに達成する方法として、脱酸素剤を同封すると更に
好ましく、これにより速やかに目標の低酸素濃度に到達
することができるため、より確かなMA効果が得られ
る。脱酸素剤にはさまざまなタイプがあるが、酸素と吸
収するとともに炭酸ガスを放出するタイプの脱酸素剤を
使用することにより速やかに低酸素・高炭酸ガス状態と
なり更に効果は確かなものとなる。
やかに達成する方法として、脱酸素剤を同封すると更に
好ましく、これにより速やかに目標の低酸素濃度に到達
することができるため、より確かなMA効果が得られ
る。脱酸素剤にはさまざまなタイプがあるが、酸素と吸
収するとともに炭酸ガスを放出するタイプの脱酸素剤を
使用することにより速やかに低酸素・高炭酸ガス状態と
なり更に効果は確かなものとなる。
【0010】本発明における貯蔵温度は、果実が凍結し
ない範囲でより低温であることが望ましい。−3 ℃以下
では果実凍結の危険があり、また0 ℃以上では貯蔵期間
が極端に短くなることから、保存温度は、−3 〜0 ℃が
望ましい。このような低温域での精密な温度制御可能な
長期保存用の冷蔵設備として、いわゆる氷温冷蔵庫を用
いることが可能であり、本発明に必要な0 ℃以下での精
密な温度制御が可能となる。
ない範囲でより低温であることが望ましい。−3 ℃以下
では果実凍結の危険があり、また0 ℃以上では貯蔵期間
が極端に短くなることから、保存温度は、−3 〜0 ℃が
望ましい。このような低温域での精密な温度制御可能な
長期保存用の冷蔵設備として、いわゆる氷温冷蔵庫を用
いることが可能であり、本発明に必要な0 ℃以下での精
密な温度制御が可能となる。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例により本発明
を更に詳細に説明する。なお、本発明は、この実施例に
より何ら制限を受けるものではない。 実施例1 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの無
延伸ポリプロピレンフィルムのパウチ(90×120cm)で包
装し、上部を輪ゴム留めで密封して−2 ℃で保存した。
上記フィルムの23℃における酸素透過度は3800cc/m2 ・
24hr・atm であった。 実施例2 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの無
延伸ポリプロピレンフィルムのパウチ(90×120cm)で包
装し、炭酸ガス発生タイプの脱酸素剤10ヶ( 三菱瓦斯化
学(株)製 エージレスG−200 )を同封して上部を輪ゴ
ム留めで密封して−2℃で保存した。 比較例1 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの下
記積層フィルムのパウチ(90×120cm)で包装し、上部を
輪ゴム留めで密封して−2 ℃で保存した。
を更に詳細に説明する。なお、本発明は、この実施例に
より何ら制限を受けるものではない。 実施例1 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの無
延伸ポリプロピレンフィルムのパウチ(90×120cm)で包
装し、上部を輪ゴム留めで密封して−2 ℃で保存した。
上記フィルムの23℃における酸素透過度は3800cc/m2 ・
24hr・atm であった。 実施例2 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの無
延伸ポリプロピレンフィルムのパウチ(90×120cm)で包
装し、炭酸ガス発生タイプの脱酸素剤10ヶ( 三菱瓦斯化
学(株)製 エージレスG−200 )を同封して上部を輪ゴ
ム留めで密封して−2℃で保存した。 比較例1 ぶどう「巨峰」約8kg を防曇処理を施した厚さ30μの下
記積層フィルムのパウチ(90×120cm)で包装し、上部を
輪ゴム留めで密封して−2 ℃で保存した。
【0012】ナイロン15μ/ ポリエチレン15μ 上記フィルムの23℃における酸素透過度は100cc/m2・24
hr・atm であった。 比較例2 ぶどう「巨峰」約8kgを無包装のまま−2 ℃で保存し
た。上記の実施例および比較例について、2ヶ月間保存
中の外観・官能検査の結果を第1表に、保存1ヶ月、2
ヶ月のパウチ内酸素、炭酸ガス濃度の測定値を第2表に
示す。
hr・atm であった。 比較例2 ぶどう「巨峰」約8kgを無包装のまま−2 ℃で保存し
た。上記の実施例および比較例について、2ヶ月間保存
中の外観・官能検査の結果を第1表に、保存1ヶ月、2
ヶ月のパウチ内酸素、炭酸ガス濃度の測定値を第2表に
示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】第1表に示される様に、本実施例では保存
2ヵ月後でも良好な果実品質を維持して高い歩留りを有
しており、2ヵ月間の鮮度保持が可能であった。なお、
歩留りはカビ、割れ、キズ等の不良果実を外観検査によ
り取り除いたものを重量%で表した。また、本発明では
第2表に示されるようなMA効果が認められ、これによ
り、保存中のカビ発生、軸の褐変を抑制し、良好な果実
品質を維持できる。さらに、一定の酸素濃度を維持して
いるので呼吸障害による醗酵臭の発生を防ぐことができ
る。
2ヵ月後でも良好な果実品質を維持して高い歩留りを有
しており、2ヵ月間の鮮度保持が可能であった。なお、
歩留りはカビ、割れ、キズ等の不良果実を外観検査によ
り取り除いたものを重量%で表した。また、本発明では
第2表に示されるようなMA効果が認められ、これによ
り、保存中のカビ発生、軸の褐変を抑制し、良好な果実
品質を維持できる。さらに、一定の酸素濃度を維持して
いるので呼吸障害による醗酵臭の発生を防ぐことができ
る。
【0016】
【発明の効果】上述の通り、本発明は従来不可能とされ
てきたぶどうの長期保存を可能にし、これによって端境
期に出荷し市場価値の高いぶどうを供給することができ
る。
てきたぶどうの長期保存を可能にし、これによって端境
期に出荷し市場価値の高いぶどうを供給することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 7/00 - 7/16
Claims (3)
- 【請求項1】 23℃における酸素透過度が1000〜10000c
c/m2・24hr・atm であるフィルムを用いてぶどうを密封
包装し、これを低温で保存することを特徴とするぶどう
の長期保存方法。 - 【請求項2】 低温での保存温度が−3〜0 ℃の範囲で
あることを特徴とする請求項1記載のぶどうの長期保存
方法。 - 【請求項3】 密封包装時に脱酸素剤を同封することを
特徴とする請求項1または請求項2記載のぶどうの長期
保存方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2301492A JP3075623B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ぶどうの長期保存方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2301492A JP3075623B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ぶどうの長期保存方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0646749A JPH0646749A (ja) | 1994-02-22 |
JP3075623B2 true JP3075623B2 (ja) | 2000-08-14 |
Family
ID=12098641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2301492A Expired - Fee Related JP3075623B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | ぶどうの長期保存方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3075623B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009227297A (ja) * | 2008-03-21 | 2009-10-08 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | ブドウの鮮度保持用包装袋及びブドウの保存方法 |
JP2016113172A (ja) * | 2014-12-15 | 2016-06-23 | 住友ベークライト株式会社 | 食品包装用シート、食品包装袋、および食品包装体 |
JP6964283B2 (ja) * | 2016-03-29 | 2021-11-10 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 葡萄の香り保持方法および葡萄中の香気成分の低減抑制方法 |
-
1992
- 1992-02-07 JP JP2301492A patent/JP3075623B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0646749A (ja) | 1994-02-22 |
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Legal Events
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