JPH0774889B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0774889B2
JPH0774889B2 JP62094931A JP9493187A JPH0774889B2 JP H0774889 B2 JPH0774889 B2 JP H0774889B2 JP 62094931 A JP62094931 A JP 62094931A JP 9493187 A JP9493187 A JP 9493187A JP H0774889 B2 JPH0774889 B2 JP H0774889B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関するものであ
り、詳しくは鮮鋭性に優れ、かつ露光時の高湿度による
感度低下の少ない、反射性支持体を有するハロゲン化銀
写真感光材料(印画紙)に関する。
(従来の技術) 現在市販されているハロゲン化銀写真感光材料(以下単
に感光材料と呼ぶ)、及びそれらを用いた画像形成方法
は多種多様にわたり、あらゆる分野にその利用例を見る
ことができる。これら多くの感光材料に要求される性能
は、それぞれの用途に応じて多岐にわたるが、ハロゲン
化銀を使用した写真感光材料……謂る銀塩写真感光材料
が有する長所のうち最も優れた特徴である「高記録密度
性」を遺憾なく発揮するためには、その感光材料が高い
鮮鋭性を有していなければならないことはいうまでもな
いことである。このため、鮮鋭性を高めるための技術
が、それぞれの感光材料に対する要求の程度、およびそ
れらの使用形態に応じて種々開発され、実際に応用され
ている。
反射性支持体を有する感光材料において鮮鋭性を低下さ
せる要因としては、主として、乳剤層−支持体界面、あ
るいは支持体−空気界面における入射光の反射に起因す
るハレーションと、ハロゲン化銀粒子自身による光散乱
に起因するイラジエーションの二つをあげることができ
る。
前者については、支持体と乳剤層の界面あるいは支持体
の裏面にハレーション防止層を設けることが有効であ
り、また、後者については、支持体上の乳剤層を染料等
によって着色せしめることが有効である。
こうしたハレーション防止用、あるいはイラジエーショ
ン防止用の染料に要求される特性としては (1)使用目的に応じた分光吸収を有すること (2)写真処理過程において速やかに除去されること (3)ハロゲン化銀乳剤に対して減感作用や被り作用を
示さないこと (4)感光材料の製造中や製品の保存中に安定であるこ
と などが満たされなければならない。このような観点か
ら、オキソノール系染料、アゾ系染料等が有用なものと
して実用に供せられている。
ところで、一般に「写真」の最終形態として利用される
ものの大部分は印画紙にプリントされた画像であるが、
特に最近はカラー印画紙を使用する比率が非常に高まっ
ている。完成品として得られるカラー画像の鮮鋭性は、
用いられるカラーネガフィルムの性能に負うところが大
きいのはもちろんであるが、プリントされるカラー印画
紙の鮮鋭性もまた同様に重大な影響を与える。即ち、カ
ラー印画紙に要求される性能の中でも、高い鮮鋭性は非
常に重要な項目であるということができる。カラー印画
紙の場合は反射支持体上に感光性乳剤層を有するため、
先に述べたイラジエーションを防止することで鮮鋭性を
大きく高めることが可能である。
一方で、例えばカラー印画紙用感光材料のように、大量
のプリントを短納期で仕上げる要請の強い市場で用いら
れる製品においては、現像速度をはやめる必要性から、
実質的に沃化銀を含まない塩臭化銀もしくは塩化銀乳剤
を用いることが好ましい。この観点で、塩臭化銀もしく
は塩化銀乳剤の開発が進められてきた。
(発明が解決しようとする問題点) 既に述べた事から分るように、迅速処理が可能でかつ鮮
鋭度の高い写真感光材料に対しての市場の要請は非常に
強い。この要請に答えるためには、塩臭化銀もしくは塩
化銀乳剤と染料を含有する感光性乳剤層を有したハロゲ
ン化銀写真感光材料の性能を高めることが、最も重要な
課題のひとつである。
ところでカラー印画紙は保存中の性能劣化を防ぐために
通常冷蔵保存されることが多い。冷蔵保存したカラー印
画紙は使用前密封包装されているが、もし、カラー印画
紙の温度が室温に対して低い状態で開封され、自動プリ
ンタにセットされると、結露現象を生じてカラー印画紙
の表面湿度は非常に高い状態となる。このときの変動を
調査した結果、最も高湿度になったときには85%RHの雰
囲気下にさらされたのと等しい状態に達することが明ら
かとなった。このように印画紙自身は露光時にかなりの
高湿度にさらされることがしばしば起こる。
しかしながら、前記のような迅速処理を可能とした感光
性乳剤層を有した写真感光材料は、露光時の湿度変化に
よる感度変動が大きく、カラー画像の色再現を著しく悪
化させてしまうことが多い。
したがって、本発明の目的は鮮鋭性に優れ、かつ露光時
の湿度変化による感度変動の少ない、つまり露光時の湿
度による感度低下の少ないカラー印画紙などのハロゲン
化銀写真感光材料を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明のかかる目的は、実質的に沃化銀を含まない、塩
化銀含有率95モル%以上の塩臭化銀もしくは塩化銀から
なり、かつその調製工程が、親水性コロイドの存在下に
おけるハロゲン化銀粒子形成、物理熟成、脱塩、化学熟
成からなり、更に青増感色素及び緑増感色素より選ばれ
た少なくとも一種の写真用分光増感色素をハロゲン化銀
粒子の形成に必要な可溶性銀塩溶液の少なくとも85重量
%を添加した以降、脱塩工程以前に添加して調整したハ
ロゲン化銀写真乳剤を含有する感光性乳剤層を、反射性
支持体上に少なくとも一層有し、かつ下記一般式
(I)、(II)および(III)で表わされる化合物の少
なくとも一種を含有することを特徴とするハロゲン化銀
写真感光材料によって達成された。
一般式(I) 式中、Z1、Z2は互いに同じでも異なっていてもよく、複
素環を形成するのに必要な非金属原子群を表わし、Lは
メチル基を表わし、nは0、1、または2を表わす。
Z1、Z2で表わされる非金属原子群によって形成される複
素環は5もしくは6員環が好ましく、単環でも縮合環で
も良く、例えば5−ピラゾロン環、バルビツール酸、イ
ソオキサゾロン、チオバルビツール酸、ロダニン、イミ
ダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、ピロリドンなどの
複素環が挙げられる。これらの環は更に置換されていて
もよい。
Z1または、Z2によって形成される複素環は好ましくは少
なくとも1個のスルホン酸基又はカルボン酸基を有する
5−ピラゾロン環もしくはバルビツール酸である。例え
ば英国特許第506,385号、同1,177,429号、同1,311,884
号、同1,338,799号、同1,385,371号、同1,467,214号、
同1,433,102号、同1,553,516号、特開昭48−85,130号、
同49−114,420号、同55−161,233号、同59−111,640
号、米国特許第3,247,127号、同3,469,985号、同4,078,
933号等にはこれらのピラゾロン核やバルビツール酸核
を有するオキソノール染料について記載されている。
Lで表わされるメチン基は置換基(例えばメチル基、エ
チル基などのアルキル基、フエニル基などのアリール
基、クロル原子などのハロゲン原子)を有している態様
も含み、またLどうしが結合して環(例えば4,4−ジメ
チル−1−シクロヘキセンなど)を形成していても良
い。
一般式(II) 式中、R1、R4、R5およびR8は互いに同じでも異なってい
てもよく、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、カルバモイル基、およびアミノ基 R′、R″は互いに同じでも異なっていてもよく、水素
原子および少なくとも一つのスルホン酸基もしくはカル
ボキシル基をもつアルキル基またはアリール基)を表わ
す。
R2、R3、R6およびR7は互いに同じでも異なっていてもよ
く、水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基および少
なくとも一つのスルホン酸基もしくはカルボキシル基を
もつアルキル基またはアリール基を表わす。
一般式(III) 式中、R10およびR11は互いに同じでも異なっていてもよ
く、置換または非置換のアルキル基を表わす。
L1、L2、L3は互いに同じでも異なっていてもよく、先に
述べたような置換または非置換のメチン基を表わし、m
は0、1、2または3を表わす。
Z、Z′は互いに同じでも異なっていてもよく、置換ま
たは非置換の複素5員環または複素6員環を形成するに
必要は非金属群を表わし、lおよびnは0または1であ
る。
はアニオンを表わす。Pは1または2を表わし、化
合物が分子内塩を形成するときは、Pは1である。
米国特許第2,843,486号や同3,294,539号等には、上記の
シアニン染料の詳細が記載されている。
従来に技術に従えば、分光増感色素は一般に化学熟成を
行った乳剤に塗布前に添加される。しかしながら、こう
した方式では本発明の効果は得ることはできない。ま
た、米国特許第4,425,426号などには分光増感色素を化
学熟成の開始直前あるいはその途中に乳剤に添加する方
法が開示されている。けれども、この方法に従っても、
やはり本発明の効果は得られない。更に、分光増感色素
をハロゲン化銀粒子の形成が完結する以前に乳剤に添加
する方法が、米国特許第2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号および同4,225,666号に開示されている。
これらのうち、特に米国特許第4,183,756号および同4,2
25,666号は、分光増感色素をハロゲン化銀粒子形成にお
ける安定な核の形成以降、銀塩溶液の85重量%を添加す
るまでの間に乳剤に添加することによって、写真感度の
増加やハロゲン化銀粒子に対する分光増感色素の吸着の
強化が図れる旨の記載がある。しかしながら、このよう
な添加方法は煩雑であるうえに、形成されるハロゲン化
銀粒子のサイズ分布と形態を著しく変化させ、得られる
乳剤の写真性能を損う問題のあることがわかった。
いずれにしても、分光増感色素を可溶性銀塩溶液の少な
くとも85重量%を添加した以降、脱塩工程以前に乳剤に
添加して得られるハロゲン化銀写真乳剤と、一般式
(I)、(II)および(III)で表わされる化合物の少
なくとも一種とを含有させる事によって鮮鋭性に優れ、
かつ露光時の湿度変化による感度変動の少ない感光材料
が得られるという本発明の効果は、従来公知の文献から
は全く予想されない新規な知見であった。
本発明においては、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製に際
し、分光増感色素を可溶性銀塩溶液の少なくとも85重量
%を添加した以降、脱塩工程以前に添加する必要があ
る。それよりも早い時期に添加した場合には形成される
ハロゲン化銀粒子の形状が不規則なものとなったり、粒
子サイズ分布が広くなってしまうなどの問題があり、好
ましくない。また、脱塩工程以降に添加した場合には、
本発明の効果は発現されず、やはり好ましくない。
本発明の効果をより顕著に得るためには、分光増感色素
を可溶性銀塩溶液の添加が終了した直後から30分経過す
るまで(かつ脱塩工程以前)の範囲内で添加することが
好ましい。
本発明に用いられる分光増感色素としては、シアニン色
素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシ
アニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン
色素、スチリル色素、およびヘミオキソノール色素など
を挙げることができる。これらのなかで特に好ましい色
素は、シアニン色素、メロシアニン色素および複合メロ
シアニン色素に属する色素である。
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲に
わたるが、ハロゲン化銀1モル当り1.0×10-6〜1.0×10
-2モルの範囲が好ましい。さらに好ましくは、1.0×10
-5〜1.0×10-3モルの範囲である。
これらの分光増感色素を乳剤の調製工程において添加す
るのには通常の方法に従えばよい。即ち、用いる色素を
適当な有機溶媒(メタノール、エタノール、酢酸エチル
等)に溶解し、適当な濃度の溶液として乳剤に添加すれ
ばよい。また、用いる色素を界面活性剤等を利用して水
溶液中に分散したり、あるいは適当な濃度のゼラチン水
溶液中に分散するなどの方法により水系分散物として添
加することもできる。
以下に本発明に用いられる分光増感色素の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明には、公知の分光増感色素を用いる事ができ、こ
れら化合物は、エフ・エム・ヘイマー(F.M.Hamer)
著、“ヘテロサイクリック コンパウンズーシアニン
ダイズ アンド リレイテッド コンパウンズ(Hetero
cyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compoun
ds)第5章、第116頁〜147頁、ジョン ワイリ−アンド
サンズ(John Winey and Sons)社刊(1964年)、デ
イ・エム・シュトルマー(D.M.Sturmer)著、“ヘテロ
サイクリック コンパウンズ−スペシャル トピックス
イン ヘテロサイクリック ケミストリー(Heterocy
clic Compouds−Special Topics in Heterocyclic Chem
istry)”第8章、第5項、第482頁〜515頁、ジョン
ワイリー アンド サンズ(John Wiley and Sons)社
刊(1977年)、特公昭43−13823号、同44−16589号、同
48−9966号、同43−4936号および特開昭52−82416号等
に記載の方法を参考にして容易に合成することができ
る。
本発明に適用されるハロゲン化銀乳剤は、実質的に沃化
銀を含まない塩臭化銀もしくは塩化銀からなる。乳剤中
に含まれるハロゲン化銀粒子は、内部と表面が異なるハ
ロゲン組成を有する層よりなる、謂る積層型構造をとっ
ていても、ハロゲン組成の異なった部分が接合した構造
を有するような多層構造をとっていても、あるいはまた
粒子全体が均一なハロゲン組成を有するものであっても
よい。またそのようなハロゲン化銀粒子が混在していて
もよい。
本発明に適用されるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ
(粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を粒子
サイズとし、数平均をとったものをさす)は、0.1μ以
上2.0μ以下が好ましく、0.15μ以上1.0μ以下がさらに
好ましい。粒子サイズ分布は特に問わないが、単分散性
に優れたものが好ましい。すなわち、ハロゲン化銀粒子
の粒度分布曲線における通常の統計学上の標準偏差値を
平均粒子サイズで割った値(変動係数)が0.22以下が好
ましく、0.15以下がさらに好ましい。また、感光材料に
要求される階調を満足させるために、実質的に同一の感
色性を有する乳剤層において粒子サイズの異なる2種以
上の単分散ハロゲン化銀乳剤(単分散性としては前記の
変動係数のものが好ましい)を同一層に混合もしくは別
層に重層塗布して用いることができる。
本発明に適用されるハロゲン化銀粒子の形状はどのよう
なものであってもよいが、立方体、八面体、十二面体お
よび十四面体のような規則的(regular)な結晶形を有
するものが好ましい。これらの乳剤は潜像を主として表
面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部
潜像型のいずれでもよい。
本発明に用いられる写真乳剤は、グラフトキデ著「写真
の化学と物理」〔P.Glafkides.Chimie et Physique Pho
tographique(Paul Montel社刊、1967年)〕、ダイフン
著「写真乳剤化学」〔G.F.Duffin著 Photograhic Emuls
ion Chemiatry(Focal Press刊、1966年)〕、ゼリクマ
ンら著「写真乳剤の製造と塗布」〔V.L.Zelikman et al
著 Making and Coating Potographic Emulsion(Focal
Press刊、1964年)〕などに記載された方法を用いて調
製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アン
モニウム法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶
性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同
時混合法、それらの組合わせなどのいずれを用いてもよ
い。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法
(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合
法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液相中の
pAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロール
ド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法
によると、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハ
ロゲン化銀乳剤が得られる。
ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、
カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム
塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩ま
たは鉄錯塩などを相反則不軌防止、増感又は階調調節な
どの目的で共存させてもよい。
公知のハロゲン化銀溶剤(例えば、アンモニア、ロダン
カリまは米国特許第3,271,157号、特開昭51−12360号、
特開昭53−82408号、特開昭53−144319号、特開昭54−1
00717号もしくは特開昭54−155828号等に記載のチオエ
ーテル類およびチオン化合物)を沈澱、物理熟成、化学
熟成で用いることができる。物理熟成後の乳剤から可溶
性銀塩を除去するためには、ヌーデル水洗、フロキユレ
ーション沈降法または限外濾過法などに従う。
本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、活性ゼラチンや
銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例えばチオ硫酸塩、
チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類)を用
いる硫黄増感法;還元性物質(例えば第一すず塩、アミ
ン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフイン
酸、シラン化合物)を用いる還元増感法;金属化合物
(例えば、金錯塩のほか、Pt、Ir、Pd、Rh、Feなどの周
期律表VIII族の金属の錯塩)を用いる貴金属増感法など
を単独でまたは組み合せて用いることができる。
本発明の写真感光材料の好ましい実施態様に於ては、支
持体上に赤感性乳剤層、緑感性乳剤層、および青感性乳
剤層を各々少なくとも一つ有する。これらの層の順序は
必要に応じて任意にえらべる。好ましい層配列の順序は
支持体側から赤感性、緑感性、青感性または支持体側か
ら緑感性、赤感性、青感性である。また前記の各乳剤層
は感度の異なる2つ以上の乳剤層からできていてもよ
く、また同一感性をもつ2つ以上の乳剤層の間に非感光
性層が存在していてもよい。カラー画像を形成するに
は、赤感性乳剤層に非拡散性シアン形カプラーを、緑感
性乳剤層に非拡散性マゼンタ形成カプラーを、青感性乳
剤層に非拡散性イエロー形成カプラーをそれぞれ含有さ
せるのが通常であるが、場合により異なる組合わせをと
ることもできる。本発明に好ましく使用しうる非拡散性
のシアン、マゼンタ及びイエローカプラーに関しては、
例えば特願昭62−39825号明細書第44頁第8行〜81頁に
記載されているもの、更に具体的には第57頁〜81頁に記
載された(C−1)〜(C−46)、シアンカプラー、
(M−1)〜(M−20)のマゼンタカプラー、(Y−
1)〜(Y−8)のイエローカプラーを挙げることがで
きる。更に具体的には下記の化合物を挙げることができ
る。
以下、シアンカプラーの好ましい具体例を示す。
以下、マゼンタカプラーの好ましい具体例を示す。
以下、イエローカプラーの好ましい具体例を示す。
前記カプラーとともに、前記特願昭62−39825号明細書
に記載の主鎖或は側鎖に酸基を持たない少なくとも一種
の繰り返し単位から成る水不溶性かつ有機溶媒可溶性の
単独又は共重合体を用いることができ、更にまたは独立
に高沸点有機溶媒を用いることができる。高沸点有機溶
媒についての詳細な説明及びその具体例については、前
記出願明細書第82頁〜96頁に記載されている。また、色
像堅牢性の向上や発色性向上の効果を高めるために、前
記出願明細書第99頁〜101頁に記載の一般式(A)〜
(C)で表わされる化合物、さらに具体的には同第101
頁〜105頁に記載の化合物(X−1)〜(X−19)から
選ばれるものと併用するのが好ましい。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層保護層、
中間層の他に、フィルター層、ハレーション防止層、パ
ック層などの補助層を適宜設けることができる。
本発明の感光材料の乳剤層や中間層に用いることのでき
る結合剤(バインダー)または保護コロイドとしては、
ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性
コロイドも用いることができる。
本発明の感光材料に用いうる支持体としては、透過性の
ものも使用しうるが、好ましい支持体は、反射支持体で
あって、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリ
プロピレン合成紙、反射層を併設した、あるいは反射体
を併用する透明支持体、例えばガラス板、塩化ビニル樹
脂、セルロースアセテート、セルロースナイトレート或
はポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィル
ム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、
ポルスチレンフィルム等があり、これらの支持体は夫々
感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
本発明の感光材料の現像処理には、通常の白黒現像液
(写真化学 菊池真一著 共立新書 第7章へ第11章記
載)や、各種カラー現像液、即ち発色法、拡散転写法や
銀色素漂白法などに用いられる現像液(T.H.ジェイムス
著 ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセ
ス第4版第11章〜第16章記載)を用いることができる。
以下に本発明に用いる事のできるカラー現像液について
詳しく説明する。
本発明に使用されるカラー現像液中には、公知の芳香族
第一級アミンカラー現像主薬を含有する。好ましい例は
p−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に
示すがこれらに限定されるものではない。
D−1 N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン D−2 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン D−3 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリル
アミノ)トルエン D−4 4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチ
ル)アミノ〕アニリン D−5 2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒ
ドロキシエチル)アミノ〕アニリン D−6 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
〔β−(メタンスルホンアミド)エチル〕−アニリン D−7 N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニ
ルエチル)メタンスルホンアミド D−8 N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン D−9 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メ
トキシエチルアニリン D−10 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−β
−エトキシエチルアニリン D−11 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−β
−ブトキシエチルアニリン 上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち特に好ましく
は4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−〔β−
(メタンスルホンアミド)エチル〕−アニリン(例示化
合物D−6)である。
また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸
塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など
の塩であってもよい。該芳香族一級アミン現象主薬の使
用量は現像液1当り好ましくは約0.1g〜約20g、より
好ましくは約0.5g〜約10gの濃度である。
カラー現像液の好ましいpHは、9〜12、より好ましくは
9〜11.0である。カラー現像液に添加しうる保恒剤、緩
衡剤、キレート剤、現像促進剤、カブリ防止剤、蛍光増
白剤の種類や添加量などの詳細については、昭和62年3
月18日付特許願(A)(富士フィルム(株)出願:発明
の名称「カラー画像形成方法」)の出願明細書第11頁〜
19頁に記載されている。
本発明のカラー現像液の処理温度は20〜50℃好ましくは
30〜40℃である。処理時間は20秒〜5分好ましくは30秒
〜2分である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材
料1m2当り20〜600ml好ましくは50〜300mlである。更に
好ましくは100ml〜200mlである。
次に本発明における脱銀工程について説明する。脱銀工
程は、一般には、漂白工程−定着工程、定着工程−漂白
定着工程、漂白工程−漂白定着工程、漂白定着工程等い
かなる工程を用いても良い。脱銀工程は2分以下、より
好ましくは15秒〜90秒である。また、本発明に用いられ
る漂白液、漂白定着液及び定着液並びにこれらの液への
添加剤やその量については例えば前記の出願明細書第20
頁〜25頁に記載されているものを適用できる。
また、脱銀処理後に施される水洗及び/又は安定化処理
についても前記出願明細書第25頁〜第29頁12行目に記載
の事柄を適用できる。
本発明の写真感光材料は印画紙、特にカラー印画紙とし
て有用である。その他あらゆる種類のハロゲン化銀写真
感光材料に適用できる。例えば、黒色やカラーの撮影用
感材、カラー拡散転写法感材、銀塩拡散転写法用感材、
熱現像型感材、カラー反転ペーパー、撮影用カラー反転
フィルム、黒白やカラーの直接ポジ感材である。
本発明に用いられる化合物(I)、(II)、(III)の
塗布量は、特に制限はないが、好ましくは1×10-6〜2
×10-4/モル/m2である。これらの化合物(I)、(I
I)、(III)は支持体上の任意の親水性層、例えばハロ
ゲン化銀乳剤層、中間層、保護層に添加できる。
以下に本発明に用いられる化合物(I)、(II)、(II
I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
(発明の効果) 本発明のハロゲン化銀写真感光材料は高感度で階調が高
いのみならず、鮮鋭性に優れ、かつ露光時の湿度変化に
よる感度変動が少ない、つまり露光時の湿度85%RHのよ
うな高湿度下でも感度低下が少なく、安定した仕上りの
プリントが得られる。という優れた効果を奏する。
さらに本発明のハロゲン化銀写真感光材料は高塩化銀の
ハロゲン化銀乳剤層を有するので迅速処理が可能で、カ
ラー画像の色再現性が優れる。
(実施例) 以下、本発明を実施例に従って詳細に説明する。
実施例 後記の多層カラー印画紙に用いるハロゲン化銀乳剤
(1)を以下の(1)液〜(7)液を用いて調製した。
(2液) 硫酸(IN) 24cc (3液) 下記のハロゲン化銀溶剤(1%) 3cc 調製法は、まず(1液)を60℃に加熱し、(2液)と
(3液)を添加した。その後、(4液)と(5液)を8
分間費やして同時添加した。さらに8分後、(6液)と
(7液)を10分間費やして同時添加した。添加5分後、
温度を下げ、脱塩した。水と分散ゼラチンを加え、pHを
6.2に合わせて、平均粒子サイズ0.45μm、変動係数
(標準偏差を平均粒子サイズで割った値:s/d)0.08の単
分散立方体純塩化銀乳剤を得た。
次に(6液)と(7液)の添加終了5分前に下記に示す
緑増感色素(a)をハロゲン化銀1モル当り4.0×10-4
モル加えた以外は乳剤(1)の調製と同様にして乳剤
(2)を調製した。
さらに上記緑増感色素(a)を(6液)と(7液)の添
加終了1分前に添加した以外は乳剤(2)の調製と同様
にして乳剤(3)を調製した。
また(6液)と(7液)の添加終了直後に上記緑増感色
素(a)を添加した後脱塩を行なうように変更した以外
は乳剤(1)の調製と同様にして乳剤(4)を調製し
た。
次いで上記乳剤(1)〜(4)はチオ硫酸ナトリウムを
添加することにより最適に化学増感した。
さらに乳剤(1)の調製において、脱塩後、チオ硫酸ナ
トリウム添加前に上記緑感性色素(a)を添加すること
により乳剤(5)を調製した。乳剤(5)もチオ硫酸ナ
トリウムを用い最適に化学増感した。
次に乳剤(4)の調製において、緑増感色素(a)の代
わりに赤増感色素(b)を下記の量添加することにより
乳剤(6)を調製した。
また乳剤(1)の調製において、温度および(3液)の
ハロゲン化銀溶剤の量を調製することにより、平均粒子
サイズ1.04μmの立方体純塩化銀乳剤(7)を得た。さ
らに乳剤(7)の調製において、(6液)と(7液)の
添加終了直後に、青増感色素(c)を下記の量添加する
ことにより乳剤(8)を得た。
上記乳剤(6)〜(8)もチオ硫酸ナトリウムを添加す
ることにより最適に化学増感した。
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体の上に第2
表に示す層構成の多層カラー印画紙を作製した。塗布液
は下記のようにして調製した。
第1層塗布液調製 イエローカプラー(h)19.1gおよび色像安定剤(i)
4.4gに酢酸エチル27.2ccおよび溶媒(j)7.7ccを加え
溶解し、この溶液を10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム8ccを含む10%ゼラチン水溶液185ccに乳化分散
させた。一方塩化銀乳剤(7)(Ag 70g/kg含有)に上
記に示した青増感色素(c)を銀1モル当たり5.0×10
-4モル加えたものを調製した。前記の乳化分散物とこの
乳剤とを混合溶解し、第2表の組成となるように第1層
塗布液を調製した。第2層から第7層用の塗布液も第1
層塗布液と同様の方法で調製した。
但し第3層の緑感性乳剤としては、乳剤(1)に上記緑
増感色素(a)をハロゲン化銀1モル当り4.0×10-4
ル、また第5層の赤感性乳剤としては、乳剤(1)に上
記赤増感色素(b)をハロゲン化銀1モル当り0.9×10
-4モル、それぞれ添加したものを用いた。
各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジ
クロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
赤感性乳剤層に対しては、下記の化合物をハロゲン化銀
1モル当たり2.6×10-3モル添加した。
また青感性乳剤層、緑感性乳剤層、赤感性乳剤層に対
し、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカ
プトテトラゾールをそれぞれハロゲン化銀1モル当たり
8.5×10-5モル、7.7×10-4モル、7.5×10-4モル添加し
た。
(r)溶媒 O=PO−C9H19(iso)) このようにしてできた塗布試料を試料Aとする。
次に試料Aの緑感層に下記の染料1を、また赤感層に染
料2を添加することにより試料Bを用意した。
さらに試料Bにおいて各層の乳剤を第3表に示すように
代えることにより試料C〜試料Hを用意した。但し乳剤
(2),(3),(4),(5),(6),(8)のよ
うに粒子形成時および化学後熟前に増感色素を添加して
ある乳剤を使用する試料では、塗布液調製時には対応す
る増感色素の添加は行なわなかった。
第3表の試料に感光計(富士写真フイルム株式会社製FW
H型、光源の色温度3,200゜K)を用いて、青、緑、赤の
各フィルターを通してセンシトメトリー用の階調露光を
与えた。この時の露光は、10秒の露光時間で250CMSの露
光量になるように行った。
露光後、発色現象、漂白定着、リンスの各工程からなる
処理を行った。各工程の温度および時間と処方を以下に
示す。
(処理工程) (温度) (時間) 発色現象(処方A) 35℃ 45秒 漂白定着(処方A) 35℃ 45秒 リンス 28〜35℃ 1分30秒 (発色現像液処方−A) 水 800 cc ジエチレントリアミン5酢酸・5Na塩 1.0 g 亜硫酸ナトリウム 0.2 g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 4.2 g 臭化カリウム 0.01g 塩化ナトリウム 1.5 g トリエタノールアミン8.0 g N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)
−3−メチル−4−アミノアニリン・硫酸塩 4.5 g 炭酸カリウム 30.0 g 4,4′−ジアミノスチルベン系螢光増白剤(住友化学
(株)Whitex4) 2.0 g 水を加えて全量で 1000 cc (pH10.1) (漂白定着液処方−A) 水 700 cc チオ硫酸アンモニウム(54wt%) 150 cc 亜硫酸ナトリウム 15 g NH4〔Fe(III)(EDTA)〕 55 g EDTA・2Na(2水塩) 4 g 氷酢酸 8.61g 水を加えて全量で 1000 cc (pH5.4) (リンス液処方) EDTA・2Na(2水塩) 0.4g 水を加えて全量で 1000 cc (pH7.0) 結果を第3表に示す。相対感度とは、25℃湿度55%の条
件下で露光した際に得られた色画像の特性曲線におい
て、最低濃度+0.5の濃度における露光量の逆数につい
て試料Aを100と表した場合の相対値を表す。階調γは
上記感度点から露光量の対数(log E)で0.5増えた点ま
での濃度差で示した。
また減感度とは25℃−55%R.H.と25℃−85%R.H.の条件
下で露光した際の相対感度の差を意味する。
鮮鋭度は、画像の輪郭の明瞭さと微細な像を描写する能
力とを表す量である。ここではCTFと呼ばれる値を用い
た。CTFは、方形波形としての空間波数に対する振幅の
減衰度を%表示で示す。第3表では、空間周波数15本/m
mにおける鮮鋭度を示した。値が大きいほど鮮鋭度が高
い。
第3表から本発明の緑感光性乳剤層からなる試料Dと
E、及び本発明の青、緑、及び赤感光性乳剤層からなる
試料Hは、本発明の乳剤及び/又は染料を含まない比較
用試料に比べて、高感度で階調が高いのみならず、鮮鋭
性に優れ、かつ露光時の湿度変化による感度変動が少な
いことがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−80841(JP,A) 特開 昭60−203936(JP,A) 特開 昭61−103149(JP,A) 特開 昭62−103633(JP,A) 特開 昭62−250438(JP,A) 特開 昭62−253146(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に沃化銀を含まない、塩化銀含有率
    95モル%以上の塩臭化銀もしくは塩化銀からなり、かつ
    その調製工程が、親水性コロイドの存在下におけるハロ
    ゲン化銀の粒子形成、物理熟成、脱塩、化学熟成からな
    り、さらに青増感色素及び緑増感色素より選ばれた少な
    くとも一種の写真用分光増感色素をハロゲン化銀粒子の
    形成に必要な可溶性銀塩溶液の少なくとも85重量%を添
    加した以降、脱塩工程以前に添加して調製したハロゲン
    化銀写真乳剤を含有する青感光性又は緑感光性乳剤層の
    少なくとも一層を反射性支持体上に有し、かつ下記一般
    式(I)、(II)または(III)で表される化合物の少
    なくとも一種を含有することを特徴とするハロゲン化銀
    写真感光材料。 一般式(I) (式中、Z1、Z2は互いに同じでも異なっていてもよく、
    複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表わし、L
    はメチン基を表わし、またLとLは互いに連結して環を
    形成してもよい。nは0、1、または2を表わす。) 一般式(II) (式中、R1、R4、R5、およびR8は互いに同じでも異なっ
    ていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ
    基、アリールオキシ基、カルバモイル基、およびアミノ
    R′、R″は互いに同じでも異なっていてもよく、水素
    原子、および少なくとも一つのスルホン酸基またはカル
    ボキシル基をもつアルキル基、アリール基)を表わす。 R2、R3、R6およびR7は互いに同じでも異なっていてもよ
    く、水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基、および
    少なくとも一つのスルホン酸基もしくはカルボキシル基
    をもつ、アルキル基またはアリール基を表わす。) 一般式(III) (式中、R10およびR11は互いに同じでも異なっていても
    よく、アルキル基を表わす。 L1、L2、L3は互いに同じでも異なっていてもよく、置換
    または非置換のメチン基を表わし、mは0、1、2、ま
    たは3を表わす。 Z、Z′は互いに同じでも異なっていてもよく、複素5
    員環または複素6員環を形成するに必要な非金属原子群
    を表わし、lおよびnは0または1である。X はアニ
    オンを表わす。Pは1または2を表わし、化合物が分子
    内塩を形成するときは、Pは1である。)
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