JPH0768171A - 二酸化炭素還元反応触媒 - Google Patents

二酸化炭素還元反応触媒

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JPH0768171A
JPH0768171A JP5261904A JP26190493A JPH0768171A JP H0768171 A JPH0768171 A JP H0768171A JP 5261904 A JP5261904 A JP 5261904A JP 26190493 A JP26190493 A JP 26190493A JP H0768171 A JPH0768171 A JP H0768171A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 COをHにより還元させてCOを得るこ
とのできる触媒であって、原料ガスにCO、あるいはH
Sなどの硫黄化合物が存在していても、触媒が被毒さ
れることなく、したがって触媒の寿命延長を図ることが
でるとともに、生成ガス中へのHSなどの移行を防ぐ
ことができ、高効率でCOを生成することができる触媒
を提供する。 【構成】 酸化亜鉛単独、または酸化亜鉛を含有する酸
化チタニウム,酸化アルミニウムのいずれか一方または
双方の複合体に、遷移金属を担持する。遷移金属は、周
期律表第VIII族金属,VIa族金属のうちの少なく
とも1つであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二酸化炭素を水素によ
り還元させて一酸化炭素を得ることのできる二酸化炭素
還元反応触媒に関し、特に、原料ガスにHSなどの硫
黄化合物や多量の一酸化炭素が存在していても好ましく
適用できる二酸化炭素還元反応触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二酸化炭素を水素により水素化す
る反応は、Ru,Rhの貴金属系触媒あるいはNi系触
媒を用い、化1に示すように、炭化水素を製造する方法
として工業化され、公知となっている。この反応によれ
ば、高選択率でメタンを製造することができ、COは殆
ど生成されない。
【0003】
【化1】
【0004】一方、一酸化炭素は、単独で、あるいは水
素と等モルで混合されて、メタノール合成、アクリル酸
合成、ギ酸合成、脂肪酸合成、酢酸合成、オキソ合成、
カルボニル合成などの原料として有用である。この一酸
化炭素の製造法は、一般に、軽質炭化水素のスチームリ
フォーミング法などにより行われている。スチームリフ
ォーミング法では、先ず、メタンなどの軽質炭化水素、
水および二酸化炭素を、触媒存在下で反応させて、H
/CO/COを含有するガスに変え、次いで、このガ
ス中のCOをアミン液などで吸収し、HとCOとの
混合気体を得るか、さらに深度冷却してCOを分離して
得る。
【0005】また、一酸化炭素の製造法として、近年、
地球環境保全の観点からCOの固定化・資源化の研究
が活発に行われるようになり、これに伴い二酸化炭素を
原料として水素による還元反応を行い、化2に示す反応
により、COを高選択率で生成することのできる触媒の
開発が行われている。
【0006】
【化2】
【0007】化2の反応は、炭化水素を生成することな
く、選択的にCOを生成する反応である。この反応に用
いられる触媒は、その活性として平衡転化率までの転化
率を有することが求められるために、シビアーな触媒設
計がなされている。したがって、原料ガス中にHSな
どの硫黄化合物があると、触媒は硫黄化合物により被毒
される。
【0008】これを改良した触媒として、硫化タングス
テン触媒や硫化モリブデン触媒などが公知となっている
(特願平3−233665号明細書など参照)。これら
の触媒は、テトラチオタングステン酸アンモニウム
〔(NHWS〕やテトラチオモリブデン酸アン
モニウム〔(NHMoS〕を、H気流中、温
度300〜400℃で前処理を行い、WS、MoS
として調製した触媒である。
【0009】また、TiO、Al、SiO
どを担体とし、これら担体を上記のアンモニウム硫化物
塩水溶液にアンモニア水を加えた液中に浸潰して、担持
させ、乾燥後、前処理を行い、調製した触媒MoS
TiO、MoS/Alなどもある。
【0010】これらの触媒は、金属硫化物を触媒活性成
分としているため、硫黄化合物によっては被毒されない
という特長がある。
【0011】また、これらの触媒は、二酸化炭素と水素
の混合気体を使用する二酸化炭素の還元反応において、
炭化水素を生成することなく、高選択率でCOを生成さ
せ得ることが知られている。しかも、上記のように、硫
黄化合物による被毒作用を受けないため、上記の混合気
体(原料ガス)の前処理においてHSなどの硫黄化合
物の除去を必要としないという利点もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原料ガ
ス中にCOを多く含む場合には、化3に示すように、炭
化水素の生成や、炭素の析出が著しくなるばかりか、C
Oによる触媒の被毒が起こることも、一般に知られてい
る。
【0013】
【化3】
【0014】また、原料ガス中に硫黄化合物が微量含ま
れている場合であっても、含まれていない場合であって
も、二酸化炭素と水素との反応中に、触媒活性成分であ
る金属硫化物が水素により還元されてHSを生成し、
このHSが二酸化炭素と水素との反応生成物中に移行
して触媒活性を低下させる。
【0015】しかも、この反応生成物中に移行したH
Sのために、原料ガス中の硫黄化合物(HSなど)の
有無にかかわらず、HS除去を目的とした後処理が必
要となる。
【0016】一方、スチームリフォーミング法によるオ
キソガス(CO/H=1)の製造過程、およびこれを
深度冷却することによるCOの分離過程においては、反
応ガスを、大量の未反応COの分離操作の後に、濃縮
して、循環させている。したがって、硫化物触媒に見ら
れるように、触媒の還元により、HSなどの硫黄化合
物がスリップすると、COの分離、濃縮の過程で、硫
黄化合物も同時に濃縮され、リフォーミング反応器内に
導入され、リフォーミング用触媒の被毒を引き起こし、
好ましくない。また、未反応のCO量を如何に減少さ
せるかが、この方法におけるコスト低減の鍵となってい
る。このためには、CO、CO、Hを含むリフォー
ミングガスを逆シフト反応させて、該ガス中のCO
を減ずることが不可欠である。
【0017】なお、一般には、COが存在すると、触媒
の被毒、炭素の析出、炭化水素の生成などが顕著にな
る。
【0018】以上のようなことから、本発明では、CO
を多く含むCOとHとの混合気体を使用する場合で
あっても、該ガス中のCOを選択的にCOへ水素還元
し得ると同時に、耐硫黄被毒性をも持ち合わせた二酸化
炭素還元触媒の開発を目的とする。
【0019】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、二酸化炭
素を水素で還元する反応により一酸化炭素を得るための
二酸化炭素還元触媒を研究・開発中に、中軽質油の深度
脱硫用として開発されている触媒を含め、酸化亜鉛単独
または酸化亜鉛を含有する周期律表第IIIb族、IV
a族から選ばれる金属酸化物またはそれらの複合体に遷
移金属を担持した触媒であれば、(1)原料ガス中にH
Sなどの硫黄化合物が混在していても、被毒されるこ
となく、触媒寿命が延長し、しかも生成物中にHSが
混在せず、したがってHS除去処理を必要としないこ
と、(2)特に、酸化亜鉛と酸化チタニウムや酸化アル
ミニウムとの複合体を担体とする場合は、原料ガス中の
COと同程度のCOが含まれていても、触媒の被毒
や、炭素の析出、あるいは炭化水素の生成などの副反応
を伴わずに、選択的なCOのCOへの水素化反応が起
こること、を見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】すなわち、本発明は、酸化亜鉛単独、また
は酸化亜鉛を含有する周期律表第IIIb族、IVa族
から選ばれる金属酸化物のいずれか一方または双方の複
合体に、遷移金属を担持してなることを特徴とする二酸
化炭素還元反応触媒を要旨とする。
【0021】本発明の触媒は、二酸化炭素を水素で還元
して一酸化炭素を得る反応において使用されるものであ
って、二酸化炭素および水素の混合ガス中にHSなど
の硫黄化合物が含有されている場合であっても、被毒さ
れることなく、一酸化炭素を高選択率で得ることができ
るものである。
【0022】本発明の触媒は、担体として、酸化亜鉛単
独、または酸化亜鉛を含有する周期律表第IIIb族、
IVa族から選ばれる金属酸化物、例えばAl、Ga、
Ti、Zrなどの金属酸化物、またはこれらの複合体
(例えば、酸化亜鉛と酸化チタニウムとの複合体、酸化
亜鉛と酸化アルミニウムとの複合体、または酸化亜鉛と
酸化チタニウムと酸化アルミニウムとの複合体)を使用
する。特に、本発明の触媒が、酸化亜鉛と酸化チタニウ
ムや酸化アルミニウムとの複合体を担体とする場合に
は、上記の混合ガス中に、HSなどの硫黄化合物の他
に、COが大量に含まれていても、これら硫黄化合物や
COによって被毒されることはない。
【0023】担体における酸化亜鉛の量は、一般には、
約20〜100重量%とする。酸化亜鉛の量があまり少
ないと、触媒寿命において充分な延長効果が得られな
い。すなわち、原料ガス中のHSなどの硫黄化合物
は、その殆どが担体の酸化亜鉛に吸収される。これによ
り、活性成分は、被毒されず、寿命が延びると考えられ
る。したがって、酸化亜鉛を含有しない場合は、この効
果が発現せず、酸化亜鉛の量が少ない場合は、この効果
が充分でなくなり、触媒寿命が短くなる。
【0024】また、複合体の場合は、いずれも触媒の機
械的強度を向上させる効果の他に、特に酸化チタニウム
と酸化アルミニウムを含有するものにあっては、実施例
に示すように、亜鉛単独の場合に比して、一酸化炭素の
選択率の向上、耐CO被毒性、耐コーク生成性の効果が
ある。これらの担体成分の含有量は、少なすぎれば、含
有効果がなく、多すぎると相対的に上記の酸化亜鉛の量
が少なくなりすぎて、上記のHS吸収効果が減少して
しまうため、いずれも約40〜80重量%の範囲内とす
ることが好ましい。なお、酸化チタニウムと酸化アルミ
ニウムとを併用する場合の両者の併用割合は、特に限定
されず、両者の合計量が約40〜80重量%の範囲内と
なっていればよい。
【0025】さらに、活性成分である遷移金属は、どの
ような遷移金属でもよいが、特に、周期律表第VIII
族(特に、Ni、Fe、Co、Ru、Rh、Pt、P
d)やVIa族(特に、Mo、W)が好ましい。これら
の遷移金属は、それぞれ単独でもよいし、2種以上の金
属を混合して使用することもできる。
【0026】遷移金属の担持量(2種以上を混合して使
用する場合は、合計の担持量)は、特に制限されない
が、一般には、約5〜20重量%とすることが好まし
い。遷移金属の量があまり少ないと、二酸化炭素を水素
で還元して高選択率で一酸化炭素を生成する効果はもと
より、上記の原料ガス中のHSなどの硫黄化合物を酸
化亜鉛に吸収され易い形にする効果が充分でなくなる。
逆に、遷移金属の量があまり多くても、このような効果
は飽和してしまい、多くする技術的意義がなく、不経済
となる。
【0027】本発明の触媒は、例えば、亜鉛化合物単
独、またはアルミニウム化合物やチタニウム化合物など
の周期律表第IIIb族、IVa族から選ばれる金属酸
化物の一方または双方と亜鉛化合物とを用いて担体を調
製した後、得られた担体に遷移金属を、常法により、含
浸、乾燥、焼成させて調製される。
【0028】亜鉛化合物、およびアルミニウム化合物や
チタニウム化合物などの周期律表第IIIb族、IVa
族から選ばれる金属酸化物としては、これらの元素の水
酸化物、塩化物、酸化物などが用いられる。遷移金属の
原料としては、遷移金属の水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、
塩化物などが用いられる。
【0029】担体の調製は、酸化亜鉛単独の担体の場
合、金属亜鉛を空気中で焼成するか、無機亜鉛塩(硝酸
亜鉛、ホウ酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛など)または有機亜
鉛(安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛など)を加
熱分解することにより行われている。
【0030】また、酸化亜鉛を含有する周期律表第II
Ib族、IVa族から選ばれる金属酸化物の一方または
双方の複合体の担体の場合は、水酸化チタニウムや水酸
化アルミニウムなど、あるいはこれらの混合物に、水酸
化亜鉛を混合するか、これら水酸化物以外のチタニウム
化合物やアルミニウム化合物など、あるいはこれらの混
合物に、亜鉛化合物を加えてアルカリで共沈させた後、
常法により、洗浄、乾燥、成型、焼成すればよい。
【0031】なお、酸化亜鉛と周期律表第IIIb族、
IVa族から選ばれる金属酸化物との複合体を得る場合
の上記各化合物(水酸化物を含む)の混合順序は、特に
制限されず、例えば、上記のようにチタニウム化合物と
アルミニウム化合物とを混合したものに亜鉛化合物を混
合してもよいし、チタニウム化合物,アルミニウム化合
物のいずれか一方と亜鉛化合物とを混合したものに、チ
タニウム化合物,アルミニウム化合物の他方を混合して
もよい。
【0032】あるいは、酸化亜鉛、酸化チタニウム、酸
化アルミニウムなどの粉末を所定量混合するのみでも、
上記した所期の目的を達成し得る本発明の触媒の担体を
調製することができる。
【0033】上記の担体に、遷移金属を担持する方法と
しては、含浸法、共沈法などの公知の方法を用いること
ができる。一例を挙げると、酸化亜鉛単独の担体に、遷
移金属としてNiを担持する場合は、先ず、酸化亜鉛を
秤量し、これに水を徐々に滴下して、酸化亜鉛の内部に
吸水させる。この吸水は、酸化亜鉛の内部において飽和
されるまで行うことが好ましい。次いで、この飽和吸水
量と既知の酸化亜鉛量とから、必要なNi量を算出し、
このNi量に基づいて、適宜の濃度に調製したNi塩
(硝酸塩、酢酸塩、塩化物など)の水溶液を、酸化亜鉛
に飽和吸収させ、洗浄、乾燥、成型、焼成すればよい。
【0034】複合体の担体の場合、あるいは2種以上の
遷移金属を担持させる場合も同様で、先ず、複合体の内
部まで吸水させておき、次いで、飽和吸水量と複合体の
酸化亜鉛量とから必要な遷移金属量(2種以上の遷移金
属の合計量)を算出し、この遷移金属量に基づいて、適
宜の濃度に調製した遷移金属塩の水溶液を、飽和吸収さ
せた後、上記のような洗浄などの工程を行えばよい。
【0035】本発明の触媒を使用して二酸化炭素を水素
により還元反応させて一酸化炭素を得る場合、原料ガス
中にHSなどの硫黄化合物が混在していても、また特
に酸化亜鉛と酸化チタニウムや酸化アルミニウムとの複
合体を担体とする場合には、該原料ガス中にCOが大量
に含まれていても、好ましい一酸化炭素の製造を行うこ
とができる。この反応において、温度は、約400℃以
上、好ましくは約500〜600℃、圧力は、約20k
g/cm以下、好ましくは常圧〜約5kg/cm
GHSVは、約1000〜30000h−1が適してい
る。
【0036】
【実施例】以下の実施例において、生成物(ガス)の分
析は、SUS製のカラムI.D.(Inner Dia
meter)3φ×2mmに、活性炭素60/80me
shを充填し、熱伝導検出器(TCD)付のガスクロマ
トグラフにより行い、HSの検出は、ガス検知管(北
川式)で行った。
【0037】実施例1 酸化チタニウム粉末9.8g、酸化亜鉛粉末5.7g、
酸化アルミニウム粉末4.5gを混合して調製した担体
20gを、硝酸ニッケル〔Ni(NO・6H
O〕9.91gを20ccの水に溶解した硝酸ニッケ
ル水溶液に1時間浸潰し、残液を除去した後、120℃
で12時間乾燥し、600℃で3時間焼成して、Ni
O;12.4wt%、ZnO;21.2wt%、残りT
iOおよびAlの触媒を調製した。
【0038】この触媒を内径16mmの円筒反応管に8
cc充填し、常圧、350℃で、6時間にわたって、H
を50cc/minで通気させた。次いで、常圧、6
00℃、GHSV=3000h−1の条件で、H:C
=1:1の混合ガスを原料ガスとしてCOのH
による還元反応を行った。結果を、表1に示す。
【0039】実施例2 実施例1と同様にして調製した担体20gを、硝酸コバ
ルト〔Co(NO・6HO〕9.88gを20
ccの水に溶解した硝酸コバルト水溶液に1時間浸潰
し、残液を除去した後、120℃で12時間乾燥し、6
00℃で3時間焼成して、CoO;12.7wt%、Z
nO;21.5wt%、残りTiOおよびAl
の触媒を調製した。この触媒を用い、実施例1と同様に
して還元反応を行った。結果を表1に示す。
【0040】実施例3 実施例1と同様にして調製した担体20gを、パラモリ
ブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4
O〕5.2gを20ccの水に溶解し、これにアン
モニア水を滴下したパラモリブデン酸アンモニウム水溶
液に1時間浸潰し、残液を除去した後、120℃で12
時間乾燥し、600℃で3時間焼成して、MoO;1
5wt%、ZnO;21.3wt%、残りTiOおよ
びAlの触媒を調製した。この触媒を用い、実施
例1と同様にして還元反応を行った。結果を表1に示
す。
【0041】実施例4 酸化亜鉛単独の担体(ガードラ社製商品名“G−72”
成型品)20gと、硝酸ニッケル〔Ni(NO
6HO〕19.86gを20ccの水に溶解した硝酸
ニッケル水溶液とを用いた以外は、実施例1と同様にし
て、NiO;19.1wt%、ZnO;70.0wt%
の触媒を調製した。この触媒を用い、実施例1と同様に
して還元反応を行った。結果を表1に示す。
【0042】比較例1 酸化チタニウム粉末10gと酸化アルミニウム粉末10
gを混合した担体20gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、NiO;12.4wt%、残りTiOおよ
びAlの触媒を調製した。この触媒を用い、実施
例1と同様にして還元反応を行った。結果を表1に示
す。
【0043】
【表1】
【0044】なお、表1中の転化率と選択率は、それぞ
れ数1と数2に示す通りであり、平衡転化率は理論上の
転化率を意味し、これらは表2,3において同じであ
る。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】実施例5 実施例4で調製した触媒を用い、原料ガスとしてH
を200ppm含有するH:CO=1:1の混合ガ
スを用いる以外は実施例1と同様にして還元反応を行っ
た。結果を表2に示す。
【0048】比較例2 比較例1で調製した触媒を用い、原料ガスとして実施例
5と同じHS含有混合ガスを用いる以外は実施例1と
同様にして還元反応を行った。結果を表3に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表1および表2〜表3から明らかなよう
に、触媒の担体における酸化亜鉛の有無にかかわらず、
原料ガスにHSなどの硫黄化合物が混在しなければ、
高転化率が得られるが、原料ガスにHSなどの硫黄化
合物が混在すると、担体に酸化亜鉛を含有していない触
媒では、HSはそのまま通過して生成ガス中に現れ、
また触媒がHSなどの硫黄化合物により被毒され、転
化率が低下し、かつ触媒寿命が短いことが判る。本発明
の触媒では、生成ガス物中にHSは確認されず、しか
も触媒寿命が長いことから、被毒されていないことがわ
かる。
【0052】比較例3 市販の二硫化モリブデンを内径16mmの円筒反応管に
8cc充填し、常圧、600℃、GHSV=3000h
−1の条件で、H:CO=1:1の混合ガスを用
い、COのHによる還元反応を行い、反応時間の経
過による転化率の変化と、生成ガス中のHS濃度の変
化とを測定した。結果を図1に示す。
【0053】図1から明らかなように、金属硫化物を触
媒としたものは、原料ガス中にHSなどの硫黄化合物
が混在していなくとも、反応中に触媒成分である硫化物
が水素により還元されてHSとなり、これが生成ガス
中に移行して触媒活性を低下させることが判る。
【0054】実施例6 実施例1で調製した触媒を用い、原料ガスとしてH
を200ppm含有するH(49.7vol%)、C
O(28.4vol%)、CO(21.8vol%)
およびCH(0.1vol%)の混合ガスを用いる以
外は、実施例1と同様にして還元反応を連続して行い、
24時間経過後と、200時間経過後の結果を、表4に
示す。
【0055】実施例7 実施例1と同様にして調製した担体20gを、硝酸鉄9
水和物〔Fe(NO・9HO〕26.15gを
溶解した水溶液20ccに浸漬し、残液を除去し、12
0℃で12時間乾燥し、600℃で3時間焼成して、F
;20.5wt%、ZnO;21.2wt%、
残りTiOおよびAlの触媒を調製した。この
触媒を用いる以外は、実施例6と同様にして還元反応を
行い、結果を表4に示す。
【0056】実施例8 実施例3で調製した触媒を用いる以外は、実施例6と同
様にして還元反応を行い、結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】なお、表4中の転化率と選択率は、それぞ
れ数3と数4に示す通りであり、C−バランスは、原系
と生成系の物質収支であり、この値が低いと言うこと
は、それだけ触媒上でカーボンが析出したことを意味す
る。
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】表4から明らかなように、本発明の触媒、
特に酸化亜鉛と酸化チタニウムや酸化アルミニウムの複
合体を担体とする触媒では、原料ガス中にCOを大量に
含んでいても、反応時間の経過とともに転化率、選択率
が低下することはなく、原料ガス中のCOによって、被
毒されたり、あるいは炭素バランスが低下することがな
いことが判る。また、原料ガス中にCOを大量に含む場
合には、特にこの複合体に酸化モリブデンを担持した触
媒が好ましいことが判る。
【0062】
【発明の効果】本発明の触媒によれば、次のような効果
を奏することができる。 (1)二酸化炭素を水素により還元反応させて一酸化炭
素を得る際の原料ガス中に、HSなどの硫黄化合物が
混在していても、触媒は被毒されず、触媒寿命が長くな
る。 (2)上記の還元反応による生成物中にHSが混在し
ないことから、HSの除去工程を必要としない。 (3)特に、酸化亜鉛と酸化チタニウムや酸化アルミニ
ウムの複合体を担体とする場合には、上記の原料中に、
二酸化炭素と同程度の一酸化炭素が含まれていても、触
媒の被毒、炭素の析出、あるいは軽質炭化水素の生成を
伴うことがないため、上記の還元反応を良好に進行させ
ることができる。 (4)このような還元反応により、高転化率、高選択率
で、一酸化炭素を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を実証するために挙げた比較例の
データを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 崇 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛単独、または酸化亜鉛を含有す
    る周期律表第IIIb族、IVa族から選ばれる金属酸
    化物のいずれか一方または双方の複合体に、遷移金属を
    担持してなることを特徴とする二酸化炭素還元反応触
    媒。
  2. 【請求項2】 遷移金属が、周期律表第VIII族金属
    のNi,Fe,Co,Ru,Rh,Pt,Pd、VIa
    族金属のMo,Wのうちの少なくとも1つであることを
    特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元反応触媒。
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