JPH0765222B2 - 均一被覆性及び被覆層の密着性にすぐれた高耐食性Snめっき鋼板の製造法 - Google Patents

均一被覆性及び被覆層の密着性にすぐれた高耐食性Snめっき鋼板の製造法

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JPH0765222B2
JPH0765222B2 JP63307554A JP30755488A JPH0765222B2 JP H0765222 B2 JPH0765222 B2 JP H0765222B2 JP 63307554 A JP63307554 A JP 63307554A JP 30755488 A JP30755488 A JP 30755488A JP H0765222 B2 JPH0765222 B2 JP H0765222B2
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    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D5/00Electroplating characterised by the process; Pretreatment or after-treatment of workpieces
    • C25D5/34Pretreatment of metallic surfaces to be electroplated
    • C25D5/36Pretreatment of metallic surfaces to be electroplated of iron or steel

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はめっき層の均一被覆性及び密着性にすぐれた高
耐食性SnめっきCr含有鋼板の製造法に関するものであ
る。
(従来の技術) Cr含有鋼板のめっき原板にSnめっき層或いはNi系の下地
被覆層を施してからSnめっき層を施した鋼板は、例えば
特開昭62−13594号公報、特開昭62−23997号公報等で耐
食性能等各種性能にすぐれていることが知られている。
しかしながら、これらの鋼板について詳細に検討してみ
ると、これらの鋼板を安定に製造するための方法につい
ては充分に検討されていない。そのため、工業的な生産
において、その性能を安定して得られる保証がなかっ
た。
特に、この鋼板を成形加工する場合に、Cr含有鋼板に安
定で強固な酸化膜(不働態化被膜)が精製されるため、
鋼板表面とNiめっき層の界面でしばしば剥離する問題が
あった。例えば、Snめっき層或いはNi、Ni−Co合金等の
下地めっき層に多くのピンホールを生成して均一被覆性
を欠き、密着性も不充分で剥離する問題があった。従っ
て、これらの問題点を解決する製造方法の開発が望まれ
ていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、Crを必須成分として含有する鋼板を用いてSn
めっき鋼板を製造する方法において、鋼表面に鋼中Crが
濃化し安定で強固な酸化膜を生成して生じる問題点を解
決して、Crを含有する鋼板のめっき層の均一被覆性、密
着性にすぐれた高耐食性SnめっきCr含有鋼板の製造法を
提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は、25%以下のCrを含有する鋼板を、金属イオン
のNi2+、Co2+の1種又は2種が全SO4 2-イオン濃度に対
する重量比率で1/50≦(金属イオン濃度)/(SO4 2-
オン濃度)≦1/5でかつ遊離硫酸75〜350g/lを含有する
水溶液中で7.5A/dm2以上の電流密度で1〜15秒間陰極電
解処理し、次いでNi2+、Co2+の1種又は2種の金属イオ
ンをSO4 2-イオンとCl-イオンの総和に対する重量比率で
50%以上含有しかつpH3.0以下の電解めっき浴中で0.01
〜0.3μ厚さのNi、Co、或いはNi−Co合金被覆層を施し
た後、Snめっき層を施すことを特徴とする均一被覆性及
び被覆層の密着性にすぐれた高耐食性Snめっき鋼板の製
造法である。
(作用) 安定で強固な酸化膜を形成する鋼板は、酸洗等の活性化
処理が容易でなく、めっき層の均一被覆性或いは密着性
等が悪い。特に溶融Snめっきの場合、めっき原板表面が
充分に活性化されていてもめっき浴の濡れ性が劣り、均
一なめっき外観が得られず、またピンホールを発生する
傾向にある。また、Snめっき浴の濡れ性を増加させるた
め、Snめっき浴との濡れ性にすぐれたNi、Co等の下地被
覆層を電気めっき方法で設ける場合、或いはSn被覆層を
電気めっき法で施す場合でも、Cr含有鋼表面が活性化さ
れ難いためめっき層の密着性も劣り、ピンホールも多
い。従って、Ni等の下地被覆層を施してSnめっきを行な
っても、下地めっき層の多くのピンホールによってめっ
き浴との濡れ性が不充分で、均一被覆性、密着性、耐食
性等が充分に良好な性能のSnめっき鋼板が得られないこ
とが分かった。本発明はこの点に着目してなされたもの
である。
本発明では、Cr含有鋼板表面に生成された安定で強固な
酸化膜を効率的に除去して活性化し、次いで該表面に均
一被覆性にすぐれ、かつSnめっきとの濡れ性にすぐれた
Ni、Co、或いはNi−Co下地めっき層を施す。この下地め
っき層表面にSnめっき層を施すことによって、均一被覆
性にすぐれ、ピンホールの生成量も少なく、耐食性にす
ぐれ、かつ密着性にすぐれたSnめっき鋼板が製造され
る。
さらに、このCr含有鋼板表面の酸化膜を効率的に除去
し、活性化するため、遊離H2SO4を主成分にしてNi2+、C
o2+の1種又は2種の金属イオンを硫酸塩の形態で含有
する処理浴を用いて陰極電解処理をする。この処理浴に
含有する金属イオン量を適正量に規制すると共に、適正
な電解処理条件で効率的な鋼板表面の酸化膜除去と活性
化、微量の金属イオンの析出を同時に行なう。
鋼表面に生成されている酸化膜の厚さ、クラックの生成
度合は鋼板の表面性状によって相違する。酸化膜は除去
され易い部分から剥離して活性化し、金属イオンが析出
し、次いで他の活性化されにくい部分に電流が集中して
酸化膜を除去し、活性化し、金属イオンが析出する。こ
のような作用が順次繰り返されて、鋼板表面にめっきが
施される。このようにして、通常の酸洗方法では、Cr含
有鋼表面の安定で強固な酸化膜を効率的に除去し、活性
化する。
この電解液中に遊離HCl或いは遊離Cl-イオンが存在する
場合、鋼表面の活性化が容易に行なえる部分では、鋼成
分によっては穿孔腐食の危険性がある。従って、本発明
においては遊離H2SO4とSO4 2-イオンを主成分とする処理
浴で構成され、遊離HCl、Cl-イオンは不可避的不純物と
して含有される。
さらに、本発明は浴中のSO4 2-イオン濃度に比して金属
イオン量を少なく含有し、短時間処理化と電解電流密度
の適正化を計り、鋼表面の酸化膜を除去し、微量の金属
を析出する。また、この微量の金属析出物は、本発明で
はNi、Co、Ni−Co合金等の耐酸化性にすぐれた金属で、
次の金属めっき処理までの間の酸化膜再生成を極力防止
する。
次いで、本発明では、この活性化された表面に、Ni、Co
等の金属イオンの含有量が多く、低pHに規制されためっ
き浴でNi等の下地めっき層を施す。すなわち、前工程の
活性化処理からこのめっき工程までの間に生成された酸
化膜をめっき浴中で除去し、活性化することによってピ
ンホールが少ない密着性にすぐれたNi等の下地めっき層
が得られる。その結果として、次いで行なわれるSnめっ
きの濡れ性を改善し、耐食性にすぐれたSnめっき鋼板が
製造される。
以下、本発明について詳細に説明する。
転炉、電気炉等の溶解炉で溶製された溶鋼を連続鋳造法
又は造塊、分塊法を経てスラブとし、熱間圧延、酸洗及
び冷間圧延、焼鈍あるいはさらに調質圧延工程等を経て
製造された鋼中にCrを必須成分として25%以下含有する
鋼板を使用する。本発明において、めっき原板のCr含有
量を規制する理由は、Cr含有量が25%を越えて含有され
る場合、その鋼表面の酸化膜を、SO4 2-イオンと金属イ
オン(Ni2+、Co2+の1種又は2種)からなる処理浴を用
い1〜15秒間の陰極電解処理で除去し、活性化すること
は困難であり、従って、密着性と均一被覆性、耐食性に
すぐれた金属めっき層を設けることは困難だからであ
る。また、めっき原板中のCr含有量の下限は特に規制さ
れない。しかしながら、活性化処理に続いて行なわれる
Ni等の下地めっき及びSnめっき作業に細心の注意を払っ
ても、微量のピンホールが生成される。或いは、成形加
工時に発生した地鉄に達する疵部のめっき原板から赤錆
や穿孔腐食を発生する。従って、本発明のSnめっき鋼板
を、腐食性の著しい内容物が含まれる食缶等の容器或い
はアルコール燃料、不純物が多量に含有される粗悪ガソ
リン等が使用される場合の燃料タンクのように長期間の
耐食寿命を要求する用途を対象にした場合、耐食性から
2.5%以上のCrを含有する鋼板を使用するのが好まし
い。従って、本発明においては、めっき原板の必須成分
としてCrを25%以下、好ましくは2.5〜20%含有する鋼
板を使用する。
本発明ではめっき原板としては、例えば以下の様な鋼板
を使用するのがよい。
(1)重量%で、C;0.20%以下、酸可溶Al;0.005〜0.10
%、Cr;2.5〜25%、残部Fe及び不可避的不純物(Si、
P、S、Mn等)からなる鋼板 (2)上記(1)の組成の鋼板に添加元素としてNi;0.0
5〜10%、Cu;0.05〜1%、Mo;0.05〜1%、Si;0.2〜1
%、P;0.02〜0.05%、Al;0.1〜5%、B;0.0001〜0.005
%の1種又は2種以上を含有する鋼板 (3)重量%で、C;0.02%以下、酸可溶Al;0.005〜0.10
%、Cr;2.5〜25%を含有し、さらにTi;0.01〜0.8%、N
b;0.01〜0.8%、V;0.01〜0.8%、Zr;0.01〜0.8%の1種
又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から
なる鋼板 (4)上記(3)の組成の鋼板に添加元素としてNi;0.0
5〜10%、Cu;0.05〜1%、Mo;0.05〜1%、Si;0.2〜1
%、P;0.02〜0.05%、Al;0.1〜5%、B;0.0001〜0.005
%の1種又は2種以上を含有する鋼板 このようなめっき原板は通常の冷延鋼板製造工程を経て
製造されるが、さらに脱脂処理(オルケイ酸ソーダーあ
るいはリン酸ソーダー等に界面活性剤を添加した溶液中
での電解処理等)された後、本発明に使用される。
まず、これらの鋼板に対して、金属イオンとしてNi2+
Co2+の1種又は2種をSO4 2-イオンとの重量比率が1/50
≦(金属イオン濃度)/(SO4 2-イオン濃度)≦1/5、遊
離硫酸75〜350g/lからなる水溶液中で、7.5A/dm2以上の
電流密度で1〜15秒間の陰極電解処理を施す。すなわ
ち、この処理により、Cr含有鋼板表面に生成されている
強固な酸化膜を除去する表面活性化と、Ni、Co、Ni−Co
合金の析出処理とを同時に行なう。
この処理浴には、上記の条件を満足する硫酸−硫酸ニッ
ケル、硫酸−硫酸コバルト、硫酸−硫酸ニッケル−硫酸
コバルト浴、或いはこれらに電導性を増すために硫酸ナ
トリウム等を加えた処理浴が使用される。
処理浴の遊離硫酸濃度が75g/l未満では原板表面の酸化
膜を均一に除去し、表面を活性化するのが困難であり、
またNi等の同時析出を充分に行なうこともできない。一
方、遊離硫酸濃度が350g/lを越える場合はその効果が飽
和すると共に、処理浴の持ち出しによる経済的な損失が
大きくなり、また処理浴のミスト発生が多く、作業環境
の劣化、処理装置の損耗が著しい等工業的に不利にな
る。従って、本発明においては遊離硫酸濃度は75〜350g
/l、好ましくは100〜300g/lである。
この遊離硫酸に対して、本発明の処理浴では、硫酸ニッ
ケル等の硫酸塩の形態で、金属イオンすなわちNi2+、Co
2+あるいはNi2++Co2+を1/50≦(金属イオン濃度)/
(SO4 2-イオン濃度)≦1/5の範囲で添加する。この金属
イオンが含有された処理浴を用いることにより、原板表
面の酸化膜が効率的に除去され、密着性の良好なNi、Co
等の金属が微量同時析出する。すなわち、Cr含有鋼表面
の不働態化被膜は均一でなく、本処理浴中での陰極電解
処理によって酸化膜の除去され易い部分から除去され、
活性化され、この部分に浴中の金属イオンがまず析出す
る。次いで、他の酸化膜の剥離していない部分に電流集
中されて酸化膜が除去され、金属イオンが析出する。こ
のような反応が順次繰り返され、強固な酸化膜が生成さ
れたCr含有鋼表面が活性化され、密着性のすぐれたNi等
の金属が同時析出する。
また、この析出金属の効果によって処理後電気めっきま
での間に酸化膜が再生成されるのが防止され、次工程の
めっき密着性を向上する。
Ni2+、Co2+、Ni2++Co2+の金属イオン濃度が処理浴中の
全SO4 2-イオン濃度に対して1/50未満では、金属イオン
含有量が少なすぎて酸化膜の除去と金属イオンの同時析
出が行なわれにくく、また、金属イオン濃度が全SO4 2-
イオン濃度に対して1/5を越える場合には、処理浴中の
金属イオン含有量が多すぎるため、めっき原板の活性化
されない表面に密着性の劣るめっき層或いは含有金属の
水酸化物、酸化物等を析出して密着性が劣化し、いずれ
にしても本発明の目的が達成されない。従って、本発明
では金属イオン濃度と全SO4 2-イオン濃度の比率を1/50
〜1/5、好ましくは1/25〜1/10とする。
陰極電解処理は電流密度7.5A/dm2以上、処理時間1〜15
秒で行なう。電流密度が鋼板1dm2当り7.5A未満の場合に
は、短時間の処理で酸化膜除去と金属の同時析出を行な
うことが困難であり、本発明では7.5A/dm2以上、好まし
くは10A/dm2以上の陰極電流密度で処理する。また、電
流密度の上限は特に規制されるものではないが、電流密
度が高くなりすぎると、Cr含有鋼板は比抵抗が高く、通
板時の鋼板抵抗も高く、コンダクターロールと処理浴と
の間で板厚によっては鋼板が発熱し、鋼の酸化が助長さ
れる。従って、本発明では35A/dm2以下の電流密度が好
ましい。その場合の処理時間については、1秒未満では
酸化膜除去による表面活性化と金属イオンの同時析出を
行なうのに充分でなく、また15秒を越える長時間の陰極
処理を行なう場合は、効果が飽和すると共に、Ni等の金
属イオンの析出部に更に重畳して金属イオンが析出し、
部分的に厚さの異なる金属めっき層が生成され、次いで
行なわれる金属めっきの厚さも不均一になる。従って、
本発明の処理時間は1〜15秒間、好ましくは1.5〜7.5秒
間とする。
尚、処理浴温度については特に規制されず、常温〜90℃
の範囲で処理する。
この処理に使用する電極としては、Pb−Sn電極、ステン
レス電極、チタンに白金めっきした電極等の不溶性電
極、或いはニッケル、コバルト等の可溶性電極のいずれ
も使用しうる。しかし、工業的に安定して処理作業を実
施するためには、可溶性電極は電極からの電解金属イオ
ンが蓄積され、浴中の金属イオンの前記比率を維持する
のが困難であるため、不溶性電極を使用し、金属イオン
の減少割合に対応して炭酸ニッケル等の炭酸塩の形態で
金属イオンを補給し、その含有比率を維持するのが有利
である。
遊離塩酸或いはCl-イオンは処理装置の構成材料或いは
めっき原板の穿孔腐食を発生する原因となるので好まし
いものではないが、本発明で使用する処理浴中に不可避
的不純物として含有される程度の量では特に影響はな
い。また、不純物元素として処理浴中にFe2+イオンが含
有される場合、他のNi2+、Co2+イオンの析出を妨げるの
で、その含有量は5g/l以下が好ましく、2.5g/l以下がよ
り好ましい。
次いで、前記の処理で余剰の処理浴を払拭した後或いは
水洗した後、Niめっき、Coめっき、或いはNi−Co合金め
っき処理を施す。このめっき層は、Snめっきの下地処理
層としてピンホールが少なく、密着性にすぐれているこ
とが必要である。そのためには、金属イオンのNi2+、Co
2+、Ni2++Co2+をめっき浴中の電解効率に関与する全SO
4 2-+全イオンCl-イオンに対して50%以上、好ましくは
60%以上含有するめっき浴を用いて厚さ0.01〜0.3μの
下地めっき層を施す。この下地被覆層の厚さが0.01μ未
満ではめっき浴中のSnと下地被覆層との均一緻密な合金
層が生成され難く、均一被覆層とめっき層の密着性が得
られず、耐食性にすぐれた合金めっき鋼板が得られな
い。また、下地被覆層の厚さが0.3μを越える場合はSn
との反応で生成されるNi−Sn、Co−Sn或いはNi−Co−Sn
合金層が硬くて脆いため、成形加工時にこの合金層にク
ラックを発生し、めっき層を剥離し、耐食性が著しく劣
化する。従って、本発明ではこの下地被覆層の厚さは0.
01〜0.3μ、好ましくは0.03〜0.25μである。
また、本発明においては、この下地めっき浴にpHが3.0
以下の浴を使用する。すなわち、めっき浴のpHが3.0以
下では、下地被覆層処理後めっき工程までの間のNi等の
析出物表面の酸化或いはこれら析出物のピンホール部で
の原板の再酸化による酸化膜を除去する効果が大きい。
その結果、より一層の均一被覆性にすぐれ、ピンホール
が少なく、密着性にすぐれたNi等の下地被覆が得られ
る。特にpH2.5以下が好ましい。また、pHの下限につい
ては、水素の発生によるピンホールの増加からpH1以上
が好ましい。
これら下地被覆層のめっき浴中に含有されるめっき金属
イオンは、浴中の全SO4 2-イオンと全Cl-イオンに対して
50%以上、好ましくは60%含有する電解効率にすぐれた
めっき浴を使用する。例えば、硫酸ニッケル240g/l、塩
化ニッケル45g/l、ホウ酸30g/l(Ni2+/(SO4 2-+Cl-
=65%)組成で構成され、H2SO4を添加してpHを3.0以下
に調整しためっき浴を使用する。
次に、この下地めっき層を施した後、水洗し、或いは希
塩酸等の水溶液でその表面を活性化した後、ZnCl2、ZnC
l2−SnCl2系等の塩化物を主成分とするフラックスを使
用してSnめっきをする。Snめっき条件或いはSnめっき層
の厚さ等は特に規制されるものではないが、溶融Snめっ
きの場合は、以下の様な方法でめっき処理する。例えば
めっき浴面にフラックスを浮遊させてめっきを行なう湿
式フラックス法或いはめっき原板にフラックスを塗布、
乾燥後にめっき浴に浸漬する乾式フラックス法等のめっ
き処理が行なわれる。特に、めっき後の付着量制御はN2
雰囲気等の非酸化性ガスに保護された雰囲気中でN2ガス
等の非酸化性ガスを用いた高圧ガスで行なわれ、めっき
浴及びめっき層表面の酸化を防止する。めっき層の厚さ
は用途によって各々必要な耐食寿命を考慮して設定する
が、缶用途の場合は0.1〜1.5μ、燃料容器の場合は1.5
〜7μがよい。尚、前記のNi、Co等の下地被覆処理或い
はSnめっき処理において、各々不可避的に含有される数
%の不純物、例えば下地被覆処理にS、Fe或いはSnめっ
きにおけるSb、Cu等が含有されても本発明の目的に支障
とならない。また、本発明は溶融Snめっきだけではな
く、電気めっき法によりSnめっき層を設ける場合にも適
用できる。この場合についても、めっき原板の表面性状
が劣り、活性化処理が不充分な場合、溶融めっきの場合
と同様に電気Snめっき層に多くのピンホールを生成して
均一被覆性が劣り、めっき層の密着性も劣る。この欠点
を、本発明によってNi系の良好な下地被覆層を施して電
気Snめっき層を設けることによって防止することができ
る。
さらに、このSnとの濡れ性の良好なNi系の下地被覆層が
存在することにより、製品が溶接或いは半田接合される
場合、その熱影響部に均一緻密な合金層が生成される効
果が得られる。すなわち、Ni系の下地被覆層を形成させ
ずに直接Snめっき層を設けた場合、上記のような熱影響
部で溶融Snが凝固する時にピンホールを発生し易く、耐
食性が劣化する。Ni系下地被覆層が存在する場合はNi−
Sn、Co−Sn、Ni−Co−Sn系合金層の形成によりピンホー
ルの生成を抑制する効果が得られ、耐食性の劣化を防止
する。
さらに、電気Snめっきを行なってSnの溶融点直上の240
〜260℃での加熱溶融処理を行なう場合、Ni、Co等のSn
との反応性にすぐれた下地めっき層の存在は、溶融めっ
きの場合と同様、均一緻密な合金層の生成によるピンホ
ールの減少、耐食性の向上等すぐれた効果が得られる。
以上のように、本発明の方法によれば、安定で強固な酸
化膜が生成され易いCr含有鋼板の様な鋼板の表面性状が
劣る場合にも均一被覆性、耐食性或いはめっき層の密着
性にすぐれたSnめっき鋼板が製造される。尚、本発明法
により製造されたSnめっき鋼板の表面に、更に一層の耐
食性向上或いは塗装性能の向上を目的として、リン酸或
いはクロム酸等を主成分とする水溶液を用いて化成処理
を施してもよい。
(実施例A) 冷間圧延、焼鈍、調質圧延して製造された第1表に示す
鋼成分の素材をめっき原板として、以下に示す処理法を
適用してSnめっき鋼板を製造した。
実施例A1…鋼A1を使用 <陰極電解処理> 80g/l H2SO4−10g/l CoSO4・7H2O系水溶液(金属イオン
濃度/SO4 2-イオン濃度(M/S)=1.3/50)中で8A/dm2
電流密度で1.2秒間の陰極処理(浴温25℃、ステンレス
製電極使用) <下地被覆層処理> 340g/l CoSO4・7H2O−45g/l CoCl2・6H2O−ホウ酸45g/l
(金属イオンのSO4 2-イオンとCl-イオンの総和に対する
重量比率(M/I)=63.7%)系浴にH2SO4を添加してpH2.
8に調整した全Cl-イオン濃度13.4g/lのめっき浴中で、
電流密度10A/dm2で0.1μのCoめっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、ZnCl2+SnCl2系フラックス
を用いた湿式フラックス法により溶融めっき 比較例A1…鋼A1を使用 <陰極電解処理> 80g/l H2SO4浴中で8A/dm2の電流密度で1.2秒間の陰極処
理(浴温25℃、ステンレス製電極使用) <下地被覆層処理> 実施例A1と同一処理 <Snめっき処理> 実施例A1と同一処理 実施例A2…鋼A2を使用 <陰極電解処理> 120g/l H2SO4−60g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=4.55
/50)中で15A/dm2の電流密度で8秒間の陰極処理(浴温
35℃、Ti+Ptめっき電極使用) <下地被覆層処理> 240g/l NiSO4・7H2O−30g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸30g/l
(M/I=70%)系浴にH2SO4を添加してpH1.8に調整した
全Cl-イオン濃度8.91g/lのめっき浴を用いて、電流密度
7.5A/dm2で0.06μのNiめっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、1%HCl溶液中に80℃で5
秒間浸漬し、ZnCl2系フラックスを用いた湿式フラック
ス法により溶融めっき 比較例A2…鋼A2を使用 <陰極電解処理> 100g/l H2SO4−250g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M=S=
1.425/5)中で30A/dm2の電流密度で8秒間の陰極処理
(浴温35℃、Ti+Ptめっき電極使用) <下地被覆層処理> 実施例A2と同一処理 <Snめっき処理> 実施例A2と同一処理 実施例A3…鋼A3を使用 <陰極電解処理> 150g/l H2SO4−30g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=2/5
0)中で20A/dm2の電流密度で4秒間の陰極処理(浴温45
℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 240g/l NiSO4・7H2O−45g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸40g/l
(M/I=64.2%)系浴にH2SO4を添加してpH1.5に調整し
た全Cl-イオン濃度13.4g/lのめっき浴中で、電流密度15
A/dm2で0.12μのNiめっき <Snめっき処理> 実施例A2と同様に3%HClに50℃で1.5秒間浸漬後、ZnCl
2+SnCl2系フラックスをロール塗布、乾燥して乾式フラ
ックス法により溶融Snめっき 比較例A3(1)…鋼A3を使用 <陰極電解処理> 150g/l H2SO4−5g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=0.35/
50)中で20A/dm2の電流密度で4秒間の陰極処理(浴温4
0℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 実施例A1と同一処理 <Snめっき処理> 実施例A3と同一処理 比較例A3(2)…鋼A3を使用 <陰極電解処理> 実施例A3と同一浴を用いて電流密度4A/dm2で4秒間の陰
極処理(浴温40℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 実施例A3と同一処理 <Snめっき処理> 実施例A3と同一処理 実施例A4…鋼A4を使用 <陰極電解処理> 200g/l H2SO4−210g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=8.2
/50)中で30A/dm2の電流密度で8秒間の陰極処理(浴温
55℃、Pb−Sn−Ag電極使用) <下地被覆層処理> 120g/l NiSO4・7H2O−180g/l CoSO4・7H2O−12g/l NiCl
2・6H2O−18g/l CoCl2・6H2O−ホウ酸20g/l(M/I=63
%)系浴に硫酸を添加してpH1.25に調整した全Cl-イオ
ン濃度8.9g/lのめっき浴中で、電流密度30A/dm2で0.5μ
のNi−60%Co合金めっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、フェロスタンSnめっき浴を
用いて電気Snめっきし、さらに希釈フェロスタン浴をフ
ラックスとして塗布後、Snめっき層を溶融加熱処理 比較例A4…鋼A4を使用 <下地被覆層処理> 120g/l NiSO4・7H2O−30g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸30g/l
−250g/l H2SO4(M/I=11%)からなるpH<0.5のめっき
浴を用い、30A/dm2の電流密度で0.1μのNiめっき実施 <Snめっき処理> 実施例A4と同一処理 実施例A5…鋼A5を使用 <陰極電解処理> 300g/l H2SO4−150g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=4.5
5/50)中で12.5A/dm2の電流密度で2.5秒間の陰極処理
(浴温65℃、Pb−Sn−Ir電極使用) <下地被覆層処理> 280g/l NiSO4・7H2O−35g/l NiCl2・6H2O−35g/lホウ酸
(M/I=63.3%)系浴にH2SO4を添加してpH1.65に調整し
た全Cl-イオン濃度10.4g/lのめっき浴中で、電流密度5A
/dm2で0.08μのNiめっき実施 <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、フェロスタンSnめっき浴を
用いて電気めっき 比較例A5…鋼A5を使用 <陰極電解処理> 実施例A5と同一処理 <下地被覆層処理> 実施例A5と同一浴成分系で、pHのみ3.4のめっき浴を用
い、同条件で0.08μのNiめっき実施 <Snめっき処理> 実施例A5と同一処理 以上により製造したSnめっき鋼板について、各々下記に
示す評価法によりめっき層の均一被覆性、めっき層の密
着性、及び燃料容器用途を想定した耐食性について、そ
の性能評価を行ない、結果を第2表に示す。尚、評価試
験方法及び評価基準は以下の通りである。
[評価試験方法及び評価基準] 1.めっき被覆層の均一被覆性 ラインスピード40m/minで、片面当りのめっき層の厚さ
が6μのSnめっき鋼板を製造し、その外観を調査し、以
下の評価基準で評価して、その均一被覆性を検討した。
◎…めっき浴の濡れ性極めて良好で、めっき外観極めて
良好 ○…めっき浴の濡れ性比較的良好で、10dm2の評価面に
対して流れ模様(めっき厚さの部分的に厚い部分)が2
点以下発生 △…めっき浴の濡れ性若干劣るため、10dm2の評価面に
ざらつき状の点状欠陥部(微小不めっきが10数点群発)
が発生 ×…めっき浴の濡れ性著しく劣るため、10dm2の評価面
にざらつき状の点状欠陥部が多量に発生 2.めっき層の密着性 0.8mmの板厚にSnめっき層を片面当りのめっき厚さ4.5μ
設けてから、板厚と同一の曲率半径で衝撃曲げ加工後、
セロテープ(登録商標)を貼付、剥離して、めっき層の
剥離状況を調査した。尚、評価基準は以下の通りであ
る。
◎…めっき層の剥離なく、セロテープ(登録商標)への
剥離物の付着なし ○…めっき層の表面部が若干剥離、セロテープ(登録商
標)に極軽微な剥離物が付着 △…めっき層の鋼板界面からの部分的剥離が発生、セロ
テープ(登録商標)への剥離物の付着が明瞭に認められ
る ×…めっき層全面剥離 3.耐食性能 (1)評価法A 120×120mmサイズの鋼板について、塩水噴霧試験240時
間実施後、端部のシール部を除いた100×100mmの評価面
を1×1mmサイズのます目100個に区分して、赤錆の発生
したます目の数を測定して、その耐食性を評価した。
は3μSnめっき、は5μSnめっきである。
◎…赤錆発生個数5個以下 ○…赤錆発生個数6〜10個 △…赤錆発生個数11〜30個 ×…赤錆発生個数31個以上 (2)評価法B 板厚0.19mmの評価材に片面当りのCr付着量5mg/m2のクロ
メート処理を施し、エポキシ−フェノール系塗料を4.5
μ厚さ塗装後に、以下の工程で絞り缶を成形加工した。
すなわち、ブランク径172.5mmφから、ワックスを潤滑
剤として使用し、各々しわ押え力2000kgで3段階の絞り
加工を行なって、外径66.0mmφ、高さ100mmの絞り缶を
製作した。この絞り缶の缶壁部から50×50mmの評価試験
片を切り出し、耐食性能を評価した。すなわち、めっき
鋼板のピンホール、加工によるめっき層の部分的剥離等
に起因する耐食性に対する影響を、塗膜を通して侵入し
てくる腐食水溶液に対するFe溶出量の測定により行なっ
た。容器缶内の耐食性を対象とした評価促進試験とし
て、N2雰囲気下で0.15%リン酸溶液400cc中に、50℃、
4週間の浸漬試験を行ない、そのFe溶出量を測定し、耐
食性の評価を行なった。は0.8μSnめっき、は1.2μ
Snめっきである。
◎…Fe溶出量が3ppm未満 ○…Fe溶出量が3ppm以上7ppm未満 △…Fe溶出量が7ppm以上15ppm未満 ×…Fe溶出量が15ppm以上 (3)評価法C 板厚0.7mm、ブランクサイズ径150mmの鋼板を用いて、し
わ押え圧力200kgで円筒成形加工を行なって、径75mm×
高さ40mmの円筒型容器を作成した。この円筒容器を評価
材として、メタノール88部+ガソリン10部+(0.5%さ
く酸+0.1%NaCl)含有水溶液2部からなる腐食試験液
を充填して、アルコール燃料を想定した評価試験を60℃
の温度で6箇月実施した。試験後その赤錆発生状況を調
査し、以下の評価基準で評価した。は4μSnめっき、
は7μSnめっきである。
◎…赤錆発生個数5個以下 ○…赤錆発生個数6〜12個以下 △…赤錆発生個数13〜25個以下 ×…赤錆発生個数26個以上 (実施例B) 冷間圧延、焼鈍、調質圧延して製造された第3表に示す
鋼成分の素材をめっき原板として、以下に示す処理法を
適用してSnめっき鋼板を製造した。
実施例B1…鋼B1を使用 <陰極電解処理> 100g/l H2SO4+25g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=2.5/
50)中で15A/dm2の電流密度で1.5秒間の陰極処理(浴温
30℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 200g/l CoSO4・7H2O−20g/l CoCl2・6H2O−ホウ酸45g/l
(M/I=63.2%)系浴にH2SO4を添加してpH2.6に調整し
た全Cl-イオン濃度6g/lのめっき浴中で、電流密度12A/d
m2で0.6μのCoめっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、0.5%HCl溶液中に85℃で3
秒間浸漬後、ZnCl2系フラックスを用いた湿式フラック
ス法により溶融Snめっき 比較例B1…鋼B1を使用 <陰極電解処理> 100g/l H2SO4水溶液中で15A/dm2の電流密度で3秒間の
陰極処理 <下地被覆層処理> 実施例B1と同一処理 <Snめっき処理> 実施例B1と同一処理 実施例B2…鋼B2を使用 <陰極電解処理> 150g/l H2SO4+25g/l CoSO4・7H2O+25g/l NiCO4・7H2O
系水溶液(M/S=3.2/50)中で20A/dm2の電流密度で2.5
秒間の陰極処理(浴温70℃、Ti+Ptめっき電極使用) <下地被覆層処理> 175g/l NiSO4・7H2O−75g/l CoSO4・7H2O−28g/l NiCl2
・6H2O−12g/l CoCl2・6H2O−ホウ酸35g/l(M/I=64
%)系浴にH2SO4を添加してpH2.4に調整した全Cl-イオ
ン濃度11.9g/lのめっき浴中で電流密度15A/dm2で0.25μ
のNi−30%Co合金めっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、1.5%HCl溶液中に60℃で2
秒間浸漬後、ZnCl2−SnCl2系フラックスを用いた湿式フ
ラックス法により溶融Snめっき 比較例B2…鋼B2を使用 <陰極電解処理> 実施例B2と同一の処理浴を用いて、電流密度4A/dm2で5
秒間の陰極処理(浴温70℃、Ti+Ptめっき電極使用) <下地被覆層処理> 実施例B2と同一処理 <Snめっき処理> 実施例B2と同一処理 実施例B3…鋼B3を使用 <陰極電解処理> 200g/l H2SO4+100g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=4.5
5/50)中で25A/dm2の電流密度で6秒間の陰極処理(浴
温50℃、Pb−Sn−Ag電極使用) <下地被覆層処理> 320g/l NiSO4・7H2O−35g/l NiCl2・6H2O−25g/lホウ酸
(M/I=63%)系浴にH2SO4を添加してpH1.8に調整した
全Cl-イオン濃度10.4g/lのめっき浴中で、電流密度10A/
dm2で0.11μのNiめっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後にフェロスタンSnめっき浴を
用いて電気Snめっき 比較例B3(1)…鋼B3を使用 <陰極電解処理> 実施例B3と同一処理 <下地被覆層処理> 実施例B3と同一条件で1.5μのNiめっき <Snめっき処理> 実施例B3と同一処理 比較例B3(2)…鋼B3を使用 <陰極電解処理> 200g/l H2SO4+10g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=0.5/
50)中で実施例B3と同一方法で処理 <下地被覆層処理> 実施例B3と同一処理 <Snめっき処理> 実施例B3と同一処理 比較例B4…鋼B4を使用 <陰極電解処理> 250g/l H2SO4+230g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=7.5
/50)中で30A/dm2の電流密度で4秒間の陰極処理(浴温
60℃、Pb−Sn−Ag電極使用) <下地被覆層処理> 240g/l NiSO4・7H2O−25g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸(M/I
=63%)系浴にH2SO4を添加してpH1.6に調整した全Cl-
イオン濃度7.4g/lのめっき浴中で、電流密度8A/dm2で0.
8μのNiめっき <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、フェロスタンSnめっき浴を
用いて電気Snめっきし、さらに上記めっき浴の希釈溶液
をフラックスとして用い、加熱溶融処理 比較例B4…鋼B4を使用 <陰極電解処理> 実施例B4と同一処理 <下地被覆層処理> 240g/l NiSO4・7H2O−45g/l NiSO4・6H2O−ホウ酸30g/l
(M/I=64%)系浴成分でpH3.6、全Cl-イオン濃度13.4g
/lのめっき浴を用い、電流密度8A/dm2で0.8μのNiめっ
き <Snめっき処理> 実施例B4と同一処理 実施例B5…鋼B5を使用 <陰極電解処理> 300g/l H2SO4+120g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=3.7
5/50)中で35A/dm2の電流密度で3秒間の陰極処理(浴
温45℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 220g/l NiSO4・7H2O−20g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸30g/l
(M/I=63%)系浴にH2SO4を添加してpH1.4に調整した
全Cl-イオン濃度5.9g/lのめっき浴で、電流密度18A/dm2
で0.05μのNiめっき実施 <Snめっき処理> 下地被覆層処理して水洗後、ホウフッ化Sn−ホウフッ酸
−ホウ酸−有機添加剤系のホウフッ化Snめっき浴を用い
て電気Snめっき 比較例B5(1)…鋼B5を使用 <陰極電解処理> 250g/l H2SO4+500g/l NiSO4・7H2O系水溶液(M/S=1.2
5/5)中で35A/dm2の電流密度で7秒間の陰極処理(浴温
45℃、Pb−Sn電極使用) <下地被覆層処理> 実施例B5と同一処理 <Snめっき処理> 実施例B5と同一処理 比較例B5(2)…鋼B5を使用 <陰極電解処理> 実施例B2と同一処理 <下地被覆層処理> 120g/l NiSO4・7H2O−30g/l NiCl2・6H2O−ホウ酸30g/l
−150g/l H2SO4系組成(M/I=11%)からなるpH<0.5の
めっき浴を用い、実施例B5と同一条件でNiめっき <Snめっき処理> 実施例B5と同一処理 以上により製造したSnめっき鋼板について、各々下記に
示す評価法によりめっき層の均一被覆性、めっき層の密
着性、及び建材分野の用途を想定した耐食性について、
その性能評価を行ない、結果を第4表に示す。尚、評価
試験方法及び評価基準は以下の通りである。
[評価試験方法及び評価基準] 1.めっき被覆層の均一被覆性 ラインスピード90m/minで、片面当りのめっき厚さが10
μのSnめっき鋼板を製造し、その外観を調査し、以下の
評価基準で評価して、その均一被覆性を検討した。
◎…めっき浴の濡れ性極めて良好で、めっき外観極めて
良好 ○…めっき浴の濡れ性比較的良好で、10dm2の評価面に
対して流れ模様(めっき厚さの部分的に厚い部分)が2
点以下発生 △…めっき浴の濡れ性若干劣るため、10dm2の評価面に
ざらつき状の点状欠陥部(微小不めっきが10数点群発)
が発生 ×…めっき浴の濡れ性著しく劣るため、10dm2の評価面
にざらつき状の点状欠陥部が多量に発生 2.めっき層の密着性 0.6mmの板厚にSnめっき層を片面当りのめっき厚さで7
μ施してから、100×1000mmの評価材を長手方向に第1
図に示す断面形状のピッツバーグタイプにロックフォー
マー加工を行い、曲げ加工部のめっき層の剥離状況を調
査した。尚、評価基準は以下の通りである。
◎…めっき層に異常なく良好 ○…めっき層に亀裂発生 △…極く一部にめっき剥離発生 ×…めっき層の剥離状況極めて大 3.耐食性能 (1)評価法A 120×120mmサイズの鋼板について、塩水噴霧試験1000時
間実施後、端部のシール部を除いた100×100mmの評価面
を1×1mmサイズのます目100個に区分して、赤錆の発生
したます目の数を測定して、その耐食性を評価した。
は2.5μSnめっき、は4μSnめっきである。
◎…赤錆発生個数5個以下 ○…赤錆発生個数6〜10個以下 △…赤錆発生個数11〜20個以下 ×…赤錆発生個数21個以上 (2)評価法B 工業地帯で使用される建材を対象に、0.8mm板厚、75×1
50mmサイズの鋼板に押し出し高さ8mmのエリクセン加工
を施し、亜硫酸ガス濃度25ppm、温度40℃、湿度95%の
雰囲気下で7日間曝露し、その赤錆発生状況を調査し、
以下の評価基準で評価した。は5μSnめっき、は7
μSnめっきである。
◎…赤錆の発生率0.1%未満 ○…赤錆の発生率0.1〜1.0%未満 △…赤錆の発生率1〜10%未満 ×…赤錆の発生率10%以上
【図面の簡単な説明】
第1図はピッツバーグタイプのロックフォーマー加工を
示す図である。 1……評価材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 敬士 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 西村 邦夫 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭61−204393(JP,A) 特開 昭63−186889(JP,A) 特開 昭60−131996(JP,A) 特開 昭61−6293(JP,A) 特開 昭61−91390(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】25%以下のCrを含有する鋼板を、金属イオ
    ンのNi2+、Co2+の1種又は2種が全SO4 2-イオン濃度に
    対する重量比率で1/50≦(金属イオン濃度)/(SO4 2-
    イオン濃度)≦1/5でかつ遊離硫酸75〜350g/lを含有す
    る水溶液中で7.5A/dm2以上の電流密度で1〜15秒間陰極
    電解処理し、次いでNi2+、Co2+の1種又は2種の金属イ
    オンをSO4 2-イオンとCl-イオンの総和に対する重量比率
    で50%以上含有しかつpH3.0以下の電解めっき浴中で0.0
    1〜0.3μ厚さのNi、Co、或いはNi−Co合金被覆層を施し
    た後、Snめっき層を施すことを特徴とする均一被覆性及
    び被覆層の密着性にすぐれた高耐食性Snめっき鋼板の製
    造法。
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