JPH0765129B2 - 希土類金属の製造法 - Google Patents

希土類金属の製造法

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JPH0765129B2
JPH0765129B2 JP15387486A JP15387486A JPH0765129B2 JP H0765129 B2 JPH0765129 B2 JP H0765129B2 JP 15387486 A JP15387486 A JP 15387486A JP 15387486 A JP15387486 A JP 15387486A JP H0765129 B2 JPH0765129 B2 JP H0765129B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、希土類金属の製造法に関し、特に効率良く高
純度の希土類金属が製造し得る方法に関する。
〔従来の技術〕
希土類金属は近年、高性能磁石の原料、光磁気デイスク
用薄膜の原料等の用途が見出され、使用分野が広がると
ともに従来少なかつた酸素濃度の低い高純度単体金属の
需要も増加している。
希土類金属の製造法には溶融塩電解法と金属還元剤によ
る熱還元法等が従来から知られている(例えば、技法堂
出版(株)「レア・アース」(1980年4月30日発行)第
100〜101頁、(株)ジスク「レア・アースの最新応用技
行」(1985年3月5日発行)第55、56及び58頁)。通常
高純度の希土類金属を得るには塩化希土(無水物)、フ
ツ化希土をカルシウム、水素化カルシウム等を還元剤と
して用いタンタルルツボ中で還元する熱還元法が用いら
れる。
この熱還元法の反応は通常塩化希土、フツ化希土と還元
剤を混合してタンタルツルボに仕込み、真空中又はアル
ゴンガス中で1200〜1600℃に加熱して行なわれる。
反応後希土類金属より比重が軽い塩化カルシウム、フツ
化カルシウム等のスラグは上層に、希土類金属は下層に
分離する。その後、ルツボを冷却し、室温迄さがつたと
ころで空気中又はアルゴングローブボツクス中に取り出
し、ルツボを転倒させてスラグを取り出し、再びルツボ
を炉内に入れ金属を溶解し鋳型に鋳込み、希土類インゴ
ツトを得ていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、この方法では加熱、冷却、加熱をくり返す為、
エネルギー的にも時間的にもロスが多く、又、ルツボの
炉体からの取り外し、取り付けの際空気による汚染があ
つた。
更に、スラグ、希土類金属とも固体の状態で両者を分離
する為、境界面の分離が少しでも悪くなると金属側にス
ラグが残り純度が下がる問題点が有り、又、還元状態に
よつてはスラグが金属に固着して機械的に分離すること
ができずにルツボを破壊する必要が生じる場合もあり、
これらの問題点を解決することが望まれていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、上記熱還元法による希土類金属製造に係
る問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、希土類金
属とスラグを特定の方法で分離することによつて上記問
題が解決されることを知得して本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、希土類のハロゲン化物をカ
ルシウム又は水素化カルシウムにより還元し、得られた
希土類金属とスラグを分離する希土類金属の製造法にお
いて、スラグ分離用治具を溶融したスラグ中に入れた状
態で、該スラグを凝固させてスラグ分離用治具と一体化
させ、スラグの融点以下でありかつ希土類金属の融点以
上の温度において、該分離用治具と共にスラグを除去す
ることにより希土類金属とスラグを分離することを特徴
とする希土類金属の製造法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において希土類とは、イツトリウム及び原
子番号57〜71の元素からなる群を示す。
使用する希土類のハロゲン化物はフツ化物、塩化物等が
いずれでも使用できるが、結晶水を有する場合は通常無
水塩とした後に用いる。一般的にはフツ化物、塩化物、
特にはフツ化物が用いられ、また希土類元素は単独で用
いられる。
このハロゲン化物は公知の種々の方法で製造でき、例え
ばフツ化物においては、希土類含有鉱物等から単離され
た酸化ランタン、酸化セリウム等の希土類酸化物と酸性
フツ化アンモンを混合し、300℃に加熱して得る方法、
希土類水溶液にフツ酸を加えて希土類のフツ化物を沈澱
させ、過洗浄、乾燥して得る方法等が挙げられる。
還元剤として金属カルシウム又は水素化カルシウムを使
用するが、これらは高純度のものが望ましい。還元反応
は下記の式に従つて進行し、還元剤が少なすぎると希土
類金属の収率が低下し、多すぎると還元剤からのカルシ
ウム除去の必要が生じるので、還元剤は、通常0.9〜1.5
倍当量の範囲の量使用する。特に、カルシウム含有量の
低い希土類金属を希望する場合は当量以下、希土類金属
の収率を向上させたい場合は当量以上の還元剤を使用す
ることが好ましい。
2RX2+3Ca→2R+3CaX2 2RX2+3CaH2→2R+3CaX2+3H2 (R:希土類元素、X:ハロゲン元素) 還元反応は、通常、希土類ハロゲン化物と還元剤とをタ
ンタル製等のルツボに入れ、真空誘導炉、低抗体発熱炉
等の還元炉中にて真空又は不活性ガス雰囲気下、1200〜
1600℃の温度で反応が完結するまで行なう。原料は必ず
しも同時に全て添加する必要はなく、例えば、半量ずつ
仕込む還元剤を先に仕込む、還元剤を先に仕込み、融解
した所で希土類ハロゲン化物を仕込む等が可能である。
なお、還元反応は例えば、第1図に示したようにルツボ
(1)の蓋(2)をし、断熱材(3)で囲み高周波誘導
コイル(4)によつて加熱することによつて行える。使
用するルツボ(1)の形状は、スラグの固体が取り出せ
るものであれば、どの様な形状でも良いが、好ましくは
第2図の様に上方に行くに従つて径が広がる形のルツボ
が好ましい。ルツボの上部は開放のまま運転をする事も
可能であるが、放熱を防ぎ、又還元剤の気散を防ぐ為に
蓋(2)をする事が望ましい。
上記反応の進行に伴なつて、生成した希土類金属は比重
が高い為に下層へ移行し、ハロゲン化カルシウム、カル
シウム等からなるスラグは上層へ移行する。
本発明は、スラグが溶融している間に該スラグ中にスラ
グ分離用治具を入れ、この状態でスラグを凝固させて上
記分離用治具と一体化させ、スラグの融点以下でありか
つ希土類金属の融点以上の温度において、スラグ分離用
治具と共にスラグを除去することを特徴とする。なお、
本発明において「一体化」とは、分離用治具を引き上げ
又は移動させる際にスラグの実質量も引き上げ又は移動
する状態を指す。
具体的には例えば第1図に示した様に、スラグ分離用治
具(5)を溶融しているスラグ(6)部分にのみ挿入し
た状態でスラグを凝固させ、スラグ除去棒(7)を引き
上げることによつてスラグ(6)を希土類金属(8)か
ら分離することができる。この時スラグ除去棒(7)は
遠隔操作によつて上下させることも可能である。
スラグ分離用治具は反応の初期より反応後にスラグが凝
固するまでの間のどの時点でもルツボ内に入れる事がで
きる。分離用治具の材質としては、希土類金属の品質に
悪い影響を与えないものならば何でも良いが、例えばタ
ンタル、ニオブ、鉄、ステンレス等が好ましい。スラグ
と反応しないタンタル、ニオブを使用すれば反応前より
ルツボ内に治具を入れておく事ができる。しかし、スラ
グの凝固寸前にルツボ内に治具を入れるのであればスラ
グと反応する物も使用可能であり、例えば安価な鉄、ス
テンレス等も使用できる。この場合、表面がスラグと反
応する為に強固な結合ができ、スラグの分離時にスラグ
が落ちると言う様な事もなく好ましい。スラグ分離用治
具の形状は、 や表面に凹凸を設けてスラグとの密着性を良くしたもの
等が挙げられるが、スラグ分離用治具と共に凝固したス
ラグを引き上げられるものであれば上記の形状に限定さ
れるものではなく、スラグと反応する材質であれば棒
状、管状等の簡素な形状でもよい。第3図(a)にタン
タル、ニオブ等に適した下方に円板状の を設けた形状、(b)、(c)に鉄等に適した、ネジ
形、ボルト形の各々のスラグ分離用治具(5′)、
(5″)、(5)の例を示した。
なお、スラグ分離用治具はスラグ除去棒(7)とネジ、
取付具等により着脱自在に設けた方が好ましいが、これ
ら治具とスラグ除去棒とが分離不能なものであつてもよ
い。
スラグを分離する温度はスラグの融点(例えば、フツ化
カルシウム1360℃、塩化カルシウム772℃)以下であれ
ば希土類金属が凝固していても分離は可能である。しか
しながら、希土類金属の融点以上の温度において、凝固
したスラグを溶融した希土類金属から分離した方が、金
属の分離がより完全に行なわれ、かつ冷却に要する時間
も短縮されるので好ましく、本発明に於ては、スラグの
分離をスラグの融点以下であり、かつ希土類金属の融点
以上の温度において行なう必要があり、このような分離
が実施し得る化合物例えばフツ化ランタン、フツ化セリ
ウム、フツ化プラセオジム又はフツ化ネオジムの使用が
望まれる。なお、希土類金属の溶融時にスラグを除去す
る場合には還元剤が過剰に用いられていとカルシウムが
溶融して希土類金属と共に残留する為、反応開始前に用
いる還元剤は希土類ハロゲン化物に対して1倍当量以下
とすることが好ましいが、スラグを分離して得られた希
土類金属は、そのまま鋳型に鋳込むことも可能である
し、また金属中に混入している還元剤からのカルシウム
等を取り除く為、真空蒸留の後鋳型に鋳込むことも可能
である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
参考例1 第1図のタンタル製ルツボに、フツ化ネオジム3.075kg
と金属カルシウム1.054kgを入れ真空誘導炉のコイル中
に入れ、アルゴン雰囲気下、1400℃で1.5時間還元し
た。
還元後、加熱を中止してコイル中で放冷し、1200℃にな
つた時に軟鋼製のスラグ分離用治具をスラグ中に入れ、
500℃迄冷却した所でスラグを上に引き上げメタルと分
離した。1400℃から500℃迄の冷却に要した時間は1.5時
間であつた。その後、再びルツボを1100℃迄加熱して鋳
型にネオジムメタルを鋳込んだ。
得られたネオジムは2.119kgで収率は97%であつた。ま
た、金属中の酸素量は700ppm(wt)であつた。
実施例1 第2図のタンタル製レツボにフッ化ネオジム3.075kgと
金属カルシウム0.917kgを入れ、真空誘導炉のコイル中
に入れ、アルゴン雰囲気下、1400℃で1.5時間還元し
た。
還元後、加熱を中止してコイル中で放冷し、1200℃にな
った時に軟鋼製のスラグ分離用治具をスラグ中に入れツ
ルボ温度を1150℃に調節してネオジム溶融下でスラグを
引き上げた。
還元終了後、スラグの引き上げ分離迄に要した時間は20
分であつた。スラグの引き上げ後直ちにネオジムメタル
を鋳型に鋳込み金属塊を得た。収率は94%であり、金属
中の酸素量は550ppm(wt)であつた。
比較例1 参考例1と同じルツボに同一量の原料を仕込み、同一条
件で還元を行つた後、8時間冷却して30℃になつた時に
ルツボをコイルから取り外し、ルツボを転倒させスラグ
を取り出した。その後、ルツボを再びコイル中に入れ炉
の真空引きを行つた後、1100℃迄昇温しネオジムメタル
を鋳型に鋳込み金属塊を得た。
ネオジムメタルの収率は97%、メタル中の酸素量は1500
ppm(wt)であつた。
比較例2 実施例1と同じルツボに同一量の原料を仕込み同一条件
で還元を行つた後、8時間冷却し30℃になつた時にルツ
ボをコイルから取り出しルツボを転倒したが、スラグは
分離できなかつた。
その為、ルツボの壁を地盤で削り取り、ネオジムメタル
を取り出した。
金属塊として取り出せたものの収率は60%、酸素濃度は
1050ppmであつた。
〔発明の効果〕 本発明方法によれば、遠隔操作によりルツボを炉体に取
り付けたままでスラグを取り出すことができるので、空
気中に取り出して操作する際に生ずる酸素による汚染が
防止でき、また操作も大巾に簡略化される。また、従来
法ではルツボよりスラグを取り出す操作を手で行うため
室温まで冷却する必要が有つたが、本発明方法を用いれ
ば1000〜1300℃の高温でスラグの分離が行え、しかも希
土類金属の融点以上の温度で分離を行えば、メタルとス
ラグの分離が完全に行え、かつ、スラグの分離後そのま
ま希土類金属を鋳型に鋳込む事ができ、還元炉の運転操
作が大巾に簡略化され、かつ、生産効率も大巾に改善さ
れる等の工業的に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法によつて希土類金属を分離する装置
の一例を示す断面図、第2図は本発明に用いるルツボの
一例を示す断面図、第3図(a)、(b)(c)は本発
明に使用するスラグ分離用治具の例を示す図である。 (1):ルツボ、(2):蓋、(5)、(5′)、
(5″)、(5):スラグ分離用治具、(6):スラ
グ、(8):希土類金属

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類のハロゲン化物をカルシウム又は水
    素化カルシウムにより還元し、得られた希土類金属とス
    ラグを分離する希土類金属の製造法において、スラグ分
    離用治具を溶融したスラグ中に入れた状態で、該スラグ
    を凝固させてスラグ分離用治具と一体化させ、スラグの
    融点以下でありかつ希土類金属の融点以上の温度におい
    て、該分離用治具と共にスラグを除去することにより希
    土類金属とスラグを分離することを特徴とする希土類金
    属の製造法。
  2. 【請求項2】希土類のハロゲン化物が希土類のフッ化物
    であることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載
    の方法。
  3. 【請求項3】希土類のフッ化物が、フッ化ランタン、フ
    ッ化セリウム、フッ化プラセオジム又はフッ化ネオジム
    であることを特徴とする特許請求の範囲第(2)項記載
    の方法。
  4. 【請求項4】希土類金属の製造を、上方に向って広がる
    形状のルツボ内において行なうことを特徴とする特許請
    求の範囲第(1)項なしい第(3)項のいずれか1項に
    記載の方法。
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