JPH0762496A - プレス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板および その製造方法 - Google Patents
プレス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板および その製造方法Info
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- JPH0762496A JPH0762496A JP5213001A JP21300193A JPH0762496A JP H0762496 A JPH0762496 A JP H0762496A JP 5213001 A JP5213001 A JP 5213001A JP 21300193 A JP21300193 A JP 21300193A JP H0762496 A JPH0762496 A JP H0762496A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 シャドウマスク用合金薄板を得る。
【構成】 wt%で、Ni:34〜38%、Cr:0.0
5〜3.0%、Si:0.10%以下、B:0.003
0%以下、O:0.0030%以下、N:0.0030
%以下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径
Dが15〜45μm、オーステナイト結晶粒の混粒度が
50%以下であり、かつ前記合金板表面への結晶面集積
度を特定の値以下に抑えることを特徴とするプレス成形
性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄
板。 【効果】 プレス成形性のよい材料を得ることができ
る。
5〜3.0%、Si:0.10%以下、B:0.003
0%以下、O:0.0030%以下、N:0.0030
%以下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径
Dが15〜45μm、オーステナイト結晶粒の混粒度が
50%以下であり、かつ前記合金板表面への結晶面集積
度を特定の値以下に抑えることを特徴とするプレス成形
性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄
板。 【効果】 プレス成形性のよい材料を得ることができ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス成形性に優れ
たFe−Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−
Cr合金薄板およびそれらの製造方法に係り、カラーブ
ラウン管に使用される好ましいシャドウマスク用Fe−
Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合金
薄板およびそれらの製造方法を提供しようとするもので
ある。
たFe−Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−
Cr合金薄板およびそれらの製造方法に係り、カラーブ
ラウン管に使用される好ましいシャドウマスク用Fe−
Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合金
薄板およびそれらの製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0002】
【従来技術】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、色
ずれの問題に対処するために、シャドウマスク用合金と
して34〜38wt%のNiを含有するFe−Ni系合金
が使用されるようになってきた。このFe−Ni系合金
は、シャドウマスク用材料として従来から使用されてき
た低炭素鋼に比べ、熱膨張率が著しく小さいので、Fe
−Ni系合金によってシャドウマスクを作れば、シャド
ウマスクが電子ビームにより加熱されても、シャドウマ
スクの熱膨張による色ずれの問題は生じ難い。
ずれの問題に対処するために、シャドウマスク用合金と
して34〜38wt%のNiを含有するFe−Ni系合金
が使用されるようになってきた。このFe−Ni系合金
は、シャドウマスク用材料として従来から使用されてき
た低炭素鋼に比べ、熱膨張率が著しく小さいので、Fe
−Ni系合金によってシャドウマスクを作れば、シャド
ウマスクが電子ビームにより加熱されても、シャドウマ
スクの熱膨張による色ずれの問題は生じ難い。
【0003】シャドウマスク用合金薄板は、一般的に下
記工程によって製造される。即ち、連続鋳造法または造
塊法によって、合金塊を調製し、次いで、このように調
製された合金塊に、分塊圧延、熱間圧延および冷間圧延
・焼鈍を施して、合金薄板を製造するのである。
記工程によって製造される。即ち、連続鋳造法または造
塊法によって、合金塊を調製し、次いで、このように調
製された合金塊に、分塊圧延、熱間圧延および冷間圧延
・焼鈍を施して、合金薄板を製造するのである。
【0004】上述したようにして製造されたシャドウマ
スク用合金薄板は、通常下記工程によって、シャドウマ
スクに加工される。即ち、シャドウマスク用合金薄板に
フォトエッチングによって、電子ビームの通過孔(以
下、単に「孔」という」を形成する(以下、エッチング
によって穿孔されたままのシャドウマスク用合金薄板を
「フラットマスク」という)。次いで、フラットマスク
に焼鈍を施し、焼鈍を施したフラットマスクを、ブラウ
ン管の形状に合うように曲面形状にプレス成形する。次
いで、これをシャドウマスクに組立て、その表面上に黒
化処理を施す。
スク用合金薄板は、通常下記工程によって、シャドウマ
スクに加工される。即ち、シャドウマスク用合金薄板に
フォトエッチングによって、電子ビームの通過孔(以
下、単に「孔」という」を形成する(以下、エッチング
によって穿孔されたままのシャドウマスク用合金薄板を
「フラットマスク」という)。次いで、フラットマスク
に焼鈍を施し、焼鈍を施したフラットマスクを、ブラウ
ン管の形状に合うように曲面形状にプレス成形する。次
いで、これをシャドウマスクに組立て、その表面上に黒
化処理を施す。
【0005】しかし、上記のような従来の一般のFe−
Ni系合金を使用する場合、この合金は従来の低炭素鋼
シャドウマスクに比較して強度が高く、かつ機械的性質
の面内異方性が大きいため、この合金を1次冷間圧延、
再結晶焼鈍後、仕上圧延して得られたシャドウマスク用
素材は、エッチング穿孔後にプレス前の焼鈍が施される
が、引続くプレス成形加工時に、形状凍結不良、材料の
割れ発生、透過光の透過ムラ発生など多くのトラブルが
発生し、ブラウン管の製造上大きな不都合を有してい
た。また、前記のFe−Ni系合金は発銹しやすく、シ
ャドウマスク製造工程において、この発銹が製品歩留り
を低下させるという問題もあった。
Ni系合金を使用する場合、この合金は従来の低炭素鋼
シャドウマスクに比較して強度が高く、かつ機械的性質
の面内異方性が大きいため、この合金を1次冷間圧延、
再結晶焼鈍後、仕上圧延して得られたシャドウマスク用
素材は、エッチング穿孔後にプレス前の焼鈍が施される
が、引続くプレス成形加工時に、形状凍結不良、材料の
割れ発生、透過光の透過ムラ発生など多くのトラブルが
発生し、ブラウン管の製造上大きな不都合を有してい
た。また、前記のFe−Ni系合金は発銹しやすく、シ
ャドウマスク製造工程において、この発銹が製品歩留り
を低下させるという問題もあった。
【0006】このような従来のFe−Ni系合金材料の
強度を低減させ、前述したような諸問題を解消するため
の方法として、特開平3−267320号公報に開示さ
れた技術がある。この技術は1次冷間圧延とこれに引き
続く再結晶焼鈍を行った後、圧下率が5〜20%の範囲
で仕上冷間圧延し、引続き800℃未満の温度で焼鈍す
ることにより、材料の200℃での0.2%耐力を9.
5kgf/mm2 (10kgf/mm2 以下)として低
強度化を図り、プレス成形性を良好なレベルまで高める
というものである(以下、先行技術1と呼ぶ)。
強度を低減させ、前述したような諸問題を解消するため
の方法として、特開平3−267320号公報に開示さ
れた技術がある。この技術は1次冷間圧延とこれに引き
続く再結晶焼鈍を行った後、圧下率が5〜20%の範囲
で仕上冷間圧延し、引続き800℃未満の温度で焼鈍す
ることにより、材料の200℃での0.2%耐力を9.
5kgf/mm2 (10kgf/mm2 以下)として低
強度化を図り、プレス成形性を良好なレベルまで高める
というものである(以下、先行技術1と呼ぶ)。
【0007】また、材料の機械的性質である面内異方性
を低減する方法としては、次の先行技術がある。すなわ
ち、特開昭64−52024号公報においては、冷間圧
延とそれに引き続く再結晶焼鈍の工程の組合せを2回以
上繰返し、最後に硬度付加冷間圧延を行ってシャドウマ
スク用材料を製造する方法において、最終の再結晶焼鈍
工程の直前の仕上冷間圧延を、冷延率40〜80%で行
うことにより、弾性係数の面内異方性が少ないシャドウ
マスク用厚板を得るという技術が開示してある。そし
て、この材料をエッチングした後焼鈍して、プレス成形
加工した場合、エッチング孔の変形が小さく、透過光の
光沢ムラやスジ状欠陥が発生しないので、プレス成形加
工時の均一変形性に優れているというものである(以
下、先行技術2と呼ぶ)。
を低減する方法としては、次の先行技術がある。すなわ
ち、特開昭64−52024号公報においては、冷間圧
延とそれに引き続く再結晶焼鈍の工程の組合せを2回以
上繰返し、最後に硬度付加冷間圧延を行ってシャドウマ
スク用材料を製造する方法において、最終の再結晶焼鈍
工程の直前の仕上冷間圧延を、冷延率40〜80%で行
うことにより、弾性係数の面内異方性が少ないシャドウ
マスク用厚板を得るという技術が開示してある。そし
て、この材料をエッチングした後焼鈍して、プレス成形
加工した場合、エッチング孔の変形が小さく、透過光の
光沢ムラやスジ状欠陥が発生しないので、プレス成形加
工時の均一変形性に優れているというものである(以
下、先行技術2と呼ぶ)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記先
行技術1では、前記した焼鈍条件にて、プレス成形性に
良好なレベルまで低強度化を図ってはいるが、この技術
のみでは、良好なプレス成形品質をすべて満足するまで
には至っていなかったのである。すなわち、上記した技
術によるシャドウマスク用素材はプレス成形時に、金型
にかじり付きが発生し、シャドウマスク端部で割れが発
生し易かったのである。また、この技術による材料の面
内異方性は大きく、プレス成形加工後に、シャドウマス
クを透過する光の透過ムラが発生するケースもしばしば
見られ、品質上の問題点がある。
行技術1では、前記した焼鈍条件にて、プレス成形性に
良好なレベルまで低強度化を図ってはいるが、この技術
のみでは、良好なプレス成形品質をすべて満足するまで
には至っていなかったのである。すなわち、上記した技
術によるシャドウマスク用素材はプレス成形時に、金型
にかじり付きが発生し、シャドウマスク端部で割れが発
生し易かったのである。また、この技術による材料の面
内異方性は大きく、プレス成形加工後に、シャドウマス
クを透過する光の透過ムラが発生するケースもしばしば
見られ、品質上の問題点がある。
【0009】また、前記した先行技術2では、材料の弾
性係数の面内異方性は小さく、プレス成形加工時に透過
光のの透過ムラが発生するような変形はない。しかる
に、この技術でも、上記したプレス成形加工時のシャド
ウマスク端部で割れが発生するという問題がある。ま
た、Fe−Ni系合金の発銹性(耐食性)の向上はみら
れていないという問題点がある。
性係数の面内異方性は小さく、プレス成形加工時に透過
光のの透過ムラが発生するような変形はない。しかる
に、この技術でも、上記したプレス成形加工時のシャド
ウマスク端部で割れが発生するという問題がある。ま
た、Fe−Ni系合金の発銹性(耐食性)の向上はみら
れていないという問題点がある。
【0010】更に、最近のカラーTVの画面の一層の高
輝度化フラット化により、画面の色ずれに対する要求品
質もより厳しくなってきており、たとえば、上記した2
つの先行技術によって製造された、シャドウマスクを用
いたブラウン管でも、電子ビームの照射時(TV使用
時)に色ずれが部分的に発生するとい問題点もある。
輝度化フラット化により、画面の色ずれに対する要求品
質もより厳しくなってきており、たとえば、上記した2
つの先行技術によって製造された、シャドウマスクを用
いたブラウン管でも、電子ビームの照射時(TV使用
時)に色ずれが部分的に発生するとい問題点もある。
【0011】この発明は、上述した従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、耐食性に優れてい
るとともに、プレス成形性に優れ、特に、金型とのなじ
みが良好(金型へのかじりを抑制)で、プレス成形時の
割れ発生および透過光の透過ムラの発生がなく、シャド
ウマスクをTVに使用する際の部分的な色ずれの発生も
抑制できる、シャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄
板およびFe−Ni−Co−Cr合金薄板およびそれら
の製造方法を提供することを目的としている。
解消するためになされたものであり、耐食性に優れてい
るとともに、プレス成形性に優れ、特に、金型とのなじ
みが良好(金型へのかじりを抑制)で、プレス成形時の
割れ発生および透過光の透過ムラの発生がなく、シャド
ウマスクをTVに使用する際の部分的な色ずれの発生も
抑制できる、シャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄
板およびFe−Ni−Co−Cr合金薄板およびそれら
の製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第一のプ
レス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%
で、Ni:34〜38%、Cr:0.05〜3.0%、
Si:0.10%以下、B:0.0030%以下、O:
0.0030%以下、N:0.0030%以下を含有
し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径Dが15〜4
5μm、数6により求まるオーステナイト結晶粒の混粒
度Kが50%以下であり、かつ前記合金板表面への結晶
面集積度が表4の値を満足するFe−Ni−Cr合金薄
板である。
レス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%
で、Ni:34〜38%、Cr:0.05〜3.0%、
Si:0.10%以下、B:0.0030%以下、O:
0.0030%以下、N:0.0030%以下を含有
し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径Dが15〜4
5μm、数6により求まるオーステナイト結晶粒の混粒
度Kが50%以下であり、かつ前記合金板表面への結晶
面集積度が表4の値を満足するFe−Ni−Cr合金薄
板である。
【0013】
【数6】
【0014】但し、K:オーステナイト結晶の混粒度
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
【0015】
【表4】
【0016】また、この発明に係る第二のプレス成形性
に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%で、Ni:
34〜38%、Cr:0.05〜3.0%、Co:1.
0%以下、Si:0.10%以下、B:0.0030%
以下、O:0.0030%以下、N:0.0030%以
下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径Dが
15〜45μm、数7により求まるオーステナイト結晶
粒の混粒度Kが50%以下であり、かつ前記合金板表面
への結晶面集積度が表5の値を満足するFe−Ni−C
r−Co合金薄板である。
に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%で、Ni:
34〜38%、Cr:0.05〜3.0%、Co:1.
0%以下、Si:0.10%以下、B:0.0030%
以下、O:0.0030%以下、N:0.0030%以
下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径Dが
15〜45μm、数7により求まるオーステナイト結晶
粒の混粒度Kが50%以下であり、かつ前記合金板表面
への結晶面集積度が表5の値を満足するFe−Ni−C
r−Co合金薄板である。
【0017】
【数7】
【0018】但し、K:オーステナイト結晶の混粒度
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
【0019】
【表5】
【0020】また、この発明に係る第三のプレス成形性
に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%で、Ni:
27〜38%、Cr:0.05〜3.0%、Co:1.
0%超え7%まで、Si:0.10%以下、B:0.0
030%以下、O:0.0030%以下、N:0.00
30%以下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶
粒径Dが15〜45μm、数8により求まるオーステナ
イト結晶粒の混粒度Kが50%以下であり、かつ前記合
金板表面への結晶面集積度が表6の値を満足するFe−
Ni−Cr−Co合金薄板。
に優れたシャドウマスク用合金薄板は、wt%で、Ni:
27〜38%、Cr:0.05〜3.0%、Co:1.
0%超え7%まで、Si:0.10%以下、B:0.0
030%以下、O:0.0030%以下、N:0.00
30%以下を含有し、合金板の平均オーステナイト結晶
粒径Dが15〜45μm、数8により求まるオーステナ
イト結晶粒の混粒度Kが50%以下であり、かつ前記合
金板表面への結晶面集積度が表6の値を満足するFe−
Ni−Cr−Co合金薄板。
【0021】
【数8】
【0022】但し、K:オーステナイト結晶の混粒度
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径
【0023】
【表6】
【0024】また、この発明に係る第一のプレス成形性
に優れたシャドウマスク用合金薄板の製造方法は、上記
第一、第二または第三の合金薄板と同じ成分を有する合
金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷間圧延して
引き続き再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧延して歪取
り焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優れたシャド
ウマスク用合金薄板を製造するに際して、前記熱延板焼
鈍を810〜890℃で施し、1次冷間圧延での圧下率
は81〜94%、仕上冷間圧延での圧下率は14〜29
%の範囲内でそれぞれ圧延し、引き続きプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数9を満足する条件で焼鈍するこ
とにより、合金薄板の平均オーステナイト結晶粒径、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度および合金板表面への結晶
面の集積度を、上記第一、第二または第三の合金薄板と
同じ範囲にするものである。
に優れたシャドウマスク用合金薄板の製造方法は、上記
第一、第二または第三の合金薄板と同じ成分を有する合
金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷間圧延して
引き続き再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧延して歪取
り焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優れたシャド
ウマスク用合金薄板を製造するに際して、前記熱延板焼
鈍を810〜890℃で施し、1次冷間圧延での圧下率
は81〜94%、仕上冷間圧延での圧下率は14〜29
%の範囲内でそれぞれ圧延し、引き続きプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数9を満足する条件で焼鈍するこ
とにより、合金薄板の平均オーステナイト結晶粒径、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度および合金板表面への結晶
面の集積度を、上記第一、第二または第三の合金薄板と
同じ範囲にするものである。
【0025】
【数9】
【0026】但し、T:焼鈍温度(℃) t:焼鈍時間(分)
【0027】また、この発明に係る第二のプレス成形性
に優れたシャドウマスク用合金薄板の製造方法は、上記
第一、第二または第三の合金薄板と同じ成分を有する合
金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷間圧延して
引き続き1次再結晶焼鈍し、次に2次冷間圧延して引続
き2次再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧延して歪取り
焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優れたシャドウ
マスク用合金薄板を製造するに際して、前記熱延板焼鈍
を810〜890℃で施し、1次冷間圧延での圧下率を
40〜55%、2次冷間圧延での圧下率を81〜94
%、仕上冷間圧延での圧下率を14〜29%の範囲内で
それぞれ圧延し、引き続きプレス成形前に焼鈍温度74
0〜900℃、焼鈍時間2〜40分で、かつ焼鈍温度T
が数10を満足する条件で焼鈍することにより、合金薄
板の平均オーステナイト結晶粒径、オーステナイト結晶
粒の混粒度および合金板表面への結晶面の集積度を、上
記第一、第二または第三の合金薄板と同じ範囲にするも
のである。
に優れたシャドウマスク用合金薄板の製造方法は、上記
第一、第二または第三の合金薄板と同じ成分を有する合
金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷間圧延して
引き続き1次再結晶焼鈍し、次に2次冷間圧延して引続
き2次再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧延して歪取り
焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優れたシャドウ
マスク用合金薄板を製造するに際して、前記熱延板焼鈍
を810〜890℃で施し、1次冷間圧延での圧下率を
40〜55%、2次冷間圧延での圧下率を81〜94
%、仕上冷間圧延での圧下率を14〜29%の範囲内で
それぞれ圧延し、引き続きプレス成形前に焼鈍温度74
0〜900℃、焼鈍時間2〜40分で、かつ焼鈍温度T
が数10を満足する条件で焼鈍することにより、合金薄
板の平均オーステナイト結晶粒径、オーステナイト結晶
粒の混粒度および合金板表面への結晶面の集積度を、上
記第一、第二または第三の合金薄板と同じ範囲にするも
のである。
【0028】
【数10】
【0029】但し、T:焼鈍温度(℃) t:焼鈍時間(分)
【0030】
【作用】上記したような本発明について更に説明する
と、本発明者等は、上述した観点から、プレス成形性に
優れ、かつカラーテレビに使用する際の部分的な色ずれ
の発生も抑制したシャドウマスク用Fe−Ni−Cr合
金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合金薄板を開発す
べく、鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。即ち、
シャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄板およびFe
−Ni−Co−Cr合金薄板の化学成分組成、更にはオ
ーステナイト結晶粒径およびその混粒度、結晶の配向性
を所定の範囲内に調整することにより、所要のプレス成
形品質を付与し、かつ上記した部分的な色ずれ発生の抑
制が可能となる。
と、本発明者等は、上述した観点から、プレス成形性に
優れ、かつカラーテレビに使用する際の部分的な色ずれ
の発生も抑制したシャドウマスク用Fe−Ni−Cr合
金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合金薄板を開発す
べく、鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。即ち、
シャドウマスク用Fe−Ni−Cr合金薄板およびFe
−Ni−Co−Cr合金薄板の化学成分組成、更にはオ
ーステナイト結晶粒径およびその混粒度、結晶の配向性
を所定の範囲内に調整することにより、所要のプレス成
形品質を付与し、かつ上記した部分的な色ずれ発生の抑
制が可能となる。
【0031】詳述すると、所定の範囲内にB、Oの含有
を制限することにより、本発明で特徴とする条件でのプ
レス前の焼鈍での結晶粒の成長性を高め、所定のオース
テナイト結晶粒径とすることによりプレス成形時の形状
凍結性を付与し、所定の範囲内にSi、Nの含有を制限
することにより、プレス成形時の金型とのなじみを良く
し(金型へのかじり発生を抑制し)、かつプレス前焼鈍
後の合金薄板表面への{211}結晶面の集積度を所定
の範囲内とすることにより、プレス成形時の材料の割れ
の発生を抑制する。
を制限することにより、本発明で特徴とする条件でのプ
レス前の焼鈍での結晶粒の成長性を高め、所定のオース
テナイト結晶粒径とすることによりプレス成形時の形状
凍結性を付与し、所定の範囲内にSi、Nの含有を制限
することにより、プレス成形時の金型とのなじみを良く
し(金型へのかじり発生を抑制し)、かつプレス前焼鈍
後の合金薄板表面への{211}結晶面の集積度を所定
の範囲内とすることにより、プレス成形時の材料の割れ
の発生を抑制する。
【0032】また、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒の混粒度を所定の範囲内とすることにより、プレス
成形時の透過ムラの発生を抑制し、なおプレス前焼鈍後
の合金薄板表面への{210}、{331}結晶面の集
積度を所定の範囲内とすることにより、上記した部分的
な色ずれ発生を抑制する。
晶粒の混粒度を所定の範囲内とすることにより、プレス
成形時の透過ムラの発生を抑制し、なおプレス前焼鈍後
の合金薄板表面への{210}、{331}結晶面の集
積度を所定の範囲内とすることにより、上記した部分的
な色ずれ発生を抑制する。
【0033】更に、本発明者らは、次の知見を得た。即
ち、本合金の製造工程において、熱延鋼帯を冷間圧延す
る前に所定温度で熱延板焼鈍を施し、更には以降の冷延
でも冷間圧延率および仕上げ冷間圧延率およびプレス前
の焼鈍条件(温度、時間)を範囲内とすることにより、
プレス前焼鈍後の合金薄板の平均オーステナイト結晶粒
径および合金板表面への{331}、{210}、{2
11}結晶面の集積度を所定の範囲内に調整することが
できる(合金板表面への{331}、{210}、{2
11}結晶面集積度は、以下単に{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度と夫々呼ぶ)。
ち、本合金の製造工程において、熱延鋼帯を冷間圧延す
る前に所定温度で熱延板焼鈍を施し、更には以降の冷延
でも冷間圧延率および仕上げ冷間圧延率およびプレス前
の焼鈍条件(温度、時間)を範囲内とすることにより、
プレス前焼鈍後の合金薄板の平均オーステナイト結晶粒
径および合金板表面への{331}、{210}、{2
11}結晶面の集積度を所定の範囲内に調整することが
できる(合金板表面への{331}、{210}、{2
11}結晶面集積度は、以下単に{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度と夫々呼ぶ)。
【0034】また、プレス前焼鈍後の合金薄板における
オーステナイト結晶粒の混粒度を所定の範囲内とするに
は、熱延板焼鈍後の1回ないし2回の冷間圧延における
圧延率を所定の範囲内とすることが特に重要である。
オーステナイト結晶粒の混粒度を所定の範囲内とするに
は、熱延板焼鈍後の1回ないし2回の冷間圧延における
圧延率を所定の範囲内とすることが特に重要である。
【0035】この発明は上述したような知見に基づいて
なされたもので、この発明によるシャドウマスク用Fe
−Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合
金薄板の化学成分、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒径とその混粒度、および合金板表面への{33
1}、{210}、{211}結晶面集積度を上述範囲
内に限定した理由は以下の如くである。
なされたもので、この発明によるシャドウマスク用Fe
−Ni−Cr合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr合
金薄板の化学成分、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒径とその混粒度、および合金板表面への{33
1}、{210}、{211}結晶面集積度を上述範囲
内に限定した理由は以下の如くである。
【0036】(1)Ni 色ずれの発生を予防するために、シャドウマスク用Fe
−Ni合金薄板に要求される、30℃〜100℃の温度
域における平均熱膨張係数の上限値は、2.0×10-6
/℃である。前記熱膨張係数は、前記合金薄板のニッケ
ル含有量に依存する。そして、上述した平均熱膨張係数
の条件を満たすNi含有量の範囲は、34〜38wt%の
範囲である。従って、Ni含有量は、34〜38wt%の
範囲内に限定すべきである。なお、このようなNi含有
量の範囲内でも、平均熱膨張係数を低下させうる好まし
いNi量は35〜37%であり、更にはこの平均熱膨張
係数をより低下させうる更に好ましいNi量は35.5
〜36.5%である。
−Ni合金薄板に要求される、30℃〜100℃の温度
域における平均熱膨張係数の上限値は、2.0×10-6
/℃である。前記熱膨張係数は、前記合金薄板のニッケ
ル含有量に依存する。そして、上述した平均熱膨張係数
の条件を満たすNi含有量の範囲は、34〜38wt%の
範囲である。従って、Ni含有量は、34〜38wt%の
範囲内に限定すべきである。なお、このようなNi含有
量の範囲内でも、平均熱膨張係数を低下させうる好まし
いNi量は35〜37%であり、更にはこの平均熱膨張
係数をより低下させうる更に好ましいNi量は35.5
〜36.5%である。
【0037】なお、Coを0.001〜1.0%含有す
る場合でも、上記した平均熱膨張係数の上限値を満足す
るNi値は34〜38%である。このような場合でも平
均熱膨張係数を低下させうる好ましいNi量は35〜3
8%である。また、1.0%超え7%までのCoを含有
する場合、上述した平均熱膨張係数の条件を満たすNi
量の範囲は27〜38%であり、また、Fe−Ni−C
o−Cr合金およびFe−Ni−Cr合金において、N
i量は30〜33%、Co量が3〜6%にすることによ
り、平均熱膨張係数は更に低く、優れたものとなる。
る場合でも、上記した平均熱膨張係数の上限値を満足す
るNi値は34〜38%である。このような場合でも平
均熱膨張係数を低下させうる好ましいNi量は35〜3
8%である。また、1.0%超え7%までのCoを含有
する場合、上述した平均熱膨張係数の条件を満たすNi
量の範囲は27〜38%であり、また、Fe−Ni−C
o−Cr合金およびFe−Ni−Cr合金において、N
i量は30〜33%、Co量が3〜6%にすることによ
り、平均熱膨張係数は更に低く、優れたものとなる。
【0038】Crは本合金の耐食性を向上させるが、熱
膨張係数を劣化(増大)させる元素である。Crは0.
05%未満では、耐食性向上の効果が得られず、一方
3.0%を超えると本発明で意図する平均熱膨張係数が
得られないため、Cr量の下限、上限はそれぞれ0.0
5%と3.0%と定めた。
膨張係数を劣化(増大)させる元素である。Crは0.
05%未満では、耐食性向上の効果が得られず、一方
3.0%を超えると本発明で意図する平均熱膨張係数が
得られないため、Cr量の下限、上限はそれぞれ0.0
5%と3.0%と定めた。
【0039】また、本発明においては、プレス成形時の
形状凍結性向上、合金板の割れ発生抑制およびプレス成
形後の透過ムラ発生の防止のために要求される平均オー
ステナイト粒径は、温間プレスを前提とする場合、15
〜45μmである。15μm未満では、形状凍結性が悪
く合金板の割れも発生する。一方45μmを超えると割
れが発生し、プレス形成後に透過ムラが発生する。以上
より平均オーステナイト粒径は15〜45μmと定め
た。
形状凍結性向上、合金板の割れ発生抑制およびプレス成
形後の透過ムラ発生の防止のために要求される平均オー
ステナイト粒径は、温間プレスを前提とする場合、15
〜45μmである。15μm未満では、形状凍結性が悪
く合金板の割れも発生する。一方45μmを超えると割
れが発生し、プレス形成後に透過ムラが発生する。以上
より平均オーステナイト粒径は15〜45μmと定め
た。
【0040】なお、材料の割れの発生を抑制するために
は、後述の如く上記した平均オーステナイト粒径を有し
つつ、合金板表面への{211}結晶面の集積度を特定
値に抑制することが必須である。然して、本発明で意図
するプレス前の焼鈍条件で結晶粒の成長性を高めるため
には、OおよびBを特定値以下に抑制すること、プレス
成形時の金型のなじみを良くするためには、Si、Nを
特定値以下の抑制することがそれぞれが必要であって、
以下の如くである。
は、後述の如く上記した平均オーステナイト粒径を有し
つつ、合金板表面への{211}結晶面の集積度を特定
値に抑制することが必須である。然して、本発明で意図
するプレス前の焼鈍条件で結晶粒の成長性を高めるため
には、OおよびBを特定値以下に抑制すること、プレス
成形時の金型のなじみを良くするためには、Si、Nを
特定値以下の抑制することがそれぞれが必要であって、
以下の如くである。
【0041】(2)O O(酸素)は本合金中に不可避的に混入する不純物の1
つである。このOの含有量が多くなると、合金中の酸化
物系非金属介在物が多くなり、この介在物が、特に焼鈍
温度740〜900℃、焼鈍時間40分以下でプレス形
成前に焼鈍するときに、結晶粒の成長を阻害する。即ち
O量が0.0030%を超えると上記した粒成長の阻害
作用が著しくなり、本発明で意図するオーステナイト結
晶粒径が得られないので、0.0030%を上限とし
た。
つである。このOの含有量が多くなると、合金中の酸化
物系非金属介在物が多くなり、この介在物が、特に焼鈍
温度740〜900℃、焼鈍時間40分以下でプレス形
成前に焼鈍するときに、結晶粒の成長を阻害する。即ち
O量が0.0030%を超えると上記した粒成長の阻害
作用が著しくなり、本発明で意図するオーステナイト結
晶粒径が得られないので、0.0030%を上限とし
た。
【0042】(3)B Bは、本合金中には熱間加工性を向上させるが、含有量
が多くなるとプレス前の焼鈍時に形成される再結晶粒の
粒界に偏析し、粒界を移動し難くさせ、結果的に結晶粒
の成長性が阻害され、プレス成形前の焼鈍後に所要のオ
ーステナイト結晶粒径が得られなくなる。特に本発明で
規定されたプレス前の焼鈍条件下においては、このよう
な粒成長の阻害作用が強く、かつこの作用もすべての結
晶粒に対して一様に働かないため、結果的には著しい混
粒組織を示し、プレス成形時の材料の伸びムラが発生
し、透過ムラの原因となってしまう。
が多くなるとプレス前の焼鈍時に形成される再結晶粒の
粒界に偏析し、粒界を移動し難くさせ、結果的に結晶粒
の成長性が阻害され、プレス成形前の焼鈍後に所要のオ
ーステナイト結晶粒径が得られなくなる。特に本発明で
規定されたプレス前の焼鈍条件下においては、このよう
な粒成長の阻害作用が強く、かつこの作用もすべての結
晶粒に対して一様に働かないため、結果的には著しい混
粒組織を示し、プレス成形時の材料の伸びムラが発生
し、透過ムラの原因となってしまう。
【0043】また、このBは、材料スカート部の割れ原
因となる{211}結晶面の集積度も,焼鈍後に高めて
しまう。このB量が0.0030%を超えると、上記し
た粒成長の阻害作用が著しくなり、本発明で意図するオ
ーステナイト結晶粒径が得られなくなり、かつプレス時
の透過ムラ等の問題も発生し、更に、{211}結晶面
の集積度も本発明規定の上限を超えてしまう。以上よ
り、B量の上限は0.0030%と定めた。
因となる{211}結晶面の集積度も,焼鈍後に高めて
しまう。このB量が0.0030%を超えると、上記し
た粒成長の阻害作用が著しくなり、本発明で意図するオ
ーステナイト結晶粒径が得られなくなり、かつプレス時
の透過ムラ等の問題も発生し、更に、{211}結晶面
の集積度も本発明規定の上限を超えてしまう。以上よ
り、B量の上限は0.0030%と定めた。
【0044】(4)Si Siは本合金の溶製時に脱酸元素として用いるものであ
るが、0.10%を超えると、プレス前の焼鈍時に合金
表面にSiの酸化膜が形成され、この酸化膜によりプレ
ス成形時の金型とのなじみが悪くなり、合金が金型をか
じるようになる。従ってSi量の上限は0.10%と定
めた。Siが0.10%以下であっても、Si量を更に
低減することにより合金板と金型とのなじみを更に良く
することができる。
るが、0.10%を超えると、プレス前の焼鈍時に合金
表面にSiの酸化膜が形成され、この酸化膜によりプレ
ス成形時の金型とのなじみが悪くなり、合金が金型をか
じるようになる。従ってSi量の上限は0.10%と定
めた。Siが0.10%以下であっても、Si量を更に
低減することにより合金板と金型とのなじみを更に良く
することができる。
【0045】(5)N Nは、本合金の溶製時に不可避的に混入する元素であ
り、0.0030%を超えると、プレス前の焼鈍時に合
金表面にNが濃化し、この合金表面の窒化物により、プ
レス成形時の金型とのなじみが悪くなり、合金が金型を
かじるようになる。従ってN量の上限は0.0030%
と定めた。
り、0.0030%を超えると、プレス前の焼鈍時に合
金表面にNが濃化し、この合金表面の窒化物により、プ
レス成形時の金型とのなじみが悪くなり、合金が金型を
かじるようになる。従ってN量の上限は0.0030%
と定めた。
【0046】なお、本発明によるシャドウマスク用合金
は、上記したようにFe−Ni合金およびFe−Ni−
Co合金の基本組成に、特定量のO、N、Si、Nの含
有を許容し、かつ、プレス前の焼鈍後の平均オーステナ
イト結晶粒径を15〜45μm、オーステナイト粒の混
粒度が30%以下で、{211}、{331}、{21
0}結晶面の集積度を、それぞれ20%以下、35%以
下、16%以下とすることを特徴としているが、前記組
成の他に、C:0.0001〜0.0040%、Mn:
0.001〜0.35%、Cr:0.001%〜0.0
5%、H:2.0ppm以下の範囲内で含有することが
好ましい。
は、上記したようにFe−Ni合金およびFe−Ni−
Co合金の基本組成に、特定量のO、N、Si、Nの含
有を許容し、かつ、プレス前の焼鈍後の平均オーステナ
イト結晶粒径を15〜45μm、オーステナイト粒の混
粒度が30%以下で、{211}、{331}、{21
0}結晶面の集積度を、それぞれ20%以下、35%以
下、16%以下とすることを特徴としているが、前記組
成の他に、C:0.0001〜0.0040%、Mn:
0.001〜0.35%、Cr:0.001%〜0.0
5%、H:2.0ppm以下の範囲内で含有することが
好ましい。
【0047】上記したような、成分の制御および本発明
規定内のプレス前焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径
とすることにより、本合金のプレス成形時の金型へのか
じりを抑制し、かつ形状凍結性を優れたレベルとするこ
とが可能であるが、プレス成形品質としては、依然とし
て、材料の割れが問題となる。そこで、本発明者らは、
このような問題を解決すべく、本発明規定内の成分およ
び平均オーステナイト結晶粒径を有する本合金板の結晶
の方位を、様々に変えてプレス成形時の材料の割れとの
関係を調べた。その結果、本合金材料の割れを抑制する
には、プレス前の焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径
の規定に加え、{211}結晶面の集積度を特定値以下
に抑制することが有効であることを見出した。
規定内のプレス前焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径
とすることにより、本合金のプレス成形時の金型へのか
じりを抑制し、かつ形状凍結性を優れたレベルとするこ
とが可能であるが、プレス成形品質としては、依然とし
て、材料の割れが問題となる。そこで、本発明者らは、
このような問題を解決すべく、本発明規定内の成分およ
び平均オーステナイト結晶粒径を有する本合金板の結晶
の方位を、様々に変えてプレス成形時の材料の割れとの
関係を調べた。その結果、本合金材料の割れを抑制する
には、プレス前の焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径
の規定に加え、{211}結晶面の集積度を特定値以下
に抑制することが有効であることを見出した。
【0048】図1は、本発明で特徴とする成分の合金板
について、プレス成形時の合金割れと{211}結晶面
の集積度および平均オーステナイト結晶粒径の関係を示
したものである。{211}結晶面の集積度の測定はプ
レス前焼鈍後の合金板の(422)回折面の相対X線回
折強度比を(111)、(200)、(220)(31
1)、(331)、(420)および(422)の各回
折面の相対X線強度比の和で割ることにより求めた。な
お、{211}結晶面集積度の測定に際してはこの結晶
面と方位的に同じである(422)面の回折で測定して
いる。
について、プレス成形時の合金割れと{211}結晶面
の集積度および平均オーステナイト結晶粒径の関係を示
したものである。{211}結晶面の集積度の測定はプ
レス前焼鈍後の合金板の(422)回折面の相対X線回
折強度比を(111)、(200)、(220)(31
1)、(331)、(420)および(422)の各回
折面の相対X線強度比の和で割ることにより求めた。な
お、{211}結晶面集積度の測定に際してはこの結晶
面と方位的に同じである(422)面の回折で測定して
いる。
【0049】ここで、相対X線回折強度比とは、各回折
面で測定されたX線回折強度とその回折面の理論X線回
折強度で割ったものである。例えば、(111)回折面
の相対X線回折強度比は(111)回折面のX線回折強
度を(111)回折面のX線回折理論強度で割ったもの
である。なお、後述する{331}、{210}結晶面
の集積度の測定はそれぞれ(331)回折面、(42
1)回折面(これは{210}結晶面と方価でみて等価
な面)の相対X線回折強度比の前記した(111)から
(422)までの7個の回折面の相対X線回折強度比の
和で割ることにより求めている。
面で測定されたX線回折強度とその回折面の理論X線回
折強度で割ったものである。例えば、(111)回折面
の相対X線回折強度比は(111)回折面のX線回折強
度を(111)回折面のX線回折理論強度で割ったもの
である。なお、後述する{331}、{210}結晶面
の集積度の測定はそれぞれ(331)回折面、(42
1)回折面(これは{210}結晶面と方価でみて等価
な面)の相対X線回折強度比の前記した(111)から
(422)までの7個の回折面の相対X線回折強度比の
和で割ることにより求めている。
【0050】前記したような図1より平均オーステナイ
ト結晶粒径が15〜45μmでかつ、{211}結晶面
の集積度が20%以下で、プレス成形時の合金板の割れ
および透過ムラは発生しておらず、本発明で意図する優
れた効果が発揮されている。
ト結晶粒径が15〜45μmでかつ、{211}結晶面
の集積度が20%以下で、プレス成形時の合金板の割れ
および透過ムラは発生しておらず、本発明で意図する優
れた効果が発揮されている。
【0051】以上のような検討結果より、合金板の割れ
抑制の条件として{211}結晶面の集積度が20%以
下と定めた。
抑制の条件として{211}結晶面の集積度が20%以
下と定めた。
【0052】また、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒の混粒度の制御は、プレス成形時の透過ムラ発生防
止のために必要である。図2は、本発明範囲内の成分、
平均オーステナイト結晶粒径、{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度を有する合金板を用い
て、プレス成形後の透過ムラの発生率とオーステナイト
結晶粒の混粒度の関係を調べたものである。この図より
オーステナイト結晶粒の混粒度が50%を越えると、透
過ムラ発生率が高くなっていることがわかる。以上よ
り、プレス成形後の透過ムラの発生を防止するため、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度の範囲として、50%以下
を定めた。
晶粒の混粒度の制御は、プレス成形時の透過ムラ発生防
止のために必要である。図2は、本発明範囲内の成分、
平均オーステナイト結晶粒径、{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度を有する合金板を用い
て、プレス成形後の透過ムラの発生率とオーステナイト
結晶粒の混粒度の関係を調べたものである。この図より
オーステナイト結晶粒の混粒度が50%を越えると、透
過ムラ発生率が高くなっていることがわかる。以上よ
り、プレス成形後の透過ムラの発生を防止するため、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度の範囲として、50%以下
を定めた。
【0053】以上説明したように本発明合金のO、B、
Si、Nの規定およびプレス前の焼鈍後のオーステナイ
ト結晶粒の混粒度と{211}結晶面の集積度の規定に
より、本発明で意図するプレス成形品質を優れたものと
することができる。
Si、Nの規定およびプレス前の焼鈍後のオーステナイ
ト結晶粒の混粒度と{211}結晶面の集積度の規定に
より、本発明で意図するプレス成形品質を優れたものと
することができる。
【0054】また、前記したような部分的な色ずれ発生
を抑制するためには、プレス前焼鈍後の{331}結晶
面、{210}結晶面の集積度の抑制が必要である。す
なわち、プレス前焼鈍後において{331}結晶面、
{210}結晶面の集積度がそれぞれ35%、20%を
越えると、部分的な色ずれが発生する。従って、本発明
においては{331}、{210}結晶面の集積度はそ
れぞれ35%以下、20%以下と定めた。
を抑制するためには、プレス前焼鈍後の{331}結晶
面、{210}結晶面の集積度の抑制が必要である。す
なわち、プレス前焼鈍後において{331}結晶面、
{210}結晶面の集積度がそれぞれ35%、20%を
越えると、部分的な色ずれが発生する。従って、本発明
においては{331}、{210}結晶面の集積度はそ
れぞれ35%以下、20%以下と定めた。
【0055】プレス前焼鈍後において{331}{21
0}、{211}結晶面集積度がそれぞれ35%以下、
20%以下、20%以下とするためには、合金の凝固か
ら熱間での加工、および以降の冷間圧延・焼鈍工程にお
いて、極力{331}{210}、{211}結晶面を
集積させないことが必要である。例えば、本合金を造塊
−分塊圧延により得られたスラブまたは連続鋳造スラブ
を、熱間圧延することにより得られた熱延鋼帯により製
造する場合には、この熱延鋼帯を素材として、以降は熱
延板焼鈍−冷間圧延−再結晶焼鈍−仕上冷間圧延−歪取
り焼鈍を行い、その後プレス成形前の焼鈍を施し、プレ
ス成形の後で黒化処理を施す工程によってシャドウマス
ク用の合金薄板を製造するが、この場合先ず熱間圧延後
に適正な熱延板焼鈍を施すことが、{331}{21
0}、{211}結晶面を集積させないために有効であ
る。この際、熱延板焼鈍の温度は、810〜890℃の
範囲内で適切な温度を選択すれば、{331}{21
0}、{211}結晶面の集積度をそれぞれ本発明規定
以下とすることができる。
0}、{211}結晶面集積度がそれぞれ35%以下、
20%以下、20%以下とするためには、合金の凝固か
ら熱間での加工、および以降の冷間圧延・焼鈍工程にお
いて、極力{331}{210}、{211}結晶面を
集積させないことが必要である。例えば、本合金を造塊
−分塊圧延により得られたスラブまたは連続鋳造スラブ
を、熱間圧延することにより得られた熱延鋼帯により製
造する場合には、この熱延鋼帯を素材として、以降は熱
延板焼鈍−冷間圧延−再結晶焼鈍−仕上冷間圧延−歪取
り焼鈍を行い、その後プレス成形前の焼鈍を施し、プレ
ス成形の後で黒化処理を施す工程によってシャドウマス
ク用の合金薄板を製造するが、この場合先ず熱間圧延後
に適正な熱延板焼鈍を施すことが、{331}{21
0}、{211}結晶面を集積させないために有効であ
る。この際、熱延板焼鈍の温度は、810〜890℃の
範囲内で適切な温度を選択すれば、{331}{21
0}、{211}結晶面の集積度をそれぞれ本発明規定
以下とすることができる。
【0056】以上のようなことから、{331}結晶面
の集積度35%以下、{210}結晶面の集積度20%
以下、{211}結晶面の集積度20%以下の値にする
ために、熱延板の焼鈍温度は810〜890℃と定め
た。
の集積度35%以下、{210}結晶面の集積度20%
以下、{211}結晶面の集積度20%以下の値にする
ために、熱延板の焼鈍温度は810〜890℃と定め
た。
【0057】なお本発明におけるこのような熱延板焼鈍
は、本合金の熱延鋼帯が熱延板焼鈍前に、充分に再結晶
しているときに発揮されるものである。本発明で意図す
る{331}{210}、{211}結晶面の集積度を
得るには、本合金を製造するに当たって、分塊圧延後の
スラグ均一化熱処理は好ましくない。たとえば、上記の
均一化熱処理が、温度1200℃以上、処理時間10時
間以上の条件で行われる場合、{331}{210}、
{211}結晶面の集積度のうち1つ以上が本発明の規
定値を超えてしまうので、このような処理は避けねばな
らない。
は、本合金の熱延鋼帯が熱延板焼鈍前に、充分に再結晶
しているときに発揮されるものである。本発明で意図す
る{331}{210}、{211}結晶面の集積度を
得るには、本合金を製造するに当たって、分塊圧延後の
スラグ均一化熱処理は好ましくない。たとえば、上記の
均一化熱処理が、温度1200℃以上、処理時間10時
間以上の条件で行われる場合、{331}{210}、
{211}結晶面の集積度のうち1つ以上が本発明の規
定値を超えてしまうので、このような処理は避けねばな
らない。
【0058】また、上記した熱延鋼帯により製造する場
合には、前記の一連の工程の中での中間冷延・焼鈍条
件、最終冷延条件、歪取り焼焼鈍条件およびプレス前焼
鈍条件の適正化も、{331}{210}、{211}
結晶面の集積度をそれぞれ本発明規定値以下とし、かつ
本発明範囲内のオーステナイト結晶粒の混粒度とするた
めに必要である。熱延板焼鈍後において、中間冷延・焼
鈍条件の適正化は、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒の混粒度を制御するために、重要である。
合には、前記の一連の工程の中での中間冷延・焼鈍条
件、最終冷延条件、歪取り焼焼鈍条件およびプレス前焼
鈍条件の適正化も、{331}{210}、{211}
結晶面の集積度をそれぞれ本発明規定値以下とし、かつ
本発明範囲内のオーステナイト結晶粒の混粒度とするた
めに必要である。熱延板焼鈍後において、中間冷延・焼
鈍条件の適正化は、プレス前焼鈍後のオーステナイト結
晶粒の混粒度を制御するために、重要である。
【0059】図3は、本発明合金を用いた場合の熱延板
焼鈍後の中間冷延・焼鈍の回数を1回の場合の冷延率と
プレス前焼鈍後のオーステナイト結晶粒の混粒度の関係
を示したものである。すなわち、熱延鋼帯を810〜8
90℃で熱延板焼鈍し、次いで1次冷間圧延を冷間圧延
率73〜97%の範囲で圧延して再結晶焼鈍を行い、そ
の後14〜29%の冷間圧延率で仕上冷間圧延を行い、
450〜540℃の温度で、0.5〜300秒の時間を
かけて歪取り焼鈍を行い、かつ最終的にプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数11を満足する条件で焼鈍した
合金薄板の、オーステナイト結晶粒の混粒度を、1次冷
間圧延率との関係で整理したグラフである。
焼鈍後の中間冷延・焼鈍の回数を1回の場合の冷延率と
プレス前焼鈍後のオーステナイト結晶粒の混粒度の関係
を示したものである。すなわち、熱延鋼帯を810〜8
90℃で熱延板焼鈍し、次いで1次冷間圧延を冷間圧延
率73〜97%の範囲で圧延して再結晶焼鈍を行い、そ
の後14〜29%の冷間圧延率で仕上冷間圧延を行い、
450〜540℃の温度で、0.5〜300秒の時間を
かけて歪取り焼鈍を行い、かつ最終的にプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数11を満足する条件で焼鈍した
合金薄板の、オーステナイト結晶粒の混粒度を、1次冷
間圧延率との関係で整理したグラフである。
【0060】
【数11】
【0061】この図3より明らかなように、中間冷延焼
鈍プロセスが1回の場合、オーステナイト結晶粒の混粒
度が50%以下と本発明範囲内であるのは、冷延率が8
1〜94%の範囲である。一方、冷延率が81%未満ま
たは94%超では、前記の混粒度は50%を超える。こ
れらのことより、中間冷延焼鈍プロセスが1回の場合に
は、混粒度を50%以下とするために、冷延率を81〜
94%と定めた。
鈍プロセスが1回の場合、オーステナイト結晶粒の混粒
度が50%以下と本発明範囲内であるのは、冷延率が8
1〜94%の範囲である。一方、冷延率が81%未満ま
たは94%超では、前記の混粒度は50%を超える。こ
れらのことより、中間冷延焼鈍プロセスが1回の場合に
は、混粒度を50%以下とするために、冷延率を81〜
94%と定めた。
【0062】また図4は本発明合金を用いた場合の中間
冷延・焼鈍の回数が2回の場合の冷延率とオーステナイ
ト結晶粒の混粒度の関係を示すグラフである。すなわ
ち、熱延鋼帯を810〜890℃で熱延板焼鈍し、次い
で1次冷間圧延を冷間圧延率35〜60%の範囲で圧延
して再結晶焼鈍を行い、次いで2次冷間圧延を冷間圧延
率75〜97%の範囲で圧延して再結晶焼鈍を行い、そ
の後14〜29%の冷間圧延率で仕上冷間圧延を行い、
450〜540℃の温度で、0.5〜300秒の時間を
かけて歪取り焼鈍を行い、かつ最終的にプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数12を満足する条件で焼鈍した
合金薄板の、オーステナイト結晶粒の混粒度を、1次冷
間圧延率と2次冷間圧延率との関係で整理したグラフで
ある。
冷延・焼鈍の回数が2回の場合の冷延率とオーステナイ
ト結晶粒の混粒度の関係を示すグラフである。すなわ
ち、熱延鋼帯を810〜890℃で熱延板焼鈍し、次い
で1次冷間圧延を冷間圧延率35〜60%の範囲で圧延
して再結晶焼鈍を行い、次いで2次冷間圧延を冷間圧延
率75〜97%の範囲で圧延して再結晶焼鈍を行い、そ
の後14〜29%の冷間圧延率で仕上冷間圧延を行い、
450〜540℃の温度で、0.5〜300秒の時間を
かけて歪取り焼鈍を行い、かつ最終的にプレス成形前に
焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2〜40分
で、かつ焼鈍時間Tが数12を満足する条件で焼鈍した
合金薄板の、オーステナイト結晶粒の混粒度を、1次冷
間圧延率と2次冷間圧延率との関係で整理したグラフで
ある。
【0063】
【数12】
【0064】この図から明らかなように、2次冷延率が
81〜94%の範囲内でかつ、1次冷延率が40〜55
%の時、混粒度がより優れた値を示している。
81〜94%の範囲内でかつ、1次冷延率が40〜55
%の時、混粒度がより優れた値を示している。
【0065】以上より、冷延焼鈍プロセスが2回の場
合、1次冷延率を40〜55%、2次冷延率を81〜9
4%と定めた。なお1次、2次冷間圧延後の再結晶焼鈍
は焼鈍温度が810〜840℃で、焼鈍時間は0.5か
ら3分条件内で行うことが望ましい。焼鈍温度が再結晶
温度以上であっても、810℃以下の焼鈍では混粒組織
を呈するため、プレス前焼鈍後でもオーステナイト結晶
粒の混粒度が高くなる。また810〜840℃の範囲で
も0.5分未満の焼鈍では混粒組織となり、一方、3分
を超える焼鈍では混粒組織となり、何れの場合もプレス
前焼鈍後に、オーステナイト結晶粒の混粒度が高くなる
ので好ましくない。なお、上記した本発明範囲内の冷延
・焼鈍条件を採る場合、{331}{210}、{21
1}結晶面の集積度はそれぞれ35%以下、20%以
下、20%以下となる。
合、1次冷延率を40〜55%、2次冷延率を81〜9
4%と定めた。なお1次、2次冷間圧延後の再結晶焼鈍
は焼鈍温度が810〜840℃で、焼鈍時間は0.5か
ら3分条件内で行うことが望ましい。焼鈍温度が再結晶
温度以上であっても、810℃以下の焼鈍では混粒組織
を呈するため、プレス前焼鈍後でもオーステナイト結晶
粒の混粒度が高くなる。また810〜840℃の範囲で
も0.5分未満の焼鈍では混粒組織となり、一方、3分
を超える焼鈍では混粒組織となり、何れの場合もプレス
前焼鈍後に、オーステナイト結晶粒の混粒度が高くなる
ので好ましくない。なお、上記した本発明範囲内の冷延
・焼鈍条件を採る場合、{331}{210}、{21
1}結晶面の集積度はそれぞれ35%以下、20%以
下、20%以下となる。
【0066】また、仕上冷延率は、14〜29%の範囲
内では、本発明規定内の成分、冷延・焼鈍条件、プレス
成形前の焼鈍条件を採る場合、プレス成形前の焼鈍後
に、平均オーステナイト結晶粒の混粒度が15〜45μ
m、オーステナイト結晶粒の混粒度が50%以下、{3
31}結晶面の集積度≦35%、{210}結晶面の集
積度≦20%、{211}結晶面の集積度≦20%とな
る。一方、仕上冷延率が14%未満または29%超で
は、前記した本発明で特徴とする各特性のうち1つ以上
が本発明範囲を満たさなくなる。従って仕上冷延率を1
4〜29%とした。
内では、本発明規定内の成分、冷延・焼鈍条件、プレス
成形前の焼鈍条件を採る場合、プレス成形前の焼鈍後
に、平均オーステナイト結晶粒の混粒度が15〜45μ
m、オーステナイト結晶粒の混粒度が50%以下、{3
31}結晶面の集積度≦35%、{210}結晶面の集
積度≦20%、{211}結晶面の集積度≦20%とな
る。一方、仕上冷延率が14%未満または29%超で
は、前記した本発明で特徴とする各特性のうち1つ以上
が本発明範囲を満たさなくなる。従って仕上冷延率を1
4〜29%とした。
【0067】さて、本発明おいては前記した平均オース
テナイト結晶粒径およびオーステナイト結晶粒の混粒度
を本発明範囲内とするにはプレス前の焼鈍条件の適正化
も重要である。図5は成分、熱延板焼鈍条件、中間冷延
・焼鈍条件、仕上冷間圧延率が本発明範囲内の合金板
の、プレス前焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度、{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度と、プレス前焼鈍の温
度(T、℃)と時間(t、分)の関係を示すグラフであ
る。
テナイト結晶粒径およびオーステナイト結晶粒の混粒度
を本発明範囲内とするにはプレス前の焼鈍条件の適正化
も重要である。図5は成分、熱延板焼鈍条件、中間冷延
・焼鈍条件、仕上冷間圧延率が本発明範囲内の合金板
の、プレス前焼鈍後の平均オーステナイト結晶粒径、オ
ーステナイト結晶粒の混粒度、{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度と、プレス前焼鈍の温
度(T、℃)と時間(t、分)の関係を示すグラフであ
る。
【0068】図5から明らかなように、プレス前焼鈍条
件以外の条件が本発明の範囲内であっても、焼鈍温度T
がT<−123logt+937の場合には、平均オー
ステナイト結晶粒径は15μm未満で、かつ{211}
結晶面の集積度は20%越であり不適である。また、焼
鈍温度Tが900℃超の場合は平均オーステナイト結晶
粒径が45μm超かつ、{211}結晶面の集積度が2
0%超と不適であり、更には、焼鈍時間tが40分を超
える場合は、{211}、{331}、{210}結晶
面の集積度のうち1つ以上が本発明規定を超えて集積し
てくるため、不適である。
件以外の条件が本発明の範囲内であっても、焼鈍温度T
がT<−123logt+937の場合には、平均オー
ステナイト結晶粒径は15μm未満で、かつ{211}
結晶面の集積度は20%越であり不適である。また、焼
鈍温度Tが900℃超の場合は平均オーステナイト結晶
粒径が45μm超かつ、{211}結晶面の集積度が2
0%超と不適であり、更には、焼鈍時間tが40分を超
える場合は、{211}、{331}、{210}結晶
面の集積度のうち1つ以上が本発明規定を超えて集積し
てくるため、不適である。
【0069】以上より、本発明で意図する平均オーステ
ナイト結晶粒径、オーステナイト結晶粒の混粒度、{3
31}、{210}、{211}結晶面の集積度を得る
条件として、焼鈍温度Tを740〜900℃、焼鈍時間
tを2〜40分、かつ焼鈍温度Tと焼鈍時間tとの関係
を、T≧−123logt+937と定めた。なお、本
発明において施される歪取り焼鈍は、その後に施される
プレス前焼鈍での{331}、{210}、{211}
結晶面の集積度の制御のために重要であり、本発明で意
図した効果を十分に発揮するための歪取り焼鈍の条件
は、焼鈍温度が450〜540℃で焼鈍時間が0.5〜
300秒である。
ナイト結晶粒径、オーステナイト結晶粒の混粒度、{3
31}、{210}、{211}結晶面の集積度を得る
条件として、焼鈍温度Tを740〜900℃、焼鈍時間
tを2〜40分、かつ焼鈍温度Tと焼鈍時間tとの関係
を、T≧−123logt+937と定めた。なお、本
発明において施される歪取り焼鈍は、その後に施される
プレス前焼鈍での{331}、{210}、{211}
結晶面の集積度の制御のために重要であり、本発明で意
図した効果を十分に発揮するための歪取り焼鈍の条件
は、焼鈍温度が450〜540℃で焼鈍時間が0.5〜
300秒である。
【0070】また、プレス成形前の焼鈍後における本合
金薄板で{331}、{210}、{211}結晶面の
集積度を本発明規定内とする方法は、上記した以外に急
冷凝固法の採用、熱間加工での再結晶のコントロールに
よる集合組織制御等がある。更に、本発明におけるプレ
ス成形前の焼鈍は、フォトエッチングの前に実施されて
もよい。この場合、プレス成形前の焼鈍条件が本発明規
定内であれば、所要のフォトエッチングの品質は確保し
うる。
金薄板で{331}、{210}、{211}結晶面の
集積度を本発明規定内とする方法は、上記した以外に急
冷凝固法の採用、熱間加工での再結晶のコントロールに
よる集合組織制御等がある。更に、本発明におけるプレ
ス成形前の焼鈍は、フォトエッチングの前に実施されて
もよい。この場合、プレス成形前の焼鈍条件が本発明規
定内であれば、所要のフォトエッチングの品質は確保し
うる。
【0071】
【実施例】上述したような本発明を具体的実施例によっ
て、更に詳しく説明すると、以下のとおりである。 (実施例1)先ず、本発明者等は、取鍋精錬によって精
錬した溶鋼から、次の表7に示す化学成分を有する合金
No.1〜No.21のCCスラブを、連続鋳造法によ
りそれぞれ製造した。
て、更に詳しく説明すると、以下のとおりである。 (実施例1)先ず、本発明者等は、取鍋精錬によって精
錬した溶鋼から、次の表7に示す化学成分を有する合金
No.1〜No.21のCCスラブを、連続鋳造法によ
りそれぞれ製造した。
【0072】
【表7】
【0073】そして、それらのCCスラブの表面疵の手
入れを行った後、加熱炉で1100℃で3時間加熱し、
熱間圧延して熱延鋼帯とした。この熱延鋼帯を860℃
で熱延板焼鈍した後、冷間圧延率93%の1次冷間圧延
を行い、引続き810℃で1分の再結晶焼鈍を行なっ
た。そして、さらに冷間圧延率21%の仕上冷間圧延を
行った後、530℃で1秒の歪取り焼鈍を行い、厚板
0.25mmの合金薄板を得た。このようにして得られ
た合金薄板を試験材として、以下に述べる各種調査を行
ったが、その材料No.は、前記各合金No.1〜N
o.21と対応して、それぞれ材料No.1〜No.2
1とした。なお前記した熱延鋼帯は熱延後に十分に再結
晶しているものを選んだ。
入れを行った後、加熱炉で1100℃で3時間加熱し、
熱間圧延して熱延鋼帯とした。この熱延鋼帯を860℃
で熱延板焼鈍した後、冷間圧延率93%の1次冷間圧延
を行い、引続き810℃で1分の再結晶焼鈍を行なっ
た。そして、さらに冷間圧延率21%の仕上冷間圧延を
行った後、530℃で1秒の歪取り焼鈍を行い、厚板
0.25mmの合金薄板を得た。このようにして得られ
た合金薄板を試験材として、以下に述べる各種調査を行
ったが、その材料No.は、前記各合金No.1〜N
o.21と対応して、それぞれ材料No.1〜No.2
1とした。なお前記した熱延鋼帯は熱延後に十分に再結
晶しているものを選んだ。
【0074】得られた各材料No.1〜No.21の中
で材料No.1〜No.3、No.5〜No.21の各
合金板をエッチングによりフラットマスクにした後、こ
れらのフラットマスクを表8に示す条件にてプレス前焼
鈍し、次にプレス成形を行い、形状凍結性、金型とのな
じみ、材料の割れ発生および透過ムラ発生頻度を、後述
の表10に示す評価基準にて調べた。また、耐食性も各
材料を応力除去焼鈍後に、同じく表10に示す評価手法
により調べた。
で材料No.1〜No.3、No.5〜No.21の各
合金板をエッチングによりフラットマスクにした後、こ
れらのフラットマスクを表8に示す条件にてプレス前焼
鈍し、次にプレス成形を行い、形状凍結性、金型とのな
じみ、材料の割れ発生および透過ムラ発生頻度を、後述
の表10に示す評価基準にて調べた。また、耐食性も各
材料を応力除去焼鈍後に、同じく表10に示す評価手法
により調べた。
【0075】
【表8】
【0076】なお上記したエッチング後のフラットマス
クはムラがなく、所要のエッチング性能を有しているこ
とが確認された。そして、各材料のプレス前焼鈍後に、
平均オーステナイト結晶粒径およびその混粒度、引張特
性(n値、r値、伸び値)および{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度を調査した。この{3
31}、{210}、{211}結晶面の集積度の測定
は、前記したX線回折による方法にて調べた。その結果
を表9に示す。
クはムラがなく、所要のエッチング性能を有しているこ
とが確認された。そして、各材料のプレス前焼鈍後に、
平均オーステナイト結晶粒径およびその混粒度、引張特
性(n値、r値、伸び値)および{331}、{21
0}、{211}結晶面の集積度を調査した。この{3
31}、{210}、{211}結晶面の集積度の測定
は、前記したX線回折による方法にて調べた。その結果
を表9に示す。
【0077】
【表9】
【0078】また、材料No.4の合金板は前記した条
件による歪取り焼鈍後に表8に示す条件にてプレス前焼
鈍を施し、引き続きエッチングを行い、フラットマスク
にした後、プレス成形を行なっている。この材料の各特
性値は、前記した他の材料と同じ方法で調べている。な
お、部分的な色ずれ発生は、プレス成形したシャドウマ
スクを黒化処理後、ブラウン管に組み込み、電子ビーム
を所定時間、照射した後で調べた。表10にプレス成形
品質(形状凍結性、金型とのなじみ、合金薄板の割れの
発生、透過ムラ発生頻度)、部分的な色ずれ発生の有無
および耐食性(点錆発生頻度、個/100cm2 )の調
査結果を示す。
件による歪取り焼鈍後に表8に示す条件にてプレス前焼
鈍を施し、引き続きエッチングを行い、フラットマスク
にした後、プレス成形を行なっている。この材料の各特
性値は、前記した他の材料と同じ方法で調べている。な
お、部分的な色ずれ発生は、プレス成形したシャドウマ
スクを黒化処理後、ブラウン管に組み込み、電子ビーム
を所定時間、照射した後で調べた。表10にプレス成形
品質(形状凍結性、金型とのなじみ、合金薄板の割れの
発生、透過ムラ発生頻度)、部分的な色ずれ発生の有無
および耐食性(点錆発生頻度、個/100cm2 )の調
査結果を示す。
【0079】
【表10】
【0080】表10から明らかなように、本発明の範囲
内の成分組成を有し、かつ本発明の範囲内の{33
1}、{210}、{211}結晶面の集積度および、
平均オーステナイト結晶粒径およびオーステナイト結晶
粒の混粒度を有する材料No.1〜No.13、No.
13−1の各材はいずれのプレス成形品質は優れたレベ
ルを示しており、部分的な色ずれ発生もなく、耐食性も
後述する材料No.16に比べて優れている。なおN
o.4の材料はプレス前の焼鈍後に、エッチングが施さ
れたものであるが、フラットマスクはムラがなく、所要
のエッチング性能を有していた。Coを多く有するN
o.13−1鋼は同様に優れた特性を示している。
内の成分組成を有し、かつ本発明の範囲内の{33
1}、{210}、{211}結晶面の集積度および、
平均オーステナイト結晶粒径およびオーステナイト結晶
粒の混粒度を有する材料No.1〜No.13、No.
13−1の各材はいずれのプレス成形品質は優れたレベ
ルを示しており、部分的な色ずれ発生もなく、耐食性も
後述する材料No.16に比べて優れている。なおN
o.4の材料はプレス前の焼鈍後に、エッチングが施さ
れたものであるが、フラットマスクはムラがなく、所要
のエッチング性能を有していた。Coを多く有するN
o.13−1鋼は同様に優れた特性を示している。
【0081】これに対して、材料No.14はSiの含
有量が0.12%と、また材料No.16はNの含有量
が0.0035%と本発明の規定を越える場合であり、
金型とのなじみの点で問題がある。材料No.15はO
の含有量が0.0035%と本発明規定を越える場合で
あり、平均オーステナイト結晶粒径が、13μmと本発
明規定範囲(以下単に平均粒径という)未満であり、形
状凍結性が劣っていて、合金板の割れも発生しており、
またオーステナイト結晶粒の混粒度(以下単に混粒度と
いう)も、60%と本発明規定値を超えており、透過ム
ラも発生していて、プレス成形品質に問題がある。ま
た、材料No.16はCrが添加されていないものであ
り、耐食性が前記した発明例(材料No.1〜No.1
3、No.13−1)に比べて著しく劣っている。
有量が0.12%と、また材料No.16はNの含有量
が0.0035%と本発明の規定を越える場合であり、
金型とのなじみの点で問題がある。材料No.15はO
の含有量が0.0035%と本発明規定を越える場合で
あり、平均オーステナイト結晶粒径が、13μmと本発
明規定範囲(以下単に平均粒径という)未満であり、形
状凍結性が劣っていて、合金板の割れも発生しており、
またオーステナイト結晶粒の混粒度(以下単に混粒度と
いう)も、60%と本発明規定値を超えており、透過ム
ラも発生していて、プレス成形品質に問題がある。ま
た、材料No.16はCrが添加されていないものであ
り、耐食性が前記した発明例(材料No.1〜No.1
3、No.13−1)に比べて著しく劣っている。
【0082】また材料No.17はBの含有量が0.0
035%と、また材料No.18はOの含有量が0.0
033%と本発明の規定を越える場合であり、平均粒径
はそれぞれ12μmおよび14μmと本発明の規定の下
限値15μm以下であり、形状凍結性が劣っている。更
にこれらの材料の混粒度もそれぞれ56%および63%
と本発明の規定の上限値50%を超えており、透過ムラ
も発生している。また、{211}結晶面の集積度もそ
れぞれ30%および34%と本発明の規定の上限値20
%を超えており、合金板の割れも発生しており、プレス
成形品質に問題がある。
035%と、また材料No.18はOの含有量が0.0
033%と本発明の規定を越える場合であり、平均粒径
はそれぞれ12μmおよび14μmと本発明の規定の下
限値15μm以下であり、形状凍結性が劣っている。更
にこれらの材料の混粒度もそれぞれ56%および63%
と本発明の規定の上限値50%を超えており、透過ムラ
も発生している。また、{211}結晶面の集積度もそ
れぞれ30%および34%と本発明の規定の上限値20
%を超えており、合金板の割れも発生しており、プレス
成形品質に問題がある。
【0083】また、材料No.19は{210}結晶面
の集積度が21%と本発明の規定の上限値20%を超え
ており、また材料No.20は{331}結晶面の集積
度が38%と本発明の規定の上限値35%を越える場合
であり、部分的な色ずれが発生しており、画面品質に問
題がある。また、材料No.21は平均粒径が52μm
と本発明の規定の上限値45μmを超えるものであり、
合金板の割れも発生しており、透過ムラも発生してお
り、プレス成形品質に問題がある。なお、この場合、
{211}結晶面の集積度も23%と本発明の規定の上
限値20%を超えており、この結晶方位が920℃×4
0分のプレス前焼鈍条件下で、平均粒径の増大ととも
に、集積度が強くなっていることが認められる。
の集積度が21%と本発明の規定の上限値20%を超え
ており、また材料No.20は{331}結晶面の集積
度が38%と本発明の規定の上限値35%を越える場合
であり、部分的な色ずれが発生しており、画面品質に問
題がある。また、材料No.21は平均粒径が52μm
と本発明の規定の上限値45μmを超えるものであり、
合金板の割れも発生しており、透過ムラも発生してお
り、プレス成形品質に問題がある。なお、この場合、
{211}結晶面の集積度も23%と本発明の規定の上
限値20%を超えており、この結晶方位が920℃×4
0分のプレス前焼鈍条件下で、平均粒径の増大ととも
に、集積度が強くなっていることが認められる。
【0084】上記したところから明らかなように、本発
明の範囲内の成分組成および本発明の範囲内の{33
1}、{210}、{211}結晶面の集積度および、
平均粒径、混粒度とすることにより、本発明で意図する
プレス成形品質および画面品質が優れたレベルを有し、
耐食性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板
およびFe−Ni−Co系合金薄板が得られることが明
らかである。
明の範囲内の成分組成および本発明の範囲内の{33
1}、{210}、{211}結晶面の集積度および、
平均粒径、混粒度とすることにより、本発明で意図する
プレス成形品質および画面品質が優れたレベルを有し、
耐食性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板
およびFe−Ni−Co系合金薄板が得られることが明
らかである。
【0085】(実施例2)前記した実施例1で用いた合
金No.1〜No.13、No.13−1の熱延鋼帯
に、表11に示す温度条件で熱延板焼鈍を施し、同じく
表11に示す冷間圧延率にて冷間圧延を行い(CR1 に
数値がないものはCR2 に記した冷延率にて1回冷間圧
延を施したことを意味する。CR1 、CR2 の両方に数
値があるものは、それぞれに記した冷延率にて2回冷間
圧延を施したことを意味する)、冷間圧延後は、それぞ
れ、810℃で1分の再結晶焼鈍を施し、引き続き表1
1に示す冷延率で仕上冷間圧延を行い、歪取り焼鈍(5
30℃×0.5秒)を施し、厚板0.25mmの合金板
(材料No.22〜No.47)をそれぞれ得た。
金No.1〜No.13、No.13−1の熱延鋼帯
に、表11に示す温度条件で熱延板焼鈍を施し、同じく
表11に示す冷間圧延率にて冷間圧延を行い(CR1 に
数値がないものはCR2 に記した冷延率にて1回冷間圧
延を施したことを意味する。CR1 、CR2 の両方に数
値があるものは、それぞれに記した冷延率にて2回冷間
圧延を施したことを意味する)、冷間圧延後は、それぞ
れ、810℃で1分の再結晶焼鈍を施し、引き続き表1
1に示す冷延率で仕上冷間圧延を行い、歪取り焼鈍(5
30℃×0.5秒)を施し、厚板0.25mmの合金板
(材料No.22〜No.47)をそれぞれ得た。
【0086】
【表11】
【0087】これらのうち材料No.22〜No.3
9、No.41〜No.42、No.44〜No.47
の合金板をエッチングによりフラットマスクにした後、
該フラットマスクを表11に示す条件にて、プレス前焼
鈍を行った後プレス成形を行ない、表13に示すプレス
成形品質および部分的な色ずれ発生を調べた。その結果
を表12に示す。
9、No.41〜No.42、No.44〜No.47
の合金板をエッチングによりフラットマスクにした後、
該フラットマスクを表11に示す条件にて、プレス前焼
鈍を行った後プレス成形を行ない、表13に示すプレス
成形品質および部分的な色ずれ発生を調べた。その結果
を表12に示す。
【0088】
【表12】
【0089】なお、これらの調査に先立ち、それぞれの
材料の平均オーステナイト結晶粒径、オーステナイト結
晶流の混入度、{331}、{210}、{211}結
晶面の集積度および機械的性質(n値、r値、伸び)を
調査した。その結果を表13に示す。
材料の平均オーステナイト結晶粒径、オーステナイト結
晶流の混入度、{331}、{210}、{211}結
晶面の集積度および機械的性質(n値、r値、伸び)を
調査した。その結果を表13に示す。
【0090】
【表13】
【0091】なお上記したエッチング後のフラットマス
クはムラがなく、所要のエッチング性能を有しているこ
とが確認された。また、No.40およびNo.43の
合金板は前記の条件による歪取り焼鈍後に表11に示す
条件にて、プレス前焼鈍を施し、引き続きエッチングを
行い、フラットマスクにした後、プレス成形を行なって
いる。この材料の各特性値も前記した他の材料と同じ方
法で調べている。
クはムラがなく、所要のエッチング性能を有しているこ
とが確認された。また、No.40およびNo.43の
合金板は前記の条件による歪取り焼鈍後に表11に示す
条件にて、プレス前焼鈍を施し、引き続きエッチングを
行い、フラットマスクにした後、プレス成形を行なって
いる。この材料の各特性値も前記した他の材料と同じ方
法で調べている。
【0092】表12、表13明らかなように、本発明の
範囲内の成分組成を有し、熱延板焼鈍条件、1、2次の
冷延率、仕上冷延率、プレス前焼鈍条件(焼鈍温度おと
び焼鈍時間)が本発明規定の領域内にあり、本発明範囲
内の{331}、{210}、{211}結晶面の集積
度および、平均粒径、混粒度を有している、材料No.
31〜No.47の各材はプレス成形品質が優れた品質
を示し、部分的な色ずれ発生もない。なお、No.40
およびNo.43は、プレス前の焼鈍後にエッチングが
施されたものであるが、フラットマスクには、ムラがな
く、所要のエッチング性能を有していた。
範囲内の成分組成を有し、熱延板焼鈍条件、1、2次の
冷延率、仕上冷延率、プレス前焼鈍条件(焼鈍温度おと
び焼鈍時間)が本発明規定の領域内にあり、本発明範囲
内の{331}、{210}、{211}結晶面の集積
度および、平均粒径、混粒度を有している、材料No.
31〜No.47の各材はプレス成形品質が優れた品質
を示し、部分的な色ずれ発生もない。なお、No.40
およびNo.43は、プレス前の焼鈍後にエッチングが
施されたものであるが、フラットマスクには、ムラがな
く、所要のエッチング性能を有していた。
【0093】Coを含有するNo.47材は同様に優れ
た特性を示している。また、上記した発明例の中でも、
材料No.32、No.35〜No.37、No.3
9、No.43〜No.45、No.47の各材は、冷
延が2回施される場合のものであり、1回目の冷延率
(CR1 )が40〜55%の範囲で施されることによ
り、混粒度が、1回のみの冷間圧延によるもの(材料N
o.31、No.33〜No.34、No.38、N
o.40〜No.42、No.46)に比べて、より低
く好ましいレベルを示していることが分かる。
た特性を示している。また、上記した発明例の中でも、
材料No.32、No.35〜No.37、No.3
9、No.43〜No.45、No.47の各材は、冷
延が2回施される場合のものであり、1回目の冷延率
(CR1 )が40〜55%の範囲で施されることによ
り、混粒度が、1回のみの冷間圧延によるもの(材料N
o.31、No.33〜No.34、No.38、N
o.40〜No.42、No.46)に比べて、より低
く好ましいレベルを示していることが分かる。
【0094】これに対して、材料No.22は、熱延板
焼鈍温度が800℃と本発明の規定の下限値810℃を
下回り、また材料No.23は、熱延板焼鈍温度が90
0℃と本発明の規定の下上限を超えるものであり、それ
ぞれ{210}、{211}結晶面の集積度が本発明規
定の上限を超えており、前者では部分的な色ずれ発生が
あり、後者では合金板の割れも発生しており、それぞれ
画面品質、プレス成形品質の面で問題がある。
焼鈍温度が800℃と本発明の規定の下限値810℃を
下回り、また材料No.23は、熱延板焼鈍温度が90
0℃と本発明の規定の下上限を超えるものであり、それ
ぞれ{210}、{211}結晶面の集積度が本発明規
定の上限を超えており、前者では部分的な色ずれ発生が
あり、後者では合金板の割れも発生しており、それぞれ
画面品質、プレス成形品質の面で問題がある。
【0095】材料No.24は、1回冷間圧延における
冷延率が95%と本発明の規定の上限値94%を超える
もの、また材料No.25は、1回冷間圧延における冷
延率が80%と本発明の規定の上下限81%未満のもの
であり、いずれも混粒度が59%および55%と本発明
規定値を超えており、透過ムラが発生しており、プレス
成形品質に問題がある。
冷延率が95%と本発明の規定の上限値94%を超える
もの、また材料No.25は、1回冷間圧延における冷
延率が80%と本発明の規定の上下限81%未満のもの
であり、いずれも混粒度が59%および55%と本発明
規定値を超えており、透過ムラが発生しており、プレス
成形品質に問題がある。
【0096】また、材料No.26は、1回冷間圧延に
おける仕上圧延率が40%と本発明の規定の上限値29
%を超えるものであり、また材料No.27は、1回冷
間圧延における仕上げ冷延率が12%と本発明の規定の
下限値14%を下回るものである。前者は平均粒径が1
3μmと本発明の規定の下限値15μm未満であり、形
状凍結性に問題があり、合金板の割れも発生している。
また後者は混粒度が60%と本発明の規定の上限値50
%を超えており、透過ムラが発生している。更には、
{211}結晶面の集積度が23%と本発明の規定の上
限値20%を超えており、合金板の割れも発生してお
り、また、{210}結晶面の集積度が本発明規定の上
限を超えており(表13、提案書では表10では18%
であり、上限を超えていない)、部分的な色ずれが発生
している。
おける仕上圧延率が40%と本発明の規定の上限値29
%を超えるものであり、また材料No.27は、1回冷
間圧延における仕上げ冷延率が12%と本発明の規定の
下限値14%を下回るものである。前者は平均粒径が1
3μmと本発明の規定の下限値15μm未満であり、形
状凍結性に問題があり、合金板の割れも発生している。
また後者は混粒度が60%と本発明の規定の上限値50
%を超えており、透過ムラが発生している。更には、
{211}結晶面の集積度が23%と本発明の規定の上
限値20%を超えており、合金板の割れも発生してお
り、また、{210}結晶面の集積度が本発明規定の上
限を超えており(表13、提案書では表10では18%
であり、上限を超えていない)、部分的な色ずれが発生
している。
【0097】材料No.28はプレス前焼鈍の焼鈍温度
が920℃と本発明の規定の上限値900℃を超えてい
るもの、材料No.29はプレス前焼鈍の焼鈍時間が5
0分と本発明の規定の上限値40分を超えているもの、
材料No.30は焼鈍温度Tが(−123logt+9
37)の値を満たさないものである。材料No.28
は、平均粒径が48μmと本発明の規定の上限値45μ
mを超え、透過ムラが発生している。また、{211}
結晶面の集積度も25%と本発明の規定の上限値20%
を超えており、合金板の割れも発生している。
が920℃と本発明の規定の上限値900℃を超えてい
るもの、材料No.29はプレス前焼鈍の焼鈍時間が5
0分と本発明の規定の上限値40分を超えているもの、
材料No.30は焼鈍温度Tが(−123logt+9
37)の値を満たさないものである。材料No.28
は、平均粒径が48μmと本発明の規定の上限値45μ
mを超え、透過ムラが発生している。また、{211}
結晶面の集積度も25%と本発明の規定の上限値20%
を超えており、合金板の割れも発生している。
【0098】材料No.29は、{331}結晶面の集
積度が38%と本発明の規定の上限値35%を超えてお
り、合金板の割れが発生するとともに、部分的な色ずれ
が発生している。
積度が38%と本発明の規定の上限値35%を超えてお
り、合金板の割れが発生するとともに、部分的な色ずれ
が発生している。
【0099】また、材料No.30は、平均粒径が13
μmと本発明の規定の下限値15μm未満であり、形状
凍結性に問題があり、更には、{211}結晶面の集積
度が26%と本発明の規定の上限値20%を超えてお
り、合金板の割れも発生している。
μmと本発明の規定の下限値15μm未満であり、形状
凍結性に問題があり、更には、{211}結晶面の集積
度が26%と本発明の規定の上限値20%を超えてお
り、合金板の割れも発生している。
【0100】以上のように、本発明範囲内の成分組成の
場合であっても、熱延板焼鈍条件、冷延条件、仕上冷延
率、プレス前焼鈍条件を本発明範囲内とすることによ
り、本発明で意図するプレス成形品質、画面品質が得ら
れることが理解される。
場合であっても、熱延板焼鈍条件、冷延条件、仕上冷延
率、プレス前焼鈍条件を本発明範囲内とすることによ
り、本発明で意図するプレス成形品質、画面品質が得ら
れることが理解される。
【0101】また、上述した、実施例での材料No.
4、No.40、No.43に見られるように、本発明
で特徴とする所要のプレス成形品質を有し、かつ部分的
な色ずれ発生のないFe−Ni−Cr系合金薄板および
Fe−Ni−Co−Cr系合金薄板をエッチングした場
合でも得られたフラットマスクにはムラがなく、所要の
エッチング性が得られていることが理解される。
4、No.40、No.43に見られるように、本発明
で特徴とする所要のプレス成形品質を有し、かつ部分的
な色ずれ発生のないFe−Ni−Cr系合金薄板および
Fe−Ni−Co−Cr系合金薄板をエッチングした場
合でも得られたフラットマスクにはムラがなく、所要の
エッチング性が得られていることが理解される。
【0102】なお、上記した実施例1〜実施例2で明ら
かなように、{211}結晶面の集積度が20%超かつ
または平均結晶粒径が本発明範囲外である場合にはプレ
ス前焼鈍後の伸び、n値、r値が本発明例に比べ低く、
{211}結晶面の集積度が高くなる場合か、平均粒径
が特定の範囲外になるか少なくともいずれか一つの状態
になった場合、これらの特定値が低下し、プレス成形時
に割れが発生すると推定される。
かなように、{211}結晶面の集積度が20%超かつ
または平均結晶粒径が本発明範囲外である場合にはプレ
ス前焼鈍後の伸び、n値、r値が本発明例に比べ低く、
{211}結晶面の集積度が高くなる場合か、平均粒径
が特定の範囲外になるか少なくともいずれか一つの状態
になった場合、これらの特定値が低下し、プレス成形時
に割れが発生すると推定される。
【0103】
【発明の効果】以上詳述したような、本発明によれば、
プレス成形性が優れ、すなわち優れた成形時の形状凍結
性と良好な金型とのなじみ、材料の割れ発生の抑制、透
過ムラが発生の抑制や更には、部分的な色ずれ発生の抑
制といった優れた画面品質を付与しうるシャドウマスク
用Fe−Ni−Cr系合金薄板およびFe−Ni−Co
−Cr系合金薄板およびその製造方法を提供することが
できる。
プレス成形性が優れ、すなわち優れた成形時の形状凍結
性と良好な金型とのなじみ、材料の割れ発生の抑制、透
過ムラが発生の抑制や更には、部分的な色ずれ発生の抑
制といった優れた画面品質を付与しうるシャドウマスク
用Fe−Ni−Cr系合金薄板およびFe−Ni−Co
−Cr系合金薄板およびその製造方法を提供することが
できる。
【0104】さらに上記したような本発明によろもの
は、プレス成形前の焼鈍をエッチング前に施した場合で
も、所要のエッチング品質およびプレス成形品質が得ら
れるので、ブラウン管メーカーにおいて、プレス前の焼
鈍を省略することが可能なシャドウマスク用Fe−Ni
−Cr系合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr系合金
薄板を提供することができる。
は、プレス成形前の焼鈍をエッチング前に施した場合で
も、所要のエッチング品質およびプレス成形品質が得ら
れるので、ブラウン管メーカーにおいて、プレス前の焼
鈍を省略することが可能なシャドウマスク用Fe−Ni
−Cr系合金薄板およびFe−Ni−Co−Cr系合金
薄板を提供することができる。
【図1】プレス形成時の割れ発生と{211}結晶面の
集積度、プレス前焼鈍後の平均オーステナイト粒径の関
係を示したグラフである。
集積度、プレス前焼鈍後の平均オーステナイト粒径の関
係を示したグラフである。
【図2】プレス形成時の透過ムラが発生頻度とプレス成
形前焼鈍後のオーステナイト結晶粒混粒度の関係を要約
して示したグラフである。
形前焼鈍後のオーステナイト結晶粒混粒度の関係を要約
して示したグラフである。
【図3】プレス前焼鈍後のオーステナイト結晶粒混粒度
と1回冷間圧延のときの冷間圧延率の関係を示したグラ
フである。
と1回冷間圧延のときの冷間圧延率の関係を示したグラ
フである。
【図4】プレス前焼鈍後オーステナイト結晶粒の混粒度
と2回冷間圧延のときの1冷間圧延率および2次冷間圧
延率の関係を示したグラフである。
と2回冷間圧延のときの1冷間圧延率および2次冷間圧
延率の関係を示したグラフである。
【図5】プレス前焼鈍後オーステナイト結晶粒径、オー
ステナイト結晶粒の混粒度、{331}、{210}、
{211}結晶面の集積度とプレス前焼鈍条件の関係を
要約して示したグラフである。
ステナイト結晶粒の混粒度、{331}、{210}、
{211}結晶面の集積度とプレス前焼鈍条件の関係を
要約して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 29/07 Z (72)発明者 日朝 道人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 wt%で、Ni:34〜38%、Cr:
0.05〜3.0%、Si:0.10%以下、B:0.
0030%以下、O:0.0030%以下、N:0.0
030%以下を含有し、合金板の平均オーステナイト結
晶粒径Dが15〜45μm、数1により求まるオーステ
ナイト結晶粒の混粒度Kが50%以下であり、かつ前記
合金板表面への結晶面集積度が表1の値を満足すること
を特徴とするプレス成形性に優れたシャドウマスク用F
e−Ni−Cr合金薄板。 【数1】 但し、K:オーステナイト結晶の混粒度(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径 【表1】 - 【請求項2】 wt%で、Ni:34〜38%、Cr:
0.05〜3.0%、Co:1.0%以下、Si:0.
10%以下、B:0.0030%以下、O:0.003
0%以下、N:0.0030%以下を含有し、合金板の
平均オーステナイト結晶粒径Dが15〜45μm、数2
により求まるオーステナイト結晶粒の混粒度Kが50%
以下であり、かつ前記合金板表面への結晶面集積度が表
2の値を満足することを特徴とするプレス成形性に優れ
たシャドウマスク用Fe−Ni−Cr−Co合金薄板。 【数2】 但し、K:オーステナイト結晶の混粒度(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径 【表2】 - 【請求項3】 wt%で、Ni:27〜38%、Cr:
0.05〜3.0%、Co:1.0%超え7%まで、S
i:0.10%以下、B:0.0030%以下、O:
0.0030%以下、N:0.0030%以下を含有
し、合金板の平均オーステナイト結晶粒径Dが15〜4
5μm、数3により求まるオーステナイト結晶粒の混粒
度Kが50%以下であり、かつ前記合金板表面への結晶
面集積度が表3の値を満足することを特徴とするプレス
成形性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni−Cr−C
o合金薄板。 【数3】 但し、K:オーステナイト結晶の混粒度(%) D:合金板における平均オーステナイト結晶粒径 Dmax :合金板における最大のオーステナイト結晶粒径 【表3】 - 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の成分組成
を有する合金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷
間圧延して引き続き再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧
延して歪取り焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優
れたシャドウマスク用合金薄板を製造するに際して、前
記熱延板焼鈍を810〜890℃で施し、1次冷間圧延
での圧下率は81〜94%、仕上冷間圧延での圧下率は
14〜29%の範囲内でそれぞれ圧延し、引き続きプレ
ス成形前に焼鈍温度が740〜900℃、焼鈍時間が2
〜40分で、かつ焼鈍時間Tが数4を満足する条件で焼
鈍することを特徴とするプレス成形性に優れたシャドウ
マスク用合金薄板の製造方法。 【数4】 但し、T:焼鈍温度(℃) t:焼鈍時間(分) - 【請求項5】 請求項1、2または3に記載の成分組成
を有する合金の熱延鋼帯を熱延板焼鈍して以降、1次冷
間圧延して引き続き1次再結晶焼鈍し、次に2次冷間圧
延して引続き2次再結晶焼鈍を行った後、仕上冷間圧延
して歪取り焼鈍を施すことにより、プレス成形性に優れ
たシャドウマスク用合金薄板を製造するに際して、前記
熱延板焼鈍を810〜890℃で施し、1次冷間圧延で
の圧下率を40〜55%、2次冷間圧延での圧下率を8
1〜94%、仕上冷間圧延での圧下率を14〜29%の
範囲内でそれぞれ圧延し、引き続きプレス成形前に焼鈍
温度740〜900℃、焼鈍時間2〜40分で、かつ焼
鈍温度Tが数5を満足する条件で焼鈍することを特徴と
するプレス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板の
製造方法。 【数5】 但し、T:焼鈍温度(℃) t:焼鈍時間(分)
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5213001A JP2871414B2 (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | プレス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板およびその製造方法 |
US08/183,121 US5453138A (en) | 1992-02-28 | 1994-01-18 | Alloy sheet |
EP94102719A EP0641866B1 (en) | 1993-08-27 | 1994-02-23 | Alloy sheet for shadow mask and method for manufacturing thereof |
DE69404403T DE69404403T2 (de) | 1993-08-27 | 1994-02-23 | Legierung für Schattenmaske und Verfahren zu dessen Herstellung |
CN94103318A CN1039544C (zh) | 1993-08-27 | 1994-03-18 | 合金薄板及其制造方法 |
KR1019940005992A KR970003642B1 (ko) | 1993-08-27 | 1994-03-24 | 합금판 및 그 제조방법 |
US08/398,567 US5522953A (en) | 1992-02-28 | 1995-03-03 | Method of manufacturing an alloy sheet |
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