JPH076036Y2 - ピラーガーニッシュの操作部材取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、自動車のピラーガーニッシュ、特にシート
ベルト引出端の位置を調整可能なアジャスタブルピラー
ガーニッシュに関する。

《従来の技術》 例えば自動車のフロントシート用のシートベルトは、リ
トラクター付きの場合、一端はフロアに固定されたリト
ラクターに巻き取られ、他端はフロアに直接固定されて
いる。リトラクターから引き出されたシートベルトは、
センターピラーに設けられたアンカーを中継点として折
り返され、シートベルト中間に設けられたタングをタロ
ントシート横のバックルに嵌合させて乗員を拘束するよ
うになっている。しかしながら、乗員の体格はまちまち
なので、センターピラーのアンカーの位置がある人にと
っては高すぎたり、ある人にとっては低すぎたりするこ
とがある。このため、センターピラーのアンカーの位置
またはシートベルトの折り返し位置を上下に調整できる
ようにした装置が開発されている。またこのような装置
において、アンカーやリトラクターまでのシートベルト
をセンターピラーガーニッシュで覆って見栄えの向上を
図った装置も提案されている。

第６図には、従来におけるこのよなセンターピラーガー
ニッシュの一例が示されている。以下、この明細書にお
いて方向をいうときは車室内側を表側とし、車室外側を
裏側とする。樹脂製のガーニッシュ本体１は、表側すな
わち車室内側に凸に湾曲して形成され、その中間部に開
口２が形成されている。ガーニッシュ本体１の裏面に
は、この開口２を塞ぐようにスライドプレート３が紙面
に垂直な上下方向に摺動可能に設けられている。スライ
ドプレート３は、その一側部をガーニッシュ本体１の裏
面に内側に向けて突設されたガイドリブ４に係止され、
他側部をガーニッシュ本体１とガイドプレート５により
挟持されている。ガイドプレート５は、ガーニッシュ本
体１の裏面に裏側に向けて突設されたボス６に熱かしめ
されている。また、スライドプレート３の裏面には操作
部材７が押さえプレート８により上下方向に摺動可能に
設けられており、その操作ノブ９がスライドプレート３
の開口10およびガーニッシュ本体１の開口２から表側に
表われている。操作ノブ９をその摺動方向に操作する
と、図示されないスライドロック機構が解錠されて、ス
ライドプレート３が操作部材７とともに移動可能にな
る。したがってこの状態でスライドプレートを移動させ
ると、スライドプレート３の裏側に配設されたシートベ
ルトアンカーも共に移動して、シートベルトの引出端の
位置を調整できるようになる。

《考案が解決しようとする課題》 このように、従来のピラーガーニッシュにおける操作部
材の取付構造は、押さえプレート８を必要としていたの
で、部品点数が増加し、押さえプレートを製造保管する
ための費用および組み立てるための工数がかかり、コス
ト高になる問題点があった。

そこでこの考案の目的は、部品点数の削減によるコスト
低減を図ったピラーガーニッシュの操作部材取付構造を
提供することにある。

《課題を解決するための手段》 この考案によるピラーガーニッシュの操作部材取付構造
は、ガーニッシュ本体に形成された開口を塞ぐようにそ
の裏側に摺動可能に設けられたスライドプレートに取り
付けられて、前記開口から表側に現われた操作ノブを操
作することにより前記スライドプレートの裏側に配設さ
れたスライドロック機構の施錠および解錠を行なう操作
部材の取付構造であって、前記操作部材の両側部を摺動
案内するためのガイドリブと、前記操作部材の両側部裏
面を係止する内側に向いたフックとをそれぞれ前記スラ
イドプレートの裏面に一体に成形したことを特徴とす
る。

《作用》 両側のフックを操作部材の両側部によってそれぞれ両側
に押し広げるようにして操作部材を圧入すると、操作部
材はフックに係止されて前後方向に位置規制されるとと
もに両ガイドリブにより左右方向に位置規制されて上下
方向の円滑な摺動が可能になる。

《実施例》 以下、この考案の一実施例を図面を参照して説明する。
まずピラーガーニッシュの全体構成を第４図を参照して
概略的に説明すると、自動車のセンターピラーを覆う大
きさに表側に凸に湾曲形成されたガーニッシュ本体11
は、上部と下部に２分割されて組み合わされている。上
部のガーニッシュ本体11の中間部には上下方向に長い比
較的大きな開口12が形成されており、その裏側にはこの
開口12を塞ぐようにスライドプレート13が上下方向に摺
動可能に設けられている。シートベルト14は、フロアに
固定されたリトラクターからガーニッシュ本体11の裏側
を通され、アンカーを経由してスライドプレート13のシ
ートベルト引出口15から表側に引き出されている。

第５図に示すように、スライドプレート13には、シート
ベルト引出口15の上方に固定ノブ16を間にして別の開口
17が形成されており、この開口17に裏側から操作部材18
の操作ノブ19が挿入され、操作部材18はスライドプレー
ト13の裏面に開口17を塞ぐように上方方向に摺動可能に
設けられている。符号20は操作ノブ19を操作しやすいよ
うに指を入れるための凹部である。

操作部材18の操作ノブ19とは反対側の上部両側には、裏
側に向けて凸に形成されたＵ字形ばね21が、上方の一端
側を操作部材18に連続して、下方の他端側および内側部
を操作部材18から切り離して一体に形成されている。各
Ｕ字形ばね21の自由端となる他端側には、それぞれ取付
穴22が形成されており、これら取付穴22は、第１図に裏
側から見るように、スライドプレート13の裏面にそれぞ
れ突設されたピン23に挿入された後、ピン23が熱かしめ
されて操作部材18がスライドプレート13に取り付けられ
る。また、各Ｕ字形ばね21の内側に対向する操作部材18
の両内側縁18aは、同じくスライドプレート13の裏面に
突設された上下方向に長い一対のガイドリブ24によって
摺動案内されており、また操作部材18の両内側縁18aの
裏面は、各ガイドリブ24の内側に一体に成形されたフッ
ク25により係止されている。フック25は、それぞれ内側
に傾斜面を有する。

操作部材18の実際の取付順序としては、まず操作部材18
の両内側縁18aを第２図に示すように各フック25の内側
傾斜面25aに押圧して滑らせ、各フック25を外側に押し
広げて両ガイドリブ24の間に挿入し、弾性復帰したフッ
ク25により両内側縁18aの裏面を係止する。次いで前記
したように、Ｕ字形ばね21の取付穴22をピン23に挿入し
てピン23を熱かしめする。なお、フック25の両側にスリ
ットを入れてガイドリブ24から独立させると、フック25
が撓みやすくなる。したがってフック25とガイドリブ24
とは、一体に成形することなくそれぞれ別個に形成して
もよい。

このようにして操作部材18を取り付けたスライドプレー
ト13は、ガーニッシュ本体11に摺動可能に取り付けられ
た後、第３図に示すように、その固定ノブ16の裏面に突
設された係止片26を、アンカー27を固定したスライダー
28に係止させ、また操作部材18の操作ノブ凹部20の裏面
に突設された係止片29を、スライダー28のスライドロッ
ク機構の解除レバー30に係止させて、ガーニッシュ本体
11がセンターピラーに取り付けられる。スライダー28は
センターピラーに固定されたレール31に摺動可能に取り
付けられており、アンカー27にはシートベルト14が折り
返し係止されている。

したがって、操作者が指で固定ノブ16と操作ノブ19を掴
んで互いに内向きに押圧すると、操作部材18は、そのＵ
字形ばね21の自由端がピン22によりスライドプレート13
に固定されているので、Ｕ字形ばね21が撓んで、係止片
29がロック解除レバー30を押圧してスライドロック機構
を解錠する。これにより操作者は、ノブ16,19を掴んだ
まま、スライダー28をレール31上に自由に移動させるこ
とができ、したがってシートベルト14を中継するアンカ
ー27の位置を自由に調整することができる。調整後は各
ノブ16,19から指を離すことにより、Ｕ字形バネ21が自
己復帰し、係止片29もレバー30に対する押圧を解いて、
スライドロック機構が再び施錠され、アンカー27の位置
が固定される。

《考案の効果》 以上のように、この考案によるピラーガーニッシュの操
作部材取付構造は、操作部材の両側部を摺動案内するた
めのガイドリブと、操作部材の両側部裏面を係止する内
側に向いたフックとをスライドプレートの裏面にそれぞ
れ一体に成形したので、従来必要としていた押さえプレ
ートが不要になり、部品点数削減によるコスト低減を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す操作部材取付構造
の裏面斜視図、第２図は、第１図に示す操作部材取付構
造の模式的部分断面図、第３図は、第１図に示す操作部
材取付構造を備えたピラーガーニッシュの模式的部分断
面図、第４図は、第３図に示すピラーガーニッシュの外
観斜視図、第５図は、第４図に示すピラーガーニッシュ
におけるスライドプレートと操作部材との部分分解斜視
図、第６図は、従来のピラーガーニッシュの一例を示す
概略断面図である。 11……ガーニッシュ本体、12……開口、13……スライド
プレート、14……シートベルト、18……操作部材、24…
…ガイドリブ、25……フック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガーニッシュ本体に形成された開口を塞ぐ
   ようにその裏側に摺動可能に設けられたスライドプレー
   トに取り付けられて、前記開口から表側に現われた操作
   ノブを操作することにより前記スライドプレートの裏側
   に配設されたスライドロック機構の施錠および解錠を行
   なう操作部材の取付構造であって、前記操作部材の両側
   部を摺動案内するためのガイドリブと、前記操作部材の
   両側部裏面を係止する内側に向いたフックとをそれぞれ
   前記スイライドプレートの裏面に一体に成形したことを
   特徴とするピラーガーニッシュの操作部材取付構造。