JPH0446985Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両に乗車した子供乗員を拘束して保
護するための子供用拘束装置に関する。

［背景技術］ 車両にはシートへ着座した乗員へ装着される拘
束用ウエビングが備えられている。

この拘束用ウエビングは、シートへ大人乗員が
着座した場合に適切な装着状態を得られるように
配慮されているので、子供乗員に対しては必ずし
も適切な配置とはなつていない。

このため従来、車両シートへ拘束装置本体を配
置して拘束用ウエビングでシートへ取りつけ、子
供乗員をこの拘束装置本体へ着座させて拘束装置
本体に備えられた専用の子供用ウエビングで適切
な保護状態とする子供用拘束装置が提案されてい
る。このような従来の子供用拘束装置において、
子供乗員の体格に応じて拘束具の装着長さを変更
する調節具を拘束装置本体の内部に備えたものが
ある。

ところが、このような従来の子供拘束装置にお
いて、拘束装置本体の表面には子供用ウエビング
の拘束装置本体内外への導入導出用のスリツト状
の孔しか形成されておらず、子供用ウエビングと
子供用ウエビングの装着長さを調節するための調
節具との組付作業や組付後の必要な調整作業等の
作業効率が悪いという問題があつた。

本考案は上記事実を考慮して、組付時等の作業
効率が向上される子供用拘束装置を得ることが目
的である。

［考案の概要及び作用］ 本考案に係る子供用拘束装置では、子供に装着
される子供用ウエビングと、車両シートに配設さ
れると共に子供が着座する拘束装置本体と、を有
する子供用拘束装置であつて、前記拘束装置本体
の座板部に設けられて底部に第１の貫通孔を有す
る凹部と、前記凹部に取り外し可能に配設されて
凹部の開口部を座板部の座面と面一に閉塞すると
共に前記子供用ウエビングの一端部が挿通される
ウエビング挿通孔を有し前記凹部の底部に向かつ
て突出される規制筒体が設けられたカバープレー
トと、前記拘束装置本体の前記座板部に固定され
ると共に前記規制筒体に挿入されて前記子供用ウ
エビングの一端部が挿通される第２の貫通孔が設
けられた立上部を有する固定プレートと、前記固
定プレートに対して相対移動可能に前記規制筒体
に挿入されると共に前記子供用ウエビングの一端
部が巻き掛けられて前記第２の貫通孔方向に折り
返される巻掛部及び所定以上の下方への移動を阻
止する阻止部が設けられたロツクプレートと、を
設けたことを特徴としている。

上記構成により、ロツクプレートは規制筒体及
び阻止部により固定プレートから大きく離間され
ることがなく、子供用ウエビングに大きな張力が
作用しない通常時において子供用ウエビングの設
定長さは確実に維持される。また、大きな張力が
作用した場合にはロツクプレートは固定プレート
の立上部方向へ少量移動して迅速に子供用ウエビ
ングを確実にロツクすることができる。

また、上記構成によれば、カバープレートは座
板部から取り外すことができる。カバープレート
の取り外し状態において、子供用ウエビング、固
定プレート及びロツクプレートの組付作業を行う
ことができと共に、必要に応じてカバープレート
を取り外してその他の作業を行うことができる。
このように、本考案によれば、子供用拘束装置の
表面側から作業ができるので、作業性が向上され
る。

［考案の実施例］ 第１図に示される如く本実施例に係る子供用拘
束装置は拘束装置本体１０へ拘束具である子供用
拘束ウエビング１２が取り付けられた構造となつ
ている。

拘束装置本体１０は合成樹脂等により一体成形
された座板１４、背当部１６及び一対の側壁１
８，２０が設けられている。

拘束装置本体１０は車両シートへ載置され、背
当部１６は車両シートのシートバツクへ当接され
るようになつている。

子供用拘束ウエビング１２は一対の連続ウエビ
ング２８，３０及びバツクル装置３１を有してい
る。連続ウエビング２８，３０は、それぞれの一
端が座板１４の内部へ導かれてアンカー手段によ
り係止されている。このアンカー手段を一例とし
てウエビング２８の場合について、第２〜４図に
従い説明する。

座板１４には座板凹部１４Ａが形成されてい
る。この座板凹部１４Ａには座板凹部１４Ａを閉
塞するようにカバープレート３２が配設されてい
る。このカバープレート３２の頂板部にはウエビ
ング２８挿通用の開口３２Ａが形成されている。
また、カバープレート３２の裏面には規制筒体３
２Ｂが突設され、規制筒体３２Ｂは座板凹部１４
Ａの底面へ当接されて頂板表面が座板１４の表面
と略面一とされている。座板１４の裏面には、座
板凹部１４Ａに対して固定プレート３３の基部が
当接されてリベツト３３Ｃにより固着されてい
る。固定プレート３３に形成された立上部は前記
カバープレート３２の規制筒体３２Ｂに位置され
る。前記固定プレート３３の立上部にはウエビン
グ２８挿通用の貫通孔３３Ａが形成されている。
また、固定プレート３３には開口３３Ｂが形成さ
れている。この開口３３Ｂは略矩形状で、ロツク
プレート３４の一部が挿入できるサイズとなつて
いる。ロツクプレート３４は前記カバープレート
３２の規制筒体３２Ｂに挿入されている。このた
め、ロツクプレート３４は固定プレート３３の立
上部と近傍で対向している。

第２図に示す如く、ロツクプレート３４には貫
通孔３４Ｂが形成されており、この貫通孔３４Ｂ
が形成されることにより巻掛部３４Ａが形成され
る。また、ロツクプレート３４には、幅方向両端
部から突出された突起部３４Ｃが設けられてい
る。これらの突起部３４Ｃは、第４図に示される
ように、ロツクプレート３４の前述の一部が開口
３３Ｂへ挿入された状態において、ロツクプレー
ト３４がこの開口３３Ｂから下方へ落下するのを
阻止するように両突起部３４Ｃの先端部間の距離
が開口３３Ｂのサイズより大となつている。前記
ウエビング２８は固定プレート３３の立設部に設
けられる貫通孔３４Ａへ挿入されると共にロツク
プレート３４の巻掛部３４Ａに巻き掛けられて反
転され、再び貫通孔３３Ａを逆方向に通過し、先
端部２８Ａはウエビング２８の中間部と固定プレ
ート３３との間及び開口３２Ａを通して座板１４
上へ導かれている。

貫通孔３３Ａにはロツクプレート３４が対応し
て相対移動可能となつており、ウエビング２８の
前記反転部はこのロツクプレート３４の巻掛部３
４Ａへ巻掛けられている。従つてウエビング２８
の張力でロツクプレート３４は固定プレート３３
へ保持されているが、ウエビング２８の張力が弱
くなると固定プレート３３の立設部に沿つてスラ
イド可能となる。このため、ウエビング２８に第
３図矢印Ａ方向の張力が作用した場合は、ウエビ
ング２８の中間部が固定プレート３３との間にウ
エビング２８の端部付近を挟み、この端部付近を
ウエビング２８Ａ方向へ引張るので、巻掛部３４
Ａ部分でウエビング２８の反転部が矢印Ａ方向に
引出されることはなく、ロツク状態が維持され
る。またウエビング２８の矢印Ａ方向の張力をな
くせば、ウエビング２８を巻掛部３４Ａ回りで周
回させて容易に長さ調節できる。

このようなウエビング２８の係止構造は座板１
４の内部に配置されているため、着座する子供乗
員の妨げとはならない。

また連続ウエビング２８，３０の他端は背当部
１６に形成された開口３６を通して背当部１６の
背面へ引き出されており、この背当部１６の背面
で図示しないアンカー手段へ巻き掛けられて反転
し、その先端部は背当部１６の前方へ引き出され
て長さ調節具３８へ係止され、これによつて背当
部１６の前方への抜き出しが阻止されている。背
当部１６には開口３６の他に開口４０が設けられ
ており、着座する子供乗員の体格に応じて連続ウ
エビング２８，３０の係止位置を変更できるよう
になつている。

背当部１６の背後に配置されるアンカー手段に
ついても、座板１４の内部に設けられる第２，３
図のアンカー手段の場合と同様の構成としてもよ
い。

連続ウエビング２８の中間部はタングプレート
４２に形成される長孔４４へ挿入され、これによ
つて連続ウエビング２８がタングプレート４２を
係止すると共に、タングプレート４２は連続ウエ
ビング２８の長手方向へ移動可能となつている。
このタングプレート４２にはバツクル係合突起４
２Ａが突出されている。

一方、連続ウエビング３０の中間部はタングプ
レート４６の長孔４８を貫通しており、これによ
つてタングプレート４６が連続ウエビング３０の
長手方向へ移動可能となつている。このタングプ
レート４６には連結突起４６Ａが突出しており、
この連結突起４６Ａにはバツクル係合突起４２Ａ
を通過させるための貫通用長孔５０が穿設されて
いる。

バツクル装置３１は座面１４から立設されてい
る。このバツクル装置３１の内部にはタングプレ
ート４２のバツクル係合突起４２Ａを係止するロ
ツク機構（図示省略）が設けられており、バツク
ル係合突起４２Ａの挿入によりこのバツクル係合
突起４２Ａを保持するようになつている。このバ
ツクル装置３１にはレリーズボタン５４が設けら
れており、乗員がこのレリーズボタン５４を押圧
すればバツクル装置３１がタングプレート４２の
保持を解除するようになつている。

従つて、タングプレート４２のバツクル係合突
起４２Ａをタングプレート４６の長孔５０へ貫通
させた後にバツクル装置３１へ挿入すれば、座板
１４へ着座する子供乗員は５点式のウエビング装
着状態となることができる。即ち開口３６とタン
グプレート４２との間の連続ウエビング２８及び
開口３６とタングプレート４８との間の連続ウエ
ビング３０が一対のシヨルダーウエビングとし
て、タングプレート４２と開口３２Ａとの間の連
続ウエビング２８及びタングプレート４６と開口
３２Ａとの間の連続ウエビング３０が一対のラツ
プウエビングとして、及びバツクル装置３１がク
ロツチベルトとしてそれぞれ作用して子供乗員へ
装着されることになる。

本実施例の座板１４は両側部に一対のスリツト
５６，５８が形成されている。このスリツト５
６，５８は座板１４の前端面、即ち拘束装置本体
１０の取り付け状態における車両前方端部で外部
と連通され、平面形状が矩形状の空間となつてい
る。

従つて、車両用シートへ取り付けられる拘束用
ウエビング６０の中間部をこれらのスリツト５
６，５８へ挿入すれば、この大人乗員拘束用ウエ
ビング６０の中間部が座板１４の上面へ露出する
ことはなく、座板１４へ着座する子供乗員の下方
に大人乗員拘束用ウエビング６０が配置されるこ
とになる。

なお側壁１８，２０には座板１４と背当部１６
との連結部に対応して貫通孔８０がそれぞれ穿設
されており、必要に応じて大人乗員拘束用ウエビ
ング６０を通過させることができるようになつて
いる。

次に本実施例の作用を説明する。

始めに、連続ウエビング２８とアンカー手段と
の組付について説明する。

連続ウエビング２８の一端をカバープレート３
２の開口３２Ａに挿通させた後、予め座板１４の
裏面にリベツト３３Ｃで固着された固定プレート
３３の開口３３Ａに挿通する。そして、この一端
をロツクプレート３４の巻掛部３４Ａへ貫通孔３
４を介して巻き掛けて再度開口３３Ａ及び開口３
２Ａを挿通して座板１４上に導く。最後に、カバ
ープレート３２は座板凹部１４Ａに嵌め込まれて
この座板凹部１４Ａを閉塞する。このように、連
続ウエビング２８とアンカー手段との組付作業が
座板１４の表面側から行うことができるので、作
業効率が向上される。

上述のように組付が行われた拘束装置本体１０
は大人乗員拘束用ウエビング６０によつて車両シ
ートへ取り付ける。大人乗員拘束用ウエビング６
０の中間部は座板１４の下方を通過することにな
り、座板１４へ着座する子供乗員は大人乗員拘束
用ウエビング６０と接触することがないので座り
心地が向上し快適な乗員状態となることができ
る。

子供乗員は座板１４へ着座した後に連続ウエビ
ング２８，３０を身体前方へ配置し、バツクル係
合突起４２Ａを長孔５０を通過させた後にバツク
ル装置３１へ係合させれば連続ウエビング２８，
３０の装着状態となる。また大人用の大人乗員拘
束用ウエビング６０は子供乗員の前方を横切るこ
とがないので、自由度を妨げることがない。

子供乗員の体格等に応じて、ウエビング２８，
３０の装着長さを変更する場合には、第２及び３
図に示されるアンカー部分を利用すればよい。即
ち、ウエビング２８，３０の張力をなくすことに
より、先端部２８Ａを巻掛部３４Ａの反転部を介
してウエビング２８の中間部方向へ、又は逆方向
へ移動させれば、容易にウエビング２８の装着長
さが変更される。

車両緊急時には連続ウエビング２８，３０が子
供乗員を拘束し、拘束装置本体１０は大人乗員拘
束用ウエビング６０によつて確実にシートベー
ス、シートバツクへ固定されているので、子供乗
員の拘束は確実である。ウエビング２８，３０に
加わる張力は、第３図において、ウエビング２８
と固定プレート３３で挟持されるウエビング２８
の先端部２８Ａを更に先端部２８Ａ方向へ引張る
力となつて作用するので、ウエビング２８が乗員
の装着部方向へ引出されることはない。しかも、
ロツクプレート３４はカバープレート３２の規制
筒体３２Ｂに挿入されていることにより水平方向
の移動が制限されている共に、突起部３４Ｂによ
り下方への移動が制限されている。従つて、ロツ
クプレート３４は固定プレート３３の立上部と大
きく離間することがなく、常にこの立上部の近傍
に位置している。このため、ウエビング２８，３
０に張力が作用するとロツクプレート３４は少量
移動するだけで固定プレート３３の立上部とによ
つてウエビング２８，３０をロツクする。このよ
うに、ウエビング２８，３０は迅速にロツクされ
ることになる。

子供乗員が降車する場合には、レリーズボタン
５４を押圧すればよい。即ち連続ウエビング２
８，３０の装着が解除されれば、子供乗員は大乗
員位拘束用ウエビング６０にかかわらず降車する
ことができる。このため次回の乗車時にも子供乗
員が座板１４へ着座した後に単にバツクル係合突
起４２Ａをバツクル装置３１へ係合させればよ
く、操作は極めて簡単である。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案に係る子供用拘束装置
では、その座板部に取り外し可能にカバープレー
トが設けられているので、このカバープレートを
取り外すことにより、拘束装置本体の表面側か
ら、例えば、子供用ウエビングと固定プレート及
びロツクプレートとの組付作業等の作業を行うこ
とができるので、作業効率が向上されるという優
れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る子供用拘束装置の取り付
け状態を示す斜視図、第２図はウエビング係止部
を示す第１図の一部の分解図、第３図は第２図の
組付状態断面図、第４図は第３図の−線断面
図である。 １０……拘束装置本体、１２……子供用拘束ウ
エビング、１４……座板、１４Ａ……凹部、１６
……背当部、２８……連続ウエビング、３０……
連続ウエビング、３１……バツクル装置、３２…
…カバープレート、３３……固定プレート、３３
Ａ……貫通孔、３４……ロツクプレート、３４Ａ
……巻掛部、６０……大人乗員拘束用ウエビン
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 子供に装着される子供用ウエビングと、車両シ
   ートに配設されると共に子供が着座する拘束装置
   本体と、を有する子供用拘束装置であつて、前記
   拘束装置本体の座板部に設けられて底部に第１の
   貫通孔を有する凹部と、前記凹部に取り外し可能
   に配設されて凹部の開口部を座板部の座面と略面
   一に閉塞すると共に前記子供用ウエビングの一端
   部が挿通されるウエビング挿通孔を有し前記凹部
   の底部に向かつて突出される規制筒体が設けられ
   たカバープレートと、前記拘束装置本体の前記座
   板部に固定されると共に前記規制筒体に挿入され
   て前記子供用ウエビングの一端部が挿通される第
   ２の貫通孔が設けられた立上部を有する固定プレ
   ートと、前記固定プレートに対して相対移動可能
   に前記規制筒体に挿入されると共に前記子供用ウ
   エビングの一端部が巻き掛けられて前記第２の貫
   通孔方向に折り返される巻掛部及び所定以上の下
   方への移動を阻止する阻止部が設けられたロツク
   プレートと、を設けたことを特徴とした子供用拘
   束装置。