JPH088920Y2 - センターピラートリムにおけるアジャスター構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、センターピラートリムにおけるシートベ
ルトアンカー部のアジャスター構造の改良に関する。

〈従来の技術〉 例えば、乗用車のシートベルト装置は、その一端がフ
ロアに固定されたリトラクターに巻き取られ、他端はフ
ロアに直接固定されている。

そして、リトラクターから引き出されたシートベルト
は、センターピラーに設けられたアンカー部を中継点と
して折り返され、シートベルト中間に設置されたタング
をフロントシート横のバックルに嵌合させて乗員を拘束
するようにしている。

しかしながら、乗員の体形により、シートベルトアン
カー位置が固定式であると、不便な点が多く、このた
め、シートベルトの折り返し位置を上下に調整できるよ
うにしたアジャスター構造が提案されている。

第５図，第６図はこのようなアジャスター装置をセン
ターピラートリムに適用したもので、センターピラート
リム１にはその中央に調節用の開口２が開設されてお
り、この開口２を塞ぐようにトリム１の内面にスライド
プレート３が設置されているとともに、このスライドプ
レート３のさらに内面には操作部材４が取付け固定され
ている。

そして、操作部材４に一体に設けた操作用ノブ4aを開
口２を通して、車室内側に臨ませ、この操作用ノブ4aを
操作することにより、図示しないアンカー部分のロック
を解除するようにしている。

第６図，第７図はスライドプレート３と操作部材４と
の接合関係を示すもので、スライドプレート３の裏面側
に一対の取付用ボス５を突設形成し、操作部材４の取付
孔６内にこの取付用ボス５を差し込んだ後、ボス５の先
端を熱カシメすることによりスライドプレート３に対し
て操作部材４を取付けるようにしている。

さらに、スライドプレート３にフック７を一体形成
し、このフック７により操作部材４の両側縁を押さえる
ことにより、スムーズな操作性を図るようにしている。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、このような従来のアジャスター構造に
おいては、スライドプレート３にフック７を一体に設け
る構造であるため、このフック７は、成形上アンダーカ
ットとなるため、フック７を一体に形成したスライドプ
レート３を射出成形するには、スライド型が必要とな
り、成形型費が高価なものとなり、製品のコストアップ
を招来するという不具合が指摘されている。

この考案は、このような事情に鑑みてなされたもの
で、本考案の目的とするところは、センタピラートリム
におけるアジャスター構造において、操作部材の保持を
簡単かつ廉価に行うようにしたセンターピラートリムに
おけるアジャスター構造を提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成するために、本考案は、センターピラ
ートリムに開設された開口を塞ぐように、センターピラ
ートリム内面に摺動可能にスライドプレートが設置され
るとともに、前記開口から車室内側に臨む操作用ノブを
備えた操作部材が上記スライドプレートに取付けられ、
この操作用ノブを操作することにより、シートベルトア
ンカー部のアジャスター位置を調整するセンターピラー
トリムにおけるアジャスター構造において、 前記操作部材には、摺動部材を押圧保持する押え片が
スライドプレート固定用脚部に形成され、該押え片は操
作部材の成形時、上記摺動部分に開設した切欠き内に設
定されていることを特徴とする。

〈作用〉 以上の構成から明らかなように、操作部材の成形時、
操作部材に形成される押え片は摺動部分に形成した切欠
き内に設定されているため、スライドプレートならびに
操作部材の両者は造形上アンダーカット形状とはなら
ず、簡易な成形型で成形が可能である。

〈実施例〉 以下、本考案に係るセンターピラートリムにおけるア
ジャスター構造の実施例について、添付図面を参照しな
がら詳細に説明する。

第１図は本考案の第１実施例を示すもので、スライド
プレートと操作部材との関係を示すスライドプレートを
裏面側から見た斜視図、第２図は操作部材の構成を示す
斜視図、第３図は操作部材をスライドプレートに取付け
る状態を示す説明図である。

第１図において、スライドプレート10には開口11が形
成されており、この開口11を通して操作部材20の操作用
ノブ21が車室内側に臨むようにスライドプレート10の裏
面に操作部材20が取付固定されている。

この操作部材20は、上部両側が下方に延長形成されて
おり、スライドプレート10に対する一対の固定用脚部22
が形成されており、この脚部22は、中央部にＵ字状バネ
部23と、先端部に固定部24をそれぞれ備えている。

そして、固定部24にはスライドプレート10に突設形成
した取付用ボス12を挿通させる取付孔25が開設されてい
るとともに、固定部24の内側に操作部材20の摺動部分20
aを押圧保持する押え片26が一体に設けられている。

このように、本考案はスライドプレート10に操作部材
20を固定部24を介して固定すれば、操作部材20の摺動部
分20aを押え片26により押圧保持でき、良好な操作性が
得られるというものであるが、操作部材20の形状は、第
１図に示す状態ではアンダーカット形状であり、成形が
極めて困難である。

そこで、本考案においては、第２図に示すように、操
作部材20の成形時、操作部材20の摺動部材20aの両側に
切欠き27を設け、この切欠き27内に押え片26を設定すれ
ば、操作部材20はアンダーカット形状とはならず、廉価
な射出成形型で成形が可能となる。

そして、第２図に示す形状で成形した操作部材20をス
ライドプレート10に取付けるには、固定用脚部22に形成
したＵ字状バネ部23を収縮させて、スライドプレート10
に設けた取付用ボス12を操作部材20の取付孔25内に挿通
させた後、取付用ボス12の先端をカシメ固定すれば、第
１図に示す取付状態が簡単に得られ、スライドプレート
10の内面に立設したストッパリブ13により操作部材20の
上方への動きを規制し、常に押え片26が摺動部分20aを
良好に押圧保持できるように構成されている。

次いで、第４図は本考案によるアジャスター構造の第
２実施例を示すもので、本実施例においては、操作部材
20の中央部を下方に延長させ、スライドプレート10に対
する固定用脚部22を形成するとともに、脚部22の先端部
分の固定部24の両側に押え片26を設け、この押え片26に
より、脚部22の両側に位置する摺動部分20aを押圧保持
するというものであり、この実施例においても、操作部
材20の成形時に、押え片26は摺動部分20aに設けられた
切欠き27内に設定され、操作部材20の成形時アンダーカ
ット形状とならないように配慮されている。

〈考案の効果〉 以上説明した通り、本考案によるセンターピラートリ
ムにおけるアジャスター構造は、操作部材の摺動部分を
押圧保持する押え片が、操作部材の成形時、摺動部分に
設けた切欠き内に収容するように形状設定されているた
め、操作部材の成形時、アンダーカット形状とはなら
ず、スライドプレートおよび操作部材ともアンダーカッ
ト形状とはならないため、簡易な射出成形金型で成形が
可能であり、従来の高価なスライド型を使用するものに
比べ、著しく廉価に製作が可能となる。

したがって、製品コストを大幅に引き下げることがで
きるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるアジャスター構造の第１実施例を
示すもので、スライドプレートと操作部材との関係を示
す製品の裏面側から見た斜視図、第２図は同第１実施例
に使用する操作部材の構成を示す斜視図、第３図は同操
作部材をスライドプレートに取付ける状態を示す斜視
図、第４図は本考案の第２実施例を示すもので、操作部
材を示す要部斜視図、第５図はアジャスター構造を採用
したセンターピラートリムの従来例を示す室内側から見
た斜視図、第６図は従来のセンターピラートリムを裏面
側から見た斜視図、第７図は第６図中VII−VII線断面図
である。 １…センターピラートリム ２…開口 10…スライドプレート 11…開口 12…取付用ボス 13…ストッパリブ 20…操作部材 21…操作用ノブ 22…固定用脚部 23…Ｕ字状バネ部 24…固定部 25…取付孔 26…押え片 27…切欠き

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】センターピラートリム（１）に開設された
   開口（２）を塞ぐように、センターピラートリム（１）
   内面に摺動可能にスライドプレート（10）が設置される
   とともに、前記開口（２）から車室内側に臨む操作用ノ
   ブ（21）を備えた操作部材（20）が上記スライドプレー
   ト（10）に取付けられ、この操作用ノブ（21）を操作す
   ることにより、シートベルトアンカー部のアジャスター
   位置を調整するセンターピラートリムにおけるアジャス
   ター構造において、 前記操作部材（20）には、摺動部分（20a）を押圧保持
   する押え片（26）がスライドプレート（10）固定用脚部
   （22）に形成され、該押え片（26）は操作部材（20）の
   成形時、上記摺動部分（20a）に開設した切欠き（27）
   内に設定されていることを特徴とするセンターピラート
   リムにおけるアジャスター構造。