JP3904736B2 - ヘッドレスト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用シートに備えるヘッドレスト、詳しくは、内部に設けた前倒機構によって前倒し且つ発泡液を袋状の表皮内に注入して表皮と一体にパッドを発泡成形するヘッドレストに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のヘッドレストにはシートバック側に支持されるステーに対して、ステーのヘッドレスト内に有する前倒装置等によってヘッドレストを前方に回動自在に取付けて、ヘッドレストを前倒させることにより、後方の乗員の視界を拡大するものがある。
【0003】
このヘッドレストはヘッドレスト内における前記ステーの上部に有する前倒装置(例えばエチェット装置)を金属製のパネルで囲繞し、このパネルの外周面に、あらかじめ所定形状に発泡成形した発泡体製パッドを当て、このパッドをこのパッドと別体で袋状に縫製した表皮で被包することにより形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この従来品は、パネルにパッドを当て、これを表皮で被包し、表皮の開口部を閉口手段(例えば、ベルベット式ファスナーなど)で閉口しなければならない。そのため、ヘッドレストの組付に工数を要する不具合があった。
【0005】
また、ヘッドレストを使用者が把持して前後方向に回動操作する際、パッドに対して表皮、パネルが別体であるので、表皮、パッドが位置ズレし、ヘッドレストの外観品質が損なわれる不具合もあった。
【0006】
そこで、本発明は斯様な前倒れヘッドレストにおいて、その組立性と外観品質を向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明は、袋状に縫製した表皮と、上部に前倒 機構を有するステーと、この前倒機構付のステーを挿通する挿通部を有するイ ンナーカバーと、このインナーカバーと前記表皮との間に発泡液を注入して表 皮と一体発泡するパッドと、前記インナーカバーの挿通部を閉口して表皮の端 末を挟持するアウターカバーとから構成し、前記インナーカバーの挿通部に係 止鍔部付支持筒を一体に設けると共に前記挿通部の外側に環状に係止溝を設け、 前記アウターカバーは前記挿通部を閉口するプレート状の本体と、前記ステーを 挿通する通口の孔縁に一体に設けて前記インナーカバーの支持筒内に嵌合する 筒状のガイド筒と、前記本体の外周縁に一体に設けて表皮の端末を前記係止溝 内に圧接して挟持する挟持片と、この挟持片の内周面に一体に設けて前記イン ナーカバーの係止鍔部に係合する係止爪とからなることを特徴とするものであ る。
【0008】
この構成によれば、インナーカバーと袋状の表皮との間に注入したパッド成 形用の発泡液がインナーカバーのステー挿通部と表皮の端末との間から漏出す ることがなくパッドが表皮、インナーカバーと一体に発泡成形される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るヘッドレストを示し、このヘッドレストは、シートバック(不図示)に支持されるステー(4)に対して前倒装置(40)(41)…によって、矢印方向に前倒して後方の乗員の視界を拡大し得る構造になっている。図中(1)は内部に前倒機構(40)(41)を有する合成樹脂製のインナーカバーを示す。
【0010】
図中(2)はインナーカバーの前倒機構等を挿通する挿通部を閉口する合成樹脂製のアウターカバーで、ヘッドレストの底面に配設され、このアウターカバー(2)からシートバック側に支持される左右一対のステー(4)が下方に突出している。
【0011】
(3)は袋状に縫製した表皮で、その開口部がヘッドレストの底面側に位置し、その開口部の端縁(端末)が前記アウターカバー(2)によってインナーカバー(1)に挟持されている。
【0012】
(5)はインナーカバー(1)と表皮(3)との間の空間部に注入して表皮(3)、インナーカバー(1)と一体に発泡成形されている発泡体製のパッドを示す。
【0013】
このパッド(5)を発泡成形する発泡液は、図2に示すように表皮(3)の端末(30)(30)がアウターカバー(2)でインナーカバー(1)に挟持し、外部に漏出することがないように構成されている。
【0014】
インナーカバー(1)、アウターカバー(2)、表皮(3)は、図3、4に示すように構成されている。
【0015】
インナーカバー(1)はその底部(10)に、図5に示すように、前倒機構(40)(41)付の左右一対のステー(4)(4)を挿通する挿通部(1A)が開口されている。
【0016】
この挿通部(1A)には、筒状の支持筒(11)が一体に成形され、支持筒(11)の外部に突出する外端縁に沿って鍔状の係止鍔部(12)が延設されている。
【0017】
そして、係止鍔部(12)の先端縁に対応するインナーカバー(1)の底部(10)には、環状に係止溝(10A)が形成されている。
【0018】
一方、アウターカバー(2)はインナーカバー(1)と同様に剛性を有する合成樹脂で成形され、インナーカバー(1)の支持筒(11)を閉口する大きさのプレート状の本体(20)と、この本体(20)の周囲に一体成形され、先端部(21A)が表皮(3)の端末(30)を挟持する挟持片(21)と、係止爪(22)とから構成されている。
【0019】
挟持片(21)の内面側に、インナーカバー(1)の係止爪(22)が係止鍔部(12)に係止するように設けてあり、この係止爪(22)によってアウターカバー(2)がインナーカバー(1)に固定されると共に表皮(3)の端末(30)の挟持状態を保持する。
【0020】
また、アウターカバー(2)の本体(20)には、ステー(4)(4)を挿通す る通孔(2A)(2A)が開孔され、この各通孔(2A)の孔縁には一体に筒状のガ イド筒(23)が一体に成形されて、このガイド筒 ( 23 ) の一側壁を除く3側壁 が図2に示すように、インナーカバー ( 1 ) の筒状支持筒 ( 11 ) の隅部に 嵌合するように構成されている。
【0021】
表皮(3)は、図3、図6に示すように、袋状に縫製され、その底布(3B)に開口部(3A)が形成され、この開口部(3A)から、前記インナーカバー(1)が内部に装入できるように構成されている。
【0022】
図示する前倒機構は従来周知の構造のもので、インナーカバー(1)内の空間部(4A)内に収容されているラチェット機構のもので、追歯(40A)(40B)付の歯板(40)と、この歯板(40)の追歯(40A)又(40B)に係合する係止ピン(41)とから構成され、歯板(40)は支軸(45)に一体に固定され、この支軸(45)は門形状のステー(4)の上部(43)にアーム(44)を介して固定されている。
【0021】
一方、係止ピン(41)は、支軸(45)に前後方向に回動自在に軸着されている左右一対のブラケット(47)における一方のブラケット(47)に回動自在に枢着した回動片(42)に固定され、バネ(不図示)によって歯板(40)の追歯(40A)(40B)方向に付勢されている。図1において、図中(46)は、左右のブラケット(47)を連結する連結軸を示す。
【0022】
従って、ヘッドレストを、図1の状態から前方(矢印方向)に押動すると前倒状態になり、この前倒状態から更にヘッドレストを前方に押動すると、そのロック状態が解除されて図1に示す使用状態に戻るように構成されている。
【0023】
次に、図1、2に示すヘッドレストの製造方法を説明する。
まず、インナーカバー(1)内に、前倒機構(40)(41)を上部に有するステー(4)を収容する。
【0024】
次に、このインナーカバー(1)を表皮(3)内に装入した後、アウターカバー(2)の通孔(2A)にステー(4)を通して、アウターカバー(2)をインナーカバー(1)の支持筒(11)に嵌合する。
【0025】
これにより、アウターカバー(2)の挟持片(21)と、インナーカバー(1)の係止溝(10A)とによって表皮(3)の端末(30)が挟持されるため、表皮(3)の開口部(3A)が完全に閉鎖される。
【0026】
然る後、これをモールドにセットして表皮(3)の底布(3B)に開孔した注入孔より、表皮(3)とインナーカバー(1)との空間部(5A)に、パッド発泡成形用の発泡液を注入する。
【0027】
すると、発泡液が外部に漏出することなく発泡してパッド(5)が表皮(3)、インナーカバー(1)と一体に発泡成形され、図1に示すヘッドレストが製造される。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、前倒装置内蔵のヘッドレストにおいて、インナーカバーと袋状の表皮との間に、パッド成形用の発泡液を注入してパッドをインナーカバーと表皮に一体発泡成形できる。
従って、アウターカバーのインナーカバーに対する取付が容易になるため、前倒装置付のヘッドレストの製造が簡単で生産性が向上するし、ヘッドレストを直接前方に押動しても、表皮のパッド等が位置ズレすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘッドレストの断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の要部の分解斜視図である。
【図4】図3のIVーIV線断面図である。
【図5】同VーV線断面図である。
【図6】同VIーVI線断面図である。
【図7】パッド発泡成形前の状態の部分断面図である。
【符号の説明】
1 インナーカバー
1A インナーカバーの挿通部
2 アウターカバー
3 表皮
4 ステー
5 パッド
11 支持筒
12 係止鍔部
20 アウターカバーの本体
21 挟持片
22 係止爪
30 表皮の端末
Claims (1)
- 袋状に縫製した表皮と、上部に前倒機構を有するステーと、 この前倒機構付のステーを挿通する挿通部を有するインナーカバーと、この インナーカバーと前記表皮との間に発泡液を注入して表皮と一体発泡するパ ッドと、前記インナーカバーの挿通部を閉口して表皮の端末を挟持するアウターカ バーとから構成し、
前記インナーカバーの挿通部に係止鍔部付支持筒を一体に設けると共に前 記挿通部の外側に環状に係止溝を設け、
前記アウターカバーは前記挿通部を閉口するプレート状の本体と、前記ス テーを挿通する通口の孔縁に一体に設けて前記インナーカバーの支持筒内に 嵌合する筒状のガイド筒と、前記本体の外周縁に一体に設けて表皮の端末を 前記係止溝内に圧接して挟持する挟持片と、この挟持片の内周面に一体に設 けて前記インナーカバーの係止鍔部に係合する係止爪とからなるヘッドレス ト。
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