JPH0620573Y2 - ヘッドレストの発泡成形型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、自動車座席等のヘッドレストの発泡成形型の
改良に関するものである。

〈従来の技術〉 自動車座席のヘッドレストには各種の構造のものがある
が、その中で表皮一体発泡ヘッドレストは第３図及び第
４図で示すように、脚６を有するインサート部品４を内
部に芯材として設置し、このインサート部品４の周囲の
スラブウレタン３をラミネートした表皮２との間にウレ
タン発泡層５を設けたヘッドレスト本体１の表皮一体発
泡ヘッドレストが公知である。

この表皮一体発泡ヘッドレストの成形は第５図(A)で示
すように、予め表皮２、インサート部品４、スラブウレ
タンパッチ11を製造する。この表皮２は、後述する発泡
型７内でウレタン液を注入する必要が有るため一部に開
口2bが開設され、これを閉鎖するための蓋片2aが縫着2C
されている。

この表皮２、インサート部品４、スラブウレタンパッチ
11等を第５図(B)で示すように、発泡型７内に装填す
る。この発泡型７は、左右一対の型7a、7bの下部をヒン
ジ８により開閉可能に連結した割り型であり、上部には
型7a、7b閉じたときに第５図(C)で示すように、ミキシ
ングヘッド12からのウレタン液が注入できるように開口
部10を形成するようになっており、加熱発泡成形時には
この開口部10を閉鎖するよう型7aの上部に型蓋９が開閉
可能に取付けられている。

〈考案が解決しようとする課題〉 上記のような従来の発泡型７により表皮一体発泡ヘッド
レストを成形する場合、次のような問題点を有してい
る。

第５図(C)で示すように、ウレタン液の注入作業では、
表皮２の蓋片2aを手で開口状態に押える必要がある。こ
れは、蓋片2a自体の反力により常に表皮２の開口2bを閉
じる方向に倒れるからである。

さらに、発泡成形後の製品には第６図で示すように、蓋
片2aにシワＳや折れＲが発生することがある。これは、
発泡型７内に装填した表皮２の蓋片2aの位置が所定位置
に常に一定に定まらないことと、第５図(C)で示すよう
に、ウレタン液を注入後に型蓋９を閉じる時に表皮２の
蓋片2aを型蓋９で押えて蓋片2aを閉じるが、型蓋９のヒ
ンジ点と蓋片2aの折曲げ部となる縫着2C点とが上下に位
置がずれているため、型蓋９の押え力が蓋片2aに万遍無
く作用されず、引き吊れや折れが生じ品質を低下する。

〈課題を解決するための手段〉 本考案は、上記従来の問題点を解消したヘッドレストの
発泡成形型を提供するものであり、その要旨は、下部の
ヒンジにより開閉可能であり、閉じた状態で上部に開口
部を形成する左右一対の発泡型本体と、この左右一対の
発泡型本体の一方の上部に、型内に挿入したヘッドレス
ト表皮の蓋片の縫着点に近接した位置でヒンジによって
回転可能に取付けられ、かつ前記蓋片を位置決め固定す
るセットピンを突設した中蓋と、この中蓋のヒンジ点よ
り後方位置にヒンジにより中蓋と同方向に回転可能に取
付けられ、かつ前記中蓋とバネによって連結し、前記発
泡型本体の開口部を開閉する上蓋とから構成したものあ
る。

〈作用〉 上記の構成により、表皮の蓋片は中蓋のセットピンによ
り常に定位置にセットされ、上蓋の開口時には中蓋は上
蓋とばねにより連結されているため、開口状態を保持
し、この中蓋にセットピンにセットされている蓋片は作
業者が手で持ち上げなくても開口状態を維持する。

また、上蓋の開閉と連動して中蓋が開閉動作を行い、中
蓋が閉じる時には、中蓋は蓋片に対して全面的に均等に
押え力を作用し、シワや折れの発生を防止する。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。第１図
及び第２図において、７は発泡型であり第５図(B)、(C)
と同様に左右一対の型7a、7bが下部のヒンジ８により開
閉可能であり、閉じた状態で上部に開口部10を形成す
る。本考案は、この左右一対の型7a、7bの一方の型7aの
上部に、発泡型７内に挿入した表皮２の蓋片2aの縫着2C
点に近接した位置でヒンジ(21)によって回転可能に取付
けられ、かつ前記蓋片2aを位置決め固定するセットピン
22を突設した中蓋20と、この中蓋20のヒンジ点21より後
方位置にヒンジ24により中蓋20と同方向に回転可能に取
付けられ、かつ前記中蓋20とバネ25によって連結し、前
記発泡型７の開口部10を開閉する上蓋23とから構成した
構造である。

本考案は上記の通りの構造であるから、中蓋20の開閉動
作は上蓋23を開閉操作することによりバネ25の連結で中
蓋20は上蓋23に追従して自動的に開閉される。

また、発泡型７内に装填される表皮２の蓋片2aは中蓋20
突設されたセットピン22で常に定位置に位置決めされ、
中蓋20の開口状態で閉じ方向に反力を持っている蓋片2a
を開口状態に保持する。

さらに、上蓋23の閉じ動作で閉じられる中蓋20は、その
ヒンジ21点が蓋片2aの縫着2C点に近接しているため、蓋
片2aに対する中蓋20の押え力は蓋片2aの全面に均等に作
用され、かつ前記セットピン22による定位置のセットと
相俟って蓋片2aは引き吊れによるシワや折曲げを発生す
ることなく閉じることができる。

〈考案の効果〉 以上のように本考案によると、開閉可能な左右一対の発
泡型本体の一方の上部に、型内に挿入したヘッドレスト
表皮の蓋片の縫着点に近接した位置でヒンジによって回
転可能に取付けられ、かつ前記蓋片を位置決め固定する
セットピンを突設した中蓋と、この中蓋のヒンジ点より
後方位置にヒンジにより中蓋と同方向に回転可能に取付
けられ、かつ前記中蓋とバネによって連結し、前記発泡
型本体の開口部を開閉する上蓋とから構成による表皮一
体発泡ヘッドレストの成形型であるから、表皮の蓋片を
常に一定位置に位置決めセットすることができ、ウレタ
ン液の注入時に蓋片を作業者が手で開口状態に支える作
業を不要とし、作業性を向上すると共に蓋片にシワや折
曲げの発生を防止し、品質良好な表皮一体発泡型のヘッ
ドレストを提供することができる利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の要部斜視図、第２図は第１図のII−II
線断面図、第３図は表皮一体発泡型のヘッドレストの斜
視図、第４図は第３図のIV矢視断面図、第５図は従来の
発泡型による表皮一体発泡型のヘッドレストの成形工程
を示す説明図、第６図は従来の成形による問題点を示す
一体発泡型のヘッドレストの斜視図である。 １…ヘッドレスト本体、２…表皮、2a…蓋片、2b…開
口、2C…縫着、７…発泡型、８…ヒンジ、10…開口部、
20…中蓋、21…ヒンジ、22…セットピン、23…上蓋、24
…ヒンジ、25…バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表皮一体発泡ヘッドレストの成形型であっ
   て、下部のヒンジにより開閉可能であり、閉じた状態で
   上部に開口部を形成する左右一対の発泡型本体と、この
   左右一対の発泡型本体の一方の上部に、型内に挿入した
   ヘッドレスト表皮の蓋片の縫着点に近接した位置でヒン
   ジによって回転可能に取付けられ、かつ前記蓋片を位置
   決め固定するセットピンを突設した中蓋と、この中蓋の
   ヒンジ点より後方位置にヒンジにより中蓋と同方向に回
   転可能に取付けられ、かつ前記中蓋とバネによって連結
   し、前記発泡型本体の開口部を開閉する上蓋とから構成
   したことを特徴とするヘッドレストの発泡成形型。