JPS6348232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車におけるフロントシートのトリ
ムカバーの端末処理構造に関し、特にフロントシ
ートの車幅方向側部に位置されるトリムカバー端
末のめくれを防止するための構造に関する。

一般に、自動車のフロントシートにあつては、
第１図示のように、自動車のフロアに装着されつ
つ着座者の臀部を受けるシートクツシヨン１に、
背もたれを構成するシートバツク２がフロントシ
ートの車幅方向の両側に位置されたヒンジ３によ
つて前後方向へ揺動自在に取付けられ、このシー
トクツシヨン１とシートバツク２の間に配される
ヒンジ３のヒンジアーム４は、装飾的観点からシ
ートバツク２の緩衝材５とこの緩衝材５に被せら
れるトリムカバー６との間に、ヒンジカバー７を
被せられた状態で位置されている。このため、ヒ
ンジアーム４が位置されるトリムカバー６の端末
は前後方向へかけて封緘することができず、開口
された状態になつている。

ところで、フロントシート廻りには乗車時の安
全性の観点からシートベルト装置が艤装される。
しかし、このシートベルト装置のベルトアンカー
８は、前記開口状態にあるトリムカバー６の端末
に向かいつつ自動車のフロア廻りの固定部に架設
され、しかも、このベルトアンカー８は比較的硬
質になつている。このため、前記シートバツク２
が第１図の仮想線示から実線示へ起立される際、
ベルトアンカー８によつてトリムカバー６の端末
がめくれあがることがままある。

本考案の目的は前記のような不都合を解消する
ために、開口状態のトリムカバー端末を、この端
末部分に配されるヒンジカバーにてシートの緩衝
材方向へ規制させることによつて、トリムカバー
端末のめくれ現象を防止し、見栄のよい造形美を
維持できる自動車用フロントシートのトリムカバ
ーの端末処理構造を提供するものである。

以下、第２図について本考案の施されたトリム
カバーの端末処理構造の実施例の詳細を説明す
る。

このトリムカバーの端末処理構造は、第２図示
のように、トリムカバー１０とヒンジカバー１１
を備え、このトリムカバー１０は第１図の緩衝材
５に相当する図示を省略した緩衝材に被せられる
所定形状の袋状に縫製される。このトリムカバー
１０を前記図示を省略した緩衝材に被せるための
開口部は第１図のシートクツシヨン１側に位置さ
れるシートバツク２の下部に配される。この開口
部は車幅方向側方に配されるサイド部材１２と着
座面部材１３ならびにこの着座面部材１３と対向
する裏面部材１４にて囲まれ、前記着座面部材１
３と裏面部材１４にはそれぞれ封緘舌片１５，１
６が前記開口部に沿つて延設される。

一方、前記開口部に位置されたサイド部材１２
の端末には係合部を構成する収納室１７を備え、
この収納室１７は前記サイド部材１２の端末を内
側へ折り返し、この折り返し端を縫糸１８にて袋
状に縫い付けることによつて形成される。この収
納室１７の裏面壁１７ａの中央部には収納室１７
へ連通される縦長の挿入口１９Ａ，１９Ｂが前後
方向へ所定距離Ｌを存して開口され、この所定距
離Ｌはヒンジカバー１１の前後幅ｌよりもわずか
に大きくなつている。

前記ヒンジカバー１１は、第１図のヒンジアー
ム４に相当する図示を省略したヒンジアームを差
し込む鞘形状に合成樹脂にて形成されている。前
記図示を省略したヒンジアームへヒンジカバー１
１を装着したとき第１図のヒンジ３に相当する図
示を省略したヒンジの支軸が位置されるヒンジカ
バー１１には挿通孔２０が穿たれており、この挿
通孔２０には前記図示を省略したヒンジ３の支軸
が貫通状態で位置される。また、ヒンジカバー１
１がヒンジアームに装着された際、視覚される表
面の表面１１ａには所定のトリム構成が施されて
いる。

他方、第１図のシートバツク２に相当するシー
トバツクの組立時に前記挿入口１９Ａ，１９Ｂ間
に位置されるヒンジカバー１１の所定部位には、
サイド部材１２の端末を緩衝材方向へ規制しつつ
その広がりを防止させる規制片を構成する突片２
１を備え、これらの突片２１は前記トリムカバー
１１のトリム表面１１ａに沿いつつ挿入口１９
Ａ，１９Ｂへ向かう板状に突出され、これらの突
片２１の突出端幅Ｄは前記収納室１５の前後幅ｄ
よりも小さくなつている。

以上のように構成された前記実施例によれば、
従来のフロントシートの組立と同様に、ヒンジア
ームにヒンジカバー１１を装着した状態でシート
クツシヨンにシートバツクをヒンジを介して取付
けると共に、トリムカバー１０をシートバツクの
緩衝材にその頂部から下部へ向けて被せる。そし
て、サイド部材１２の端末が突片２１廻りに位置
されたとき、突片２１の両突出端をそれぞれ挿入
口１９Ａ，１９Ｂを通して収納室１７内へ納めた
後、封緘舌片１５，１６を互いに向かい合う方向
へ折り曲げつつ図示を省略したクリツプにて封緘
させる。これによつて、突片２１の各突出端部分
は挿入口１９Ａ，１９Ｂの前後に位置された収納
室１７内にはめ込まれ、挿入口１９Ａ，１９Ｂ間
に位置された裏面壁１７ａはトリム表面１１ａに
沿つて位置される。したがつて、サイド部材１２
の端末即ち車幅方向側方に位置されるトリムカバ
ー１０の開口端末は、収納室１７内に納められた
突片２１と収納室１７との共働によつて、ヒンジ
カバー１１と一体的に連結されているので、開口
端末が広がらず、前述した従来のような端末のめ
くれ等の不都合な現象が防止され、見栄えのよい
造形美を常に維持できる。しかも、前記実施例に
よれば、サイド部材１２の端末に収納室１７と挿
入口１９Ａ，１９Ｂを設けると共にトリムカバー
１１に突片２１を設ける簡素化された構造である
うえ、挿入口１９Ａ，１９Ｂをサイド部材１２の
裁断時に形成し、トリムカバー１０の縫製時にサ
イド部材１２の端末を折り返して縫い付けること
によつて、収納室１７と挿入口１９Ａ，１９Ｂが
形成できるので、従来のトリムカバー１０の各構
成部材の裁断ならびに縫製の各手順に支障を生じ
ることがない。また、突片２１は従来のヒンジカ
バー７の成形型をわずかに改修するだけで、ヒン
ジカバー１１の成形時に同時成形することができ
るので、ヒンジカバー１１への突片２１の突成に
よつて、従来のヒンジカバーの成形手順に支障を
生ずることもない。さらに、前記実施例によれ
ば、サイド部材１２の端末が突片２１とトリム表
面１１ａに沿つて支持されるので、その添設姿勢
を好適な状態に保つことができる。

第３図は本考案の他の実施例の一部を切除しか
つ分解した斜視図であつて、前記実施例と同一部
材については同一符号を付して詳述を省略する。
この他の実施例によるトリムカバーの端末処理構
造はヒンジカバー１１のトリム表面１１ａとの間
に所定間隔を存しつつヒンジカバー１１に突出さ
れた支持片２２を備え、この支持片２２はサイド
部材１２の前後方向へ延長した平板状に形成され
ており、前記トリム表面１１ａと支持片２２の間
にサイド部材１２の端末が挾み込まれる。前記支
持片２２はトリム表面１１ａから突出された間隔
保持部２３にて一体的に支持され、トリムカバー
１１の前後方向へ突出された支持片２２にはそれ
ぞれ係止部を構成する突起２４Ａ，２４Ｂが突出
される。これらの突起２４Ａ，２４Ｂはトリム表
面１１ａ側に位置された支持片２２からトリムカ
バー１１側へ向けて茸状に突出されている。ま
た、前記サイド部材１２の端末には係合部を構成
する一対の取付孔２５Ａ，２５Ｂが穿たれてお
り、前記支持片２２とトリム表面１１ａの間にサ
イド部材１２の端末が挾み込まれたとき、前記各
取付孔２５Ａ，２５Ｂが突起２４Ａ，２４Ｂに会
合される。この各取付孔２５Ａ，２５Ｂの口径は
突起２４Ａ，２４Ｂの頭部よりも小さくなつてお
り、取付孔２５Ａ，２５Ｂを突起２４Ａ，２４Ｂ
に会合させた状態で取付孔２５Ａ，２５Ｂ廻りの
サイド部材１２を突起２４Ａ，２４Ｂに押付ける
ことによつて、取付孔２５Ａ，２５Ｂ内に前記頭
部よりも小径な突起２４Ａ，２４Ｂの軸部が押し
込まれる。したがつて、この他の実施例によれ
ば、突起２４Ａ，２４Ｂと取付孔２５Ａ，２５Ｂ
との共働によつて、前記実施例同様にトリムカバ
ー１１の開口端末はヒンジカバー１１と一体的に
連結される。しかも、この他の実施例によれば、
サイド部材１２の端末が支持片２２とトリム表皮
１１ａの間に位置されつつ、突起２４Ａ，２４Ｂ
の大径な頭部にて取付孔２５Ａ，２５Ｂの抜止め
が施されている。また、支持片２２や間隔保持部
２３ならびに突起２４Ａ，２４Ｂは、従来のヒン
ジカバー７の成形型をわずかに改修するだけで、
ヒンジカバー１１の成形時に同時成形することが
できるうえ、取付孔２５Ａ，２５Ｂはサイド部材
１２の裁断時に同時形成することができる。しか
もこの取付孔２５Ａ，２５Ｂの同時形成はサイド
部材１２の従来の裁断手順に支障を来たすことは
ない。

なお、本考案においては支持片２２をサイド部
材１２の外側に設け、これを内側方向に押し付け
るようにしてサイド部材１２の広がりを規制する
ようにしてもよい。

以上説明したように本考案によれば、ヒンジカ
バーに設けた係止部がトリムカバーに設けた係合
部へ一体的に連結されているので、従来封緘でき
なかつたトリムカバーの端末がヒンジカバーに常
に引止めされつつ好適な状態で添設され、従来の
ようなめくれ等の不都合な現象を防止でき、見栄
えのよい造形外観を維持できる。しかも、従来の
トリムカバーの裁断や縫製作業ならびにヒンジカ
バーの成形作業に支障を来たさずに、係合部と係
止部をトリムカバーとヒンジカバーに形成するこ
とができるので、自動車用シートの健全な量産を
維持できる実用的効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車のフロントシートの一部
を切除した側面図、第２図は本考案の施されたト
リムカバー端末処理構造の一部を切除しかつ分解
した斜視図、第３図は本考案の他の実施例の一部
を切除しかつ分解した斜視図である。 １……シートクツシヨン、２……シートバツ
ク、３……ヒンジ、４……ヒンジアーム、５……
緩衝材、１０……トリムカバー、１１……ヒンジ
カバー、１２……サイド部材、１７……収納室、
１９Ａ，１９Ｂ……挿入口、２１……突片、２２
……支持片、２４Ａ，２４Ｂ……突起、２５Ａ，
２５Ｂ……取付孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンにヒンジを介して装着された
   シートバツクの緩衝材に被せられかつこの緩衝材
   との間には前記ヒンジに装着されたヒンジカバー
   を介在させつつ開口される自動車用フロントシー
   トのトリムカバーの端末処理構造において、前記
   開口状態のトリムカバー端末を緩衝材方向に規制
   して、このカバー端末の広がりを防止する規制片
   を、このカバー端末側から突出するヒンジのカバ
   ーに設けたことを特徴とする自動車用フロントシ
   ートのトリムカバーの端末処理構造。