JPH0732288Y2 - ピラーガーニッシュ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、自動車のピラーガーニッシュ、特にシート
ベルトの引出端の位置を調整可能なピラーガーニッシュ
に関する。

《従来の技術》 自動車のフロントシート用のシートベルトは、リトラク
ター付きの場合、一端はフロアに固定されたリトラクタ
ーに巻き取られ、他端は、フロアに直接固定されてい
る。リトラクターから引き出されたシートベルトは、セ
ンターピラーに設けられたアンカーを中継点として折り
返され、シートベルト中間に設けられたタングをフロン
トシート横のバックルに嵌合させて乗員を拘束するよう
になっている。しかしながら、乗員の体格はまちまちな
ので、センターピラーのアンカーの位置がある人にとっ
ては高すぎたり、ある人にとっては低すぎたりすること
がある。このためセンターピラーのアンカー位置または
シートベルトの折り返し位置を上下に調整できるように
した装置が開発されている。そしてこのような装置およ
びアンカーやリトラクターまでのシートベルトを覆って
見栄えの向上を図る部材が、第６図に示すようなピラー
ガーニッシュＰである。

以下の説明において方向を言うときは、第６図に示すピ
ラーガーニッシュを正面位置として上下左右をいい、車
室内側を表側、車室外側を裏側と言う。

このピラーガーニッシュＰは、第７図および第８図に示
すように、裏側に向けて湾曲したガーニッシュ本体１を
有する。このガーニッシュ本体１の裏面には、下部に受
けボス2aを備えた複数のピン２が一体に突設され、これ
らピン２に平板状のガイドプレート３の取付穴が挿入さ
れて、受けボス2aに位置決めされた状態でピン２を熱か
しめすることにより、ガイドプレート３がガーニッシュ
本体１に取り付けられている。そしてガーニッシュ本体
１の裏面に突設されたリブ1aとガイドプレート３との間
にスライドプレート４が長手方向すなわち上下方向に挿
入されて摺動可能に保持されている。

ガーニッシュ本体１、スライドプレート４およびガイド
プレート３にはそれぞれ開口5,6,7が形成され、スライ
ドプレート４の開口６は、スライドプレート４の摺動に
よってガーニッシュ本体１の開口５内を移動するように
なっている。シートベルトアンカーは、ガイドプレート
３の裏側に、スライドプレート４と一体に移動可能にか
つ任意の位置で固定可能に配置されている。したがっ
て、スライドプレート４をガーニッシュ本体１の表面か
ら操作して移動させることによりアンカーの位置が変化
し、シートベルトの引き出し端の位置が変わるようにな
っている。

《考案が解決しようとする課題》 ところで、図示の従来例においては、スライドプレート
４を摺動案内するためにガイドプレート３を必要とし、
さらにその取付穴をガーニッシュ本体１の複数のピン２
に挿入するための位置精度および各ピン２を熱かしめす
るための工数を必要とし、全体的にコストを引き上げる
要因になっていた。

また、スライドプレート４の移動は、ある程度の摺動抵
抗をもっているほうが操作感触がよい。しかしながら、
従来例においては、スライドプレート４とガイドプレー
ト３とが面当たりになっているため、両者間の隙間ｇを
管理して適切な摺動抵抗を得ることが難しい。この隙間
ｇは、受けボス2aの高さ寸法を規制することにより一定
になるようにしているが、成形上のばらつきにより高さ
寸法を一定にすることは難しい。そして、この隙間ｇが
小さすぎるとスライドプレート４の操作がしづらくな
り、大きすぎるとスライドプレート４ががたついてビビ
リ音を発生させる。

したがって、このような構造において適切な摺動抵抗を
得るためには、従来はピン２を熱かしめするときに初め
は浅くかしめて摺動抵抗を調べ、適切な場合はそのま
ま、適切でない場合にはさらに深くかしめる２段階の方
法を採っていた。このため、作業性が悪い問題点があっ
た。

そこでこの考案の目的は、部品点数および組立工数の削
減によるコストの低減を図るとともに、スライドプレー
トの適度な摺動抵抗が容易に得られる改良されたピラー
ガーニッシュを提供することにある。

《課題を解決するための手段》 この考案によるピラーガーニッシュは、ガーニッシュ本
体に開口を形成し、該開口の両側縁部にガーニッシュ本
体の表面側より一段低くなったフランジ部を形成し、前
記フランジ部と前記ガーニッシュ本体の裏面との間に前
記スライドプレートを摺動可能に保持すると共に、且つ
該スライドプレートの長手方向両端部に、前記フランジ
部端部からの前記スライドプレートの離脱を防止するス
トッパーを形成したことを特徴とする。

《作用》 長手方向両端部にストッパを有するスライドプレート
は、その一端部のストッパを、開口の一端部からガーニ
ッシュ本体の裏側に挿入し、次いで他端部のストッパを
開口の他端部からガーニッシュ本体の裏側に挿入して、
ガーニッシュ本体の裏面とフランジの表面との間に摺動
可能に保持される。

《実施例》 第１図および第２図にはこの考案の一実施例が示されて
いる。樹脂製のガーニッシュ本体11は、表側すなわち車
室内側に凸に湾曲して形成され、その中間部に比較的大
きな開口12が形成されている。開口12の両側縁部には、
ガーニッシュ本体11の表面より一段低くなったフランジ
部13が形成されており、各フランジ部13の長手方向の両
端部には切欠部14,15が形成されている。樹脂製のスラ
イドプレート16は、その両側端縁16aが開口12の各フラ
ンジ部13に乗り、かつ開口12の長手方向両端部間の寸法
よりも長い端部間寸法を有し、ガーニッシュ本体11と同
様に表側に凸に湾曲している。スライドプレート16の長
手方向両端部には、第３図に示すように裏側に向けて突
出したストッパ17,18が一体に形成されてフランジ部13
の端部からのスライドプレート16の離脱を防止するよう
になっており、また表面中央部にはシートベルトが引き
出される開口19が形成されている。

説明が煩雑になるのを避けるために、またこの考案の要
旨にあまり関係がないので図示を省略されているが、こ
のセンターピラーガーニッシュは、スライドプレート16
の表側に開口12から出る操作ノブが設けられていて、こ
の操作ノブを操作することにより，スライドプレート16
と一体的に結合したシートベルトアンカーのロックが解
除されて、シートベルトアンカーがスライドプレート16
と一体的に移動できるようになっている。

スライドプレート16は、その一端部のストッパ17をガー
ニッシュ本体11の開口12の一端部の切欠部14からガーニ
ッシュ本体11の裏側に挿入し、スライドプレート16の両
側端縁16aを開口12両側縁部のフランジ部13に乗せて押
し進め、他端部のストッパ18が開口他端部の切欠部15を
越えた位置で逆に戻して、ストッパ18を切欠部15からガ
ーニッシュ本体11の裏側に挿入する。この結果、スライ
ドプレート16は、第１図および第４図に示すように、開
口12の長手方向両端側のガーニッシュ本体11の裏面11a
と各フランジ部13の表面13aとの間に摺動可能に保持さ
れるとともに、各ストッパ17,18により抜け止めが施さ
れる。このとき、各フランジ部13にはその成形材料であ
る樹脂材料の物性による弾性を持たせることができるの
で、スライドプレート16を各フランジ13の表面からガー
ニッシュ本体11裏面へ弾性的に圧接させて適度な摺動抵
抗を得ることができる。この摺動抵抗によって操作感触
が良くなるとともに、スライドプレート16のがたつきや
ビビリ音の発生もなくなる。

第５図に示すこの考案の別の実施例においては、樹脂製
のガーニッシュ本体21の中央部には、長手方向に長い開
口22が形成されており、その両側縁部には、ガーニッシ
ュ本体21の表面より一段低いフランジ部23が形成されて
おり、その両端部には切欠部24が形成されている。一
方、樹脂製のスライドプレート25は断面コ字形に細長く
形成され、その両端部にストッパ26を有するとともに、
表面にシートベルトを引き出すための細長い開口27を備
えている。

この実施例においても同様に、スライドプレート25は、
その一端部のストッパ26を開口22の一端部の切欠部24か
らガーニッシュ本体21の裏側に挿入され、次いで他端部
のストッパが開口22他端部の切欠部からガーニッシュ本
体21の裏側に挿入されて、フランジ部23の弾性力により
フランジ部23の表面とガーニッシュ本体21の裏面との間
に摺動可能に圧接保持される。特にこの実施例において
は、スライドプレート25が断面コ字形に細長く形成され
ているためスライドプレートの剛性を高めることができ
るとともに、ガーニッシュ本体21の開口22が狭いので外
側からの見栄えが向上する。

《考案の効果》 以上のように、この考案によるピラーガーニッシュは、
ガーニッシュ本体に開口を形成し、該開口の両側縁部に
ガーニッシュ本体の表面側より一段低くなったフランジ
部を形成し、前記フランジ部と前記ガーニッシュ本体の
裏面との間に前記スライドプレートを摺動可能に保持す
ると共に、且つ該スライドプレートの長手方向両端部
に、前記フランジ部端部からの前記スライドプレートの
離脱を防止するストッパーを形成したので、従来必要と
していたガイドプレートが不要になり、したがって熱か
しめ作業も不要になり、部品点数および組立工数が削減
されてコストの低減が可能になる。また、スライドプレ
ートをフランジ部とガーニッシュ本体裏面との間に弾性
的に圧接することができるので、適度な摺動抵抗を容易
に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示すピラーガーニッシ
ュの概略斜視図、第２図は、第１図のＡ部の分解斜視
図、第３図は、第２図に示すスライドプレートの部分裏
面図、第４図は、第１図Ａ部の断面図、第５図は考案の
別の実施例を示すピラーガーニッシュの概略部分分解斜
視図、第６図は、従来のピラーガーニッシュの一例を示
す取付状態の正面図、第７図は、従来のピラーガーニッ
シュの裏面部分斜視図、第８図は、同ピラーガーニッシ
ュの部分断面図である。 11……ガーニッシュ本体、12……開口、13……フランジ
部、14,15……切欠部、16……スライドプレート、17,18
……ストッパ、19……シートベルト引出し開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガーニッシュ本体に開口を形成し、該開口
   の両側縁部にガーニッシュ本体の表面側より一段低くな
   ったフランジ部を形成し、前記フランジ部と前記ガーニ
   ッシュ本体の裏面との間に前記スライドプレートを摺動
   可能に保持すると共に、且つ該スライドプレートの長手
   方向両端部に、前記フランジ部端部からの前記スライド
   プレートの離脱を防止するストッパーを形成したことを
   特徴とするピラーガーニッシュ。