JPH076028Y2 - ライセンスプレートの取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車の車両登録標（以下、ライセンスプ
レートという。）の取付け構造に関し、詳しくは、車体
に取付けたライセンスプレートをバンパの外側に臨ませ
たものにおいて、ライセンスプレートを完全に取外すこ
となく、バンパの着脱を行なえるように構成したものに
関する。

【従来の技術およびその問題点】

リヤのライセンスプレートは、バンパなどの車体アクセ
サリに取付けるのではなく、車体自体に取付けて、取付
けボルトの一方を封印することとされている。 そころで、車両の意匠構成上、ライセンスプレートをリ
ヤバンパの表面に配置することが要求されることがあ
る。この場合におけるライセンスプレートの取付け構造
の一例としては、バンパの裏面に車体から一体に延びる
ブラケットを配置し、ライセンスプレートに通挿した取
付けボルトを、バンパに開けたねじ通し穴から上記ブラ
ケットのナットに螺合し、ライセンスプレートがバンパ
を挟んで実質的に車体に対して一体的に取付けられるよ
うにしたものがある。 しかしながら、上記の取付け構造では、封印されたボル
トを外すことができないため、バンパの修理、あるいは
交換の必要が生じても、簡単にこれを着脱することがで
きなかった。 また、その他の取付け構造として、たとえば実開昭61−
36465号公報に示されているもののように、バンパにラ
イセンスプレートとほぼ同じ形状、および大きさの開口
を開け、ブラケットを介して車体に取付けられたライセ
ンスプレートが上記開口を通り抜けることができるよう
にしたものがある。この場合、ライセンスプレートを外
すことなくバンパの着脱が可能であるが、バンパに開け
た開口とライセンスプレートとの隙間からその奥にある
ボデーが見えることがあり、これが車両の後方意匠をか
えって悪化させることがあり、好ましくない。 この考案は、上記の事情のもとで考え出されたものであ
って、車体に直接的に取付けられたライセンスプレート
をリヤバンパの表面に配置するものであって、このライ
センスプレートの封印を外すことなくリヤバンパの着脱
が可能であり、しかも、バンパに必要以上の大きな穴を
開けて後方意匠を悪化させることがないようにした新た
なライセンスプレートの取付け構造を提供することをそ
の目的とする。

【問題を解決するための手段】

上記の問題を解決するため、この考案では、次の技術的
手段を講じている。 すなわち、本願考案は、車体と一体的なブラケットに取
付けたライセンスプレートをバンパに開けた開口を介し
てバンパの表面に臨ませるようになしたライセンスプレ
ートの取付け構造において、上記ブラケットにおける封
印側ボルトを締結する部位に、後方を向く正規取付け面
と、これから上方に前方湾曲しつつ延びるスライド支持
面を設けるとともに、上記正規取付け面からスライド支
持面にかけてスリットを形成してこれに対してナットを
スライド可能に支持する一方、ライセンスプレートに挿
通した封印側ボルトを上記スリットに支持したナットに
締結するとともに、ライセンスプレートに挿通した非封
印側ボルトを上記ブラケットに固定したナットに締結し
たことを特徴とする。

【作用および効果】

通常、左側のボルトである封印側ボルトが締結されるナ
ットは、ブラケットにおける後方を向く正規取付け面な
いしこれから湾曲するスライド支持面にかけて形成され
たスリット内をスライドしうる。すなわち、このナット
は、封印側ボルトが締結された状態であっても、スリッ
ト内をスライドしうる。そうして、通常右側のボルトで
ある非封印側ボルトは、通常どおり、ブラケットに固定
されたナットに対して螺締される。上記スリットに支持
されるナットは、スリットに対してスライド可能ではあ
るがスリットからの離脱は阻止されるので、ライセンス
プレートのブラケットからの離脱は、封印側のボルトお
よびナット、ならびに、非封印側のボルトおよびナット
の双方によって阻止される。しかし、ライセンスプレー
トの上下方向のがたつきは、実質上非封印側のボルトお
よびナットによって阻止される。 非封印側のボルトを外すと、ライセンスプレートは、封
印側のボルトが締結されたままであっても、上記ナット
とスリットとの相互スライド関係により、ブラケットの
正規取付け面から湾曲スライド支持面にそってスライド
させることができる。スライド支持面は上方および前方
に湾曲しているから、正規位置からスライドさせられた
ライセンスプレートの姿勢は、プレート面が後方を向く
正規状態から、プレート面が上方を向く回動状態に変化
する。このときのライセンスプレートの後面視における
上下高さは、ほぼライセンスプレートの厚み程度とする
ことができる。したがって、バンパには上記回動姿勢を
とるライセンスプレートが前後方向に通りうる、上下の
幅の小さい開口を開けておくだけで、ライセンスプレー
トをブラケットから完全に取外さなくても、上記のよう
に回動姿勢をとらせながら、上記開口を通すようにし
て、バンパを着脱することができる。 また、バンパに設けるべき開口はライセンスプレートの
平面視形状より大幅に小さくできるから、ライセンスプ
レートが正規位置にあるとき上記開口の縁の多くの部分
がライセンスプレートの裏に隠れており、したがって、
ライセンスプレートをバンパに臨ませるためにバンパに
開けた開口が見苦しく露出するという従来の問題も解消
される。

【実施例の説明】

以下、本願考案の実施例を図面を参照して具体的に説明
する。 第１図に示すように（ただし、第１図はリヤバンパを省
略して示す。）、リヤバンパ１の裏面に隠れる車体後部
の適部には、金属板材を折曲形成して作られた左右一対
のブラケット2,3がスポット溶接により取付けられてい
る。図の左側のブラケット２は、ライセンスプレートＰ
を固定するための２本のボルト4,5のうちの封印が施こ
されるボルト４によってライセンスプレートＰを支持す
るためのブラケットであり、第２図にその側面が示され
ているように、後方を向く正規取付け面６と、この正規
取付け面６から上方および前方に湾曲して延びるスライ
ド支持面７が形成されている。上記正規取付け面６から
スライド支持面７にかけて、上下方向に延びる所定幅の
スリット８が形成されており、かつ本例では、このスリ
ット８の下端をＬ字状に折り曲げて係止部8aを形成して
いる。 一方、右側のブラケット３は、上記２本のボルトのう
ち、封印が施こされないボルト５によってライセンスプ
レートＰを支持するためのブラケットであり、全体とし
て上記左側のブラケット２と同様に、正規取付け面6aと
スライド支持面7aとをもっているが、正規取付け面6aの
裏面に、ボルト通し穴9aと対応したウェルドナット9bが
固着されているだけである。 上記スリット８には、スリット内を摺動しうるナット10
が係合支持されている。このナットは、全体として、第
４図に詳示するように、ブラケットの板材を挟むフラン
ジ部10a,10bをスリット内を通る角軸部10cで連結し、か
つ軸方向に貫通するねじ穴10dが開けられた形態をもっ
ている。スリット内を通る部分を上記のように角軸部10
cとしたことにより、ボルト４を螺合する際、このナッ
ト10が回転しないので作業性がよい。 なお、上記一対のブラケット2,3の左右方向の位置関係
は、左側のブラケット２におけるスリット８の係止部8a
の中央と、右側のブラケット３のボルト通し穴9aとの間
隔がライセンスプレートＰの上部の一対の取付け穴11a,
11bの間隔と対応するように成される。 一方、リヤバンパ１には、ほぼライセンスプレートＰの
横幅と対応する左右長さと、上記一対のブラケット2,3
の正規取付け面６からスライド支持面７までの上下高さ
と対応する上下幅を有する開口12が開けられる。また、
バンパ１の上記開口12の下方における、ライセンスプレ
ートＰが背にする平面状の保持面13の前後方向位置は、
第２図に示すようにライセンスプレートＰを各ブラケッ
ト2,3に対して取付けたときのライセンスプレートＰの
裏面位置と対応するようになされる。 ブラケット2,3に対するライセンスプレートＰの取付け
は次のようにして行なわれる。 左側のブラケット２におけるナット10を、第１図に示す
ように、スリット８の係止部8aに位置させ、そうして、
このナット10および右側のブラケット３のウェルドナッ
ト9bに対し、ライセンスプレートＰの取付け穴11a,11b
を通した各ボルト4,5をねじ付ける。そうして左側のね
じ４には封印13が施される。この封印は、一定の場合に
おいて都道府県知事の許可を受けた場合をのぞき、外す
ことができない。このとき、ライセンスプレートＰは、
実質的にブラケット2,3を介して車体に堅牢に取付けら
れ、しかもバンパ１の後面に臨んでいる。しかしなが
ら、バンパ１に開けた開口12は、その上下幅が上記のよ
うにライセンスプレートＰの上下幅より十分小さいの
で、この開口12の縁の多くはライセンスプレートＰの裏
面に隠れており、あたかも、ライセンスプレートＰがバ
ンパに対して取付けられているような外観を呈する。 次に、バンパ１の修理あるいは交換のため、これを取外
す際には次のようにする。 右側のボルト５を外し、ライセンスプレートＰの固定を
解除し、ライセンスプレートＰ全体を左方向にスライド
させてナット10をスリットの係止部8aから外す。そして
上方に持ち上げると、ライセンスプレートＰは、ナット
10がスリット８に案内されることにより、第３図に示す
ようにスライド移動しつつ、プレート面が上向きとなる
ように回動する。そうすると、ライセンスプレートＰの
後面視上下高さがバンパ１に開けた開口12の上下幅より
小さくなるため、車体に対する連結が解除されたバンパ
１は、上記開口12に回動後のライセンスプレートＰを前
後方向に通すようにして後方にずらせることができる。
なお、交換すべきバンパ１を再び車体に取付けるには、
上記と逆の作業を行なえばよい。 もちろん、この考案の範囲は上述の実施例に限定される
ものではない。たとえば、実施例では、ブラケット2,3
を左右別体に構成したが、一つのブラケットの左右部に
実施例のブラケット2,3と同等の機能を有する部分を形
成するようにしてもよい。また、実施例では、スリット
８の下端に係止部8bを設けて正規位置にあるライセンス
プレートＰの支持安定性を高めているが、係止部8bはと
くになくても差支えない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願考案の一実施例をバンパを省略して示す分
解斜視図、第２図は側面断面図、第３図は作用説明図、
第４図は要部の詳細拡大断面図である。 １……（リヤ）バンパ、2,3……ブラケット、４……
（封印側）ボルト、５……（非封印側）ボルト、６……
正規取付け面、７……スライド支持面、８……スリッ
ト、９……ナット、10……ナット、12……バンパ、Ｐ…
…ライセンスプレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体と一体的なブラケットに取付けたライ
   センスプレートをバンパに開けた開口を介してバンパの
   表面に臨ませるようになしたライセンスプレートの取付
   け構造において、上記ブラケットにおける封印側ボルト
   を締結する部位に、後方を向く正規取付け面と、これか
   ら上方に前方湾曲しつつ延びるスライド支持面を設ける
   とともに、上記正規取付け面からスライド支持面にかけ
   てスリットを形成してこれに対してナットをスライド可
   能に支持する一方、ライセンスプレートに挿通した封印
   側ボルトを上記スリットに支持したナットに締結すると
   ともに、ライセンスプレートに挿通した非封印側ボルト
   を上記ブラケットに固定したナットに締結したことを特
   徴とする、ライセンスプレートの取付け構造。