JPH0759741B2 - Fe−Ni系高透磁率合金およびその製造方法 - Google Patents

Fe−Ni系高透磁率合金およびその製造方法

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JPH0759741B2
JPH0759741B2 JP63091599A JP9159988A JPH0759741B2 JP H0759741 B2 JPH0759741 B2 JP H0759741B2 JP 63091599 A JP63091599 A JP 63091599A JP 9159988 A JP9159988 A JP 9159988A JP H0759741 B2 JPH0759741 B2 JP H0759741B2
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    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D6/00Heat treatment of ferrous alloys
    • C21D6/001Heat treatment of ferrous alloys containing Ni

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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明はFe−Ni系高透磁率合金とその製造方法に係り、
直接磁気特性の優れたNi−Fe系超高透磁率合金を適切に
製造することのできる方法を提供しようとするものであ
る。
(産業上の利用分野) Ni−Fe系高透磁率合金の磁気特性を改善するための製造
方法。
(従来の技術) パーマロイはNi量によって得られる磁気性質が変化す
る。すなわち、JIS PC相当のパーマロイはNiを約78%含
み、透磁率が極めて高く、優れた材料であるが、飽和磁
束密度が低く、また高価であるという欠点を有してい
る。これに対してJIS PB相当のパーマロイはNiを約45%
含み、上記のPCパーマロイに比べて飽和磁束密度が2倍
ほど高く、かつ低価格であるが透磁率は低い。このよう
にPCパーマロイとPBパーマロイではそれぞれ長所はある
が、短所も有していた。
しかるに、昨今のエレクトロニクスの発達から、各種機
器の小型高性能化が進行し、上記のPB,PCパーマロイの
欠点を補い合うような、高透磁率、高飽和磁束密度かつ
低価格の材料が望まれている。このような要求に対し
て、PBパーマロイでの透磁率の向上を意図した特開昭62
−142749及び特開昭62−227065の如き提案がなされてい
る。即ち、前者の特開昭62−142749ではO,Sの低減、後
者の特開昭62−227065では、P,Sの低減に加え、Moの添
加をそれぞれ行なうことにより磁気特性の向上を図ろう
としている。
(発明が解決しようとする課題) 上記した特開昭62−227065の技術で特徴としている不純
物元素の低減、Moの添加によっても最終の水素雰囲気で
の熱処理(1100℃×3時間)後の初透磁率は高々6,000
である。一方、特開昭62−142749で特徴としている不純
物元素の低減によっても最終の水素雰囲気での熱処理
(1100℃×1時間)後の最大透磁率はせいぜい150,000
である。即ちこのような透磁率を越えたレベルの磁気特
性が要求された場合においてはこれら2つの提案は不適
とならざるを得なかった。このようにPBパーマロイで透
磁率が不十分な場合には、PCパーマロイの極めて高い透
磁率は必要ないにしても、やむを得ずPCパーマロイを使
用することが必要で、コスト高になる。
なお、上記した、前者のものでは、Bの添加が行なわれ
ているが、この場合のBの添加は熱間加工性及び打抜き
性を改善するために行なうものであり、この発明で意図
するBの添加だけでは磁気特性の明らかな向上はみられ
ず、逆に劣化する場合も見られる。
「発明の構成」 (課題を解決するための手段) 本発明は上記したような従来のものの問題点を解決する
ように検討して創案されたものであって、その要旨とす
るところは、 Ni:43.0〜48.0wt%,C:0.010wt%以下、 S:0.0005〜0.002wt%,P:0.006wt%以下、 O:0.003wt%以下,N:0.0015wt%以下、 であって、かつ、 B:0.0015〜0.0050wt% を含有し、残部は基本的にFeからなるFe−Ni合金である
薄鋼帯の製造に際して前記合金の熱間加工後の冷延を中
間焼鈍をはさみ2回行い、かつ1回目の冷延での圧下率
を50〜98%、2回目の冷延での圧下率を75〜98%、中間
焼鈍を730〜900℃でそれぞれ行うことを特徴とるすNi−
Fe系高透磁率合金の製造方法である。
(作用) 本発明で対象とするPB級パーマロイであって、wt%(以
下単に%という)で、Niが43.0〜48.0%の範囲ではPBパ
ーマロイの所要の透磁率、飽和磁束密度を有している。
Niが43.0%未満では透磁率が低くなり、一方48.0%を越
えると飽和磁束密度が低くなるので43.0〜48.0%と定め
た。
ところで本発明者等は、PBパーマロイの磁気特性を向上
すべく数々の実験を重ねたところ、C,S,P,O,Nの各量を
制御し、かつBを微量添加した合金がある特定の冷延、
焼鈍条件を経たときに磁気特性が飛躍的に向上すること
を見出した。即ちこれらの成分についての規定理由は以
下の如くであるが、本発明はこれらの要件が何れも具備
されることによって後述するような優れた磁気特性を得
しめる。
Cは、0.01%を越えると、熱間加工性が劣化し、かつ磁
気特性も劣化するので0.010%を上限とした。なお下限
は特に定めないが溶製時の経済性から好ましくは0.0010
%である。
Pは、本発明で対象とするFe−Ni合金に有害であり、又
最終の水素焼鈍時の立方体集合組織の形成傾向を弱める
元素である、このPが0.006%を越えると立方体集合組
織が弱まって高い透磁率が得られず、又熱間加工性が悪
くなるためその上限を0.006%とした。なお下限につい
ては溶製時の経済性から0.001%とした。
Sは、熱間加工性に有害であり、かつ硫化物の形成を通
じて最終の水素焼鈍時における粒成長を阻害し、焼鈍後
の粒径が小さいため保磁力が大きくなったり、磁化物に
より磁区が移動しにくくなるため透磁率が低くなり、磁
気特性に対しても極めて有害な元素である。このS量が
0.0020%を越えると、以下に示すようなB添加および特
定の冷延、焼鈍条件採用によっても本発明で意図する磁
気特性の飛躍的改善を計ることができず、熱間加工性も
著しく悪くなるため0.0020%を上限とした。なお下限は
溶製時の経済性から0.0005%とした。
Bは、その適量添加のもとで熱間加工性の改善効果があ
り、かつ、固溶状態で、本発明の対象とする合金の集合
組織を、磁気特性に有利な方向に変える働きがある。こ
のB量が0.0015%未満では本発明で意図する磁気特性の
向上が図れず、一方0.0050%を越えると、Bの金属間加
工物が形成され磁気特性が劣化するため、0.0015%を下
限、0.0050%を上限と定めた。
Nは、B添加を基本とした合金においては、Bと容易に
結合し、BNを形成するため、有効B量が低下する。また
形成されたBNにより磁気特性が著しく変化するなどの理
由より、合金中に多く含まれる時、著しい悪影響を及ぼ
す。即ちこのNが0.0015%を越えると上記の理由によ
り、磁気特性の劣化が著しくなるので、Nの上限は0.00
15%と定めた。
さて、これまで述べたC,S,P,O,Nといった不純物元素の
低減及び微量Bの添加といった成分的配慮により高い磁
気特性を有するFe−Ni合金は提供しうるが、磁気特性を
さらに高めるには熱間加工後の冷延、焼鈍条件の適正化
が必要である。
第1図には、後述する第1表のNo.1材(本発明合金)の
熱延板を用いて、数々の冷延条件にて作製した板厚0.2m
mの薄板サンプルより外径45mm,内径33mmのJISリングに
打抜いて、試料とし、それらを水素雰囲気中で1100℃×
1時間の熱処理を施し、100℃/hrで冷却したサンプルの
μi及びμmを測定した結果を冷延条件で整理して示し
た。即ち、2回冷延材の場合の中間焼鈍は730〜900℃の
範囲内で行なっている。2回冷延材のうち、1次冷延率
が50%以上、かつ2次冷延率が75%以上の時、μiは2
6,000以上で、μmも170,000以上であり、優れた直流特
性が得られていることがわかる。なお、1回冷延材で得
られるμi及びμmはそれぞれ上記のレベルに比較して
明らかに低い。なお、1次冷延率及び2次冷延率の上限
は、冷延時のエッヂ割れや、ミル負荷の点からそれぞれ
98%と定めた。
本発明で意図する高透磁率材料は上記のような冷延条件
に加えて、焼鈍条件を適正としなければ達成されない。
第2図は、後述する第1表のNo.1材(本発明合金)の熱
延板を65%の圧下率にて冷延し、引き続く中間焼鈍のの
ちに80%の圧下率にて冷延した板厚0.2mmの薄板サンプ
ルより外径45mm、内径33mmのJISリングに打抜いて試料
とし、それらを水素雰囲気中で1100℃×1時間の熱処理
を施し、100℃/hrで冷却したサンプルのμi及びμmを
測定した結果を中間焼鈍温度で整理したものである。中
間焼鈍温度が730〜900℃の範囲であるとμiが26,000以
上で、μmも約170,000を越えており、優れた磁気特性
を有している。中間焼鈍温度がこの範囲の時に最終の水
素焼鈍後で磁気特性が優れているのは、中間焼鈍後で10
0%再結晶していること、かつその再結晶オーステナイ
トが細粒であり、また再結晶後に磁気特性に有利な集合
組織が強く形成されていることなどが、最終焼鈍時に形
成される磁気特性に有利な集合組織の集積を著しく強め
る因子として働らいているためと考えられる。なお、中
間焼鈍温度が上記の範囲の場合でも、1次冷延率及び2
次冷延率が本発明規定範囲内でなければ、本発明で意図
する磁気特性の向上が図られないことは第1図に関して
述べた通りである。また、上記のように1次冷延での圧
下率、2次冷延での圧下率及び中間焼鈍温度が本発明規
定を満たした場合でも、成分が本発明範囲内でなけれ
ば、本発明で意図する磁気特性の向上が図られないこと
は、以下の実施例で示す通りである。以上が中間焼鈍温
度を本発明範囲に規定した理由である。なお、中間焼鈍
温度が730℃未満の時に透磁率が低いのは、この温度域
では、焼鈍後に100%再結晶せず、続く冷延及び最終焼
鈍で磁気特性に好ましい集合組織が十分発達しないため
と思われる。
一方、中間焼鈍温度が900℃を越えて透磁率が低下する
のは、中間焼鈍後のオーステナイト粒径が大きくなるた
め、引き続く冷延ののちに行なわれる水素焼鈍時に形成
される集合組織が全体的にランダム化するため、磁気特
性に有利な集合組織が十分に発達しないためと認められ
る。
(実施例) 本発明によるものの具体的な実施例について説明すると
以下の如くである。
実施例1. 次の第1表に示すような化学成分を有するFe−Ni合金で
ある本発明合金および比較合金を真空溶解で溶製し、熱
間加工、脱スケールを施して冷延素材を準備した。即ち
No.1〜3は何れも本発明範囲を満足するのに対しNo.4は
Sが0.0035%、No.5はPが0.010%と高く、又No.6の比
較合金はOが0.0060%と本発明範囲より高く、No.7はN
が0.0030%と高く、No.8はBを含有せずNo.9はBを含有
しているとしても0.0009%と本発明のB含有範囲の下限
0.0015%に達せず、No.10は反対にBが0.0065%と高
く、No.11はCが0.015%と本発明の上限範囲より高いも
のである。
これらの素材はまず65%の圧下率にて冷延し、次に800
℃にて焼鈍し、そののちに80%の圧下率で冷延した板厚
0.2mmの薄板サンプルより外径45mm、内径33mmのJISリン
グに打抜き、試料とした。
上記のようにして得られた各試料を、水素雰囲気中で11
00℃×1時間の熱処理を施し、100℃/hrで冷却したもの
についての直流磁気特性を調べた。次の第2表にμi、
μm、Hc及びB10の各値の測定結果を示すが、合金No.1,
2の各材は、C,P,S,N,O,Bの各量とも本発明成分範囲の合
金であり、この実施例の如く、冷延・焼鈍条件が本発明
規定範囲内の場合は初透磁率μiは26,000以上、最大透
磁率μmも170,000以上、保磁力Hcは、0.02(e)よ
り小さく優れた直流磁気特性を示している。また、合金
No.3材はC,P,S,N,O,Bの各量が本発明成分範囲内にあ
り、かつ熱間加工性の向上を意図して微量のCa添加を行
った合金であるが、この場合もμi,μm,HcはNo.1,2の各
材とほぼ同じレベルにある。このように微量のCa添加が
行われた合金においても、本発明の効果は十分に発揮さ
れることがわかる。
一方、合金No.4〜7の各材はそれぞれ、S,P,O,Nの各量
が本発明成分範囲を超えることは前記の如くで、No.8及
びNo.9はB量が本発明規定の下限未満であり、No.10は
B量が本発明規定の上限を越えるものであってNo.11は
Cが高いことは上記の如くであり、かつ各材ともその他
の成分は本発明規定範囲内にある場合であるが、いずれ
の場合でもμiはほぼ10,000以下、μmは高々90,000で
あり、Hcは0.03(e)より大きく、直流磁気特性は、
本発明で得られたものより劣っている。なお、No.10材
はNi,B,S,Pの各量が特開昭62−227065の発明規定範囲を
満たすものであるが、この材料の磁気特性は、上記の如
く、本発明例に比べて明らかに劣り、本発明で目的とす
る磁気特性の向上は、この特開昭62−227065の発明では
達成されないことがわかる。
以上のように、本発明の目的とする磁気特性は、冷延・
焼鈍条件を本発明規定内しても、成分が本発明範囲でな
ければ達成されないことが理解される。
実施例2. 本発明規定内の成分を有する前記第1表の合金No.1材に
ついての冷延素材を次の第3表に示すような冷延・焼鈍
条件により作製した板厚0.2mmの薄板サンプルより、外
径45mm、内径33mmのJISリングを打ち抜き、試料とし
た。
試料を、水素雰囲気中で1100℃×1時間の熱処理を施
し、100℃/hrで冷却したサンプルの直流磁気特性を調べ
た。即ち第3表の後段に示すようなμi,μm,Hc及びB10
の各値の測定結果が得られた。
即ち供試材No.1〜3の各供試材は、1次冷延での圧下
率、2次冷延での圧下率および中間焼鈍温度が何れも本
発明の規定範囲内のものであって、μiは26,000以上で
μmも170,000以上であり、一方Hcは0.02(e)未満
と優れた直流磁気特性を示している。
これに対し、No.4材は2冷延での圧下率が本発明規定の
下限未満のもの、No.5材は中間焼鈍温度が本発明規定の
下限に達しないもの、No.6材は中間焼鈍温度の上限を超
えるもの、No.7材は1次冷延での圧下率が本発明規定の
下限未満のものであり、No.8材は1次冷延のみのもので
あって、その他の条件はそれぞれ本発明の規定範囲内の
ものであるが、μiは何れもせいぜい19,000、μmで高
々150,000、Hcも0.025(e)より大きく、直流磁気特
性は本発明例に見られるものに比較して劣っている。
即ち本発明の目的とする磁気特性をより高く得しめるに
は単に成分が本発明規定内であっても、冷延・焼鈍条件
が本発明条件を満さなければ達成されないことが理解さ
れる。
「発明の効果」 以上説明したように本発明によるときは、Fe−Ni系の高
透磁率磁性合金における磁気特性の改良が図られ、特に
直流磁気特性が従来の同じ成分系であるJIS PBパーマロ
イよりも飛躍的に優れ、JIS PCパーマロイに準じた直流
磁気特性を有せしめ、その用途は高磁界において従来よ
り高いシールド特性が求められる各種磁気シールド材を
はじめ、継鉄や直流重畳の変成器用鉄心材料など極めて
広い利用範囲に対し有利に提供し得るものであって、工
業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の技術的内容を示すものであって、第1図
は冷延条件と初透磁率および最大透磁率の関係を示した
図表、第2図は最大透磁率および初透磁率の中間焼鈍温
度による変化状態を要約して示した図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni:43.0〜48.0wt%,C:0.010wt%以下、 S:0.0005〜0.002wt%,P:0.006wt%以下、 O:0.003wt%以下,N:0.0015wt%以下、 であって、かつ、 B:0.0015〜0.0050wt% を含有し、残部は基本的にFeからなるFe−Ni合金。
  2. 【請求項2】請求項(1)の成分を有する薄鋼帯の製造
    に際して前記合金の熱間加工後の冷延を中間焼鈍をはさ
    み2回行い、かつ1回目の冷延での圧下率を50〜98%、
    2回目の冷延での圧下率を75〜98%、中間焼鈍を730〜9
    00℃でそれぞれ行うことを特徴とするNi−Fe系高透磁率
    合金の製造方法。
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