JP2760013B2 - 高透磁率磁性材料の製造方法 - Google Patents
高透磁率磁性材料の製造方法Info
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- JP2760013B2 JP2760013B2 JP1048314A JP4831489A JP2760013B2 JP 2760013 B2 JP2760013 B2 JP 2760013B2 JP 1048314 A JP1048314 A JP 1048314A JP 4831489 A JP4831489 A JP 4831489A JP 2760013 B2 JP2760013 B2 JP 2760013B2
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- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
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Description
(産業上の利用分野) 本発明は、高透磁率磁性材料(軟質磁性材料)の製造
方法に関し、例えば、トランス用コア,モーター用コ
ア,リレー用鉄心,磁気ヘッド,磁気シールド材,磁気
増幅器などの素材として利用される高透磁率磁性材料を
製造するのに適した高透磁率磁性材料の製造方法に関す
るものである。 (従来の技術) 従来、上記した用途に利用される高透磁率磁性材料と
しては、電磁軟鉄,ケイ素鋼板,パーマロイ,センダス
ト,パーミンバー,イソパーム,フェライト,各種アモ
ルファス合金などがあり、パーマロイには、Ni含有量が
70〜80重量%のパーマロイA級(PAパーマロイ),Ni含
有量が40〜50重量%のパーマロイB級(PBパーマロ
イ),Ni含有量が70〜80重量%でその他に特殊成分を含
むパーマロイC級(PCパーマロイ),Ni含有量が35〜40
重量%のパーマロイD級(PDパーマロイ),Ni含有量が4
5〜55重量%のパーマロイE級(PEパーマロイ)など
(例えば、JIS C 2531)があって、本発明は、これ
らのうちPBパーマロイ系の高透磁率磁性材料の製造方法
の改良に関するものである。 従来、この種の高透磁率磁性材料を製造するに際して
は、所定成分に溶解したのち造塊して得たインゴットを
熱間鍛造および熱間圧延し、次いで冷間圧延(その他伸
線加工等の冷間加工)を行い、この冷間圧延の間に1000
℃前後ないしはそれ以上の温度での完全焼鈍を施して冷
間加工を容易なものにすると共に必要な冷間加工率が確
保されるようにし、次いで打抜き、深絞り、巻線,冷間
鍛造などによって所望の製品形状に加工し、その後水素
ないしは真空とした非酸化性雰囲気中において900〜120
0℃で磁気焼鈍を行うことによって透磁率の向上が実現
されるようにしていた。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来の高透磁率磁性材料の製造方法に
よる場合には、磁気特性とくに透磁率の向上がいまだ十
分でないという課題を有していた。 (発明の目的) 本発明はこのような従来の課題にかんがみてなされた
もので、磁気特性、とくに初透磁率(μi)および最大
透磁率(μm)で表わされる透磁率(μ)が大きな値を
示すPBパーマロイ系の高透磁率磁性材料を提供すること
を目的としている。
方法に関し、例えば、トランス用コア,モーター用コ
ア,リレー用鉄心,磁気ヘッド,磁気シールド材,磁気
増幅器などの素材として利用される高透磁率磁性材料を
製造するのに適した高透磁率磁性材料の製造方法に関す
るものである。 (従来の技術) 従来、上記した用途に利用される高透磁率磁性材料と
しては、電磁軟鉄,ケイ素鋼板,パーマロイ,センダス
ト,パーミンバー,イソパーム,フェライト,各種アモ
ルファス合金などがあり、パーマロイには、Ni含有量が
70〜80重量%のパーマロイA級(PAパーマロイ),Ni含
有量が40〜50重量%のパーマロイB級(PBパーマロ
イ),Ni含有量が70〜80重量%でその他に特殊成分を含
むパーマロイC級(PCパーマロイ),Ni含有量が35〜40
重量%のパーマロイD級(PDパーマロイ),Ni含有量が4
5〜55重量%のパーマロイE級(PEパーマロイ)など
(例えば、JIS C 2531)があって、本発明は、これ
らのうちPBパーマロイ系の高透磁率磁性材料の製造方法
の改良に関するものである。 従来、この種の高透磁率磁性材料を製造するに際して
は、所定成分に溶解したのち造塊して得たインゴットを
熱間鍛造および熱間圧延し、次いで冷間圧延(その他伸
線加工等の冷間加工)を行い、この冷間圧延の間に1000
℃前後ないしはそれ以上の温度での完全焼鈍を施して冷
間加工を容易なものにすると共に必要な冷間加工率が確
保されるようにし、次いで打抜き、深絞り、巻線,冷間
鍛造などによって所望の製品形状に加工し、その後水素
ないしは真空とした非酸化性雰囲気中において900〜120
0℃で磁気焼鈍を行うことによって透磁率の向上が実現
されるようにしていた。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来の高透磁率磁性材料の製造方法に
よる場合には、磁気特性とくに透磁率の向上がいまだ十
分でないという課題を有していた。 (発明の目的) 本発明はこのような従来の課題にかんがみてなされた
もので、磁気特性、とくに初透磁率(μi)および最大
透磁率(μm)で表わされる透磁率(μ)が大きな値を
示すPBパーマロイ系の高透磁率磁性材料を提供すること
を目的としている。
【発明の構成】 (課題を解決するための手段) 本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法は、Niが34
重量%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0
重量%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrの
うちから選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%
以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷間加工す
る際の必要に応じて中間焼鈍を行う場合の中間焼鈍温度
を950℃以下にすると共に最終冷間加工率を90%以上に
して磁気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上と
し、磁気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とする構成としたことを特徴としており、このよ
うな高透磁率磁性材料の製造方法の構成を上述した従来
の課題を解決するための手段としている。 本発明が適用される高透磁率磁性材料は、Niが34重量
%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0重量
%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrのうち
から選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%以
下、残部がFeおよび不純物からなるものであるが、この
ような成分組成に限定した理由について説明する。 Ni: Niはこの種のパーマロイ系高透磁率磁性材料にとって
主要な元素であり、34重量%未満ではキュリー点が室温
近くまで低下すると共に、磁気特性の温度依存性が大き
くなるため実用的なものにならず、飽和磁束密度も低い
ものとなるので好ましくなく、65重量%超過では飽和磁
束密度が低下すると共に素材自体のコストが著しく上昇
するので、Ni含有量は34重量%以上65重量%以下の範囲
とした。 Si: Siは溶製時の脱酸成分として添加されるが、Si含有量
が多くなると磁気特性の低下を招くので1.0重量%以下
とする必要がある。 Mn: Mnは溶製時の脱酸・脱硫成分として添加されるが、Mn
含有量が多くなると磁気特性の低下を招くので1.0重量
%以下とする必要がある。 Mo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zr: これらの元素はこの種の高透磁率磁性材料の磁気特性
を向上させるのに有効な元素であるので、これらの1種
または2種以上を必要に応じて添加するのもよい。そし
て、V,Nb,Ta,W,Ti,Zr,Mo,Crは微細な炭化物や窒化物を
形成して結晶粒の一次成長を妨げ、磁気焼鈍時の二次成
長を容易にして結晶粒を粗大化させることにより磁気特
性を改善し、透磁率を向上させる。また、機械的特性や
耐摩耗性を改善し、磁気焼鈍前の硬さがビッカース硬さ
でHv250以上が得られるのを容易にする。さらに、Cuは
電気抵抗を向上し、さらにMoとともにヒステリシスの低
下,最大透磁率の向上に効果がある。 しかし、これらの元素の含有量が、多すぎるとかえっ
て磁気特性を低下させるので、添加するとしてもMo,Cu,
Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrのうちから選ばれる1種または2種
以上の合計で10重量%以下の含有量とすることが必要で
ある。 C: Cは磁気特性の低下を招く元素であるので、その含有
量は少ない方がよく、0.02重量%以下とすることが望ま
しいが、炭化物形成元素が含有されているときには微細
な炭化物を形成して結晶粒の成長時に一次結晶粒成長を
妨げ、二次結晶粒成長を起しやすくして磁気焼鈍後の結
晶粒を粗大化することにより透磁率を向上するのに寄与
すると共に、冷間加工後磁気焼鈍前の硬さがHv250以上
となるのを容易にする。しかし、多すぎると結晶粒粗大
化作用を小さくしてかえって磁気特性の低下を招くの
で、0.035重量%以下とすることが望ましい。 N: Nは溶製時にブローホールを生じたり、磁気特性の低
下を招いたりする元素であるので、その含有量は少ない
方がよく、0.005重量%以下とするのが望ましいが、窒
化物形成元素が含有されているときには微細な窒化物を
形成して結晶粒の成長時に一次結晶粒成長を妨げ、二次
結晶粒成長を起しやすくして磁気焼鈍後に結晶粒を粗大
化することにより透磁率を向上するのに寄与すると共
に、冷間加工後磁気焼鈍前の硬さがHv250以上となるの
を容易にする。しかし、多すぎると結晶粒粗大化作用を
小さくしてかえって磁気特性の低下を招くので0.010重
量%以下とすることが望ましい。 Fe: Feはこの種のパーマロイ系高透磁率磁性材料によって
主要な元素であるので残部とした。 本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法は、上記組
成になるFe−Ni系合金を素材とし、この素材に対して冷
間圧延や冷間引抜きなどの冷間加工を行うに際して最終
冷間加工率が90%以上となるようにし、冷間加工を行い
がたいときや冷間加工率を大きなものとしたいときなど
に必要に応じて中間焼鈍を行う場合には中間焼鈍温度を
950℃以下(下限は中間焼鈍が可能である温度(例えば6
00℃程度)以上)にし、磁気焼鈍前の硬さがビッカース
硬さでHv250以上となるようにしている。この場合、最
終冷間加工率が90%よりも小さいと、磁気焼鈍後に平均
結晶粒径を0.25mm以上のものとするのが困難となる。ま
た、中間焼鈍を行う場合においてその焼鈍温度が950℃
を超えるとその後の冷間加工にとっては有利となるもの
の加工歪が残留しないものとなり、磁気焼鈍後に平均結
晶粒径を0.25mm以上のものとするのが困難となるので、
中間焼鈍温度を950℃以下として、加工歪を残しておく
ことによって磁気焼鈍後に平均結晶粒径が0.25mm以上と
なるようにする。 また、磁気焼鈍前の硬さがビッカース硬さでHv250よ
りも低いと、磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25mm以上と
するのが困難となるので、磁気焼鈍前の硬さをHv250以
上とすることによって磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とするのがより確実なものになるようにする。 このように、冷間加工を行う際の最終冷間加工率を90
%以上とし、冷間加工を行うに際して中間焼鈍を実施す
る必要がある場合には中間焼鈍温度を590℃以下とし、
打抜き、深絞り,巻線,冷間鍛造などを行うことによっ
て製品形状に加工し、磁気焼鈍前の硬さがHv250以上と
した状態で、水素または真空等の非酸化性雰囲気中にお
いて900〜1200℃で磁気焼鈍を行い、ピット炉,連続炉
などの炉中で冷却して所定形状の高透磁率磁性材料を得
る。 これによって、磁気焼鈍後には平均結晶粒径が0.25mm
以上のものが得られるようにし、磁気特性、とくに透磁
率の大きい高透磁率磁性材料を得る。 (発明の作用) 本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法では、所定
の成分組成を有するFe−Ni系素材の冷間加工時における
最終冷間加工率を90%以上にし、冷間加工の際に中間焼
鈍を必要とする場合には中間焼鈍温度を950℃以下と
し、磁気焼鈍前の硬さがHv250以上であるようにし、磁
気焼鈍後の平均結晶粒径が0.25mm以上となるようにして
いるので、結晶粒の粗大化による透磁率の向上が実現さ
れ、磁気特性の優れたものとなる作用がもたらされる。 (実施例) 第1表に示す成分組成の合金を溶製したのち造塊して
各々インゴットとし、各インゴットに対して800〜1350
℃の温度で熱間鍛造を行って厚さ30mmのビレットとし、
続いて800〜1350℃の温度で熱間圧延を行って厚さ2.0mm
の帯板とし、次いで冷間圧延(冷間加工)を行った。そ
して、この冷間圧延に際して中間焼鈍を必要とする場合
に同じく第1表に示す中間焼鈍温度で中間焼鈍を行い、
最終冷間圧延(加工)率を同じく第1表に示す値にして
冷間圧延(冷間加工)を終了し、最終的に厚さ0.10〜0.
50mmの薄帯にした。この冷間圧延後(磁気焼鈍前)の硬
さは同じく第1表に示すとおりであった。 次いで、各薄帯に対し水素気流中で1100℃,2時間の磁
気焼鈍を行い、平均結晶粒径を調べるとともに初透磁率
(μi)および最大透磁率(μm)を測定した、これら
の結果を同じく第1表に示す。 第1表に示すように、本発明の各構成要件を満足する
実施例No.1〜14では、初透磁率および最大透磁率であら
わされる透磁率が大きな値を示していることが認められ
た。これに対して本発明の各構成要件を満足しない比較
例No.1,2では透磁率がかなり少ない値しか有していない
ものであることが認められた。
重量%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0
重量%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrの
うちから選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%
以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷間加工す
る際の必要に応じて中間焼鈍を行う場合の中間焼鈍温度
を950℃以下にすると共に最終冷間加工率を90%以上に
して磁気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上と
し、磁気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とする構成としたことを特徴としており、このよ
うな高透磁率磁性材料の製造方法の構成を上述した従来
の課題を解決するための手段としている。 本発明が適用される高透磁率磁性材料は、Niが34重量
%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0重量
%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrのうち
から選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%以
下、残部がFeおよび不純物からなるものであるが、この
ような成分組成に限定した理由について説明する。 Ni: Niはこの種のパーマロイ系高透磁率磁性材料にとって
主要な元素であり、34重量%未満ではキュリー点が室温
近くまで低下すると共に、磁気特性の温度依存性が大き
くなるため実用的なものにならず、飽和磁束密度も低い
ものとなるので好ましくなく、65重量%超過では飽和磁
束密度が低下すると共に素材自体のコストが著しく上昇
するので、Ni含有量は34重量%以上65重量%以下の範囲
とした。 Si: Siは溶製時の脱酸成分として添加されるが、Si含有量
が多くなると磁気特性の低下を招くので1.0重量%以下
とする必要がある。 Mn: Mnは溶製時の脱酸・脱硫成分として添加されるが、Mn
含有量が多くなると磁気特性の低下を招くので1.0重量
%以下とする必要がある。 Mo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zr: これらの元素はこの種の高透磁率磁性材料の磁気特性
を向上させるのに有効な元素であるので、これらの1種
または2種以上を必要に応じて添加するのもよい。そし
て、V,Nb,Ta,W,Ti,Zr,Mo,Crは微細な炭化物や窒化物を
形成して結晶粒の一次成長を妨げ、磁気焼鈍時の二次成
長を容易にして結晶粒を粗大化させることにより磁気特
性を改善し、透磁率を向上させる。また、機械的特性や
耐摩耗性を改善し、磁気焼鈍前の硬さがビッカース硬さ
でHv250以上が得られるのを容易にする。さらに、Cuは
電気抵抗を向上し、さらにMoとともにヒステリシスの低
下,最大透磁率の向上に効果がある。 しかし、これらの元素の含有量が、多すぎるとかえっ
て磁気特性を低下させるので、添加するとしてもMo,Cu,
Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrのうちから選ばれる1種または2種
以上の合計で10重量%以下の含有量とすることが必要で
ある。 C: Cは磁気特性の低下を招く元素であるので、その含有
量は少ない方がよく、0.02重量%以下とすることが望ま
しいが、炭化物形成元素が含有されているときには微細
な炭化物を形成して結晶粒の成長時に一次結晶粒成長を
妨げ、二次結晶粒成長を起しやすくして磁気焼鈍後の結
晶粒を粗大化することにより透磁率を向上するのに寄与
すると共に、冷間加工後磁気焼鈍前の硬さがHv250以上
となるのを容易にする。しかし、多すぎると結晶粒粗大
化作用を小さくしてかえって磁気特性の低下を招くの
で、0.035重量%以下とすることが望ましい。 N: Nは溶製時にブローホールを生じたり、磁気特性の低
下を招いたりする元素であるので、その含有量は少ない
方がよく、0.005重量%以下とするのが望ましいが、窒
化物形成元素が含有されているときには微細な窒化物を
形成して結晶粒の成長時に一次結晶粒成長を妨げ、二次
結晶粒成長を起しやすくして磁気焼鈍後に結晶粒を粗大
化することにより透磁率を向上するのに寄与すると共
に、冷間加工後磁気焼鈍前の硬さがHv250以上となるの
を容易にする。しかし、多すぎると結晶粒粗大化作用を
小さくしてかえって磁気特性の低下を招くので0.010重
量%以下とすることが望ましい。 Fe: Feはこの種のパーマロイ系高透磁率磁性材料によって
主要な元素であるので残部とした。 本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法は、上記組
成になるFe−Ni系合金を素材とし、この素材に対して冷
間圧延や冷間引抜きなどの冷間加工を行うに際して最終
冷間加工率が90%以上となるようにし、冷間加工を行い
がたいときや冷間加工率を大きなものとしたいときなど
に必要に応じて中間焼鈍を行う場合には中間焼鈍温度を
950℃以下(下限は中間焼鈍が可能である温度(例えば6
00℃程度)以上)にし、磁気焼鈍前の硬さがビッカース
硬さでHv250以上となるようにしている。この場合、最
終冷間加工率が90%よりも小さいと、磁気焼鈍後に平均
結晶粒径を0.25mm以上のものとするのが困難となる。ま
た、中間焼鈍を行う場合においてその焼鈍温度が950℃
を超えるとその後の冷間加工にとっては有利となるもの
の加工歪が残留しないものとなり、磁気焼鈍後に平均結
晶粒径を0.25mm以上のものとするのが困難となるので、
中間焼鈍温度を950℃以下として、加工歪を残しておく
ことによって磁気焼鈍後に平均結晶粒径が0.25mm以上と
なるようにする。 また、磁気焼鈍前の硬さがビッカース硬さでHv250よ
りも低いと、磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25mm以上と
するのが困難となるので、磁気焼鈍前の硬さをHv250以
上とすることによって磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とするのがより確実なものになるようにする。 このように、冷間加工を行う際の最終冷間加工率を90
%以上とし、冷間加工を行うに際して中間焼鈍を実施す
る必要がある場合には中間焼鈍温度を590℃以下とし、
打抜き、深絞り,巻線,冷間鍛造などを行うことによっ
て製品形状に加工し、磁気焼鈍前の硬さがHv250以上と
した状態で、水素または真空等の非酸化性雰囲気中にお
いて900〜1200℃で磁気焼鈍を行い、ピット炉,連続炉
などの炉中で冷却して所定形状の高透磁率磁性材料を得
る。 これによって、磁気焼鈍後には平均結晶粒径が0.25mm
以上のものが得られるようにし、磁気特性、とくに透磁
率の大きい高透磁率磁性材料を得る。 (発明の作用) 本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法では、所定
の成分組成を有するFe−Ni系素材の冷間加工時における
最終冷間加工率を90%以上にし、冷間加工の際に中間焼
鈍を必要とする場合には中間焼鈍温度を950℃以下と
し、磁気焼鈍前の硬さがHv250以上であるようにし、磁
気焼鈍後の平均結晶粒径が0.25mm以上となるようにして
いるので、結晶粒の粗大化による透磁率の向上が実現さ
れ、磁気特性の優れたものとなる作用がもたらされる。 (実施例) 第1表に示す成分組成の合金を溶製したのち造塊して
各々インゴットとし、各インゴットに対して800〜1350
℃の温度で熱間鍛造を行って厚さ30mmのビレットとし、
続いて800〜1350℃の温度で熱間圧延を行って厚さ2.0mm
の帯板とし、次いで冷間圧延(冷間加工)を行った。そ
して、この冷間圧延に際して中間焼鈍を必要とする場合
に同じく第1表に示す中間焼鈍温度で中間焼鈍を行い、
最終冷間圧延(加工)率を同じく第1表に示す値にして
冷間圧延(冷間加工)を終了し、最終的に厚さ0.10〜0.
50mmの薄帯にした。この冷間圧延後(磁気焼鈍前)の硬
さは同じく第1表に示すとおりであった。 次いで、各薄帯に対し水素気流中で1100℃,2時間の磁
気焼鈍を行い、平均結晶粒径を調べるとともに初透磁率
(μi)および最大透磁率(μm)を測定した、これら
の結果を同じく第1表に示す。 第1表に示すように、本発明の各構成要件を満足する
実施例No.1〜14では、初透磁率および最大透磁率であら
わされる透磁率が大きな値を示していることが認められ
た。これに対して本発明の各構成要件を満足しない比較
例No.1,2では透磁率がかなり少ない値しか有していない
ものであることが認められた。
本発明に係る高透磁率磁性材料の製造方法は、Niが34
重量%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0
重量%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrの
うちから選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%
以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷間加工す
る際の必要に応じて中間焼鈍を行う場合の中間焼鈍温度
を950℃以下にすると共に最終冷間加工率を90%以上に
して磁気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上と
し、磁気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とする構成としたから、磁気特性、とくに初透磁
率および最大透磁率であらわされる透磁率の値が大きな
ものとなり、トランス用コア、モーター用コア、リレー
用コア、リレー用鉄心,磁気ヘッド,磁気シールド材,
磁気増幅器等々の素材として優れた高透磁率磁性材料を
提供することが可能であるという著大なる効果がもたら
される。
重量%以上65重量%以下、Siが1.0重量%以下、Mnが1.0
重量%以下、必要に応じてMo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,Ti,Zrの
うちから選ばれる1種または2種以上の合計が10重量%
以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷間加工す
る際の必要に応じて中間焼鈍を行う場合の中間焼鈍温度
を950℃以下にすると共に最終冷間加工率を90%以上に
して磁気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上と
し、磁気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25
mm以上とする構成としたから、磁気特性、とくに初透磁
率および最大透磁率であらわされる透磁率の値が大きな
ものとなり、トランス用コア、モーター用コア、リレー
用コア、リレー用鉄心,磁気ヘッド,磁気シールド材,
磁気増幅器等々の素材として優れた高透磁率磁性材料を
提供することが可能であるという著大なる効果がもたら
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/16 C22C 38/16 H01F 1/14 H01F 1/14 Z
Claims (5)
- 【請求項1】Niが34重量%以上65重量%以下、Siが1.0
重量%以下、Mnが1.0重量%以下、残部がFeおよび不純
物からなる素材を冷間加工する際の最終冷間加工率を90
%以上にして磁気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv25
0以上とし、磁気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒
径を0.25mm以上とすることを特徴とする高透磁率磁性材
料の製造方法。 - 【請求項2】Niが34重量%以上65重量%以下、Siが1.0
重量%以下、Mnが1.0重量%以下、残部がFeおよび不純
物からなる素材を冷間加工する際の中間焼鈍温度を950
℃以下にすると共に最終冷間加工率を90%以上にして磁
気焼鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上とし、磁
気焼鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25mm以上
とすることを特徴とする高透磁率磁性材料の製造方法。 - 【請求項3】Niが34重量%以上65重量%以下、Siが1.0
重量%以下、Mnが1.0重量%以下、Mo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,
Ti,Zrのうちから選ばれる1種または2種以上の合計が1
0重量%以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷
間加工する際の最終冷間加工率を90%以上にして磁気焼
鈍前の硬さをビッカース硬さでHv250以上とし、磁気焼
鈍を施して磁気焼鈍後の平均結晶粒径を0.25mm以上とす
ることを特徴とする高透磁率磁性材料の製造方法。 - 【請求項4】Niが34重量%以上65重量%以下、Siが1.0
重量%以下、Mnが1.0重量%以下、Mo,Cu,Cr,V,Nb,Ta,W,
Ti,Zrのうちから選ばれる1種または2種以上の合計が1
0重量%以下、残部がFeおよび不純物からなる素材を冷
間加工する際の中間焼鈍温度を950℃以下にすると共に
最終冷間加工率を90%以上にして磁気焼鈍前の硬さをビ
ッカース硬さでHv250以上とし、磁気焼鈍を施して磁気
焼鈍後の平均結晶粒径を0.25mm以上とすることを特徴と
する高透磁率磁性材料の製造方法。 - 【請求項5】Cが0.035重量%以下、Nが0.010重量%以
下であることを特徴とする請求項第(3)項または第
(4)項に記載の高透磁率磁性材料の製造方法。
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