JP6686796B2 - Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 - Google Patents
Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6686796B2 JP6686796B2 JP2016165112A JP2016165112A JP6686796B2 JP 6686796 B2 JP6686796 B2 JP 6686796B2 JP 2016165112 A JP2016165112 A JP 2016165112A JP 2016165112 A JP2016165112 A JP 2016165112A JP 6686796 B2 JP6686796 B2 JP 6686796B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic material
- less
- soft magnetic
- alloy
- magnetic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
しかしながら、PCパーマロイは磁気特性に極めて優れるものの、Niを80質量%程度含むことからPBパーマロイ対比で非常に高価であるという欠点がある。それ故、安価なPBパーマロイの磁気特性向上の要望、特に保磁力の値を安定的に4[A/m]以下、更に好ましくは3.5[A/m]以下とする保磁力低減の要望が、コスト低減の観点から顕在化してきている。
[Mn]+100[S]≦0.25・・・式(1)
(式(1)中[ ]は各元素の含有質量%を示す)
C:C≦0.020%
Cは、その存在状態に依らず磁気特性に悪影響を与えるため、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながらCは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.020%とした。より好ましくは0.010%以下である。
Siは、脱酸剤として有効であり、その効果を得るには0.02%以上の添加が必要である。しかしながら、Siの添加量が過剰な場合、磁気特性に悪影響を与えるため、その上限を0.50%とした。より好ましくは0.40%以下である。
Mnは、本発明における重要な元素である。Mnは熱間加工性確保のために0.05%以上の添加が必須である。また、MnはSと結合することで硫化物を形成するが、鋼中に含有されるMn量とS量によって、Mn系硫化物の固溶温度が変化するという特徴がある。一般的に磁気焼鈍温度は1100℃程度であり、この温度で、粒界に析出した微細なMnSが固溶することで、粒界のピン止め効果が無くなり整粗粒が得られる。したがって、固溶温度が1100℃以下のMn系硫化物とする必要があるため、Mnの添加上限を0.20%以下にする。より好ましくは0.15%以下である。なお、上記の効果は、Sの添加量との兼合いで影響を受けるため、式(1)を同時に満足する必要がある。
Pは、その存在状態に依らず磁気特性に悪影響を与えるため、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながら、Pは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.030%とした。より好ましくは0.020%以下である。
Sは、Mn同様に本発明における重要な元素である。しかしながら、過度な添加は熱間加工性を著しく低下させる。また、SはMnと結合することで硫化物を形成する。S量が多いほど形成される硫化物の量が増加し磁気特性に悪影響を与える。
尚、上述のように鋼中に含有されるMn量とS量によって硫化物の固溶温度が変化するという特徴がある。一般的に磁気焼鈍温度は1100℃程度であり、この温度で、粒界に析出した微細なMnSが固溶することで、粒界のピン止め効果が無くなり整粗粒が得られる。したがって、固溶温度が1100℃以下のMn系硫化物とする必要があるため、Sの添加下限を0.0004%以上、添加上限を0.0020%以下にする。より好ましくは0.0015%以下である。なお、上記の効果は、Mnの添加量との兼合いで影響を受けるため、式(1)を同時に満足する必要がある。
Cuは、その存在状態に依らず磁気特性に悪影響を与えるため、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながらCuは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.10%とした。より好ましくは0.05%以下である。
Niは、磁気特性を確保する上で必須となる元素である。その効果を得るには45.0%以上の添加が必要である。一方で添加量が過剰であると磁気特性が劣化するため、その上限を50.0%とした。より好ましくは47.0%以上で49.0%以下である。
Crは、その存在状態に依らず磁気特性に悪影響を与えるため、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながらCrは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.10%とした。より好ましくは0.05%以下である。
Moは、その存在状態に依らず磁気特性に悪影響を与えるため、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながらMoは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.10%とした。より好ましくは0.05%以下である。
Tiは、CやNと結合することで炭化物や窒化物を形成する。Ti系炭化物や窒化物は磁気焼鈍温度である1100℃付近で安定的に存在し、粒界をピン止めするため結晶粒の粗大化を阻害する。したがって、可能な限り低減するのが望ましい。しかしながらTiは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.010%とした。より好ましくは0.005%以下である。
Alは、Nと結合することで窒化物を形成する。Fe−Ni系合金におけるAl系窒化物は磁気焼鈍温度である1100℃以下で固溶し、粒界のピン止めが外れるため整粗粒化が促進される。その効果を得るには0.020%以上の添加が必要である。一方で添加量が過剰であると磁気特性が劣化するため、その上限を0.050%とした。より好ましくは0.020%≦Al≦0.040%である。
Oは、種々の元素と高温でも安定な酸化物系介在物を形成し、磁気特性に悪影響を与える。しかしながらOは製造都合上不可避的に混入するため、磁気特性とのバランスを考慮し上限を0.0030%とした。より好ましくは0.0020%以下である。
Nは、本発明において重要なインヒビターであるAl系窒化物の構成元素であるため所定の量を添加する必要がある。その添加下限は0.0004%である。その一方で、NそのものはFe−Ni系合金の磁気特性を劣化させるため、可能な限り低減するのが望ましい。そこで添加上限を0.0040%とした。より好ましくは0.0030%以下である。
式(1)は、磁気焼鈍温度である1100℃で、粒界に析出した微細なMnSが固溶し、整粗粒化が起こる成分範囲を規定するものである。その効果を得るには、本願に規定するMn量、S量を満たしつつ、かつ式(1)を満たす必要がある。
そしてこのようにして得られた軟磁性素材に、磁気焼鈍を施すことで、本発明の軟磁性材料を得ることができる。
上記工程中の鋳造まま材より、平行部φ4.5×20L、つかみ部M6×10Lのグリーブル試験片を採取し、900〜1200℃での引張に対する絞り量評価を行った。熱履歴は1200℃まで100秒間で昇温し60秒保持した後、所定の温度(具体的には、1200℃.1150℃,1100℃,1050℃,1000℃,950℃,900℃)まで10℃/sで変化させ60s保持後に引張速度50.8mm/sで引張った。その後、破断面の絞り量を測定し、上記温度域での熱間加工性を評価した。その結果、900〜1200℃での絞り量が50%以上であれば合格で「A」判定、50%未満であれば不合格で「C」判定とした。
光輝焼鈍前の軟磁性素材の組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、10mm2の領域を観察領域として、倍率10,000倍で観察し、Mn系硫化物の10mm2当たりの個数を測定した。そして得られた10mm2当たりの個数を以下の基準に従い評価した。
○:Mn系硫化物の10mm2当たりの個数が10個以上(合格)
×:Mn系硫化物の10mm2当たりの個数が10個未満(不合格)
光輝焼鈍前の軟磁性素材の組織を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、粒界におけるAl系窒化物の析出の有無を調査し、以下の基準に従い評価した。
○:粒界への析出が少なくとも1箇所有(合格)
×:粒界への析出無(不合格)
光輝焼鈍後の軟磁性材料の組織を光学顕微鏡にて観察し、倍率25倍×5視野での平均結晶粒径を求積法により求め、以下の基準に従い評価した。
A:平均結晶粒径が250μm以上(合格)
B:平均結晶粒径が200μm以上、250μm未満(合格)
C:平均結晶粒径が200μm未満(不合格)
−:熱間割れにつき評価できず
光輝焼鈍後の組織を光学顕微鏡にて観察し、JIS G 0551に則り、1視野内で最大頻度をもつ粒度番号の粒から3以上異なった粒度番号の粒が偏在し、これらの粒が20%以上の面積を占める状態にあるものを混粒と定義した。そして、混粒でない場合は合格で「A」判定、混粒である場合は不合格で「C」判定とした。尚、熱間割れにつき評価できない場合は「−」とした。
光輝焼鈍を施した後の板材から、外径45mm、内径33mmのリングを作製し、直流磁気測定を実施し、以下の基準に従い評価した。
A:保磁力の値が3.5[A/m]未満(合格)
B:3.5[A/m]以上、4.0[A/m]未満(合格)
C:4.0[A/m]以上(不合格)
−:熱間割れにつき評価できず
これらの結果が表2に示してある。
比較例1は、一般的なPBパーマロイ市中品に相当し、Mn、Alが本発明にて規定する範囲から逸脱している。また式(1)の左辺の値が上限値0.25を上回っている。したがって、インヒビターの効果が得られず、磁気焼鈍後の結晶粒が十分に粗大化せず平均結晶粒径の評価が「C」で、その結果、保磁力の評価が「C」と劣っている。
Claims (4)
- 質量%で、
Si:0.02%≦Si≦0.50%、
Mn:0.05%≦Mn≦0.20%、
S:0.0004%≦S≦0.0020%、
Ni:45.0%≦Ni≦50.0%、
Al:0.020%<Al≦0.050%、
N:0.0004%≦N≦0.0040%、
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
該不可避的不純物として、
C:0.020%以下、
P:0.030%以下、
Cu:0.10%以下、
Cr:0.10%以下、
Mo:0.10%以下、
Ti:0.010%以下、及び、
O:0.0030%以下、
を充足し、
更に下記式(1)を満足することを特徴とするFe−Ni系合金。
[Mn]+100[S]≦0.25・・・式(1)
(式(1)中[ ]は各元素の含有質量%を示す) - 請求項1に記載の合金成分を含有し、組織中にはMn系硫化物が10mm2の観察領域に10個以上含まれており、かつ、結晶粒界にAl系窒化物が析出していることを特徴とするFe−Ni系合金からなる軟磁性素材。
- 請求項1に記載の合金成分を含有し、平均結晶粒径が200μm以上であることを特徴とするFe−Ni系合金からなる軟磁性材料。
- 請求項2に記載の軟磁性素材に磁気焼鈍を施し、平均結晶粒径を200μm以上としたことを特徴とするFe−Ni系合金からなる軟磁性材料の製造方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016165112A JP6686796B2 (ja) | 2016-08-25 | 2016-08-25 | Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016165112A JP6686796B2 (ja) | 2016-08-25 | 2016-08-25 | Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018031061A JP2018031061A (ja) | 2018-03-01 |
JP6686796B2 true JP6686796B2 (ja) | 2020-04-22 |
Family
ID=61305118
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016165112A Active JP6686796B2 (ja) | 2016-08-25 | 2016-08-25 | Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6686796B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2674137B2 (ja) * | 1988-09-26 | 1997-11-12 | 大同特殊鋼株式会社 | 高透磁率磁性材料 |
JP2760013B2 (ja) * | 1989-02-27 | 1998-05-28 | 大同特殊鋼株式会社 | 高透磁率磁性材料の製造方法 |
JPH046249A (ja) * | 1990-04-24 | 1992-01-10 | Nippon Steel Corp | 磁気特性及び表面性状に優れたFe―Ni系磁性合金およびその製造方法 |
JP4240823B2 (ja) * | 2000-09-29 | 2009-03-18 | 日本冶金工業株式会社 | Fe−Ni系パーマロイ合金の製造方法 |
-
2016
- 2016-08-25 JP JP2016165112A patent/JP6686796B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018031061A (ja) | 2018-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6302722B2 (ja) | ばね疲労特性に優れた高強度複相ステンレス鋼線材、及びその製造方法、ならびにばね疲労特性に優れた高強度複相ステンレス鋼線 | |
US20110056589A1 (en) | Iron-nickle alloy | |
JP2006274443A (ja) | 非磁性高硬度合金 | |
JP5872334B2 (ja) | 軟磁性ステンレス鋼細線およびその製造方法 | |
WO2017030063A1 (ja) | 制振性フェライト系ステンレス鋼材および製造方法 | |
JP6777824B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法 | |
JP2010180459A (ja) | 2相ステンレス鋼およびその製造方法 | |
JP6560881B2 (ja) | 極低透磁率ステンレス鋼線材、ならびに耐久性に優れる鋼線、異形線 | |
WO2014157146A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板およびそれを用いた高強度鋼材の製造方法 | |
JP2003301245A (ja) | 析出硬化型軟磁性フェライト系ステンレス鋼 | |
JP2006193779A (ja) | 軟磁性材料 | |
JP6801464B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板 | |
WO2019097691A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP2803522B2 (ja) | 磁気特性および製造性に優れたNi−Fe系磁性合金およびその製造方法 | |
JP4737614B2 (ja) | Fe−Ni系合金板及びFe−Ni系合金板の製造方法 | |
JP6686796B2 (ja) | Fe−Ni系合金、軟磁性素材、軟磁性材料及び軟磁性材料の製造方法 | |
JP3510445B2 (ja) | 軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板 | |
JP2803550B2 (ja) | 磁気特性および製造性に優れたNi−Fe系磁性合金およびその製造方法 | |
JP2021161469A (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
JP2007302972A (ja) | 時効硬化特性に優れた高強度非磁性ステンレス鋼板及びその製造方法 | |
WO2022009483A1 (ja) | 軟磁性部材、その中間体、及びそれらの製造方法、軟磁性部材用合金 | |
JP7506479B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法、並びに電子機器部材 | |
JP6801721B2 (ja) | 軟磁性部品用鋼材、軟磁性部品、及び、軟磁性部品の製造方法 | |
JP2022081452A (ja) | 温熱間鍛造用電磁ステンレス棒状鋼材及び電磁部品 | |
JP2022101237A (ja) | 曲げ性に優れるフェライト-マルテンサイト複相ステンレス鋼およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160826 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20170424 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190620 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200303 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200316 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6686796 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |