JPH0699749B2 - 磁気特性の良好な無方向性電磁鋼板の製造法 - Google Patents
磁気特性の良好な無方向性電磁鋼板の製造法Info
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- JPH0699749B2 JPH0699749B2 JP30187988A JP30187988A JPH0699749B2 JP H0699749 B2 JPH0699749 B2 JP H0699749B2 JP 30187988 A JP30187988 A JP 30187988A JP 30187988 A JP30187988 A JP 30187988A JP H0699749 B2 JPH0699749 B2 JP H0699749B2
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- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
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- C21D8/12—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties
- C21D8/1244—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties the heat treatment(s) being of interest
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、小型トランスや小型モータの鉄心材料等と
して広く用いられている無方向性電磁鋼板の製造方法に
関するものである。
して広く用いられている無方向性電磁鋼板の製造方法に
関するものである。
〈従来技術とその課題〉 一般に、鉄心材料としての電磁鋼板には、発熱による電
力損失を防ぐための低鉄損化と鉄心断面積を小さくする
ための高磁束密度化が強く要求されている。
力損失を防ぐための低鉄損化と鉄心断面積を小さくする
ための高磁束密度化が強く要求されている。
鉄を磁化する際に熱として無駄に消費されるエネルギー
が鉄損で、これは低いほど好ましいことは言うまでもな
い。この鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の2つの要
因に支配される。このうちのヒステリシス損は磁化の過
程において磁壁の移動を妨げる析出物や粒界が少ないほ
ど小さくなるので、ヒステリシス損を低くするには、出
来るだけ高純度の鋼を用い、かつ結晶粒を大きくするこ
とが必要となる。これに対して、渦電流損は磁化によっ
て誘起されるところの渦電流による損失であり、一般的
にはSi等の合金元素を添加して鋼の電気抵抗を増加させ
ると減少する。また、渦電流損に関しては、結晶粒は小
さい方が有利である。なぜなら、結晶粒が小さいと磁壁
の移動距離も小さく、従って発生する渦電流が少なくな
るためである。
が鉄損で、これは低いほど好ましいことは言うまでもな
い。この鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の2つの要
因に支配される。このうちのヒステリシス損は磁化の過
程において磁壁の移動を妨げる析出物や粒界が少ないほ
ど小さくなるので、ヒステリシス損を低くするには、出
来るだけ高純度の鋼を用い、かつ結晶粒を大きくするこ
とが必要となる。これに対して、渦電流損は磁化によっ
て誘起されるところの渦電流による損失であり、一般的
にはSi等の合金元素を添加して鋼の電気抵抗を増加させ
ると減少する。また、渦電流損に関しては、結晶粒は小
さい方が有利である。なぜなら、結晶粒が小さいと磁壁
の移動距離も小さく、従って発生する渦電流が少なくな
るためである。
このように、ヒステリシス損と渦電流損とでは逆の結晶
粒径依存性を示すため、これらをバランスさせた結果と
して100〜200μmの結晶粒径で最適な鉄損値を得られる
ことが知られている。
粒径依存性を示すため、これらをバランスさせた結果と
して100〜200μmの結晶粒径で最適な鉄損値を得られる
ことが知られている。
一方、磁束密度は、一定体積の鉄心にどれだけ多くのエ
ネルギーを詰め込めるかを示す指標で、この値が高いほ
ど鉄心をコンパクト化できるので有利となる。なお、磁
束密度は鉄の割合が多い純鉄ほど高く、“合金元素添加
による低鉄損化”と“高磁束密度化”とは一般に両立し
ない。
ネルギーを詰め込めるかを示す指標で、この値が高いほ
ど鉄心をコンパクト化できるので有利となる。なお、磁
束密度は鉄の割合が多い純鉄ほど高く、“合金元素添加
による低鉄損化”と“高磁束密度化”とは一般に両立し
ない。
ところで、無方向性電磁鋼板のグレードは鉄損値で区分
けされる場合が多く、無方向性電磁鋼板の製造に当って
は、通常、まずグレードに応じてSi添加量が決められ
る。もっとも、SiのほかにAl,Mn及びPも鋼の電気抵抗
を増加し鉄損を低下させる元素として知られており、必
要により補助的に添加される。
けされる場合が多く、無方向性電磁鋼板の製造に当って
は、通常、まずグレードに応じてSi添加量が決められ
る。もっとも、SiのほかにAl,Mn及びPも鋼の電気抵抗
を増加し鉄損を低下させる元素として知られており、必
要により補助的に添加される。
また、MnやPは打ち抜き性向上のための硬度調整を行う
目的で添加される場合が多い。そして、Alは焼鈍時にお
ける結晶粒の成長性と密接な関係があり、「粒成長性に
とっては、Alを含まないか、或いは逆に多量にAlを含む
鋼を用いるのが良い」との事実が知られている。ただ、
実際的にはAlを多量に添加した方が粒成長は安定して良
好な上、電気抵抗の点でも有利なことから、高級グレー
ドでは一般に高Al鋼が用いられている。なお、C,S,N等
の析出物を作り易い不純物元素は可能な限り低減され
る。
目的で添加される場合が多い。そして、Alは焼鈍時にお
ける結晶粒の成長性と密接な関係があり、「粒成長性に
とっては、Alを含まないか、或いは逆に多量にAlを含む
鋼を用いるのが良い」との事実が知られている。ただ、
実際的にはAlを多量に添加した方が粒成長は安定して良
好な上、電気抵抗の点でも有利なことから、高級グレー
ドでは一般に高Al鋼が用いられている。なお、C,S,N等
の析出物を作り易い不純物元素は可能な限り低減され
る。
しかしながら、先にも述べたように、合金元素の添加は
磁束密度の点からは必ずしも望ましいことではなく、最
終焼鈍後の結晶粒を大きくすることも磁束密度低下の原
因となる。つまり、合金元素を添加することは鋼中にお
ける鉄の割合を減らすことを意味するので必然的に磁束
密度の減少を招き、また結晶粒の成長は磁束密度に不利
な結晶方位の発達を促すことにつながるためである。
磁束密度の点からは必ずしも望ましいことではなく、最
終焼鈍後の結晶粒を大きくすることも磁束密度低下の原
因となる。つまり、合金元素を添加することは鋼中にお
ける鉄の割合を減らすことを意味するので必然的に磁束
密度の減少を招き、また結晶粒の成長は磁束密度に不利
な結晶方位の発達を促すことにつながるためである。
このように、低鉄損と高磁束密度化では相矛盾する要因
を含んでいることから、これらを両立させるべく従来か
ら種々の研究が行われてきた。低鉄損化と高磁束密度化
の両立が必要な訳は、折角鉄損の低い材料を作ったとし
ても、磁束密度が低いと所定のエネルギーを詰め込むの
に大きな体積の鉄心が必要となる上、鉄心が大きくなる
とそれに捲く銅コイルも多く必要となり、結果的に銅コ
イルに電流を流したとき発生するジュール熱が増えて鉄
損を下げた効果が打ち消されてしまうことになるからで
ある。
を含んでいることから、これらを両立させるべく従来か
ら種々の研究が行われてきた。低鉄損化と高磁束密度化
の両立が必要な訳は、折角鉄損の低い材料を作ったとし
ても、磁束密度が低いと所定のエネルギーを詰め込むの
に大きな体積の鉄心が必要となる上、鉄心が大きくなる
とそれに捲く銅コイルも多く必要となり、結果的に銅コ
イルに電流を流したとき発生するジュール熱が増えて鉄
損を下げた効果が打ち消されてしまうことになるからで
ある。
そして、鋼板の成分組成に工夫を凝らした上で、無方向
性電磁鋼板を得るための熱間圧延,冷間圧延及び最終焼
鈍工程での条件を適正範囲の結晶粒径を得る上で出来る
だけ有利となるように制御しようとした提案等、数多く
の報告がなされたが、それでも効果とコストの点で十分
に満足できるものを見出せないのが現状である。
性電磁鋼板を得るための熱間圧延,冷間圧延及び最終焼
鈍工程での条件を適正範囲の結晶粒径を得る上で出来る
だけ有利となるように制御しようとした提案等、数多く
の報告がなされたが、それでも効果とコストの点で十分
に満足できるものを見出せないのが現状である。
しかし、原理的には、鉄損と磁束密度の両者を改善する
上で鋼板の結晶方位を制御するのが有効であることが知
られている。即ち、鉄の磁化に不利な{111}や{211}
の方位の結晶粒をできるだけ減らし、逆に磁化に有利な
{100}や{110}の方位を発達させれば良いことであ
る。
上で鋼板の結晶方位を制御するのが有効であることが知
られている。即ち、鉄の磁化に不利な{111}や{211}
の方位の結晶粒をできるだけ減らし、逆に磁化に有利な
{100}や{110}の方位を発達させれば良いことであ
る。
上記結晶方位を制御するのに有望な具体的手段を窺わせ
るものとして、古くから2回冷間圧延法の効果が知られ
ている。これは、1回目と2回目の冷間圧延圧下率の組
合わせや、これらの間に施される中間焼鈍の条件等を変
えることによって適正な結晶方位の発達が認められるよ
うになると言うものである。しかしながら、この方法は
工程が複雑でコスト高となる上、適正条件の範囲が狭い
ことから、工業的には必ずしも有利な方法とはならない
ものと考えられた。
るものとして、古くから2回冷間圧延法の効果が知られ
ている。これは、1回目と2回目の冷間圧延圧下率の組
合わせや、これらの間に施される中間焼鈍の条件等を変
えることによって適正な結晶方位の発達が認められるよ
うになると言うものである。しかしながら、この方法は
工程が複雑でコスト高となる上、適正条件の範囲が狭い
ことから、工業的には必ずしも有利な方法とはならない
ものと考えられた。
また、これとは別に、熱延板を焼鈍して冷延前の初期結
晶粒を大きくすることも最終焼鈍後の結晶方位を制御す
るのに効果的であるとされている。つまり、初期粒が大
きいと冷間圧延時に結晶粒内に“変形帯”と呼ばれるも
のが形成され、そこから磁気特性に有利な方位が発達す
るからである。
晶粒を大きくすることも最終焼鈍後の結晶方位を制御す
るのに効果的であるとされている。つまり、初期粒が大
きいと冷間圧延時に結晶粒内に“変形帯”と呼ばれるも
のが形成され、そこから磁気特性に有利な方位が発達す
るからである。
これを実現するためには熱延板を高温で焼鈍すれば良い
が、箱焼鈍の場合には経済性の点から窒素系のガスが使
われるために吸窒を生じて特性が逆に劣化する。吸窒を
防ぐには連続式の短時間焼鈍を採用すれば良いが、この
場合には粒成長性の点で箱焼鈍より劣るので磁気特性に
不満を残すことになる。
が、箱焼鈍の場合には経済性の点から窒素系のガスが使
われるために吸窒を生じて特性が逆に劣化する。吸窒を
防ぐには連続式の短時間焼鈍を採用すれば良いが、この
場合には粒成長性の点で箱焼鈍より劣るので磁気特性に
不満を残すことになる。
そこで、本発明者等は、発熱による電力損失を防ぐため
の低鉄損化と鉄心断面積を小さくするための高磁束密度
化が強く求められる鉄心材料が置かれている上記現状に
鑑み、低鉄損と高磁束密度とを両立させ、省エネルギー
や小型化と言った社会的要求に十分応え得る無方向性電
磁鋼板を容易かつ安価に量産することが可能な手段を提
供すべく、数多くの実験を重ねながら研究を行った。
の低鉄損化と鉄心断面積を小さくするための高磁束密度
化が強く求められる鉄心材料が置かれている上記現状に
鑑み、低鉄損と高磁束密度とを両立させ、省エネルギー
や小型化と言った社会的要求に十分応え得る無方向性電
磁鋼板を容易かつ安価に量産することが可能な手段を提
供すべく、数多くの実験を重ねながら研究を行った。
〈課題を解決するための手段〉 本発明者等は、上記研究を通じ、無方向性電磁鋼板にお
いて低鉄損と高磁束密度とを両立させるには前述した
“冷間圧延前の初期結晶粒を大きくすることによる結晶
方位制御法”が有望かつ実際的であるとの感触を得、こ
れを基にしてその効果を最大に発揮させるための工業的
手段を求めて更に研究を続けた結果、以下のような知見
を得るに至ったのである。
いて低鉄損と高磁束密度とを両立させるには前述した
“冷間圧延前の初期結晶粒を大きくすることによる結晶
方位制御法”が有望かつ実際的であるとの感触を得、こ
れを基にしてその効果を最大に発揮させるための工業的
手段を求めて更に研究を続けた結果、以下のような知見
を得るに至ったのである。
冷間圧延前の鋼板の初期結晶粒を大きくするには熱延板
をできるだけ高温で焼鈍すれば良いことは冶金学的常識
として理解でき、実際、通常鋼では焼鈍温度に応じた結
晶粒径を得られることが知られている。しかしながら、
無方向性電磁鋼板の場合には、吸窒の観点から焼鈍温度
が通常850℃以下に制限されている(無方向性電磁鋼板
においては析出物を作り易いNを出来るだけ低減する必
要のあることは前述した通りである)。
をできるだけ高温で焼鈍すれば良いことは冶金学的常識
として理解でき、実際、通常鋼では焼鈍温度に応じた結
晶粒径を得られることが知られている。しかしながら、
無方向性電磁鋼板の場合には、吸窒の観点から焼鈍温度
が通常850℃以下に制限されている(無方向性電磁鋼板
においては析出物を作り易いNを出来るだけ低減する必
要のあることは前述した通りである)。
また、一般に鋼を窒素系雰囲気中で焼鈍する時の吸窒
は、鋼中のsol.Al量に強く支配されることが知られてい
る。これは、鋼中にsol.Alが存在するとNが侵入しAlN
として析出するため、言わばAlがNを呼び込む恰好で吸
窒量が増えることによるものである。
は、鋼中のsol.Al量に強く支配されることが知られてい
る。これは、鋼中にsol.Alが存在するとNが侵入しAlN
として析出するため、言わばAlがNを呼び込む恰好で吸
窒量が増えることによるものである。
これに対して、sol.Alを含まない鋼は原理的に吸窒し難
いので、吸窒が嫌われる用途のものであっても窒素系雰
囲気中での高温焼鈍が可能である。
いので、吸窒が嫌われる用途のものであっても窒素系雰
囲気中での高温焼鈍が可能である。
この場合、実質的にsol.Alを含まない無方向性電磁鋼板
用材を850℃以上の温度で十分に焼鈍すると、不本意な
吸窒を生じることなく急激に結晶粒が大きくなって著し
い磁気特性の改善効果が見られる。そして、このような
異常粒成長が生じる理由は、高温における十分な焼鈍中
にMnS等の析出物が粗大化し、該析出物による粒界移動
阻止効果が急激に減少するためであると考えられる。
用材を850℃以上の温度で十分に焼鈍すると、不本意な
吸窒を生じることなく急激に結晶粒が大きくなって著し
い磁気特性の改善効果が見られる。そして、このような
異常粒成長が生じる理由は、高温における十分な焼鈍中
にMnS等の析出物が粗大化し、該析出物による粒界移動
阻止効果が急激に減少するためであると考えられる。
本発明は上記知見等に基づいてなされたものであり、 「C:0.01%以下(以降、成分割合を表わす%は重量%と
する), Si:3.5%以下,Mn:0.2〜1.5%, P:0.15%以下,S:0.015%以下, sol.Al:0.01%以下 で、残部が実質的にFeより成る鋼を熱間圧延した後表面
のスケールを除去し、次いで露点が0℃以下の非酸化性
雰囲気中において850〜1000℃で0.5〜20時間の焼鈍を施
すことにより、磁気特性の良好な(低鉄損で高磁束密度
の)無方向性電磁鋼板を簡単かつ安定に、しかもコスト
安く製造し得るようにした点」 を特徴としている。
する), Si:3.5%以下,Mn:0.2〜1.5%, P:0.15%以下,S:0.015%以下, sol.Al:0.01%以下 で、残部が実質的にFeより成る鋼を熱間圧延した後表面
のスケールを除去し、次いで露点が0℃以下の非酸化性
雰囲気中において850〜1000℃で0.5〜20時間の焼鈍を施
すことにより、磁気特性の良好な(低鉄損で高磁束密度
の)無方向性電磁鋼板を簡単かつ安定に、しかもコスト
安く製造し得るようにした点」 を特徴としている。
続いて、本発明において無方向性電磁鋼板の製造条件を
前記の如くに限定した理由を、その裏付けとなった作用
等と共に説明する。
前記の如くに限定した理由を、その裏付けとなった作用
等と共に説明する。
A)素材鋼の成分組成 C Cはセメンタイト(Fe3O)等の炭化物系析出物を増加さ
せ磁気特性を劣化させるので、その含有量を0.01%以下
にする必要がある。なお、時効による特性劣化を完全に
防止するためには、C含有量は0.005%以下に抑えるの
が望ましい。
せ磁気特性を劣化させるので、その含有量を0.01%以下
にする必要がある。なお、時効による特性劣化を完全に
防止するためには、C含有量は0.005%以下に抑えるの
が望ましい。
Si Siは、鋼の電気抵抗を上げて渦電流損を低減するのに有
効で、電磁鋼板の所望グレードに応じて添加される。し
かしながら、3.5%を超えて含有させると鋼の冷間加工
性が劣化して圧延が難しくなることから、Si含有量は3.
5%以下と定めた。
効で、電磁鋼板の所望グレードに応じて添加される。し
かしながら、3.5%を超えて含有させると鋼の冷間加工
性が劣化して圧延が難しくなることから、Si含有量は3.
5%以下と定めた。
Mn Mnは、Sによる鋼の熱間脆性防止並びに鋼板の硬度調整
のために添加されるほか、電気抵抗を上げる作用をも有
している。しかしながら、Mn含有量が0.2%未満である
とSによる熱間脆性を生じる恐れがあり、一方、1.5%
を超えて含有させると粗成長性が極端に劣化するように
なることから、Mn含有量は0.2〜1.5%と定めた。
のために添加されるほか、電気抵抗を上げる作用をも有
している。しかしながら、Mn含有量が0.2%未満である
とSによる熱間脆性を生じる恐れがあり、一方、1.5%
を超えて含有させると粗成長性が極端に劣化するように
なることから、Mn含有量は0.2〜1.5%と定めた。
P Pも鋼板の硬度調整及び電気抵抗上昇の目的で添加され
るが、その含有量が0.15%を超えると冷間圧延性の劣化
を招くことから、P含有量は0.15%以下と定めた。
るが、その含有量が0.15%を超えると冷間圧延性の劣化
を招くことから、P含有量は0.15%以下と定めた。
S Sは硫化物系析出物を形成して粒成長性及び磁気特性を
劣化させるので、S含有量を0.015%以下に制限する必
要がある。なお、S含有量は低いほど好ましく、出来れ
ば0.005%以下に抑えることが望ましい。
劣化させるので、S含有量を0.015%以下に制限する必
要がある。なお、S含有量は低いほど好ましく、出来れ
ば0.005%以下に抑えることが望ましい。
sol.Al sol.Al含有量の規制は本発明における重要な要件の1つ
である。即ち、sol.Al含有量を低減することにより熱延
板焼鈍温度を高温とした場合でも吸窒を生じることがな
くなるので、吸窒を防ぎつつ結晶粒を十分に粗大化し、
磁気特性を飛躍的に改善することが可能となる。しかし
ながら、sol.Al含有量が0.01%を超えると上記効果が損
なわれることから、sol.Al含有量は0.01%と限定した。
である。即ち、sol.Al含有量を低減することにより熱延
板焼鈍温度を高温とした場合でも吸窒を生じることがな
くなるので、吸窒を防ぎつつ結晶粒を十分に粗大化し、
磁気特性を飛躍的に改善することが可能となる。しかし
ながら、sol.Al含有量が0.01%を超えると上記効果が損
なわれることから、sol.Al含有量は0.01%と限定した。
B)処理条件 熱延板は酸洗等により表面スケールを除去する必要があ
る。これは、圧延のままミルスケールが存在していると
焼鈍の際にスケールが還元される場合があり、この還元
が起きた後では脱スケールが著しく困難となる上、スケ
ールと地鉄の界面が活性化されて焼鈍の間に内部酸化を
生じ易くなるためである。
る。これは、圧延のままミルスケールが存在していると
焼鈍の際にスケールが還元される場合があり、この還元
が起きた後では脱スケールが著しく困難となる上、スケ
ールと地鉄の界面が活性化されて焼鈍の間に内部酸化を
生じ易くなるためである。
熱延板の焼鈍に際しては、先ず雰囲気を非酸化性とする
必要がある。これは、鋼板表面が酸化すると後工程で再
度酸洗する必要が生じるからである。
必要がある。これは、鋼板表面が酸化すると後工程で再
度酸洗する必要が生じるからである。
また、焼鈍雰囲気の露点が0℃を超えると内部酸化を生
じて磁気特性が劣化するので、焼鈍雰囲気の露点を0℃
以下と規制した。
じて磁気特性が劣化するので、焼鈍雰囲気の露点を0℃
以下と規制した。
焼鈍温度は、850℃未満では飛躍的な特性改善に必要な
結晶粒径が得られず、一方、1000℃を超える温度で焼鈍
してもその効果が飽和する上、焼鈍炉の寿命が短くなる
等の障害が増える。従って、焼鈍温度を850〜1000℃と
定めた。
結晶粒径が得られず、一方、1000℃を超える温度で焼鈍
してもその効果が飽和する上、焼鈍炉の寿命が短くなる
等の障害が増える。従って、焼鈍温度を850〜1000℃と
定めた。
そして、焼鈍時の均熱時間を0.5〜20時間と限定したの
は、均熱時間が0.5時間未満では十分な結晶粒成長が起
こらず、一方、20時間を超えて均熱しても効果が飽和し
てしまうからである。
は、均熱時間が0.5時間未満では十分な結晶粒成長が起
こらず、一方、20時間を超えて均熱しても効果が飽和し
てしまうからである。
なお、焼鈍は、十分な粒成長を行わしめるとの観点から
箱焼鈍とするのが適当である。
箱焼鈍とするのが適当である。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明する。
〈実施例〉 まず、第1表に示す如き成分組成を有する2.3mm厚の熱
延鋼板を準備した。
延鋼板を準備した。
次いで、この熱延鋼板を酸洗してミルスケールを完全に
除去した後、露点を−30〜+30℃に 調整した〔25%H2-75%N2〕の雰囲気中において750〜10
00℃で0.1〜20時間均熱して焼鈍した。
除去した後、露点を−30〜+30℃に 調整した〔25%H2-75%N2〕の雰囲気中において750〜10
00℃で0.1〜20時間均熱して焼鈍した。
その後、上記各熱延鋼板を0.5mm厚にまで冷間圧延し、
更に950℃で1分の短時間再結晶焼鈍を施してから30mm
幅×100mm長の試験片に打ち抜き、単板磁気測定器で磁
気特性を測定した。
更に950℃で1分の短時間再結晶焼鈍を施してから30mm
幅×100mm長の試験片に打ち抜き、単板磁気測定器で磁
気特性を測定した。
この結果を、熱延板焼鈍温度,熱延板焼鈍時間及び熱延
板焼鈍雰囲気の露点で整理し第1図乃至第3図に示し
た。
板焼鈍雰囲気の露点で整理し第1図乃至第3図に示し
た。
第1図乃至第3図に示される結果からも、本発明で規定
した条件通りに製造された無方向性電磁鋼板は鉄損及び
磁束密度が共に優れており、良好な磁気特性が備わって
いることが明らかであるのに対して、製造条件が本発明
の規定から外れているものでは磁気特性に劣ることが分
かる。
した条件通りに製造された無方向性電磁鋼板は鉄損及び
磁束密度が共に優れており、良好な磁気特性が備わって
いることが明らかであるのに対して、製造条件が本発明
の規定から外れているものでは磁気特性に劣ることが分
かる。
〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、従来は難しか
った低鉄損化と高磁束密度化が両立された無方向性電磁
鋼板を簡単かつ安定に製造することが可能となり、電力
損失の少ない小型の鉄心として好適な材料を工業的にコ
スト安く提供できるなど、産業上極めて有用な効果がも
たらされる。
った低鉄損化と高磁束密度化が両立された無方向性電磁
鋼板を簡単かつ安定に製造することが可能となり、電力
損失の少ない小型の鉄心として好適な材料を工業的にコ
スト安く提供できるなど、産業上極めて有用な効果がも
たらされる。
第1図乃至第3図は、実施例で得られた無方向性電磁鋼
板の磁気特性測定結果を示したグラフであり、第1図は
鋼種と熱延板焼鈍温度で整理した結果を、また第2図は
熱延板焼鈍時間で整理した結果を、そして第3図は熱延
板焼鈍雰囲気の露点で整理した結果をそれぞれ示してい
る。
板の磁気特性測定結果を示したグラフであり、第1図は
鋼種と熱延板焼鈍温度で整理した結果を、また第2図は
熱延板焼鈍時間で整理した結果を、そして第3図は熱延
板焼鈍雰囲気の露点で整理した結果をそれぞれ示してい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−214128(JP,A) 特開 昭58−164724(JP,A) 特公 昭58−31367(JP,B2)
Claims (1)
- 【請求項1】重量割合にて C:0.01%以下,Si:3.5%以下, Mn:0.2〜1.5%,P:0.15%以下, S:0.015%以下,sol.Al:0.01%以下 で、残部が実質的にFeより成る鋼を熱間圧延した後表面
のスケールを除去し、次いで露点が0℃以下の非酸化性
雰囲気中において850〜1000℃で0.5〜20時間の焼鈍を施
すことを特徴とする、磁気特性の良好な無方向性電磁鋼
板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30187988A JPH0699749B2 (ja) | 1988-11-29 | 1988-11-29 | 磁気特性の良好な無方向性電磁鋼板の製造法 |
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