JPH07545Y2 - 推力分散装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、地中に推進埋設される小口径軟質ダクトの推
力分散装置に係る。

〈従来技術〉 地中に軟質ダクトを推進する工法としては、先端に軟質
ダクトよりやや大きい径を有する刃口に立坑内に据付
け、刃口後部にはジャッキ推力を刃口に伝達賦与する鋼
管を強着し、軟質ダクトは鋼管と同様にその先端を刃口
後部に緊結して鋼管を被覆するように設け、該鋼管の尾
端に当接した元押しジャッキを作動させることにより順
次地中に推進させていく方法が採用されている。

軸圧縮力の弱い軟質ダクトの推力伝達手段としては、上
記のように刃口後部に緊結して牽引する方法や鋼管と共
に立坑側より１部直接ジャッキ推力をかけて押し込む方
法が一般的に用いられている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 従来技術による軟質ダクトの推力伝達手段である牽引は
押し込み方法は、例えば押し込み方法では、立坑内の鋼
管および軟質ダクトの尾端に当輪を当接し、推進ジャッ
キの推力を鋼管と軟質ダクトに伝達し推進を行っている
が、推進延長の増加に伴なって推力が大きくなると、鋼
管と共に軟質ダクトにも大きな推力が加わり、軟質ダク
トが破損することが多々あり、軟質ダクトの軸圧縮力に
よって最大推力が限定され、長延長の推進が困難となっ
ているのが現状である。また刃口後部より牽引する方法
においても推進延長の増加に伴なって、軟質ダクトの牽
引力の増加が刃口後部の緊結部に集中して作用するため
牽引部における破損が発生している。

〈問題点を解決するための手段および方法〉 従来技術による軟質ダクトへの推力集中を防止するため
に、本考案では、軟質ダクト全長にわたって推力を分散
伝達する方法に着眼し、その装置を提供するものであ
る。

その推力分散方法としては、定尺鋼管外部の複数箇所に
該鋼管と着設し軟質ダクトに内接するように設けた膨張
リングに気体または液体を供給して膨張させ、複数の膨
張リングと軟質ダクトに摩擦力を発生させ、鋼管に前進
に伴って軟質ダクトも摩擦力によって牽引していく方法
である。このようにして１本の定尺鋼管で１本の軟質ダ
クトを牽引する方法により、推進延長の増加に伴う各軟
質ダクトへの推力増加はなくなり、１ケ所への推力集中
もなくなった。

〈実施例〉 本考案による１実施例を第１図および第２図に示し、具
体的に説明する。

本考案による装置は、先端切羽掘削土を立坑側へ搬送さ
せるオーガースクリュー６を内装した定尺により成る鋼
管２を先端刃口（図示省略）に着設する。定尺鋼管２の
外側には、該鋼管２を被覆するように略同長の軟質ダク
ト１が設けられている。定尺鋼管２の外周で両端よりも
少し内側の前後２箇所には固定具３が鋼管２に固着さ
れ、該固定具３部には膨張リング４が外側軟質ダクト１
の両端よりも少し内側に内接するように着設されてい
る。さらに各膨張リング４を膨張させるために気体また
は液体を供給するための連結パイプ５が接続されてい
る。

本推力分散装置を用いた実施例について説明すると、上
記装置が立坑内に設置される。設置が終わると気体また
は液体が連結パイプ５に供給され、各膨張リング４内に
入り該リング４を膨張させ、外側軟質ダクト１の内面に
密着し、支持する。次にオーガースクリュー６を回転さ
せて先端刃口部の掘削及び掘削土の搬送を行なうと共
に、刃口に着設された鋼管２の尾端に元押ジャッキ推力
が伝達され、刃口及び鋼管２は地中へと推進されてい
く。この時外側軟質ダクト１は、膨張リング４の摩擦力
により牽引され、刃口、鋼管２に共に前進していく。１
本目の推進が完了すると、２本目の推力分散装置が設
置、接続され、前記と同様に気体または液体が連結パイ
プ５を通じて１本目、２本目の各膨張リング４に供給さ
れる。各軟質ダクト１は、被覆した各鋼管２の膨張リン
グ４により内面を圧着し支持される。そしてオーガース
クリュー６を回転させながら２本目鋼管２尾端にジャッ
キを推力を伝達させ推進を行う。このようにして順次上
記作業を繰り返しながら推進を終了し、終了後、連結パ
イプ５より気体または液体圧を開放し、膨張リング４を
縮少させた後、先端刃口や鋼管２及びオーガースクリュ
ー６を撤去し、軟質ダクト１の推進を完了する。

このように１本分の軟質ダクト１は、被覆した１本の鋼
管２内の膨張リング４の摩擦力によって牽引されていく
機構となっており、推進延長の増加に伴って１本の軟質
ダクト１にかかる牽引力の増加はなく一定した小さなも
ので十分である。

なお、１本の鋼管２内に設置される膨張リング４の数
は、本実施例においては２箇としたが、土質に応じて推
力算出し、増加させることが可能であり、また、軟質ダ
クト１の許容内部圧力内で気体または液体圧の圧力調整
により行うことも可能である。

〈考案の効果〉 本実施例は、１本分の軟質ダクトは、被覆した１本分の
鋼管内の膨張リングによって牽引されていく推力分散機
構であり、推進延長の増加に関係なく一定した牽引力で
十分となり、軟質ダクトの破損は皆無となった。さらに
軟質ダクトの軸圧縮力で推進延長の制約をうけることが
なくなり、長延長の推進を可能とした。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の推力分散装置の使用状況を示す縦断
面説明図。第２図は、第１図のＡ−Ａ断面図を示す。 なお、図中７は軟質ダクト継手。８は鋼管継手を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】元押しジャッキ推力を先端刃口に賦与する
   鋼管を推進し、該鋼管を被覆するように設けた軟質ダク
   トを先端刃口に緊結して牽引または一部直接推力を与え
   て推進埋設する工法において、オーガースクリューを内
   装した定尺より成る鋼管と、該定尺鋼管外周で両端より
   も内側の複数個所にリング上の固定具により鋼管と着設
   し軟質ダクトの両端よりも内側に内接するように設けた
   膨張リングと、各膨張リングを膨張させるために気体ま
   たは液体を供給する連結パイプより構成されていること
   を特徴とした推力分散装置。