JP2000054786A - 曲線用特殊中押装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】推進管列の中間部分に分散させる中押装置に関
し、特に曲線推進工法において曲線区間をスムーズに通
過することが出来る曲線用特殊中押装置を提供する。 【解決手段】前方先端部に小径した段差部３を有し後方
に長い筒状の前方環体を延長してなる外筒２の段差部を
前方の標準推進管２２のカラーに挿入し、前後両端にリ
ング状のフランジを有した筒状の中間環体よりなる内筒
５を外筒内に内接するように設置し、内筒に複数本の中
押ジャッキ９を装備し、前方にリング状のフランジを有
した筒状の筒体よりなる継手筒１１のフランジを内筒の
後方フランジ７に固設し、前方先端部を小径した段差部
を有し後方に筒状の後方環体を延長してなる後部筒１４
の段差部を推力伝達材を介して継手筒のフランジに当接
した構成で、曲線区間でも継手筒部でも屈曲を可能とす
るとともに推進施工完了後に内筒を回収可能とした曲線
用特殊中押装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、推進工法におい
て、掘進機及び推進管列を推進埋設するための推進力を
推進管列の最後端に集中させることなく、推進管列の中
間部分に分散させる中押装置に関し、特に曲線推進工法
において曲線区間をスムーズに通過することができる曲
線用中押装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】推進工法は、先端の掘進機により切羽を
掘削しながら推進管を地中に前進させていく方法であ
り、掘進機及び推進管を前進させるための推進力は、発
進立坑内に装備した元押ジャッキによって行われ、元押
ジャッキの加圧は推進管の最後端面に作用させる。推進
力は推進管外周と周辺地盤との摩擦抵抗力であり、推進
距離に比例して大きくなっていく。このため推進延長が
長くなってくると推進力が徐々に大きくなり、推進管の
軸方向耐荷力を越える力が作用するため、推進管列の途
中継手部に予め複数の中押ジャッキを装備して推進力を
分散させ、推進管の最後端にかかる推進力を低減する中
押装置が用いられている。

【０００３】中押装置の構成としては、図５に示すよう
に前方の標準推進管の後端に固着した筒状のカラー内
に、先端部を小径した段差部を有し後方に長い環体を延
長した第１推進管Ｓの先端段差部を嵌挿する。環体の内
周には、円周方向に複数個の中押ジャッキが均等に配設
されて環体の内壁に金具により固定されている。さらに
先端部を小径した長い段差部を有し、後方に次の標準推
進管の小径した段差部が嵌挿できるカラーを備えた第２
推進管Ｔが、前記環体内に嵌挿されてリング状の当輪を
介して中押ジャッキの後端に当接する構成となってい
る。中押ジャッキの伸縮長としては、できるだけ長いス
トローク長を有している方が１回での押し込み距離が多
くなり推進効率は良好であるが、ジャッキのストローク
を長くすると、第１推進管Ｓの環体長が、ジャッキの高
さ分及びストローク分、そして第２推進管Ｔとの重なり
分を含めた長さが必要となり、非常に長くなること、ま
た、中押装置全体の長さも長くなるという問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記した推進工法の中
押ジャッキにより、掘進機や推進管を推進埋設するため
の推進力を、推進管列の途中に設けた中押装置により分
散できるため、推進管列の最後端にかかる推進力は比較
的小さな推進力ですみ、長延長の推進施工を可能とし
た。また、近年、長延長の推進施工に加え、曲線推進を
含む推進計画が多く採用されるようになってきた。この
ため、曲線推進では中押装置の全長をできる限り小さく
するために中押ジャッキのストローク長を短くしたジャ
ッキが用いられて、曲線形成を容易にする方法がとられ
ている。しかし、急曲線推進を含む長延長の推進施工の
場合、曲線区間で中押装置が計画曲線を形成するために
は、中押ジャッキ後方と当輪の間に挿入されたクッショ
ン材部分でも折れ角の形成が必要となるが、後方に長く
延長された第１推進管Ｓの環体と第２推進管Ｔの段差部
との空隙が小さいために直ぐに密着した状態となり、計
画曲線の形成が困難になるという問題がある。

【０００５】このため、本発明は急曲線推進施工でも容
易に計画曲線に沿って曲線形成が行える中押装置を提供
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、推進
工法で推進管の最後端面に集中して作用する推進力を分
散させるための中押装置において、前方先端部に小径し
た段差部を有し後方に長い筒状の前方環体を延長してな
る外筒の段差部を前方の標準推進管のカラーに挿入し、
前後両端にリング状のフランジを有した筒状の中間環体
よりなる内筒を前記外筒内に内接するように設置し、前
記内筒に複数本の中押ジャッキを装備し、前方にリング
状のフランジを有した筒状の筒体よりなる継手筒のフラ
ンジを前記内筒の後方フランジに固設し、前方先端部を
小径した段差部を有し後方に筒状の後方環体を延長して
なる後部筒の段差部を推力伝達材を介して継手筒のフラ
ンジに当接した構成で、曲線区間でも継手筒部でも屈曲
を可能とするとともに推進施工完了後に内筒を回収可能
とした曲線用特殊中押装置である。

【０００７】外筒の先端部に設けられる段差部の外径
は、前方の標準推進管の後端に固設されたカラーの内径
よりやや小さくした径で製作されて、カラー内に嵌挿さ
れる。後方に延長して設けられる筒状の前方環体の長さ
は、内筒の長さや推進完了後の内筒回収時の後部筒の段
差部の長さをもとに決定される。

【０００８】内筒は、外筒の環体内径よりやや小さく製
作されて外筒内に設置できる大きさとなっている。筒状
の中間環体内には、中押ジャッキが収納できる長さで、
円周方向に均等に配設される。中押ジャッキの後端は、
後部のフランジに当接させ、中押ジャッキの頭部は、前
部のフランジに中押ジャッキ頭部部分が当たらないよう
に切り欠き、壁面に直にジャッキ頭部が当たる構造とな
っている。内筒は、複数箇所で分割できる構造となって
おり、推進完了後に緊結ボルトを取り外して回収可能な
構造となっている。

【０００９】内筒の後方フランジと継手筒のフランジの
固設は、皿ボルト等によって強固に緊結される。継手筒
の筒体の長さは、通常の標準推進管のカラーとほぼ同じ
長さで製作され、継手部での屈曲が容易な構造となって
いる。

【００１０】後部筒の段差部は、前記継手部の筒体内径
よりもやや小さく製作されて、継手筒内に挿入されて推
力伝達材を介して継手筒のフランジに当接される。後部
筒の後方環体の長さは、後方に接続される標準推進管の
段差部が挿入できる長さが必要で、推進管のカラーとほ
ぼ同じ長さで製作されている。

【００１１】本発明の曲線用特殊中押装置は、中押ジャ
ッキを前方の外筒内に設置せず、外筒内に設けた内筒に
設置することにより外筒の前方環体を従来より短くする
とともに、内筒後部の継手筒部で屈曲可能な構造とした
ため、中押装置の中間部で折れ角が形成され、急曲線の
推進施工も正確な曲線推進埋設ができる。また、推進完
了後に、内筒の回収が行え、再利用が可能となるととも
に、中押装置全体の長さも小さくでき、内部の仕上げ面
も小さくなって経済的となる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は、本発明の曲線用特殊中押装
置全体を説明する縦断面図である。標準推進管２２後端
に固着されたカラー２１内に、前方先端部を小径した段
差部３を有し後方に長い筒状の前方環体４を延長してな
る外筒２の段差部３を挿入する。外筒２内には、環体４
の内径よりやや小さな径よりなる中間環体８の前後両端
にフランジ６、７を設けた内筒５が設置される。内筒５
の内周には、複数本の中押ジャッキ９が後部のフランジ
７に当接するように固定金具１０で支持されている。内
筒５の後方のフランジ７と前方にリング状のフランジ１
２を有した筒状の筒体１３よりなる継手筒１１のフラン
ジ１２とは、皿ボルト等（図示省略）で緊結して固定さ
れる。継手筒１１の筒体１３内には、前方先端部を小径
した段差部１５を有し後方に筒状の後方環体１６を延長
してなる後部筒１４の段差部１５が挿入されて、推力伝
達材１７を介して継手筒１１のフランジ１２に当接され
ている。後部筒１４の後方環体１６内には、標準推進管
２２の段差部を挿入して接続されている。

【００１３】内筒５の中間環体８の長さは、装備する中
押ジャッキ９の長さによって変化させ、中押ジャッキ９
の縮小時の長さよりやや長くして、通常の推進時には中
押ジャッキ９に推進力が作用しない構造となっている。
本曲線用特殊中押装置１の曲線区間通過時は、外筒２の
先端、継手筒１１の筒体１３部及び後部筒１４の後方環
体１６部で折れ角が形成でき、計画曲線に沿った曲線形
成が行える。

【００１４】外筒２と内筒５，外筒２と継手筒１１、継
手筒１１と後部筒１４の間隙には、外部からの地下水等
の侵入を防止する止水材が設置されている。止水材１８
としては通常用いられているゴム材が使用される。

【００１５】図２は、曲線用特殊中押装置の内筒を説明
する正面図である。内筒５は、複数箇所に分割して回収
可能にし、使用時は継手フランジ２０をボルト１９等で
緊結することにより一体化して用いられる。中間環体８
の前端に設けられるフランジ６は、中押ジャッキ９部を
切り欠いて中押ジャッキ９のヘッドが外筒２の壁面に当
接する構造となっている。

【００１６】図３は、本発明の曲線用特殊中押装置の稼
働状況を説明する縦断面図である。中押ジャッキ９の伸
長により中押ジャッキ９のヘッドが前方に伸び、内筒５
のフランジ６の切り欠きを通り外筒２の壁面を加圧し外
筒２を前方へと押し出す。中押ジャッキ９の伸長が完了
すると、ジャッキ９が縮小されて内筒５内に収納され、
後方の中押装置または元押装置からの推進力が後部筒１
４及び継手筒１１を経て内筒５に伝達されて、内筒５の
前端のフランジ６が外筒２の壁面に当接する。

【００１７】図４は、推進完了後の曲線用特殊中押装置
を説明する縦断面図である。推進完了後に中押ジャッキ
９が撤去され、次ぎに内筒２が分割して回収される。内
筒の回収が終わると、後方の標準推進管２２より推進力
が伝達されて後部筒１４及び継手筒１１が前方に押し出
し、外筒２の壁面に継手筒１１のフランジ１２を当接さ
せて収納を完了する。

【発明の効果】以上のように、本発明の曲線用特殊中押
装置により、中押ジャッキのストロークを長くとっても
内筒の中間環体８の長さがジャッキの高さ分だけ増加す
るだけで、従来のように外筒の前方環体を非常に長くす
る必要がなく、装置全長を短くすることができ、曲線形
成に有効となるとともに、中押ジャッキの頻繁な伸縮操
作が少なくなり効率的である。また、内筒後方に継手筒
を設けることにより、中押装置の中間部で折れ角が形成
できるようになり、急曲線の推進施工でも容易に正確な
曲線を形成できる。

【００１８】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の曲線用特殊中押装置全体を説明する縦
断面図である。

【図２】曲線用特殊中押装置の内筒を説明する正面図で
ある。

【図３】本発明の曲線用特殊中押装置の稼働状況を説明
する縦断面図である。

【図４】推進完了後の曲線用特殊中押装置を説明する縦
断面図である。

【図５】従来技術における中押装置を説明する縦断面図
である。

【符号の説明】

１ 曲線用特殊中押装置 ２ 外筒 ３ 外筒の段差部 ４ 前方環体 ５ 内筒 ６ 前部フランジ ７ 後部フランジ ８ 中間環体 ９ 中押しジャッキ １０ 固定金具 １１ 継手筒 １２ フランジ １３ 筒体 １４ 後部筒 １５ 後部筒の段差部 １６ 後方環体 １７ 推力伝達材 １８ 止水材 １９ ボルト ２０ 継手フランジ ２１ カラー ２２ 標準推進管 ２３ 第１推進管Ｓ ２４ 第２推進管Ｔ ２５ 第１推進管Ｓの環体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】推進工法で推進管の最後端面に集中して作
   用する推進力を分散させるための中押装置において、前
   方先端部に小径した段差部を有し後方に長い筒状の前方
   環体を延長してなる外筒の段差部を前方の標準推進管の
   カラーに挿入し、前後両端にリング状のフランジを有し
   た筒状の中間環体よりなる内筒を前記外筒内に内接する
   ように設置し、前記内筒に複数本の中押ジャッキを装備
   し、前方にリング状のフランジを有した筒状の筒体より
   なる継手筒のフランジを前記内筒の後方フランジに固設
   し、前方先端部を小径した段差部を有し後方に筒状の後
   方環体を延長してなる後部筒の段差部を推力伝達材を介
   して継手筒のフランジに当接した構成で、曲線区間でも
   継手筒部でも屈曲を可能とするとともに推進施工完了後
   に内筒を回収可能としたことを特徴とする曲線用特殊中
   押装置