JPH0753269Y2 - グロメット付きコネクタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車内配線に使用するグロメット付きコネク
タに関するものである。

〔従来の技術〕

自動車内配線に使用する従来のグロメットとコネクタ
は、第３図に示したように、先端にコネクタ35を取り付
けたワイヤーハーネスＷにグロメット30とグロメット先
端開孔に嵌着する消音蓋31を挿通しておき、このワイヤ
ーハーネスＷを車両パネルＡに設けた嵌合孔ａに挿通し
てグロメット30を嵌合孔ａに嵌着し、このグロメットの
先端開孔に消音蓋31を嵌着し、ワイヤーハーネスＷの先
端のコネクタ35を、車両パネルＡを隔てて配設されてい
る他方のワイヤーハーネスＷ′のコネクタ40に接続して
いる。

また、第４図に示したように、先端に係止アーム片36を
斜めに突設したコネクタ35をワイヤーハーネスＷの先端
に取り付け、このコネクタ35の後端にグロメット30を嵌
着し、コネクタ先端の係止アーム片36を車両パネルＡの
嵌合孔ａに嵌合させて係止アーム片先端の係止段部36a
を嵌合孔周面に係止させるとともに、グロメット30を車
両パネルの反対面に当接させ、このコネクタ35に相手方
ワイヤーハーネスＷ′のコネクタ40を接続している。

また、実開昭62−59919号のグロメットのように、グロ
メットを直方体状筒体に形成し、その外周に係合溝部を
設け、その底部にコード貫通孔を設け、その内側中空部
にオス側カプラ係合用の係合段部を設け、開口端にはメ
ス側カプラ係合用の係合つば部を設けてグロメットを構
成し、このグロメットをクランクケースの本体とカバー
の接合部の貫通孔に嵌合し、この貫通孔の孔縁にグロメ
ット外周の係合溝部を係合させてグロメットをクランク
ケースにセットし、このセットしたグロメット内にオス
側カプラを嵌挿してそのカプラ外周段部と端部をグロメ
ット内の係合段部に係合させることによりグロメット内
にオス側カプラを組み込み、この組み込まれたオス側カ
プラにメス側カプラを嵌合しグロメットの開口端の係合
つば部をメス側カプラの外周段部に係合させて、クラン
クケースにグロメットとカプラを取り付けるようにした
グロメットが公知である。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記の第３図に示されたコネクタは、車両パネルＡの嵌
合孔ａにグロメット30を嵌着して消音蓋31を嵌着しなけ
ればならず、しかも車両パネルＡを隔てて配設された両
ハーネスＷ、Ｗ′のコネクタ35とコネクタ40を接続する
作業が両手作業となって容易、迅速にできないという問
題点がある。

また、第４図に示されたコネクタは、コネクタ35に設け
た係止アーム片36が車両パネルＡの嵌合孔ａに完全に係
止せず半嵌合状態にあると、ワイヤーハーネスＷに外力
が作用するとコネクタ35が車両パネルの嵌合孔から簡単
に引き抜かれてしまう欠点があり、係合アーム片36が車
両パネルＡの嵌合孔ａに完全に係止していても、係止ア
ーム片36に矢印方向の外力が作用するとコネクタ35が車
両パネルの嵌合孔から簡単に引き抜かれてしまうという
問題点がある。

また、前記実用新案公開のグロメットは、クランクケー
スにクロメットとオス側、メス側両カプラを装着するの
に、まず、直方体筒状グロメットの外周に設けた係合溝
部をクランクケースの本体とカバーの接合部の貫通孔に
嵌合してグロメットをクランクケースにセットしておか
なければならず、その次に、カプラを取り付けるため
に、この貫通孔にセットしたグロメットにオス側カプラ
を嵌挿し、その外周段部と端部をグロメット内側の係合
段部に係合させて、オス側カプラをグロメット内に組み
込んでおかなければならず、その次に、このグロメット
内に組み込んだオス側カプラにメス側カプラを嵌挿し、
メス側カプラの外周段部にグロメットの開口端の係合つ
ば部を係合させなければならないので、グロメットとコ
ネクタの取り付けに手数を要し、作業が迅速にできない
という問題点がある。

本考案は前記の問題点を解決し、自動車等の車輛パネル
に容易、迅速に、しかも確実に取り付けることができる
グロメット付きコネクタを提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

前記の目的を達成するために本考案のグロメット付きコ
ネクタは、相互に嵌合する雄型、雌型コネクタの一方の
コネクタ10の先端部外周壁15の複数箇所にそれぞれ平行
スリット13a、13bを設けて両スリットの間に可撓片16を
形成し、前記各可撓片16の先端部外面に車輛パネル嵌合
孔縁係止用可動突起12を突設し、前記先端部外周壁15の
前記スリットに隣接する箇所に前記可動突起12との間に
車輛パネルＡを挟む間隔をおいて車輛パネル嵌合孔縁係
止用固定突起14を突設し、前記雄型、雌型コネクタの他
方のコネクタ20に、周縁先端部に車輛パネルの嵌合孔ａ
の周囲面に密着する円錐吸盤状密着部３を有するゴム円
盤製グロメット１を嵌着した構成としたものである。

〔作用〕

コネクタ10の先端部外周壁15に平行スリット13a、13bを
設けることにより、両スリット間に、先端部が撓む可撓
片16が形成される。

車輛パネル嵌合孔縁係止用の可動突起12と固定突起14を
設けた一方のコネクタ10の先端を自動車の車輛パネルＡ
の嵌合孔ａに差し込むと、可撓片16の先端の可動突起12
の先端部が嵌合孔ａの孔縁に当たり可撓片16の先端が内
方に撓むので可動突起12の先端部が嵌合孔ａを越え、こ
の可撓片16の撓みが元に復帰して可動突起12が嵌合孔外
周の車輛パネルＡの片面に係止する。同時に車輛パネル
嵌合孔縁係止用の固定突起14が車輛パネルＡの反対面に
係止して、コネクタ10の先端部が車輛パネルＡの嵌合孔
ａに固定される。

前記のように車輛パネルＡに固定された一方のコネクタ
10に対し、グロメット１を嵌着した他方のコネクタ20を
接続すると、グロメット１の周縁先端部の円錐吸盤状密
着部３が車輛パネルＡの嵌合孔外周面に密着するので、
自動車エンジンルーム側の雨水、塵埃等が嵌合孔ａから
車室内に侵入するのを阻止する。

前記両コネクタ10、20を嵌合接続した状態では、前記一
方のコネクタ10の先端部外周壁15の内側に他方のコネク
タ20が嵌合しているので可撓片16の先端の内方撓みが阻
止されており、このため可撓片16の先端の可動突起12の
係止が外れることはない。

前記のように車輛パネルＡに取り付けられたコネクタ10
とグロメット１は、コネクタ10の先端部の車輛パネル嵌
合孔縁係止用の可動突起12がグロメット１の内方に囲ま
れて防護されているので、この可動突起12には外力がか
からないから、このコネクタ接続部分に外力が加えられ
ても可動突起12が外れることはなくコネクタ10が車輛パ
ネルＡの嵌合孔ａから抜け出ることはない。

また、コネクタ10の先端を車輛パネルＡの嵌合孔ａに差
し込んだときに、可動突起12が嵌合孔ａの外周面に完全
に係止していない場合は、可撓片16の先端部がコネクタ
10の先端面内方に撓んだ状態になっていてコネクタ10の
先端面への相手方コネクタの差し込みを邪魔しているの
で、この状態のコネクタ10には相手方コネクタ20を差し
込むことができず、したがってこの相手方コネクタ20を
差し込むことができない状態に起こることによって、可
動突起12の車輛パネル嵌合孔縁係止の不完全が検知され
ることになる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面により説明する。第１図は
本考案の一実施例を示し、第２図は車輛パネルに取り付
けた使用状態を示す。第１図において10は相互に嵌合し
合う雄型と雌型のコネクタの一方のコネクタたとえば差
し込み接続導体部が雄型のコネクタであり、20は他方の
コネクタたとえば差し込み接続導体部が雌型のコネクタ
であり、１はこの他方のコネクタ20に嵌着したゴム製の
グロメットである。

前記雄型、雌型両コネクタの一方のコネクタ10、たとえ
ば雄型コネクタは、破線で示したように相手方コネクタ
の先端部が嵌合する嵌合部11を有し、その先端部外周壁
15の周面上に円周方向に間隔をおいて複数箇所に、それ
ぞれ平行スリット13a、13bを設けて、両スリット間に、
先端部が撓む可撓片16を形成する。この複数箇の各可撓
片16の先端部外面にはそれぞれ突起12を突設し、この各
突起12を車輛パネル嵌合孔縁係止用の可動突起12とす
る。また、このコネクタ先端部外周壁15の周面上には前
記スリット13aまたは13bに隣接する箇所に、前記可動突
起12との間に車輛パネルＡの厚さを挟む間隔をおいて車
輛パネル嵌合孔縁係止用の固定突起14を突設する。この
ように構成したコネクタ10はワイヤーハーネスＷたとえ
ば自動車のエンジンルーム側に配設されたワイヤーハー
ネスに接続する。

前記雄型、雌型両コネクタの他方のコネクタ20は、その
先端部が前記一方のコネクタ10の破線で示した嵌合部11
内に嵌合してコネクタ10に接続されるものであり、この
他方のコネクタ20の後端部外周縁に設けた鍔部21にゴム
円盤製のグロメット１を嵌着する。このコネクタ20はた
とえば自動車の車室内に配設されたワイヤーハーネス
Ｗ′に接続する。

グロメット１は、皿蓋状円盤部４の中心にワイヤーハー
ネス挿通孔５の頸管部６を設け、中間肩部７の内側面
に、前記他方のコネクタ20の鍔部21が嵌合するための嵌
合円溝２を設け、この嵌合円溝２の片面に周壁８を形成
し、皿蓋状円盤部４の周縁に、車輛パネルＡの嵌合孔ａ
の周囲面に密着する円錐吸盤状密着部３を設ける。９は
円錐吸盤状密着部３の先端縁である。このグロメット１
を前記の他方のコネクタ20の後端部の鍔部21に図示のよ
うに嵌着する。

前記のように構成した、一方のコネクタ10を、自動車の
エンジンルームと車室との間の車輛パネルＡの嵌合孔ａ
に強制的に差し込むと、可撓片16の先端の車輛パネル嵌
合孔縁係止用の可動突起12の先端部が嵌合孔ａの孔縁に
当たって可撓片16の先端が内方に撓み、この可撓片先端
の可動突起12が嵌合孔ａを通過すると可撓片16の撓みが
元に復帰して可動突起12が嵌合孔ａの外周縁の車輛パネ
ルＡの片面に係止する。これと同時に車輛パネル嵌合孔
縁係止用の固定突起14が車輛パネルＡの反対面に係止す
るので、第２図に示したようにコネクタ10の先端部が車
輛パネルＡの嵌合孔ａに固定される。

前記のように車輛パネルＡに固定された一方のコネクタ
10の嵌合部11にグロメット１を嵌着した他方のコネクタ
20を嵌合接続すると、グロメット１の円錐吸盤状密着部
３の先端縁９が車輛パネルＡの嵌合孔外周面に密着する
ので、自動車エンジンルーム側の雨水、塵埃等が嵌合孔
ａを通って車室内に侵入するのが阻止される。この一方
のコネクタ10の先端部外周壁15の内側には他方のコネク
タ20が嵌合していて、前記可撓片16の先端の内方の撓み
が阻止されているので、可撓片16の先端の車輛パネル嵌
合孔縁係止用の可動突起12の係止が内方に撓んで外れる
ようなことはない。

前記のように車輛パネルＡに取り付けられたコネクタ10
の可撓片16の先端の車輛パネル嵌合孔縁係止用の可動突
起12はグロメット１の内側に囲まれて防護されているの
で、この可動突起12には外力がかからない。このためコ
ネクタ接続部分に外力が加えられても可動突起12の係止
が外れることはなくコネクタ10が車輛パネルＡの嵌合孔
ａから抜け出ることはない。

前記のコネクタ10の先端を車輛パネルＡの嵌合孔ａに差
し込んだときに、可撓片16の先端の可動突起12が嵌合孔
ａの周面に完全に係止していない場合は、可撓片16の先
端部がコネクタ10の先端面内方に撓んだ状態になってい
るのでコネクタ10の先端面に相手方コネクタが差し込ま
れるのを邪魔している状態となり、このときのコネクタ
10には相手方コネクタ20を差し込むことができないか
ら、このようにコネクタ10に他方のコネクタ20を差し込
むことができないときは、可動突起12の車輛パネル嵌合
孔縁に対する係止が不完全であることが検知されること
になる。

〔考案の効果〕

前記のように本考案は、雄型、雌型コネクタの一方のコ
ネクタの先端部外周壁に平行スリットを設けて可撓片を
形成し、各可撓片の先端部外面に車輛パネル嵌合孔縁係
止用の可動突起を突設するとともに、前記スリットに隣
接する箇所に車輛パネル嵌合孔縁係止用の固定突起を突
設し、他方のコネクタに円錐吸盤状密着部を有するゴム
製グロメットを嵌着して、グロメット付きコネクタを構
成したので、一方のコネクタの先端部を車輛パネルの嵌
合孔に差し込むだけの操作で、可動突起途と固定突起を
嵌合孔縁に係止させてコネクタを車輛パネルに固定する
ことができ、このコネクタに他方のコネクタを嵌合接続
するだけの操作で、グロメットの円錐吸盤状密着部を車
輛パネル面に密着させることが可能である。

また、前記一方のコネクタの先端部外周壁の内側には他
方のコネクタが嵌合しており、前記可撓片の先端が内方
に撓むことができないから、可撓片先端の可動突起の係
止が外れることはなく、しかも、コネクタ先端部の車輛
パネル嵌合孔縁係止用の可動突起は、グロメットの内方
に囲まれて防護されていて外力がかからないから、コネ
クタが車輛パネルの嵌合孔から抜け出ることはない。

また、コネクタの先端を車輛パネルの嵌合孔に差し込ん
だときに、可動突起が嵌合孔の外周面に完全に係止して
いない場合は、可撓片先端部がコネクタ先端面内方に撓
んで相手方コネクタの差し込みができない状態となるこ
とにより、可動突起の車輛パネル嵌合孔縁に対する係止
の不完全を検知することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す図、第２図は使用状態
を示す図、第３図及び第４図は従来例を示す図である。 1:グロメット 3:グロメットの円錐吸盤状密着部 10:一方のコネクタ 12:可撓片先端部外面の車輛パネル嵌合孔縁係止用可動
突起 13a、13b:平行スリット 14:一方のコネクタの先端部外周壁の車輛パネル嵌合孔
縁係止用固定突起 15:一方のコネクタの先端部外周壁 16:可撓片 20:他方のコネクタ A:車輛パネル a:車輛パネルの嵌合孔

フロントページの続き (72)考案者 坂東 比呂志 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)考案者 木村 勉 滋賀県犬上郡豊郷町大字高野瀬380番地 近江電線株式会社内 (72)考案者 青木 喜一 滋賀県犬上郡豊郷町大字高野瀬380番地 近江電線株式会社内 (72)考案者 西村 勝彦 滋賀県犬上郡豊郷町大字高野瀬380番地 近江電線株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−59919（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】相互に嵌合する雄型、雌型コネクタの一方
   のコネクタ（10）の先端部外周壁（15）の複数箇所にそ
   れぞれ平行スリット（13a）、（13b）を設けて両スリッ
   ト間に可撓片（16）を形成し、前記各可撓片（16）の先
   端部外面に車輛パネル嵌合孔縁係止用可動突起（12）を
   突設し、前記先端部外周壁（15）の前記スリットに隣接
   する箇所に、前記可動突起（12）との間に車輛パネルを
   挟む間隔をおいて車輛パネル嵌合孔縁係止用固定突起
   （14）を突設し、前記雄型、雌型コネクタの他方のコネ
   クタ（20）に、周縁先端部に車輛パネルの嵌合孔周囲面
   に密着する円錐吸盤状密着部（３）を有するゴム円盤製
   グロメット（１）を嵌着したグロメット付きコネクタ。