JP3901956B2 - 補器のブラケット結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、補器のブラケット結合構造に関し、さらに詳しくは、例えばサンバイザ(補器)側のブラケットと車体側のブラケットとをボディパネルに固定するための補器のブラケット結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の運転席又は助手席のフロントウインドー上端近傍には、サンバイザが配置されている。サンバイザの種類によっては、例えばバイザにバニティーミラーが設けられたものがあり、夜間でも使用できるようにランプを備えたものがある。
【0003】
図6に示すように、このようなランプを備えたサンバイザ101は、車体側に固定するための固定シャフト103の先端にブラケット102を備えている。このブラケット102は、車体のインナーパネル104にネジ止めすることで固定されている。
【0004】
以下に、サンバイザ101をインナーパネル104に固定する構造について説明する。この構造を得るには、まず、図6及び図7に示すように、フロントウインドー105の上端近傍のインナーパネル104に形成された開口106より車内側へワイヤハーネス107を引き出し、その先端に設けられたコネクタ108に、前記ブラケット102より導出された電線109の先端に取り付けられたコネクタ110を結合させる。これらコネクタ108、110同士の結合作業は、熟練を有した作業者の手作業で行う。
【0005】
次に、図7に示すように、結合したコネクタ108、110とワイヤハーネス107をインナーパネル104に形成し開口106から、前記インナーパネル104とアウターパネル111との間の空間112に収めながら、前記サンバイザ101を取り付ける。
【0006】
即ち、図8に示すように、コネクタ108、110とワイヤハーネス107を前記空間112に収めながら、ブラケット102を斜めにした状態で、ブラケット102の一端側に設けられたフック118を、インナーパネル104の開口106の周縁部に引っ掛け、その引っ掛けた部分を支点にし、ブラケット102を回転させるようにして、ブラケット102の他端側に形成されたグロメットスクリュー113を、インナーパネル104に形成したブラケット取付孔114(図6参照)に挿入し、ブラケット102をインナーパネル104側へ押し込む。
【0007】
次に、図9に示すように、円筒形状をなすグロメットスクリュー113の中心孔にネジ115を挿入してネジ締めを行う。すると、グロメットスクリュー113の先端部より高さ方向に形成されたスリット113aより、グロメットスクリュー113の先端部がネジ115によって押し広げられ、その押し広げられたグロメットスクリュー113の片部113bがブラケット取付孔114の開口周縁部に押圧されることにより、ブラケット102がインナーパネル104に固定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構造は、先にフック118を引っ掛けた状態で、回転させながらブラケット102を組み付けるものであるため、フック118とインナーパネル104との間に回動を許す大きめのクリアランスHが必要であり、このクリアランスHがあるために、組み付け状態において、がたつきやぐらつきが発生しやすいという問題があった。また、斜めにフック118を差し込んで開口106の周縁部に引っ掛けるため、フック118と開口106の周縁部との係合代をあまり大きくとれず、そのために、この部分で高い係合強度を確保することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、がたつきやぐらつきを発生することがなく、確実で強固な結合力を発揮し得る補器のブラケット結合構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、パネルと、第1のコネクタを有する第1のブラケットと、第2のコネクタを有し且つ補器が支持された第2のブラケットとを備え、前記コネクタ同士を嵌合すると共に前記ブラケット同士を組み付けて、これら第1及び第2のブラケットに設けられた結合孔を前記パネルに設けられた結合孔に合わせてこれら結合孔に締結部材を通し締結することにより、前記パネルに補器を固定する補器のブラケット結合構造であって、前記パネルに設けた開口の前面に前記第1のブラケットを配置すると共に、その第1のブラケットに対しパネルの前面側から前記第2のブラケットを組み付けることで、第2のブラケットに突設したフックを前記開口を通してパネルの背面側に進入させ、その状態で、第1のブラケットと第2のブラケットをパネルに沿ってフック係合方向にスライドさせることにより、前記フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させ、該フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させたときに第1及び第2のブラケットの結合孔と前記パネルの結合孔とが合致するようにされており、その互いに合致する第1及び第2のブラケットの結合孔とパネルの結合孔とに締結部材を通して、該締結部材を締めることにより、前記フックによる係合と共に、前記第1のブラケット及び第2のブラケットをパネルに結合したことを特徴とする。
【0011】
この発明の構造では、第1のブラケットと第2のブラケットをパネルに沿ってスライドさせることで、フックをパネルに係合させるようにしているので、フックを先にパネルに引っ掛けた状態でブラケットを回転させながらパネルに組み付ける従来の構造と違って、フックとパネルの間のクリアランスを最小限に設定することができる。また、従来の構造の場合は、フックを先にパネルに引っ掛けてブラケットを回転させる方式であるため、フックとパネルの係合代をあまり大きくとれなかったが、この発明の構造では、ブラケットをスライドさせる量に応じて自由にフックとパネルの係合代を設定することができる。即ち、フックとパネルの係合代を従来よりも大きくとることができる。従って、フックとパネルのクリアランスを小さくできることと、フックとパネルの係合代を大きくとれることとにより、フックによる係合を、がたつきやぐらつきの無い状態で確実に高い強度で行うことができる。
【0012】
また、フックがパネルの開口の周縁部に係合した状態において第1及び第2のブラケットの結合孔とパネルの結合孔とが合致するようになっているので、第1のブラケットと第2のブラケットをスライドさせて、第1及び第2のブラケットの結合孔をパネル側の結合孔に合わせるだけで、フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させることができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の補器のブラケット結合構造であって、前記フックの先端に、パネルの開口へのフックの進入動作に伴って前記開口の周縁部と摺接し、それにより前記第2のブラケットをフック係合方向と反対方向にスライドさせる傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明の構造では、第2のブラケットを第1のブラケットに組み付けようとした場合に、フックがパネルの開口内に進入するのに伴って、フックの先端の傾斜部がパネルの開口の縁部に当たり、更なる第2のブラケットの組み付け動作に応じて、傾斜部の作用で、第1のブラケットと第2のブラケットがフック係合方向と反対方向にスライドする。そして、そのようにスライドすることで、フックの傾斜部が開口の周縁部から外れて、フックがパネルの背面側に進入する。従って、その状態において、第2のブラケットを第1のブラケットと共にフック係合方向にスライドさせるだけで、フックをパネルの開口の縁部に係合させることができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の補器のブラケット結合構造であって、前記第1のブラケットと第2のブラケットに、前記フックがパネルの背面側に確実に進入し、且つ、第1のブラケットと第2のブラケットが互いに適正な組み付け状態になったときに、両ブラケットを互いにロックするロック部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明の構造では、第2のブラケットを第1のブラケットに対して組み付ける際に、フックが確実にパネルの背面側に進入し、且つ、両ブラケットが適正な組み付け状態になった段階で初めてロック部がロックすることになる。従って、このロック部のロック状態を確認した後で、第1のブラケットと第2のブラケットをフック係合方向にスライドさせることにより、確実にフックをパネルの開口の周縁部に係合させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る補器のブラケット結合構造の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態は、本発明を、例えば自動車の運転席又は助手席のフロントウインドー上端に設けられるサンバイザ(補器)を車体(パネル)に対してワンタッチで簡単且つ確実に装着固定できるように構成した補器のブラケット結合構造に適用したものである。
【0019】
車体取付用ブラケット1は、図1に示すように、車体のインナーパネル2にサンバイザ(補器)3を固定するためのもので、サンバイザ3を支持する固定シャフト4の先端に取り付けられる。かかる車体取付用ブラケット1は、パネル側ブラケット(第1のブラケット)5と、このパネル側ブラケット5に合体するバイザ側ブラケット(第2のブラケット)6とから大略構成されている。
【0020】
トリム(車内天井板)200の裏側に配されるパネル側ブラケット5は、ベース部分として略三角形状の基板7を有している。ここでは、便宜上、三角形状の基板7の3つの頂点のうち、1つの頂点のある方を「一端側」、残る2つの頂点のある方を「他端側」と呼ぶ。また、一端側の1つの頂点の角度の二等分線をブラケット中心線と呼ぶ場合、パネル側ブラケット5は、そのブラケット中心線を基準にしてほぼ左右対称な形に形成されている。
【0021】
基板7の下面の各頂点に対応する3つの位置には、トリム200の開口201の周縁部に係合するための、外向きの3つのフック8が設けられている。3つのフック8のうち、1つはブラケット5の一端側にあり、他の2つはブラケット5の他端側にある。各フック8は、基板7の下面にL字形に突出しており、外方を向いたフック8の先端は、基板7の外周輪郭線よりも内側にある。また、基板7には左右一対のネジ結合孔9が穿設されている。
【0022】
また、基板7の上面には、雌コネクタ(第1のコネクタ)10のハウジング10Aと、該雌コネクタ10のハウジング10Aに連続する一対の対向側壁11とが突設され、各対向側壁11に連続して更に、バイザ側ブラケット6に突設したロック突起(ロック部)13とロックするための角筒状のロック部14が突設されている。雌コネクタ10のハウジング10Aは、ブラケット5の他端寄りの位置に形成され、ロック部14はブラケット5の一端寄りの位置に形成され、側壁11はそれらを繋ぐ形でそれらの中間に形成されている。
【0023】
雌コネクタ10のハウジング10Aを外れた基板7の中央部には、中央開口15が設けられている。前記側壁11とロック部14は、この中央開口15を挟んで対向配置されている。角筒状のロック部14は、中央開口15側の側壁を無くした3側壁よりなる溝形をなしており、中央開口15側と反対の側壁に係合爪付きの可撓ロックアーム14aを有している。このロック部14の下端面は、バイザ側ブラケット6に突設したロック突起13を受け入れられるように開口している。
【0024】
また、前記側壁11の外面側には、インナーパネル2に一時的(コネクタ同士の嵌合を外すとき)に係合するための係合部16が設けられている。この係合部16は、基板7の上面との間に、インナーパネル2の厚さ相当分の係合溝16aを確保した所定幅の凸壁として形成されている。
【0025】
雌コネクタ10のハウジング10Aには、スルー状態で配索される車体側フラットケーブル(電線)20に電機接続される雄端子21が収容されており、雌コネクタ10の下端開口からバイザ側ブラケット6に取り付けた雄コネクタ30を挿入することにより、雄コネクタ30側の雌端子31と雄端子21とを電機接続できるようになっている。この雄端子21は、スルー状態で配索されたフラットケーブル20の長さ方向の中間部を圧接接続(スルー接続)することのできる圧接端子によって構成されている。
【0026】
雌コネクタ10のハウジング10Aの外面(上面及び側面)には、前記雄端子21に対して圧接接続するフラットケーブル20を収容・案内するための凹溝22が設けられており、この凹溝22と連続して基板7の上面にも、フラットケーブル20を収容・案内するための凹溝23が設けられている。これら凹溝22、23は、フラットケーブル20を収容できる程度の深さの浅い幅広の溝であり、ブラケット5の一端側のフック8と他端側のフック8の中間部を左右方向(前記ブラケット中心線と直交する方向)に横断している。ただし、雌コネクタ10のハウジング10Aがブラケット5の他端寄りの位置にあるので、他端側のフック8の根元の近傍に位置している。これらの凹溝22、23、特に凹溝23がブラケット5の基板7の表面に形成されていることで、その部分が薄肉部25として構成され、基板7がその部分で湾曲しやすくなっている。
【0027】
また、雌コネクタ10のハウジング10Aの上端には、ヒンジ27を介してカバー28が連設されており、このカバー28をハウジング10Aの上面に被せて係止することにより、雌コネクタ10に収納されている雄端子21及びそれに接続されたフラットケーブル20を、脱落しないように保持できるようになっている。
【0028】
このような構造のパネル側ブラケット5を配置するインナーパネル2には、前記雌コネクタ10、ロック部14、係合部16などを挿入する開口2Aが設けられている。開口2Aには、ロック部14と係合部16とを挿入するための広幅部と、雌コネクタ10を挿入するための狭幅部があり、広幅部から挿入した係合部16を狭幅部側へスライドさせることにより、係合部16の係合溝16aに、狭幅部の開口周縁部が係合するようになっている。この係合構造は、雄雌コネクタ10、30の嵌合を解くときに、パネル側ブラケット5をインナーパネル2側に保持しておき、トリム200に無理な力がかからないようにするためのものである。また、インナーパネル2には、パネル側ブラケット5のネジ結合孔9に対応する位置に取付孔2B、2Bが設けられている。
【0029】
次に、トリム200の表面側(車内側)からパネル側ブラケット5に組み付けられるバイザ側ブラケット6の構造について説明する。
【0030】
バイザ側ブラケット6は、インナーパネル2に固定される内装材であるトリム200を挟んで、パネル側ブラケット5とは反対側に配置されて、インナーパネル2に固定される。このバイザ側ブラケット6も、ベース部分としてパネル側ブラケット6の基板7と同じ大きさの略三角形状の基板37を有している。このブラケット6についても、一端側と他端側の呼び方は前記と同じである。
【0031】
このブラケット6の基板37の上面には、サンバイザ3の固定シャフト4の先端周側部を保持するシャフト保持部38が突設されている。シャフト保持部38は、その中心に固定シャフト4を挿通させるシャフト保持用孔を有する略円筒体として形成されており、パネル側ブラケット5の中央開口15を貫通して、インナーパネル2の開口2Aにまで進入し得るように形成されている。
【0032】
この円筒状のシャフト保持部38の前面(バイザ側ブラケット6の一端側の側面)には、インナーパネル2の開口2A内に進入して、開口2Aの周縁部に係合するフック40が形成されている。フック40の先端には前方(ブラケット6の一端側)を向いた傾斜面(傾斜部)41が設けられており、フック40がインナーパネル2の開口2A内に進入するとき、その進入動作に伴って開口2Aの周縁部と摺接して、それにより、ブラケット6をフック係合方向と反対方向にスライドさせるようになっている。
【0033】
また、バイザ側ブラケット6の上面には、雌端子31を収容した雄コネクタ30が装着されている。雌端子31には、シャフト保持部38内の固定シャフト4の端部から導出されたバイザ側電線33の端末に接続されている。雄コネクタ30は、この雌端子31を下からハウジング30A内に収容し、ハウジング30Aの下面をカバー32で塞ぐことで組立品として構成されており、その状態で、ブラケット6の上面の係合溝にスライド係合させることで、基板37の上面に立設されている。そして、パネル側ブラケット5の雌コネクタ10と嵌合できるようになっている。
【0034】
また、バイザ側ブラケット6の基板37には、インナーパネル2に対してネジ止めするためのネジ結合孔39が設けられている。このネジ結合孔39は、パネル側ブラケット5のネジ結合孔9及びインナーパネル2の取付孔2Bの位置と対応しており、前記フック40よりもブラケット6の他端側に位置している。
【0035】
また、基板37上のシャフト保持部38の左右両側には、上方へ向けて突出するロック突起(ロック部)13が形成されている。これらロック突起13は、雄コネクタ30よりも高く設定され、雄コネクタ30と雌コネクタ10との結合に先行して、上記したパネル側ブラケット5に形成された角筒状のロック部14に挿入されるようになっている。
【0036】
ロック突起13の上部側面には、角筒状ロック部14のロックアーム14aの係合爪が係合する係合溝13aが形成されている。また、ロック突起13の頂部には、ロック突起13を角筒状のロック部14に挿入しやすくするための、略角錐(四角錐)形状もしくは略円錐形状の案内部13bが形成されており、バイザ側ブラケット6とパネル側ブラケット5との位置決めが容易にできるようになっている。
【0037】
次にインナーパネル2に対する上記ブラケット5、6の結合構造について説明する。
【0038】
図2〜図5は、上記したパネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6とを、インナーパネル2に装着するまでの過程を示す断面図であり、図1と共にこれらの図を参照しながら説明する。
【0039】
パネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6とをインナーパネル2に装着するには、まず、予めパネル側ブラケット5をトリム200の裏側(車外側)に配置し、フック8をトリム200の開口201の周縁部に係合させることで、トリム200にパネル側ブラケット5を取り付ける。このパネル側ブラケット5の取り付け作業は、インナーパネル2にトリム200を取り付ける前に行う。
【0040】
フック8をトリム200に係合させる際には、ブラケット5の薄肉部25を湾曲させながら行う。そうすることで、トリム200に対してフック8を無理に嵌めないですむようになり、取り付け作業が簡単にできるようになると共に、トリム200の開口201の周縁部の破損や、フック8の破損を防止することができる。
【0041】
パネル側ブラケット5をトリム200の裏面側に取り付けたら、トリム200をインナーパネル2に組み付ける。その際、予めインナーパネル2の開口2Aから引き出したフラットケーブル20と雌コネクタ10の雄端子21とを圧接接続し、雌コネクタ10のハウジング10Aにカバー28を被せた後、パネル側ブラケット5側の突出部分、即ち、雌コネクタ10、ロック部14、側壁11等を、インナーパネル2の開口2A内に挿入する。
【0042】
図2はこの状態を示している。この状態において、パネル側ブラケット5はインナーパネル2の下面(バイザ側ブラケット6を組み付けようとする方向において前面)に配置される。この状態で、バイザ側ブラケット6の雄コネクタ30、ロック突起13、シャフト保持部38を、それぞれパネル側ブラケット5の雌コネクタ10、ロック部14、中央開口15に対向させて、パネル側ブラケット5にバイザ側ブラケット6を下面側から組み付ける。
【0043】
即ち、図2に示すように、バイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5に対して矢印Aで示す方向に真っ直ぐに押し付ける。そうすると、最初にバイザ側ブラケット6の中の一番高いロック突起13が、パネル側ブラケット5の角筒状のロック部14に入り込み、次いで、雌コネクタ10に雄コネクタ30が嵌合し始める。この際、ロック突起13の先端には錐形状の案内部13bがあり、コネクタ10、30の嵌合前にロック突起13が角筒状のロック部14に誘導されることにより、コネクタ10、30同士及びブラケット5、6同士の位置決めが行われ、それにより、雄コネクタ30と雌コネクタ10の結合が確実且つ容易に行われる。
【0044】
図3に示すように、雌コネクタ10と雄コネクタ30の嵌合が始まると、バイザ側ブラケット6のフック40の先端の傾斜面41が、インナーパネル2の開口2Aの周縁部に当たり、更にバイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5側に押し込むことで、図4に示すように、傾斜面41の作用で、両ブラケット5、6がフック係合方向と反対方向(矢印B方向)にスライドする。そして、そのようにスライドすることで、フック40の傾斜面41がインナーパネル2の開口2の周縁部から外れて、フック40が開口2を通過してインナーパネル2の背面側に進入する。同時に、雌コネクタ10に対して雄コネクタ30が嵌合し、ロック突起13がロック部14に嵌合する。
【0045】
コネクタ10、30が適正に嵌合し、ブラケット5、6が確実に結合したことは、ロック部14のロックアーム14aの係合爪が、ロック突起13の係合溝14aに係合したときのロック音によって確認することができる。
【0046】
この状態になったことが前記のロック音によって確認できたら、図5に示すように、バイザ側ブラケット6とパネル側ブラケット5を、図中矢印Cで示すフック係合方向にスライドさせることにより、フック40をインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させる。
【0047】
この際、フック40が適正に係合した状態で、ブラケット5、6のネジ結合孔9、39がインナーパネル2側の取付孔2Bと合致するように予め作られているから、ネジ結合孔9、39を取付孔2Bに合わせるようにブラケット5、6をスライドさせるだけで、フック40を確実にインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させることができる。
【0048】
このようにフック40によって仮係合したら、後は、位置の合致したネジ結合孔9、39及び取付孔2Bにネジ(締結部材)を通して締めることにより、サンバイザ3の取り付けが完了する。
【0049】
以上のように取り付けた状態からサンバイザ3を取り外す必要が生じたときには、前記ネジを抜いた後、両ブラケット5、6をフック係合方向と反対方向にスライドさせることにより、フック40とインナーパネル2の係合を解除し、その状態でバイザ側ブラケット6を下方に引く。そうすると、ロック突起13とロック部14のロックが外れ(このロックは仮止めであるから、強く引くことで外れる)、雌コネクタ10から雄コネクタ30が抜ける。その際、フック係合方向と反対方向にブラケット5、6がスライドした時点で、パネル側ブラケット5の係合部16がインナーパネル2の開口2Aの狭幅部の開口縁に係合し、パネル側ブラケット55がインナーパネル2によって保持されているので、トリム200に無理な力がかからずに、バイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5から離脱させることができる。
【0050】
以上の結合構造では、パネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6をインナーパネル2に沿ってスライドさせることにより、バイザ側ブラケット6のフック40をインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させるようにしているので、従来の構造と違って、組み付け状態においてフック40とインナーパネル2の間のクリアランスを最小限に設定することができる。即ち、図5に示すようにクリアランスがほとんどない状態にすることができる。
【0051】
また、従来の構造の場合は、フックを先にインナーパネルの開口縁に引っ掛けてブラケットを回転させる方式であるため、フックとパネルの係合代をあまり大きくとれなかったが、この実施形態の結合構造では、ブラケット5、6をスライドさせる量に応じて、自由にフック40とインナーパネル2の係合代を大きめに設定することができる。従って、インナーパネル2に対するフック40による係合を、がたつきやぐらつきの無い状態で確実に高い強度で行うことができ、ブラケット5、6を介してサンバイザ3をインナーパネル2を強く確実に固定することができる。
【0052】
また、ブラケット5、6をスライドさせて、ネジ結合孔9、39をインナーパネル2側の取付孔2Bに単に位置合わせするだけで、フック40をインナーパネル2に適正に係合させることができるので、ネジ止め前の位置合わせ作業が容易になり、作業性が向上する。
【0053】
また、バイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5に組み付ける動作を行うだけで、自動的にフック40の先端の傾斜面41の作用により、ブラケット5、6がフック係合方向と反対方向にスライドして、インナーパネル2の開口2Aへのフック40の進入を誘導案内するので、特にフック40とインナーパネル側の開口2Aの位置関係を目で確認しなくても、つまり、単にバイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5に対して押し込むだけで、フック40を係合させるためのスライド代を確保することができる。従って、後は、フック係合方向にブラケット5、6をスライドさせるだけで、フック40を適正にインナーパネル2に対して係合させることができる。
【0054】
また、ロック突起13とロック部14のロック音を確認した後で、ブラケット5、6をフック係合方向にスライドさせるだけで、確実にフック40をインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させることができるので、ブラケット5、6同士の組み付けが適正に行われていない状態での誤組み付けを防止することができる。即ち、ロックを確認しない状態(つまり、両ブラケットが適正に組み付けられていない状態)でブラケット5、6をフック係合方向にスライドさせた場合には、フック40がインナーパネル2の背面側に確実には達していない状態での移動となるので、フック40を適正にインナーパネル2と係合させることができない。また、フック40を適正にインナーパネル2に係合させることができないことから、ブラケット5、6側のネジ結合孔9、39とインナーパネル2側の取付孔2Bの位置を合致させることもできず、ネジ締めすることができない。従って、そのことをもって、ブラケット5、6同士の組み付けが適正に行われていない状態での誤組み付けを防止することができる。
【0055】
なお、前記実施形態では、インナーパネル2にトリム200を取り付けた後から、バイザ側ブラケット6を用いてサンバイザ3をインナーパネル2に取り付ける場合を説明したが、バイザ側ブラケット6を予めトリム200に仮止めした状態(ルーフモジュール状態)にしてから、トリム200をインナーパネル2に組み付けるようにすることもできる。そうした場合でも同様に、インナーパネル2にトリム200を組み付けるときに、フック40の傾斜面41の作用で、ブラケット5、6がフック係合方向と反対方向にスライドする。従って、後はネジ結合孔9、39をインナーパネル2の取付孔2Bに合わせるようにブラケット5、6をスライドさせれば、フック40の適正係合が完了する。
【0056】
また、単にネジだけで締結する代わりに、スクリュウグロメット(締結部材)を用いてブラケット5、6を取り付けることもできる。その場合は、別にブラケットケースを用意しておき、このブラケットケースをバイザ側ブラケット6の下面側から装着することにより、ケースに突設してあるスクリュウグロメット(締結部材)を、ネジ結合孔9、39及び取付孔2Bに挿入するようにすればよい。後は、スクリュウグロメットにネジを締め込むことで、ブラケット5、6をインナーパネル2に締結することができる。
【0057】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明構成の要旨に付随する各種の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、補器としてサンバイザを用いたが、ルームランプなどの他の補器にも適用することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、フックとパネルの間のクリアランスを最小限に設定することができると共に、フックとパネルの係合代を大きく設定することができる。従って、フックとパネルの係合部分でのがたつきやぐらつきを無くすことができると共に、フックとパネルの係合力を増大することができ、その結果、第1、第2のブラケットをパネルに強く確実に締結することができる。また、第1及び第2のブラケットの結合孔をパネルの結合孔に合わせるだけで、フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させることができるので、締結部材を通すまでの作業の容易化が図れる。
【0059】
請求項2の発明によれば、第2のブラケットを第1のブラケットに組み付ける動作を行うだけで、自動的にフックの先端の傾斜部の作用によって、ブラケットがフック係合方向と反対方向にスライドして、パネルの開口へのフックの進入を案内する。従って、フックとパネル側の開口の位置関係を目で確認しながら第2のブラケットを組み付ける必要がなく、作業性が向上する。
【0060】
請求項3の発明によれば、ロック機構のロック状態を確認した後で、第1のブラケットと第2のブラケットをフック係合方向にスライドさせるだけで、確実にフックをパネルの開口の周縁部に係合させることができる。一方、ロックを確認しない状態(つまり、両ブラケットが適正に組み付けられていない状態)でブラケットをフック係合方向にスライドさせた場合には、フックがパネルの背面側に確実に達していない状態での移動となるので、フックを適正にパネルと係合させることができない。また、フックを適正にパネルに係合させることができないので、第2のブラケット側のネジ結合孔とパネル側のネジ結合孔の位置を合致させることもできず、ネジ締めすることができない。従って、ブラケット同士の組み付けが適正に行われていない状態での誤組み付けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の分解斜視図である。
【図2】同実施形態の説明図であり、バイザ側ブラケットをパネル側ブラケットに対して組み付けようとしている状態を示す断面図である。
【図3】図2の次の状態を示す断面図である。
【図4】図3の次の状態を示す断面図である。
【図5】図4の次の段階として、バイザ側ブラケットをパネル側ブラケットに組み付け完了した状態を示す断面図である。
【図6】従来の補器取付方法を示す斜視図である。
【図7】従来の補器取付方法を示す説明図である。
【図8】従来の補器取付方法を示す説明図である。
【図9】従来の補器取付方法を示す説明図である。
【符号の説明】
2 インナーパネル
2A 開口
2B 取付孔(ネジ結合孔)
3 サンバイザ(補器)
5 パネル側ブラケット(第1のブラケット)
6 バイザ側ブラケット(第2のブラケット)
10 雌コネクタ(第1のコネクタ)
13 ロック突起(ロック部)
14 ロック部
30 雄コネクタ(第2のコネクタ)
40 フック
41 傾斜面
Claims (3)
- パネルと、第1のコネクタを有する第1のブラケットと、第2のコネクタを有し且つ補器が支持された第2のブラケットとを備え、前記コネクタ同士を嵌合すると共に前記ブラケット同士を組み付けて、これら第1及び第2のブラケットに設けられた結合孔を前記パネルに設けられた結合孔に合わせてこれら結合孔に締結部材を通し締結することにより、前記パネルに補器を固定する補器のブラケット結合構造であって、
前記パネルに設けた開口の前面に前記第1のブラケットを配置すると共に、その第1のブラケットに対しパネルの前面側から前記第2のブラケットを組み付けることで、第2のブラケットに突設したフックを前記開口を通してパネルの背面側に進入させ、その状態で、第1のブラケットと第2のブラケットをパネルに沿ってフック係合方向にスライドさせることにより、前記フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させ、該フックをパネルの開口の周縁部に適正に係合させたときに第1及び第2のブラケットの結合孔と前記パネルの結合孔とが合致するようにされており、その互いに合致する第1及び第2のブラケットの結合孔とパネルの結合孔とに締結部材を通して、該締結部材を締めることにより、前記フックによる係合と共に、前記第1のブラケット及び第2のブラケットをパネルに結合したことを特徴とする補器のブラケット結合構造。 - 請求項1に記載の補器のブラケット結合構造であって、
前記フックの先端に、パネルの開口へのフックの進入動作に伴って前記開口の周縁部と摺接し、それにより前記第2のブラケットをフック係合方向と反対方向にスライドさせる傾斜部が設けられていることを特徴とする補器のブラケット結合構造。 - 請求項1または2に記載の補器のブラケット結合構造であって、
前記第1のブラケットと第2のブラケットに、前記フックがパネルの背面側に確実に進入し、且つ、第1のブラケットと第2のブラケットが互いに適正な組み付け状態になったときに、両ブラケットを互いにロックするロック部が設けられていることを特徴とする補器のブラケット結合構造。
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