JPH075258B2 - 荷重取扱装置の施回軸角度の自動調整機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水平な向きのアーム部材の一端側を鉛直な旋
回軸の回りに旋回できるようにすると共に該アーム部材
の他端側において荷物の持上げ支持が出来るようにした
荷重取扱装置において、当該アーム部材の旋回軸を、鉛
直軸に平行に保持する自動調整機構に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

水平なアーム部材を平面内で旋回させる作動態様をとる
荷重取扱装置は、通常、建屋内の床面や外部の地上面に
設置されて使用される場合が殆んどであるため、設置に
際しては、水平アーム部材が常時鉛直軸に対する水平面
内にあるように、予め設置基盤や定盤を水平に調整した
上で取付けられる。これは、水平なアーム部材が鉛直軸
に対する水平面内にないと、このアーム部材に荷物を吊
下げた場合、旋回軸の傾きとそのアームの荷重による撓
みとが相俟ってアームにいわゆる荷重勾配を生じ、アー
ムが独りでに旋回するといういわゆるアーム流れ現象が
惹起され、荷物取扱い上、或は、安全上好ましくないか
らである。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、水平面内で垂直軸の回りに旋回する水平なアー
ム部材を有する荷重取扱装置が予め調整された水平取付
面に位置固定に設置される場合や、アーム部材の平面旋
回をモータ等の動力によって行うようにしたものでは、
予めその設置場所においてアーム部材の旋回軸を鉛直に
調整したり、アーム部材の自由旋回を駆動力により規制
することができるからよいが、アーム部材が平面内で自
由に旋回できる構造の荷重取扱装置を貨物トラック等に
載架する場合には、従来構造の装置や従来装置に対する
調整態様では、装置の重量が大きくなり過ぎたり、アー
ムの流れ現象の発生を完全に防ぐことはできない。

例えば、貨物トラックは、積載荷物の多寡や荷台での荷
の片寄り、或は、道路の勾配や路面の傾斜度によって荷
台面が鉛直軸に対して常に水平ではないため、仮に、荷
台に対して水平アーム部材の旋回軸を自由旋回とし、こ
の軸を予め垂直に取付けていたとしても、その旋回軸に
上記事情によって鉛直を維持させることができないから
である。また、旋回軸を駆動力により作動するようにす
ると、荷重を支持したアーム部材全体の重量をアーム流
れ現象に抗して保持できる出力のモータやその連動機構
の重量が大きくなるため車載荷役装置としては不向きで
ある。

従って、水平面内で垂直軸の回りに自由に旋回すること
のできる水平なアーム部材を有する荷重の取扱装置にお
いて、前記アーム部材の旋回軸を常に鉛直に自由に調整
できる機構があれば、そのような荷重取扱装置を貨物ト
ラックや貨車、船舶等の輸送手段に取付けた場合、当該
輸送手段自体が多少傾いた状態にあるとき荷重取扱装置
を使用してもアーム流れ等を惹起することなく当該荷重
取扱装置を作動させることが出来ることとなり至便であ
る。

本発明は、上記のような荷重取扱装置のアームの旋回軸
を常に鉛直に調整，維持することのできる機構を提供す
ることを、その課題とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するためになされた本発明の機構の構成
は、アーム部材に設けられた鉛直な旋回軸の回りに旋回
できるようにした水平アーム部材を有する荷重取扱装置
に於て、前記アーム部材の旋回軸が取付けられたフレー
ム，ブラケットによる当該旋回軸の取付部材を、それが
取付けられる支柱等の取付固定部の平面に対し前後，左
右において上下動可能に設ける一方、この取付部材又は
前記アーム部材に自重等により常に鉛直に垂下する垂下
部材を吊下げ、この垂下部材の下方にマーカ部材を設け
ると共に、このマーカ部材に対して、前後、及び、左右
に均等な距離で対応するマーカ部材の検出部材を配置
し、前記マーカ部材と対応する各検出部材間における相
対距離の大小を当該検出部材により検出し、この検出値
に基づいて、前記マーカ部材と対応する検出部材間の相
対距離がほぼ等しくなるように、上記アーム部材におけ
る旋回軸の取付部材の四隅を、上，下に微動させるよう
にしたことを特徴とするものである。

〔作用〕

垂下部材に設けたマーカ部材と対応する検出部材との協
働作用により、アーム部材の旋回軸が鉛直でないことを
検出し、鉛直な向きにない旋回軸を常に鉛直に調整す
る。

〔実施例〕

次に、本発明の実施例を図に拠り説明する。

第１図は本発明機構を有する荷重取扱装置が水平な桁状
部材に垂直（鉛直）軸を介して自由に旋回可能に取付け
られた装置の骨組を示す斜視図、第２図は本発明機構を
有する荷重取扱装置が垂直なポール状の支柱に、鉛直軸
を介して自由旋回が可能に取付けられた装置の骨組を示
す斜視図、第３図は第１図に示した機構の要部の構成の
一例を示すブロック図、第４図は本発明機構の一例の要
部の構成を示す縦断面図である。

第１図に於て、１は荷重取扱装置の水平アーム、２はこ
のアーム１の後端が取付けられたブラケットで、このブ
ラケット２は垂直な旋回軸３が、取付固定部たる桁状フ
レーム４に、前記軸３の取付部材たる内フレーム4aを介
して取付けられている。本発明に於ては、ブラケット２
がフレーム４に対し位置固定に取付けられているか、ス
ライド自在に取付けられているかは任意である。

上記水平アーム１の先端側には、荷物の支持部（図示せ
ず）が設けられる。

この荷物支持部としては、このアーム１の先端からベル
ト，ワイヤ等の索条を繰出し，繰込み自在に吊下げ、こ
の索条の下端にフック等を取付けた型式や、このアーム
１の先端に垂直向きに伸縮自在のアームを吊設し、この
吊下アーム下端にフック等を取付ける型式のものなどが
ある。これらの場合において、索条の巻上機構や吊下ア
ームの伸縮機構は、水平アーム１の先端部、又は、ブラ
ケット２の内部、その他適宜の箇所に設けられればよ
い。

本発明機構の取付固定部となる桁状フレーム４は、一例
として、第３図に略示するように、平面外形が箱枠状を
なし、その四隅に走行用の転輪５が取付けられている。
この各転輪５は、そのフレーム４の下面に対する上下位
置調整のため、キャスタ軸5aの雄ネジが形成され、この
ネジが内フレーム4aの四隅に球面軸受を介して取付けら
れたナット部材5bに螺合されている。各キャスタ軸5aに
は夫々にモータ4FL,4FR,4BL,4BRにより正，逆回転が与
えられることによって、各キャスタ軸5aがナット部材5b
に対し上，下方向で位置変更される。つまり後述する旋
回軸が取付けられる内フレーム4aが桁状フレーム４に対
しその四隅で上，下動できるようにされている。

６は上記転輪５を支持案内する軌条状のガイドで、この
ガイド６によって上記フレーム４はガイド６の長さ方向
に於て、進退自在にされている。

本発明においては、転輪５が設けられず、キャスタ軸5a
に相当する軸だけを有するフレーム４にも本発明を適用
することができる。

上記のように構成される荷重取扱装置の一例では、水平
アーム１の先端側に荷物を吊下げた状態で、当該アーム
１を旋回軸３を中心に旋回させたり、桁状フレーム４を
ガイド６に沿って走行させたりすることにより荷物の水
平移動を行う。

このような作動時、桁フレーム４が鉛直軸に直交する平
面内にない、換言すれば、旋回軸３が鉛直軸と平行でな
い場合、水平アーム１は、前記軸３が鉛直でないこと、
及び、それが支持した荷物の重量や当該アーム１の自重
による撓みによって生じる荷重勾配との相乗作用によっ
て、いわゆるアーム流れ現象を惹起する。

このようなアーム流れを防ぐには、旋回軸３を鉛直な向
きに調整する必要があるが、第１図々示のような荷重取
扱装置が、例えば、貨物トラック等に設備されている場
合には、上記旋回軸３は、当該トラックが置かれる場所
によって鉛直軸に対し様々な方向に偏向することとな
る。

本発明は、上記旋回軸３が鉛直軸に対しどのような向き
に傾いてもこれを鉛直軸に平行な向きになるように自動
調整する機構を提供するものであるから、次に、この調
整機構の一例について第３図により説明する。第３図に
於て第１図と同一符号は同一部材を示す。

而して、7,8は、旋回軸３の取付部材たる内フレーム4a
にその旋回軸３と平行な姿勢で自由吊下した感知バー
で、感知バー７の下端にはマーカ7F,7Bが設けられ、各
マーカ7F,7Bの前後には前，後検出器9F,9Bが内フレーム
4aに、また、感知バー８の下端にはマーカ8L,8Rが設け
られ、各マーカ7F,7Bの左右には左右検出器10L,10Rが内
フレーム4aに、それぞれ固定して設けられている。

各感知バー7,8の下端のマーカ部と各検出器9F,9B、10L,
10Rとの関係は、各バー7,8の下端におけるマーカが各検
出器9F,9B、10L,10Rに近接，離反すること及びその度合
を、電気的、磁気的、光的、或は、機械的に検出し、こ
の検出値を各モータ4FL,4FR,4BL,4BRの駆動の制御のた
めの信号として使用する関係にある。中立位置（旋回軸
３が鉛直）ではいずれの検出器も出力はない。

例えば、検出器9Fに値の大小はともかく信号が検出され
ると、旋回軸３は前傾、換言すれば、フレーム4,4aが鉛
直軸に直交する水平面に対し前下りの姿勢にあることを
意味する。この検出器9Fに検出信号が生じると、ここで
は、モータ4FLと同4FRが正回転して桁状フレーム４の前
側に位置したキャスタ軸5a,5aに螺装されたのナット部
材5b,5bを上方へ移動させ、内フレーム4aの前下り姿勢
を水平に補正、換言すれば、旋回軸３が鉛直軸に平行に
なるようにする。

上記の場合、モータ4BL,4BRを逆回転させフレーム４の
後側のキャスタ軸5a,5aのナット部材5b,5bを下方へ移動
させるようにしても同様の効果になるが、いずれの調整
形態とするか、或は、両者の併用とするかは、任意であ
る。

このようにすると、旋回軸３が傾いていることによるア
ーム流れは防止できる。尚、フレーム４が下り勾配の付
いたガイド６に沿って移動し易くなる点は変らない。

以下、同じ要領により、検出器9Bに信号が生じたとき
は、モータ4BL,4BRに上記例とは逆の作動をさせ、ま
た、検出器10L,10Rのいずれかに信号が生じたときは、
モータ4FL,4BL、又は、同4FR,4BRに、内フレーム4aの
左，右の傾きを矯正させる、換言すれば、旋回軸３の鉛
直軸に対する傾きを除去する作動をさせるのである。

ここで、内フレーム4aの前後に関する検出器9F,9Bのい
ずれかと、内フレーム4aの左，右に関する検出器10L,10
Rのいずれかとが同時に信号を出力する場合、例えば、
フレーム４が斜め前方又は後方に傾いていることが検出
された場合には、各モータに対する検出信号の加算値に
比例する駆動制御信号が該当するモータに与えられるよ
うにする。

上記のような構成例により、荷重取扱装置のアーム１の
旋回軸３を常に鉛直軸に平行な姿勢に修正，維持するこ
とができるので、アーム流れを効果的に防止することが
できる。

第２図は水平アーム１のブラケット２がポール状の支柱
11に旋回軸３を介して設置された荷重取扱装置の例であ
る。第２図に於て、第１図と同一符号は同一部材を示
す。

このようなポール状支柱11に旋回軸３を介して支持され
た荷重取扱装置も、この装置が貨物トラック等に載架さ
れると、当該トラックが停止して装置を使用する場所の
地上の傾きなどにより旋回軸３が鉛直軸に対し傾いた状
態となることが多い。

このため、本発明では第４図に示すようにポール状支柱
11の内部に、一例として旋回軸３の中心3cと同軸上に感
知バー12を自由吊下し、このバー12の下端側の前後，左
右にマーカ12F,12B、12L,12Rを設けると共に、各マーカ
に対応した前後，左右に検出器9F,9B、同10L,10Rを、各
検出器が支柱11に固定されて設け、先の第一実施例と同
様に、旋回軸３の傾きを、その方向と度合とを検出でき
るようにした。

一方、第２図の装置は、旋回軸３の中心3cと支柱11の軸
芯11cとは同軸上にあるから、旋回軸３の傾きは支柱11
の同一の傾きを示す。

従って、旋回軸３の傾きを矯正するには、旋回軸３と支
柱11とが旋回自在に固定的に連結されている場合には支
柱11の傾きを矯正すれば、旋回軸３の傾きを矯正するこ
ととなるが、本発明ではこれとは異なって、支柱11の傾
きは矯正せず、旋回軸３の傾きのみを矯正するようにし
た。

第４図の例は、旋回軸３の傾きのみを矯正することがで
きるようにした機構の一例で、ここでは水平アーム１の
ブラケット２がベアリング31を介して支柱11の上端の受
座13の上に旋回自在に載架されている。

この受座13は、支柱11の上端に形成した取付フランジ14
に前後，左右４本のネジ部材15により適宜ギヤップｇを
介して連結されている。尚、受座13にはネジ部材15を螺
合する雌ネジとして、例えば、球面軸受に支持されたボ
ールナット13aを使用している。

４本のネジ部材15には、先の実施例と同様に、夫々に４
個のモータ4F,4B、同4L,4Rが連結されている。尚、モー
タ4L,4Rは図に表われない。

而して、いま、第４図において支柱11が前傾していたと
すると、受座13に自由吊下された感知レバー12は鉛直の
ままであるから、このバー12の下端側のマーカ12Fは検
出器9F側に近接し、その近接並びに近接度合が検出器9F
に検出される。検出器9Fの出力はモータの駆動制御信号
に変換され、ここではモータ4Fが逆回転させられること
により、受座13の前方側（第４図の左側）が感知バー12
が鉛直になるまで持上げられ、荷重取扱装置の旋回軸３
が鉛直に矯正される。

感知バー12の各マーカ12B,12L,12Rと他の各検出器9B,9
L,9Rとの関係は、先の実施例と同様である。

以上の実施例における旋回軸３の傾き感知手段、及び、
その検出手段は、上記例に限られるものではなく、同等
の機能を発揮する他の手段により代替させることができ
る。

〔発明の効果〕

本発明は以上の通りであって、水平アーム部材の後端が
鉛直な旋回軸に介して水平面内で旋回自在であり、当該
アームの先端側に荷物の支持手段を設けた荷重取扱装置
において、使用時に上記旋回軸の傾きを常時検出するよ
うにしておき、その軸に傾きがあるときは傾きを矯正す
ることができるようにしたので、旋回軸が鉛直軸に対し
て傾いていることを主な原因として生じるいわゆるアー
ム流れを未然に防止することができる この結果、従来の大型装置では、アーム流れを防ぐため
旋回軸に駆動力を入れてアームの流れ現象を規制してい
たが、本発明機構を採用することにより、アーム流れ防
止用の旋回駆動力が不要となる。

従って、本発明は、水平アーム部材とその自由な旋回軸
を具備した貨物トラック等に載架用の荷重取扱装置にお
ける当該旋回軸の鉛直度の自動調整機構としてきわめて
有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明機構を有する荷重取扱装置が水平な桁状
部材に垂直（鉛直）軸を介して旋回可能に取付けられた
装置の骨組を示す斜視図、第２図は同じく本発明機構を
有する荷重取扱装置が垂直なポール状部材に、鉛直軸を
介して旋回可能に取付けられた装置の骨組を示す斜視
図、第３図は本発明機構の要部の構成の一例を示すブロ
ック図、第４図は同じく別例の要部の構成を示す縦断面
図である。 １……水平アーム部材、２……ブラケット、３……旋回
軸、４……桁状フレーム、５……転輪、６……ガイド、
7,8……感知バー、9F,9B、10L,10R……検出器、4FL,4F
R、4BL,4BR……モータ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アーム部材に設けられた鉛直な旋回軸の回
   りに旋回できるようにした水平アーム部材を有する荷重
   取扱装置に於て、前記アーム部材の旋回軸が取付けられ
   たフレーム，ブラケットによる当該旋回軸の取付部材
   を、それが取付けられる支柱等の取付固定部の平面に対
   し前後，左右において上下動可能に設ける一方、この取
   付部材又は前記アーム部材に自重等により常に鉛直に垂
   下する垂下部材を吊下げ、この垂下部材の下方にマーカ
   部材を設けると共に、このマーカ部材に対して、前後、
   及び、左右に均等な距離で対応するマーカ部材の検出部
   材を配置し、前記マーカ部材と対応する各検出部材間に
   おける相対距離の大小を当該検出部材により検出し、こ
   の検出値に基づいて、前記マーカ部材と対応する検出部
   材間の相対距離がほぼ等しくなるように、上記アーム部
   材における旋回軸の取付部材の四隅を、上，下に微動さ
   せるようにしたことを特徴とする荷重取扱装置の自動調
   整機構。