JPH075241B2 - 油圧エレベ−タ弁装置 - Google Patents

油圧エレベ−タ弁装置

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JPH075241B2
JPH075241B2 JP62188321A JP18832187A JPH075241B2 JP H075241 B2 JPH075241 B2 JP H075241B2 JP 62188321 A JP62188321 A JP 62188321A JP 18832187 A JP18832187 A JP 18832187A JP H075241 B2 JPH075241 B2 JP H075241B2
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hydraulic
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寛訓 笹木
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は油圧エレベータ弁装置に係り、詳しくは、上昇
用制御弁と下降用制御弁とを備え、油圧ポンプやアクチ
ュエータからの油量を制御し、ケージ速度を指令値に保
持するようにした油圧エレベータ弁装置に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
エレベータのケージを昇降させるエレベータ駆動装置の
一つとして、ケージの昇降距離が短い場合には、しばし
ば油圧シリンダが採用される。そのケージの昇降は油圧
シリンダのプランジャの伸縮を直接利用するものと、ケ
ージの昇降空間の上部に定滑車を設置し、それにロープ
を掛けプランジャの伸縮量を拡大してケージを昇降させ
る間接式のものとがある。
いずれにしても、油圧シリンダなどのアクチュエータを
作動させ、そのアクチュエータの作動速度を調整するこ
とにより、ケージの昇降時の加速、定速(全速)および
減速作動を得ることができるように、エレベータ弁によ
る作動油の給排量が制御されるようになっている。
ケージを直接昇降させるアクチュエータの給排油量を制
御するために、エレベータ弁装置の上昇用制御弁と下降
用制御弁とに、油圧パイロット方式を適用する場合と、
電気制御方式を適用する場合とがある。これらは、ノー
マルオープン型の上昇用制御弁とノーマルクローズ型の
下降用制御弁とを備えており、油圧ポンプやアクチュエ
ータからの油量を制御し、ケージ速度を指令値に保持す
るようにしている。
前者の油圧パイロット方式では、上昇用制御弁および下
降用制御弁のスプールが、パイロット圧で変位するよう
になっている。それぞれの油圧パイロット回路には電磁
制御弁があり、その電磁制御弁をエレベータの昇降指令
にもとづいてオン・オフさせることにより、上昇時にア
クチュエータへ供給される油量の調整、もしくは、下降
時のアクチュエータから排出される油量の調整がなされ
る。
一方、後者の電気制御方式は、上昇用制御弁および下降
用制御弁がともに電磁制御弁であり、そのソレノイドに
予め記憶されている電流パターンを与えて励磁度を変
え、各制御弁で直接油量を調整するようにしている。こ
のような後者の形式の油圧エレベータ弁が、日本エレベ
ータ協会から発行されている「エレベータ界」の第21巻
第84号の25頁に記載されている。
上記二種の油圧エレベータ弁のうち、後者を例にしてそ
の制御を説明する。ケージを上昇させる場合、搭乗者か
らその指令があると、第20図に示す油圧ポンプ31が駆動
されると同時に、例えばマイクロコンピュータなどの開
度指令手段32から、上昇用制御弁である電磁比例弁33の
ソレノイド33aを励磁する信号が出力される。その信号
は、当初小さく徐々に増大してアクチュエータ34への供
給量を増加させるパターンを有している。
所定時間経過後アクチュエータ34が一定の全速度で伸長
するように、上昇用制御弁33の開度が小さく保持され
る。ケージの上昇で減速位置に近づくと減速リミットス
イッチが作動し、開度指令手段32からは上昇用制御弁33
の開度を徐々に大きくすべく、ソレノイド33aの励磁力
を弱める信号が、記憶パターンに基づいて出力される。
全速度の1/8〜1/10程度の着床速度になると、所定の時
間その開度を維持する信号が、ソレノイド33aに印加さ
れる。
床合わせのための停止リミットスイッチが作動すると、
開度指令手段32からの信号は停止される。このような信
号パターンは例えば第21図(a)に示すように、加速、
定速Vju、減速を実現する概ね台形をした電流波形Suで
あり、着床の手前で着床速度Vfが得られるように、一部
変形されている。
ケージが下降する場合、搭乗者からの指令があると、開
度指令手段32から下降用制御弁35のソレノイド35aの励
磁信号が出力される。ケージの自重でアクチュエータ34
は縮小するが、その信号パターンSd〔第21図(b)参
照〕は、当初下降用制御弁35の開度を小さく、徐々に増
大してアクチュエータ34からの排出油量を増加するよう
になっている。所定時間の経過後アクチュエータ34が一
定の全速度Vjdで縮小するように、下降用制御弁35の開
度が大きく保持される。
ケージの下降で減速位置に近づくと減速リミットスイッ
チが作動し、開度指令手段32からは下降用制御弁35の開
度を徐々に小さくすべく、ソレノイド35aの励磁力を弱
める信号が出力される。着床速度Vfになると、所定の時
間その開度を維持する信号がソレノイド35aに印加さ
れ、床合わせのための停止リミットスイッチが作動する
と、開度指令手段32からの信号は停止される。
このように作動させる信号波形はケージ速度を示す線図
と類似し、上昇用制御弁33ならびに下降用制御弁35を通
過する油量波形に概ね等しい。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上述べたいずれのエレベータ弁装置においても、ケー
ジの速度は上昇用制御弁や下降用制御弁を通過する作動
油量で決定されることになる。その油量が常に再現され
ると所望の昇降速度や乗り心地を維持したケージの昇降
が実現されることになるが、実際には、ケージの搭乗者
数がその都度異なるので、アクチュエータに作用する油
圧は常時同じとならない。
その油圧が違えば、上昇用制御弁や下降用制御弁の弁開
度に応じた弁流量も異なる。圧力が変わっても制御弁の
励磁電流を同じにしておくと、すなわち、弁開度を同一
にしておくと、弁を通過する流量は圧力の上昇につれて
減少する。その結果、弁を所望開度にしても、圧力が変
化しているとアクチュエータに給排される油量は所望外
となり、ケージの昇降速度が変わってしまう。
このような圧力変化による影響は、各制御弁を通過する
油量に変化を与えるだけでなく、アクチュエータに作動
油を供給する油圧ポンプの容積効率にも影響する。すな
わち、圧力が上昇するとポンプ吐出量が減少するので、
ケージを上昇させる場合には、制御弁の開度をポンプ吐
出量の変化を見込んで調整しておかなければならない。
油圧パイロット式の油圧エレベータ弁装置では、例えば
ケージが上昇するとき油圧ポンプから供給される油量を
制御する油圧パイロット式の上昇用制御弁が採用される
ことは上述した通りであるが、それにパイロット圧を作
用させる電磁制御弁は従来からオン・オフ弁である〔例
えば、「油圧と空気圧」の第17巻第3号の16頁参照〕。
そのような油圧パイロット構造では、アクチュエータに
作用する圧力の変化に応じてきめ細かく制御することは
不可能に近い。したがって、アクチュエータに作用する
作動油の圧力によって加減速度や定(全)速度さらには
着床速度が異なることになり、ケージの運動性や乗り心
地に影響が生じる問題がある。
一方、電気的な波形信号により制御される第25図に示し
た油圧エレベータ弁装置では、アクチュエータ34に給排
される油量を装置内の流量センサ36で検出し、これを電
圧に変換して指令電圧信号と比較し、差分電圧をさらに
上昇用制御弁33もしくは下降用制御弁35のソレノイド33
a,35aに印加することにより、所定の油量が達成され
る。
しかし、このようなフィードバック制御においては、比
例、積分、微分ゲインの初期調整が煩雑となる問題があ
る。加えて、その調整に不良があると、上昇用制御弁や
下降用制御弁の動作の安定を欠くことになり、弁振動が
発生するといった問題も生じる。
なお、この場合は、アクチュエータへの給排量を一定に
するフィードバック制御がなされるので、上述のような
温度変化の影響は受けないが、流量センサをエレベータ
弁装置に内蔵させることになるので、その装置の高騰を
招き、また、油圧エレベータ弁装置も極めて複雑なもの
となる。
ところで、実開昭58-41759号公報には、ケージが上昇す
ると設定された速度指令を主制御弁に出力して、その主
制御弁を介して油圧ポンプからの作動油をブリードオフ
するようにした油圧エレベータの制御装置が記載されて
いる。
これは、アクチュエータへ向かう油路から分岐するパイ
ロット回路に、固定絞りと予め設定された制御信号を受
けて動作する電磁制御弁とを介在させている。そして、
固定絞りの下流側圧力を電磁制御弁により制御して主制
御弁のパイロット圧として作用させ、その下流側圧力を
主制御弁の他方側に配設したばね力と平衡させることに
より、弁開度を制御するようにしている。
いまケージの搭乗者数が増加したとすると油路の圧力が
増加して下流側圧力も大きくなるので、主制御弁の弁開
度が減少してケージの速度は増大する。逆に、搭乗者数
が減ればケージの速度は減少する。
このような負荷状態の変化に対してケージの速度が変わ
るのを防止するためには、電磁制御弁の弁開度を負荷状
態に応じて制御する必要がある。それを実現するため
に、油路に介在させた流量計で油量を検出して指令値と
比較し、修正値を電磁制御弁に遂次与えて主制御弁の弁
開度を調整している。
これは流量フィードバック制御であり、前述した例と同
じく初期調整が煩雑であったり、流量計に感度の高い検
出機能が課せられ、作動の安定性も十分に期待できない
欠点がある。
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的
は、油圧パイロット方式を採用した油圧エレベータ弁装
置に適用でき、ゲイン調整不要な電気オープン制御方式
を採用して電気調整の煩わしさを回避すること、アクチ
ュエータに作用する圧力に変化が生じても、各制御弁を
通過する油量が所望値とされ、ケージの加速度、減速
度、高速走行速度や着床速度を確保できるようにするこ
と、パイロット系は電磁減圧弁と下流の固定絞りによる
電磁比例流量制御方式として、負荷圧力に依存しない安
定な線型性のよい制御特性が得られる油圧エレベータ弁
装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕 本発明は、ノーマルオープン型の上昇用制御弁とノーマ
ルクローズ型の下降用制御弁とを備え、その各弁の開度
を調整して、それぞれ油圧ポンプやアクチュエータから
の油量を制御し、ケージの速度を指令値に保持するよう
にした油圧エレベータ弁に適用される。
その特徴とするところは、第1図を参照して、油圧ポン
プ4とケージ5を昇降させるアクチュエータ6に連なる
油路16にチェック弁14が介在され、そのチェック弁14を
境にした油圧ポンプ側の油路から分岐して、ノーマルオ
ープン型の上昇用制御弁2を配置したブリードオフ回路
が設けられる。その上昇用制御弁2のパイロット室2Aに
パイロット圧を作用させる上昇用油圧パイロット回路
が、油圧ポンプ側の油路に連なってブリードオフ回路に
並設される。その上昇用油圧パイロット回路には、制御
信号を受けて開度調整される減圧弁構造の上昇用電磁比
例パイロット弁7と、その下流側にあって上昇用電磁比
例パイロット弁7により発生した二次圧力に応じてパイ
ロット油量を規定する上昇用下流固定絞り8と、上流側
にあって上昇用下流固定絞り8により生じるパイロット
流から前後に差圧を発生させる上昇用上流固定絞り9と
が介装される。そして、上昇用制御弁2のパイロット室
2Aには上昇用上流固定絞り9の下流側圧力P1がパイロッ
ト圧として導入され、そのパイロット室2Aに対向するブ
リードオフ室2Bには上昇用上流固定絞り9の上流側圧力
Ppが導入されるようになっている。
一方、チェック弁14を境にしたアクチュエータ側の油路
から分岐して、ノーマルクローズ型の下降用制御弁3を
配置したエグゾースト回路が設けられる。その下降用制
御弁3のパイロット室3Aにパイロット圧を作用させる下
降用油圧パイロット回路が、アクチュエータ側の油路に
連なってエグゾースト回路に並設される。その下降用油
圧パイロット回路には、制御信号を受けて開度調整され
る減圧弁構造の下降用電磁比例パイロット弁10と、その
下流側にあって下降用電磁比例パイロット弁10により発
生した二次圧力に応じてパイロット油量を規定する下降
用下流固定絞り11と、上流側にあって下降用下流固定絞
り11により生じるパイロット流から前後に差圧を発生さ
せる下降用上流固定絞り12とが介装される。そして、下
降用制御弁3のパイロット室3Aには下降用上流固定絞り
12の下流側圧力P3がパイロット圧として導入され、その
パイロット室3Aに対向するエグゾースト室3Bには下降用
上流固定絞り12の上流側圧力Pが導入されるようになっ
ており、上昇または下降指令パターンのソレノイド駆動
信号を、オープンループ制御信号として各電磁比例パイ
ロット弁7,10へ出力する開度指令手段23が設けられてい
る。
さらに、アクチュエータ6に作用する作動油の圧力を検
出する圧力検出手段25が、アクチュエータ油路に設置さ
れている。上記の開度指令手段23には、圧力検出手段25
からの圧力信号をもとにして、ケージ上昇時の弁流量が
補償されると共に油圧ポンプ4の容積効率が補償された
ソレノイド駆動信号を出力する上昇用信号補正部26と、
ケージ下降時の弁流量が補償されたソレノイド駆動信号
を出力する下降用信号補正部27とが設けられている。
〔作用〕
ケージ5を上昇させる指令があると、減圧弁構造の上昇
用電磁比例パイロット弁7の開度が開度指令手段23から
のオープンループ制御信号である指令パターンに応じて
調整される。それによって上昇用制御弁2の上昇用油圧
パイロット回路に所定のパイロット圧P1が発生され、上
昇用制御弁2の弁体の前後に作用する圧力差Pp-P1で上
昇用制御弁2の開度が調整される。
油圧ポンプ4から上昇用制御弁2に導入されてブリード
オフしていた全油量の一部がアクチュエータ6に供給さ
れ、ケージ5が上昇する。その上昇用制御弁2の開度
は、上昇用電磁比例パイロット弁7のソレノイドを駆動
する指令パターンに従って調整され、アクチュエータ6
への供給量に応じたケージ5の上昇となる。
ケージ5を下降させる場合もほぼ同様であり、下降用制
御弁3の開度が減圧弁構造の下降用電磁比例パイロット
弁10のソレノイドを駆動する指令パターンに基づいて調
整される。アクチュエータ6から排出される油量は、下
降用制御弁3の開度に応じてタンク13に流れ、指令パタ
ーンに従う下降速度がケージ5に与えられる。
上記の作動において、アクチュエータに作用する作動油
の圧力が変化すると、各制御弁2,3の開度が指令どおり
になされても、アクチュエータへ給排される油量や油圧
ポンプから吐出される油量に変化をきたすことになる。
そこで、ケージ5が上昇する場合には、圧力検出手段25
からの圧力信号をもとにして、上昇用信号補正部26にお
いて、弁流量を補償しかつ油圧ポンプ4の容積効率を補
償したソレノイド駆動信号が出力される。
したがって、圧力の変化に応じた補正パターンに基づき
上昇用電磁比例パイロット弁7の弁開度が調整され、そ
の弁開度により生じるパイロット圧で定まった上昇用制
御弁2のブリードオフ量で、アクチュエータ6への供給
量が作動油の圧力に関係なく所望値とされる。
一方、ケージ5が下降する場合には、圧力検出手段25か
らの圧力信号をもとにして、下降用信号補正部27におい
て、弁流量を補償したソレノイド駆動信号が出力され
る。したがって、下降時にアクチュエータ6から排出さ
れる油量は、圧力の変化に応じた補正パターンに基づく
下降用電磁比例パイロット弁10の弁開度で調整され、下
降用制御弁3からタンク13への流れ量は、アクチュエー
タ6に作用する作動油の圧力に関係なく所望値となる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、上流固定絞りの前後差圧を上昇用電磁
比例パイロット弁や下降用電磁比例パイロット弁とその
下流固定絞りとで制御し、上流固定絞りの前後差圧の下
流側圧力を上昇用制御弁や下降用制御弁のパイロット室
に導入し、上流側圧力を各パイロット室に対向する油室
に導入して、この圧力平衡で上昇用制御弁や下降用制御
弁の弁開度を決めることができるようになる。
上昇用電磁比例パイロット弁や下降用電磁比例パイロッ
ト弁は制御信号を受けて開度調整される減圧弁構造の電
磁比例減圧弁であり、一次圧力に無関係に二次圧力を制
御し、下流固定絞りで指令に応じたパイロット流量を一
次圧力に関係することなく制御することができる。
したがって、搭乗者数が変化して負荷圧力が変わっても
上流固定絞りの前後の圧力は変わることがなく、上昇用
電磁比例パイロット弁や下降用電磁比例パイロット弁の
指令電流のみで当該差圧が決められる。
また、いずれの電磁比例パイロット弁も電磁比例減圧弁
であり、その上流および下流に固定絞りを配設している
ので、指令電流に対する上記差圧特性はリニアとなる。
このように負荷圧力に依存しない安定で線形性のよい差
圧特性が得られるので、開度指令手段からの信号のみで
オープンループ制御が可能となる。これによりフィート
バック制御する場合に必要となるゲイン調整が不要とな
り、装置の初期調整作業における電気調整の煩わしさが
回避される。
さらに、アクチュエータに作用する作動油の圧力に変化
があっても、上昇時のアクチュエータへの供給油量や下
降時の下降用制御弁を通過する排油量を所望値とするこ
とができる。それゆえ、油圧パイロット方式のエレベー
タ弁においても、ケージに常時所望の加減速度を与え、
また、高速および低速走行させることができる。
〔実施例〕
以下に、本発明をその実施例を示す図面をもとにして、
詳細に説明する。第1図は油圧パイロット方式が採用さ
れている油圧エレベータ弁装置1の油圧回路図である。
これは、ノーマルオープン型の上昇用制御弁2とノーマ
ルクローズ型の下降用制御弁3とを備えており、その各
弁2,3の開度を調整して、油圧ポンプ4やケージ5を昇
降させる油圧シリンダなどのアクチュエータ6からの油
量を制御し、ケージ5の速度を指令値に調整するように
したものである。
ケージ5を昇降させるために油圧ポンプ4からの作動油
をアクチュエータ6に供給するメインの油路16にはチェ
ック弁14が介在されている。そして、上記の上昇用制御
弁2は、そのチェック弁14を境にした油圧ポンプ側の油
路から分岐するブリードオフ回路に配置され、上記の下
降用制御弁3は、チェック弁14を境にしたアクチュエー
タ側の油路から分岐するエグゾースト回路に配置されて
いる。
このようなエレベータ弁装置では、上昇用制御弁2のパ
イロット室2Aにパイロット圧を作用させる上昇用油圧パ
イロット回路が、ブリードオフ回路に並設されて油圧ポ
ンプ側の油路に連なっている。また、下降用制御弁3の
パイロット室3Aにパイロット圧を作用させる下降用油圧
パイロット回路も、エグゾースト回路に並設されてい
る。
上記の上昇用油圧パイロット回路には、制御信号を受け
て開度調整される減圧弁構造の上昇用電磁比例パイロッ
ト弁7と上昇用下流固定絞り8とが設けられている。さ
らに、その上昇用油圧パイロット回路に生じるパイロッ
ト流によりパイロット圧P1を発生させ、その圧力を上昇
用制御弁2のパイロット室2Aに作用させる上昇用上流固
定絞り9が介設されている。
一方、下降用油圧パイロット回路には、制御信号を受け
て開度調整される減圧弁構造の下降用電磁比例パイロッ
ト弁10と下降用下流固定絞り11とが配置されている。さ
らに、その下降用油圧パイロット回路に生じるパイロッ
ト流によりパイロット圧P3を発生させ、その圧力を下降
用制御弁3のパイロット室3Aに作用させる下降用上流固
定絞り12が介設されている。
したがって、ケージ5が上昇する場合には、油圧ポンプ
4から供給される作動油のうち上昇用制御弁2の弁開度
に応じてタンク13へブリードオフされた残量が、チェッ
ク弁14,15を経て油圧シリンダ6に供給され、その作動
油量が調整されるようになっている。なお、チェック弁
14はケージ5が下降するとき、油圧シリンダ6からの作
動油を上昇用制御弁2へ導入させないようにするための
ものである。
上記の上昇用制御弁2に作用されるパイロット圧P1は、
以下のようにして発生される。上昇用電磁比例パイロッ
ト弁7が開くと、減圧弁構造である上昇用電磁比例パイ
ロット弁7の二次側の圧力は、一次側の圧力P1に関係な
く、その弁開度に応じて二次圧のフィードバックをとり
ながら圧力P2を規定する。その二次圧力P2に応じて、上
昇用下流固定絞り8の通過油量quが決まる。すなわち、
上昇用電磁比例パイロット弁7の開度に比例して、上昇
用下流固定絞り8を通過する油量quは変わることにな
る。
そのパイロット流が、上昇用油圧パイロット回路の上流
側に介在したフィルタ17の下流側の上昇用上流固定絞り
9を通過し、その流通により上昇用上流固定絞り9の前
後に差圧が生じる。すなわち、上昇用上流固定絞り9の
下流側の圧力P1は、油圧ポンプ4からの作動油が油圧シ
リンダ6に供給される油路16における圧力Ppよりも低く
なる。この前後差圧Pp-P1は上昇用電磁比例パイロット
弁7の開度に比例して変わることになるので、この差圧
を利用して上昇用制御弁7の開度が調整される。
上昇用上流固定絞り9の下流側の圧力P1が、上昇用制御
弁2のパイロット室であるばね室2Aに作用し、そのばね
室2Aにピストン2aを挟んで対向するブリードオフ室2Bに
は、油路16の圧力Ppが作用する。ばねにより全開状態に
あった上昇用制御弁2のピストン2aが変位にしてスプー
ルが移動し、その弁開度が小さくなり、ブリードオフ室
2Bを介してタンク13にブリードオフされる油量が減少す
る。したがって、油路16から油圧シリンダ6の供給され
る油量がその分増加されることになる。
一方、下降用制御弁3のパイロット流が、下降用電磁比
例パイロット弁10とその下降用下流固定絞り11で発生さ
れ、その流れでフィルタ18の下流に介設された下降用上
流固定絞り12の前後に差圧P-P3が生じ、その下流側の圧
力P3が、下降用制御弁3のパイロット室であるばね室3A
に、パイロット圧として作用する。
ピストン3aを挟んで対向するエグゾースト室3Bには、油
圧シリンダ6から帰還した圧力Pの作動油が供給され、
ばね室3Aに作用するパイロット圧P3とで、下降用制御弁
3の弁開度が調整され、油圧シリンダ6から排出される
作動油量が制御されることになる。
なお、チェック弁15を迂回する回路に、絞り19およびケ
ージ5の下降指令を受けて開弁する電磁パイロット切換
弁20が介在されている。電磁パイロット切換弁20はケー
ジ5の下降指令があると直ちに開口するものである。そ
れらを介した油圧シリンダ6からの作動油の流れで、パ
イロット圧P3が発生するのは上述の通りであるが、下降
用制御弁3の開口動作に応じてチェック弁15も開き、排
出された作動油の大半はチェック弁15から下降用制御弁
3を経てタンク13に流れる。
ちなみに、油圧シリンダ6からの作動油を直接ドレンさ
せ、緊急時にケージ5を一番下まで下降させるための応
急手動弁21が、タンク13に直結した回路に設けられてい
る。
このような油圧エレベータ弁装置は図中の二点鎖線で示
すような弁ケーシング22に内蔵され、一体の弁機構とな
っている。したがって、弁ケーシング22には、P,T,Cの
三つのポートが開口され、それぞれのパイピングが接続
されている。
ところで、上記の上昇用電磁比例パイロット弁7や下降
用電磁比例パイロット弁10は、それぞれのソレノイド7
a,10aが励磁されて、その開度を変えるようになってい
るが、その励磁信号を発生する開度指令手段23が設置さ
れている。
これは、マイクロプロセッサなどからなり、ケージ5の
昇降指令があると、油圧エレベータ弁装置を制御指令す
る別途設置のコントローラ24からの指令信号を受けて、
後述する指令パターンに応じた電気信号を出力するもの
である。そして、中央処理装置や固定記憶部、書込記憶
部やタイマなどから構成され、その固定記憶部には、第
2図(a)および(b)中の実線で示すような、加減速
時の指令パターンが記憶されている。
そのパターンは電流波形であり、それぞれの波形はその
図の矢印Xu,Yu,Zu,Xd,Yd,Zdで示す部分がS字状の曲線
となるように予め滑らかに整形されている。そのソレノ
イド駆動指令信号を受けると、ケージ5が第3図(a)
および(b)に示すように、上昇および下降の際の所望
の加速状態、速度Vu,Vdの全速状態や減速状態となり、
しかも、加速から高速走行もしくは減速から低速走行に
移るとき、良好な乗り心地を得ることができるように配
慮されている。
上述した弁ケーシング22には、油圧シリンダ6の油路の
一部、図示ではCポートの近傍に、油圧シリンダ6に作
用する作動油の圧力を検出する圧力検出段25が設置され
ている。これは、例えば公知の圧力センサなどであり、
ケージ5の搭乗者数が異なったり荷物の重量が変わった
りして、油圧シリンダ6に作用する作動油の圧力が変わ
った場合の調整を行うためのものである。
そして、上記の開度指令手段23には、圧力検出手段25か
らの圧力信号をもとにして、ケージ上昇時の弁流量が補
償されると共に油圧ポンプ4の容積効率が補償されたソ
レノイド駆動信号を出力する上昇用信号補正部26と、ケ
ージ下降時の弁流量が補償されたソレノイド駆動信号を
出力する下降用信号補正部27とが設けられている。
その圧力補償を以下に詳しく説明する。圧力補償しない
状態で、第4図に示すように、下降用電磁比例パイロッ
ト弁10の各ソレノイド駆動電流Id1,Id2,Id3・・をそれ
ぞれ一定にしておくと、それに対応した下降用制御弁3
の各通過油量Qd1,Qd2,Qd3・・は、圧力上昇につれて増
加する。
この油量Qd1,Qd2,Qd3・・を圧力に関係なく一定するた
めには、第5図のように励磁電流Id1,Id2,Id3・・を圧
力の上昇につれて減少させればよい。この場合、下降用
電磁比例パイロット弁10に印加される励磁電流は、第2
図(b)の実線のような標準圧力の場合のパターンに比
べて、圧力が高いとき一点鎖線のように、また、圧力が
低いとき破線のパターンのように各時点の電流が増減さ
れる。このように圧力に応じて励磁電流のパターンが下
降用信号補正部27で補正されると、第3図(b)のよう
に常に同じケージ5の下降運動が達成されるようにな
る。
上記は油圧ポンプ4が作動しないケージ下降の場合の油
圧シリンダ6からの排出油量の制御であるが、ケージ5
が上昇する場合には油圧ポンプ4が作動するので、その
容積効率をも圧力に応じて補償する必要がある。上記と
同様に上昇用電磁比例パイロット弁7の開動作には、圧
力の変化による第5図と同趣旨の補正に以下の補正が加
えられる。
油圧ポンプ4の吐出量Qpは、第6図の実線ように圧力の
上昇で減少する。圧力が変化しても破線のように油圧シ
リンダ6へ一定油量Qu2を供給するためには、上昇用制
御弁2におけるブリードオフ量Qu1を圧力の上昇に伴っ
て減少させる必要がある。上昇用制御弁2の開度を減少
させるためには、上昇用電磁比例パイロット弁7の開度
を大きくする必要があり、したがって、上昇用電磁比例
パイロット弁7のソレノイド励磁電流を増大させなけれ
ばならない。
その結果、上昇用信号補正部26では、圧力の変化によっ
た弁流量特性の補償と油圧ポンプ4の容積効率の変化の
補償とを加味した駆動電流が出力されるように調整さ
れ、第7図のような駆動電流Iu1,Iu2,Iu3・・に対し
て、上昇用制御弁2のブリードオフ量Qu11,Qu12,Qu13・
・が得られ、油圧シリンダ6へは圧力変化があってもそ
れぞれ一定の供給油量Qu21,Qu22,Qu23・・が実現される
のである。
このように圧力に応じた励磁電流のパターンが上昇用信
号補正部26で変更されると、後述する第3図(a)のよ
うに常に同じケージ5の上昇運動が達成される。なお、
各制御弁2,3の圧力に対する流量特性や油圧ポンプ4の
容積効率の圧力特性が予め把握され、その特性をもとに
してソレノイド駆動電流を補正するためのデータが、開
度指令手段23における上昇用信号補正部26や下降用信号
補正部27に記憶されている。
以上の構成による作動シーケンスを、次に説明する。ま
ず、上昇用制御弁2はノーマルオープンであり、ばね2b
の作用でピストン2aは押圧された状態にあって弁は全開
している。
上昇指令があると油圧ポンプ4が起動され〔第8図参
照〕、コントローラ24へは、運転、高速上昇、低速上昇
の指令が入力される〔第9図(a)、第10図(a)およ
び第11図(a)参照〕。いま、上昇用制御弁2は全開状
態にあり、油圧ポンプ4からの作動油量は全てタンク13
にブリードオフされている〔第12図参照〕。
圧力検出手段25が油圧シリンダ6に作用する作動油の圧
力を検出し、その信号が第13図のブロック図のように、
上記の運転や高速上昇などの指令信号と共に、コントロ
ーラ24からインターフェース28を介したデジタル信号に
変換されて、開度指令手段23に入力される。開度指令手
段23では、圧力信号に応じて、予め記憶されている第2
図(a)に示す指令パターンが、弁特性と油圧ポンプ4
の容積効率を考慮して、破線または一点鎖線のパターン
のように補正され、それがアナログ信号に変換される。
定電流特性を有する電圧電流変換器29でソレノイド励磁
電流が出力され、その電流で上昇用電磁比例パイロット
弁7が開くと、その開度に応じた二次側の圧力P2が規定
される。その圧力に応じて上昇用下流固定絞り8を通過
する油量quが発生し、上昇用上流固定絞り9の前後に差
圧が生じる。
上昇用電磁比例パイロット弁7の開度が変わると、その
差圧Pp-P1はさらに大きくなり、上昇用制御弁2のブリ
ードオフ量が漸次減少される。すなわち、上昇用電磁比
例パイロット弁7のソレノイド励磁電流が、時間t2およ
びt3の間で増加し〔第2図(a)参照〕、上昇用下流固
定絞り8を通過するパイロット流量quが増大すると〔第
14図参照〕、その上昇用下流固定絞り8の上流側の圧力
P2も増加する〔第15図参照〕。
したがって、油路16に枝設される上昇用油圧パイロット
回路に介在したフィルタ17の下流の上昇用上流固定絞り
9の前後におけるポンプ圧力Pp〔第16図参照〕と上昇用
電磁比例パイロット弁7の上流側圧力P1〔第17図参照〕
との差圧Pp-P1が増加する。
ばね室2Aに作用する圧力P1がブリードオフ室2Bに作用す
る圧力Ppより小さいため、上昇用制御弁2は閉止する方
向へ動作する。これにより、油路16における圧力Ppは漸
次上昇し〔第16図参照〕、油圧シリンダ6に作用してい
るケージ5と搭乗者の重量に対応した圧力Pcより少し高
くなったとき、チェック弁15が開き、油圧シリンダ6へ
の作動油の供給が開始され、ケージ5は上昇を始める
〔第3図(a)参照〕。
さらに、S字状の指令パターンXu〔第2図(a)参照〕
に従って、ソレノイド駆動電流が増加すると上昇用制御
弁2が一層閉止する方向へ動作し、上昇用制御弁2のブ
リードオフ流量Qu1は漸次減少する一方〔第12図参
照〕、油圧シリンダ6への供給流量Qu2は増加し〔第18
図参照〕、ケージ5は滑らかに加速される〔第3図
(a)参照〕。次に、指令パターンは所定の高速電流Iu
t〔第2図(a)参照〕となり、油圧シリンダ6は高速
で伸長してケージ5は速度Vuで上昇する〔第3図(a)
参照〕。
ケージ5が上階に近づくと、減速リミットスイッチが動
作するので、コントローラ24に入っていた高速上昇信号
が切れ〔第10図(a)参照〕、低速上昇信号のみとなっ
て〔第11図(a)参照〕、上昇用電磁比例パイロット弁
7のソレノイド励磁電流はS字状のパターンYu〔第2図
(a)参照〕に従ったものとなり、上昇用制御弁2を開
方向へ動作させる。その結果、油圧シリンダ6への供給
流量Qu2は減少する一方〔第18図参照〕、上昇用制御弁
2のブリードオフ流量Qu1は増加して〔第12図参照〕、
ケージ5は減速される〔第3図(a)参照〕。
次に、指令パターンは所定の低速電流Iui〔第2図
(a)参照〕となり、低速度すなわち着床速度Vfによる
上昇状態となる〔第3図(a)参照〕。床合わせのため
の停止リミットスイッチが動作するとコントローラ24の
低速上昇信号も切れ〔第11図(a)参照〕、指令電流は
所定のS字状の指令パターンZu〔第2図(a)参照〕に
従って減少する。上昇用制御弁2は油圧ポンプ4の全吐
出量Qpをブリードオフし〔第12図参照〕、ケージ5は停
止する〔第3図(a)参照〕。
なお、ケージ5が停止するときのショックを緩和するた
めに、ケージ5が完全に停止した後、停止指令からある
一定の僅かな時間が経過して油圧ポンプ4は停止される
〔第8図参照〕。
下降用制御弁3はノーマルクローズであり、ばね3bの作
用でピストン3aは押圧された状態にあり、弁は全閉して
いる。ケージ5の下降指令があると、油圧ポンプ4が駆
動されることなく〔第8図参照〕、コントローラ24へ運
転、高速下降、低速下降信号が入力される〔第9図
(b)、第10図(b)および第11図(b)参照〕。
コントローラ24からの信号で電磁パイロット切換弁20の
ソレノイド20aが励磁され〔第19図参照〕、その電磁パ
イロット切換弁20が開いて、絞り19を介した油圧シリン
ダ6からの作動油の流入により、油路16の圧力Pが上昇
する〔第20図参照〕。この状態で、圧力検出手段25から
の圧力信号がコントローラ24を介して開度指令手段23に
入力され、駆動電流は圧力補正された指令パターンにし
たがって漸次増加する〔第2図(b)参照〕。
下降用電磁比例パイロット弁10のソレノイド励磁が大き
くなり、その開度に応じた二次側の圧力P4が規定される
〔第21図参照〕。その圧力に応じて下降用下流固定絞り
11を通過する油量qdが発生し〔第22図参照〕、下降用上
流固定絞り12の前後に差圧が生じる。下降用電磁比例パ
イロット弁10の開度が変わると、その差圧P-P3はさらに
大きくなり、下降用制御弁3の通過油量が漸次増大され
る。
すなわち、下降用電磁比例パイロット弁10のソレノイド
励磁電流が増加し〔第2図(b)参照〕、下降用下流固
定絞り11を通過するパイロット流量qdが増大して〔第22
図参照〕、その下流固定絞り11の上流側の圧力P4も増加
する〔第21図参照〕。
その結果、油路16に枝設される油圧パイロット回路に介
在したフィルタ18の下流の下降用上流固定絞り12の前後
における油路16の圧力P〔第20図参照〕と下降用電磁比
例パイロット弁10の上流側圧力P3〔第23図参照〕との差
圧P-P3が増加する。
ばね室3Aに作用する圧力P3がエグゾースト室3Bに作用す
る圧力Pより小さいため、下降用制御弁3は開口する方
向へ動作する。下降用制御弁3の開動作に応じて、チェ
ック弁15は開作動する。指令電流が指令パターンXdのS
字状に従って増加され〔第2図(b)参照〕、下降用制
御弁3の制御流量Qdは増加し〔第24図参照〕、ケージ5
の下降は加速される〔第3図(b)参照〕。
次に、指令パターンは所定の高速電流Idtとなり〔第2
図(b)参照〕、ケージ5は高速Vdで下降する〔第3図
(b)参照〕。ケージ5が下階に近づくと、減速リミッ
トスイッチが動作し、コントローラの高速下降信号が切
れ〔第10図(b)参照〕、指令パターンYdに従って下降
用電磁比例パイロット弁10の電流を漸次減少させ〔第2
図(b)参照〕、下降用制御弁3を閉止方向へ動作させ
る。下降用制御弁3の制御流量Qdは減少し〔第24図参
照〕、ケージ5は減速される〔第3図(b)参照〕。
次に、指令パターンは所定の低速電流Idiとなり〔第2
図(b)参照〕、低速走行状態となる〔第3図(b)参
照〕。床合わせのための停止リミットスイッチが動作す
ると、コントローラ24の低速下降信号が切れ〔第11図
(b)参照〕、指令電流は所定パターンZdのS字状の停
止パターンで減少し〔第2図(b)参照〕、下降用制御
弁3は漸次閉止動作から完全閉止となる。
なお、ケージ5が停止するときのショックを緩和するた
めに、電磁パイロット切換弁20のソレノイド駆動信号
は、下降用制御弁3が完全に閉じた後、停止指令からあ
る一定の僅かな時間経過して遮断される〔第19図参
照〕。
以上の説明から分かるように、上昇用上流固定絞り9の
前後差圧Pp-P1を、制御信号を受けて開度調整される減
圧弁構造の上昇用電磁比例パイロット弁7と上昇用下流
固定絞り8とで制御し、その上昇用下流固定絞り8によ
る絞り下流側圧力P1を上昇用制御弁2のパイロット室2A
に作用させる一方、絞り上流側圧力Ppをパイロット室2A
に対向するブリードオフ室2Bに作用させるようにしたの
で、その圧力の平衡によって上昇用制御弁2の弁開度が
決められる。
上昇用電磁比例パイロット弁7は電磁比例減圧弁であ
り、この上昇用電磁比例パイロット弁7の一次圧力P1に
無関係に二次圧力P2が制御され、上昇用下流固定絞り8
によって規定されるパイロット流量quも圧力P1に無関係
に制御される。したがって、搭乗者数が変化して油路16
の圧力Ppが変化しても上昇用上流固定絞り9の前後差圧
Pp-P1は変わることがなく、上昇用電磁比例パイロット
弁7の指令電流のみで決めることができるようになる。
また、減圧弁構造の上昇電磁比例パイロット弁7の上流
に固定絞り9を下流に固定し絞り8を配設する構成であ
るので、上昇用電磁比例パイロット弁7の指令電流に対
する上昇用上流固定絞り9の前後差圧Pp-P1の特性はリ
ニアなものとなる。このように負荷圧力に依存しない安
定したリニアリティのよい差圧Pp-P1が得られるオープ
ンループ制御が可能となり、それゆえ、フィードバック
制御において必要となる装置の初期調整時の煩わしさが
なくなる。
また、アクチュエータに作用する作動油の圧力に変化が
あっても、アクチュエータへ供給される油量や下降用制
御弁を通過油量を所定値とすることができ、ケージの加
減速や高速および低速走行が所望値に保持される。
さらに、加減速時のパターンをS字曲線とした上昇また
は下降パターンのソレノイド駆動指令信号を、上記各電
磁比例パイロット弁へ出力するようにしたので、加速も
しくは減速から定速に移るときの指令信号は滑らかであ
り、ケージの乗り心地が改善される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の油圧エレベータ弁装置の回路図、第2
図(a),(b)は開度指令手段から出力された制御信
号を受けて開度調整される上昇用電磁比例パイロット弁
と下降用電磁比例パイロット弁のソレノイド駆動信号波
形図、第3図(a),(b)はケージの昇降速度線図、
第4図は圧力補償をしないソレノイド駆動電流を電磁比
例パイロット弁に印加した場合の下降用制御弁における
弁通過油量の変化図、第5図は圧力補償をしたソレノイ
ド駆動電流を下降電磁比例パイロット弁に印加した場合
の下降用制御弁における弁通過油量図、第6図はアクチ
ュエータに作用する作動油の圧力による油圧ポンプの容
積効率の変化に基づく吐出油量の変化、および圧力補償
されたアクチュエータ供給油量図、第7図は圧力補償に
より上昇用電磁比例パイロット弁に印加されるソレノイ
ド駆動電流とそれに応じて上昇用制御弁からブリードオ
フされる油量の変化およびそのブリードオフ量によるア
クチュエータ供給油量図、第8図は油圧ポンプの作動状
態図、第9図(a),(b)はコントローラに入力され
る運転信号、第10図(a),(b)はコントローラに入
力される高速昇降信号、第11図(a),(b)はコント
ローラに入力される低速昇降信号、第12図は上昇用制御
弁におけるブリードオフ量の変化状態図、第13図は圧力
検出手段からの検出信号により補正されたソレノイド駆
動信号を出力させるブロック図、第14図は上昇時のパイ
ロット制御油量の変化状態図、第15図は上昇用電磁比例
パイロット弁の下流制御圧力の変化図、第16図は油圧ポ
ンプ下流の油路における圧力の変化図、第17図は上昇用
制御弁のパイロット制御圧力の変化図、第18図は油圧シ
リンダへ供給される作動油量の変化図、第19図は電磁パ
イロット切換弁の開口状態図、第20図は油圧シリンダか
らの戻りの油路における圧力の変化図、第21図は下降用
電磁比例パイロット弁の下流制御圧力の変化図、第22図
は下降時のパイロット制御油量の変化状態図、第23図は
下降用制御弁のパイロット制御圧力の変化図、第24図は
下降時の下降用制御弁による制御量の変化図、第25図は
電気的フィードバック制御による先行する技術における
油圧エレベータ弁装置の一例、第26図(a),(b)は
昇降するケージの速度変化図である。 2……上昇用制御弁、2A……パイロット室(ばね室)、
2B……ブリードオフ室、3……下降用制御弁、3A……パ
イロット室(ばね室)、3B……エグゾースト室、4……
油圧ポンプ、5……ケージ、6……アクチュエータ(油
圧シリンダ)、7……上昇用電磁比例パイロット弁、8
……上昇用下流固定絞り、9……上昇用上流固定絞り、
10……下降用電磁比例パイロット弁、11……下降用下流
固定絞り、12……下降用上流固定絞り、23……開度指令
手段、25……圧力検出手段、26……上昇用信号補正部、
27……下降用信号補正部、P1,P3……パイロット圧。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノーマルオープン型の上昇用制御弁とノー
    マルクローズ型の下降用制御弁とを備え、その各弁の開
    度を調整して、それぞれ油圧ポンプやアクチュエータか
    らの油量を制御し、ケージの速度を指令値に保持するよ
    うにした油圧エレベータ弁において、 前記油圧ポンプとケージを昇降させるアクチュエータに
    連なる油路にチェック弁が介在され、該チェック弁を境
    にした油圧ポンプ側の油路から分岐して、ノーマルオー
    プン型の前記上昇用制御弁を配置したブリードオフ回路
    が設けられ、 前記上昇用制御弁のパイロット室にパイロット圧を作用
    させる上昇用油圧パイロット回路が、油圧ポンプ側の油
    路に連なって前記ブリードオフ回路に並設され、 該上昇用油圧パイロット回路には、制御信号を受けて開
    度調整される減圧弁構造の上昇用電磁比例パイロット弁
    と、その下流側にあって該上昇用電磁比例パイロット弁
    により発生した二次圧力に応じてパイロット油量を規定
    する上昇用下流固定絞りと、上流側にあって該上昇用下
    流固定絞りにより生じるパイロット流から前後に差圧を
    発生させる上昇用上流固定絞りとが介装され、 前記上昇用制御弁のパイロット室には前記上昇用上流固
    定絞りの下流側圧力がパイロット圧として導入され、該
    パイロット室に対向するブリードオフ室には前記上昇用
    上流固定絞りの上流側圧力が導入されるようになってお
    り、 前記チェック弁を境にしたアクチュエータ側の油路から
    分岐して、ノーマルクローズ型の前記下降用制御弁を配
    置したエグゾースト回路が設けられ、 前記下降用制御弁のパイロット室にパイロット圧を作用
    させる下降用油圧パイロット回路が、アクチュエータ側
    の油路に連なって前記エグゾースト回路に並設され、 該下降用油圧パイロット回路には、制御信号を受けて開
    度調整される減圧弁構造の下降用電磁比例パイロット弁
    と、その下流側にあって該下降用電磁比例パイロット弁
    により発生した二次圧力に応じてパイロット油量を規定
    する下降用下流固定絞りと、上流側にあって該下降用下
    流固定絞りにより生じるパイロット流から前後に差圧を
    発生させる下降用上流固定絞りとが介装され、 前記下降用制御弁のパイロット室には前記下降用上流固
    定絞りの下流側圧力がパイロット圧として導入され、該
    パイロット室に対向するエグゾースト室には前記下降用
    上流固定絞りの上流側圧力が導入されるようになってお
    り、 上昇または下降指令パターンのソレノイド駆動信号を、
    オープンループ制御信号として上記各電磁比例パイロッ
    ト弁へ出力する開度指令手段が設けられ、 前記アクチュエータに作用する作動油の圧力を検出する
    圧力検出手段が、アクチュエータ油路に設置され、 前記開度指令手段には、上記圧力検出手段からの圧力信
    号をもとにして、ケージ上昇時の弁流量が補償されると
    共に油圧ポンプの容積効率が補償されたソレノイド駆動
    信号を出力する上昇用信号補正部と、ケージ下降時の弁
    流量が補償されたソレノイド駆動信号を出力する下降用
    信号補正部とが設けられていることを特徴とする油圧エ
    レベータ弁装置。
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