JPH0751432B2 - エレベ−タの主索取替え工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、エレベータの改修工法に係り、より詳しくは
エレベータのかごとカウンタウェイトを懸吊している古
くなった主索を新しい主索に取替えるための工法に関す
るものである。

［従来の技術］ 第７図および第８図は従来のエレベータにおける主索取
替え工法の一例を示す説明図である。図において、１は
かご２が機械室３の巻上機４によって最上階５と最下階
６との間を昇降する昇降路、７は旧ロープ巻取り機８お
よび新ロープ繰出し機９を設置し、最上階５の床面より
昇降路１内に張り出してかご２の上端部との間に仮設し
た導板（みちいた）、10は旧ロープ巻取り機８および新
ロープ繰出し機９のドラムの回転を制御するコントロー
ラ、11はかご２との重量のバランスをとるためのカウン
タウェイト、12はカウンタウェイト11のスペーサ、14は
作業用のはしご、15はかご２の底面を受ける緩衝器、23
はかご２側のガイドレール22（第２図参照）に取付けら
れたかご吊上げ用治具である。

このような段取りを行なってから新旧のロープR₂,R₁を
取替えるために、まず第７図において旧ロープR₁の下方
部17を×印で示した位置で切断する。そして上方のシャ
ックル18の上部で旧ロープ巻取り機８のロープと締結具
19によって結合した後、旧ロープR₁におけるシャックル
18の上方部16を×印で示した位置で切断し、コントロー
ラ10の操作により旧ロープR₁を旧ロープ巻取り機８に捲
回する。

次いで、第８図に示すようにコントローラ10を操作して
新ロープ繰出し機９より新ロープR₂を繰出し、機械室３
内の作業者によって巻上機４に新ロープR₂を掛けて下降
させ、下端部20をはしご14上の作業者によってシャック
ル21に固定する。その後、新ロープ繰出し機９側の新ロ
ープR₂を切断し、シャックル18に固定する。この新ロー
プR₂の切断、シャックル18への固定作業にあたっては、
切断された新ロープ繰出し機９側の新ロープR₂がカウン
タウェイト11側の新ロープR₂の重さで上方へ引上げられ
ないように、新ロープ繰出し機９側の新ロープR₂を引止
め具（図示せず）を使って固定してからその反固定側を
切断し、シャックル18に接続する。これにより主索の新
旧取替え作業が終了する。

また、例えば特開昭61−287678号公報に開示されている
ように、旧ロープの巻取り時あるいは新ロープの繰出し
時に、最上階のエレベータ乗場の出入口部に支持体を固
定し、新ロープを巻いたドラムの上方への移動を上記支
持体によって阻止し、この状態でドラムから新ロープを
送り出すようにした方法もある。

［発明が解決しようとする課題］ 上述した従来のエレベータの主索取替え工法では、素線
切れの恐れのある旧ロープを作業者が直接扱う作業が多
く、またカウンタウェイト11側の新旧ロープの交換のた
めに昇降路１の底部にはしご14を設け、作業者がはしご
14上で作業を行なうなど危険度が高いという問題があっ
た。

本発明はかかる問題点を解消するためになされたもの
で、作業者に対する安全性が高く、かつ効率良く新旧ロ
ープの交換を行うことができるエレベータの主索取替え
工法を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明に係るエレベータの主索取替え工法は、ロープの
両端をかごとこのかごの重量と平衡を保つためのカウン
タウエイトとにそれぞれ結合し、巻上機の駆動によって
昇降路内の上記かごとカウンタウェイトを懸吊しながら
相互に昇降させるエレベータ装置において、上部階の床
面に、先端が昇降路内の該上部階の近傍に停止させたか
ごの上方に突出する第１の導板を仮設する工程と、かご
およびカウンタウェイトを昇降路側に固定する工程と、
下部階の床面よりカウンタウェイトの上端部に第２の導
板を仮設する工程と、第２の導板上に旧ロープ巻取り機
および新ロープ繰出し機を設置する工程と、第１の導板
上にウインチを設置する工程と、旧ロープにおけるカウ
ンタウェイト側の上部階部分とウインチロープの先端に
取付けた棒状のロープ吊り治具を有する締結具とを仮接
続し、旧ロープをこの仮接続部よりも上方で切断し、切
断した旧ロープの上方部分を取外す工程と、旧ロープに
おけるカウンタウェイトとの結合部上方で切断し、ウイ
ンチロープを緩めながら旧ロープ巻取り機で巻き取る工
程と、ウインチロープ先端の締結具と旧ロープとの仮接
続を解き、仮接続を解いたウインチロープ先端の締結具
よりも新ロープ繰出し機から繰り出した新ロープの先端
部を所定長さに亘り先行させるとともに、この先行部を
ロープ吊り治具とウインチロープに仮接続し、ウインチ
により昇降路上方へ引上げる工程と、ウインチロープと
新ロープ先行部とのロープ吊り治具部分を除く仮接続部
を解き、仮接続を解いた新ロープ先行部分を巻上機に巻
掛けてから昇降路側に降ろす工程と、新ロープのかご側
先端をかごに結合し、新ロープとロープ吊り治具との仮
接続を解いた後、新ロープのカウンタウェイト側先端を
カウンタウェイトに結合する工程と、かごおよびカウン
タウェイトの固定を解除し、走行可能に復帰させる工程
とを有することを特徴としている。

［作 用］ 本発明においては、上部階の床面に仮設した第１の導板
上にウインチを、下部階の床面よりカウンタウェイトの
上端部に掛渡した第２の導板上に旧ロープ巻取り機およ
び新ロープ繰出し機を、それぞれ設置し、旧ロープにお
けるカウンタウェイト側の上部階部分とウインチロープ
の先端に取付けた棒状のロープ吊り治具を有する締結具
とを仮接続し、旧ロープをこの仮接続部よりも上方とカ
ウンタウェイトとの結合部上方の２個所で切断し、旧ロ
ープをウインチロープを緩めながら下方の旧ロープ巻取
り機で巻き取り、ウインチロープ先端の締結具と旧ロー
プとの仮接続部を解いた後、ウインチロープ先端の締結
具よりも新ロープ繰出し機から繰出した新ロープの先端
部を所定長さに亘り先行させ、この先行部をロープ吊り
治具とウインチロープに仮接続し、ウインチにより昇降
路上方へ引上げてからウインチロープと新ロープ先行部
とのロープ吊り治具部分を除く仮接続部を解き、拘束が
解かれた新ロープ先行部分を巻上機に巻掛けてから昇降
路側に降ろし、新ロープの両端をかごとカウンタウェイ
トに結合するとともに、新ロープとロープ吊り治具との
仮接続を解くことにより、新旧ロープの取替えが行なわ
れるので、機械力によって効率良く旧ロープの回収およ
び新ロープの送給作業ができ、またカウンタウェイト上
端面に掛け渡した第２の導板は安定した足場となり、作
業者に対する安全性が高まる。

［実施例］ まず、実施例の説明の前に本発明に係る工法を採用した
背景について説明する。

主索の取替えにあたっては、安全かつ省力化による効率
的な作業を行うことを主眼にして、新ロープ及び旧ロー
プの落下の恐れを防止する対策を講じ、特に主索の重量
が大になると人力による作業が困難であるので、機械力
を充分に活用する必要がある。例えば、主索は麻芯に油
を浸透させているので滑り易く、また古い主索は素線切
れを起している場合があり、これらの扱いには充分な注
意を拂うとともに、ウインチ等を極力有効に使用して安
全面の配慮を怠ってはならない。若し、ロープが高所よ
り落下するような事故があると、高層ビルの場合ではロ
ープの重量、容積が大きいので、落下時の衝撃によって
昇降路内の機器等の損傷を招くと、エレベータの復旧に
長期間を要するようなこともあるので、取替え工事中の
ロープの落下が絶対にないような工法によって作業を行
うことが寛容である。

第１図は本発明による主索取替え工法を実施するための
エレベータの縦断面図、第２図はそのＤ−Ｄ断面図であ
り、図における符号１〜12,15,18,21は従来例の第7,8図
で示した同符号のものと同一または相当部分を示す。23
はガイドレール22に取付けられたかご吊上げ用治具、24
はかご上梁、25は導板７上に取付けられたウインチ、26
はウインチロープ、27は滑車、28はロープ吊り治具であ
る。

第３図はロープ吊り治具28の詳細を示す斜視図である。
上述したようにロープは滑り易く、また変形し易いの
で、本実施例においては、旧ロープR₁を、棒状のロープ
吊り治具28の本体に溶接等により取付けられた複数個の
クリップボルト29と、クリップとナットとからなる締結
具30とによって、ウインチロープ26に接続しているロー
プ吊り治具28に対し、固定または取外しを行なうように
した。

次に、上述のようなエレベータにおいて、新旧ロープを
取替える工法の一例を第１図乃至第６図に基づいて説明
する。

［１］第１図および第２図に示すように、かご２側のガ
イドレール22にかご吊り上げ用治具23が最上階５の上部
に位置するように取付ける。

［２］かご２を運転して、最上階５の床面とかご上梁24
の上端とがほぼ一致した位置で停止させる。

［３］カウンタウェイト11の下部にスペーサ12を挿入し
て、カウンタウェイト11の上端面と最下階６の１つの上
の階の床面とを一致させ、この床面より導板７を昇降路
１内に出してカウンタウェイト11の上端面に掛け渡し、
導板７上に旧ロープ巻取り機８および新ロープ繰出し機
９を載置する。

［４］かご吊上げ用治具23と台付けロープ32及びチエン
ブロック31でかご上梁24を結び、チエンブロック31を操
作することによってかご２を吊上げ、かご上梁24の上端
面と最上階５の床面とが一致した位置でかご２を停止さ
せ、調速機は動作させておく。

［５］最上階５の床面上に載置して昇降路１内へ差し出
した導板７上にウインチ25を固定し、ウインチロープ26
を掛け渡す滑車27を最上階５よりも上部の昇降路１に取
付ける。

［６］ウインチロープ26を滑車27に通し、第３図に示す
ロープ吊り治具28のクリップボルト29と締結具30とによ
って、カウンタウェイト11側の旧ロープR₁とウインチロ
ープ26とを結合する。

［７］Ａ点で示すシャックル21の上部で旧ロープR₁を切
断する。

［８］Ｂ点で示すロープ吊り治具28の約1m上部の位置で
旧ロープR₁を切断するとともに、Ｃ点で示すシャックル
18の上部位置で旧ロープR₁を切断する。

［９］上記Ｂ〜Ｃ間の旧ロープR₁を機械室３側から巻取
って取外し、ウインチロープ26を緩めながらＢ点以下の
旧ロープR₁を下降させるとともに、この旧ロープR₁の先
端部を旧ロープ巻取り機８に取付けて捲回する。

［10］ロープ吊り治具28に固定してある旧ロープR₁の残
部を取外し、第４図に示すように新ロープ繰出し機９の
新ロープR₂をその先端から上記Ｂ〜Ｃ間に相当する長さ
よりも若干長い長さｌ引き出し、引き出した部分の後端
側を上記ロープ吊り治具28に固定するとともに、引き出
した部分の先端側をウインチロープ26に針金等で締結33
し、第５図に示すようにウインチ25を駆動してロープ吊
り治具28に固定された新ロープR₂を引上げる。新ロープ
R₂の先端部がＢ点へ来たら締結33を外し、さらにウイン
チ25の駆動操作をロープ吊り治具28がＢ点近傍へ来るま
で続ける。次いで締結33が外されてフリーになった新ロ
ープR₂の先端部を機械室３の巻上機４に巻き掛けた後、
昇降路１側に降ろす。

［11］新ロープR₂の先端部がＣ点に達するまで、つまり
ロープ吊り治具28がＢ点へ来るまでウインチ25を巻上
げ、新ロープR₂の先端部にシャックル18を取付け、この
シャックル18をかご上梁24に固定後にウインチロープ26
およびロープり治具28を新ロープR₂より取外す。

［12］第５図Ｆ−Ｆ断面を第６図に示すように、カウン
タウェイト11側の新ロープR₂の先端部にロープクランプ
34、力計35、チエンブロック36を取付け、このチエンブ
ロック36の下端部と、カウンタウェイト側ガイドレール
37に取付けられたロープテンション調整用治具38側の台
付けロープ36とを接続する。

［13］力計35の測定値が約600kgを示すまでチエンブロ
ック36を操作し、カウンタウェイト11側の新ロープR₂の
所定位置、つまりシャックル21と接続すべき位置にしる
しを付けた後、切断し、この新ロープR₂の端末にシャッ
クル21を取付け、カウンタウェイト11に固定する。

［14］手順［６］〜［13］の作業を、取替えるロープの
本数分だけ繰返す。

［15］かご２を僅かに吊り下げ、カウンタウェイト11の
下部に設けたスペーサ12を取外す。

［16］新ロープR₂の取付状況を点検し、かご２を昇降路
１の中間階で停止して複数の新ロープR₂それぞれのロー
プテンションを修正し、新旧ロープ取替え作業を終了す
る。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明によれば、昇降路内の上下に
仮設足場となる第１の導板と第２の導板を設け、第１の
導板上にウインチを、第２の導板上に旧ロープ巻取り機
および新ロープ繰出し機を、それぞれ設置し、ウインチ
ロープの先端に取付けた棒状のロープ吊り治具を有する
締結具と新旧ロープの仮接続を行って旧ロープの回収お
よび新ロープの送給を行うようにしたので、作業者に対
する安全度が高く、かつ効率良く新旧ロープの取替えを
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を説明するためのエレベータ
の全体構成を示す縦断面図、第２図は第１図のＤ−Ｄ縦
断面図、第３図は第１図におけるＥ部の詳細を示す斜視
図、第４図は新ロープの繰出し開始状態を説明するため
の断面図、第５図はウインチの駆動によって新ロープを
巻上げている状態を示す縦断面図、第６図は第５図のＦ
−Ｆ断面図、第７図および第８図は従来の新旧ロープ取
替え例を説明するためのエレベータの全体構成を示す縦
断面図である。 図において、１は昇降路、２はかご、３は機械室、４は
巻上機、７は導板、８は旧ロープ巻取り機、９は新ロー
プ繰出し機、11はカウンタウェイト、25はウインチ、26
はウインチロープ、28はロープ吊り治具、30は締結具、
33は締結。 なお、図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ロープの両端をかごとこのかごの重量と平
   衡を保つためのカウンタウエイトとにそれぞれ結合し、
   巻上機の駆動によって昇降路内の上記かごとカウンタウ
   ェイトを懸吊しながら相互に昇降させるエレベータ装置
   において、 上部階の床面に、先端が昇降路内の該上部階の近傍に停
   止させたかごの上方に突出する第１の導板を仮設する工
   程と、 かごおよびカウンタウェイトを昇降路側に固定する工程
   と、 下部階の床面よりカウンタウェイトの上端部に第２の導
   板を仮設する工程と、 第２の導板上に旧ロープ巻取り機および新ロープ繰出し
   機を設置する工程と、 第１の導板上にウインチを設置する工程と、 旧ロープにおけるカウンタウェイト側の上部階部分とウ
   インチロープの先端に取付けた棒状のロープ吊り治具を
   有する締結具とを仮接続し、旧ロープをこの仮接続部よ
   りも上方で切断し、切断した旧ロープの上方部分を取外
   す工程と、 旧ロープにおけるカウンタウェイトとの結合部上方で切
   断し、ウインチロープを緩めながら旧ロープ巻取り機で
   巻き取る工程と、 ウインチロープ先端の締結具と旧ロープとの仮接続を解
   き、仮接続を解いたウインチロープ先端の締結具よりも
   新ロープ繰出し機から繰り出した新ロープの先端部を所
   定長さに亘り先行させるとともに、この先行部をロープ
   吊り治具とウインチロープに仮接続し、ウインチにより
   昇降路上方へ引上げる工程と、 ウインチロープと新ロープ先行部とのロープ吊り治具部
   分を除く仮接続部を解き、仮接続を解いた新ロープ先行
   部分を巻上機に巻掛けてから昇降路側に降ろす工程と、 新ロープのかご側先端をかごに結合し、新ロープとロー
   プ吊り治具との仮接続を解いた後、新ロープのカウンタ
   ウェイト側先端をカウンタウェイトに結合する工程と、 かごおよびカウンタウェイトの固定を解除し、走行可能
   に復帰させる工程とを有することを特徴とするエレベー
   タの主索取替え工法。