JPH0653556B2 - エレベ−タの主索取替え工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、かご側およびカウンタウェイト側をそれぞ
れ吊り車によって懸吊しているエレベータの主索取替え
工法に関するものである。

［従来の技術］ 従来のこの種のエレベータにおける新旧ロープの取替え
は、特に高層ビルの場合に取替えるロープの重量が大き
いために巻取り機や繰出し機等の機械力を利用している
が、ロープの誘引、切断、仮中継等は作業員による手作
業の比率が高く、これらの作業時の仮設足場等の安全性
やかごの固定に対する安定性等に留意した工法が採用さ
れている。例えば、特開昭61-287678号公報に開示され
ているような、旧ロープの巻取り時あるいは新ロープの
繰出し時に、最上階のエレベータ乗場の出入口部に支持
体を固定し、新ロープを巻いたドラムの上方への移動を
上記の支持体によって阻止し、この状態でドラムから新
ロープを送り出すような方法がある。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記のような従来のエレベータの主索取替え工法では、
素線切れのおそれのある旧エロープを作業者が直接扱う
作業が多く、またかごの重量との平衡のためのカウンタ
ウェイト側の新旧ロープの交換のために昇降路の底部よ
りはしごを設け、作業者がこのはしご上で作業を行なう
などの危険度が高い問題があった。

この発明はかかる問題点を解消するためになされたもの
で、作業者に対する安全性が高く、かつ、効率良く新旧
ロープの交換を行うことができるエレベータの主索取替
え工法を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この発明に係るエレベータの主索取替え工法は、ロープ
の両端を上部で綱止めし、かご側およびカウンタウェイ
ト側にそれぞれ設けられた吊り車に上記ロープを掛け渡
し、巻上機の駆動によって昇降路内の上記かごと上記カ
ウンタウェイトとを懸吊しながら相互に昇降させるエレ
ベータ装置において、上部階の床面に、先端が昇降路内
の該上部階の近傍に停止させたかごの上方に突出する導
板を仮設する工程と、かごおよびカウンタウェイトを昇
降路側に固定する工程と、上記導板上にロープ巻取機お
よびロープ繰出機を設置する工程と、旧ロープにおける
一端の綱止め側の下部とロープ巻取機からの先導ロープ
とを仮接続し、旧ロープをこの仮接続部よりも綱止め側
で切断する工程と、旧ロープにおける他端の綱止め側の
下部とロープ繰出機から繰り出した新ロープとを接続
し、旧ロープをこの接続部よりも綱止め側で切断する工
程と、ロープ巻取機を駆動し、旧ロープを巻き取ると同
時に、ロープ繰出機から新ロープを繰り出すことによっ
て新旧ロープを掛け替える工程と、新ロープの両端を綱
止めに接続する工程と、かごおよびカウンタウェイトの
固定を解除し、走行可能に復帰させる工程とを有するこ
とを特徴としている。

［作用］ この発明においては、上部階の床面に仮設した導板上に
ロープ巻取機およびロープ繰出機を設置し、旧ロープに
おける一端の綱止め側の下部とロープ巻取機からの先導
ロープとを仮接続するとともに、旧ロープにおける他端
の綱止め側の下部とロープ繰出機から繰り出した新ロー
プとを接続し、旧ロープの両端をこれら仮接続部よりも
綱止め側で切断した後、ロープ巻取機を駆動し、旧ロー
プを巻き取ると同時に、ロープ繰出機から新ロープを繰
り出して、新旧ロープの掛け替えを行うので、機械力に
よって効率良く旧ロープの回収および新ロープの送給作
業ができ、かつ作業者に対する安全性が高まる。

［実施例］ 先ず、実施例の説明の前にこの説明の係る工法を採用し
た背景について説明する。

主索の取替えにあたっては、安全かつ省力化による効率
的な作業を行うことを主眼にして、新ロープ及び旧ロー
プの落下のおそれを防止する対策を講じ、特に主索の重
量が大になると人力による作業が困難であるので、機械
力を充分に活用する必要がある。

例えば、主索は麻芯に油を浸透させているので滑り易
く、また、古い主索は素線切れを起している場合があ
り、これらの扱いには十分な注意を拂うとともに、ウイ
ンチ等を極力有効に使用して安全面の配慮を怠ってはな
らない。若し、ロープが高所より落下するような事故が
あると、高層ビルの場合ではロープの重量、容積が大き
いので、落下時の衝撃によって昇降路内の機器等の損傷
を招くと、エレベータの復旧に長期間を要するようなこ
ともあるので、取替え工事中のロープの落下が絶対にな
いような工法によって作業を行うことが肝要である。

第１図はこの発明による主索取替え工法を実施するため
のエレベータの縦断面図である。図において、(1)はか
ご(2)が機械室(3)の巻上機(4)によって最上階(5)と最下
階(6)との間を昇降する昇降路である。最上階(5)より昇
降路(1)内に差し出した導板（みちいた）(7)は、ロープ
交換時にかご(2)を支持する等の機能を備えた仮設足場
となり、この導板(7)上には第４図に示すように旧ロー
プ巻取機(8)及び新ロープ繰出機(9)が設置される。なお
(10)は旧ロープ巻取機(8)と新ロープ繰出機(9)のドラム
の回転を制御するコントローラである。また、最下階
(6)の１つ上の階よりカウンタウェイト(11)の上端部に
掛け渡した導板(7)は、下部の作業時に仮設足場とな
る。(13)はカウンタウェイト(11)を支持するスペーサ、
(15a)はかご(2)、(15b)はカウンタウェイト(11)の底面
を受ける緩衝器である。

(23)は第１図のＧ−Ｇ断面図である第２図において示す
ガイドレール(22)に取付けられたかご吊上げ用治具、(2
4)はかご上梁、(36)はかご用吊車、(37)はカウンタウェ
イト用吊車、(38),(39)はこれらの吊車(36),(37)に掛け
わたしたロープＲ_１の端部のそれぞれを機械室(3)床に
設けた綱止め梁(40)に固定した綱止めである。

第３図は第１図のＨ−Ｈ断面図で、カウンタウェイト(1
1)の上部にカウンタウェイト用吊車(37)が設けられ、か
ご用吊車(36)と接続されたロープが掛けわたされている
状態を示す。

次に、上記のようなエレベータにおいて、新旧ロープを
取替える工法の一例を第１図〜第６図に基づいて説明す
る。

[1]最上階(5)の上部においてかご吊上げ用治具(23)を取
付け、かご(2)を上昇させて最上階(5)とかご上梁(24)と
がほぼ一致した位置で停止させる。

[2]カウンタウェイト(11)の下部にスペーサ(13)を挿入
して、カウンタウェイト(11)の上端面と最上階(6)の１
つ上の階の床面とを一致させ、この床面より導板(7)を
昇降路(1)内に出してカウンタウェイト(11)の上端面に
かけわたす。

[3]かご吊上げ用治具(23)及びチェンブロック(34)によ
ってかご(2)を吊上げ、かご(2)の上梁(24)の上端面と最
上階(5)の床面とが一致した位置でかご(2)を停止させ
る。このときかご側の調速機は動作させておく。

[4]第４図に示すように、旧ロープ巻取り器(8)と新ロー
プ繰出し機(9)に対向して昇降路(1)の上部に滑車(27)を
設置し、旧ロープ繰出し機(8)からの先導ロープ(41)を
滑車(27)を介してカウンタウェイト側綱止め(39)に入る
旧ロープと、Ａ点で示す滑車(27)の下部で接続する。

[5]綱止め(39)の下部のＢ点において旧ロープを切断
し、綱止め梁(40)とカウンタウェイト(11)側の旧ロープ
との結合を外す。

[6]かご側の綱車から吊り車(36)に垂下された旧ロープ
と、吊り車(36)を介して先行する新ロープ（長さＣ〜
Ｄ）とをＣ点において接続し、Ｅ点において旧ロープを
切断してかご(2)側およびカウンタウェイト(11)側のシ
ャックルを取外す。

[7]旧ロープ巻取り機(8)を運転してＡ点に新旧ロープの
接続点Ｃが来るまで継続する。新ロープに旧ロープの端
末Ｅをバインドする。

[8]第５図に示すように、カウンタウェイト(11)側の新
ロープ先端部を機械室(3)に引出して綱止め梁(40)上で
シャックルを取付ける。Ａ点部及び下方の新ロープと旧
ロープとの接続及びバインドを外す。

[9]第６図に示すように先導ロープをかご用吊り車(36)
の上部のＦ点において接続し、新ロープ繰出し機(9)か
ら新ロープの端末部を引出して機械室(3)の綱止め梁(4
0)における新ロープの長さを設定し、綱止め梁(40)上で
シャックルを取付け、先導ロープ(41)と新ロープとの接
続を取外す。

[10]以上の作業をロープ本数分繰返し、滑車(27)を取外
す。

[11]かご側調速機を復帰させ、かご(2)を吊り戻す。

[12]スペーサ(13)を取外してかご側レールよりかご吊り
上げ用治具(23)及びチェンブロック(34)を取外し、新ロ
ープの取付状況を点検する。

[13]かご(2)の昇降路(1)の中間で停止させ、各々の新ロ
ープのテンションを修正し、新旧ロープ取替え作業を完
了する。

［発明の効果］ 以上述べたように、この発明によれば、上部階の床面に
仮設した導板上にロープ巻取機およびロープ繰出機を設
置し、旧ロープにおける一端の綱止め側の下部とロープ
巻取機からの先導ロープとを仮接続するとともに、旧ロ
ープにおける他端の綱止め側の下部とロープ繰出機から
繰り出した新ロープとを接続し、旧ロープの両端をこれ
ら仮接続部よりも綱止め側で切断した後、ロープ巻取機
を駆動し、旧ロープを巻き取ると同時に、ロープ繰出機
から新ロープを繰り出して、新旧ロープの掛け替えを行
うようにしたので、機械力によって効率良く旧ロープの
回収および新ロープの送給作業を行うことができ、かつ
作業者に対する安全性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を説明するためのエレベー
タの全体構成を示す縦断面図、第２図は第１図のＧ−Ｇ
断面図、第３図は同じくＨ−Ｈ断面図、第４図〜第６図
はこの発明によるエレベータの主索取替え工法の作業過
程を説明するための説明図である。 図において、(1)は昇降路、(2)はかご、(4)は巻上機、
(7)は導板、(8)は旧ロープ巻取り機、(9)は新ロープ繰
出し機、(11)はカウンタウェイト、(36)はかご用吊り
車、(37)はカウンタウェイト用吊り車、(41)は先導ロー
プ。 なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ロープの両端を上部で綱止めし、かご側お
   よびカウンタウェイト側にそれぞれ設けられた吊り車に
   上記ロープを掛け渡し、巻上機の駆動によって昇降路内
   の上記かごと上記カウンタウェイトとを懸吊しながら相
   互に昇降させるエレベータ装置において、 上部階の床面に、先端が昇降路内の該上部階の近傍に停
   止させたかごの上方に突出する導板を仮設する工程と、 かごおよびカウンタウェイトを昇降路側に固定する工程
   と、 上記導板上にロープ巻取機およびロープ繰出機を設置す
   る工程と、 旧ロープにおける一端の綱止め側の下部とロープ巻取機
   からの先導ロープとを仮接続し、旧ロープをこの仮接続
   部よりも綱止め側で切断する工程と、 旧ロープにおける他端の綱止め側の下部とロープ繰出機
   から繰り出した新ロープとを接続し、旧ロープをこの接
   続部よりも綱止め側で切断する工程と、 ロープ巻取機を駆動し、旧ロープを巻き取ると同時に、
   ロープ繰出機から新ロープを繰り出すことによって新旧
   ロープを掛け替える工程と、 新ロープの両端を綱止めに接続する工程と、 かごおよびカウンタウェイトの固定を解除し、走行可能
   に復帰させる工程とを有することを特徴とするエレベー
   タの主索取替え工法。