JPH0746435Y2 - 加工用クランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は加工の際にワークをクランプする加工用クラン
プ装置に関し、詳しくは、自動車の部品であるナックル
アーム等のように加工用基準面が不安定で、加工時に加
工面が揺動などして変化するようなワークでも、安定し
たクランプを行える加工用クランプ装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

従来、自動車の部品であるナックルアーム等のように曲
折した形状で、しかも加工用基準面が不安定なワークに
他の部品との組合せ面の切削加工を施す場合、基準とな
る高さ位置に設定した下部の固定座にワークを載置し、
その上方からクランプ部材で押圧してクランプするクラ
ンプ装置により行われていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来のようなクランプ装置によると、ワ
ーク自体が曲折し、その形状にばらつきがあるため、ク
ランプ時に撓みが生じ、固定座とクランプ部材との間が
ワークの厚み以上の間隔となり、このような状態のまま
で、組合せ面の切削を行うと、ワーク自体にビビリ現象
を生じ、良好な切削加工が実施できなくなるといった問
題点が生じていた。

本考案は前記問題点に鑑みてなされたもので、ワークを
均一な高さ位置に設定して保持すると共に、ワークの厚
みにばらつきがあっても、常にワークを安定かつ確実に
クランプすることができる加工用クランプ装置を提供す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は前記課題を解決するため、ワークを加工の際に
クランプする加工用クランプ装置において、前記ワーク
のクランプ位置を決める基準ブロックを昇降自在なスラ
イド筒の先端に設け、該スライド筒を側方から押圧して
固定する押圧機構を備え、前記スライド筒の先端部に設
けたホルダーにワークを掛止する左右一対の支持爪を配
置し、該支持爪に形成したガイド長孔に係合して支持爪
を開閉方向へガイドするガイドピンを前記ホルダーに設
け、前記スライド筒内を挿通する昇降自在な軸の先端部
に前記支持爪の基端に係合して該支持爪を昇降動させる
揺動自在な支持部材および保持部材を設けた加工用クラ
ンプ装置を構成したものである。

〔作用〕

本考案によれば、スライド筒により基準ブロックが下降
してワークのクランプ位置を決定し、軸により支持爪が
支持部材および保持部材を介して上昇すると共に、ホル
ダーのガイドピンにより閉方向へ移動し、支持爪がワー
クに掛止してワークをクランプすることになる。この
時、ワークの厚みにばらつきがあっても、支持部材およ
び保持部材が揺動自在であることにより、そのワークの
ばらつきに対応して支持爪が揺動し、ワークを確実にク
ランプすることができる。

〔実施例〕

本考案に係る一実施例を図面に基づいて説明する。

図面の第１図は加工用クランプ装置の一部破断正面図、
第２図は第１図の側面図である。

第１図および第２図に示すように加工用クランプ装置Ａ
は、ワークＷを位置決めしてクランプするクランプ機構
Ｂを二機左右対象に配置し、その中央にクランプ機構Ｂ
を昇降動する昇降機構Ｃを備えている。ワークＷは自動
車の部品であるナックルアームである。

前記昇降機構Ｃは基台１に取付けたシリンダ等の駆動源
２と、その駆動源により昇降動する支持アーム３とから
なり、支持アーム３の下部にクランプ機構Ｂの下降位置
を規制するストッパ４を設け、そのストッパ４が当接す
るストッパ片５を基台１に設けている。

前記クランプ機構ＢはワークＷのクランプ位置を決める
基準ブロック６を先端7aに設けたスライド筒７と、その
スライド筒７を摺動可能に内嵌したスリーブ８と、スラ
イド筒７を側方から押圧して固定する押圧機構９と、ス
ライド筒７の先端部に設けたクランプ部10とからなる。
前記基準ブロック６はボルト6aにより先端7aに着脱可能
に取付けられている。また、スライド筒７はその基端部
を支持アーム３の端部に取付けてあり、固定されたスリ
ーブ８内を昇降動するようになっている。そして、押圧
機構９はスリーブ８に設けられており、シリンダ等の駆
動源9aにより固定ピン9bがスライド筒７の側部に削設し
た斜辺部に圧接し、ワークＷの加工時におけるビビリの
発生の一因となるスライド筒７の下降および揺動を防止
するようになっている。

前記クランプ軸10はスライド軸７の先端部に設けたホル
ダー11と、そのホルダー11に配置した左右一対の支持爪
12と、スライド筒７内に挿通する昇降自在な軸13の先端
部に揺動自在に取付けた支持部材14および保持部材15と
からなる。

前記支持爪12は基端側をホルダー11内に収嵌すると共
に、スライド筒７の先端7aおよび基準ブロック６を挟持
するような状態で配置されており、その先端内側にワー
クＷを掛止する爪部12aを形成し、基端内側にローラ12b
を設けている。また、支持爪12にはガイド長孔12cが略
ハ字形状に形成されており、このガイド長孔12cにホル
ダー11の下部11aに設けたガイドピン11bが係合して支持
爪12の先端側を開閉方向にガイドするようになってい
る。詳しくは、支持爪12が上昇するに連れて先端側の爪
部が閉方向に移動し、支持爪12が下降するに連れて先端
側の爪部が開方向に移動するようになっている。

前記軸13はスライド筒７の基端に設けたシリンダ等の駆
動源17により昇降動するようになっており、軸振れ等を
防止するためスライド筒７内に軸13と摺接するガイド体
13a,13bを配置している。

前記支持部材14および保持部材15は、ボルト16の軸に外
嵌してボルト16の頭部と軸13の端面との間に位置してお
り、ボルト16の軸との間には隙間Ｓを形成している。こ
の支持部材14は断面略台形状で、ボルト16の頭部と接触
する底面14aが円弧形状に形成されており、軸13の端面
と接触する保持部材15の上面も円弧形状に形成されてい
る。このことにより、支持部材14および保持部材15を揺
動自在にしている。

また、支持部材14の傾斜面に支持爪12のローラ12bを当
接させて支持部材14および保持部材15に支持爪12の基端
を係合している。

なお、図中の18はワークＷを加工する加工ヘッドで、こ
の加工ヘッド18には加工刃18a,18bを配置している。

次に、加工用クランプ装置Ａの作動および作用を説明す
る。

駆動源２の作動により左右のスライド筒７がスリーブ８
内を摺動して下降動し、支持アーム３のストッパ４が基
台１のストッパ片５に当接する。スライド筒７の下降動
が停止すると、スリーブ８に設けた押圧機構９の駆動源
9aが作動し、スライド筒７を押圧ピン9bにより固定す
る。

スライド筒７が押圧機構９によって確固として保持され
るこの時には、スライド筒７の先端7aに設けた基準ブロ
ック６の端面がワークＷの基準面Ｋから常にｈだけの高
さになるようにワークＷの平面に当接（ワークＷにばら
つきが有るため当接する場合としない場合がある。）
し、次いで、スライド筒７の基端に設けた駆動源17が作
動し軸13を上昇させる。

軸13が上昇すると、支持部材14および保持部材15を介し
て支持爪12が上昇し、その支持爪12の上昇に連れて爪部
12aが閉方向に移動し、爪部12がワークＷに当接して掛
止し、ワークＷをクランプする。

この時、ワークＷのクランプ部分の左右に厚みの違いが
有ると、支持爪12にかかる不均一な支持力の差異が生
じ、支持力の強い側の支持爪12のローラ12bが支持部材1
4の傾斜面を押圧する。この支持部材14の底面が円弧形
状であり、また、保持部材15の上面が同じく円弧形状に
形成されていることにより、支持部材14および保持部材
15が傾動する。これにより、支持爪12が揺動してワーク
Ｗを均一にクランプする。

以上のようにワークＷのクランプ作動が完了すると、加
工ヘッド18によりワークの加工を行うことになる。

本考案の実施例ではワークＷを左右対象のナックルアー
ムにしたので、クランプ機構Ｂも二機左右対象としてい
るが、これに限るものではない。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように構成したので、次のような効果が
ある。

ワークのばらつきに支持爪が対応して揺動することによ
り、ワークを安定かつ確実にクランプすることができ、
加工時におけるワークのビビリ現象を防止してワークの
良好な加工が行える。

また、ワークの位置決め機構である基準ブロックとワー
クのクランプ機構を一体化したので、別個に複雑なクラ
ンプ機構や位置決め機構を要せず、簡単な構造となっ
た。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例に係り、第１図は加工用クラン
プ装置の一部破断正面図、第２図は第１図の側面図であ
る。 Ａ……加工用クランプ装置 Ｂ……クランプ機構、Ｃ……昇降機構 Ｗ……ワーク １……基台、2,9a,17……駆動源 ３……支持アーム、４……ストッパ ５……ストッパ片、６……基準ブロック ７……スライド筒、８……スリーブ ９……押圧機構、9b……押圧ピン 10……クランプ部、11……ホルダー 12……支持爪、13……軸 14……支持部材、15……保持部材 16……ボルト、18……加工ヘッド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ワークを加工の際にクランプする加工用ク
   ランプ装置において、 前記ワークのクランプ位置を決める基準ブロックを昇降
   自在なスライド筒の先端に設け、該スライド筒を側方か
   ら押圧して固定する押圧機構を備え、前記スライド筒の
   先端部に設けたホルダーにワークを掛止する左右一対の
   支持爪を配置し、該支持爪に形成したガイド長孔に係合
   して支持爪を開閉方向へガイドするガイドピンを前記ホ
   ルダーに設け、前記スライド筒内を挿通する昇降自在な
   軸の先端部に前記支持爪の基端に係合して該支持爪を昇
   降動させる揺動自在な支持部材および保持部材を設けた
   ことを特徴とする加工用クランプ装置。